資料8 障害者基本計画(第5次)の検討に向けた意見の整理・課題等について(案) p1 I.総論部分 1.第4次障害者基本計画の実施状況を踏まえた委員会での主な意見 アクセシビリティに配慮した機器・サービス等の政府調達の推進について アクセシビリティを要件とした公共調達が必要と考える。 業務システムやICT機器等がアクセシビリティに対応していることによって、雇用された障害者が能力をいかんなく発揮できるという観点からも、公共調達するICT機器等にアクセシビリティ対応という要件を掲げることが重要。 日本版VPATを今後どのように活用していくのか。 各分野の施策に関するPDCAサイクルにおける当事者参画の推進について PDCAサイクルのチェック機能に当事者参加が実現している領域とそうでない領域についてそれぞれ確認したい。 障害当事者の参画について、各省庁職員や専門家だけで決めるのではなく必ず当事者も交えて発言の機会を確保してほしい。 心のバリアフリーの理解促進(社会モデルの考え方)について 「心のバリアフリー」に関する取組について、優しい気持ちで接することと捉えるだけの取組になっていないか(障害の社会モデルや人権モデルの考え方がどれだけ取り入れられているのか。)。 2.その他の考えられる課題等 総論に新たに項目を追加する、又は内容を充実させることが考えられる事項 条約の国内実施(国連障害者権利委員会による審査・勧告への対応) 各施策におけるPDCAサイクルの構築・実行の更なる推進 障害者差別解消法改正法の成立 東京オリンピック・パラリンピック競技大会の終了を踏まえたレガシーの継承(ポストオリパラ) デジタル化社会への対応(アクセシビリティの確保) 新型コロナウイルス感染症拡大と「新たな日常」への対応 持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現(SDGsの視点) p2 U.各論部分(第4次障害者基本計画の実施状況を踏まえた委員会での主な意見) (1)安全・安心な生活環境の整備(基本法第20、21条関係、条約第9、19、20、28条関係) 移動サービス利用の支援の在り方について(公共交通機関における精神障害者割引、通学・通勤時の同行援護や行動援護等) 公共交通機関における精神障害者割引の導入の促進に係る進捗状況はどうか。 通学・通勤での移動に不安のある障害者が同行援護や行動援護などの移動サービスを利用できるようにしてほしい。 東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとしてのバリアフリー施策の継続推進について 基本設計の段階からの当事者参画及び世界のバリアフリー整備基準を踏まえた「Tokyo2020アクセシビリティ・ガイドライン」の二つをオリパラ後も引き継ぐよう、バリアフリー法の義務基準にぜひ盛り込んでほしい。 バリアフリー基準適合義務の教育分野における拡大について バリアフリー基準適合義務を、公立の小中学校だけではなく、私立学校や高等教育諸学校にも拡大してほしい。 バリアフリー設備の老朽化対策について バリアフリー設備の老朽化対策にどのように取り組んでいくのか。 障害者に配慮したまちづくりの総合的な推進(国立公園のバリアフリー化、バリアフリー対応型信号機の設置等)について 国立公園のバリアフリー化を当事者参画の下で進めてほしい。 どのような種類の信号機か、どこに設置されているのか、バイブレーション付きの信号機をできれば増やしていただきたい。 設置場所の決定や信号機の機能を選択する際に、障害者の当事者参加をお願いしたい。 アクセシビリティに配慮した施設、製品(食品表示、ATM等)等の普及促進について 銀行のATMについては、ボタン式や点字式などの使いやすいものを設置してほしい。 缶詰や瓶等の食品について、賞味期限等に対するアクセシビリティはどこまで進んでいるか。 p3 (2)情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実(基本法第22条関係、条約第9、21、24条関係) 電話リレーサービス利活用の推進について キャッシュカードに関して、住所変更、名義変更その他の手続の中で、「本人ではない、代理人は認めない」ということで、なかなかアクセスできない。 クレジットカードなどの本人確認で電話リレーサービスを認める会社はどれくらいあるのか。 人権相談へのアクセス方法だが、みんなの人権110番ナビダイヤルは聴覚障害者は利用できず、またインターネットを通じた方法はインターネットができない人たちは利用できない。 0570で始まる電話番号だと電話リレーサービスを通じたアクセスができない。 電話リレーサービスを、盲ろう者にとっても使い勝手がよいように改善してほしい。 テレビ等放送における情報提供の充実等(解説放送、字幕、手話、シナリオ)について テレビの解説放送はどこまで拡大してきたのか。 盲ろう者にも分かる情報提供について検討してほしい。 音声認識技術の急速な進展を踏まえて、字幕放送の指針対象番組の拡大を検討する必要がある。 ICTを始めとした新たな技術を利活用する際のアクセシビリティへの配慮について(利活用時の当事者参画を含む) 障害の種類によってはサービスが利用できなくなる事態が生じているが、そうした場面におけるアクセシビリティについて、どのように改善しようとしているか。 キャッシュレスや緊急通報アプリのアクセシビリティ向上に係る取組状況を教えてほしい。 アプリについて、盲ろう者にも使えるよう、開発段階から関与させるべき。ワンタイムパスワードや顔認証など、盲ろう者が使いこなせるように開発してほしい。スマホやタブレットなど、見える人にとっては便利かもしれないが、盲ろう者等にとっては非常に使いにくい。 (3)防災、防犯等の推進(基本法第22、26、27条関係、条約第9、11条関係) 地方防災会議や避難訓練への当事者参画について 避難訓練への当事者参画はどの程度進んでいるのか。 地方防災会議の任命状況の実態調査をしてほしい。 地方防災会議について、当事者が参画することは非常に重要だが、いまだに進んでいない。 p4 個別避難計画の作成について 重度障害者については、避難に関する個別の計画が立てられることとなっているが、これがどこまで進んでいるのか。 令和3年の災害対策基本法改正(避難行動要支援者の個別避難計画作成の努力義務化等)に係る自治体への周知等を実施してほしい。 避難所のバリアフリー、情報保障等について 避難所のバリアフリー、または情報保障をどういう形で実現するのか。 自閉症などの発達障害のある子供にとって、通い慣れていない避難所は利用しづらいという報道もあるところ、特別支援学級等の学校を福祉避難所にすることについて、状況如何。 (4)差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止(基本法第23条関係、条約第10、12、14、16条関係) 障害者の虐待防止について 近年、障害者施設や精神科病院での虐待事案が刑事裁判に行くような事案がメディアに取り上げられることが増えているところ、虐待防止に係る取組状況はどうなっているか。 国家資格試験や受験資格のアクセシビリティの推進について 国家資格を受ける際の試験や受験施策のアクセシビリティはどれほど進んだのか(例えば、公認心理師の資格は視覚障害者にとって取得困難)。 金融機関における代筆対応等(金融機関職員に対する内部規定の周知を含む)について 代筆対応を行う旨の内規設置率が100%とのことだが、実際には断られるという相談が複数あり、更なる取組が必要ではないか。 窓口職員に対する周知の問題と思われるが、職員研修の実施状況はどうなっているか 代筆については、制度上認められているけれども、代筆が可能ということを知らない職員がいる。銀行の職員にも周知徹底を図られたい。 銀行における電話対応について、自ら電話できない障害者(盲ろう者を含む聴覚障害者)が、ほかの人に頼んで電話をかけることがあり、その際は、性別が異なっていたり通訳の関係で時間がかかったりすることがあるということを知ってほしい。 金融機関や保険会社の個々の社員への浸透が非常に遅れているという印象を持つが、各業界団体が行っている障害者差別解消法に関する相談が機能しているかレビューしているか。 p5 障害者差別解消法の観点から、各事業者が社内マニュアル等を事前確認する必要性について 公共交通機関の乗車拒否や盲導犬を連れた方の宿泊拒否事例などが報道される中、事業者のマニュアルにおいて、障害者差別解消法に抵触する項目がないかの確認を各省庁は呼び掛けているか。 (5)自立した生活の支援・意思決定支援の推進(基本法第14、17、23条関係、条約第12、19、20、23、26、28条関係) 地域移行支援の更なる推進について 障害者の地域移行を進めていくための取組状況はどうか。 地域移行支援については、なかなか目標に達するような方向に進んでいないのではないか。今までのような医療機関責任論を払拭し、社会的支援の脆弱性に焦点を当てながら議論を進めてほしい。 家庭と福祉と教育の連携について 家庭と福祉と教育の連携に係る進捗状況はどうか。 聴覚障害児の支援体制構築に当たっての当事者参画推進について 聴覚障害児の支援体制の構築に当たり、当事者参画ができていない地域があることを踏まえ、今後どのような対策を講ずるのか。 (6)保健・医療の推進(基本法第14、17、23、31条関係、条約第12、14、19、25、26条関係) 精神科医療機関における入院環境の改善・コロナ対策について 精神科医療機関におけるコロナ対策について更に検討が必要ではないか。また、精神科医療機関の入院環境の改善についても積極的な対応策を検討してほしい。 障害分野におけるコロナウイルスのワクチン接種について コロナウイルスのワクチン接種が障害分野で遅れたこと等を踏まえ、今後どのように対策を講ずるのか。 (7)行政等における配慮の充実(基本法第28、29条関係、条約第13、14、29条関係) 警察官の研修の充実について 精神障害のある人の緊急時の対応は、現状警察の対応となっていることが多い中、権力を行使できる警察官には、直接障害当事者やその家族から話を聞くなどの研修内容の充実をお願いしたい。 警察庁職員の接遇について、障害特性を踏まえた接遇において、手話のことはよく意識されているが、手話以外にもいろいろコミュニケーション方法があることを同時に知ってほしい。 p6 障害特性に応じた選挙に関する情報提供の充実・意思疎通支援について 知的障害者向けの分かりやすい選挙公報など、障害特性に応じた合理的配慮が必要。 点字の候補者名簿、通訳・介助者の介入等、選挙に係る意思疎通支援が必要。 (8)雇用・就業、経済的自立の支援(基本法第15、18、19、23、24条関係、条約第19、24、26、27、28条関係) 国家公務員の障害者採用について 障害者雇用率の水増し問題が起きた後で障害者の選考試験が2年間実施されたがその後実施されておらず、今後、こうした障害者雇用を促進するための何らかの方策は考えているのか。 ステップアップの枠組みを使って、常勤となった人数の割合はどうか。 (9)教育の振興(基本法第16、17条関係、条約第24、30条関係) インクルーシブ教育システムの推進について インクルーシブ教育システムの推進に係る取組状況はどうか。インクルーシブ教育システム推進の進捗を確認するために必要な調査を実施する必要があるのではないか。 インクルーシブ教育システムの推進に係るPDCAサイクルへの当事者参加について インクルーシブ教育システムの推進に当たり、PDCAサイクルへの当事者参加の不在がネックとなっていないか。 通常の学級で学んでいる障害児に対する専門的な支援について 特別支援学校ではなく地域の学校で学んでいる障害児に対する専門的な支援がどう進展したか。 学校における合理的配慮の提供の推進等(高等学校段階や私立学校も含む)について 高等学校や私立学校における合理的配慮の提供が不十分ではないか。 学校におけるバリアフリーの推進・周知啓発についてバリアフリー法改正により公立小中学校のバリアフリーが義務化され、5年間の整備目標が策定された。これを受けた周知や相談窓口の設置を行ってほしい。 障害のある教師への支援について 障害のある子供たちのロールモデルとなるべき障害のある教師、特に通常の学級を担当している障害のある教師への支援体制はどうなっているか p7 障害種別に応じた教師の専門性の向上について 様々な障害種がある中で、教師の「専門性向上」とは、具体的にどのような内容か。 (10)文化芸術活動・スポーツ等の振興(基本法第25条関係、条約第30条関係) スポーツ施設の利用の推進について(アクセスのバリアフリー化を含む) スポーツ施設のみならず、周囲の駅や公共交通機関からのアクセスも含めたバリアフリー化を促進してほしい。 障害者が障害を理由にスポーツ施設の利用を断られること等がないよう対策を取ってほしい。 スポーツ観戦や演劇鑑賞時等における介助者の料金免除対象者数の拡大について 様々な施設、案内に「介助者1名」と明記されていることが多いが、介助者が複数必要な場合、特に医療的ケアを必要とする場合は1名では参加できない、行けないことがある。