資料2 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針改定案 新旧対照表 (作業者注・現行の基本方針からの修正点は、《二重山形かっこ書き》で前後を挟んでいる。さらに、第69回政策委員会資料から修正のあった箇所については【墨付きかっこ書き】で前後を挟んでいる。) p1 改正案 (現行に同じ) 現行 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「法」という。)第6条第1項の規定に基づき、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を策定する。基本方針は、障害を理由とする差別(以下「障害者差別」という。)の解消に向けた、政府の施策の総合的かつ一体的な実施に関する基本的な考え方を示すものである。 改正案 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 1 法制定の背景《及び経過》 (現行に同じ) 現行 第1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向 1 法制定の背景 近年、障害者の権利擁護に向けた取組が国際的に進展し、平成18年に国連において、障害者の人権及び基本的自由の享有を確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進するための包括的かつ総合的な国際条約である障害者の権利に関する条約(以下「権利条約」という。)が採択された。我が国は、平成19年に権利条約に署名し、以来、国内法の整備を始めとする取組を進めてきた。 p2 改正案 (現行に同じ) 現行 権利条約は第2条において、「「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。」と定義し、その禁止について、締約国に全ての適当な措置を求めている。我が国においては、平成16年の障害者基本法(昭和45年法律第84号)の改正において、障害者に対する差別の禁止が基本的理念として明示され、さらに、平成23年の同法改正の際には、権利条約の趣旨を踏まえ、同法第2条第2号において、社会的障壁について、「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と定義されるとともに、基本原則として、同法第4条第1項に、「何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」こと、また、同条第2項に、「社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない」ことが規定された。 法は、障害者基本法の差別の禁止の基本原則を具体化するものであり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害者差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月に制定された。我が国は、本法の制定を含めた一連の障害者施策に係る取組の成果を踏まえ、平成26年1月に権利条約を締結した。 p3 改正案 《また、令和3年6月には、事業者による合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、相談体制の充実や事例の収集・提供の確保など障害を理由とする差別を解消するための支援措置を強化する措置を講ずることを内容とする改正法が公布された(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第56号))。》 現行 (新設) 改正案 2 基本的な考え方 (1)法の考え方 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要である。このため、法は、後述する、障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定し、行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組を求めるとともに、普及啓発活動等を通じて、障害者も含めた国民一人《一人》が、それぞれの立場において自発的に取り組むことを促している。 特に、法に規定された合理的配慮の提供に当たる行為は、既に社会の様々な場面において日常的に実践されているものもあ《る。》こうした取組を広く社会に示【しつつ、また、権利条約が採用する、いわゆる「社会モデル」の考え方の国民全体への浸透を図ることによって、国民一人一人の】障害に関する正しい知識の取得や理解が深ま《るとともに、障害者や行政機関等・事業者、地域住民といった様々な【関係者の建設的対話による】協力【と合意】により、共生社会の実現という共通の目標の実現に向けた取組が推進されること》を期待するものである。 現行 2 基本的な考え方 (1)法の考え方 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、日常生活や社会生活における障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している社会的障壁を取り除くことが重要である。このため、法は、後述する、障害者に対する不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供を差別と規定し、行政機関等及び事業者に対し、差別の解消に向けた具体的取組を求めるとともに、普及啓発活動等を通じて、障害者も含めた国民一人ひとりが、それぞれの立場において自発的に取り組むことを促している。 特に、法に規定された合理的配慮の提供に当たる行為は、既に社会の様々な場面において日常的に実践されているものもあり、こうした取組を広く社会に示すことにより、国民一人ひとりの、障害に関する正しい知識の取得や理解が深まり、障害者との建設的対話による相互理解が促進され、取組の裾野が一層広がることを期待するものである。 p4 改正案 (2)基本方針と対応要領・対応指針との関係 (現行に同じ) 現行 (2)基本方針と対応要領・対応指針との関係 基本方針に即して、国の行政機関の長及び独立行政法人等においては、当該機関の職員の取組に資するための対応要領を、主務大臣においては、事業者における取組に資するための対応指針を作成することとされている。地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人(以下「地方公共団体等」という。)については、地方分権の観点から、対応要領の作成は努力義務とされているが、積極的に取り組むことが望まれる。 改正案 対応要領及び対応指針は、法に規定された不当な差別的取扱い及び合理的配慮について、《障害種別に応じた》具体例も盛り込みながら分かりやすく示しつつ、行政機関等の職員に徹底し、事業者の取組を促進するとともに、広く国民に周知するものとする。 現行 対応要領及び対応指針は、法に規定された不当な差別的取扱い及び合理的配慮について、具体例も盛り込みながら分かりやすく示しつつ、行政機関等の職員に徹底し、事業者の取組を促進するとともに、広く国民に周知するものとする。 改正案 (3)条例との関係 (現行に同じ) 現行 (3)条例との関係 地方公共団体においては、近年、法の制定に先駆けて、障害者差別の解消に向けた条例の制定が進められるなど、各地で障害者差別の解消に係る気運の高まりが見られるところである。法の施行後においても、地域の実情に即した既存の条例(いわゆる上乗せ・横出し条例を含む。)については引き続き効力を有し、また、新たに制定することも制限されることはなく、障害者にとって身近な地域において、条例の制定も含めた障害者差別を解消する取組の推進が望まれる。 p5 改正案 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項 1 法の対象範囲 (1)障害者 対象となる障害者は、《法》第2条第1号に規定する障害者、即ち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者で《あって》、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。《これは、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者の定義と同様であり》、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害《及び高次脳機能障害》を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって、法が対象とする障害者《の該当性は当該者の状況等に応じて個別に判断されることとなり、》いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。 現行 第2 行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項 1 法の対象範囲 (1)障害者 対象となる障害者は、障害者基本法第2条第1号に規定する障害者、即ち、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」である。これは、障害者が日常生活又は社会生活において受ける制限は、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(難病に起因する障害を含む。)のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえている。したがって、法が対象とする障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれる。 改正案 【(削除)】 現行 また、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、更に複合的に困難な状況に置かれている場合があること、障害児には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する。 p6 改正案 (2)事業者 対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人を除く。)であり、目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者である。したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象とな《り、また対面やオンラインなどサービス等の提供形態の別も問わない》。 現行 (2)事業者 対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者(地方公共団体の経営する企業及び公営企業型地方独立行政法人を含み、国、独立行政法人等、地方公共団体及び公営企業型以外の地方独立行政法人を除く。)であり、目的の営利・非営利、個人・法人の別を問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって行う者である。したがって、例えば、個人事業者や対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や特定非営利活動法人も対象となる。 改正案 (3)対象分野 (現行に同じ) 現行 (3)対象分野 法は、日常生活及び社会生活全般に係る分野が広く対象となる。ただし、行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置については、法第13条により、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)の定めるところによることとされている。 p7 改正案 2 不当な差別的取扱い (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。《なお、車【椅子】、補助犬その他の支援機器等の利用【や】介助者の付添い等の社会的障壁を解消するための手段の利用等を理由として行われる不当な差別的取扱いも、障害を理由とする不当な差別的取扱いに該当する。 また》、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。 現行 2 不当な差別的取扱い (1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方 ア 法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している。 (新設) なお、障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、不当な差別的取扱いではない。 改正案 イ (現行に同じ) 現行 イ したがって、障害者を障害者でない者と比べて優遇する取扱い(いわゆる積極的改善措置)、法に規定された障害者に対する合理的配慮の提供による障害者でない者との異なる取扱いや、合理的配慮を提供等するために必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ障害者に障害の状況等を確認することは、不当な差別的取扱いには当たらない。不当な差別的取扱いとは、正当な理由なく、障害者を、問題となる事務・事業について本質的に関係する諸事情が同じ障害者でない者より不利に扱うことである点に留意する必要がある。 p8 改正案 (2)正当な理由の判断の視点 (現行に同じ) 現行 (2)正当な理由の判断の視点 正当な理由に相当するのは、障害者に対して、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。行政機関等及び事業者においては、正当な理由に相当するか否かについて、個別の事案ごとに、障害者、事業者、第三者の権利利益(例:安全の確保、財産の保全、事業の目的・内容・機能の維持、損害発生の防止等)及び行政機関等の事務・事業の目的・内容・機能の維持等の観点に鑑み、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。 改正案 《正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例及び正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。》【なお、記載されている事例はあくまでも例示であり、正当な理由に相当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であること、合理的配慮の提供については別途の検討が必要であることに留意する。】 現行 (新設) 改正案 《(正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例) 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮することなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を拒否すること。 業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所での対応を行うこと。 障害があることを理由として、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること。 障害があることを理由として、具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、障害者に対し一律に保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること。》 現行 (新設) p9 改正案 《(正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例) 実習を伴う講座において、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる【障害特性のある】障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定すること。(障害者本人の安全確保の観点) 飲食店において、タイヤカバーのない車椅子の利用者が畳敷きの個室を希望した際に、そのまま入室すると畳が傷つくおそれがあることから、カーペット敷きの別室を案内すること。(事業者の損害発生の防止の観点) 銀行において口座開設等の手続を行うため、預金者となる障害者本人に同行した者が代筆をしようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の取引意思等を確認すること。(障害者本人の財産の保全の観点)》 現行 (参考)第69回障害者政策委員会 資料1 実習を伴う講座において、障害の特性上、実習に必要な作業の遂行上具体的な危険の発生が見込まれる障害者に対し、当該実習とは別の実習を設定すること。(障害者本人及び第三者の安全確保の観点) 改正案 《定時性確保のため、【電動車椅子の利用者に対し、搭乗手続や保安検査に要する必要最低限の所要時間を考慮し、必要がある場合には、その分だけ】早めに空港に来てもらうこと。(事業の目的・内容・機能の維持の観点)》 現行 (参考)第69回障害者政策委員会 資料1 定時性確保のため、搭乗手続や保安検査に時間がかかることが予想される障害のある利用者には早めに空港に来てもらうこと。(事業の目的・内容・機能の維持の観点) 改正案 行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を《丁寧に》説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。《その際、行政機関等及び事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら相互理解を図ることが求められる》。 現行 行政機関等及び事業者は、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 p10 改正案 3 合理的配慮 (1)合理的配慮の基本的な考え方 ア (現行に同じ) 現行 3 合理的配慮 (1)合理的配慮の基本的な考え方 ア 権利条約第2条において、「合理的配慮」は、「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されている。 法は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえ、行政機関等及び事業者に対し、その事務・事業を行うに当たり、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮(以下「合理的配慮」という。)を行うことを求めている。合理的配慮は、障害者が受ける制限は、障害のみに起因するものではなく、社会における様々な障壁と相対することによって生ずるものとのいわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、障害者が個々の場面において必要としている社会的障壁を除去するための必要かつ合理的な取組であり、その実施に伴う負担が過重でないものである。 p11 改正案 (注・現行記載箇所は後述イに移動) 現行 合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要がある。 改正案 イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであ《る。また、【その内容は、後述する「環境の整備」に係る状況や、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。】 合理的配慮は、行政機関等及び事業者の事務・事業の目的・内容・機能に照らし、必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られること、障害者でない者との比較において同等の機会の提供を受けるためのものであること、事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことに留意する必要があ【る。】その提供に当たってはこれらの点に留意した上で、》当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、《当該障害者本人の意向を尊重しつつ》「(2)過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素も考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で柔軟に対応がなされる《必要が》ある。【建設的対話に当たっては、障害者にとっての社会的障壁を除去するための実現可能な対応案を障害者と行政機関等・事業者が共に考えていくために、双方がお互いの状況の理解に努めることが重要である。例えば、障害者本人が社会的障壁の除去のために普段講じている対策や、行政機関等や事業者が対応可能な取組等を対話の中で共有する等、建設的対話を通じて相互理解を深め、様々な対応策を柔軟に検討していくことが円滑な対応に資すると考えられる。】 現行 イ 合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、「(2)過重な負担の基本的な考え方」に掲げた要素を考慮し、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解を通じて、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応がなされるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものである。 p12 改正案 《ウ 現時点における合理的配慮の一例としては以下の例が挙げられる。なお、記載されている事例はあくまでも例示であり、あらゆる事業主が必ずしも実施するものではな【いこと】、以下の事例以外であっても合理的配慮に該当するものがあることに留意する。》 現行 現時点における一例としては、 改正案 《(合理的配慮の例)》 車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮《を行うこと。》 筆談、読み上げ、手話《、コミュニケーションボードの活用》などによるコミュニケーション、《振り仮名や写真、イラストなど》分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮《を行うこと。》 障害の特性に応じた休憩時間の調整《や必要なデジタル機器の使用の許可》などのルール・慣行の柔軟な変更《を行うこと。 店内の単独移動や商品の場所の特定が困難な障害者に対し、店内移動と買物の支援を行うこと。》 現行 車椅子利用者のために段差に携帯スロープを渡す、高い所に陳列された商品を取って渡すなどの物理的環境への配慮 筆談、読み上げ、手話などによるコミュニケーション、分かりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮 障害の特性に応じた休憩時間の調整などのルール・慣行の柔軟な変更などが挙げられる。 (新設) 改正案 《また、合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例及び該当しないと考えられる例としては、次のようなものがある。【なお、記載されている事例はあくまでも例示であり、合理的配慮の提供義務違反に該当するか否かについては、個別の事案ごとに、前述の観点等を踏まえて判断することが必要であることに留意する。】》 現行 (新設) p13 改正案 《(合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる事例) 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。 イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。 電話利用が困難な障害者から【電話以外の手段により】各種手続【が行えるよう配慮を】求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに【配慮】を断ること。 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。 (合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる事例) 飲食店において、食事介助や自宅への送迎等を求める配慮の申出があった場合に、当該飲食店が当該業務を事務・事業の一環として行っていないことから、その提供を断ること。(本来の業務に付随するか否かの観点)》 現行 (新設) p14 改正案 《筆談で十分対応できる【簡単な】やり取りに【対し】手話通訳者の派遣を求められた場合に、当該要望への対応を断ること。(必要とされる範囲か否かの観点)》 現行 (参考)第69回障害者政策委員会 資料1 筆談で十分対応できるやり取りに手話通訳者の派遣を求められた場合に、当該要望への対応を断ること。(必要とされる範囲か否かの観点) 改正案 《小売店において、混雑時に視覚障害者から店員に対し、店内を付き添って買物の補助を求める配慮の申出があった場合に、混雑時のため付添いはできないが、店員が買物リストに従って商品を準備することができる旨を提案すること。(過重な負担(人的・体制上の制約)の観点) オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、その事業の目的・内容から対面での個別指導を可能とする人的体制・設備を有していないため、当該対応を断ること。(【事務・】事業の目的・内容・機能の本質的な変更に当たるか否かの観点) また、》合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものと【し、】《特に障害のある女性に対しては、障害に加えて女性であることも踏まえた配慮が求められることに留意する。》内閣府及び関係行政機関は、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとする。 現行 合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。内閣府及び関係行政機関は、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとする。 改正案 (注・現行記載箇所は後述の「(3)環境と整備との関係」に移動) 現行 なお、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、後述する環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。 p15 改正案 《エ》 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。《その際には、社会的障壁を解消するための方法等を相手に分かりやすく伝えることが望ましい。》 また、障害者からの意思表明のみでなく、《障害の特性》等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が《、》本人を補佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 現行 ウ 意思の表明に当たっては、具体的場面において、社会的障壁の除去に関する配慮を必要としている状況にあることを言語(手話を含む。)のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振りサイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者が他人とコミュニケーションを図る際に必要な手段(通訳を介するものを含む。)により伝えられる。 また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。 なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な取組に努めることが望ましい。 改正案 (注・現行記載箇所は後述の「(3)環境の整備との関係」に移動) 現行 エ 合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、介助者等の人的支援、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備(「第5」において後述)を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。また、障害の状態等が変化することもあるため、特に、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、提供する合理的配慮について、適宜、見直しを行うことが重要である。 p16 改正案 (2)過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者に《丁寧に》その理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。《その際【には前述のとおり、】行政機関等及び事業者と障害者の双方が、お互いに相手の立場を尊重しながら、建設的対話を通じて相互理解を図り、代替措置の選択も含めた対応を柔軟に検討することが求められる。》 現行 (2)過重な負担の基本的な考え方 過重な負担については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要である。行政機関等及び事業者は、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。 改正案 (現行に同じ) 現行 事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か) 実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約) 費用・負担の程度 事務・事業規模 財政・財務状況 p17 改正案 《(3)環境の整備との関係 ア 環境の整備の基本的な考え方 法は、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)を、環境の整備として行政機関等及び事業者の努力義務としている。環境の整備においては、新しい技術開発が投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。また、ハード面のみならず、職員に対する研修や、規定の整備等の対応も含まれることが重要である。 障害者差別の解消のための取組は、【このような】環境の整備【の施策や取組を着実に進め、環境の整備と】合理的配慮の提供を両輪として進められることが重要である。》 現行 (参考)第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 1 環境の整備 法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしている。新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれることが重要である。 障害者差別の解消のための取組は、このような環境の整備を行うための施策と連携しながら進められることが重要であり、ハード面でのバリアフリー化施策、情報の取得・利用・発信におけるアクセシビリティ向上のための施策、職員に対する研修等、環境の整備の施策を着実に進めることが必要である。 改正案 《イ 合理的配慮との関係 環境の整備は、不特定多数の障害者向けに事前的改善措置を行うものであるが、合理的配慮は、環境の整備を基礎として、その実施に伴う負担が過重でない場合に、特定の障害者に対して、個別の状況に応じて講じられる措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、合理的配慮の内容は異なることとなる。 合理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る一例としては以下の例が挙げられる。 視覚障害者から申込書類への代筆を求められた場合に、本人の意向を確認しながら店員が代筆する(合理的配慮の提供)とともに、以後、他の障害者から同様の申出があった場合に円滑に対応できるよう、申込手続における適切な代筆の仕方について店員研修を行う(環境の整備)。》 現行 (新設) p18 改正案 《オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話や【電子】メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。 なお、多数の障害者が直面し得る社会的障壁をあらかじめ除去するという観点から、合理的配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合等において、他の障害者等への波及効果についても考慮した環境の整備を行うことや、相談・紛争事案を事前に防止する観点からは、合理的配慮の提供に関する相談対応等を契機に、行政機関等及び事業者の内部規則やマニュアル等の制度改正等の環境の整備を図ることは有効であ【る。】また環境の整備は【、障害者との関係が長期にわたる場合においても、】その都度の合理的配慮の提供が不要となるという点で、中・長期的なコストの削減・効率化にも資することとなる。》 現行 (参考)第64回障害者政策委員会 資料1 オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援を求める申出があった場合に、求めに応じて電話での対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行う(環境の整備)。 p19 改正案 第3 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 1 基本的な考え方 (現行に同じ) 現行 第3 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 1 基本的な考え方 行政機関等においては、その事務・事業の公共性に鑑み、障害者差別の解消に率先して取り組む主体として、不当な差別的取扱いの禁止及び合理的配慮の提供が法的義務とされており、国の行政機関の長及び独立行政法人等は、当該機関の職員による取組を確実なものとするため、対応要領を定めることとされている。行政機関等における差別禁止を確実なものとするためには、差別禁止に係る具体的取組と併せて、相談窓口の明確化、職員の研修・啓発の機会の確保等を徹底することが重要であり、対応要領においてこの旨を明記するものとする。 改正案 2 対応要領 (1)対応要領の位置付け及び作成【・変更】手続 対応要領は、行政機関等が事務・事業を行うに当たり、職員が遵守すべき服務規律の一環として定められる必要があり、国の行政機関であれば、各機関の長が定める訓令等が、また、独立行政法人等については、内部規則の様式に従って定められることが考えられる。 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、対応要領の作成【・変更】に当たり、障害者その他の関係者を構成員に含む会議の開催、障害者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、作成【等の】後は、対応要領を公表しなければならない。 現行 2 対応要領 (1)対応要領の位置付け及び作成手続 対応要領は、行政機関等が事務・事業を行うに当たり、職員が遵守すべき服務規律の一環として定められる必要があり、国の行政機関であれば、各機関の長が定める訓令等が、また、独立行政法人等については、内部規則の様式に従って定められることが考えられる。 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、対応要領の作成に当たり、障害者その他の関係者を構成員に含む会議の開催、障害者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、作成後は、対応要領を公表しなければならない。 p20 改正案 (2)対応要領の記載事項 対応要領の記載事項としては、以下のものが考えられる。《なお、具体例を記載する際には、障害特性や年齢、性別、具体的な場面等を考慮したものとなるよう留意することとする。》 趣旨 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 相談体制の整備 職員への研修・啓発 現行 (2)対応要領の記載事項 対応要領の記載事項としては、以下のものが考えられる。 趣旨 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 相談体制の整備 職員への研修・啓発 改正案 3 地方公共団体等における対応要領に関する事項 (現行に同じ) 現行 3 地方公共団体等における対応要領に関する事項 地方公共団体等における対応要領の作成については、地方分権の趣旨に鑑み、法においては努力義務とされている。地方公共団体等において対応要領を作成する場合には、2(1)及び(2)に準じて行われることが望ましい。国は、地方公共団体等における対応要領の作成に関し、適時に資料・情報の提供、技術的助言など、所要の支援措置を講ずること等により協力しなければならない。 p21 改正案 第4 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 1 基本的な考え方 事業者については、《令和3年の法改正により、合理的配慮の提供が法的義務へと改められた。これを契機として、事業者においては、各主務大臣が作成する所掌分野における対応指針に基づき、合理的配慮の必要性につき一層認識を深めることが求められる。》主務大臣においては、所掌する分野の特性を踏まえたきめ細かな対応を行うものとする。各事業者における取組については、障害者差別の禁止に係る具体的取組はもとより、相談窓口の整備、事業者の研修・啓発の機会の確保《、個別事案への対応等を契機とした障害者差別の解消の推進に資する内部規則やマニュアルなど制度等の整備》等も重要であり、対応指針の作成に当たっては、この旨を明記するものとする。 現行 第4 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項 1 基本的な考え方 事業者については、不当な差別的取扱いの禁止が法的義務とされる一方で、事業における障害者との関係が分野・業種・場面・状況によって様々であり、求められる配慮の内容・程度も多種多様であることから、合理的配慮の提供については、努力義務とされている。このため、各主務大臣は、所掌する分野における対応指針を作成し、事業者は、対応指針を参考として、取組を主体的に進めることが期待される。主務大臣においては、所掌する分野の特性を踏まえたきめ細かな対応を行うものとする。各事業者における取組については、障害者差別の禁止に係る具体的取組はもとより、相談窓口の整備、事業者の研修・啓発の機会の確保等も重要であり、対応指針の作成に当たっては、この旨を明記するものとする。 改正案 (削除) 現行 同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合は、事業の類似性を踏まえつつ、事業主体の違いも考慮した上での対応に努めることが望ましい。また、公設民営の施設など、行政機関等がその事務・事業の一環として設置・実施し、事業者に運営を委託等している場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、委託等の条件に、対応要領を踏まえた合理的配慮の提供について盛り込むよう努めることが望ましい。 改正案 2 対応指針 (1)対応指針の位置付け及び作成《・変更》手続 主務大臣は、個別の場面における事業者の適切な対応・判断に資するための対応指針を作成《・変更》するものとされている。作成《等》に当たっては、障害者や事業者等を構成員に含む会議の開催、障害者団体や事業者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、作成《等の》後は、対応指針を公表しなければならない。 対応指針は事業者の適切な判断に資するために作成されるものであり、盛り込まれる合理的配慮の具体例は、事業者に強制する性格のものではなく、また、それだけに限られるものではない。事業者においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。 現行 2 対応指針 (1)対応指針の位置付け及び作成手続 主務大臣は、個別の場面における事業者の適切な対応・判断に資するための対応指針を作成するものとされている。作成に当たっては、障害者や事業者等を構成員に含む会議の開催、障害者団体や事業者団体等からのヒアリングなど、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、作成後は、対応指針を公表しなければならない。 なお、対応指針は、事業者の適切な判断に資するために作成されるものであり、盛り込まれる合理的配慮の具体例は、事業者に強制する性格のものではなく、また、それだけに限られるものではない。事業者においては、対応指針を踏まえ、具体的場面や状況に応じて柔軟に対応することが期待される。 p22 改正案 《また、対応指針は事業者に加え、障害者が相談を行う際や、国や地方公共団体における相談機関等が相談対応を行う際等にも、相談事案に係る所管省庁の確認のため参照され得るものであることから、対応指針においては、各主務大臣が所管する事業分野及び当該分野に対応する相談窓口を分かりやすく示すことが求められる。》 現行 (新設) 改正案 (2)対応指針の記載事項 対応指針の記載事項としては、以下のものが考えられる。《なお、具体例を記載する際には、障害特性や年齢、性別、具体的な場面等を考慮したものとなるよう留意することとする。》 趣旨 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 事業者における相談体制の整備 事業者における研修・啓発《、障害者差別の解消の推進に資する制度等の整備》 国の行政機関(主務大臣)における《所管する事業分野ごとの》相談窓口 現行 (2)対応指針の記載事項 対応指針の記載事項としては、以下のものが考えられる。 趣旨 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的な考え方 障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例 事業者における相談体制の整備 事業者における研修・啓発 国の行政機関(主務大臣)における相談窓口 p23 改正案 3 主務大臣による行政措置 事業者における障害者差別解消に向けた取組は、主務大臣の定める対応指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待される。しかしながら、事業者による自主的な取組のみによっては、その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など《には、主務大臣は、法第12条に基づき》、特に必要があると認められるときは、事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされている。《また、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律施行令(平成28年政令第32号。以下「施行令」という。)第3条により、各事業法等における監督権限に属する事務を地方公共団体の長等が行うこととされているときは、法第12条に規定する主務大臣の権限に属する事務についても、当該地方公共団体の長等が行うこととされている。この場合であっても、障害を理由とする差別の解消に対処するため特に必要があると認めるときは、主務大臣が自らその事務を行うことは妨げられていない。》 現行 3 主務大臣による行政措置 事業者における障害者差別解消に向けた取組は、主務大臣の定める対応指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待される。しかしながら、事業者による自主的な取組のみによっては、その適切な履行が確保されず、例えば、事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、主務大臣は、特に必要があると認められるときは、事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができることとされている。 (新設) 改正案 こうした行政措置に至る事案を未然に防止するため、主務大臣は、事業者に対して、対応指針に係る十分な情報提供を行うとともに、事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行うものとする。《特に、事業者による合理的配慮の提供の義務化に伴い、事業者から様々な相談が寄せられることが見込まれることから、円滑な相談対応等が可能となるよう、各主務大臣は、相談事案に関係する他の主務大臣や地方公共団体等の関係機関との連携を十分に図ることなどが求められる。》また、主務大臣による行政措置に当たっては、事業者における自主的な取組を尊重する法の趣旨に沿って、まず、報告徴収、助言、指導により改善を促すことを基本とする必要がある。主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて、毎年国会に報告するものとする。 現行 こうした行政措置に至る事案を未然に防止するため、主務大臣は、事業者に対して、対応指針に係る十分な情報提供を行うとともに、事業者からの照会・相談に丁寧に対応するなどの取組を積極的に行うものとする。 (新設) また、主務大臣による行政措置に当たっては、事業者における自主的な取組を尊重する法の趣旨に沿って、まず、報告徴収、助言、指導により改善を促すことを基本とする必要がある。主務大臣が事業者に対して行った助言、指導及び勧告については、取りまとめて、毎年国会に報告するものとする。 p24 改正案 第5 《国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関する基本的な事項》 (注・現行記載箇所は第2の「3 合理的配慮」の(3)のアに移動) 現行 第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 1 環境の整備 法は、不特定多数の障害者を主な対象として行われる事前的改善措置(いわゆるバリアフリー法に基づく公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上等)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための環境の整備として実施に努めることとしている。新しい技術開発が環境の整備に係る投資負担の軽減をもたらすこともあることから、技術進歩の動向を踏まえた取組が期待される。また、環境の整備には、ハード面のみならず、職員に対する研修等のソフト面の対応も含まれることが重要である。 障害者差別の解消のための取組は、このような環境の整備を行うための施策と連携しながら進められることが重要であり、ハード面でのバリアフリー化施策、情報の取得・利用・発信におけるアクセシビリティ向上のための施策、職員に対する研修等、環境の整備の施策を着実に進めることが必要である。 p25 改正案 《1》 相談及び紛争の防止等のための体制の整備 《(1)障害を理由とする差別に関する相談対応の基本的な考え方 法第14条において、国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう、人材の育成及び確保のための措置その他の必要な体制の整備を図るものとされている。》 障害者差別の解消を効果的に推進するには、《公正・中立な相談窓口等が、障害者や事業者等》からの相談等に的確に応じることが必要であ《る》。 現行 2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備 (新設) 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に応じることが必要であり、相談等に対応する際には、障害者の性別、年齢、状態等に配慮することが重要である。 改正案 《国においては、主務大臣がそれぞれの所掌する事業分野ごとに法第12条に基づく権限を有しており、各府省庁において所掌に応じた相談対応を行っている。また、地方公共団体においては、障害者差別の解消に関する相談につき分野を問わず一元的に受け付ける窓口や相談員を配置して対応する例、各部署・機関の窓口で対応する例などがある。 相談対応の基本的なプロセスとしては、以下のような例が考えられる。相談対応過程では相談者及びその相手方から丁寧な事実確認を行った上で、相談窓口や関係部局において対応方針の検討等を行い、建設的対話による相互理解を通じて解決を図ることが望ましい。その際には、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するとともに、個人情報の【適正】な取扱いを確保することが重要である。なお、公正中立な立場である相談窓口の担当者とは別に、必要に応じて、相談者となる障害者や事業者に寄り添い、相談に際して必要な支援を行う役割を担う者を置くことも円滑な相談対応に資すると考えられる。》 現行 (新設) p26 改正案 《その上で、基本的な対応での解決が難しい場合は、次の段階の取組として、国においては、法第12条に基づく主務大臣による行政措置や、地方公共団体においては、前述の施行令第3条に基づく措置のほか、一部の地方公共団体において条例で定められている報告徴収、助言、指導、勧告、公表などの措置や紛争解決のための措置による対応が考えられる。 (相談対応のプロセスの例) 相談者への丁寧な事実確認 関係者(関係部局)における情報共有、対応方針の検討 相手方への丁寧な事実確認 関係者(関係部局)における情報共有、事案の評価分析、対応方針の検討 相談者と相手方との調整、話合いの場の設定 なお、障害者差別に関する相談を担うこととされている窓口のみならず、日常的に障害者や事業者と関わる部局等も相談の一次的な受付窓口としての機能を担い得ることに留意する。》 現行 (新設) p27 改正案 《(2)国及び地方公共団体の役割分担並びに連携・協力に向けた取組 国及び地方公共団体には、様々な障害者差別解消のための相談窓口等が存在している。法は、新たな機関は設置せず、既存の機関等の活用・充実を図ることとしているところ、差別相談の特性上、個々の相談者のニーズに応じた相談窓口等の選択肢が複数あることは望ましく、国及び地方公共団体においては、適切な役割分担の下、相談窓口等の間の連携・協力により業務を行うことで、障害者差別の解消に向けて、効率的かつ効果的に対応を行うことが重要である。 相談対応等に際しては、【地域における障害者差別解消法を促進し、共生社会の実現に資する観点から、】まず相談者にとって一番身近な市区町村が基本的な窓口の役割を果たすことが【求められる】。都道府県は、市区町村への助言や広域的・専門的な事案についての支援・連携を行うとともに、必要に応じて一次的な相談窓口等の役割を担うことが考えられる。また、国においては各府省庁が所掌事務に応じて相談対応等を行うとともに、市区町村や都道府県のみでは対応が困難な事案について、適切な支援等を行う役割を担うことが考えられる。 相談対応等においては、このような国・都道府県・市区町村の役割分担を基本とし、適切な関係機関との間で必要な連携・協力がなされ、国及び地方公共団体が一体となって適切な対応を図ることができるような取組を、内閣府が中心となり、各府省庁や地方公共団体等と連携して推進することが重要である。このため内閣府においては、事業分野ごとの相談窓口の明確化を各府省庁に働きかけ、当該窓口一覧の作成・公表を行うほか、【障害者や事業者、都道府県・市区町村等からの相談に対して法令の説明や適切な相談窓口等につなぐ役割を担う国の相談窓口について検討を進め、どの相談窓口等においても対応されないという事案が生じることがないよう取り組む。】また、(3)の各相談窓口等に従事する人材の確保・育成の支援及び3の事例の収集・【整理・提供】を通じた相談窓口等の対応力の強化等にも取り組むこととする。》 現行 (新設) p28 改正案 《(3)人材の確保・育成 障害者差別に関する相談の解決を図るためには、障害者や事業者等からの相談を適切に受け止め、対応する人材の確保・育成が重要である。相談対応を行う人材は、公正中立な立場から相談対応を行うとともに、法や解決事例に関する知識、当事者間を調整する能力、連携・協力すべき関係機関に関する知識、障害特性に関する知識等が備わっていることが望ましい。国及び地方公共団体においては、必要な研修の実施等を通じて、相談対応を行う人材の専門性向上、相談対応業務の質向上を図ることが求められる。人材育成に係る取組に格差が生じることのないよう、内閣府においては、相談対応を担う人材育成に係る研修の実施を支援すること等を通じ、国及び地方公共団体における人材育成の取組を推進することとする。》 現行 (新設) 改正案 《2》 啓発活動 障害者差別については、国民一人《一人》の障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りに起因する面が大きいと考えられる《。全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、障害者に対する障害を理由とする差別は解消されなければならないこと、また障害者差別が、本人のみならずその家族等にも深い影響を及ぼすことを国民一人一人が認識するとともに、障害者差別解消のための取組は、障害者のみならず、全ての国民にとっての共生社会の実現に資するものであることについて、理解を深めることが不可欠である。このため、》内閣府を中心に、関係行政機関《等》と連携して、各種啓発活動に積極的に取り組み、国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。【また、各種啓発活動や研修等の実施に当たっては、障害のある女性は、合理的配慮の提供や建設的対話を申し出る場面等において、障害に加えて女性であることにより不公平な対応がなされる場合があるといった意見があること、障害のある子供には、成人の障害者とは異なる支援の必要性があることについても理解を促す必要があることに留意する。】 現行 3 啓発活動 障害者差別については、国民一人ひとりの障害に関する知識・理解の不足、意識の偏りに起因する面が大きいと考えられることから、内閣府を中心に、関係行政機関と連携して、各種啓発活動に積極的に取り組み、国民各層の障害に関する理解を促進するものとする。 p29 改正案 (1)行政機関等における職員に対する研修 行政機関等においては、所属する職員一人《一人》が障害者に対して適切に対応し、また、障害者《や事業者等》からの相談等に的確に対応するため、法《や基本方針、対応要領・対応指針》の周知徹底、障害者から話を聞く機会を設けるなどの各種研修等を実施することにより、職員の障害に関する理解の促進を図るものとする。 現行 (1)行政機関等における職員に対する研修 行政機関等においては、所属する職員一人ひとりが障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、法の趣旨の周知徹底、障害者から話を聞く機会を設けるなどの各種研修等を実施することにより、職員の障害に関する理解の促進を図るものとする。 改正案 (2)事業者における研修 事業者においては、障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、研修等を通じて、法《や基本方針、対応指針》の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進に努めるものとする。《内閣府においては、障害者の差別解消に向けた理解促進のためのポータルサイトにおいて、事業者が障害者に対応する際に参考となる【対応例】等の提供を通じ、事業者を含め社会全体における障害者差別解消に向けた理解や取組の進展を図ることとする。》 現行 (2)事業者における研修 事業者においては、障害者に対して適切に対応し、また、障害者及びその家族その他の関係者からの相談等に的確に対応するため、研修等を通じて、法の趣旨の普及を図るとともに、障害に関する理解の促進に努めるものとする。 (新設) p30 改正案 (3)地域住民等に対する啓発活動 ア 《国民一人一人が法の趣旨について理解を深め、建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう、障害者も含め、広く周知・啓発を行うことが重要である。このため、》内閣府を中心に、関係省庁、地方公共団体、事業者、障害者団体、マスメディア等の多様な主体との連携により、インターネットを活用した情報提供、ポスターの掲示、パンフレットの作成・配布、法の説明会やシンポジウム等の開催など、多様な媒体を用いた周知・啓発活動に積極的に取り組む。 現行 (3)地域住民等に対する啓発活動 ア 障害者差別が、本人のみならず、その家族等にも深い影響を及ぼすことを、国民一人ひとりが認識するとともに、法の趣旨について理解を深めることが不可欠であり、また、障害者からの働きかけによる建設的対話を通じた相互理解が促進されるよう、障害者も含め、広く周知・啓発を行うことが重要である。 内閣府を中心に、関係省庁、地方公共団体、事業者、障害者団体、マスメディア等の多様な主体との連携により、インターネットを活用した情報提供、ポスターの掲示、パンフレットの作成・配布、法の説明会やシンポジウム等の開催など、多様な媒体を用いた周知・啓発活動に積極的に取り組む。 改正案 イ 障害のある《子供》が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害のない《子供》と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する。障害のない《子供》の保護者に対する働きかけも重要である。 現行 イ 障害のある児童生徒が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害のない児童生徒と共に、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる機会を活用し、子供の頃から年齢を問わず障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらず共に助け合い・学び合う精神を涵養する。障害のない児童生徒の保護者に対する働きかけも重要である。 改正案 ウ (現行に同じ) 現行 ウ 国は、グループホーム等を含む、障害者関連施設の認可等に際して、周辺住民の同意を求める必要がないことを十分に周知するとともに、地方公共団体においては、当該認可等に際して、周辺住民の同意を求める必要がないことに留意しつつ、住民の理解を得るために積極的な啓発活動を行うことが望ましい。 p31 改正案 《3》 情報の収集、整理及び提供 《障害者差別の解消を推進するためには、事例の共有等を通じて障害を理由とする不当な差別的取扱いや合理的配慮の考え方等に係る共通認識の形成を図ることも重要である。内閣府では、引き続き各省庁や地方公共団体と連携・協力して事例を収集するとともに、参考となる事案の概要等を分かりやすく整理してデータベース化し、ホームページ等を通じて公表・提供することとする。 事例の収集・整理に当たっては、個人情報の適切な取扱いを確保しつつ、特に障害のある女性や子供等に対し実態を踏まえた適切な措置の実施が可能となるよう、性別や年齢別の情報が収集できるように努めることとする。》あわせて、海外の法制度や差別解消のための取組に係る調査研究等を通じ、権利条約に基づき設置された、障害者の権利に関する委員会を始めとする国際的な動向や情報の集積を図るものとする。 現行 (参考)第5 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 5 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 (1)情報の収集、整理及び提供 本法を効果的に運用していくため、内閣府においては、行政機関等による協力や協議会との連携などにより、個人情報の保護等に配慮しつつ、国内における具体例や裁判例等を収集・整理するものとする。あわせて、海外の法制度や差別解消のための取組に係る調査研究等を通じ、権利条約に基づき設置された、障害者の権利に関する委員会を始めとする国際的な動向や情報の集積を図るものとする。これらの成果については、障害者白書や内閣府ホームページ等を通じて、広く国民に提供するものとする。 p32 改正案 4 障害者差別解消支援地域協議会 (1)趣旨 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者にとって身近な地域において、主体的な取組がなされることが重要である。地域において日常生活、社会生活を営む障害者の活動は広範多岐にわたり、相談等を行うに当たっては、どの機関がどのような権限を有しているかは必ずしも明らかではない場合があり、また、相談等を受ける機関においても、相談内容によっては当該機関だけでは対応できない場合がある。このため、《国の地方支部分局を含め、》地域における様々な関係機関が、相談事例等に係る情報の共有・協議を通じて、各自の役割に応じた事案解決のための取組や類似事案の発生防止の取組など、地域《における障害者差別の解消の機運醸成を図り、それぞれ》の実情に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができることとされている。協議会については、障害者及びその家族の参画について配慮するとともに、性別・年齢、障害種別を考慮して組織することが望ましい。《また、情報やノウハウを共有し、関係者が一体となって事案に取り組むという観点から、地域の事業者や事業者団体についても協議会に参画することが有効である。》内閣府においては、協議会の設置状況等について公表するものとする。 現行 4 障害者差別解消支援地域協議会 (1)趣旨 障害者差別の解消を効果的に推進するには、障害者にとって身近な地域において、主体的な取組がなされることが重要である。地域において日常生活、社会生活を営む障害者の活動は広範多岐にわたり、相談等を行うに当たっては、どの機関がどのような権限を有しているかは必ずしも明らかではない場合があり、また、相談等を受ける機関においても、相談内容によっては当該機関だけでは対応できない場合がある。このため、地域における様々な関係機関が、相談事例等に係る情報の共有・協議を通じて、各自の役割に応じた事案解決のための取組や類似事案の発生防止の取組など、地域の実情に応じた差別の解消のための取組を主体的に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)を組織することができることとされている。協議会については、障害者及びその家族の参画について配慮するとともに、性別・年齢、障害種別を考慮して組織することが望ましい。 (新設) 内閣府においては、法施行後における協議会の設置状況等について公表するものとする。 p33 改正案 (2)期待される役割 協議会に期待される役割としては、関係機関から提供された相談事例等について、適切な相談窓口を有する機関の紹介、具体的事案の対応例の共有・協議、協議会の構成機関等における調停、斡旋等の様々な取組による紛争解決、複数の機関で紛争解決等に対応することへの後押し等が考えられる。 (注・現行記載箇所は後述の「(3)設置促進等に向けた取組」に移動) 《このほか、》関係機関において紛争解決に至った事例や合理的配慮の具体例、相談事案から合理的配慮に係る環境の整備を行うに至った事例などの共有・分析を通じて、構成機関等における業務改善、事案の発生防止のための取組、周知・啓発活動に係る協議等を行うこと《も》期待される。 現行 (2)期待される役割 協議会に期待される役割としては、関係機関から提供された相談事例等について、適切な相談窓口を有する機関の紹介、具体的事案の対応例の共有・協議、協議会の構成機関等における調停、斡旋等の様々な取組による紛争解決、複数の機関で紛争解決等に対応することへの後押し等が考えられる。 なお、都道府県において組織される協議会においては、紛争解決等に向けた取組について、市町村において組織される協議会を補完・支援する役割が期待される。 また、関係機関において紛争解決に至った事例、合理的配慮の具体例、相談事案から合理的配慮に係る環境の整備を行うに至った事例などの共有・分析を通じて、構成機関等における業務改善、事案の発生防止のための取組、周知・啓発活動に係る協議等を行うことが期待される。 改正案 《(3)設置促進等に向けた取組 各地方公共団体における協議会の設置促進のためには、協議会の単独設置が困難な場合等に、必要に応じて圏域単位など複数の市町村による協議会の共同設置・運営を検討することや、必要な構成員は確保しつつ、他の協議会等と一体的に運営するなど開催形式を柔軟に検討することが効果的と考えられる。 また、市町村における協議会の設置等の促進に当たっては都道府県の役割が重要であり、都道府県においては、管内市区町村における協議会の設置・実施状況の把握や好事例の展開等を通じて、市区町村における取組のバックアップを積極的に行うことが望ましい。加えて、都道府県において組織される協議会においても、紛争解決等に向けた取組について、市町村において組織される協議会を補完・支援する役割が期待される。内閣府においても、地方公共団体の担当者向けの研修の実施を通じ、地域における好事例が他の地域において共有されるための支援を行うなど、体制整備を促進する。》 現行 (新設) p34 改正案 (注・現行記載箇所は前述の「3 情報の収集、整理及び提供」に移動) 現行 5 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項 (1)情報の収集、整理及び提供 本法を効果的に運用していくため、内閣府においては、行政機関等による協力や協議会との連携などにより、個人情報の保護等に配慮しつつ、国内における具体例や裁判例等を収集・整理するものとする。あわせて、海外の法制度や差別解消のための取組に係る調査研究等を通じ、権利条約に基づき設置された、障害者の権利に関する委員会を始めとする国際的な動向や情報の集積を図るものとする。これらの成果については、障害者白書や内閣府ホームページ等を通じて、広く国民に提供するものとする。 改正案 《第6 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項》 (現行に同じ) 現行 (2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等 技術の進展、社会情勢の変化等は、特に、合理的配慮について、その内容、程度等に大きな進展をもたらし、また、実施に伴う負担を軽減し得るものであり、法の施行後においては、こうした動向や、不当な差別的取扱い及び合理的配慮の具体例の集積等を踏まえるとともに、国際的な動向も勘案しつつ、必要に応じて、基本方針、対応要領及び対応指針を見直し、適時、充実を図るものとする。 p35 改正案 (削除) 基本方針の見直しに当たっては、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。対応要領、対応指針の見直しに当たっても、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 なお、各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、【高等教育機関に対し、受験資格の取得に必要な単位の修得に係る試験等において合理的配慮の提供等を促すとともに、国家資格】《試験の実施等に当たり、障害特性に応じた合理的配慮を提供する【。また、】》いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨や、技術の進展、社会情勢の変化等を踏まえ、適宜、必要な見直しを検討するものとする。 現行 法の施行後3年を経過した時点における法の施行状況に係る検討の際には、障害者政策委員会における障害者差別の解消も含めた障害者基本計画の実施状況に係る監視の結果も踏まえて、基本方針についても併せて所要の検討を行うものとする。基本方針の見直しに当たっては、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。対応要領、対応指針の見直しに当たっても、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。 なお、各種の国家資格の取得等において障害者に不利が生じないよう、いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨や、技術の進展、社会情勢の変化等を踏まえ、適宜、必要な見直しを検討するものとする。 改正案 《附則 この基本方針は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第56号)の施行の日から適用する。》 現行 (新設)