資料4 文部科学省の主な障害者施策実施状況(令和2年度)の概要 p1 1.教育の振興 (1)初等中等教育 令和3年1月、「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議報告」をとりまとめ、 1 障害のある子供の学びの場の整備・連携強化 2 特別支援教育を担う教師の専門性向上 3 ICT利活用等による特別支援教育の質の向上 4 関係機関の連携強化による切れ目ない支援の充実 等について、新しい時代の特別支援教育に関する方向性を提示した。 特別支援学校の学習指導要領等において、重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性の重視や、障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、キャリア教育の充実など、自立と社会参加に向けた教育を充実した。 さらに、趣旨の徹底が図られるよう、各種会議や研究協議会等で周知した。(平成29年から平成31年告示) 障害のある児童生徒等の就学相談や学びの場の検討等の充実に資するよう、令和3年6月に「教育支援資料」を「障害のある子供の教育支援の手引 子供たち一人一人の教育的ニーズを踏まえた学びの充実に向けて」(別冊として「小学校等における医療的ケア実施支援資料」も作成)として改訂し、更なる周知徹底を図った。 令和2年3月、「初めて通級による指導を担当する教師のためのガイド」を作成・公表した。 令和2年11月、交流及び共同学習オンラインフォーラムを開催し、各自治体における取組の参考となる優れた実践事例を動画で紹介した。 障害のある子供への就学前から学齢期、社会参加までの切れ目ない支援体制を整備する際に要する経費や医療的ケアを行う看護師、言語聴覚士等の外部専門家の配置に係る経費の一部補助、特別支援教育支援員の地方財政措置を行った。 教員養成課程での資質向上に加え(令和元年度から「特別な支援を必要とする幼児、児童及び生徒に対する理解」が必修)、現職教員を対象とする免許法認定講習・公開講座、免許法認定通信教育等も活用し、特別支援に関わる教員の資質向上を図っている。 (2)高等教育 障害学生支援に係る先進的な取組や多くの知見を持つ大学等がプラットフォームを形成し、他の大学等がそれを活用する「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」について、2件の取組を選定・支援し、大学等の関係機関の連携ネットワークの構築を推進した。 p2 独立行政法人日本学生支援機構において、大学等における障害学生支援の充実に資するよう、全国の大学等における障害学生の状況及びその支援状況について把握・分析するための実態調査、各大学等が適切な対応を行うために参考にできる事例集の作成、理解・啓発促進を目的としたセミナーや実務者育成のための研修会の開催などの取組を実施した。 学生支援を担当する教職員が集まる会議等において、障害者差別解消法の趣旨や障害者基本計画等について説明をするなど、障害のある学生の支援の充実についての理解促進の取組を実施した。 文部科学副大臣の下に発足した「障害者活躍推進チーム」において、令和2年7月に、大学間連携等による障害学生支援体制の強化や学生に対する「心のバリアフリー」の取組の促進等を盛り込んだ「障害のある人の大学等の学びを支援する 高等教育の学びの推進プラン」を取りまとめるとともに、同プランの内容を踏まえた取組を実施した。 (3)生涯を通じた多様な学習活動 「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」について、令和2年度から、都道府県を中心に大学や民間企業等の関係機関と地域コンソーシアム形成による障害者の生涯学習支援体制モデルを構築した。また、障害者が生涯学習活動に参加する際の阻害要因、促進要因を把握・分析する調査研究を実施した。 実践研究事業の成果普及、障害理解の促進、実践者同士の学びあいを通じて障害者の生涯学習の担い手の育成、障害者の学びの拡大を目指すため、先進的な取組を実践する団体と共催して「共に学び、生きる共生社会コンファレンス」を全国7ブロックで開催した。 障害の有無にかかわらず共に学び、生きる共生社会の実現に向けた啓発を目的とした取組として、障害理解啓発フォーラム「超福祉の学校」をオンラインで開催した。 障害者の生涯を通じた多様な学習を支える活動を行う個人又は団体について、活動内容が他の模範と認められるものに対し、その功績をたたえるため、「障害者の生涯学習支援活動に係る文部科学大臣表彰」を実施し、全国の73の個人又は団体を表彰した。 令和2年7月、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(令和元年法律49号)第7条に基づき、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」を策定した。 2.文化芸術活動・スポーツ等の振興 (1)文化芸術活動 平成30年6月に「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」が成立・施行されたことを受け、平成31年3月に同法に基づく国の基本的な計画を策定。この計画に基づき、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進した。 障害者による文化芸術の鑑賞や創造、発表の機会を確保するため、障害者の優れた文化芸術活動の国内外での公演・展示、映画作品のバリアフリー字幕や音声ガイド制作への支援等の取組を実施した。 p3 (2)スポーツ 障害者スポーツの普及促進のため、「障害者スポーツ推進プロジェクト」として、各地域における課題に対して、障害者スポーツの振興体制の強化、身近な場所でスポーツを実施できる環境の整備を図る取組(平成30年度より)や、障害者スポーツ団体の体制の強化を図り、他団体や民間企業等と連携した活動の充実につなげる取組(平成30年度より)、個々人での購入が容易でない障害者スポーツ用具について、地域の保有資源を有効活用し、過大な金銭的負担を負うことなくスポーツを始めることのできる仕組みを構築する取組(令和元年度より)等を実施した。 東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、「オリンピック・パラリンピック・ムーブメント全国展開事業」として、パラリンピアンとの交流・パラスポーツ体験事業を重点的に実施するなど、障害当事者以外に向けた障害者スポーツ体験・理解の促進を図るとともに、「Specialプロジェクト2020」として、全国の特別支援学校でのスポーツ・文化・教育の祭典の実施に向けた先進事例を蓄積するためのモデル事業や特別支援学校等を活用した地域における障害者スポーツの拠点づくりの支援を実施した。 第20回全国障害者スポーツ大会は、令和2年10月に鹿児島県で開催予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により令和5年度に延期した。 パラリンピック競技の特性等も踏まえ、各競技団体が行う強化活動や次世代アスリートの発掘・育成の支援、令和元年度にパラリンピック競技の使用を想定し拡充整備をしたナショナルトレーニングセンター(NTC)屋内トレーニングセンター・イーストをはじめとするアスリートのトレーニング環境の整備など、競技力向上のための取組を実施した。