資料1-1 障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画について (作業者注・強調を表す下線部は《二重山形かっこ書き》で前後を挟んでいる。) p1 経緯 令和6年7月3日の旧優生保護法国家賠償請求訴訟の最高裁判決を受け、7月26日に《「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」》(総理が本部長、全閣僚で構成)を設置し、《以下の総理指示》を受けて検討を開始 (1)《障害者の希望する生活の実現》に向けた、必要なサービスの活用や見守り等の《支援体制の構築》と取組推進 (2)各府省庁が障害者差別解消法の《「対応要領」に基づきどのような研修・啓発を行っているかを点検》するなど、取組を強化 (3)《「ユニバーサルデザイン2020行動計画」》における《「心のバリアフリー」の取組等のフォローアップと強化》 (4)幹事会において、《有識者の協力を得て、障害当事者の方から御意見》を伺った上で、成果を取りまとめる体制を構築 《上記の基本方針に沿って、障害者に対する偏見や差別のない共生社会を実現すべく、必要な対応策を検討し、新たな行動計画を取りまとめ》 会議の概要 対策推進本部 <構成員> 本部長 内閣総理大臣 副本部長 内閣官房長官、内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画 共生・共助) 本部員 他の全ての国務大臣 対策推進本部幹事会 <構成員> 議長 内閣官房副長官補(内政担当) 副議長 内閣府政策統括官(共生・共助担当) 構成員 他の各省庁局長級職員等 <有識者構成員(五十音順、敬称略)> 石川 准 静岡県立大学名誉教授 (視覚障害当事者) 坂元 茂樹 公益財団法人世界人権問題研究センター理事長 田門 浩 弁護士 (聴覚障害当事者) <開催実績> 第1回推進本部 7月29日 総理指示 第1回幹事会 7月29日 幹事会の進め方等について議論 第2回幹事会 8月30日 有識者構成員(上記)による講演 第2回推進本部 9月20日 基本合意書締結の報告、進捗状況の確認 第3回幹事会 10月21日 当事者ヒアリング1 ・熊谷 晋一郎氏(障害者政策委員会委員長) ・佐藤 聡氏(DPI日本会議事務局長) 第4回幹事会 11月7日 当事者ヒアリング2 ・旧優生保護法訴訟原告5名の方 第5回幹事会 11月13日 当事者ヒアリング3 ・全国手をつなぐ育成会連合会 ・南高愛隣会(子育てをする障害のある方ご家族) 第6回幹事会 11月20日 当事者ヒアリング4 ・日本ALS協会 ・日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構 第7回幹事会 12月26日 新たな行動計画(案)の決定 第3回推進本部 12月27日 新たな行動計画の決定 ※別途、以下の団体に、内閣府において個別にヒアリングを実施 全国重症心身障害児(者)を守る会、全国精神保健福祉会連合会、全国脊髄損傷者連合会、日本発達障害ネットワーク、全国肢体不自由児者父母の会連合会、全日本ろうあ連盟、日本相談支援専門員協会、日本身体障害者団体連合会、日本視覚障害者団体連合、DPI女性障害者ネットワーク、全日本難聴者・中途失聴者連合会、全国盲ろう者協会 p2 障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画 1 ヒアリングにおいて当事者の方々から示された主な問題意識 ○《優生手術等に係る歴史的事実やその背景を後世に伝承》し、記憶の風化を防ぐべき ○《人権侵害に迅速・確実に対応する体制を構築》すべき ○国民全体に、《障害の社会モデルを含め、障害に関する正しい知識を普及》すべき ○障害のある人が結婚・出産・子育てをする上では、《なんでも相談できる窓口や第三者の支援が必要》 ○《障害のある人とない人が共に学び共に育つ経験ができる環境、共に働ける環境を整備》すべき 等 ※「障害の社会モデル」とは、障害は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという考え方 2 取り組むべき事項 (1)子育て等の希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進 <ヒアリング意見の例> ○障害者も同じ人間であり、《障害の有無にかかわらず、恋愛、出産などやりたいことを自由にできる社会》になってほしい ○《障害のある人が結婚・出産・子育てをする上では、なんでも相談できる窓口や第三者の支援が必要》 ○入所施設という厳しい環境で生活している人の《地域移行等を含めた、地域の支援体制》を構築すべき ○働きたい障害者もいるので、《障害の程度に合った働く場所》を計画してほしい ↓ <新たな行動計画に盛り込む今後取り組むべき事項> ○《結婚・出産・子育て支援取組事例集の周知》 ○《自治体や支援者向け解説動画》や障害当事者にも《わかりやすいリーフレットを作成》 ○《こども家庭センター》において《障害保健福祉部局等の関係機関と連携した相談対応》 ○障害者総合支援法に基づく《基幹相談支援センターの全国の市町村における設置の促進》 ○利用者の希望に沿った《地域生活への移行》を推進し、安心して地域生活を送れるよう、《地域生活支援拠点等の全国の市町村における整備》の促進 ○障害者の希望・適性等に合った選択を支援する《就労選択支援の円滑な施行》(R7.10) (2)公務員の意識改革に向けた取組の強化 <研修・啓発状況の調査結果> ○「対応要領」の周知は全府省庁が行っているが、《周知の頻度は、策定・改定時のみが9割程度で、定期的な周知を図る機関は少数》 ○新規採用職員向けの研修実施割合は5割以上だが、《既存職員への研修は2〜3割程度に留まる》 ○《多くの研修では、障害者の実体験や具体的な事例検討等が含まれていない。旧優生保護法の歴史的経緯についての研修も極めて少数。研修の理解度を確認するテスト等の実施割合は6割以下》 ○当事者による講義の実施等、《研修内容への当事者の関与がない機関はおおむね7割以上》 ↓ <新たな行動計画に盛り込む今後取り組むべき事項> ○各府省庁において、《「対応要領」を毎年1回以上、全職員に周知》 ○《国家公務員・地方公務員の人権研修に、旧優生保護法の歴史的経緯や当事者の声を取り入れ》 ○《全ての幹部職員》を対象に《障害当事者を講師とする研修》を実施 ○《障害当事者の参加の下、障害者の実体験、具体的事例の検討や旧優生保護法の措置を含む歴史的経緯なども含めた教材等を作成》し、全府省庁等において研修を実施。研修に当たっては、《受講者の理解度を確認》 ○内閣府より、《研修の講師として、障害当事者や専門家を紹介する仕組み》を整備 p3 2 取り組むべき事項(続き) (3)ユニバーサルデザイン2020行動計画で提唱された「心のバリアフリー」の取組の強化 ※「心のバリアフリー」とは、様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと <ヒアリング意見の例> ○《優生手術等に係る歴史的事実を後世に残し風化を防ぐ》ことが必要 ○《インクルーシブ教育》を推進すべき。《障害の有無にかかわらず共に学び共に育つ経験》を通じて偏見や差別を根本から解消可能。こどもの頃から障害者に関わるカリキュラムを作るべき ○偏見や差別の解消には《インクルーシブな雇用》を推進することが重要、《障害のある人とない人が共に働く環境を整備》すべき ○《障害に関する正しい知識を普及》することが必要 ○精神障害は「身近な病気で誰にでも起こり得る」という正しい情報を全国民が得る機会が必要 ○多くの人は、障害者にどう接したらいいのかわからないという状況ではないか。《直接接する機会を増やすべき》 ○《人権侵害に迅速・確実に対応する体制》を構築すべき ↓ <新たな行動計画に盛り込む今後取り組むべき事項> ○《旧優生保護法等の検証を踏まえた人権教育の教材の作成》、《学校教育》や人権啓発活動での活用 ○特別支援学校と通常の学校の一体的運営による《インクルーシブな学校運営モデルの構築》 ○障害者差別解消法に基づく《業種別の「対応指針」への民間企業等の対応状況調査》と好事例の横展開 ○《雇用分野の障害者差別禁止指針・合理的配慮指針の事業主への周知》。《好事例集の更新》と横展開 ○重度障害者等への《雇用・教育・福祉が連携した就労・修学支援》 ○《国民への「障害の社会モデル」を踏まえた正しい理解の啓発》 ○《医療・障害福祉の専門職の養成課程等》における教育内容の充実等による質の高い専門職等の養成 ○《障害者団体等が行う障害特性の理解を図る啓発事業》についての《一覧的な情報発信》と参加促進 ○《精神疾患やメンタルヘルスに係る正しい知識の普及啓発》。《心のサポーター養成》等自治体の取組の支援 ○職場内における《精神・発達障害者しごとサポーター》の養成 ○精神障害当事者、家族他の有識者による《検討会の開催》、《精神保健医療福祉に係る諸課題の検討》 ○《障害の有無に関わらず楽しみ、交流することができる普及・啓発イベントの新たな実施》 ○《人権相談・調査救済活動に従事する職員や人権擁護委員》への《旧優生保護法に関する研修》の実施 ○《人権侵犯事件(インターネット上のものを含む。)への適切な措置》。その際、《人権侵犯性の有無にかかわらず、障害者差別解消法の趣旨を踏まえたより望ましい対応を提示するなど積極的に啓発》 3 今後に向けた更なる検討 ○《各府省庁》は、上記の取組のほか、障害当事者等のご意見を受け止め、記憶を風化させないための方策、人権侵害に迅速に対応する体制など、当事者から示された問題意識について《引き続き検討》 ○その際、《旧優生保護法に係る調査・検証の内容・結果も踏まえ》るとともに、《障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向け、法制度の在り方を含め、教育・啓発等の諸施策を検討し実施》 4 実施体制 ○障害者への偏見や差別をなくし、全ての人が尊重される共生社会となるために、《行動計画を継続的にフォローアップ》 ○障害者施策については、「障害当事者抜きに障害当事者のことを決めない」ことが最も重要な原則であることから、行動計画の内容は、《障害者政策委員会に報告》し、ご意見をいただき、《必要な施策については速やかに実施に移しつつ、次期障害者基本計画などにも反映》