資料2 「障害者の権利に関する条約の実施状況に係る障害者政策委員会の見解(案)」に係る委員・専門委員からの御意見等 令和4年1月 p1 権利条約該当条文 5条 委員・専門委員からの御意見 条約が求めている紛争解決の仕組みがないこと(本年の法改正でも実現しなかった)は懸念事項に加えるべき。 関係府省等 内閣府 (外務省) 御意見に係る事実関係等 障害者の権利に関する条約第5条においては、紛争解決の仕組みについて明記されていない。 権利条約該当条文 5条 委員・専門委員からの御意見 差別の定義、法の対象範囲、相談体制については、条約に照らして不十分のため懸念事項に記載が必要ではないか。 関係府省等 内閣府 御意見に係る事実関係等 差別の定義・概念の明確化を図る観点からどのような対応が可能か等については、障害者政策委員会における障害者差別解消法の基本方針改定に向けた議論も踏まえ検討することを予定している。 相談体制の在り方については、内閣府において令和3年度の調査研究を行っているところ。 権利条約該当条文 5条 委員・専門委員からの御意見 障害者差別解消法の効力が及ぶ国家機関を行政機関のみとしているため、司法機関と立法機関が服すべき障害者差別禁止法制がないことは懸念事項に加えるべき。 関係府省等 内閣府 法務省 御意見に係る事実関係等 (内閣府) 障害者差別解消法においては、国会及び裁判所も、国の責務を規定する第3条の対象から除外されるものではない。 他方で、同法における不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供といった具体的な措置の規定との関係では、国の行政機関等がその対象とされているのに対し、国会及び裁判所については、三権分立の観点から、その対象とされていない。 (法務省) もっとも、裁判所では、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供といった同法7条に規定する事項に関し、職員(裁判官を含む。)に対する対応要領を定めており、同対応要領に基づいて、具体的な場面や状況に応じて適切に対応している。また、職員に対し、必要な研修・啓発を行い、障害を理由とする差別の解消の推進を図っている。 p2 権利条約該当条文 5条 委員・専門委員からの御意見 懸念事項として相対的欠格条項を指摘すべき。 例えば、看護学校に就学していた者が精神障害を理由に実習を拒まれたために看護資格が取れないまま卒業せざるを得ない、被後見人や被保佐人が警備員になれないなど。 関係府省等 警察庁 御意見に係る事実関係等 平成30年に内閣府が国会に提出した成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律(以下「整備法」という。)により、他の法令と共に警備業法も改正が行われ(整備法第13条)、「成年被後見人」及び「被保佐人」については警備業の欠格要件から削除された。 権利条約該当条文 6条 委員・専門委員からの御意見 障害女性の参画を確保できていないことを懸念事項に加えるべき。障害者分野、男女共同参画や防災の分野、いずれも、参画の確保ができていないために、ヒアリング止まりで、政策の進捗がない。 女性の障害者団体の委員としての参画も検討願いたい。 関係府省等 内閣府 (厚労省) 御意見に係る事実関係等 「第5次男女共同参画基本計画」(令和2年12月25日閣議決定)では、国の審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第37条及び第54条の審議会等をいう。)委員に占める女性の割合について、2025年までに40%以上、60%以下とする成果目標を設定している。 各府省庁等において所管している審議会等及びその下部機関(分科会及び部会)のうち、障害者施策を審議する審議会等に占める女性委員及び障害者委員の割合は以下のとおり。 ※以下の情報は令和3年12月時点のもの。 (1)内閣府所管 障害者政策委員会 全体30名のうち女性10名(33.3%) 障害当事者15名のうち女性2名(133%) (2)厚生労働省所管 社会保障審議会障害者部会 全体29名のうち女性10名(34.5%) 障害当事者5名のうち女性0名(0%) 労働政策審議会障害者雇用分科会 全体20名のうち女性5名(25%) 障害当事者2名のうち女性0名(0%) p3 権利条約該当条文 6条 委員・専門委員からの御意見 公共交通機関等でのアナウンス等をきっかけとして、性犯罪・性暴力被害にあっている件についても大きな課題なので、懸念の例示に追加願いたい。 関係府省等 国交省 (内閣府) 御意見に係る事実関係等 鉄道における乗降介助のアナウンスについては、鉄軌道事業者に、アナウンスによらない方法で情報伝達することの検討をするように働きかけている。 権利条約該当条文 6条 委員・専門委員からの御意見 障害女性への複合的・交差的差別を禁止する法規定がなく、差別解消に向けた措置が十分に取られていないことを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 内閣府 (外務省) 御意見に係る事実関係等 障害のある女性への差別に関しては、障害者政策委員会において、障害者差別解消法に基づく基本方針に係る議論が行われるものと考えている。 権利条約該当条文 6条、(7条)、23条、26条 委員・専門委員からの御意見 子供については、日本の障害者基本法の改正第17条に「療育」という言葉が入ってから、平成26年7月、今後の(作業者注・下線ここから)障害児支援(作業者注・下線ここまで)の在り方として、子供とその家族の支援が謳われ、家族支援が随分進んでいると思うので、子供の報告はぜひ載せていただきたい。療育は条約26条のリハビリテーションとも関わるので、その点すり合わせをした上で、あえて教育から離した形で子供ということを載せるのが良いのではないか。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 平成28年度以降で、家族支援に係る取組としては、以下のようなことが挙げられる。 1 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の施行 2 令和3年度障害福祉サービス等報酬改定において、「家族支援の評価の充実」を柱の1つとして、児童発達支援事業所等における「家族支援」の取組について報酬の評価を充実した。 (参考・リンク先資料のp59)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000734440.pdf 3 障害児福祉計画の基本指針において、地域における障害児支援の中核的機能を担う児童発達支援センターを各市町村に1箇所設置(市町村単独での設置が困難な場合には、圏域での設置も可)することとした。 (参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000163638_00001.html 4 令和元年度から、地域において医療的ケア児等の受け入れが促進されるよう、必要な支援の提供が可能となる体制を整備し、医療的ケア児等とその家族の地域生活支援の向上を図ることを目的として、「医療的ケア児等総合支援事業」を実施している。 p4 権利条約該当条文 9条 委員・専門委員からの御意見 日本にはアクセシビリティを要件とした公共調達の仕組みがなく、アクセシビリティを確保した商品の開発・普及が進んでいないことを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 デジタル庁 (総務省) 御意見に係る事実関係等 (デジタル庁) 令和3年12月24日にデジタル庁が公表した新重点計画(デジタル社会の実現に向けた重点計画)では、「デジタル機器・サービスに係るアクセシビリティ環境の整備」の項目において、「企業等が開発するデジタル機器・サービスが情報アクセシビリティ基準に適合しているかどうか自己評価し、公表する仕組み(「日本版VPAT」)等の普及展開を引き続き推進するとともに、政府情報システムに係る調達において「日本版VPAT」の取組についても評価できる仕組みの導入に向け、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を改定する。」としている。 p5 権利条約該当条文 9条 委員・専門委員からの御意見 建物のアクセシビリティ整備が不十分なことも懸念事項に加えるべき。 バリアフリー法では、建物は床面積2,000平方メートル以上の特別特定建築物しかバリアフリー整備義務がない。 小規模店舗のバリアフリー整備基準は2021年から建築設計標準に追加されたが、義務ではないため整備が進んでいない。 2019年の国交省の調査では、新築の飲食店は14%程度しかバリアフリー化されていない(床面積300平方メートル未満)。 関係府省等 国交省 御意見に係る事実関係等 国土交通省では、バリアフリー法に基づき、 2,000平方メートル以上の特別特定建築物について、全国レベルでのバリアフリー基準への適合義務化 2,000平方メートル未満の建築物については、地域の実情に応じて条例による規制強化の促進等 により、これまで、様々な規模・用途の建築物について、地方公共団体とも連携しながら、全国的なバリアフリー化を展開してきたところ。 平成28年以降も、当事者団体とも意見交換を進めながら、順次、取組を進めているところ。 小規模店舗のバリアフリーガイドライン(建築設計標準)の作成・周知(令和3年3月) 条例制定をさらに進めやすい環境整備 ※小規模建築物を対象に、条例で弾力的なバリアフリー基準設定を可能とする政令改正(令和3年10月) さらに、令和4年度予算案では、新たに、地方公共団体が小規模店舗等のバリアフリー改修に補助を行う場合の財政的支援措置を盛り込むなど、バリアフリー化に向けて施策展開を進めている。 以上のように、様々な施策を講じて小規模店舗等のバリアフリー化を推進している。 権利条約該当条文 9条 委員・専門委員からの御意見 地方でのバリアフリー整備が遅れていることも懸念事項に加えるべき。 国交省の報告では、2020年3月末現在で、鉄道駅の段差解消状況は、1日の乗降客3,000人以上の駅は91.8%に対し、3,000人未満の駅では23.1%と大きな格差がある。 鉄道だけでなく、バス、タクシー、空港アクセスを含む、あらゆる分野で主要都市以外でのアクセシビリティが改善されていない。 関係府省等 国交省 御意見に係る事実関係等 国土交通省では、平成12年の「交通バリアフリー法」の制定以降、「バリアフリー整備目標」の対象となる旅客施設を1日あたり5,000以上の駅等から1日あたり3,000人以上の駅等に順次拡大する等、公共交通機関のバリアフリー化に取り組んできた。特に昨年は、地方部における取組強化の必要性等に鑑み、障害当事者等の意見も踏まえつつ、1日あたり2,000人以上の旅客施設をバリアフリー化の対象に追加する等新たな「バリアフリー整備目標」を設定し、その推進を図っているところ。 国交省としては、今後とも、市町村等と連携し、基本構想の作成促進の取組の充実等、引き続き、地方部を含めた「バリアフリーの街づくり」に取り組んでいくこととしている。 p6 権利条約該当条文 9条、21条 委員・専門委員からの御意見 放送・通信の面でのバリアフリー化の課題について触れられていないため、事例を収集の上、追記すべき。 関係府省等 総務省 御意見に係る事実関係等 障害者向けICT機器・サービスの開発においては、障害者のニーズや課題にきめ細やかに対応することが必要であり、そうした課題等に対応すべく障害者の利便の増進に資するICT機器・サービスの開発に対する研究開発等を助成することで、障害者にアクセシブルなICT機器等の普及に向けた取組を支援している。 字幕放送、解説放送及び手話放送の普及に向けた課題として、設備整備費・制作費の捻出や専門人材の確保が難しいことが挙げられる。総務省では、字幕番組等の制作費や生放送番組に対する字幕付与設備の整備費を助成することで、民間放送事業者の普及に向けた取組を支援している。 権利条約該当条文 11条 委員・専門委員からの御意見 避難所、福祉避難所、仮設住宅がユニバーサルデザインが進んでいないことも懸念事項に加えるべき。 避難所がアクセシブルではなく、合理的配慮も提供されず、またプライバシーが確保されていない。 福祉避難所に関する情報が公開されないために、災害時にも活用されない。 仮設住宅はユニバーサルデザイン化されていないために、障害者が利用困難である。 関係府省等 内閣府 文科省 厚労省 御意見に係る事実関係等 (内閣府) 応急仮設住宅の建設に当たっては、通常の応急仮設住宅にあっても、バリアフリー仕様となるようできる限り配慮すべきこととしているほか、段差解消のためのスロープや生活援助員室を設置するなど、障害者であって日常の生活上特別な配慮を要する複数の者を利用させる施設(福祉仮設住宅)を応急仮設住宅として設置することも可能としているところ。 さらに、応急仮設住宅(借上型仮設住宅を含む)への入居決定に当たっては、個々の世帯の必要度に応じて入居決定するなど、障害者の方々に配慮することとしているところ。 避難所のバリアフリー化を推進するとともに、「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」等を踏まえ、避難所において障害者が障害特性に応じた支援と合理的配慮を得ることができるよう市町村の取組を促していく。 p7 権利条約該当条文 11条 委員・専門委員からの御意見 主に災害時(と想定される)障害者の情報取得の困難さについて、追記すべき。 関係府省等 - 御意見に係る事実関係等 - 権利条約該当条文 11条 委員・専門委員からの御意見 令和3年の災害対策基本法の改正により、避難行動要支援者の個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされたことは、進展である。 関係府省等 内閣府 御意見に係る事実関係等 災害対策基本法の改正を踏まえ、市町村における個別避難計画の作成が進むよう取り組んでまいりたい。 権利条約該当条文 12条 委員・専門委員からの御意見 代理意思決定ではなく、支援付き意思決定への転換が進んでいないことを懸念事項に加えるべき。 障害者の法的能力の行使に当たって必要となる支援の制度が不十分であり、厚生労働省が作成した「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」などにより、支援制度が意思決定支援の名の下に最善の利益に基づく介入を許容している。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」では、意思決定支援の基本的原則として、「最善の利益の判断」によらない以下の3点を示している。 1 本人への支援は自己決定の尊重に基づき行うこと 2 職員等の価値観においては不合理と思われる決定でも、他者への権利を侵害しないのであれば、その選択を尊重するよう努める姿勢が求められること 3 本人の自己決定や意思確認がどうしても困難な場合は、本人をよく知る関係者が集まって、本人の日常生活の場面や事業者のサービス提供場面における表情や感情、行動に関する記録などの情報に加え、これまでの生活史、人間関係等様々な情報を把握し、根拠を明確にしながら障害者の意思及び選好を推定すること 「最善の利益の判断」については、本人の意思を推定することがどうしても困難な場合の「最後の手段」として、関係者が協議し、本人にとっての最善の利益を判断せざるを得ない場合があるとしており、その場合でも以下の点に留意が必要だとしている。 1 メリット・デメリットの検討 2 相反する選択肢の両立 3 自由の制限の最小化 成年後見制度利用促進専門家会議において、意思決定支援の取組について有識者等から報告をいただき意見交換を行ったところである。 p8 権利条約該当条文 13条 委員・専門委員からの御意見 裁判のIT化を進めるため、民事訴訟法の改正が論議されているが、十分な司法アクセスが確保されない恐れがある。障害者の裁判を受ける権利や障害のある代理人への配慮が十分には受け入れられていない。 関係府省等 法務省 御意見に係る事実関係等 民事訴訟手続のIT化に関しては、裁判所に対する申立て等につきオンラインによることを裁判利用者に義務付けるべきかという論点があったが、ITの利用が困難な者の司法アクセスに配慮する観点から、当事者本人については義務化を行わないこととする方向で議論が進められている。 一方で、ITを利用することができる障害者にとってみれば、民事訴訟手続のIT化により、訴状等をオンラインで提出することができることとすることや、オンラインによる期日への出頭を可能とすることは、その司法アクセスを向上し、裁判を受ける権利をより実質化する観点から望ましいものと考えられる。そのための具体的な規律の内容については、法制審議会民事訴訟法(IT化関係)部会において最終的な調査審議が進められているところである。 権利条約該当条文 14条、19条 委員・専門委員からの御意見 社会保障審議会障害者部会における議論について報告すべき。 同部会の議論と連動させ、意見交換の機会を作るべき。 同部会との情報共有など、議論が必要。 社会保障審議会障害者部会へ情報提供願いたい。 関係府省等 厚労省 内閣府 御意見に係る事実関係等 (厚労省) 第61回障害者政策委員会にて、社会保障審議会障害者部会における障害者総合支援法3年見直しに向けた中間報告について、厚生労働省から報告(資料3) (内閣府) 今後、社会保障審議会障害者部会にて、障害者政策委員会での議論について、報告予定。 p9 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 脱施設化について、単なる福祉施設ではない、病院と一体となった施設が、地域移行の対象とならないことを確認したい。 自治体によっては、重症児(者)施設は作れないと国から指導されていると言われることがあるが、そのような指導をしているのか。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 障害者支援施設については、令和5年度末までの地域生活への移行者数や施設入所者数の削減目標を設けているが、療養介護を行う病院や医療型障害児入所施設については、これらの数値目標は設けていないところである。 障害児入所施設については、新設を認めないというような指導はしていない。 障害者支援施設については、自治体が障害福祉計画で定める施設入所者数の削減目標との関係から、新設が認めらないということが考えられる。 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 懸念点として記載されている「医療的ケアを(以下、省略)が必要である。」の1文の後ろに以下の記載を追加すべき。 「なお、重症心身障害児者は、すべてのライフステージにおいて医療が必要であり、わが国においては、医療の整った入所施設と医療スタッフがその命を紡いでいる。 在宅生活の支えとしても、短期入所が重要な役割を果たしており、短期入所は入所施設の在宅支援のためのベットを利用している。」 関係府省等 - 御意見に係る事実関係等 - p10 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 社会保障審議会障害者部会で行われている障害者総合支援法の見直しの中で、例えば「脱施設」という言葉も、権利条約のそれと総合支援法では、ニュアンスが異なるため、その照らし合わせが必要。 関係府省等 外務省 厚労省 御意見に係る事実関係等 (外務省) 条約第19条では「脱施設」という文言は使用していないものの、地域社会で生活する平等の権利の享受については、障害者が他の者と平等の選択の機会があること、また、地域社会での包容に必要な措置をとるべきことが明記されている。 (厚生労働省) 障害者権利条約第19条において「障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地を選択し、及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の生活施設で生活する義務を負わないこと」とされている。 また、障害者総合支援法の基本理念においては、「可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること」、「どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保される」こととされている。 厚生労働省においては、障害者総合支援法の基本理念を踏まえ、障害者の入所施設や精神科病院等からの地域移行を推進しているところである。 p11 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 入所施設からの地域移行が進んでいないことを懸念事項に加えるべき。 現在、約12万人の知的障害者と約7.3万人の身体障害者が入所施設で生活しており、2015年までの10年間での施設入所者の減少が、知的障害者で0.8万人(6%)、身体障害者で1.4万人(16%)にとどまっている。すべての障害者がどこで誰と住むか選択する権利が行使できず、入所施設や家庭からの地域移行が進んでいない。 障害者総合支援法の「地域移行支援」サービスの利用者数は、7年が経過した2019年4月の時点でも全国で677人に過ぎず、効果的な地域移行のための施策がとられていない。 厚生労働省の第4期障害福祉計画(2015年4月から2018年3月)の基本指針では、計画の対象となる2014年3月末時点の施設入所者数13.2万人のうち12%以上が2018年3月末までの4年間に地域生活へ移行することが目標とされていたが、実際には5.8%しか地域生活に移行しなかった。このため、第5期の基本指針(2018年4月から2021年3月)では目標値を9%に引き下げて設定し、さらに第6期の基本指針(2021年4月から2024年3月)では目標値を6%に引き下げているのが現状であり、効果的な地域移行の戦略がとられていない。 このように、障害者権利条約批准後、むしろ施設からの地域移行が減速している状況にあることを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 入所施設からの地域移行については、障害福祉計画の基本指針において、地域生活移行者数や施設入所者数の目標を掲げるとともに、グループホームや自立生活援助、地域移行支援、地域定着支援、自立訓練等の推進や地域生活支援拠点等の整備により取組を進めていくこととしている。 御指摘の基本指針における地域生活移行者数の目標は、入所施設の利用者の障害程度の重度化や高齢化が進んでいる状況を勘案して設定したところである。 施設入所者数の状況 平成25年3月・134,247人 (うち、障害支援区分6・49,654人、65歳以上・23,623人) 令和3年3月・126,815人 (うち、障害支援区分6・68,545人、65歳以上・31,592人) (国民健康保険団体連合会による支払いの実績データから) なお、委員のご指摘の数値は、社会福祉施設等調査における数値で、入所者・通所者の区別や、知的障害と身体障害両方がある方、また障害児も含まれた延べ数となっている。 現在、社会保障審議会障害者部会において、障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しの検討を行っており、障害者の地域移行や地域生活の継続のための支援体制の充実について検討することとしている。 p12 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 入所施設の新設や入所人員を増やした形での大規模改修(宮城)が行われていること、グループホームも定員が20人に拡大して大規模化していることを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 障害者支援施設については、障害福祉計画の基本指針において、一貫して施設入所者数の削減を成果目標として掲げており、また、この施設入所者数を設定するに当たり、「新たに施設へ入所する者を見込むに当たっては、グループホーム等での対応が困難な者等、真に施設入所支援が必要な場合の検討等を市町村、関係者により協議の上、その結果を踏まえて設定すべきものである」と示している。 加えて、「地域における関係機関との連携により、施設入所者の地域生活への移行に取り組むことと併せて、施設入所者等の生活の質の向上を図る観点から、一層の小規模化等を進めること」が求められるとしている。 御指摘の点については、各自治体において策定する障害福祉計画との整合性を図りつつ対応されているものと考えている。 また、グループホームの定員について、平成30年度に創設した日中サービス支援型については、重度障害者に対応するための支援体制を確保する観点から、新築20名までの定員を認めたところであるが、生活単位であるユニットの定員は10人以下としたところである。 p13 権利条約該当条文 19条 委員・専門委員からの御意見 精神科病院の長期入院の問題、地域移行が進んでいないことも懸念事項に加えるべき。 日本の精神病床平均在院日数は世界最長水準である平均265.8日であり、在院期間別の患者数も1年以上入院している患者が約60%で、10年以上の入院患者は約20%にのぼっており、精神科病院からの地域移行が進んでいない。 日本には精神病床数は1999年には35.8万床であったが、19年経過した2018年においても33.0万床がいまだに存在しており、全世界の病床数125万床中の20%以上を占めている。 2004年に精神保健医療福祉改革ビジョンが策定され、受け皿があれば退院可能である社会的入院患者が約7万2千人おり、10年でその解消が目指されたが、10年で2万人にも満たない数しか地域移行が進んでいない。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 病院報告(平成30年)によると、精神病床平均在院日数は、平成21年の307.4日から平成30年には265.8日へと減少している。また、精神保健福祉資料(毎年度公表)によると、精神病床に1年以上入院している長期入院患者数は、平成22年度の22万人から令和2年度には16万人へと減少しており、地域移行は進んでいると認識している。 国によって精神病床の定義や精神科医療を取り巻く環境、精神科医療提供体制が大きく異なるため、病床数のみを持って単純に比較することは困難であり、また、社会的入院についても、一概に定義することは困難であるが、必ずしも入院医療を要しない患者が一定数いることは認識している。 厚生労働省としては、引き続き精神障害者が地域の一員として安心して自分らしい暮らしをすることができるよう医療、障害福祉・介護、住まい、社会参加、地域の助け合い、普及啓発が包括的に確保された「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築に向けた施策を推進していく。 権利条約該当条文 (19条) 委員・専門委員からの御意見 地域移行について、国連障害者権利委員会では脱施設のガイドラインを作成中とのこと。日本においても、施設や親元からの地域移行、精神科病院からの地域移行を進めてほしい。 関係府省等 - 御意見に係る事実関係等 - p14 権利条約該当条文 21条 委員・専門委員からの御意見 公的機関が出す情報・公共施設等での情報・コミュニケーション保障が不十分なことを懸念事項に加えるべき。 中央および地方行政、立法及び司法機関が発信する各種文書について、点字・音声・読み易い版及び拡大文字を含めた多様な媒体における情報提供が不十分である。 関係府省等 総務省 法務省 御意見に係る事実関係等 (総務省) 総務省では、公的機関におけるwebアクセシビリティの取組の促進を目的として、「みんなの公共サイト運用ガイドライン」を策定の上、その普及推進等を行っている。 (参考)「みんなの公共サイト運用ガイドライン」https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/b_free/guideline.html 選挙に関する情報については、国政選挙及び統一地方選挙に際し、点字による候補者名簿を備え付けること、点字及び音声による「選挙のお知らせ版」について、その内容を選挙公報全文とするとともに、視力に障害のある方の意向に沿うよう、点字版だけではなく、カセットテープ版、コンパクトディスク版、音声コード付き拡大文字版等を必要数、準備することなどについて、全国の選挙管理委員会へ要請している。また、令和元年の公職選挙法の一部改正により、選挙公報掲載文の電子データでの提出が可能となり、音声読み上げデータの各選挙管理委員会のホームページへの掲載も行われている。 (法務省) 裁判所では、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、職員(裁判官を含む。)に対する対応要領を定めているところ、同対応要領では、合理的配慮の具体例として、点字、拡大文字を用いる例や、電子データ(テキスト形式)を提供する例などを挙げている。この対応要領に沿って、必要な情報提供が適切に行われているものと承知している。 p15 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 インクルーシブ教育が進んでいないことを懸念事項に加えるべき。 インクルーシブ教育推進のために、進捗状況を監視するための指標の開発とデータ収集がなされておらず、たとえば通常学級にいるすべての障害のある児童生徒について、正確に実態を把握していない。 進展として、特別支援教育支援員の制度や予算措置があげられているが、こうした制度等が実際に有効なのかエビデンスが示されてない。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 インクルーシブ教育が進んでいないとの指摘について 我が国においては、障害のある子供の就学先は保護者や本人の意向を最大限尊重して決定・変更することとなっており、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けられるように条件整備を行っているところ。(具体的な取組は、「通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援について」参照) データ収集がなされていないとの指摘について 特別支援教育に関するデータ収集については、教育委員会や学校の回答負担も踏まえつつ、施策の推進に必要な実態把握に努めているところ。 例えば、本年は、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」を実施し、通常の学級における特別支援教育の実態に関するデータの収集を図っている。また、「個別の教育支援計画」(障害のある児童等の困難を改善・克服するために、本人及び保護者の意向や将来の希望などを踏まえ、関係機関による支援の目標や内容について学校が中心となって作成)の作成を必要とする児童等のうち、実際に「個別の教育支援計画」が作成されている児童等の割合は、条約批准時の平成28年度には75.7%であったが、平成30年度には84.8%と、着実に増加しているというデータも把握している。 このように、これまでも各種データを収集してきたが、こうした取組を更に進めてまいりたい。 p16 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 障害のない児童生徒から分離された環境で教育を受ける児童生徒の数が増えている。 義務教育課程の全児童生徒数は999万人で減少傾向にある中で、2016年5月現在、特別支援学校には約7.1万人(0.71%)(2005年比で1.3倍)、特別支援学級には約21.8万人(2.18%)(2005年比で2.3倍)、通常学級の通級による指導に約9.8万人(0.98%)(2005年比で2.3倍)とされている。 学校教育法施行令第22条の3に該当する障害児童生徒について、2016年5月1日時点は全国の小学校の通常学級に1,575人在籍していたが、2017年は1,444人に減少、全生徒数に対する割合も減少。 その後も、子ども全体が減少しているにも関わらず、障害のない児童生徒と分けられた環境で教育を受ける子どもの数が増えている状況を懸念事項に加えるべき。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 分離された環境で教育を受けている児童生徒の数が増加しているとの指摘について 特別支援教育を受けている子供の増減の傾向は御指摘のとおりであるが、平成22年との比較において最も増加率が高いのは、大部分を通常の学級に在籍しながら通級による指導を受ける児童生徒である。(13.3万人(令和元年度時点。平成22年の2.2倍)) (参考) 特別支援学校の在籍児童生徒数 7.7万人(令和2年度時点。平成22年の1.2倍) 特別支援学級の在籍児童生徒数 30.2万人(令和2年度時点。平成22年の2.1倍) また、通常の学級に在籍する医療的ケアが必要な子供の数も年々増加傾向となっている。 なお、障害のある子供の就学先は、保護者や本人の意向を最大限尊重して決定・変更することとなっており、文部科学省としては、令和3年6月に「障害のある子供の教育支援の手引」を改訂し、それぞれの学びの場は固定化したものではなく、柔軟に変更できるものであるとの旨を教育委員会等に示している。 通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援について 障害がある場合も通常の学級で学ぶことができるよう、以下の取組を行っている。 通常の学級において学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の配置(令和3年度・66,000人分(対前年度200人分増加)) 障害特性等に応じた通級による指導のための教員配置の充実(小中学校の通級による指導の教員定数の基礎定数化(平成29 年度から令和8年度までの10 年間で計画的に実施)、高等学校の通級による指導に関する教員定数の加配措置の充実(令和3年度・254人(対前年度47人増加)分の地方財政措置)) 小学校学習指導要領等において、通級による指導を受ける児童生徒について個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成を義務付ける等の改訂の実施 「交流及び共同学習ガイド」の改訂(平成31年3月) 医療的ケア看護職員と特別支援教育支援員を学校教育法施行規則に位置づけ(令和3年8月23日) また、自治体によっては、特別支援学校在籍の児童生徒が地域の学校の「副次的な籍」を有する取組も進められている。 p17 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 就学先が原則として地域の通常学級とされていないことを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 文部科学省は、平成25年に学校教育法施行令を改正し、就学基準に該当する障害のある子供は特別支援学校に原則就学するという就学先決定の仕組みを改め、障害のある子供の就学先については、本人や保護者の意見を可能な限り尊重しながら、市町村教育委員会において総合的な観点から決定する仕組みとしたところ。 引き続き、各自治体において適切な就学先決定のプロセスが図られるよう周知等に努めてまいりたい。 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 障害のある児童生徒の合理的配慮を含む必要な支援について、特別支援学校や特別支援学級と通常学級では格差があることを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 特別支援学校や特別支援学級では、少人数で障害の状態等に応じた個別の支援が受けられる一方、通常の学級では、障害のある子供と障害のない子供が共に学ぶことが容易であるといったように、それぞれの学びの場に利点がある。 文部科学省としては、特別支援学校や特別支援学級における教員定数の確保に加え、通常の学級における支援についても、 通常の学級において学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置の拡充(令和3年度・66,000人分(対前年度200人分増加)) 障害特性等に応じた「通級による指導」のための財政措置の充実(小中学校の通級による指導の教員定数の基礎定数化(平成29年度から令和8年度までの10年間で計画的に実施)、高等学校の通級による指導に関する教員定数の加配措置の充実(令和3年度・254 人(対前年度47人増加)分の地方財政措置)) 小学校学習指導要領等において、通級による指導を受ける児童生徒について個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成を義務付ける等の改正の実施 「交流及び共同学習ガイド」の改訂(平成31年3月) 医療的ケア看護職員と特別支援教育支援員を学校教育法施行規則に位置づけ(令和3年8月23日)等を通し、インクル―シブ教育システムの理念に基づき、必要な合理的配慮や支援がいきわたるよう取組を進めているところ。 p18 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 懸念の2つ目の丸にある「具体的な課題」として、「特別支援教育支援員の配置」の前に、「特別支援学校のセンター的機能を実施する上での教員の人員配置」や「通学支援」も課題に記載してはどうか。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 特別支援学校のセンター的機能を実施する上での加配措置や、特別支援教育就学奨励費での通学支援も行っているが、特別支援教育の重要性や学校が抱える課題を踏まえ、引き続き必要な支援に努めてまいりたい。 p19 権利条約該当条文 24条 委員・専門委員からの御意見 「インクルーシブ教育」という言葉と「特別支援教育の推進」という言葉自体が本当に一致しているのか。 インクルーシブ教育は、障害者基本法の改正で、16条にてインクルーシブ教育と言っているため、その点を整理することが必要。 関係府省等 内閣府 外務省 文科省 御意見に係る事実関係等 (外務省) 条約第24条では、「障害者を包容するあらゆる段階の教育制度及び生涯学習の確保」について記載されている。 (文部科学省) インクルーシブ教育システムについて、障害者の権利に関する条約第24条によると、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みである一方、同条には、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させるとの目的も規定されている。 特別支援教育は、こうしたインクルーシブ教育システムの理念を踏まえ、障害者基本法第16条に規定されている通り、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に学べるようにしつつ、個々の能力を最大限に伸ばす機会を提供するもの。 (参考・障害者基本法第16条) 国及び地方公共団体は、障害者が、その年齢及び能力に応じ、かつ、その特性を踏まえた十分な教育が受けられるようにするため、可能な限り障害者である児童及び生徒が障害者でない児童及び生徒と共に教育を受けられるよう配慮しつつ、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない。 文部科学省は、障害がある場合も通常の学級で学ぶことができるよう、以下の取組を行っている(再掲)。 通常の学級において学習活動上のサポート等を行う特別支援教育支援員の配置に係る地方財政措置の拡充(令和3年度・66,000人分(対前年度200人分増加)) 障害特性等に応じた「通級による指導」のための財政措置の充実(小中学校の通級による指導の教員定数の基礎定数化(平成29 年度から令和8年度までの10年間で計画的に実施)、高等学校の通級による指導に関する教員定数の加配措置の充実(令和3年度・254人(対前年度47人増加)分の地方財政措置)) 小学校学習指導要領等において、通級による指導を受ける児童生徒について個別の指導計画や個別の教育支援計画の作成を義務付ける等の改正の実施 「交流及び共同学習ガイド」の改訂(平成31年3月) 医療的ケア看護職員と特別支援教育支援員を学校教育法施行規則に位置づけ(令和3年8月23日) p20 権利条約該当条文 27条 委員・専門委員からの御意見 通勤中の移動介助や職場での介助が不十分なことも懸念事項に加えるべき。 2019年12月に、障害者雇用納付金制度に基づく助成金を拡充したが、事業主が介助を提供しなければ支給されないため、介助を提供しない事業所では障害のある人の働く権利が担保されない。またこの制度の利用も非常に低調である。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 2019年10月から、雇用施策と福祉施策が連携し、重度障害者等の通勤や職場等における支援を実施するため、障害者雇用助成金における助成率の引き上げ等の拡充を含む新たな事業を開始したところ。 政府としては、本事業について、今後とも、丁寧な情報発信等を行っていく予定であり、あらゆる機会を捉えて自治体への周知を図る等により活用を後押ししてまいりたい。 また、上記の他、事業主が新たな障害者の雇用又は雇用の維持に必要な介助等の措置を実施する場合、障害者雇用納付金制度に基づく助成金により、その費用の一部が助成される。 政府としては、事業主への周知・啓発を通じて、障害者が必要な合理的配慮の提供を受けられる雇用環境が整備されるよう努めてまいりたい。 権利条約該当条文 27条 委員・専門委員からの御意見 障害のある教員が教育に従事するための環境整備の課題についても懸念に記載してはどうか。 関係府省等 文科省 御意見に係る事実関係等 令和2年7月に「教育委員会における障害者雇用に関する実態調査および国立教員養成大学・学部における障害のある学生の支援に関する実態調査」の結果公表とともに各都道府県・市区町村教育委員会に対し、障害のある教師等の教育関係職員の活躍推進に向けて、公立学校教員採用選考試験の改善や障害のある教師等の教育関係職員が働きやすい環境整備などの取組に一層努めていただくよう通知を発出している。 また現在、各教育委員会・学校現場における障害のある教師等教育関係職員の活躍推進に係る取組の事例収集・発信のため調査研究を実施している。 p21 権利条約該当条文 27条 委員・専門委員からの御意見 「就業の促進には着実に実施することが重要」の箇所について、以下、記載願いたい。 障害者雇用促進法では、難病等のまだ対象に含まれていない障害分類があること その対象範囲の拡充が必要であること 現在対象拡大が検討されていること 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 障害者雇用促進法における「障害者」は、「心身の機能の障害があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者」(法第2条第1号)とされており、 障害者手帳所持者に限らず、職業相談や職業紹介等の支援の対象となる。 他方で、障害者雇用率制度では、法的公平性と安定性を確保するため、対象とする障害者を明確かつ容易に判定できるようにする趣旨から、対象障害者の条件について、原則として障害者手帳等を所持している者としている。 障害者雇用率制度における障害者の範囲については、現在、労働政策審議会障害者雇用分科会において議論を行っているところである。 権利条約該当条文 (27条) 委員・専門委員からの御意見 2019年5月に日本障害フォーラム(JDF)が国連障害者権利委員会に提出した「パラレルレポート」の「第27条 労働及び雇用」の「3.公的及び民間部門のあらゆる形態の雇用に係る事項に関する障害を理由とする差別の禁止」にある、障害を理由とする差別の禁止や合理理的配慮の提供義務の実効性確保といった内容を尊重してほしい。 関係府省等 - 御意見に係る事実関係等 - p22 権利条約該当条文 30条 委員・専門委員からの御意見 観光地(国立公園、神社仏閣を含む)や娯楽施設(遊園地・水族館・映画館・劇場)において、物理的バリアが多い、座席位置など他の者との平等が確保されていない、音声情報しかないというように、アクセシビリティが確保されていないことを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 文科省 経産省 国交省 環境省 各省 御意見に係る事実関係等 (文部科学省) 博物館の設置及び運営上の望ましい基準の策定や劇場・音楽堂等アクセシビリティ・ガイドブックの作成を通じて、博物館、劇場・音楽堂等のバリアフリー環境の整備を促進している。 また、障害者が文化芸術に触れられる環境の整備を図るため、令和4年度予算案において、助成対象として採択した映画作品及び劇場・音楽堂が実施する舞台公演に係るバリアフリー字幕・音声ガイド制作への支援、並びに劇場・音楽堂における誘導員の追加配置等への支援 を盛り込むとともに、バリアフリー法に基づく建築物移動等円滑化誘導基準に適合させるよう改修工事を行った劇場・音楽堂等に係る税額の減額措置を行っている。 さらに、重要文化財建造物である寺社仏閣については、国宝・重要文化財建造物保存修理強化対策事業において、スロープの設置等のバリアフリー整備や公開活用の取組を支援している。 (経済産業省) 遊園地については、基本方針改正に関するヒアリングにて業界団体から回答があったとおり、事業者ごとに障害者による施設利用に関する基準を定めたり、利用者への丁寧な説明を行うなど、障害を理由とする差別の解消に向けた合理的な配慮に努めている。 (国土交通省) バリアフリー法では、2,000平方メートル以上の劇場や映画館等の特別特定建築物について、バリアフリー基準への適合義務化を図っている。 また、平成27年には、学識経験者や障害当事者等の参画のもと、劇場や映画館の客席等に関するガイドラインを策定しており、バリアフリー設計の考え方や設計時に配慮すべき事項等を定め、事業者や設計者に広く周知啓発し、計画段階での配慮を求めているところ。 以上のように、アクセシビリティの確保に向けて、継続してバリアフリー化の推進を進めているところである。 p23 権利条約該当条文 30条 委員・専門委員からの御意見 「心のバリアフリー」については、適切な評価が行われていないのではないか。 関係府省等 オリパラ 文科省 スポーツ庁 国交省 御意見に係る事実関係等 (オリパラ事務局) 東京大会に向けた「心のバリアフリー」の取組については、第5回ユニバーサルデザイン2020評価会議(令和3年11月5日)で総括を行った。 (文部科学省) 「適切な評価」が意味するところが明らかではないが、文科省としてはこれまで、 1 学習指導要領において「交流及び共同学習」の機会を設けることを規定 2 授業等で活用できる「心のバリアフリーノート」の作成・周知 3 交流及び共同学習の好事例を取りまとめた「交流及び共同学習ガイド」の改訂・周知等 に取り組んでおり、各学校における活用状況の把握等、必要な実態把握に努めることが重要と考えている。 (国土交通省) 国土交通省では、社会における「心のバリアフリー」や「障害の社会モデル」への理解の重要性に鑑み、国土交通分野においても、高齢者障害者等用施設等(バリアフリートイレ、車椅子使用者用駐車施設等、旅客施設等のエレベーター、車両等の優先席等)の適正利用の推進に向けた広報啓発や、令和2年改正バリアフリー法に基づき学校等と連携した「教育啓発特定事業」等の取組を推進しているところ。引き続き、これらの「心のバリアフリー」の取組について、バリアフリー法に基づき障害当事者等が参画する移動等円滑化評価会議等を通じ、評価してまいりたい。 p24 権利条約該当条文 31条 委員・専門委員からの御意見 令和4年国民生活基礎調査から、欧州統計局およびワシントングループの設問を取り入れた形での集計を行うとのことだが、新設される項目(健康に関する3つの評価指標と、日常生活における6つの機能の苦労の程度を4段階で評価する指標)の、これまでの経年的な流れについては、どのような形で把握することができるのか。 (御参考)関連する御意見 これまで把握する手段を講じてこなかった場合、懸念する点として「これまでに健康状態と日常生活における機能の苦労度を、定量的に評価する手段を持ちえなかった」ことについて述べるべき。 また、障害のある女性や子どもについての統計的なデータや、彼らが受けている(受ける可能性のある)複合差別の事例についても触れるべき。 関係府省等 厚労省 御意見に係る事実関係等 「欧州統計局および」、「健康に関する3つの評価指標と、」の御意見につきましては、総務省における社会生活基本調査で取り入れた項目であり、令和4年国民生活基礎調査には、該当しない。 p25 権利条約該当条文 33条 委員・専門委員からの御意見 パリ原則に基づいた独立した人権救済機関は存在していないことを懸念事項に加えるべき。 関係府省等 法務省 外務省 御意見に係る事実関係等 (法務省) 人権救済制度の在り方については、これまでなされてきた議論の状況も踏まえ、不断に検討している。 権利条約該当条文 33条 委員・専門委員からの御意見 懸念事項として、障害者政策委員会は障害者基本計画の実施状況のモニタリング等を行うことによって、国内における監視機能を果たそうとしているが、司法や地方自治体に対する監視機能は権能に含まれていないことを指摘すべき。 関係府省等 内閣府 法務省 御意見に係る事実関係等 (内閣府・法務省) 司法府の活動について、政府に置かれている障害者政策委員会において監視を行うことは、三権分立の観点から難しいものと考えている。もっとも、裁判所では、障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、職員(裁判官を含む。)に対する対応要領を定め、具体的な場面や状況に応じて、適切に対応している。また、職員に対し、必要な研修・啓発を行い、障害を理由とする差別の解消の推進を図っている。 地方自治体についても、国の定める制度の実施については、障害者基本計画を通じた監視に含まれているものと考える。 p26 権利条約該当条文 (再掲)33条、(6条) 委員・専門委員からの御意見 女性の障害者団体の委員としての参画も検討願いたい。 関係府省等 内閣府 (厚労省) 御意見に係る事実関係等 「第5次男女共同参画基本計画」(令和2年12月25日閣議決定)では、国の審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条並びに内閣府設置法(平成11年法律第89号)第37条及び第54条の審議会等をいう。)委員に占める女性の割合について、2025年までに40%以上、60%以下とする成果目標を設定している。 各府省庁等において所管している審議会等及びその下部機関(分科会及び部会)のうち、障害者施策を審議する審議会等に占める女性委員及び障害者委員の割合は以下のとおり。 ※以下の情報は令和3年度12月時点のもの (1)内閣府所管 障害者政策委員会 全体30名のうち女性10名(33.3%) 障害当事者15名のうち女性2名(13.3%) (2)厚生労働省所管 社会保障審議会障害者部会 全体29名のうち女性10名(34.5%) 障害当事者5名のうち女性0名(0%) 労働政策審議会障害者雇用分科会 全体20名のうち女性5名(25%) 障害当事者2名のうち女性0名(0%) 以上