資料5 第74回内閣府障害者政策委員会への意見提出 全国重症心身障害児(者)を守る会 安部井聖子 p1 全国重症心身障害児(者)を守る会には、三原則があります。 一、決して争ってはいけない争いの中に弱いものの生きる場はない 一、親個人がいかなる主義主張があっても重症児運動に参加する者は党派を超えること 一、最も弱いものをひとりももれなく守る というものです。 さまざまな立場の委員の皆様からのご意見に反論することはいたしませんが、内閣府障害者政策委員会における議論では、重症心身障害児者のように最も弱いものから、命を守るすべを奪わないようにお願いいたします。 私は、第60回、第61回、第67回委員会では、重症心身障害児者の親は、できるだけ地域で家族とともに生活したいと願っていること。重症児者施設の短期入所を利用しながら、在宅生活を維持していることを話しました。しかしながら、親の高齢化によって介護力低下が顕著となり、家族介護が困難になった場合や親亡き後には病院機能がある入所施設で、我が子が安心して生活できることを多くの者が望んでいること。入所施設は医療施設であり、地域で安心して暮らすためのセーフティネットとなっていること。短期入所や重症児者を診る外来診療なども担い、加えて発達障害の診断や特別支援学校への支援など、地域拠点としての役割も果たし必要不可欠な社会資源になっていること。また、地域移行を推進することに反対はしておらず、施設ではなく地域で暮らせる環境にある方に入所施設は必要ありませんが、重症心身障害児者の中には、濃厚な医療、例えば人工呼吸器を使用、頻回なたんの吸引が必要、胃ろう等の24時間365日医療を伴う介護が必要な人がいること。地域移行・脱施設の下、何ら施策を打たない状況で施設が利用できなくなり、最も基本的な人権である命を守ることができなくなることを避けたいとの思いでいること。さらに、重症児者施設が不足している自治体から、国は地域移行を掲げているため施設を増やすことができないと言われていること。一方、厚生労働省の見解では、「障害者施設については、令和5年度末までの地域生活への移行者数や施設入所者数の削減目標を設けているが、療養介護を行う病院や医療型障害児入所施設については、これらの数値目標は設けていないところである。障害児入所施設については、新設を認めないという指導はしていない。」ということでした。地域移行や脱施設という単語だけが一人歩きして地方行政をミスリードしているのではないかと懸念しています。 しかしながら、本委員会では、地域移行や脱施設ガイドラインを前提としたご意見が多く出されておりますので、第71回及び第72回委員会でおいては、厚生労働省の見解に沿って、「地域生活への移行を進める観点から、障害者支援施設」の後に括弧して「(重症児者入所施設を除く)」と追記していただきたいとお願い申し上げましたが、「地域移行の権利を外すということになるとその方々がほかの生活する権利がなくなるという事になる」、「お母さん達がとても頑張って地域で暮らしていこうという意識が強くて重心施設が幾らかですけれども定員割れをしている状況もある」、「条約の勧告では特に障害のあるこども達が、親御さんと暮らす権利を剥奪しないようにということが、かなり何度も何度も繰り返し書かれている」等のご意見や、石川委員長からも「地域での自立生活、地域移行という基本計画おいての原則、あるいは地域で暮らす選択肢を奪わないということを大前提としつつ、しかし、施設での生活、特に濃厚な医療を必要としている重症心身障害児者については、その点についても適切な書きぶりで誤解のないようにしながら進めていくという事では不十分でしょうか。除外というのは非常に強い言い方で、最初から選択の余地がなくなってしまいます。」との裁定をいただきました。 これ以上、重症児者の命を守るお願いの発言をしても争うことになりますので、当たり前のことではありますが、「地域生活を安心して送るためには、どこの地域であっても緊急を要する救命への対処が速やかに行われる体制整備が必要である。」という文章を追記していただきたいと思います。