資料4 基本方針改定に係る事業者団体等からの意見一覧(前半ヒアリング分) 目次 一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会・・・・・・・1 公益社団法人 日本バス協会・・・・・・・・・・・・・・・4 定期航空協会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 一般社団法人 日本地下鉄協会・・・・・・・・・・・・・・13 一般社団法人 日本民営鉄道協会・・・・・・・・・・・・・21 一般社団法人 日本旅行業協会・・・・・・・・・・・・・・27 一般社団法人 全国児童発達支援協議会・・・・・・・・・・31 p1 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 一般社団法人 全国ハイヤー・タクシー連合会 1.(1)1 アについて (御意見等) (事例等)車いすのお客様が乗降時、スロープ等設置に時間がかかるため乗車拒否した。その後、自動車メーカーに改善を要望し、スロープ板等の4回の改良を行った。 電動車いすのお客様は乗車できないと思い乗車拒否をしてしまい行政処分を受けた。 車いすの利用者がユニバーサルデザインタクシーを利用する際、乗降の対価として追加的な料金を収受する行為があり、特定の旅客に対し、不当な差別的取扱いをしてはならない行為に該当すると国土交通省から指摘を受けた。 1.(1)1 イについて (事例等)特になし (御意見等)(空欄) 1.(1)2 アについて (御意見等)特になし (事例等)特になし 1.(1)2 イについて (事例等) (作業者注・下線開始)タクシー乗務員自身が身体障がい者の場合、求められた介助について対応できないことがある。(作業者注・下線ここまで) 昭和49年2月の第二種運転免許取得の条件緩和によりタクシー乗務員として勤務している身体障がい者がいるが、車イスユーザーから輸送の申し込みを受けた場合、UD車によるスロープ乗車の介助や座席への移乗お手伝い・トランクへの車椅子積み込みなど、求めに応じられない・または著しい危険を伴い断念せざるを得ない場合がある。正当な理由として説明する際、四肢欠損による義肢使用など視覚情報のみで理解される場合もあるが、内部障害など外見から分からないと受け入れられるのは困難である。 とは言えほとんどの場合、乗客に対し口頭で障がい者であることを伝えたり障害者手帳を提示するなどすれば理解され、また健常のお客様の多くは自らトランクへの荷物の積み込みを申し出られるなどするが、一部に「サービス提供が困難な障がい者がタクシー乗務員として勤務することを否定する」発言があったとも聞く。 p2 これらは障がい者乗務員に限らず、高齢の乗務員が多いタクシー業界において腰痛などによる一時的(または慢性的)に、また小柄な乗務員など体力的にサービス提供が困難な場合にも、口頭で説明しても「正当な理由」として受け入れられにくく、電動車いすでのスロープ乗車の申し出を受け、本人の練習不足もあるが作業中に指を骨折した事例もあると聞く。 なお、タクシーにおいては一部に障がい者対応を拒もうとする乗務員がいるのも残念ながら現実だが、義足の障がい者乗務員が工夫してスロープ乗車に対応したり、トランクへの車椅子積み込みを片手のみで努力する上肢欠損の乗務員がいるなど、必ずしもサービス提供を拒んでいるのではないことは明るい情報である。 (作業者注・下線開始)大型車イスの横向き乗車時の危険性を理解いただく説明について(作業者注・下線ここまで) JPNタクシーで横向き乗車しか選択肢がない場合、その危険性について説明し理解いただくことになるが、「とにかくサッサと走れ」となってしまいそれを受け入れざるを得ず、また説明行為が乗車を拒絶していると受け取られてしまうリスクもある。 そもそもタクシー乗務員は多種多様で、相手に理解を得られるように説明することを苦手とする人も多く存在するのが乗務員雇用の現状で、社内教育に解決をゆだねるのは難しい。前向き・シートベルト使用に比べて明らかに安全性が低下する乗車方法は、お客様の理解があって初めて成立すると考え、簡単なリーフレットを乗客に手渡しして最低限の説明とする方法を検討する必要がある。 サービス提供者側に大きな負担を与えても当然であり、それが自分たちに住みよい社会を形成すると考える障がい者もおり、障がい者側にも合理的配慮とは何かを理解して頂けるようにしたいところだ。 1.(1)2 ウについて (御意見等)特になし 1.(1)2 エについて (御意見等)特になし (事例等)特になし 1.(2)アについて (御意見等)交通事業者が行う合理的配慮とは?具体例をお願いしたい。 交通事業者はどこまで合理的配慮をするのか? 1.(2)イについて (事例等)特になし 1.(2)ウについて (空欄) p3 1.(2)エについて (御意見等)交通事業者に対し、わかりやすい資料の作成をお願いします。 1.(2)オについて (御意見等)特になし (事例等)特になし 2.(1)について (御意見等)全国に相談窓口の開設と連絡先等の一覧表の作成をお願いします。 都道府県単位での説明会の実施をお願いします。 事業者又は協会が開催する研修に支援措置をお願いします。 2.(2)アについて (御意見等)特になし 2.(2)イについて (御意見等)特になし 3.について (意見等) 現行の努力義務から義務について (作業者注・以降へ矢印)事業者に過度な負担及び罰則の無いようにお願いします。 (以上) p4 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 公益社団法人 日本バス協会 1.(1)1 アについて (意見等) (2)正当な理由の判断の視点の例として、安全の確保等を記載いただいている点は、事業者・障がい者にとって良いことと認識している。しかし、車いす等の器具装置がバスの乗車に耐えうるものかどうかの客観的な基準が設定されていないため、事業者とお客様との間に認識の差が生じご理解を得ることに苦慮している。 例えば、公的機関の認証制度のような仕組みを構築していただくことで、双方の理解が進みより安心してご利用できると考える。 (事例等) 1 固定困難な車いす等での乗車を希望される場合やお客様ご自身が車いす等に固定装置を付加されている場合等は、運行の安全の確認ができないためご利用をお断りしているが、お客様のご理解を得ることに非常に苦慮している。 2 車いすで乗車されるお客様に対して、乗車場所と時間を予め電話でお知らせいただくことに協力を求めていることに対し、差別的であるとのご意見をいただいたことがある。すべての車両がバリフリ対応でないこと、車いすスペースの折り畳み席に座っている一般客への対応が必要など、スムーズに車いす乗車に対応するために、あくまで協力をお願いしていると説明したことがある。 1.(1)1 イについて (事例等) ご利用を希望される区間において、道路幅員・傾斜などの道路環境によって乗降スロープの安全確保が出来ない場合があるため、ご利用区間の変更をお願いせざるを得ない場合がある。 (意見等) 1 公道を使用する以上、事業者のハード・ソフト対策のみでは限界があるため、法の趣旨に則り、地方公共団体に対して引き続き助言指導を行っていただきたい。 2 差別の概念に含まれるのであれば、基本方針の中で明確にする必要があると思う。 p5 1.(1)2 アについて (意見等) 経済的な視点についても検討いただければと考える。 (事例等) 少子高齢化、コロナの影響で収益が悪化し、車両の代替を抑制せざるを得ないため、ノンステップ率の向上が困難となっている。 1.(1)2 イについて (事例等) 固定することができない車いす等での利用をお断りする理由として、やむを得ず急ハンドル・急ブレーキが発生した場合、固定することができない車いす等は、転倒や飛び出すリスクがあり、当事者だけでなく他のお客様も負傷されることが想定されるが、お客様は一般的にそのような場面を経験することがまれであるため、この理由についての事業者からの説明に対して、ご理解をいただくことに苦慮している。 1.(1)2 ウについて (意見等) 1 安全性を理由に乗車をお断りする場合、急ハンドル・急ブレーキによる危険性の証明を行うことは、一事業者が行うことは困難であるため、国が主導的に公的機関等を活用して客観的な根拠や証拠となる資料を作成いただきたい。 2 「障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう」と記載があるので、根拠を交えた説明など理解を得られるための対応についても含みがあると読めるので、特に追記が必要とは考えない。 1.(1)2 エについて (意見等) 1 障がい者、事業者相互参加型のバリアフリー教室などを継続的に行い、理解を深めることが建設的な対話を行うためには最も必要と考える。 2 場合によっては仲介役が必要と考える。 (事例等) 障がい当事者及び各支援団体にご協力いただき、バス車両を使用した研修会を行っている。 p6 1.(2)アについて (意見等) 過重な負担の基本的な考え方として、費用・負担の程度が判断基準の一例として記載されているが、国が主導する施策に対して上記考え方が適用されるのか・適用されないのか非常に分かりにくく思われる(例えば、真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組4項目(障害者用ICカードの導入、特急車両における車椅子用フリースペースの導入、ウェブによる乗車船券等の予約・決済の実現(マイナポータルとの連携を含む)、精神障害者割引の導入促進)には、事業者にとって非常に負担の大きい項目がある)。 仮に適用されない場合、基本的な考え方に全く基づかない判断基準となってしまうかと思う。また、このような場合の負担割合(国及び地方自治体等による公助がなされるのか)の考え方も必要になってこようかと思う。 (事例等) 特になし 1.(2)イについて (事例等) 特になし 1.(2)ウについて (事例等) 特になし 1.(2)エについて (意見等) 1 「1.(1)2 ウ」と同様。なお、合理的配慮の内容はその時々に応じて変わり得るので、客観的な根拠や証拠のハードルは一層ハードルが上がると考える。 2 「障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう」と記載があるので、根拠を交えた説明など理解を得られるための対応についても含みがあると読めるので、特に追記が必要とは考えない。 p7 1.(2)オについて (意見等) 1 「1.(1)2 エ」と同様。 2 場合によっては仲介役が必要と考える。 (事例等) 「1.(1)2 エ」と同様。 2.(1)について (御意見等) 1 障がいをお持ちの方・障がいをお持ちでない方にかかわらず、公共交通事業者として最優先しなければならないことは運行の安全である。役務の提供に関して設備・機器が整っている場合であっても、運行の安全確保の観点から役務の提供ができないと判断せざるを得なかった場合、行政機関等の相談窓口において、事業者としての運行上の判断等がどの程度考慮されるのか憂慮している(客観的な基準が設定されていない、あるいはできないため)。 2 紛争解決への支援や仲介、類似事案の解決策の情報提供に期待する。 2.(2)アについて (意見等) 行政機関等、事業者においては研修で一定の取り組みがなされていると思われるが、地域住民等に対する啓発活動については、基本方針第5「3(3)ア」において多様な媒体を用いた周知・啓発活動の記載はあるものの、参加(体験)型の記載はないように思われる。全体観点からとなるが、参加(体験)型の啓発活動等の記載があればより良いかと考える。 2.(2)イについて (意見等) 1 自治体が開催するバリアフリー協議会等に事業者も参加しているので、そのような場で情報・事例提供していただくのも一つの方法かと思う。 2 業種ごとに的を絞った形式での事例提供が望ましい。 p8 3.について (意見等) 1 基本方針では、地域住民等(国民)に対する啓発活動の規定はあるものの、地域住民等の行動(対応)そのものに係る記載がないように思われる。 公共交通事業者においては運行中の対応が乗務員一人にならざるを得ない状況が多々あるが、一人で対応可能な範囲には限りがあるうえ、事業者においては地域交通維持のために人員を含めて効率化せざるを得ない状況にあり、人的にも経済的にも限界がある。 啓発活動等により地域住民等に更なる心のバリアフリーの浸透を図っていただき、障がいのある方を社会全体で支えあっていく状況の更なる醸成を図ったうえで、例えば、乗務員だけで役務の提供が困難な場合、(1)事業者(乗務員)はその場に居合わせる地域住民等(国民)に役務の提供の手助けを求めることができる旨、(2)求められた地域住民等(国民)はこれに応じる努力義務がある旨、等の記載があってもよいのではと考える。 障がいをお持ちの方に対する福祉施策は、本来であれば国および地方自治体において行われるべきものであると考える。例えば、真の共生社会実現に向けた新たなバリアフリーの取組のなかには、割引運賃の導入促進に係る項目があるが、運賃割引に伴う差額分(割引相当分)の負担(公助・共助)の問題が解決されないまま、この種の議論がなされることを憂慮している。 上記キーワードになっている「共生社会」の実現に向け、今後割引運賃(既存のものも含む)の議論がなされる場合は、単なる事業者の運賃割引として捉えるのではなく、負担割合(国及び地方自治体等による公助等)の観点も取り入れた議論がなされることを切望する。 また、公共交通事業者がバリアフリー対応設備の導入・改修等に関する費用について、社会全体で支えあっていく共助の観点から、運賃への転嫁(加算)ができる仕組みの構築について合わせて議論に挙げていただければと思う。 2 乗合バス事業において、過去より障害者割引を当然のように適用しているが、差別解消の推進とともに、その在り方も見直す必要が出てくると思う。 また、障害者への優遇が過度である場合、障害者でない人から不満が出ることのないよう配慮する必要も出てくると思う。 (以上) p9 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 定期航空協会 1.(1)1 アについて (御意見等) 障害の程度や利用する補助具・機器の確認に時間を要したり、旅客に対して繰り返し質問をしたりすることがあるが、正当な理由があれば、このような行為は差別的取扱いではない旨、追記することを検討頂きたい。 「なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。」の記載により、前段の文章「障害者の権利利益を侵害することを禁止している」ことについて一定程度緩和しており、また、「イ」においても、正当な理由があれば、その限りではないという解釈が成り立つものの、前段の文章の「禁止」の大原則について与える印象が強いため、車椅子等のお客様に対する、時間に余裕を持った搭乗手続きのお願い等が否定される懸念がある。 「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより」の表現が分かりにくいため見直して頂きたい。 (事例等) 電動車椅子のバッテリーの種類や医療機器など、航空輸送の安全に関わる情報をお客様ご自身が把握されていないケースが見受けられる。 大型の電動車椅子は物理的に航空機の搭載スペースを超える場合があり、当該航空機に搭載できずに、搭乗をお断りする(または便を変更していただく)ことがある。 介助者の同行や空港への早めの到着を求めること、諸手続きにお待ち頂くケースへの不満の声を頂くことがある。 1.(1)1 イについて (御意見等) 差別の概念として含めることは入り口から否定はしないものの、これらの概念が「障害者に対する不当な差別的取扱い」に組み込まれることにより、具体的に事業者に対してどのような影響が生じるか、については把握しておくべきであり、慎重に検討する必要がある。 p10 1.(1)2 アについて (空欄) 1.(1)2 イについて (事例等) 航空機内で、障害当事者の至近距離に一般旅客がいる場合もあるため、障害当事者へのプライバシーに配慮をしながら、正当な理由等を説明することが困難なケースがある。 1.(1)2 ウについて (御意見等) 必要に応じて証拠となる資料の提示について判断をしていくが、「証拠となる資料の提示」を促す記載は、旅客からの安易な資料提出や開示要求につながりかねない懸念がある。社外秘の情報も含まれているため、一概に全ての資料を提示することは困難であり、運航等の事業運営に支障をきたす可能性もあるため、追記は控えて頂きたい。 1.(1)2 エについて (御意見等) 障害者と事業者は相互理解に努めた上で、コミュニケーションを図りながら歩み寄る姿勢で対話を行うべきである。また、双方で「できること」と「できないこと」を事前に明確にしておく必要がある。 (事例等) 予約段階での事前の申告内容と、搭乗日当日の旅客状況に乖離がある場合があり、苦慮するケースがある。 p11 1.(2)アについて (御意見等) 交通モードによって、かかる負担の度合いが異なるため、一律に負担を求められることがないような配慮をお願いしたい。基本方針に記載されている「事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないこと」や「過重な負担の基本的な考え方」に考慮すべき要素を記載して頂いているものの、よりわかりやすい表現(具体的に例を挙げるなど)として頂きたい。 (事例等)(空欄) 1.(2)イについて (空欄) 1.(2)ウについて (事例等) 過度な負担としてお断りするケースというよりも、「過重な負担」に値するにも関わらず、現場では対応を実施しているケースがある。例えば、お客様の排泄のお手伝いや、食事のお手伝いのような、事業者として義務が生じないことに対しても、お客様の要望や現場の判断で実施していることがある。 1.(2)エについて (御意見等) 必要に応じて証拠となる資料の提示について判断をしていくが、「証拠となる資料の提示」を促す記載は、旅客からの安易な資料提出や開示要求につながりかねない懸念がある。社外秘の情報も含まれているため、一概に全ての資料を提示することは困難であり、運航等の事業運営に支障をきたす可能性もあるため、追記は控えて頂きたい。 1.(2)オについて (御意見等) 障害者と事業者は相互理解に努めた上で、コミュニケーションを図りながら歩み寄る姿勢で対話を行うべきである。また、双方で「できること」と「できないこと」を事前に明確にしておく必要がある。 (事例等)(空欄) p12 (「2.(1)」から「2.(2)ア」まで空欄) 2.(2)イについて (御意見等) 「国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針」においても、今回のヒアリング事項に則した形で具体的事例等を追加することが望ましい。 3.について (御意見等) 対応指針では合理的配慮の事例が充実しているが、差別的取扱いに該当するケースの事例が非常に少ないと感じる。事業者の判断基準とするために、差別的取扱いに該当するケースの事例の充実が必要。 ユニバーサルデザインは社会的な課題・責任であり、国と事業者が一体となって課題解決を図っていくべきである。具体的には、ユニバーサルデザインに対する補助金の充実、事業者に対する相談窓口の拡充等が必要。 新型コロナウイルス感染症対策において、マスク着用が困難な障害者の方々は緊急事態発生(減圧)時に酸素マスクを着用出来るのかが疑問。着用出来ない場合において、客室乗務員はどの様に対応したら良いのか、緊急事態発生時の障害者への合理的配慮の事例があると対応の参考になる。 お客様と事業者の双方の歩み寄りが、より良い社会・安心して暮らせる社会へと変化すると考える。時として障害者であることを盾にして無謀な要求を受けることがあるのも事実。事業者としては障害者であることを出されてしまうと、立場が弱くなり対応に苦慮している。事業者側が障害者の方を理解しようとしていることと同様に、障害者の方にも事業者側の努力を理解して頂けるような啓発活動を実施して頂けるとありがたい。 p13 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 一般社団法人 日本地下鉄協会 1.(1)1 アについて (御意見等) 特にありません。 (事例等) 特にありません。 1.(1)1 イについて (事例等) エレベーター更新工事中、チェアメイトを使用することでご不便をかけた。 (御意見等) 結果として、当事者が不当な取扱いを受けていると感じるのであれば、差別の概念に含まれるものとすべきと考えます。 1.(1)2 アについて (御意見等) 特にありません。 (事例等) 朝のラッシュ時間帯に、白杖をお持ちのお客様に、車いすでタクシー乗り場まで送るよう依頼された。駅事務室の係員が一名だったため、お断りした。 「その目的に照らしてやむを得ない」と言うことができる業種別の具体例などを随時更新していただけると、統一的な判断の考え方ができると考えます。 車椅子をご利用のお客様から、列車の発車直前にご乗車のお申し出を受けましたが、案内準備にお時間をいただくため、ご希望の列車ではなく次の列車(15分後)にご乗車いただく事がございました。 車いす利用者の乗車介助の際、「乗車前に事前の降車駅への連絡が必要である」旨を説明しても理解していただけず、「降車駅へ連絡中に乗車駅停車中の列車が発車した場合、降車駅への連絡がとれないと乗車できないのであれば、障害者差別解消法違反ではないのか?」との苦情を受けた。 p14 1.(1)2 イについて (事例等) 朝のラッシュ時間帯に、白杖をお持ちのお客様に、車いすでタクシー乗り場まで送るよう依頼されたが、駅事務室の係員が一名だったため、お断りした事例について、理由を説明しても、納得していただけなかった。 お客様センターを設置し、障害を持った方を含むお客様からの苦情や意見を一元的に収集、集約しています。いただいた意見等は担当部門に迅速に引継ぎ、必要なものに対しては速やかに調査・対応しています。また、内容に応じて局内に周知を行い、類似の苦情等の再発防止を図っています。今後も引き続きこうした取り組みを行っていきます。 車椅子をご利用のお客様から、列車の発車直前にご乗車のお申し出を受け、案内準備にお時間をいただくため、ご希望の列車ではなく次の列車(15分後)にご乗車いただいた事例について、列車の定時運行にご理解をいただくことに苦慮いたしました。 車いす利用者の乗車介助の際、「乗車前に事前の降車駅への連絡が必要である」旨を説明しても理解していただけず、「降車駅へ連絡中に乗車駅停車中の列車が発車した場合、降車駅への連絡がとれないと乗車できないのであれば、障害者差別解消法違反ではないのか?」との苦情を受けた事例において、あくまでも合理的配慮(車イス利用者の安全を確保するための連絡)であり、通常のサービスの提供の拒否や条件を付けることではないことを説明しても理解していただけない。 1.(1)2 ウについて (御意見等) 現場判断に寄るところが多いため、記載方法については配慮いただきたい。 過度な事務的負担となる、またそれにより超過勤務に係る人件費等が大きく発生するなど事務運営に著しい支障を生じない範囲において、可能な限り対応すべきものと考えます。 「過度な要望でない場合は、可能な限り」という前提で追記しても良いと思う。 根拠があるのであれば、それを交えて説明することは必要と思われます。証拠となる資料を求められた場合には、公表可能な資料の提供が前提になると考えます。 ご説明に際し、理解を求めるために資料を用いることは考えられますが、求めがあれば必須とする記載ではなく、できるだけ求めに応じるような記載が望ましいと考えます。 根拠を交えて説明することは必要と思われますが、証拠となる資料の提示は難しいと思われます。 「根拠となる資料を求められた場合に応じること」を追記すると、全ての事案で求められれば資料で対応することになり、事業者にとって過度な負担になる。口頭での説明も認めるなどの除外規定を設けてほしい。 p15 1.(1)2 エについて (御意見等) 利用者側と事業者側とでお互いの主張(期待値など)が平行線にならないよう、両者間で理解の齟齬が生じないような共通理解を持つことが必要だと思います。 接遇・傾聴に徹し相手方の御意見を否定せず、極力受け止め尊重した上でお客様と接することが重要と考えます。 意見交換会の場を設け、オフィシャルな場で対話を行うこと。 具体的な事例や一定の基準のようなものがあると、事業者側・障害者側ともに話し合いがやりやすいと考えます。 事業者側が建設的に考え丁寧に説明することは当然だが、障害者側も、事業者が提供しているサービスに係る前提(注1)については、理解(注2)していただく必要がある。 (注1 職員への暴力やセクハラの禁止など、障害の有無に関わらず許されない行動がある(社会的常識)。) (注2 「許されない行動に対する拒否」と「差別的取り扱いに該当する拒否」を混同している方がいる。合理的配慮の具体的な記載は、障害の程度に応じて検討するため難しいが、許されない行動の記載は可能だと思うので、具体的に明示してもらいたい。) 自己の利益だけを求めるごく一部の障害者の行動により、事業者側が委縮することで、障害者と事業者の建設的会話が阻害され、共生社会実現が遅れてしまう。 (事例等) 車いすをご利用のお客様の乗降介助の際、発車サイン音が鳴っていたため、安全のため次の電車をご案内した。 当局では、障害者団体からの要望等に対し、対話による意見交換を行うなど、適切に対応しています。今後も引き続きこうした取り組みを行っていきます。 車イス利用者が介助申出をせず、改札口を通過したのちホームにおいて乗車できなかったことに立腹し、駅員に暴力を振るい警察へ連絡することとなった。 視覚障害のお客さま介助において、介助職員が女性と判明すると明らかに触ってくる場所がおかしくなった。 p16 1.(2)アについて (御意見等) 鉄道事業者の負担が過大とならないように、障害者、介助者(家族など)、他の利用者も「協力する又は努める」旨を追加してほしい。 (事例等) 他鉄道に乗換えるお客様から、バッテリーがもったいないとの理由で、電動車いすの電源を切った状態で乗換え先の改札口まで押すよう要望された。 女性専用車両には女性のお客様のほか、お身体の不自由なお客様もご利用いただけますが、外見からは判断しづらい障がいをお持ちの男性旅客がご乗車される場合に、同乗の女性旅客からご意見をいただくことがございます。 車イス利用者が介助の申出をせず、改札口を通過したのちホームにおいて乗車できなかったことに立腹し、駅員に暴力を振るい警察へ連絡することとなった(再掲)。介助依頼の申出がなくても介助を期待されるのは過重な負担となる。 お客さまから「電車車内において、歩き回る、奇声を発する等に対する苦情、障害者に介助者がついていながら静止しないことに対する苦情」を交通事業者に申し出られる。本来は、介助者(家族など)の責任であり、全てを交通事業者が調整することは過度な負担となる。 車椅子のお客さま介助において、毎回特定の職員を指定し、「車いすの座り位置を抱きかかえてずらしてほしい」と頼んでくることは、過度な負担となる。 1.(2)イについて (事例等) 車いすをご利用の女性のお客様について、降車駅を乗務員に伝えるためのアナウンスを、今後廃止する方向で検討・調整している。 子供の障害者の場合など、わかりやすい説明が難しく、例えば、割引乗車券のルールを理解してもらうところまでは難しい。 1.(2)ウについて (事例等) 出入口が複数ある駅において、各出入り口にエレベーターを設置するよう要望された。 人件費等予算の事情から、駅務員の勤務仕業数に限りがあることをお伝えする際に、対応に苦慮する場面がございます。(予算がないのは事業者側の都合であることから) 終電を待つ車イス利用者がホーム上に虫を見つけ立腹し「始末するまで乗車しない」と言い出し、さらに駅員に対して降車駅まで同乗(乗車)するように要求した。駅員は拒否したが結果として終電車の出発が遅れた。さらに、降車駅において乗車駅で対応した駅員へ降車駅に来るように要求。さらに自宅までのタクシー代を要求した。対応した職員に対して暴言を吐くとともに退駅を拒み、警察へ連絡することとなった。 p17 1.(2)エについて (御意見等) 現場判断に寄るところが多いため、記載方法については配慮いただきたい。 「1.(1)2 ウ」同様に、過度な事務的負担となる、またそれにより超過勤務に係る人件費等が大きく発生するなど事務運営に著しい支障を生じない範囲において、可能な限り対応すべきものと考えます。 「過度な要望でない場合は、可能な限り」という前提で追記しても良いと思う。 根拠があるのであれば、それを交えて説明することは必要と思われます。証拠となる資料を求められた場合には、公表可能な資料の提供が前提になると考えます。 ご説明に際し、理解を求めるために資料を用いることは考えられますが、求めがあれば必須とする記載ではなく、出来るだけ求めに応じるような記載が望ましいと考えます。 根拠を交えて説明することは必要と思われますが、証拠となる資料の提示は難しいと思われます。 「根拠となる資料を求められた場合に応じること」を追記すると、全ての事案で求められれば資料で対応することになり、事業者にとって過度な負担になる。口頭での説明も認めるなどの除外規定を設けてほしい(再掲)。 1.(2)オについて (御意見等) 利用者側と事業者側とでお互いの主張(期待値など)が平行線にならないよう、どこまでが対応可能なのか、過重な負担の考え方について両者間で理解の齟齬が生じないような共通理解を持つことが必要だと思います。 「1.(1)2 エ」の設問同様、接遇に徹した上で、相手方との意思疎通が困難である場合でも丁寧な説明を行い、根気強くご理解をいただくよう努めることが重要と考えます。 意見交換会の場を設け、オフィシャルな場で対話を行うこと。 具体的な事例や一定の基準のようなものがあると、事業者側・障害者側ともに話し合いがやりやすいと考えます。 障がいをお持ちのお客様をご案内する際に、そのお客様のご要望が安全面において不十分な状態になる虞がある場合、その点について十分に協議する必要があると思われます。 合理的配慮についての提供に当たって、建設的対話を行うためには、事業者だけでなく障害者やその家族、他の利用者にも前提条件である合理的配慮に関する正しい理解が必要となる。 p18 (事例等) 当局では、障害者団体からの要望等に対し、対話による意見交換を行うなど、適切に対応しています。今後も引き続きこうした取り組みを行っていきます。 1 障がい当事者団体より、駅係員が車椅子、視覚障害をお持ちのお客様の列車への乗降をお手伝いする際に、乗務員への情報伝達のためにアナウンスを用いることで、他の利用者に聞かれ、車椅子利用者等に対する痴漢行為、ストーカー行為につながった事例の説明を聞く機会があり、アナウンスによる取扱い禁止の要望を受けました。 駅のアナウンスによる取扱いは、乗降時に乗務員との意思疎通を図ることによる安全確保を目的としており、アナウンスが禁止ということになれば、お客様には車掌側の車両のみでの乗降となることも考えられます。 2 車椅子をご利用のお客様から、ご乗車されたい列車の発車間際にお申し出を受け、次の列車へのご案内をお願いいたしましたが、お客様はご希望の列車にご乗車されたい旨を主張され、その対応に苦慮したことがございました。 車いす利用者の乗車介助の際、「乗車前に事前の降車駅への連絡が必要である」旨を説明しても理解していただけず、「降車駅へ連絡中に乗車駅停車中の列車が発車した場合、降車駅への連絡がとれないと乗車できないのであれば、障害者差別解消法違反ではないのか?」との苦情を受けた。あくまでも合理的配慮(車イス利用者の安全を確保するための連絡)であり、通常のサービスの提供の拒否や条件を付けることではないにも拘らず理解していただけない。(再掲) 2.(1)について (御意見等) 「基本方針」についての分かりやすい説明 「1(2)ア」にも関連するが、過重な負担に当たると判断し、その旨を説明するが、理解を得られない場合に、事業者として相談できる窓口、場合によっては、事業者に代わって説明してもらえる体制を望む。 業務マニュアルの作成・改定や内部研修を実施する際に、内容の妥当性等について助言をいただく体制があると有難いです。 中立的な立場で解決策に関する助言をいただきたいです。 障害者側との話し合いが必要となった場合の助言等(正当な理由、過重な負担にあたるかなど。) 相談窓口には、中立的な立場から障害者や事業者からの話を聞いてもらいたい。 p19 2.(2)アについて (御意見等) ポスター掲出等 鉄道事業においては、駅構内・車内などお客様の目につくポスター、デジタルサイネージなどの媒体により、インパクトがありかつ分かりやすい内容であるものが良いと感じます。 他事業者での好事例を紹介頂くことで、自分の組織のレベルがどれくらいなのかを把握できると、取り組み強化や見直しのきっかけになる可能性がある。 引き続きポスターの掲出や動画の放映、パンフレットの配布等を通じて、お客様に対して、粘り強く啓発を行っていくことが望ましいと考えます。 また、個々の鉄道事業者の取り組みだけでなく、鉄道事業者が連携して広範囲に啓発活動を行うことが効果的と考えます。 ポスターなどによる間接的な啓発に留まらない、直接接して交流するような機会がもう少しあるといいと考えます。 知的障がいをお持ちのお客様が列車内で大きな声を上げる等の行動により、同乗のお客様より苦情をいただくケースがございますので、同乗のお客様に対して一定の理解を得られるような啓発活動が必要であると考えます。 現行の啓発活動(掲示物等)を根気強く継続すること。 2.(2)イについて (御意見等) 「障害者差別解消法の第何条に該当する」などと明記された冊子 各障がいの特性(肢体不自由者、聴覚障がい者、視覚障がい者など)に応じた場面ごとに事例があると分かりやすいと思います。 公共交通機関編など、関連が強そうな分野での事例をまとめたものを半年や1年毎にデータで共有頂く。 事業者の規模や立地、運営体制などによって対応が異なる場合もあることから、そうした背景がわかる形で事例を提供いただけると、より活用しやすいと考えます。 メールや資料送付等による他、セミナーや講演等により直接お話をお聞きする機会がもう少しあるといいと考えます。 差別的取扱いの事例だけでなく、費用・負担の程度から解消に至らないケース等についても、業種等カテゴリーごとに事例を提供していただきたい。 各事業所においてきめ細やかな対応ができるよう、事務局等で把握している小さな事例についても可能な限り共有していただきたい。 p20 3.について (御意見等) 曖昧な表現を避けていただきたい。 法改正の趣旨について、社会的障壁を取り除くこと、障害者も含めた国民一人一人がそれぞれの立場において自発的に取り組むとあるが、事業者側の社会障壁排除のための努力(合理的差別)に対して障害者やその家族、他の一般利用者の協力について一切記載がされていない。 共生社会の実現を目指すのであれば、障害者やその家族、他の一般利用者についても法の趣旨の理解、事業者が行う説明に対して理解するように努めてもらうことが必要となる。 (以上) p21 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 一般社団法人 日本民営鉄道協会 1.(1)1 アについて (御意見等) 不当な差別的取扱いに当たらない具体例の追記。 事業者及び障害者双方にとって客観的・合理的な判断基準を追記すべき。 「正当な理由」に相当する具体的な内容を、例として基本方針に記載してほしい。 (事例等) 特になし 1.(1)1 イについて (事例等) 特になし (御意見等) ガイドライン等で差別内容を具体的・客観的に定義して限定解釈できる法体系が必要。 差別の概念に含める場合は各事業者の事業運営に過度の制約を与える可能性があることを留意いただきたい。義務化するのは難しい。 1.(1)2 アについて (御意見等) 正当な理由についての判断基準及び具体例の追記。 「正当な理由の判断の視点」として、従業員の安全確保や損害(労災)発生などについて明確な判断基準がないため、どこまでが正当な理由になるのか知りたい。 「正当な理由の判断の視点」について、鉄道事業者は安全の確保を最優先に業務を遂行しているため、正当な理由(安全の確保)からお客様のご要望に添えない場合があるが、お客様によってはご理解を求めたとしても差別的取扱いと受け止められてしまう恐れがあり、正当な理由の説明への理解については、現行の取扱い通りとすべきと考えている。 (事例等) 降車駅での準備ができていないため当該列車へ乗車できない旨を説明しても納得いただけない場合がある。 早朝深夜時間帯に駅係員が無配置駅に自転車で向かう際の交通事故を懸念する 輸送障害後の運転再開時は列車混雑のため、車椅子スペースが確保出来ない場合がある。また、安全のため一時お待ちいただく場合がある。 無人時間帯がある駅において、車椅子をご使用のお客さまが事前連絡なしに急遽来駅されたときに、係員が到着するまでお待ちいただくケースがある。 対応する係員が少数の場合、車椅子のお客様等が転落負傷する可能性がある。 p22 1.(1)2 イについて (事例等) 事故時の対応にご理解いただけない場合がある。 エレベーター等の定期点検時、他駅から駅係員の応援を要請したが、お客様は待ちきれず立ち去ってしまった。このため、定期点検の予定日を掲出しているが周知が行き届かず苦慮している。 ハンドル型車椅子のお客様に利用不可能な特急列車についてご理解を得るのに苦慮した。 ご希望の列車が発車する直前に来駅される場合、安全上の理由から次の列車をご利用いただくようご案内することがあるが、ご本人が納得されないケースがある。 1.(1)2 ウについて (御意見等) 資料を用いて説明すべきかについては、事業者側が判断する事であり、基本方針に定める性質のものではないと考える。また、「正当な理由の判断」は、その事業者の事情(設備面、人材面等)によって変わるものもあり、提供した資料によって、事業者それぞれの事情を超えた判断材料になる懸念があり、追記は望ましくないと考える。 やむを得ずサービスの提供を拒否する場合、お客様への説明は必須と考えるが、お客様にご納得いただけない場合、対応が長時間に亘り、駅係員にとって大きな負担になることを懸念している。 基本方針には「客観的に見て」という記載があるため、事業者が正当な理由と考えていても、相手方にとっては正当な理由として受け入れられるかどうか疑問である。 1.(1)2 エについて (御意見等) 障害者全体の意見調整を行い、事業者側と建設的な対話・調整を行う窓口等があることが望ましいと考える。 各事業者の対応に大きな差異が発生しないように意見調整や対応状況を取りまとめて共有することが望ましいと考える。 一方的な事情を双方から主張するのではなく、これまでの経緯等を踏まえたうえで、相互理解を深めることが必要であることはもちろんのこと、国や自治体等も含めた中での対話のあり方が重要ではないかと考える。 p23 どこまでが「差別的取扱い」で、どこからが「過重な負担」に当たるのか、受け手により線引きが異なることのないよう、「このような事例は不当な差別的取扱いで、このような事例は過重な負担に当たる」など、基本方針にできる限り具体的な事例を明記しておくことが肝要と考える。 各種障害者団体と事業者による対話機会を設けることにより、障害者の方の「考え方」「要望」等を事業者が詳細に把握し、自社社員に展開していく。そうすることで、実際に現場係員が障害者の方と対応する際、建設的対話に繋がると考える。 (事例等) 社内の施設を利用した盲導犬講習会や、障がい者の方から鉄道利用の際のご意見をお伺いする機会を年に1度設け、実施し、ご意見をお伺いしていなければ気づけなかった事象などご案内方法の参考にできる事例が多くあり、貴重な機会となっている。 保護者懇談会、就労支援センターの巡回を実施している。 1.(2)アについて (御意見等) 合理的配慮についてはサービスの提供等、努力義務として事業者に過重な負担とならない範囲で行うと理解していたが、義務化され、合理的配慮自体に範囲が設けられた場合、事業者ごとにできる範疇を超える事案が発生するのではないかと懸念する。 過重な負担であるか否かの判断基準については、今後何らかしらの形で示されるのか。 現場運営に支障が出るような要求に対する拒否も、不当な差別的取扱いに該当しないものと認識してよいか。また、このような要求は、過重な負担の基本的な考え方(別紙3.6ページ)に記載されている5項目に含まれているか。 合理的配慮の履行に際し、他業務や駅員の派遣など、要員上の制約から時間を要する場合があることをご留意頂きたい。 「合理的配慮」は「過重な負担」がない場合において義務化されることになるので、この「過重な負担」が事業者判断である以上、努力義務と義務化の違いがどのようになるのか分かりません。 「事業者が実施可能な範囲内での対応」と明確に解釈できる内容を追記することが安全配慮上及び事業継続上必要である。 「合理的配慮」「過重な負担」について、事業者側の主張を理解していただけない場合の事業者としての瑕疵の有無を追記。また、「合理的配慮」「過重な負担」共に事業者による見識の相違を無くすため、詳細な具体例を追記。 p24 (事例等) 視覚に障害のあるお客さまをホームにお連れする際に、当該のお客さまよりホーム上の売店でジュース、サンドイッチ等を購入するよう依頼をされ、係員は対応をしているが、配慮すべき事案なのか悩ましいという声が上がっている。 駅構外へお客様の荷物を運搬するなど、業務外にあたる事象への強要。 障がいをお持ちのお客さまをご案内する際、改札までのご案内を行っているが、お客さまの中には、他会社への改札までご案内を求められる方もいるが、駅構外での事故等の責任を持てないことから断っている。 1.(2)イについて (事例等) 障がいをお持ちの子供さまが、ホームで電車を何本も見ておりその際、お客さまが安全に電車を見れるように係員が付き添った。 各駅単独勤務を基本としており、障害のある女性のお手洗い等のお手伝いの際、男性社員しか現場にいないため、お手伝いの判断についての苦慮が想定される。 「他のお客さまから付きまとわれるケース」もあるので、可能な限り、乗務員の目の届く範囲での乗車や混雑した車両を避ける案内配慮が必要と想定される。 1.(2)ウについて (事例等) 駅構外へお客様の荷物を運搬するなど、業務外にあたる事象への強要。 歩行に障害のあるお客さまが降車された際に、他社線への乗り換え改札口まで行くため駅備付の車椅子貸し出しによる介助の申し出があった場合は、要員や実作業に余裕があるときは応じていたが、乗り換えまでの間に店舗での買い物やバス乗り場までのご案内を強要され、やむを得ず対応したところ、買い物は20分程度を要し、バス乗り場の動線途中には横断歩道を通過することとなった。このため「過重な負担」があると判断し、対応が長時間となったことや、構内管理外での事故リスク等をご説明したが、なかなか理解を得られず、繰り返しご説明するなど対応に苦慮した。 車いす利用の旅客より、駅構内の旅客用トイレ(多目的)を利用する際、駅係員へトイレ内での排泄の手伝いを頼まれ判断に悩み、苦慮したケースがある。 車イスをご利用のお客さまの身内の方から「本人を車で駅前ロータリーまで送るので、迎えに来てほしい」と言われたが、「我々のお手伝いは電車を安全にご利用頂くためのお手伝いですので、改札口まではお付き添いの方でお願いできますか」とお伝えしたところ、「仕事で忙しくて改札口まで行けないから頼んでいる」等、ご納得されずに対応に苦慮した。 p25 1.(2)エについて (御意見等) 根拠を交えての説明は可能な限り実施する必要があると考える、根拠となる資料の提示は、すべての事象が規程化されていないことから、状況によって難しいと考える。 説明が必要なのは分かるが、すべてに明確な根拠や証拠を用意することは困難なため、追記についてはご配慮いただきたい。 「事業者が実施可能な範囲内での対応」と明確に解釈できる内容を追記することが安全配慮上及び事業継続上必要であると考えている。 1.(2)オについて (御意見等) 定期的な情報共有できる場を設ける必要がある。また、事業者側としてもできる限り代替案の提案をするが、障害者側もお困りの状況を具体的にご相談いただくとともに、代替案に耳を傾けていただく必要がある。 基本方針にできる限り具体的な事例を明記しておくことが肝要と考える。 国や自治体等も含めた中での対話のあり方が重要ではないかと考える。 作業環境や仕事の実情と障がい者本人の状況について、保護者や就労支援センターが把握し、建設的な対話ができる環境を相互に醸成しておく必要があると考える。 各事業者の対応に大きな差異が発生しないように意見調整や対応状況を取りまとめて共有することが望ましいと考える。 人的サポートを必要とする障害者の皆様のご利用に対しては最大限配慮して運営していることをご理解いただきたい。 鉄道事業者側ができる限りの対応を行ってご利用をお待ちしていることについてご理解いただきたい。 (事例等) 定期的に意見交換の申出のあった障害者団体様と意見交換の場を設けている。 2.(1)について (御意見等) 不当な差別的取扱いや正当な理由の判断などについて、障害者等からの問い合わせに対する相談や、情報共有して頂ける体制を整えて頂きたい。 「不当な差別的取扱い」「正当な理由」「合理的配慮」「過重な負担」等について相談した際、適確な説明及び指示をお願いしたい。また、「間接差別」「関連差別」「複合差別」等についても相談可能としていただきたい。 p26 2.(2)アについて (御意見等) 障害を理由とする差別に当たる日常生活での事例を紹介する形の啓発活動をすることで健常者への呼びかけを行う。 ハード整備について、行政からも補助金を出して、事業者と一体で環境の整備に努めるという啓発活動が考えられます。 一般のお客様に対する啓発(テレビCMやポスター作成など)やボランティアの積極的な活用等についてご検討いただきたい。 すべての人がお互いに尊重し合い助け合う心のバリアフリーをどう築くかが課題であり、障害者差別解消法の認知度が十分ではないため、事例を交え講座や研修会を通じて、周知・啓発が必要である。 2.(2)イについて (御意見等) 基本方針においてはなるべく多くの具体的な事例を記載いただきたい。 ケーススタディの形でご提供いただければ活用しやすい。 データ(POF、パワーポイント) この法令に関する具体的な事例をホームページ上で記載する。 3.について (御意見等) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う状況から、各交通事業者は例外なく厳しい収益悪化状況となっている。また、今後についても新しい生活様式の定着から厳しい状況は更に続くものと考えられる。このような中で、各事業者共にコスト削減・効率化の推進を行っているところであるが、本基本方針改定がこうした各事業者の効率化に対する足かせとならないようにご配慮いただいたうえで、障害者に対する差別解消に向けた検討をお願いしたい。 (以上) p27 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 一般社団法人 日本旅行業協会 1.(1)1 アについて (御意見等) 特にございません(「対応指針」においても説明がなされており、敢えて追記すべき点は無いものと考えます。)。 (事例等) 特にございません。 1.(1)1 イについて (事例等) 特にございません。 (御意見等) 特にございません。 1.(1)2 アについて (御意見等) 特にございません(「対応指針」においても説明がなされており、敢えて追記すべき点は無いものと考えます。)。 (事例等) お客様から、障害の状況や必要とする条件、措置について、ツアー(募集型企画旅行)の申込み時に何らの申告もなかったにもかかわらず、旅行開始日の集合時にお客様が車椅子をご利用されており、介助者の同行も無いことが判明する事例があった。このような場合には、旅行業者は事前に運送機関等における対応の可否や旅程への影響の有無などを確認することが出来ないことからやむを得ずツアーへの参加を拒否したり、旅程の一部に制限を加えることになる。 1.(1)2 イについて (事例等) 特にございません。 p28 1.(1)2 ウについて (御意見等) 正当な理由の証拠となる資料を求められた場合にはこれに応じることを追記すると、例えば、お客様によっては頻繁に証拠資料の提出をお求めになる、又は証拠書類にご納得を得られない場合の苦情が想定されるなど、円滑な旅行業務の遂行に支障が生ずる懸念があることから、追記することには反対致します。 1.(1)2 エについて (御意見等) 対話により相互理解を深めていくことが必要であると考えます。 (事例等) 特にございません。 1.(2)アについて (御意見等) 特にございませんが、敢えて追記するとすれば、障害者から現に社会的障壁の除去を必要とする意思の表明についてはどのような配慮や措置を希望するのかを具体的に示すように努めていただくことを追加するのは有意義であると考えます。 (事例等) お客様に、運送機関等から安全確保のために確認を依頼されたお客様の車椅子に関する情報についてお伺いをしても、「以前大丈夫だった」などと回答するのみで個別具体的なヒアリングに応じていただけないなど合理的配慮をする上での情報提供にご協力をいただけない事例がときどき発生する。 1.(2)イについて (事例等) 特にございません。 1.(2)ウについて (事例等) 特にございません。 p29 1.(2)エについて (御意見等) 証拠となる資料を求められた場合にはこれに応じることを追記すると、例えば、お客様によっては頻繁に証拠資料の提出をお求めになる、又は証拠書類にご納得を得られない場合の苦情が想定されるなど、旅行業者にとって過重な負担となる懸念があることから。追記することには反対致します。 1.(2)オについて (御意見等) 対話により相互理解を深めていくことが必要であると考えます。 (事例等) 特にございません。 2.(1)について (御意見等) 合理的配慮に関する個別具体的なアドバイスなどのサービスを希望いたします。 2.(2)アについて (御意見等) 「心のバリアフリー」(障害の社会モデル)への理解促進が差別の解消に役立つものと思います。 2.(2)イについて (御意見等) 「ニューノーマル」(障害者や高齢者のほかコロナ禍収束後の新しい知見などを踏まえた生活様式)に対応した事例をWebなどで公開いただけると活用しやすいと思います。 p30 3.について (御意見等) 「基本方針」はあくまで政府としての基本的な方向を示すものであり、記述内容には法改正により追加された事項の基本的な方向を追記する程度の増加に留めることが妥当であると考えます(実務において事業者は、「対応指針」やこれに基づいて作成された業界のガイドラインなどを遵守しており、詳細はこれらに委ねることが妥当ではないかと考えます。)。 (以上) p31 基本方針に関する御意見等(資料3ヒアリング項目への回答) 団体名 一般社団法人 全国児童発達支援協議会 1.(1)1 アについて (御意見等) 「障害者(児童福祉法第4条第2項に規定する「障害児」を含む)」と表記すべき 「障害者」の定義には「障害児」も含まれているが、一般的には理解されにくいため、障害児が含まれることを明記すべきである。障害児の場合、その保護者とセットにされやすいが、子どもを一人の人格として尊重する立場を明らかにするべきである。なお、子どもの場合、障害が確定していない段階での差別についても明記すべき。 (事例等) 元々身体障害者手帳1級であった子どもが、学校での給食中の事故により、寝たきりになり、人工呼吸器も装着、声を出すことや笑顔を見せることすらできなくなった。事故等によって実質的な生活障害(「社会における様々な障壁と相対することによって生ずる障害」)が重度化したにもかかわらず、障害等級が変わらないために保険が適用されなかった(校内での怪我等の補償「日本スポーツ振興センター法(2002年)」)。なお、そのご家族は、現在も長時間の介護を余儀なくされている。 1.(1)1 イについて (御意見等) 「障害児」の場合、保護者や家族が間接的に差別を受ける場合も多く、保護者や家族への不当な差別取扱いも含まれるものとすべきである。「間接差別」や「関連差別」も明記すべきである。 (事例等) 知的障害等を伴わない発達障害のある子どもが増加している中、学校教育法施行令第二十二条の三により、特別支援学校に入学ができない子ども達がいる。 幼稚園に在籍する障害児の両親は、地元の小学校と特別支援学校を見学した上で、特別支援学校への入学を選択したが、母親は「自分の子どものこと(他害や言語発達に遅れ)で先生や他の児童に迷惑をかけたくない」、「地域と離れるのはつらいが、支援学級の体制を考えるとパニックで他児にケガを負わせてしまう」といった他者への配慮を優先した結果であった。 p32 保護者の願いで一般の小学校に通学することになった重症心身障害児だが、学力が合わないということから授業中は放って置かれる。また、その介護は保護者がしている。 障害児を育てる場合、通院頻度、通所支援のための送迎・同行、役所への申請書の手続き等、通常の子育てよりも遥かに多くの時間を割かれる。同僚からは「有給休暇を利用してばかりいる」という目で見られる。 きょうだいの学校行事があり、障害のあるわが子を一時預かりを依頼したが、職員体制を組めないという理由で断られた。そのため、きょうだいの学校行事の参加を断念した。 1.(1)2 アについて(空欄) 1.(1)2 イについて(空欄) 1.(1)2 ウについて(空欄) 1.(1)2 エについて 「正当な理由」に関して 「正当な理由」は差別をする側の事情で判断されるが、差別を受ける側の当事者にとっては正当も不当もない。そのため、困っている状況を共有し、解決策を一緒に考える視点を加える。 (事例等) 公立幼稚園側のカリキュラム、行事等への参加等の指導に馴染めず、保護者、幼稚園、通所事業者にて、当該児童の関わりと配慮について話し合いを重ねたが、結果的に「園の教育方針に従えない」という理由で、「保護者による自主的退園」の手続きとなった。それに至る内容や手続きに関して、市役所の担当課に事実確認を求めたが公開されることはなかった。 (御意見等) 説明については、根拠や実態を交えて説明すべき。ただし、障害児が困っている状況を共有し、解決策を一緒に考えるという立ち位置が重要であり、事業所側の「証拠」や「理由」に関する資料の説明から行なうべきではない。また、学校や事業所は、結論ありきの(意図的な)会議の場を設定し、保護者の承認を得るような進め方をするべきでない。 1.(2)アについて(空欄) p33 1.(2)イについて (御意見等) 児童憲章ならびに児童権利宣言、児童権利条約に則った、子どもの「最善の利益」と「意思表明」の重要性について明記すべき。 「合理的配慮」という言葉が一般的には理解され難く、概念が伝わらない。 「合理的配慮」は障害者の意向が始点となるが、障害児の場合、養育責任のある保護者の意向が優先される事が多いため、障害児本人の意向を優先することを明記する必要がある。 障害児の場合、保護者、関係者、環境等に依存することが多く、複合的な困難さが生じやすい。成長発達にともなう本人の状況を長期的に見守る必要があるため、選択した時点ではその選択が最良だったのかの判断がつかない。つまり、社会参加という視点だけでなく、心を含む成長発達という視点が不可欠であることに留意が必要である。 保護者が我が子の養育の一義的な責任者であるため、本人の代弁者としてだけでなく養育責任者として最終的な決断する事も多いことから、第三者の行政、福祉、医療等の関係者による客観性の担保が必要となる。障害児の立場で意見表明されるように適切な助言が受けられる仕組みが必要である。 (事例等) 通常学級での一斉授業で、他児童とは違う教材・機器の使用が認められず、障害特性に適した学習環境が設定できないという事例は多い。一方で保護者や福祉・医療関係者等が、膨大な時間と労力を費やし、学校側に説明し、最終的に教室への持ち込みと使用が認められるケースもある。電動車いすやコミュニケーション機器に関しても同様である。 1.(2)ウについて (事例等) 「過重な負担」の説明は、そもそも合理的配慮をしない側のできない理屈の説明である。合理的配慮をしてもらえない側からすれば、泣き寝入りを強いられている印象を受けるだけである。今はできなくても、今後どうしたらできるようになるのかといった見込みや見通し、改善の方向性を示さないと、障害児およびその家族は傷つくだけであり、無力感からその後意思を表明する意欲を削がれることになる。 1.(2)エについて (御意見等) 「1.(1)2 ウ」についてと同じ p34 1.(2)オについて (御意見等) 自立支援協議会はもとより、設置が必要とされている協議会において、不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供の事例(好事例を含む)の報告を義務化し、公表する取り組みが必要である。 合理的配慮は、画一的ではなく、人の生活・営みのすべてを話題として、継続的に話し合う場が必要である。 行政は、連絡調整を行う窓口的な役割を担う機関として、行政の担当を明確化し、周知した上で、不当な差別的な取り扱いの事実の有無、合理的配慮について、定期的に対話する機会を設定する必要がある。また、諸手続きで対応する行政担当者が、当事者を理解するには困難であることを前提に、当事者の事をよく知る第三者(相談支援専門員等)と協議する体制が必要である。 進学に関しては、対人面で支援が必要な場合と学習面での配慮が必要なケースがある。特に学習面については、学校側の裁量になるので国としても柔軟な方向性を示す必要がある。更に高等学校については、公立が受入れ体制を整え、高等教育をうける機会を保障する必要がある。 障害児の場合、教育・福祉双方に係る場合も多いため、行政が調整を図ることが肝要である。また、発達期である「子ども」が過ごす時間は非常に貴重で、かつ時期も限られているため、時間の経過により希望していた合理的配慮が不要になってしまう事も少なくない。よって、スピーディーに解決を図れる仕組みが必要である。 (根拠となる事例) うまくいった(いっている)事例 (1)普通学級に入学した重度自閉症の児童の両親は、行動力があり、周囲への影響力もあった。子どもが夜間定時制高校に進学するにあたって、学校側は学力面だけに注視せず柔軟に対応することで入学できた。親の説明(説得)力の違いで可否が分かれることが多い事例でもある。 (2)気管切開のため、たん吸引が必要な障害児の就学相談の結果、教育委員会は、自宅から自家用車で1時間以上かかる「特別支援学校の病弱児学級への入学が適」との判断をくだした。本人と家族は、兄と同様の地域小学校への入学を強く希望し、教育委員会との会議を数回行った。その際、児童発達支援センターも介入し情報提供を行なった。入学直前の3月に条件付(母親が通学及び授業中も付き添う事)での地域小学校への入学が認められた。決定までの間、本児は「学校に行けないかもしれない」と不安な日々を過ごした。母親が学校に同行することで希望が叶った事例でもあり、本来ならば地域の学校に通えるように専門職を配置するなどの体制が必要であろう。 p35 (3)自立支援協議会に本人部会を設置している千葉県浦安市では、その参加方法に配慮を行うことで、建設的対話の場で障害者が意見を表明しやすいような配慮をしている。例えば、本人部会の委員が誰であるかは公開せず、また本人部会から自立支援協議会への提案は誰の意見か特定できないような配慮がなされている。 (4)福岡県小郡市の自立支援協議会では、設置当初に障害種別ごとの当事者によるケーススタディを行ない、病気や障害による生活障害について、学習する場を設けて疑問の解決や障害の理解を深め、当事者を含めた組織作りを目指している。 うまくいかなかった事例 (1)重度自閉症の生徒が、日中定時制高校への入学を希望して受験申込を行ったが、合理的配慮ができないとの理由で受験を断られた。現在放課後等デイサービスの利用もできないまま在宅浪人中。通信制の私立高校も受入不可。学校側の理解の問題と入試(入口での降り分けの機会)が問題ではないか。 (2)新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、厚労省より事業運営に関する弾力的な取り扱いに関する通知が出されたが、その内容が学校関係者に周知がされておらず、休校中の学校職員、学校施設の借り受けに関する具体的な対話を進めるには至らなかった。 2.(1)について (御意見等) 当事者が「差別」を認知できる支援の体制強化 障害のある子どもは、社会経験の少なさからどういうことが差別に当たるのか、合理的配慮とは何かをそもそもわからない可能性がある。中途障害や障害のある大人との違いがあるためである。社会や周囲に迷惑をかけていると考える保護者や家族も同様である。 虐待と同じで、当事者が申し出ているかどうかだけを始点とするのではなく、行為として不当な差別的取扱いや合理的配慮の不提供を判断できるようにすることも重要である。 相談後の対応ガイドラインの策定 統一されたチェックリストや質問紙を用いて、「差別」の芽を発見できる機会を定期的に行なう取り組みが必要である ガイドライン策定を含めた組織的対応の体制を整備すべきである。 p36 地域の通常学級に入学させたいと考える保護者と障害児への対応 保護者の意向をどう扱うかに焦点があてられることが多い。また、意向を聞く前に、ハード面、人員面の条件で「無理」と判断する自治体も少なからずあると聞く。 子ども自身の意向、希望を誰が聞き取り、代弁するか。その内容の確認を相互に行う体制の構築が必要である。 相談に応ずる人材の育成に関して 障害者への差別のみならず、他のマイノリティー(LGBT、外国人、難病、貧困など)への差別に関しての知識も持つ人材の育成が必要である。 啓蒙と啓発 教育と連携して、実体験を伴う、長期的かつ、継続的な取り組みが必要である。 自分達の生活と同じように生活上の困り感を共有する機会の場が必要である。 2.(2)アについて(空欄) 2.(2)イについて (御意見等) 重点目標を設定し、数値達成に向けた具体的取り組みの実施 (例) グループホームづくりを通して、地域課題を見直し、知的障害、精神障害の方が当たり前に過ごせる地域づくり等。 地域イベントに「福祉まつり」のような内容を積極的に包含する事で、当たり前の活動の参加の機会、啓発を行なう。障害に重点をおいた啓発活動は、無意識のうちに障害や福祉を分けることになる。 障害者差別解消支援地域協議会の機能強化 地域によって活動に差があるため、事例の収集を一律の活動に位置付け、具体的に実施(都道府県単位でのフィードバックを含む)。 協議会の役割として、業界団体や経済界等、広域にわたる啓発活動等の明確化。 法務局の権利擁護や労働基準監督署が所管する差別等、相談内容によっては連携・分担する内容も多く、システムをつくることが望ましい。 相談体制の明確化のための広報等 ホームページなどは、当事者も簡単に閲覧、確認できるような工夫が必要である。 p37 3.について (御意見等) 分かりやすい対応方法の周知 マニュアル通りには進まないが、学校や事業所等の具体的な対応事例集積により、もっと理解が深まるのではないか。 障害の有無、種別に関わらない全ての人への配慮 政府の委員会の資料に関して、障害者に限らずすべての人が理解しやすいよう文章と図表の両方を使い表現する取り組みにするべき。 基本方針の標記に関して 「行政機関等」を「行政及び教育機関等」への変更を検討して頂きたい。 国のパンフレットについて 中学生や高校生が自ら読んで理解できることを前提に作成していただきたい。将来、差別をする側になったり、合理的配慮を行う側になる可能性があり、学齢期から教育の一環として行うことが重要ではないか。 「合理的配慮」のわかりやすい表記 一般化された言葉での追記やわかりやすい周知を検討して頂きたい。 基本方針の記載から変更すべき点はないが、本件の取扱い(運用)についての意見 用語や文章が難解で、読み手により解釈が異なる事が危惧される。 正当な理由の視点やその判断について、子ども(利用者)本位ではない対応を余儀なくされることが多いことに留意すべき。 行政側が主導的に取り組むべき姿勢、取り組んでいる事例を明確に示す仕組みが必要である。 (以上)