参考1 基本方針の改定に係るこれまでの議論等(第1・第2部分) p1 1.法の対象範囲 障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見(令和2年6月22日)(抄) 3.個別の論点と見直しの方向性 (1)差別の定義・概念について 見直しの方向性 1差別の定義・概念の明確化 ・・・例えば、基本方針等において、・・・障害者の家族その他の関係者に対する障害を理由とする差別についても、障害者本人に対するものと同様に解消すべきものである旨を示すこと等について検討すべきである。 障害者差別解消法に基づく基本方針改定に係る団体ヒアリングにおける主な御意見 障害当事者だけではなく、障害者の家族や関係者への障害を理由とした差別を禁止すべき。(障害者団体) 過去に障害があった(とされる)者、未来に障害を持つと思われる者、障害があると推測される者に対する不当な差別的取扱いも禁止すべき。(障害者団体) 事業者の範囲について、より市民に分かりやすく例示を加えてはどうか。(障害者団体) <ヒアリングにおいて提供された事例> 特別支援学校に通う医療的ケア児の保護者(母)は、看護師等の配置がされているにもかかわらず、通学時の付添いが必要、服薬時や子供の様子が変わった場合には必ず学校にいかなければならず、仕事を入れることができなくなった。(障害者団体) HIV感染者の男性が、腎臓機能の悪化に伴い透析治療を受けていたが、転居に伴い新たな透析先を探したが約40の医療機関から断られた。(障害者団体) p2 難病の確定診断が得られないまま就職活動をした際、他の人は就職後の生活や配属についての質問だったが、自分はそのような質問はなく病気についてのみ質問され不合格となった。(障害者団体)※雇用分野の事例 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)(抄) (定義) 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 二〜七(略) (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2(略) (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2(略) p3 (検討の視点) (1)「障害者」の範囲について 法第7条第1項、第8条第1項において、「障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱をすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない」と明記されていること、法第2条第1号において「障害者」の定義が明記されていることから、基本方針において「障害者」の範囲を拡大することは困難ではないか。 その上で、例えば、家族等に対する差別として掲げられていた事例については、本人に対する不当な差別に該当するか否かの観点から検討を行うことができるのではないか。 p4 2.不当な差別的取扱い 障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見(令和2年6月22日)(抄) 3.個別の論点と見直しの方向性 (1)差別の定義・概念について 見直しの方向性 1差別の定義・概念の明確化 障害者差別について社会的な認識を広げ、差別の解消に資するという観点からは、法律で差別の定義を設けること等が望ましいと考えられる。 一方で、法律で差別の定義を設けると、かえって条約よりも狭く定義される等の懸念があるとともに、解釈の違いによる混乱も予想される。また、差別の類型にどのような事例が該当するのか現段階では明確でなく、法律に規定することに困難があることや現場に混乱が生じないよう慎重な検討が必要となること等の課題もあると考えられる。 これらを総合的に考慮しつつ、差別の定義・概念の明確化を図る観点から、どのような対応が可能かについて検討を行うべきである。その一環として、例えば、基本方針等において、形式的には障害を理由とする差別的取扱いには該当しないものであっても、実質的には障害を理由として障害者でない者と不当な差別的な取扱いをすることも障害を理由とする差別となる旨・・・を示すこと等について検討すべきである。 差別の定義・概念の明確化に資するとともに、国民の間での障害を理由とする差別についての理解が深まるよう、国及び地方公共団体において、更に具体的な相談事例の蓄積等を進めるべきである。 障害のある女性や子供等への差別に関しては、基本方針等において、性や年齢別に具体的な相談事例を蓄積すること等により更に実態把握に努めるとともに、相談事例を踏まえて適切な措置を講じるべき旨を記載することについて検討すべきである。(略) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和3年4月16日 衆議院内閣委員会)(抄) 四 基本方針において、障害者の権利に関する条約の精神にのっとり、差別の定義に係る基本的な考え方を明記することを検討すること。 五 障害のある女性や性的少数者等への複合的な差別の解消について、基本方針、対応要領及び対応指針に明記することを検討すること。また、地方公共団体と連携して、複合的な差別に関する情報の収集、分析を行うこと。 p5 六 基本方針等において、障害の分野に応じて、具体的な差別事例や合理的配慮の提供事例を盛り込むことを検討すること 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和3年5月27日 参議院内閣委員会)(抄) 四 基本方針において、障害者の権利に関する条約の精神にのっとり、差別の定義に係る基本的な考え方を明記することを検討すること。 五 障害のある女性や性的少数者等への複合的な差別の解消について、基本方針、対応要領及び対応指針に明記することを検討すること。また、地方公共団体と連携して、複合的な差別に関する情報の収集、分析を行うこと。 六 基本方針等において、障害の分野に応じて、具体的な差別事例や合理的配慮の提供事例を盛り込むことを検討すること。 障害者差別解消法に基づく基本方針改定に係る団体ヒアリングにおける主な御意見 1不当な差別的取扱いの基本的な考え方 <全般> 差別の定義・概念の明確化を図ることにより、実効性のあるものにすべき。(障害者団体) 反対解釈の乱用など恣意的な解釈を防ぐための基本方針やガイドラインの策定・運用も平行して行うべき。(障害者団体) 不当な差別的取扱について、具体的な事例を示し、普及啓発を強く進めるべき。(障害者団体) 具体例の追記及び客観的・合理的な判断基準を追記すべき。(事業者団体等) プライバシーの保護についてしっかりと謳うべき。(障害者団体) 事業者が合理的配慮を提供したことを理由として、当該障害者を不利益に取り扱うことは不当な差別的取扱いとなる、ということを明記すべき。(事業者団体等) 障害者が他の障害者と同じように取り扱われないことにも言及する必要がある。(障害者団体) p6 特に追加すべき点等はない。(事業者団体等) 「不当な差別的取扱い」を詳細に明記することは、個々の事案においてチェックリスト的で画一的な対応につながりかねず、事業者と障害者の間の建設的な対話や、それぞれの事案に合わせた対応を阻害することも懸念されることから、現在の基本方針の記述を変更する必要はない。(事業者団体等) 中小・小規模事業者においては、過度な要請に応えることは難しく、現行方針への対応にも苦慮する中でさらに厳しい改正となれば多くの事業者には実現困難となる。(事業者団体等) 専門用語が多く、分かりにくいため、一般的な知識でも理解しやすい表現にすべき。(事業者団体等) 障害や慢性疾患・難病をカテゴライズするだけで一括りに取り扱うことには無理がある。理解や支え合いはコミュニケーションにより生まれ、障害や疾患のある人にはこうすべき、こうしてはいけないという視点だけでは、押し付けととらえられてしまう。(障害者団体) <いわゆる間接差別等について> (間接差別等を差別の概念に含まれるものとすべきとの御意見) 基本方針では、いわゆる「間接差別」「関連差別」「ハラスメント」は記載されていない。差別の内容をわかりやすくするため、このような詳細な差別の内容も記載すべき。(障害者団体、事業者団体等) 「不当な差別的取扱いの基本的考え方」には、障害を直接の理由としなくても関連する事由を理由に不当な差別的取扱いを行う関連差別や、中立的な一般的な規則などを当てはめることで結果的に障害者に不利益を与える間接差別の概念を挿入すべき。(障害者団体) 基本方針に、直接差別、間接(関連)差別といった差別の類型を示し、この法律でいう差別には何が含まれ、どのような行為が不当な差別的取扱いに当たるのか、より明確にすべき。併せて、暴言や嫌がらせ(ハラスメント)、複合的・交差的な差別についても解消すべきことを述べるべき。(障害者団体) 「特に障害のある女性や障害のある子どもに対しては、障害に加えて、性別や年齢による社会的障壁が複合した、不当な差別的取扱いが存在することに留意する必要がある」と追記すべき。(障害者団体) ハラスメントについて、厚労省の「医療関係事業者向けガイドライン」では、「わずらわしそうな態度や患者を傷つけるような言葉をかけること」「大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること」などの「他の者とは異なる取扱い」は差別に当たる恐れがあると明記している(障害者団体) p7 医療機関や学校等において、障害者の存在、価値を否定するような言動がある(障害者団体) (慎重に検討すべきとの御意見) 定義が不明確であり、具体的事例が蓄積されているとは言えず、事業者が何を行うことが求められるのか、不明確。認識の共有がないまま新たな概念を導入するよりは、現行の「障害を理由とする不当な差別的取扱の禁止」「合理的配慮の提供」「環境整備の実施」に取り組み、着実に解決を図っていくことが、差別の解消に資する。(事業者団体等) 概念をめぐる議論より、まずは個々のケースの解決の積み重ねに注力すべきと考える。(事業者団体等) ガイドライン等で差別内容を具体的・客観的に定義して限定解釈できる法体系が必要。差別の概念に含める場合は各事業者の事業運営に過度の制約を与える可能性があることを留意してほしい。義務化は難しい。(事業者団体等) 間接差別、ハラスメント等の見極めが明確にできない現状において、これらを差別に含むとなれば、営業の現場においては大変な混乱が生じる、(事業者団体等) ハラスメントに関して、職場におけるパワーハラスメントには明確な定義があることから、不当な差別的取扱いとは一線を画すべき。(事業者団体等) 「ハラスメント」は種類も多く、「不当な差別的取扱い」とするには判断が難しいケースもあり、慎重な検討が必要。虐待などの事案においては、他法によって対応すべき。(地方団体) (その他の御意見) 間接差別を差別の概念に含める場合は、定義や例示により、どのような行為が該当するのか、事業者にも判別できるよう具体的に記述すべき。(事業者団体等) 間接差別等を不当な差別に含むべきという点については意見し難いが、実際に不当な対応等を受けており、何らかの支援が必要であるならば建設的な対話が図られるようにする必要がある。(地方団体) p8 <ヒアリングにおいて提供された事例> 4DXのシアターで映画鑑賞を希望したところ、座席が動くなどの理由で車いす使用者が拒否された。(障害者団体) 自治体の公務員採用試験の採用条件に「活字が書けること」と示されていて、視覚障害者が応募できなかった(他に自立通勤、介助者なしでの執務など)(障害者団体)※雇用分野の事例 盲導犬を連れて飲食店に入ろうとしたら拒否された。(障害者団体) 自閉症のある子が感覚過敏がありマスクの着用ができないと伝えたところ、宿泊を断られた、自閉症の特徴である感覚過敏によってマスクができないことを理由としての拒絶であり、障害に関連する差別である。(障害者団体) 店舗/地区事務所によっては2階、3階に所在しているが、エレベーター設備がないところもあり、身体障害のある方が就労できない可能性がある(事業者団体等)※雇用分野の事例 道路幅員・傾斜などの道路環境によって乗車スロープの安全確保ができない場合にご利用区間の変更をお願いせざるをえない場合がある。(事業者団体等) 身体障害者用教習車両を備えていない教習所に、身体障害者の方が入所できなかったことがある。(事業者団体等) 実習を伴う科目やカリキュラムについては、現実的に間接差別に該当するものが多いと考えられる。(事業者団体等) 障害のある女性が電車に乗降する際に、「○○号車ご乗車。降車駅○○」という事業者があり、他の乗客に伝わることで、障害のある女性が痴漢やストーカー被害にあっている。(障害者団体) 知人の障害者と飲みにいったら、居酒屋に「車いすの人が入れるような店じゃねーよ」と言われた。(障害者団体) 女性の障害者がバスの降車時に乗務員の固定ベルトの外し方が乱雑であること等を指摘したところ、「そんなこというから嫌われる」「もっとかわいらしくしといたらいい」等怒鳴られた。(障害者団体) 2「正当な理由」について <正当な理由の判断の視点について> (判断基準や具体例を示すべきとする御意見) 反対解釈の乱用など恣意的な解釈を防ぐための基本方針やガイドラインの策定・運用を行うべき。(障害者団体) p9 判断基準は個別性が強いことから、「正当な理由に該当する例」「しない例」を提示することで、理解が進むのではないか。(事業者団体等) 不当な差別的取扱いについて、判断基準や具体例の追記をすべきである。(事業者団体等、地方団体) 正当な理由に相当する事例を例示すべき。(事業者団体等、地方団体) (正当な理由の範囲についての御意見) 障害者から行政機関等及び事業者にサービスやシステムの改善をお願いすると「安全性の面から問題がある」等抽象的な説明にとどまり、納得しがたい場面がある。(障害者団体) 「安全の確保」という正当な理由と障害を理由とした不当な差別とのボーダーラインに対する認識の相違に苦慮する場合がある。(事業者団体等) 事業者が実施可能な範囲内での対応と明確に解釈できる内容を追記することが安全配慮上及び事業継続上必要である。(事業者団体等) 従業員の安全確保や損害(労災)発生などについて明確な判断基準がない。どこまでが正当な理由になるのか。(事業者団体等) 業界は少子高齢化・コロナの影響で収益が悪化しており、車両の代替を抑制せざるを得ない。経済的な視点について検討していただきたい。(事業者団体等) 正当な理由があれば、旅客に対して障害の程度や補助具等に関し繰り返し質問をすることは差別的取扱いではない旨、追記してほしい。(事業者団体等) 当事者の財産・利益を保護する際の確認は不当な差別的取扱いにあたらない旨を明記してほしい。(事業者団体等) <ヒアリングにおいて提供された事例> 視覚障害者1人で飛行機を利用しようとしたら、搭乗口で飛行機の搭乗を断られた。理由を聞くと「安全上の理由で、視覚障害者は介助者がいないと搭乗できない決まりになっている」としか言わなかった。その後、色々と交渉をしたが、目的の飛行機には乗れなかった。「安全上の理由」という説明は、ある意味で障害者差別の逃げ道になっているように聞こえた。(障害者団体) 校外学習や修学旅行なども含む学校現場においては、過剰と思われる安全の確保や多人数の管理を理由として、参加の制限や機会の提供を拒否されることも多い。(障害者団体) p10 特定のハンドル型電動車いすの利用者が特急列車の利用希望があったとき、国交省で定める利用基準に基づき断ったが、理解されなかった。(事業者団体等) 車いす利用者の乗車介助の際、乗車前に事前の降車駅への連絡が必要な旨説明したが、差別解消法違反との苦情を受けた。(事業者団体等) 固定困難な車いす等での乗車など、運行の安全が確認できない場合には利用のお断りをしているが、理解が得られない。(事業者団体等) <「正当な理由」の説明について> (「理解を得なければならない」又は「理解を得るよう努める」等とすべきという御意見) 現行の基本方針において「理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」とあるところ「理解を得なければならない/理解を得るよう努める」と修正すべきである。(障害者団体) 「行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明し、理解が得られるよう建設的な対話の場を提供しなければならない」とすべき。(障害者団体) (具体的な根拠を示して説明すべきとする御意見) 「正当な理由」の説明が単なる「安全性」という抽象的な説明にとどまることがある。また、安全性を示す具体的根拠を障害者に対して求められる事例等もあるため、正当な理由の存否の判断や判断するための資料収集は行政機関等及び事業者が行うことに加えて、「正当な理由」の説明に際してはできるだけ具体的な根拠を示して行うことを明確にする必要がある。(障害者団体) 「正当な理由」について、行政機関等や事業者の側において根拠を交えて説明することや、証拠となる資料を求められた場合には応じること(少なくとも、誠実な説明を行うこと)を基本方針に追記すべきである。(障害者団体、事業者団体等) 「正当な理由」について、行政機関等の側において根拠に基づく説明や根拠資料の提示を行うことは望ましい。(地方団体) (具体的な根拠を示して説明することは困難とする御意見) 法律において事業者に説明責任等を義務付ける規定はなく、基本方針で義務付けることはできない。(事業者団体等) p11 証拠や資料等の提示が求められることにより、事業者としてリスク回避等の観点から、ある程度画一的・統一的な対応をせざるを得なくなる可能性があり、かえってその場の状況に即した柔軟な対応や相互理解を目的とした話合いによる解決を困難にするおそれがある。(事業者団体等) 経営機密に関することや個人情報その他秘匿性の高い情報も含まれているため、一概に全ての資料を提示することは困難である。事業者の規模や人員体制によっては事業者に過大な負担となり、事業運営に支障をきたす可能性もあるため、追記は控えてほしい。(事業者団体等) 現行の基本方針において既に「障害者にその理由を説明するものとし」との記載があるので、特に追記が必要とは考えない。(事業者団体等、地方団体) (正当な理由の詳細な考え方や事例の共有等が必要とする御意見) 追記する場合には、「正当な理由」の考え方の詳細や具体的な対応事例の共有等が必要。(事業者団体等、地方団体) (第三者機関による証明等を要するとする御意見) 安全性などの正当な理由について、一事業者で立証することは困難なために第三者機関による立証をしてほしい。(事業者団体等) 安全性を理由に乗車をお断りする場合、急ハンドル・急ブレーキによる危険性の証明を行うことは、1事業者では困難なため、国が主導的に公的機関等を活用して客観的な根拠や証拠資料を作成いただきたい。(事業者団体等) 個別の正当事由はそれぞれの業界が監督官庁と調整する必要がある。(事業者団体等) 電動車いすは重量があり、住戸内の床の補強をしないと入居することができない。多額の費用がかかるために断ると補強を強く要望された。業界別ガイドライン等で具体策を示すか、それを正当な理由か判断するような機関等があると理解を得られやすい。(事業者団体等) (相互理解に向けた姿勢を追記すべきとする御意見) 事業者の側はもとより、障害者の側においても相互理解に向けた一層の姿勢を持つことが望まれる旨を、基本方針に持ち込むことは意義がある。(事業者団体等) p12 (その他の御意見) 正当な理由や過重な負担を判断する根拠として、自治体の条例・規定、事業者の定款・規則に抵触することがあげられる場合がある。単に規定や規則に抵触するというだけでなく、事業の目的・内容等への影響、費用・負担の程度等を踏まえた総合的・客観的判断が求められることなど、これらの規定・規則等と本法に基づく判断とのかかわりについて考え方を述べるべき。(障害者団体) 正当な理由の説明に際しては、意思疎通困難のある障害者には意思疎通支援者によるサポートを受けられるように配慮することは特別な措置ではなく、当然とられるべき措置であることに留意する必要がある旨記載すべき。(障害者団体) 説明の相手方として、障害当事者団体も加えるべき。(障害者団体) 乗務員は多種多様で、相手に理解を得られるように説明することを苦手とする人も多く存在するのが現状。(事業者団体等) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号) (抄) (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止) 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2(略) (事業者における障害を理由とする差別の禁止) 第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。 2(略) 参考となる国内法令 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第1113号) (性別以外の事由を要件とする措置) 第七条 事業主は、募集及び採用並びに前条各号に掲げる事項に関する措置であつて労働者の性別以外の事由を要件とするもののうち、措置の要件を満たす男性及び女性の比率その他の事情を勘案して実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置として厚生労働省令で定めるものについては、当該措置の対象となる業務の性質に照らして当該措置の実施が当該業務の遂行上特に必要である場合、事業の運営の状況に照らして当該措置の実施が雇用管理上特に必要である場合その他の合理的な理由がある場合でなければ、これを講じてはならない。 p13 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則(昭和61年労働省令第2号) (実質的に性別を理由とする差別となるおそれがある措置) 第二条 法第七条の厚生労働省令で定める措置は、次のとおりとする。 一 労働者の募集又は採用に関する措置であつて、労働者の身長、体重又は体力に関する事由を要件とするもの 二 労働者の募集若しくは採用、昇進又は職種の変更に関する措置であつて、労働者の住居の移転を伴う配置転換に応じることができることを要件とするもの 三 労働者の昇進に関する措置であつて、労働者が勤務する事業場と異なる事業場に配置転換された経験があることを要件とするもの 障害者に対する差別の禁止に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針(厚生労働省告示第116号)(抜粋) 第二 基本的な考え方 全ての事業主は、法第34条及び第35条の規定に基づき、労働者の募集及び採用について、障害者(身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があるため、長期にわたり、職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営むことが著しく困難な者をいう。以下同じ。)に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならず、また、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。 ここで禁止される差別は、障害者であることを理由とする差別(直接差別をいい、車いす、補助犬その他の支援器具等の利用、介助者の付添い等の社会的不利を補う手段の利用等を理由とする不当な不利益取扱いを含む。)である。 諸外国の法制における間接差別の定義(民間事業者等を対象とするもの) (アメリカ) 障害をもつアメリカ人法(Americans with Disabilities Act of 1990) 第12182条(a) いかなる個人も,公共的施設(public accommodation)の所有者等により提供される商品,サービス,施設,特権,利点又は便宜を完全かつ平等に享受するに際して,障害を理由に差別されてはならない。 p14 第12182条(b)(2)(A)差別 (a)の差別には次のものが含まれる。 (@)障害を有する者又はその集団が,あらゆる商品,サービス,施設,特権,利点又は便宜(注・以下「商品等」とする)を完全かつ平等に享受することから排除する,あるいは排除する傾向にある資格基準を課したり,適用したりすること(当該基準が提供される商品等を提供するために必要であると示された場合を除く) (英国) 2010年平等法 2010年平等法 §19 (1)ある者(A)がもう一人の者(B)の保護特性に関連して差別的な規定、基準または慣行をBに適用する場合、AはBを差別することになる。 (2)第(1)項の目的に照らして、下記の場合に、規定、基準または慣行は、Bの当該保護特性に関連して差別的となる。 (a)その規定、基準または慣行を、Aが、Bの特性を共有しない者たちに適用するまたは適用するであろう場合で、 (b)それが、Bの特性を共有しない者たちと比較した時に、Bのその特性を共有する者たちに、特定の不利益を与えまたは与えるであろう場合で (c)それが、Bに当該の不利益を与えるまたは与えるであろう場合、かつ (d)Aがそれを適法な目的達成のための均衡のとれた方法であることを証明できない場合 (フランス) 差別との闘いの領域における共同体法の適用に係る諸条項に関する法律(2008年5月27日法律2008-496号) 第1条(抄) 間接差別とは、表面上は中立的な規定、基準又は慣行ではあるが、当該規定等が正当な目的によって客観的に正当化され、かつ、その目的を達成するための手段が必要及び適切である場合を除き、上述の理由(※障害等)のいずれかにより、他の人と比較して特定の不利益をもたらす可能性のあるものをいう。 p15 (ドイツ) 機会均等一般法(Allgemeines Gleichstellungsgesetz,AGG) AGG Section 3(2) 間接差別とは、外見上中立的に見える規定、基準又は慣行が、セクション1に規定されたいずれかの基礎(※障害等)に基づき、他の者と比較してある者に特段の不利を与えるものとして生じるものである。ただし、規定、基準又は慣行が、正当な目的により客観的に正当化でき、かつ、適切かつ必要な目的を達成するための方策である場合を除く。 ※アメリカ、フランス及びドイツについては、令和2年11月に内閣府障害者施策担当から各国大使館に発出した調査訓令による調査結果を掲載(ただし英国のみ訳文はH23内閣府調査より抜粋)。 p16 (検討の視点) (2)いわゆる間接差別等について いわゆる間接差別等を差別の概念に含めることに関する検討に当たっては、実効性を担保する観点から、 「不当な差別的取扱いの禁止」という法的義務が課せられる事業者等にとって、何が禁止すべき差別に当たるのか明確にすること 今般の法改正により事業者に対して合理的配慮の提供が義務化されたこととの関係に留意すること が必要ではないか。 その上で、いわゆる間接差別について、国内法令の先例や諸外国法令にならい、「形式的には障害に中立的な規定、基準又は慣行であって、当該規定等を特定の障害者に適用した場合に当該障害者が他の人と比較して不利益となるもの(以下「中立的基準」という。)を、当該障害者に適用すること。ただし、当該中立的基準が正当な目的によって客観的に正当化でき、その目的を達成するための手段が適切かつ必要である場合(以下「正当な理由」という。)を除く。」と仮に整理した場合、以下の点の検討が必要ではないか。 障害の種類やその程度が個々の障害者により多様であることを踏まえると、中立的基準も多様となることが考えられるが、事業者等が事前に予測することは可能か。 中立的基準について、事業者に対して合理的配慮の提供が義務化される中で、合理的配慮を提供してもなお不利益が解消されないものとしてどのようなものがあるのか。 「不当な差別的取扱い」と判断された場合、事業者等に対し、当該中立的基準についてどのように取り扱うことを求めるのか。 障害者でない者も含め、一律に当該中立的基準を撤廃することを求めるとするのか、又は当該障害者の状況に応じて個別の対応を提供することを求めるとすべきか。 「正当な理由」の判断の視点について、どのように考えるか。 p17 3.合理的配慮 障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見(令和2年6月22日)(抄) 3.個別の論点と見直しの方向性 (2)事業者による合理的配慮の提供について (見直しの方向性) 2建設的対話の促進、事例の共有等 建設的対話を適切に行うべきであること、障害者やその家族が社会的障壁を解消するための方法等を相手に分かりやすく伝えることや、障害特性によって意思決定や意思疎通が困難である場合に障害者やその家族に配慮することも重要であることを、基本方針等で明確化すべきである。 (3)相談・紛争解決の体制整備について (見直しの方向性) 2相談対応等を契機とした事前的改善措置(環境整備)の促進 相談・紛争の事案を事前に防止することに有効と考えられるため、特に幅広い事業者等における取組が期待される、相談対応等を契機とした事業者の内部規則見直し等の環境整備について、その重要性の明確化を図るとともに、そうした取組を促すべきである。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和3年4月16日 衆議院内閣委員会)(抄) 六 基本方針等において、障害の分野に応じて、具体的な差別事例や合理的配慮の提供事例を盛り込むことを検討すること。 十四 国の各行政機関又は地方公共団体が合理的配慮を提供しない場合は、その理由を障害者側に十分説明することに努め、その旨を国の各行政機関及び地方公共団体に周知徹底すること。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(令和3年5月27日 参議院内閣委員会)(抄) 六 基本方針等において、障害の分野に応じて、具体的な差別事例や合理的配慮の提供事例を盛り込むことを検討すること。 十四 合理的配慮の提供に当たっての意思の表明について、知的障害等により本人の意思の表明が困難な場合には家族、介助者等が本人を補佐して行うことも可能であることを、国の各行政機関、地方公共団体及び民間事業者に十分に周知すること。 p18 十六 国の各行政機関又は地方公共団体が合理的配慮を提供しない場合は、その理由を障害者側に十分説明することに努め、その旨を国の各行政機関及び地方公共団体に周知徹底すること。 障害者差別解消法に基づく基本方針改定に係る団体ヒアリングにおける主な御意見 1合理的配慮の基本的な考え方 <合理的配慮の捉え方について> 合理的配慮が行われることが当たり前(権利・義務)、というロジックからスタートする中では、当然過重な負担は無理との主張が生まれる。誰もが快く利用できるサービスの提供に向けて、どうコミュニケーションをとるかという視点が大切。(障害者団体) 事業者と障害者を対立軸で捉えるのではなく、「建設的な対話」や「相互理解」といった姿勢、「共助」の考え方が重要であり、こうした点を共有していきたい。事業者にとってはサービスやおもてなしの向上といった観点でも重要。(事業者団体等) <義務化による合理的配慮の内容について> 事業者による合理的配慮の提供が義務化されたことにより、求められる「合理的配慮」の内容自体が変更されるものではないことをあらゆる主体が再確認すべき。(事業者団体等) <合理的配慮の判断基準や事例について> 合理的配慮について、一律の判断基準を設けることは困難。(事業者団体等) 反対解釈の乱用など恣意的な解釈を防ぐための基本方針やガイドラインの策定・運用を行うべき。(障害者団体) 合理的配慮の提供は当事者及び家族の完全参加と同意を条件とすべき。合理的配慮は当事者の個別ニードをもとに規定されるものであって、前例がないことなどを理由に一律に上限や制限を設けるべきではない。(障害者団体) p19 合理的配慮は本来業務に付随するものであることを踏まえ、どこまでが対象となるか、当事者の認識を合わせることが必要。(事業者団体等) 合理的配慮の「現時点における一例」において、具体的な例を挙げて説明してほしい(特に、知的障害や精神障害における具体例も追記してはどうか)。(事業者団体等、障害者団体) 合理的配慮の提供に係る好事例や提供義務違反にならない事例の提供も有効であるほか、「合理的配慮の提供」と「環境整備」との関係も分かりやすくすべき。(事業者団体等) 知的・発達障害のある方に向けての分かりやすい情報提供について、写真、絵、ピクトグラム、カードを活用することや、ゆっくり、ていねいに、分かりやすく話、支援者が同席するなどの工夫が求められる。(障害者団体) 非常時における合理的配慮のあり方を追記してはどうか。(障害者団体) 合理的配慮の例として、拡大文字、点字、音声、電子データなどに変換して提供することは、過重な負担ではなく、合理的配慮の一つであるということを例示でもよいので、明記してほしい。(障害者団体) <行政機関等における合理的配慮について> 行政機関等における合理的配慮は、民間事業主における合理的配慮よりも広い範囲で提供されるべきである。(障害者団体) 行政機関でしかできない対応がある一方、民間事業者においても、規模等により対応可能なものもある。(地方団体) <意思の表明について> 意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、「自主的な取組に努める」のではなく、「積極的に合理的配慮の提供をすべきである」と変更してほしい。(障害者団体) 見ただけでは分かりにくい障害をもつ障害者には、見ただけで障害があると分かる者とは異なる支援の必要性があることに留意する必要があるという内容を追記してほしい。(障害者団体) 内部障害への配慮を加えてほしい。合理的な配慮の意思表明について、外見のみで障害者と判断できない場合、本人の意思表明に周囲が気づきにくく、本人が意思表明を逡巡する。事業者や行政があらかじめ周囲に障害を認識させた上で、配慮が何か問いかけすることが望ましい。(障害者団体) p20 「女性である障害者は、特に、プライバシーが確保されにくく、意思の表明も難しいことにも留意する」旨追記すべき。(障害者団体) 合理的配慮の意思表明について、「知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表示が困難な場合には、……」とあるところ、単に「本人の意思表示が困難な場合には、」とすべき(障害種別の表記は不要)である。(障害者団体) 障害の判断が外見上できないにもかかわらず、対応に不備があるとの指摘を受け対応に苦慮することや、合理的配慮の提供を行う際、障害者が「以前大丈夫だった」などと回答するのみで個別具体的なヒアリングに応じてもらえないことがあるため、障害者から行う「現に社会的障壁の除去を必要とする意思の表明」については、どのような配慮や措置を希望するのかを具体的に示すように努めるよう追記してほしい。(事業者団体等) 意思の表明に関連して、「障害の多様性や、障害に起因するコミュニケーションの困難さに十分に配慮し、障害者の理解しやすさにあわせて、「わかりやすさ」と「ゆっくりとしたペース」でコミュニケーションが進行するよう配慮すること」旨追記してほしい。(障害者団体) <その他の御意見> 事業者の負担が過大とならないよう、障害者、介助者(家族など)、他の利用者も「協力する又は努める」旨を追加してほしい。(事業者団体等) 事業者側も障害者であった場合に、対応が難しい場合がある。(事業者団体等) 高次脳機能障害においては、本人の意思に沿う配慮をすると、家族にとっては納得のいく配慮とならない場合がある。(障害者団体) <ヒアリングにおいて提供された事例> 私立大学の中には、入試の受験はかまわないが、入学後の点字等の教材の保証ができないことをちらつかせ、事実上受験をあきらめるよう誘導するケースがある。合理的配慮の不提供でもあり、間接的な不当差別ともいえる。(障害者団体) 地下鉄の駅係員に対し、朝のラッシュ時間帯に白杖をお持ちの方に車いすでタクシー乗り場まで送るよう依頼されたが、係員が1名しかいなかったために断った。(事業者団体等) p21 毎回同じ職員を指定して介助を頼んでくるのは過度な負担となる。(事業者団体等) 実際にはお断りしているケースより、過重な負担に値するにもかかわらず、現場では対応を実施しているケースがある。例えば、顧客の排泄介助や食事介助のような事業者として義務が生じないことについても現場判断で実施している。(事業者団体等) 視覚障害のある客をホームに誘導する際、当該客からホーム上の売店での購入を依頼され、対応しているものの、配慮すべき事案なのか悩ましい。(事業者団体等) 駅構外への荷物の運搬の強要や他会社への改札までの案内の要請などがある。(事業者団体等) 車いす利用の女性客について、降車駅を乗務員に伝えるためのアナウンスは今後廃止予定で調整中。(事業者団体等) <環境の整備について> 環境の整備は、長期的なコストの削減・効率化という視点だけでなく、誰もが暮らしやすい社会を実現する上で必要不可欠である旨をもう少し前面に出してほしい。(障害者団体) 「合理的配慮の提供」と「環境整備」との関係も分かりやすくすべき。(事業者団体等) 2「過重な負担」について <過重な負担の考慮要素について> 過重な負担の考慮要素として、障害者の権利利益の性質も含めることが検討されるべき。(障害者団体) 過重な負担の基本的な考え方について、考慮すべき要素の「実現可能性の程度」に記載のあるカッコ内の例示に、「法令上の制約」を追記すべき。(石油販売業界は消防法の規定により、運営形態によっては対応できない場合があるため。)(事業者団体等) 「過重な負担」について、「適正な負担」又は「可能な負担」とすべき。(事業者団体等) 行政機関が相談を受けた際、「負担が過重でない」と判断する基準が明確に示されていないため、客観的な判断が難しい。(地方団体) p22 <過重な負担の事例について> 「過重な負担」について、事例を用いて分かりやすい形で明確化することが必要。(事業者団体等) 過重な負担については、相互に主観に基づく場合建設的対話にならないので、過重な負担になる程度を具体的に数多く示してほしい。(障害者団体) <ヒアリングにおいて提供された事例> 視覚障害者等にアクセシブルな媒体への変換のために、出版物のテキストデータの提供を出版社に求められるが、印刷用データからの別途抽出が必要であり、費用がかかる。費用全てを出版社が賄うことは適当ではない。(事業者団体等) <行政機関及び事業者による「過重な負担」の説明について> (「理解を得なければならない」「理解を得るよう努める」とすべきという御意見) 「理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」という現行の記載を「理解を得なければならない/理解を得るよう努める」と修正すべき。(障害者団体) (具体的な根拠を示して説明すべきとする御意見) 「過重な負担」について、行政機関等や事業者の側において根拠を交えて説明することや、証拠となる資料を求められた場合には応じること(少なくとも、誠実な説明を行うこと)を追記すべき。(障害者団体、事業者団体等) 「過重な負担」について、行政機関等の側で根拠に基づく説明や根拠資料の提示を行うことは望ましいと考える。(地方団体) (具体的な根拠を示して説明すべきとすることは困難とする御意見) 法律において事業者に説明責任等を義務付ける規定はなく、基本方針で義務付けることはできない。(事業者団体等) 証拠となる資料を求められた場合に応じることを義務付けることは、要求の対応や求められる証拠の内容、事業者の規模や人員・体制によっては事業者にとって過大な負担となり、かえって状況に即した柔軟な対応がしにくくなるおそれがあるので追記の必要はない。(事業者団体等) p23 「過重な負担」の考え方が明確でないことや、合理的配慮の内容はその時々に応じて変わり得ることから、資料の提供を必ず行うことは困難。(事業者団体等、地方団体) 現行の基本方針において既に「障害者にその理由を説明するものとし」との記載があるので、特に追記が必要とは考えない。(事業者団体等) (過重な負担の詳細な考え方や事例の共有等が必要とする御意見) 追記する場合には、「過重な負担」の考え方の詳細や具体的な対応事例の共有等が必要。(事業者団体等、地方団体) (その他) 「理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい」という現行の記載は、考え方は理解できるが、現場においては非常に困難な事例に発展する可能性を含んでいると懸念する。(事業者団体等) 根拠資料の提示を求められるということは、開示請求と同様になると考えられるが、個人情報等へ配慮・対応等を考えると、解決につながる資料としての位置づけが難しい。(地方団体) <建設的対話について> 合理的配慮は建設的対話による相互理解を通じて実施されるべきものであることに留意すべき。(事業者団体等) 「社会モデル」という考え方をもっと広めていくことが肝要であり、障害者差別解消法が制定されているからこそ丁寧に対話をして、一緒に解決策を探るという姿勢が必要であることを障害者自身が認識することも大事。(障害者団体等) 建設的対話を行うためには、事業者だけでなく障害者やその家族、その他一般の利用者にも、合理的配慮に関する正しい理解が必要。(事業者団体等) 主張が平行線にならないよう、両者間で理解の齟齬が生じないような共通理解・基準を持つことが必要。(事業者団体等) 建設的対話を円滑に進めるために、建設的対話の展開過程と留意事項を基本方針に書き込む必要がある。(障害者団体) 障害者側が当然の権利意識を持つことに加え、行政機関等や事業者の従事者が障害理解を深めることの両方が必要。(障害者団体) p24 合理的配慮の好事例を収集・蓄積し、利用者、サービス提供者がそれら事例について知っておくことは重要。(障害者団体) 事例収集等を踏まえ、各分野における合理的配慮の内容や負担の判断に関するガイドラインや具体例を示し、建設的対話の際の活用を促してはどうか。(障害者団体) 行政機関側には対応事例の蓄積が大切であり、全国共通の対応事例のデータベースの蓄積があると建設的対話に有効であると考える。(地方団体) 対話にあたっては、事業者の基礎知識の習得が不可欠であり、自治体と事業所の連携を強化して研修等による知識普及や事業所に対する相談体制が必要。(障害者団体) 過去における一部の事象・事例をもっていたずらに拡大解釈しないことや代替措置の御提案を含め柔軟な選択肢を検討することが望ましいことを、障害者と事業者双方で共有することが必要。(事業者団体等) 公正な第三者機関が必要ではないか。(障害者団体) 相互理解を進めるためにファシリテーターのような専門職の登録ができると良い。(障害者団体) 障害特性をよく理解し、問題の事柄の知識を有する者が仲裁者として介在することが必要。(障害者団体) <建設的対話を行うに当たっての配慮や工夫について> 職員研修等において障害のある女性の複合差別について必修科目とすることや、建設的対話における関係者の性別を考慮するなど、障害のある女性との間で建設的対話が成立するような環境を作ることが必要である。(障害者団体) 建設的対話が困難な場合の対応についても具体的に示す必要がある(知的障害者、精神障害者などの建設的対話が困難な場合の事例がある)。(障害者団体) ピアサポートを通じた障害者のエンパワメントも言及すべき(障害者団体) 障害や疾患の基本的な理解を進めるような資料に加え、各個人が具体的に期待する支援について、分かりやすく示すことができる資材があると良い。(障害者団体) 障害の種別や程度は様々であることから、当ネットワークでは「私の見え方紹介カード」を作成した。それぞれの障害で一般論としてまとめられることがあれば、障害理解を促進するようなリーフレットを作ることも一案ではないか。(障害者団体) p25 <意見交換等を行うことについて> 双方で「できること」と「できないこと」を事前に明確にするため、定期的な情報共有ができる場、継続的に話し合う場を設けることが必要。国や地方公共団体も含めた中での対話の在り方が重要ではないか。(事業者団体等) 当事者団体との意見交換会等を通して、障害者側と行政機関側と双方において情報共有又は共通認識をもつように努めることが必要。(地方団体) 定期的に関連団体同士での意見交換が必要。段階を踏んで、複数回にわたり話し合いを行う。建設的と思われる対話の事例紹介も必要。(事業者団体等) <その他> 事案が発生した際に、一方的にSNS等に発信されることは望ましくない。事案が発生した場合には、交通事故のようにきちんと届出をして社会全体として状況を共有することが必要。(事業者団体等) 建設的対話によって確認された合理的配慮が、その後実行されない事例があることから、建設的対話の展開過程(モニタリング、フォローイング)と留意事項について基本方針に入れ込む必要がある。(障害者団体)