障害者政策委員会(第84回)後日回答としたもの 委員(50音順) 石橋委員 質問・意見 テレビ放送の中に手話のワイプについて、ワイプの中に手話通訳があるので、手話使用者に対する情報保障はできているという考え方があるが、当事者にとっては、手の大きさが小さく、手話が見えず、情報にアクセスできないという状況が起こっている。テレビの字幕にはオフ・オンの機能があるように、手話言語についても、手話通訳が必要な人たちが操作して、自分の好きなように手話を拡大して見れるような配慮も必要ではないか。そうすれば、自己選択ができる環境が整備できるきっかけになるのではないか。 関係府省庁からの回答 (総務省) ご指摘の点については、個別の放送番組の内容に関わるものであり、総務省としてお答えは差し控えます。なお、総務省では、「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」を策定しており、引き続き、視聴覚障害者等の情報アクセス機会の一層の確保に向けて取り組んでまいります。 委員 田中委員 質問・意見 手話施策推進法にして、第1条では、手話というものが言語その他の重要な意思疎通のための手段というふうに明確に位置づけられている。手話を必要とする人が、日常生活または社会生活を営む上で非常になくてはならないものであるということが法律上にしっかり規定された。この点を踏まえれば、今後、社会全体として、積極的に手話が自由に使える環境整備に取り組むことが必要だろうと思う。その環境整備については、本法第18条にもあるように、関係者の意見聴取を十分に踏まえていく必要があると考えている。その上で、過去、当委員会でも何回か発言している通り、民事裁判を利用する場合に、手話通訳者の確保に必要な費用が訴訟費用という位置づけになっており、敗訴者が負担するという現行の枠組みが、果たして手話施策推進法第1条の「言語その他の重要な意思疎通のための手段である」という位置付けと整合するのか、改めて検討する時が来ているように思う。 関係府省庁からの回答 (法務省) 耳の聞こえない方が民事訴訟の当事者や証人等として口頭弁論に関与される場合の手話通訳人の日当及び費用は、現行法上、訴訟費用の一部となり、敗訴した当事者が負担することとされています。これは、民事訴訟が私人間の紛争を処理するための手続であることから、訴訟手続を利用する者と利用しない者との間の公平等を考慮し、手続に要する費用をその事件の当事者の負担とし、原則として敗訴した当事者の負担とすることとされているものです。耳の聞こえない方に関し、通訳人の日当や費用を公費で負担することについては、私人間の紛争の処理のために要する費用を公費で賄うことについて、国民の理解・納得を得られるかなどの問題があることから、手話施策推進法第1条の規定を踏まえつつ、なお慎重に検討する必要があるものと考えられます。 手話通訳人の日当及び費用を支払う資力がない者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる者に対しては、訴訟救助の制度が存在し、これが認められれば、手話通訳人の日当及び費用を裁判所に予納する必要はなく、訴訟救助の対象とならなかったとしても、民事法律扶助の要件を満たす場合には、法テラスによる援助制度の対象となり得ます。 また、法務省、最高裁判所及び日本弁護士連合会を構成員とする、障害者の民事司法へのアクセス拡充に関するワーキンググループでは、民事司法のデジタル化の動向を踏まえつつ、障害者の民事司法へのアクセスについて、その属性に応じ、一層の拡充を図るため、各障害者団体からの意見聴取を実施するとともに、法曹三者で幅広く意見交換をし、必要な検討を行っています。