資料6 障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解(案)(たたき台) 令和3年12月障害者政策委員会 p1 障害者政策委員会は、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて障害者の権利に関する条約(以下「障害者権利条約」という。)の国内実施状況の監視を担う機関としての役割を担っている。 障害者権利条約の国内実施状況に関する第1回政府報告の提出に当たっては、障害者政策委員会は「第3次障害者基本計画」の実施状況の監視を行い、その意見を「議論の整理」として取りまとめた。この「議論の整理」は、第1回政府報告の付属文書として国連に提出された。また、この中で、障害者政策委員会において特に重要なものとして選定された八つのテーマについては、第1回政府報告の本文においても、障害者政策委員会の意見が反映された。 国連障害者権利委員会による我が国の締約国審査に向けて、政府においては、国連障害者権利委員会からの「事前質問事項」への回答が作成されている。障害者政策委員会としては、この回答内容や第4次障害者基本計画の実施状況を踏まえ、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況や今後の課題について追加的な議論を行い、本見解を取りまとめることとした。 今回は、先般の第1回政府報告の提出に当たって障害者政策委員会が特に重要な分野として挙げた八分野を中心としつつ、政府報告提出後、特に進捗があったと考えられる第5条、第9条、第11条、第30条及び第33条を新たに追加して議論し、見解を取りまとめることとした。 p2 「個別分野の議論」 第5条 平等及び無差別 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 事業者に対し合理的配慮の提供を義務付けること等を主な内容とする「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、同年6月に公布された。 第6条 障害のある女子 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 令和2年5月、「災害対応力を強化する女性の視点 男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」が作成された。その作成に当たっては、女性の障害者団体へのヒアリング等を実施し、要配慮者への対応においても女性のニーズに配慮することや、災害対策本部の下に男女共同参画担当部局の職員を配置することの重要性を含めた。 また、同月には、同ガイドラインの内容を踏まえ、防災基本計画が修正された。ガイドライン及び防災基本計画の修正の内容について周知するため、男女共同参画局長と政策統括官(防災担当)の連名で、地方公共団体の男女共同参画担当部局と防災・危機管理担当部局に対する通知を発出した。また、都道府県及び政令指定都市の男女共同参画主管課長を対象とした会議等においてガイドラインの活用徹底を促した。 障害者を含む被害者支援に対応する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの設置について、各都道府県に最低一か所設置の成果目標(令和2年まで)を前倒しし、平成30年10月に全都道府県への設置が実現された。 また、「性犯罪・性暴力被害者支援のための交付金」を活用して、センターの安定的な運営が可能となるよう、各都道府県の実情に応じた取組の支援の充実が図られている。 さらに、「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」(令和2年6月11日性犯罪・性暴力対策強化のための関係府会議決定)に基づき、若年層や障害者を含む相談者が利用しやすいよう、多様な相談方法の提供を推進している。 p3 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 障害者権利条約第6条「障害のある女子」に対応するため、障害女性の視点からの記述及び統計を充実させるとともに、例えば、福祉施設での同性介助を標準化するなど、女性に重点を置いた政策立案を推進する必要がある。 また、国や地方公共団体の政策を決定する様々な審議会や有識者会議の委員構成については、ポジティブ・アクション(男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供すること)の取組が推進されており、政策委員会においても、こうした視点・取組が必要である。 第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ) 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 平成30年通常国会において、公共交通事業者等によるハード・ソフト一体的な取組の推進等を内容とする「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成三十年法律第三十二号)」が成立し、同年に公布され、平成31年4月に全面施行された。これに基づき、関係行政機関及び高齢者、障害者等、地方公共団体、施設設置管理者その他の関係者で構成する「移動等円滑化評価会議」を設置し、定期的に、移動等円滑化の進展の状況を把握・評価している。また、移動等円滑化評価会議の下部組織として、全国10のブロックにおいて分科会を設置し、地域における移動等円滑化の進展の状況を定期的に把握・評価している。 また、令和2年通常国会において、公共交通事業者等に対するソフト基準遵守義務の創設や公立小中学校及び旅客特定車両停留施設(バス等の旅客の乗降のための道路施設)をバリアフリー基準適合義務の対象に追加すること等を内容とする「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律(令和二年法律第二十八号)」が成立し、同年に公布され、令和3年4月に全面施行された。 p4 第11条 危険な状況及び人道上の緊急事態 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 令和2年5月、「災害対応力を強化する女性の視点 男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」が作成された。その作成に当たっては、女性の障害者団体へのヒアリング等を実施し、要配慮者への対応においても女性のニーズに配慮することや、災害対策本部の下に男女共同参画担当部局の職員を配置することの重要性が含まれた。 また、同月には、同ガイドラインの内容を踏まえ、防災基本計画が修正された。ガイドライン及び防災基本計画の修正の内容について周知するため、男女共同参画局長と政策統括官(防災担当)の連名で、地方公共団体の男女共同参画担当部局と防災・危機管理担当部局に対する通知が発出された。また、都道府県及び政令指定都市の男女共同参画主管課長を対象とした会議等においてガイドラインの活用徹底が促された。 第12条 法律の前にひとしく認められる権利 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 意思決定の支援及び法的能力の行使を支援する社会的枠組みの構築が急務である。また、成年後見制度のうち、特に代行型の枠組みである後見類型の運用に当たっては、最良の支援を提供しても、なお法的能力の行使が困難な場合に本人の権利と利益を守るための最終手段として利用されるべきものであり、かつ、代理人が本人に代わって意思決定をする場合にも、法の趣旨に則り、できる限り本人の意思を尊重するよう制度運用の改善を図る必要がある。 また、家庭裁判所の成年後見人の監督業務の負担の在り方についても課題がある。 p5 第14条 身体の自由及び安全 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 精神保健福祉法等の制度と運用については、医療保護入院についての規定である精神保健福祉法第33条の妥当性について再検証をする必要がある。精神科における患者の権利擁護のため家族や医療従事者から独立した権利擁護者の関与が不可欠である。 認知症も含め、本人の意思が反映されない入院の減少につなげていくことが大切であり、そのためにも、継続的に調査を実施した上で、最新の正確な統計に基づいて議論を行う必要がある。 第19条 自立した生活及び地域社会への受容 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 令和3年通常国会において、医療的ケア児支援センターの設置及び保育所及び学校における医療的ケアその他の支援等を内容とする「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和三年法律第八十一号)」が成立し、同年に施行された。 平成29年度より、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を進めるため、都道府県等自治体に対する補助事業である「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業」において、ピアサポートの活用やアウトリーチ支援等が実施されており、また、都道府県等自治体の取組を支援する委託事業「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築支援事業」が実施されている。 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 p6 医療的ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援については、地域によってサービスの水準や運用に差異があるなどして利用しづらかったり、保護者に過重な負担となったりしている。人間らしく生きるための24時間の医療的ケア保障、介護保障が必要である。 また、精神障害者の地域移行の支援については、精神科医療そのものの地域移行が必要である。精神科に入院している人の地域移行を考えるのと同時に、地域にいる精神障害者を訪問してサービスを提供すること等、精神障害者が地域で生活できるような資源を開発することが重要である。 第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 令和2年通常国会において、聴覚障害者等による電話の利用の円滑化を図るため、国等の責務及び総務大臣による基本方針の策定について定めるとともに、聴覚障害者等の電話による意思疎通を手話等により仲介する電話リレーサービスの提供の業務を行う者を指定し、当該指定を受けた者に対して交付金を交付するための制度を創設する等の措置を講ずること等を内容とする「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」(令和二年法律第五十三号)が成立し、同年12月1日に施行された。 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 情報提供や意思疎通支援をさらに充実することが求められる。様々なメディアや場面において、特に、緊急時の対応、個別性の高いコミュニケーション方法を用いる人たちへの対応、省庁横断的な対応に課題がある。 また、障害の多様性に対応したアクセシブルな教材の提供や行政情報のバリアフリー化に課題がある。 p7 第24条 教育 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 初等中等教育分野においては、障害のある子供の学びの充実に向け、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行うため、平成29年3月に公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律を改正し、小・中学校における通級による指導を担当する教師に係る定数の基礎定数化を行った。 また、平成30年度から、高等学校における通級による指導を制度化するとともに、高等学校の通級による指導に関する教員定数の加配措置を設けた。平成30年度以降順次施行されている小学校学習指導要領等において、特別支援学級に在籍する児童生徒や通級による指導を受ける児童生徒については個別の教育支援計画及び個別の指導計画を全員作成、活用することとしたとともに、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒等についても、関係機関との連携を図り、長期的な視点で児童生徒への教育的支援を行うために、個別の教育支援計画及び個別の指導計画を作成、活用することに努めることとしている。 さらに、通常の学級も含めた小中学校等に在籍する障害のある児童生徒等への支援として、学習又は生活上必要な支援等を行う特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置が拡充されているほか、医療的ケアのための看護師配置に係る財政的支援を充実し、外部人材の積極的な導入を行っている。小中学校等の教員の特別支援教育に関する専門性の向上を図るため、令和元年度から教員養成課程において特別支援教育に関する科目を一単位以上必修とするなど教師の専門性向上にも取り組んでいる。 高等教育分野においては、文部科学省内で「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第二次まとめ)」が平成29年3月にまとめられ、大学等に周知されるとともに、「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」による大学間連携等による障害学生支援体制の強化等が実施された。さらに、省内に設置した障害者活躍推進チームにおける検討を経て、「高等教育の学びの推進プラン」が令和2年7月に公表され、「障害のある学生の修学・就職支援促進事業」による障害学生支援の好事例やロールモデルの収集・展開等が行われている。 学校施設のバリアフリー化等を図る際の計画・設計上の留意事項を示した学校施設バリアフリー化推進指針を改訂するとともに、別途実施した学校施設におけるバリアフリー化の状況調査の結果をふまえつつ、公立小中学校等における令和7年度末までの整備目標を設定し、学校設置者に対し取組の加速を要請した。また、公立小中学校等のバリアフリー化工事に対する補助率を令和3年度より三分の一から二分の一に引き上げることとした。 p8 令和3年通常国会において、医療的ケア児支援センターの設置及び保育所及び学校における医療的ケアその他の支援等を内容とする「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(令和三年法律第八十一号)」が成立し、同年に施行された。 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 インクルーシブ教育を推進していくために、我が国が目指すべき到達点に関する議論、また、進捗状況を監視するための指標の開発とデータ収集が必要である。 また、具体的な課題として、個別の教育支援計画、個別の指導計画の実効性の担保、合理的配慮の充実、本人及び保護者の意思の尊重、特別支援教育支援員の配置や教育的ニーズに応じた教材の提供といった環境の整備などについて課題がある。 第27条 労働及び雇用 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 一般就労に伴う日常生活及び社会生活上の支援ニーズに対応できるよう、就職先企業・関係機関との連絡調整等の支援を一定期間にわたり実施する就労定着支援事業を平成30年4月に創設。 事業所数 1,367(令和3年3月) 利用者数 13,382(令和3年3月) 平成28年4月から、雇用分野において、事業主の障害者に対する差別禁止及び合理的配慮の提供が義務付けられ、「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等が策定されるとともに、紛争解決手続が整備された。 平成30年4月から、身体障害者、知的障害者に加え、精神障害者が雇用義務の対象に追加された。また、民間企業における法定雇用率は、平成28年4月時点において2.0%であったところ、平成30年4月から2.2%に引き上げられ、更に令和3年3月から2.3%に引き上げられている。 p9 平成28年6月時点において、民間企業の実雇用率は1.92%であったが、令和2年6月時点において2.15%となり、9年連続で過去最高となった。また、平成28年6月時点において、民間企業における雇用障害者数は474,374.0人であったが、令和2年6月時点において578,292.0人となり、17年連続で過去最高となった。 令和2年から、重度訪問介護、同行援護又は行動援護を利用する障害者に対する通勤支援や職場等における支援を行うため、障害者雇用納付金制度に基づく企業への助成金として「障害者介助等助成金」及び「重度障害者等通勤対策助成金」が拡充されるとともに、障害者総合支援法第77条に基づく市町村の地域生活支援事業として「雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業」が開始された。 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 障害者の雇用・就業の推進のためには、障害者や企業に対する支援の更なる充実をはかることや、改正障害者雇用促進法の趣旨や法に基づく「障害者差別禁止指針」及び「合理的配慮指針」等について情報提供し、着実に実施することが重要である。 第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 平成30年通常国会において、障害者による文化芸術活動の推進に関し、基本理念、基本計画の策定その他の基本となる事項を定めること等を内容とする「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律(平成三十年法律第四十七号)」が成立し、公布・施行された。これを受け、平成31年3月に文部科学大臣及び厚生労働大臣が基本計画を策定し、障害者による文化芸術活動の推進に関する施策をより総合的かつ計画的に推進された。 p10 令和元年通常国会において、視覚障害者等の読書環境の整備を総合的かつ計画的に推進するため、アクセシブルな書籍・電子書籍等の量的拡充・質の向上が図られること等を基本理念とする「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(令和元年法律第四十九号)」、通称「読書バリアフリー法」が成立し、同年6月に公布・施行された。令和2年7月には、同法第7条に基づき、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、文部科学大臣及び厚生労働大臣により共同で「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する基本的な計画」(通称:読書バリアフリー基本計画)が策定された。本計画の策定にあたっては、読書バリアフリー法第18条に基づき設置された協議の場における当事者団体や事業者団体等の関係者の意見聴取・議論を踏まえて策定された。 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機として、平成29年、様々な障害者団体等の参画を得て、ユニバーサルデザイン2020行動計画が策定された。これに基づいて様々な施策が進められ、障害当事者の意見を取り入れた新国立競技場の整備、二度にわたる「バリアフリー法」の改正、新しい学習指導要領を踏まえた小中学校における心のバリアフリーに関する授業の全面実施、一定規模以上のホテルにおけるバリアフリー客室の1%以上の整備義務化など、「心のバリアフリー」と「ユニバーサルデザインの街づくり」が大きく進展した。 第31条 統計及び資料の収集 障害者政策委員会は、以下の進展を認める(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 令和4年国民生活基礎調査から、国連障害者権利委員会がその利用について勧告しているワシントングループの設問により日常生活における機能制限の程度に関する状況を新たに把握することとしている。また、そこで得られた統計については、男女別、年齢別等に分解して、集計することとしている。 令和3年社会生活基本調査において、日常生活への支障の有無による生活時間の違いなどを把握することとしている。 障害者政策委員会は、以下の点を懸念する(注2 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告に記載された内容をそのまま記載したもの。)。 p11 障害者に関する政策の監視・評価に使える水準の統計が、国・地方公共団体ともに不足しており、日本の人口全体を対象とした調査の実施や男女別統計の実施を徹底すべきである。 第33条 国内における実施及び監視 障害者政策委員会としては、以下の取組を進めてきた(注1 以下は、議論のたたき台とするため、第1回政府報告の対象期間の後(平成28年3月以降)における我が国の取組の進捗状況について追記したもの。)。 政府報告の後の取組として、まず今般の建設的対話に向けては、障害者政策委員会において、本報告の提出を視野に入れて障害者基本計画(第4次)の実施状況についてフォローアップを行った上、令和3年(2021年)12月から、条約の実施状況をモニタリングする観点から改めて審議を行い、令和4年(2022年)(作業者注・空欄)月に、本文書を取りまとめた。 また、障害者政策委員会では、平成31(2019)年2月から、同法の施行3年経過後の見直しの検討を集中的に行い、令和2(2020)年6月に障害者政策委員会の意見を取りまとめた。(詳細は、付属文書2を参照。)これを受けて、内閣府において同年10月に事業者団体及び障害者団体へのヒアリングが行われた。これらも踏まえ、第5条にも記載したとおり、政府は、障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、改正法案を第204回通常国会に提出した。同法案は、衆議院及び参議院において、いずれも全会一致で可決され、令和3年5月28日に成立し、改正法として同年6月4日に公布された。 これを受けて、同改正法の施行準備の一環として、障害者差別解消法第6条第4項において「内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。」とされていることを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針の改定に向けた意見の取りまとめに向けて、審議を行っているところ。 p12 また、障害者政策委員会は、「障害者基本計画」の策定又は変更について意見を述べるほか、障害者基本計画についての調査審議、実施状況のモニタリングなどを行い、必要に応じて内閣総理大臣に対して意見を述べること等ができることとされており(同法第11条第4項及び第9項、第32条第2項)、障害者基本計画(第4次)の策定に当たっての意見取りまとめにおいては、各分野に共通する横断的視点として、条約の理念の尊重及び整合性の確保を掲げて、これを策定された。現在は、令和5年度を始期とする障害者基本計画(第5次)の策定に向けて、障害者政策委員会の意見を取りまとめるべく、審議を行っているところである。 以上