資料3 基本方針改正に関するヒアリング項目(事業者団体等) p1 本年5月に成立した障害者差別解消法の一部改正法の施行に向けて、今後「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)を改定することとしております。その検討に当たりましては、関係団体の方からヒアリングを実施したいと考えております。 ついては、基本方針改定の観点から、以下の各設問につき、御意見・事例等の御回答をよろしくお願いいたします。 1. 行政機関及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項について (1)不当な差別的取扱いについて (参照・別紙1 現行法第8条第1項関係、別紙2 基本方針第2の1、2関係) 1 不当な差別的取扱いについて ア 障害者に対する不当な差別的取扱いの考え方について、現行の基本方針の記載において、分かりにくい点や追加すべき点はありますか。 また、「不当な差別的取扱い」に関連して現場で実際に起きた事例などはありますか。 イ 障害者に対する不当な差別的取扱いとして、いわゆる、「間接差別」、「関連差別」、「複合差別」、「ハラスメント」についても差別の概念に含まれるものとすべきとの意見がありますが、これらについて、現場で実際に起きた事例などはありますか。 また、これらについて、差別の概念に含まれるものとすべきとの意見については、どのように考えますか。 (参考)いわゆる間接差別等については、わが国では定まった定義はありませんが、ここでは、以下のようなものを指します(いずれも国連障害者権利委員会の一般的意見に記載されている定義及び例示から抜粋。なお、例示の中には、我が国では障害者差別解消法ではなく、障害者雇用促進法の対象となる雇用分野に係るものも含まれております。)。 p2 間接差別・表向きは中立的であるように見える規定、方針又は実践が、不均衡に不利な影響をもたらすこと。 (例1)ある学校が読みやすい形式の書籍を提供していない場合、知的障害者は、規則上はその学校に通うことは可能でも、実際には別の学校に通うことが必要になる場合。 (例2)移動能力に制約がある就職希望者が面接に臨むことを認められたものの、その面接会場が、エレベーターのないビルの2階にあるオフィスとなっている場合。 関連差別・障害者と関連のある人々に向けられる差別。 (例)障害のある子供を持つ親が、障害のある子供の介護により仕事に従事しにくいことへの懸念を理由に、採用選考において差別を受ける場合。 複合差別・二つ以上の根拠に基づく差別であり、複合的になることで一層悪化するもの。 (例)障害のある女性に対して、障害のある女性は障害のある子供を産むと決めつけて、出産を思いとどまらせたり、妨げたりする場合。 ハラスメント・ある者の尊厳を侵害すること、若しくは、威圧的、敵対的、屈辱的、侮辱的又は攻撃的な環境を生じさせる不適切な行為。 (例)(障害に基づく)いじめ、暴力、虐待及び搾取等 2 正当な理由の判断について ア 障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供をやむを得ず拒否する場合には、「正当な理由」があることが必要です。この「正当な理由」の判断の考え方について、現行の基本方針の記載で、わかりにくい点や追加すべき点はありますか。 また、「正当な理由」に関連して現場で実際に起きた事例はありますか。 イ 「正当な理由」があると判断し、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供をやむを得ずに拒否する場合、現行の基本方針では、「障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るように努めることが望ましい」とされていますが、正当な理由の説明に当たり、実際に対応に苦慮した事例又は好事例などはありますか。 ウ 基本方針に、「正当な理由」について、事業者側において根拠を交えて説明することや、証拠となる資料を求められた場合には応じることを追記すべきとの意見については、どのように考えますか。 エ 「正当な理由」の説明に当たって、障害者側と、事業者側との双方の建設的対話を行うためには、どのようなことが必要であると考えますか。 また、参考となる事例はありますか。 p3 (2)合理的配慮の提供について (参照・別紙1 改正法第8条第2項関係、別紙2 基本方針第2の1、3関係) ア 障害者に対する合理的配慮の範囲や過重な負担の考え方について、現行の基本方針の記載で、分かりにくい点や追加すべき点はありますか。 また、「合理的な配慮」や「過重な負担」の考え方に関連して、現場で実際に起きた事例などはありますか。 イ 障害のある女性や子供は、障害に加えて、性別や年齢等により、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があるとされています。 複合的に困難な状況に置かれている障害のある女性や子供への性別や年齢、状態等に配慮して行われる合理的配慮の事例について、現場で想定される事例又は実際に対応に苦慮した事例、好事例などはありますか。 ウ 事業者が「過重な負担」があると判断し、障害者側の求める合理的配慮を提供することができない場合、現行の基本方針では「事業者は、過重な負担にあたると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。」とされていますが、過重な負担の説明に当たり、現場で実際に対応に苦慮した事例又は好事例などはありますか。 エ 基本方針に、「過重な負担」について、事業者側において根拠を交えて説明することや、証拠となる資料を求められた場合には応じることを追記すべきとの意見については、どのように考えますか。 オ 合理的配慮の提供に当たって、障害者側と、事業者側との双方の建設的対話を行うためには、どのようなことが必要であると考えますか。 また、参考となる事例などはありますか。 2. 国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項について (参照・別紙1 改正法第6条第2項第4号、第14条関係、別紙2 基本方針第5の2、3、4、5関係) p4 (1)障害を理由とする差別に関する相談体制について 事業者としては、行政機関等の相談窓口では、どのようなサービスや支援を受けたいと思いますか。また、相談するにあたって、心配なことなどはありますか。 (2)障害を理由とする差別に関する啓発活動、事例の提供等について。 ア 事業者としては、どのような啓発活動があれば、障害を理由とする差別の解消に役立つと考えますか。 イ 事例の提供に関しては、どのような形で事例の提供があれば、事業者の対応に活用しやすいですか。 3. その他 その他基本方針の改定に当たり検討すべき点などがあればお聞かせください。 p5 別紙1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)※現行 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を(作業者注・下線開始)するように努めなければならない。(作業者注・下線ここまで) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)※改正後 第6条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。 一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 (作業者注・下線開始)四 国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項(作業者注・下線ここまで) (作業者注・下線開始)五(作業者注・下線ここまで) その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第8条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮を(作業者注・下線開始)しなければならない。(作業者注・下線ここまで) (相談及び紛争の防止等のための体制の整備) 第14条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう(作業者注・下線開始)人材の育成及び確保のための措置その他の(作業者注・下線ここまで)必要な体制の整備を図るものとする。 p6 別紙2 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定) 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項 1. 法の対象範囲 (1)障害者 対象となる障害者は、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、即ち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれる。 また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する。 (2)事業者 対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人を除く。)であり、目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者である。したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となる。 (3)対象分野 法は、日常生活及び社会生活全般に係る分野が広く対象となる。ただし、行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされている。 2. 不当な差別的取扱い (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。 なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。 p7 イ したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 (2)正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。行政機関等及び事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例・安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 3. 合理的配慮 (1)合理的配慮の基本的な考え方 ア 権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。 法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。 p8 イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「(2)過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 現時点における一例としては、 車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮 筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮 障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更 などが挙げられる。合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。内閣府及び関係行政機関は、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとする。 なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。 ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。 また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。 また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備(「第5」において後述)を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。 p9 (2)過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 費用・負担の程度 事務・事業規模 財政・財務状況 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 1.(略) 2. 相談及び紛争の防止等のための体制の整備 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要であり、相談等に対応する際には、障害者の性別、年齢、状態等に配慮することが重要である。法は、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図ることとしており、国及び地方公共団体においては、相談窓口を明確にするとともに、相談や紛争解決などに対応する職員の業務の明確化・専門性の向上などを図ることにより、障害者差別の解消の推進に資する体制を整備するものとする。内閣府においては、相談及び紛争の防止等に関する機関の情報について収集・整理し、ホームページへの掲載等により情報提供を行うものとする。 3. 啓発活動 障害者差別については、国民一人ひとりの障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りに起因する面が大きいと考えられることから、内閣府を中心に、関係行政機関と連携して、各種啓発活動に積極的に取り組み、国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。 (1)行政機関等における職員に対する研修 行政機関等においては、所属する職員一人ひとりが障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、法の趣旨の周知徹底、障害者から話を聞く機会を設けるなどの各種研修等を実施することにより、職員の障害に関する理解の促進を図るものとする。 (2)事業者における研修 事業者においては、障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進に努めるものとする。 p10 (3)地域住民等に対する啓発活動 ア 障害者差別が、本人のみならず、その家族等にも深い影響を及ぼすことを、国民一人ひとりが認識するとともに、法の趣旨について理解を深めることが不可欠であり、また、障害者からの働きかけによる建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう、障害者も含め、広く周知・啓発を行うことが重要である。 内閣府を中心に、関係省庁、地方公共団体、事業者、障害者団体、マスメディア等の多様な主体との連携により、インターネットを活用した情報提供、ポスターの掲示、パンフレットの作成・配布、法の説明会やシンポジウム等の開催など、多様な媒体を用いた周知・啓発活動に積極的に取り組む。 イ 障害のある児童生徒が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害のない児童生徒と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する。障害のない児童生徒の保護者に対する働きかけも重要である。 ウ 国は、グループホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して、周辺住民の同意を求める必要がないことを十分に周知するとともに、地方公共団体においては、当該認可等に際して、周辺住民の同意を求める必要がないことに留意しつつ、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うことが望ましい。 4. (略) 5. 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 (1)情報の収集、整理及び提供 本法を効果的に運用していくため、内閣府においては、行政機関等による協力や協議会との連携などにより、個人情報の保護等に配慮しつつ、国内における具体例や裁判例等を収集・整理するものとする。あわせて、海外の法制度や差別解消のための取組に係る調査研究等を通じ、権利条約に基づき設置された、障害者の権利に関する委員会を始めとする国際的な動向や情報の集積を図るものとする。これらの成果については、障害者白書や内閣府ホームページ等を通じて、広く国民に提供するものとする。 (2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等 技術の進展、社会情勢の変化等は、特に、合理的配慮について、その内容、程度等に大きな進展をもたらし、また、実施に伴う負担を軽減し得るものであり、法の施行後においては、こうした動向や、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例の集積等を踏まえるとともに、国際的な動向も勘案しつつ、必要に応じて、基本方針、対応要領及び対応指針を見直し、適時、充実を図るものとする。 p11 法の施行後3年を経過した時点における法の施行状況に係る検討の際には、障害者政策委員会における障害者差別の解消も含めた障害者基本計画の実施状況に係る監視の結果も踏まえて、基本方針についても併せて所要の検討を行うものとする。基本方針の見直しに当たっては、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。対応要領、対応指針の見直しに当たっても、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 なお、各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨や、技術の進展、社会情勢の変化等を踏まえ、適宜、必要な見直しを検討するものとする。