資料2 基本方針改定に係る地方団体からの意見一覧 目次 全国知事会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 全国市長会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 p1 基本方針に関する御意見等(資料1 ヒアリング項目への回答) 団体名 全国知事会 (注)全国知事会推薦により黒岩神奈川県知事が委員に就任しているが、本件は神奈川県の立場で回答するものである。 1.(1)1 アについて (意見等) 現行の基本方針2(1)アでは、「障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取り扱いではない。」の解釈について、障がい者と事業者の間で見解の相違が生じやすい。 具体的には、障がい者が参加する活動で、運営事業者により障がい者が希望する活動内容が制限された場合、障がい者は「必要な特別の措置により活動を制限された」と主張する一方、事業者は「障がい者の事実上の平等を促進し、又は達成するため、安全確保を目的として障がい者の活動の一部を制限した」と回答し、両者の見解が対立することがある。 こうした見解の相違を減らすためには、上記条文に具体的事例を複数示す等の対応が必要であると考える。 また、どのように総合的・客観的な判断をしたのか、判断プロセスのわかりやすい説明(必要に応じて証拠資料の提示)が必要である。なお、行政機関側には、裁判でいう判決事例のような対応事例の蓄積が大切であり、全国単一の対応事例のデータベースの蓄積があると建設的対話に有効であると考える。 (事例1) スポーツクラブへの入会・継続に関して、障がいの程度、障がいに付随する症状や服用薬の副作用等を考慮して、事業者側が安全確保の観点から、入会不可としている、あるいは、集団活動ではなく、個別活動での対応や付き添い者の同行を求めるといった条件が提示されたとの相談があった。こういった場合、「障がいを理由にサービス利用を制限するものであるから、差別的取扱いに該当するのではないか。」という見解がある一方、「人命優先、安全配慮義務の観点から判断した結果であり、差別的取扱いに当たらない。」との見解もあり、見解が全く異なる状況が起こりやすい。 (事例2) 平成28年7月に発生した津久井やまゆり園事件後、SNS等で不当な差別的な世論の反応がいくつも散見された。 p2 1.(1)1 イについて (事例) 「関連差別」に該当する事例としては、新型コロナウイルス感染症に関連して、マスクを着用できない障がい者が同行者と商業施設を利用する際、同行者が事情を説明したにもかかわらず、入店や利用を拒否され、更に同行者に対する侮辱的な発言も受けたとの相談があった。 (意見等) 「関連差別」等について、差別の概念に含まれると考えて差し支えないが、「障がい者差別」の概念が拡大し、人権侵害と同じ概念であると混同されかねないので、両者の概念を整理する必要がある。(本来的には人権侵害として扱われるべきであるが、障がい者差別であるとして区別なく相談されるケースが増える可能性がある) 1.(1)2 アについて (意見等) 例示の記載があるので、特になし。 (事例等) 身体障がい者が飲食店以外の小売業店で飲料水の提供を求めたが、そのようなサービスは一切していないと提供されなかったとの相談があった。行政が事業者から聴き取りを行った結果、ウォーターサーバー等の設置が無く、全ての顧客に対して一律、衛生面の観点から水道水の提供をしていない状況や、当時の接客状況等から提供できなかったのはやむを得ないと判断したため、相談者に不提供となった理由を説明し、双方の話合いにより解決されたケースがある。 1.(1)2 イについて (事例等) 特になし。 1.(1)2 ウについて (意見等) 「正当な理由の判断の視点」について、行政機関等の側で根拠に基づく説明や根拠資料の提示を行うことは望ましいと考える。 p3 1.(1)2 エについて (意見等) 「正当な理由」を説明するためには、どのような判断プロセスを経て、総合的・客観的な判断をしたのか、障がい者側に分かりやすく説明(必要に応じて証拠資料の提示)が必要であると考える。 また、行政機関側には、裁判でいう判決事例のような対応事例の蓄積が大切であり、全国共通の対応事例のデータベースの蓄積があると建設的対話に有効であると考える。 1.(2)アについて (意見等) 合理的配慮の提供に関する相談に対応するに当たり、提供に要する費用負担、対応に係る人的労力等を勘案して判断をするが、行政機関が「負担が過重でない」と判断する基準が明確に示されていないため、客観的な判断が難しいという問題がある。 具体的な事例として、合理的配慮の提供に10万円の費用負担が発生する場合、10万円の負担が過重であるか否か、事業者の事業規模や財務状況によって異なることが想定されるが、その判断基準を相談者に客観的に説明することは困難で、対応に苦慮したことがある。 1.(2)イについて (意見等) 行政機関、民間事業主ともに可能な限り幅広く合理的配慮を行うことが求められていると考える。 1.(2)ウについて (事例等) 女性に関連する相談内容としては、特に新型コロナウイルス感染症が拡大していた状況下での産婦人科の受診に関して、車いすを使用している女性が、病院スタッフによる介助の必要性があることやトイレ等を使用した際の消毒の必要性など、衛生面における懸念を理由に受診を断られたという相談が寄せられ、対応に苦慮した事例がある。 1.(2)エについて (事例等) 合理的配慮の提供に関する相談に対応するに当たり、提供に要する費用負担、対応に係る人的労力等を勘案して判断をするが、行政機関が「負担が過重でない」と判断する基準が明確に示されていないため、客観的な判断が難しいという問題がある。 具体的な事例として、合理的配慮の提供に10万円の費用負担が発生する場合、10万円の負担が過重であるか否か、事業者の事業規模や財務状況によって異なることが想定されるが、その判断基準を相談者に客観的に説明することは困難で、対応に苦慮したことがある。 p4 1.(2)オについて (意見等) 「過重な負担」について、行政機関等の側で根拠に基づく説明や根拠資料の提示を行うことは望ましいと考える。 1.(2)カについて (意見等) 建設的対話を行うためには、どのような判断プロセスを経て、総合的・客観的な判断をしたのか、障がい者側に分かりやすく説明すること(必要に応じて証拠資料の提示)が重要であると考える。 また、全国共通の具体的対応事例等のデータベースの蓄積があると、客観的な根拠の説明を行う際の例示となりえるため、建設的対話の促進に有効であると考える。 2.(1)アについて (意見等) 基本方針第5の2相談及び紛争の防止等のための体制の整備で、「法は、新たな機関は設置せず、既存の機関の活用・充実を図ることとしており、(中略)障害者差別の解消の推進に資する体制を整備する」としており、本県でも既存の機関を活用して対応しているが、取り扱う事案の内容が多岐にわたり、事案の対象となる所管法令や所管部署、許認可権限など、総合的・客観的な判断をするための情報収集に苦慮することがある。 具体的には、民間のスポーツ施設での障がいを理由とする差別に関する相談を受けた際、その所管庁が分からず、調べるのに苦慮したことがある。 2.(1)イについて (意見等) 相談対応では上記のとおり情報収集に苦慮しており、その負担軽減のため、相談体制の構築に当たっては、国においては、各省庁に設置されている相談窓口において、所管法令等について技術的助言や情報提供を行い、それを受け、地方自治体が個別具体的な事案に対する相談支援を行うことにより、効率的、効果的な相談支援を実施することができると考える。 p5 2.(1)ウについて (意見等) 個別の相談対応を行う際には、どのように総合的・客観的な判断をしたのか、障がい者側、事業者側の双方に、判断プロセスの分かりやすい説明(必要に応じて証拠資料の提示)を行うなどの工夫をしている。 他自治体等の対応事例等や法的根拠、事業者、事業者団体、職能団体等の障害者差別解消法に対する対応指針などに照らした上で、建設的対話が円滑にされるよう努めているが、情報収集に要する負担が非常に大きく、苦慮している。 具体的には、民間のスポーツ施設での障がいを理由とする差別に関する相談を受けた際、その事業者団体の有無及び対応指針の策定状況などを調査したうえで、団体側にその運用などの問合せ等を行ったが、相当な時間と労力を要したことがあった。 2.(2)アについて (取組等) 障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除し、誰もがその人らしく暮らすことのできる共生社会の実現に向け、平成28年10月に県議会とともに制定した「ともに生きる社会かながわ憲章」の普及を推進し、障がいを理由とする差別の解消、合理的配慮の提供についての理解促進・啓発を行っている。 2.(2)イについて (意見等) 事例収集に当たって、障がい当事者、民間事業者及び一般県民を対象としたアンケートを実施しているが、回答が特定の障がい種別や場面に偏りやすい傾向があり、内部障がいなどの見えにくい障がいや、社会的障壁の除去のための意思の表明が自身では(直接表明することが)難しい方等の事例等は集まりにくい。こうした事例などは広く共有されるべきものであると認識しているため、他団体等の好事例があれば参考にしたいと考える。 2.(3)について (意見等) 障害者差別解消支援地域協議会では主に、県が受けた差別相談の対応の検証、障害者差別解消法の普及啓発や障がいに対する理解促進の取組等について協議している。協議の対象となる事業分野、所管法令等が多岐に渡るため、障がい当事者、有識者、行政機関のほか、民間事業者も委員として参画している。協議内容によっては、関係者などのオブサーバー参加が必要となるが、その人選に苦慮することがあり、課題となっている。 同様の課題は他の地方公共団体でも抱えていると思われるため、意見を伺うことのできる関係者の情報を共有する仕組みがあると有益と考える。オブザーバー参加が円滑に行われることで、障がい者、事業者双方にとって発展的問題解決、相互理解の促進につながると考える。 p6 3.について (御意見等) 特になし。 (以上) p7 基本方針に関する御意見等(資料1 ヒアリング項目への回答) 団体名 全国市長会 (注)以下において、「特になし」と記載のあるところについては、あくまで今回の発表者である和泉市としてのものであり、必ずしも全国の市において事例等がないということではございません。 1.(1)1 アについて (御意見等) 特になし (事例等) 聴覚障がい者が技能講習を希望し、支援者から電話にて事業者に対して、技能講習の受講の申込みを電話で行ったところ、聴覚障がいであることをもって、受講の拒否があった。 結果、別の事業者での受講が決まったため、当該事業者での受講はなかった。 本件では、当該事業者に対し、電話にて聴覚障がいであることをもって、受講の拒否を行うことは不適切であり、できれば本人と直接会うなどし、本人の状態や希望する講習の確認、また、講習の内容の説明を行うなど丁寧な対応が必要であると、指導を行った。 1.(1)1 イについて (事例等) 特になし (御意見等) 間接差別等を不当な差別に含むべきという概念については、意見し難いところである。 ただし、法の趣旨が個別事案に対処しつつ、差別が解消される地域づくり、地域共生社会の実現を目指すものであるならば、実際に不当な対応等を受けており、何らかの支援が必要であるならば、建設的な対話が図られるようにする必要があると考える。 なお、ハラスメントについては、虐待などの事案においては、他法によって対応すべきものであると考える。 また、実際の現場において「直接差別」か「間接差別」等かという種別分けを、現に行っているのか。 p8 1.(1)2 アについて (御意見等) 上記事案において、仮に受講の話を直接行っていたとした場合、受講希望の講習が3人1組で常に互いに状況を確認し、声を掛け合いながら取り組むような内容であることを事業者から聴き取った。確かに聴覚に障がいがあることで、講習内容によっては受講が困難な場面も想定される。 こういった場合に、何をもって「正当な理由」に該当するのか判断することの難しさはあると思われる。また、「正当な理由」であったとしても、当事者が理解・納得することについては、当事者の考え方に大きく左右されるのではないか。 (事例等) 特になし 1.(1)2 イについて (事例等) 特になし 1.(1)2 ウについて (御意見等) 現行の基本方針においても「障害者にその理由を説明するものとし」とあるため、行政機関等が説明を行うにあたり、資料等の提示ができるのであれば提示すべきであると考えるが、事案によっては資料等が提供できない場合も考えられ、また、資料を作成することに行政機関等に対する負担となることは望ましくないため、必ず資料等を求めるものではないと考える。 1.(1)2 エについて (御意見等) 正当な理由の説明にあたっては可能な限り資料等に基づく説明により、建設的な対話を行うよう努めるべきであるが、事案によっては客観性をもった中立的な立場として、当該行政機関等とは異なる行政機関等の同席が望まれる場合も想定される。 (事例等) 特になし 1.(2)アについて (御意見等) 「過重な負担」という表現があいまいで様々な解釈を生むおそれがあるため、より具体的な事例があれば理解しやすい。 p9 (事例等) 特になし 1.(2)イについて (御意見等) 特になし。 ただし、行政機関が積極的に行う必要性は高いと考えるが、広い範囲についての定義が必要ではないか。 1.(2)ウについて (事例等) 特になし 1.(2)エについて (事例等) 特になし 1.(2)オについて (御意見等) 「合理的配慮」の概念や「過重な負担」の考え方が明確でない中で、資料の提供を必ず行うことは困難であると考える。 1.(2)カについて (御意見等) 障がい者に対して 「合理的配慮」の考え方や、行政機関等の事業・サービス内容を理解すること 障がい者自身の身体的状態について、適切に説明すること。 障がい者自身からも、実現可能な具体的な提案を行うこと。 行政機関等に対して 「合理的配慮」の考え方を理解した上で、障がい者自身のできることに着目した対応を行うこと。 また、その対応に必要となる前提として、基本的な障がい理解があること。 (事例等) 特になし p10 2.(1)アについて (御意見等) 大阪府においては府(障がい福祉企画課)に広域相談支援員が配置されているため、市町村に対するバックアップ体制が整備されている。本市の事例においても広域相談支援員が同行したケースや電話にて助言を行った事例がある。 そういった個別事例等に関する市町村へのバックアップ体制が整えられていない自治体等において、事例対応のスキルやノウハウ等がない場合は、対応が困難であるものと考えられる。 2.(1)イについて (御意見等) アに同じ 2.(1)ウについて (御意見等) 個別事案において、市だけで対応が困難であると感じた場合は、大阪府に相談する。 2.(2)アについて (御意見等) 特になし (取組等) 本市では「あいサポート運動」を通じて障がい理解の普及に取り組んでいる。 2.(2)イについて (御意見等) 特になし (取組等) 特になし p11 2.(3)について (御意見等) 特になし 3.について (御意見等) 特になし (以上)