資料2-1 障害者基本計画(第5次)の実施状況(令和6年度)に対する意見及び回答 ※当日回答済みの意見は除く。 1.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止 項目番号 1-(1)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 障害者虐待の相談支援専門員の中に、手話言語や聴覚障害に関する専門的な知識を十分に有している方はほとんどいません。きこえない・きこえにくい人への適切な支援を行うためには、手話言語や聴覚障害に関する理解を深める研修を実施し、幅広い障害に対応できる相談支援専門員の人材育成を推進してください。 特に盲ろうまた聴覚障害の特性を知らない方々が多いのが現状です。特性をしてもらい適切な支援をするためのを研修を行っていただくとともに、聴覚障害者情報提供施設、ろうあ者相談員と連携を取って対応できるような体制を整えてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 様々な障害を有する方の支援を適切に行うことができるよう、例えば相談支援従事者初任者研修標準カリキュラムの「相談支援に必要な技術」において、障害特性に関する内容を実施することとされています。 引き続き、研修の質の向上に努めるとともに、研修の実施のみならず、地域の中核的な役割を担う基幹相談支援センターが起点となり、聴覚障害者情報提供施設などの関係機関と連携した切れ目のない相談支援体制の構築の推進に向けて取り組んでまいります。 項目番号 1-(1)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 強度行動障害支援者養成研修においても、手話言語や聴覚障害について専門的な知識を学べる内容を盛り込み、きこえない・きこえにくい人を含む幅広い障害に対応できる相談支援専門員の人材育成を促進してください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 強度行動障害支援者養成研修は、いわゆる強度行動障害を有する者等に対し、適切な支援を行う職員の人材育成を目的としております。 様々な障害を有する方の支援を適切に行うことができるよう、例えば強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)カリキュラムの「強度行動障害に関する制度及び支援技術の基礎的な知識」において、障害特性に基づいた支援についての研修を実施することとしており、引き続き、研修の質の向上に向けて取り組んでまいります。 項目番号 1-(1)-4 委員からのご意見 【石橋委員】 相談支援専門員には、手話言語や聴覚障害について専門的な知識をもっている人が少なく、きこえない・きこえにくい人への支援の質を高めるため、研修に手話言語や聴覚障害に関する内容を含め、幅広い障害に対応できる人材育成を推進してください。また、成年後見制度においては、きこえない人の意思形成・意思決定支援が充分に行えるよう、手話通訳を含めた情報保障を確保し、きこえない者の相談支援を業務としている聴覚障害情報提供施設等とも連携強化をしてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 様々な障害を有する方の支援を適切に行うことができるよう、例えば相談支援従事者初任者研修標準カリキュラムの「相談支援に必要な技術」において、障害特性に関する内容を実施することとされています。 引き続き、研修の質の向上に努めるとともに、研修の実施のみならず、地域の中核的な役割を担う基幹相談支援センターが起点となり、聴覚障害者情報提供施設などの関係機関と連携した切れ目のない相談支援体制の構築の推進に向けて取り組んでまいります。 項目番号 1-(1)-5 委員からのご意見 【石橋委員】 相談支援専門員の研修においては、手話言語や聴覚障害に関する内容を必須とし、きこえない・きこえにくい人を含む多様な障害に対応できる人材育成を推進してください。 きこえない者の意思決定支援の現場では、きこえない者の相談員等がきこえる手話通訳者の意思疎通を補うケースがあるので、きこえない者の手話通訳者の養成、派遣制度についても検討してください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 様々な障害を有する方の支援を適切に行うことができるよう、例えば相談支援従事者初任者研修標準カリキュラムの「相談支援に必要な技術」において、障害特性に関する内容を実施することとされています。引き続き、研修の質の向上に向けて取り組んでまいります。 現行の手話通訳制度は、身体障害者福祉法等において、聴覚障害者と聞こえる人の意思疎通を仲介することを前提としており、ろう通訳については、想定されていないところです。まずは手話通訳者等の養成や、質の向上に注力してまいりたいと考えております。 項目番号 1-(1)-6 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない・きこえにくい人の相談支援を業務としている聴覚障害者情報提供施設等とも連携してください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 地域の中核的な役割を担う基幹相談支援センターが起点となり、聴覚障害者情報提供施設などの関係機関と連携した切れ目のない相談支援体制の構築の推進に向けて取り組んでまいります。 項目番号 1-(1)-7 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない・きこえにくい人が安心して相談できるよう、手話言語による相談体制の整備が必要です。手話通訳者の配置や電話リレーサービスの「手話リンク」の導入を検討し、誰もが平等に相談できる環境を整えてください。 ご意見に対する回答 (法務省) 人権相談においては、いわゆる障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法第8条の規定を踏まえ、障害のある相談者からの申出により、相談時に筆談を用いるなど、障害者本人の要望を尊重する対応をしているところです。また、聴覚障害者と円滑に意思疎通を図るために手話通訳を手配する必要がある場合に備えて、手話通訳の予算を確保しており、事前に相談者から要望があった場合には、手話通訳を手配の上、手話による対応を行うこととしています。いただいた御意見を踏まえ、誰もが平等に相談できる環境の整備に引き続き取り組んでまいります。 項目番号 1-(1)-7 委員からのご意見 【白江委員】 法務省において人権侵害に関する事案について対応されているものと認識しているが、厚労省や他省庁とどのように共有して分析や対応について検討しているか教えてほしい。 ご意見に対する回答 (法務省) 一般的に、関係者のプライバシー保護の観点から、個々の人権侵犯事件の詳細について法務局から関係省庁に共有することはないものの、人権侵害の疑いのある事案について、相談があった場合には、事案の内容に応じて「市町村障害者虐待防止センター」又は「都道府県障害者権利擁護センター」等の自治体の窓口や、「精神医療審査会」に連絡することを助言する等の対応を行っています。今後も、関係省庁や関係機関との連携を進めてまいります。 項目番号 1-(1)-8 委員からのご意見 【石橋委員】 聴覚障害と知的・精神障害を併せ持つ方への支援が可能となるよう、複合的な障害に対応できる人材の育成と研修体制の整備を進めてください。 成年後見制度の見直しにおいては、国連障害者権利条約に基づく「支援付き意思決定支援」の考え方を踏まえ、手話言語で生きてきた人々に対しては、手話言語による意思形成・意思決定支援が確保されるよう、制度設計と運用体制の改善を求めます。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 様々な障害を有する方の支援を適切に行うことができるよう、例えば相談支援従事者初任者研修標準カリキュラムの「相談支援に必要な技術」において、障害特性に関する内容を実施することとされています。 引き続き、研修の質の向上に努めるとともに、研修の実施のみならず、地域の中核的な役割を担う基幹相談支援センターが起点となり、聴覚障害者情報提供施設などの関係機関と連携した切れ目のない相談支援体制の構築の推進に向けて取り組んでまいります。 (法務省) 成年後見制度の見直しは、障害の有無にかかわらず尊厳のある本人らしい生活の継続等の理念を考慮した上で行うこととされており、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において調査審議されているところ、同部会では、聴覚障害の当事者団体からもヒアリングがされ、そのニーズの把握が図られているものと承知している。同部会では、ヒアリングの結果等も踏まえ、 手話を用いられる方々を含めた全ての障害者の意思を尊重する制度となるよう、引き続き、調査審議が進められるものと認識している。 項目番号 1-(1)-9 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない・きこえにくい人の相談支援を業務としている聴覚障害者情報提供施設等とも連携しながら、手話言語で対応できる体制を整えてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 地域の中核的な役割を担う基幹相談支援センターが起点となり、聴覚障害者情報提供施設などの関係機関と連携した切れ目のない相談支援体制の構築の推進に向けて取り組んでまいります。 項目番号 1-(2)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 今年10月、デフリンピック観戦のために都内のホテルを予約しようとしたきこえない方が、障害を理由に宿泊を拒否された事例がありました。このような差別的対応が起こらないよう、障害者差別解消法の趣旨をすべての事業者に対して徹底的に周知し、実効性ある監督体制の整備を強く求めます。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 旅館業の営業者が障害者差別解消法を遵守する必要があることは当然ですが、旅館業法においても、宿泊を拒むことができる事由として、障害があることは規定されていないため、営業者は、障害があること自体を理由に宿泊を拒むことは出来ません。  また、旅館業法においては、過去の宿泊拒否事例も踏まえ、旅館業の営業者による従業員への研修が努力義務とされており、偏見・差別や人権侵害の防止の更なる徹底を図ることとしています。 厚生労働省においては、営業者が適切に対処するために必要な指針として、旅館・ホテルの現場において、宿泊拒否等に適切に対処するためのガイドライン(※1)を策定するとともに、観光庁と連携して、障害のある方等特に配慮を要する宿泊者に対する旅館業の施設特有の接客シーンを想定した研修ツール(※2)を策定しました。  引き続き、地方自治体とも連携しながら、営業者に対して、適切な対応による周知徹底を図ってまいります。 (※1)https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/001167793.pdf     https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/seikatsu-eisei33/index_00011.html (※2)https://www.mhlw.go.jp/content/001242279.pdf 項目番号 1-(2)-1 委員からのご意見 【内布専門委員】 差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止についてです。障害者差別は精神障害者への間違った知識・情報による偏った見方が強いと思います。私も精神障害を持つ身ですが、これまで実際に友人・知人や職場の同僚から精神障害者への間違った理解の仕方に大きなストレスを感じることは多くありました。また、障害が違う者同士が違うことを理由にした差別も現実にあります。私は他障害の方から精神障害者として差別を受けたこともあります。今後の精神障害者の差別解消に向けた取組として何か予定があるのでしょうか? ご意見に対する回答 (内閣府・厚生労働省) 政府では、精神障害を含む障害のある方に対する偏見や差別をなくすために、行動計画を策定し、取組を進めています。 例えば、 ・障害者差別解消法に基づく「対応要領」や「対応指針」を周知徹底し理解を深めるとともに、相談対応の充実を図ること ・学校教育や雇用などの場において障害のある方の包摂を進め、障害のある人もない人も、共に経験する機会を増やし、相互理解を進めること 等を含め、関係省庁が連携して取組を推進しています。 特に、精神障害に関しては、 ・精神疾患やメンタルヘルスに係る正しい知識の普及啓発、心のサポーター養成等自治体の取組の支援 ・職場内における精神・発達障害者しごとサポーターの養成 ・精神障害当事者、家族他の有識者による検討会の開催、精神保健医療福祉に係る諸課題の検討 を進めることとしています。 (法務省) 法務省の人権擁護機関では、「障害を理由とする偏見や差別をなくそう」を啓発活動強調事項の一つとして掲げ、精神障害のある方を含め、障害のある方々に対する偏見や差別の解消のため、啓発冊子の配布や啓発動画の配信、法務局職員や人権擁護委員を派遣して様々な人権問題に関する研修を行うなどの各種人権啓発活動を行っています。 今後も、多様性が尊重され、精神障害のある方を含む全ての人々がお互いの尊厳を大切にし、生き生きとした人生を送ることができる共生社会の実現に向けて、これらの取組を推進してまいります。 項目番号 1-(2)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 現行の日本産業規格「JIS X 8341-3」では、手話言語がAAA基準に位置づけられており、AA基準を満たすことが求められる行政HP等では対応してもらえません。2025年6月に手話施策推進法が成立したことを踏まえ、手話言語の位置づけをAA基準に引き下げるか、別枠での対応を可能とするよう規格の見直しをしてください。 ご意見に対する回答 (経済産業省) ご承知のとおり、「JIS X 8341-3」は、高齢者及び障害のある人を含む全ての利用者が、使用している端末、ウェブブラウザ、支援技術などに関係なく利用することができるように、ウェブコンテンツが確保すべきアクセシビリティの基準について規定している規格であります。 JIS規格の確認や改正にあたっては、日本産業標準化法において、「全ての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し」なければならないこととなっております。 そのためには、まず原案作成団体において議論が必要であることから、ご要望については、原案作成団体である一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会にお伝えさせていただきます。 項目番号 1-(2)-3 委員からのご意見 【石橋委員】 都道府県及び市町村の差別支援地域協議会にきこえない当事者参画の状況を示してください。 地方自治体における障害者差別解消法の「対応要領」の策定状況は、2025年時点でも未整備の自治体が存在しており、民間事業者に合理的配慮の義務化が進む中で、行政機関が先行して整備すべき責任を果たしていない状況です。未整備自治体の公表と改善支援を含め、国として積極的な対応を求めます。さらに、「障害者差別解消支援地域協議会」の設置状況についても、差別解消にとどまらず、虐待防止の観点からも重要な役割を担うことが期待されます。全障害種別をそろえた構成員による助言機能の強化や、活動状況の公表を通じて、地域における障害者施策の実効性を高めていただきたいです。 ご意見に対する回答 (内閣府) 障害者差別解消支援地域協議会における障害当事者の参画状況等については、毎年度調査を実施・公表しているところであり、令和6年度の調査では、聴覚・言語障害がある当事者が参加している自治体は全国で26%(肢体不自由の当事者の次に高い割合)となっています。 また、各地方公共団体における対応要領の策定の促進や、協議会の設置・活用の促進については、主管課会議等について説明を行うとともに、自治体職員等を対象とした研修を実施し、具体的なケースを踏まえたグループワーク等を通じて活用方法をお示しするなどの取組を実施しています。その結果、令和7年度調査では前年度調査と比較し、対応要領の策定自治体は24自治体、協議会の設置自治体は53自治体増加しました。 項目番号 1-(2)-4 委員からのご意見 【平野委員】 2021年の改正障害者差別解消法では、障害者差別の事例の収集と整理、国及び地方公共団体の連携協力の責務が盛り込まれました。つなぐ窓口も設置され、事例の収集が進んでいることと思います。 これらを踏まえて、つなぐ窓口で収集した事例の公表、国と地方公共団体の連携はどのようになっていますか。 また、中央省庁での事例の共有のために、障害者差別解消法関係府省連携会議は定期的に開催されているのでしょうか。実施状況を教えてください。 ご意見に対する回答 (内閣府) つなぐ窓口における具体的な御相談内容は、個人情報であるため厳重に取り扱うことが求められており、多くを公表・共有することは困難ですが、御了承 をいただいた具体例3件について、前回の委員会にて御報告・公表させていただきました。 中央省庁における事例の共有については、同様の理由で難しく、連絡会議という形では実施していませんが、毎年、関係省庁から合理的配慮の提供事例等のうち共有可能なものについて収集し、内閣府の「障害者差別解消に関する事例データベース」に一般公開しています。昨年は約50件掲載したところですが、更なる充実や改善が必要な点であり、取り組んでまいります。 地方公共団体に対する知見の共有については、内閣府にて「国・地方公共団体における相談窓口担当者向け相談対応マニュアル」を作成・公表しており、昨年度はより使いやすい概要版や動画版を作成し、周知に努めています。 項目番号 1-(2)-6 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない・きこえにくい人からの相談、通報に迅速に対応するためには、ハローワークに手話通訳者【手話協力員】が常時いることが必要です。 なお、遠隔手話通訳サービスが実施されているハローワークもありますが、きこえない・きこえにくい人の手話言語の状況、相談、通報の内容によっては遠隔手話通訳では対応できないケースがあるので、対面での手話通訳も配置する必要があります。それらを踏まえた制度設計をしてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) ハローワークでは、聴覚障害のある求職者に対する職業相談等を円滑に行うため、一部のハローワークに手話協力員を配置するとともに、手話協力員が配置されていないハローワークについても、筆談や遠隔手話通訳サービス等の手段を活用して相談に対応しているところです。手話協力員をすべてのハローワークでの委嘱や常時配置を行うことについては、厳しい財政事情の中、予算面の制約があり困難が大きいですが、いただいたご意見も参考にしながら、今後もこうした取組を通じて聴覚障害者に対する支援を強化してまいります。 項目番号 1-(2)-7 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない・きこえにくい人が安心して相談できるよう、手話言語による相談体制の整備を進めてください。手話通訳者の配置や遠隔手話通訳の活用など、複数の手段を確保してください。 ご意見に対する回答 (法務省) 人権相談においては、いわゆる障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法第8条の規定を踏まえ、障害のある相談者からの申出により、相談時に筆談を用いるなど、障害者本人の要望を尊重する対応をしているところです。また、聴覚障害者と円滑に意思疎通を図るために手話通訳を手配する必要がある場合に備えて、手話通訳の予算を確保しており、事前に相談者から要望があった場合には、手話通訳を手配の上、手話による対応を行うこととしています。いただいた御意見を踏まえ、誰もが平等に相談できる環境の整備に引き続き取り組んでまいります。 2.安全・安心な生活環境の整備 項目番号 2-(1)-1 委員からのご意見 【平野委員】 公営住宅についてバリアフリー住宅を標準仕様としているということですが、この具体的な基準を教えてください。 ご意見に対する回答 (国土交通省) 公営住宅の整備に関する基準は、事業主体である地方公共団体がそれぞれ定めることになりますが、その際、公営住宅等整備基準(平成10年建設省令第8号)を参酌することとされております。この整備基準を具体に定めた国の技術的助言においては、専用部分及び共用部分について、それぞれバリアフリーの基準を定めております。 具体的には、住宅性能表示性能における「バリアフリー等級3」であることを目安としており、 ・出入口や通路を介助用車いすが使える幅とすること ・階段、便所、浴室等に手すりを設置すること ・原則、床を段差のない構造とすること 等、移動等に伴う転倒・転落の防止等に関し、所定の設計が求められます。 項目番号 2-(1)-2 委員からのご意見 【平野委員】 民間賃貸住宅はバリアフリー化されたものがほとんどなく、車椅子ユーザーは住宅探しに非常に困っています。新築の民間賃貸住宅は最低限のバリアフリー整備義務を課すことが不可欠と考えますが、検討されていますか。 ご意見に対する回答 (国土交通省) 民間の共同住宅については、昨年度「障害者の居住にも対応した住宅の設計ハンドブック」を策定したところであり、このハンドブックに基づいた住宅の供給が図られるよう、引き続き関係事業者や地方公共団体に対して周知を行ってまいります。 共同住宅の住戸内も含めた一律のバリアフリー化の義務づけについては、物理的な制約や賃貸事業への影響などを踏まえた慎重な検討が必要と考えますが、共用部分については、バリアフリー法において、地域の実情に応じて条例で義務づけの対象の拡大ができる仕組みとなっています。 まずは条例の制定を促進しつつ、引き続き、共同住宅のバリアフリー化に向けて取り組んでまいります。 項目番号 2-(1)-4 委員からのご意見 【内布専門委員】 精神障害者の地域移行とGH施設増加についてです。精神科病院から退院先をGHに希望される患者さんたちがいらっしゃいますが、精神科病院からGHが退院先に指定されることがよくあると聞きます。それは本当の意味での地域移行には当てはまらないと考えます。長期入院患者さんたちの退院先はご本人の自由意志を優先して決められるべきであり、医療関係者・福祉専門職・福祉サービス提供事業者の意向が影響されないようにしなければならないと思いまます。精神科病院に長期入院されている方達が退院先を選ぶ際の意思確認、意思表明、意思決定がどのように確保されているのか?また実際にGHなどの住まいの選択肢についての情報提供がご本人にできているのでしょうか? ご意見に対する回答 (厚生労働省) 精神保健福祉法において精神科病院の管理者は、医療保護入院等により入院した者に対して退院後生活環境相談員を選任することが規定されております。 退院後生活環境相談員の業務としては、 ・入院者及びその家族等からの相談に応じるほか、退院に向けた意欲の喚起や具体的な取組の工 程の相談等を積極的に行い、本人の意向を尊重した退院促進に努めること ・入院者の希望を踏まえ、地域援助事業者等との連携により居住の場の確保等の退院後の環境に係る調整を行うとともに、地域生活の維持に必要な障害福祉サービス等の利用に向けて調整する等、円滑な地域生活への移行を図ること などが、通知で規定されております。 項目番号 2-(3)-8 委員からのご意見 【石橋委員】 商品購入やサービス利用において、きこえない・きこえにくい人が情報にアクセスできるよう、手話言語による案内や手話リンクの導入を進めていください。今後、各省庁における手話リンクの導入予定についてお聞かせください。 ご意見に対する回答 (総務省) 総務省本省では導入済みであり、地方総合通信局でも順次導入に向けて手続きを行っています。 一方、各府省庁における情報アクセシビリティの向上は、それぞれにおいて、合理的配慮の提供義務や環境の整備の努力義務を踏まえ、対応要領を定めて適切に対処すべき事項となっております。 総務省では関係省庁等に対して定期的に電話リレーサービスの周知を依頼する文書を発出等しておりますが、その他の省庁等でも普及啓発が進められるよう、周知先を広げてまいります。 項目番号 2-(4)-6 委員からのご意見 【平野委員】 日本の国立公園は一体的なバリアフリー整備が不十分で、部分的にしか楽しめないのが現状です。アメリカの国立公園のように公園一体のバリアフリー整備が不可欠と考えます。日本の場合は所有者が国だけでなく複数あるという問題がありますが、今後、一体的なバリアフリー化を推進するためにどのような取り組みを検討していますか。 ご意見に対する回答 (環境省) 国立公園等においては、優れた自然景観の魅力を利用者の誰もが楽しめるようにする観点から、魅力の本質である自然資源を損なわないよう留意しつつ、主要な利用施設であるビジターセンター、公衆トイレ、園路等のバリアフリー化の整備を推進しているところです。 地権者が複数存在するエリアにおいても、地権者を含む地元関係者、自治体、障害当事者の方々と意見交換を行いながら利用者目線で利用施設の再整備を推進している地域もあります。 これらを参考に今後とも障害当事者の方々や関係者とコミュニケーションを図りながら、国立公園における一体的なユニバーサルデザインに取り組んで参ります。 項目番号 2-(4)-11 委員からのご意見 【内布専門委員】 障害者駐車場を使用するにあたっての現状と工夫についてです。障害者駐車場の整備は進んでいるように感じています。私の行動行動範囲でもショッピングセンターや公共施設にも障害者駐車場が整備されているところを見る機会が増えていると思います。しかし、障害者駐車場に障害者が乗車していないが車椅子マークをつけている乗用車の利用があります。テレビニュースのコーナーでは障害者駐車場に停めたい障害者を乗せた乗用車に対して駐車場の整理員が理解できず、説明をしても駐車できなかったり、諦めたりしている現状がありました。障害者が障害者駐車場を利用する際にスムーズに停められるようにするための工夫は考えられているのでしょうか? ご意見に対する回答 (国土交通省) 国土交通省では、車椅子使用者用駐車施設等の適正利用を促進するために、毎年度「高齢者障害者用施設等の適正利用キャンペーン」を実施しております。今年度も12月からキャンペーンを実施し、ポスター・チラシの配布等を通じた普及啓発に取り組む予定です。 また、令和5年3月には「車椅子使用者用駐車施設等の適正利用に関するガイドライン」をとりまとめ、地方公共団体が運用するパーキング・パーミット制度の運用に関する基本的な考え方等を示しているところであり、当該ガイドラインの周知にも取り組んでおります。 引き続き、これらの車椅子使用者用駐車施設等の適正利用のための取組を促進し、真に必要とする方が車椅子使用者用駐車施設等を円滑に利用できる環境の整備に取り組んでまいります。 3.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実 項目番号 3-(1)-1 委員からのご意見 【内布専門委員】 障害者の意思確認についてです。精神症状が強く出ている時にはご本人が辛いこと・苦しいこと(悩みなどではなく、精神症状として不安感が強い・幻聴が聴こえてパニックであるなど)を言語化できない場合に周囲の人にサポートをして欲しい時があるので、聴覚障害の方達の使われるサインボードや視覚障害者の方達の使われる文章読み上げソフトの様なツールがあると精神障害者も外出時にサポートが受けやすくなると思います。精神書障害者を対象として意思疎通について何か研究開発があるのでしょうか? ご意見に対する回答 (厚生労働省) ご指摘のような精神障害者の意思疎通支援に資する支援機器についてですが、厚生労働省で実施している事業(障害者自立支援機器等開発促進事業)において、開発費の助成をした実績はありません。 また、その事業の枠組みの外で開発した支援機器について、厚生労働省への報告義務もございませんので、ご指摘のような支援機器の全数把握はできておりません。 そのため、把握している範囲において、という前提であり、サインボードや文章読み上げソフトとは異なりますが、例えば、知的・精神障害者の通所施設や就労支援事業所、一般企業などにおいては、Webカメラを使って脈拍・自律神経の状態を検知し、メンタル不調の悪化兆候をAIが判断して、障害当事者や施設の支援者にお知らせする支援機器(製品名:ハチャ)というものを活用することで、(精神障害者からの発信ではないものの、)支援者から意思疎通を図るという取組があることは承知しております。 (総務省) 総務省が実施している補助事業において、これまで精神障害者を対象とした意思疎通に関する研究開発の事例はありません。 項目番号 3-(1)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 現行の日本産業規格「JIS X 8341-3:2016」では、AAが達成基準とされており、手話言語に関する項目はAAAに分類されているため、対応をしてもらえません。2025年6月に手話施策推進法が成立したことを踏まえ、手話言語による情報保障を制度的に位置づけるためにも、JIS規格の達成基準の見直しを行い、手話言語をAA基準に引き下げるか、もしくは別枠での対応を可能とする新たな基準設計を検討してください。 ご意見に対する回答 (経済産業省) ご承知のとおり、「JIS X 8341-3」は、高齢者及び障害のある人を含む全ての利用者が、使用している端末、ウェブブラウザ、支援技術などに関係なく利用することができるように、ウェブコンテンツが確保すべきアクセシビリティの基準について規定している規格であります。 JIS規格の確認や改正にあたっては、日本産業標準化法において、「全ての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し」なければならないこととなっております。 そのためには、まず原案作成団体において議論が必要であることから、ご要望については、原案作成団体である一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会にお伝えさせていただきます。 項目番号 3-(1)-7 委員からのご意見 【石橋委員】 ・金融庁、現在、金融庁・総務省・厚生労働省など一部の省庁では、電話リレーサービスや手話リンクの導入が進められていますが、他の省庁では未導入のケースが多い状態です。すべての行政機関において、手話言語対応窓口の標準化を推進してください。 ・公共インフラであるにも関わらず、電話で提供されているサービスと同等に利用できないケースが多発しています。関係省庁だけではなく、すべての省庁で電話リレーサービスや手話リンクの普及啓発を各省庁内部や、管轄の事業者に対して行ってください。 ご意見に対する回答 (総務省) 総務省本省では導入済みであり、地方総合通信局でも順次導入に向けて手続きを行っています。個別の取り組みに関しては各省にお尋ねいただければと思います。 一方、各府省庁における情報アクセシビリティの向上は、それぞれにおいて、合理的配慮の提供義務や環境の整備の努力義務を踏まえ、対応要領を定めて適切に対処すべき事項となっております。 総務省では関係省庁等に対して定期的に電話リレーサービスの周知を依頼する文書を発出等しておりますが、その他の省庁等でも普及啓発が進められるよう、周知先を広げてまいります。 項目番号 3-(2)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 手話放送についても、字幕放送や解説放送と同様に、対象放送番組の総放送時間に占める割合(パーセンテージ)による目標設定をしてください。令和4年度の実績では、NHK総合で0.75%、NHK教育で2.87%、在京キー局平均で0.17%と、いずれも1%未満の水準にとどまっており、情報保障としての手話放送の位置づけが極めて限定的です。放送分野における情報アクセシビリティの公平性を確保するためにも、手話放送時間の拡充と数値目標の明示をしてください。 ご意見に対する回答 (総務省) 「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」に係る次回指針策定時に、ご指摘の点を含め、検討を進めてまいりたいと考えております。 項目番号 3-(2)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 聴覚障害者情報提供施設や障害者放送通信機構では映像ライブラリーが多数制作されています。映像ライブラリー制作の実態を明らかにして、今後ろう者の文化芸術活動、スポーツ、レクリエーションを通じて手話文化の保存・継承発展を図るため全国規模でのアーカイブ機能を構築することにつなげてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法を踏まえ、2023年度(令和5年度)に増額した情報化対応特別管理費については、およそ6割の施設において、計上されている状況ですが、支援の充実のため、引き続き、機器の更新や購入など映像制作に係る経費への活用も可能であることも含めて、全国課長会議において、自治体に周知しているところ。なお、映像情報ネットワークの構築については、主な委託先として想定しています「障害者放送通信機構」は、電気通信事業者として聴覚に障害のある方々に対して手話と字幕の番組を放送する事業を実施されており、当該事業に対して、国立研究開発法人情報通信研究機構から手話翻訳映像提供促進助成金が交付され、財政的な支援が行われているため、当該助成金との棲み分けなど、慎重な検討が必要と考えています。 項目番号 3-(2)-4 委員からのご意見 【石橋委員】 手話言語による教科書等の編纂・発行をしてください。 ご意見に対する回答 (文部科学省) 特別支援学校学習指導要領では、聴覚障害者である児童生徒に対する教育を行う特別支援学校について、「体験的な活動を通して,学習の基盤となる語句などについて的確な言語概念の形成を図り,児童の発達に応じた思考力の育成に努めること。」や、「児童の聴覚障害の状態等に応じて,音声,文字,手話,指文字等を適切に活用して,発表や児童同士の話し合いなどの学習活動を積極的に取り入れ,的確な意思の相互伝達が行われるよう指導方法を工夫すること。」等を規定しており、これらの事項に配慮して各教科の指導を行うこととしています。さらに、令和7年度は聴覚障害教育の更なる充実に向けて、聴覚障害や手話の理解を深めるための児童生徒等向けの学習コンテンツの開発や手話を活用した学習教材の収集・整理等に関する事業を実施しております。文部科学省としては、手話に関する施策の推進に関する法律も踏まえながら、引き続き関係省庁と連携し、必要な施策の実施に適切に努めてまいります。 項目番号 3-(3)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 ・意思疎通支援者の養成の取り組みはありますが、必要十分な支援者の確保ができていません。意思疎通支援者確保のためには、その待遇改善を図り、特に若い人たちが意思疎通支援者をめざせるようにしてください。人材育成と並行し意思疎通支援者の労働環境・待遇改善を行ってください。 ・若年層を中心とした高等教育機関での人材養成の取り組みと共に、高等教育機関で単位取得を目指せる受け皿の体制を構築してください。  ・聴力障害者情報文化センターの調査では、2009年から2019年にかけて手話通訳士の高齢化が進行し、性別の偏りも顕著であることが示されています。また、全国手話通訳問題研究会の調査では、雇用された手話通訳者のうち「やめたい・続けられないかもしれない」と回答した人の理由として、体力・健康・年齢が大きく影響していることが明らかになっています。2020年時点で、体力・健康上の理由を挙げた人は44.8%、年齢を挙げた人は44.3%に達しており、担い手の健康状態と年齢構成が制度維持の大きな課題となっています。さらに、地域的偏在も深刻です。人口10万人当たりの手話通訳士数は、佐賀県が1.27人と最も少なく、東京都はその約5倍の6.59人となっており、地域によって言語保障の格差が生じています。これは、ろう者の参政権や言語権を脅かす状況であり、早急な制度的対応が必要です。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 厚生労働省としては、手話通訳者の人材確保を図るため、手話通訳者の高齢化へ対応するための、大学生等の若年層を対象とした手話通訳者養成モデル事業、手話通訳を含む意思疎通支援事業分野への関心を高めるための広報・啓発活動等を行う意思疎通支援従事者の確保事業を実施しているところであり、引き続き、こうした事業を推進することにより、手話通訳者の確保に取り組んでまいりたい。 手話通訳士については、厚生労働省令に基づき、聴力障害者情報文化センターにおいて、試験を実施しているところであるが、令和6年度試験の合格率が5.5%と低い水準となっていることが課題と認識しており、手話通訳士の質と量の両面から考える必要があると考えている。このため、厚生労働省としては、まずは手話通訳の質の向上として、試験に合格する者の増加を図ることが重要と考えており、手話通訳士を目指す者に対するキャリアアップ研修を地方自治体に対する助成事業で実施しているところ。引き続き、こうした取組を通じて、手話通訳士の業務が魅力あり、質の高い支援を提供出来るにように努めてまいる。 (文部科学省) 既に一部の大学において、手話通訳者の養成を目指すことを想定した講義が行われていると承知している。 項目番号 3-(3)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 聴覚障害者用の日常生活用具品目は他の障害と比較すると、品目数が乏しく、【製品の価格が上昇しているにも関わらず】基準額が据え置きもしくは減額になっており、きこえない人の負担が増大しています。また聴覚障害者用通信装置の給付品目が現在では使われることが少なくなっているFAXのみに限定されています等、課題が多く早急に品目や基準額の見直しをしてください。 ご意見に対する回答 (厚生労働省) 日常生活用具給付等事業については、実施主体である市町村が、日常生活がより円滑に行われるための用具を必要とする障害児・者や難病患者等を対象に実施する事業として、各市町村が地域の実情や利用者の状況に応じて柔軟な形態で実施する仕組みとなっております。 このため、具体的な種目や上限価格等の運用方法については、国で一律に定めてはおらず、各市町村において決定しております。 各市町村に対しては、定期的な当事者の意見の聴取によるニーズ把握や実勢価格の調査等を通じて、地域の実情に即した適切な種目や上限価格等が設定されるよう定期的な検証を行うことを求めており、引き続き、各地方公共団体を対象に開催する障害保健福祉関係主管課長会議等において周知してまいります。 項目番号 3-(4)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 政府ウェブサイトにおいて、手話言語による情報提供の導入を積極的に検討してください。首相会見や官房長官会見には手話通訳映像と字幕版が併せて掲載されている一方で、国会関連の動画【衆議院・参議院内閣委員会等】では、字幕の付与が一部欠如している事例が見受けられます。国会中継も含め、すべての公的映像コンテンツに対して、手話通訳および字幕の標準化を図り、きこえない・きこえにくい人が平等に情報へアクセスできる環境整備をしてください。 ご意見に対する回答 (内閣府) 障害者施策を担当する内閣府特命担当大臣の会見については、本年9月19日の会見より、手話通訳を付けた会見動画のウェブ配信を実施しています。 一方、各府省庁における情報アクセシビリティの向上は、それぞれにおいて、合理的配慮の提供義務や環境の整備の努力義務を踏まえ、対応要領を定めて適切に対処すべき事項となっております。 内閣府では、本年6月25日に、手話施策推進法の施行を踏まえ、各府省庁に対して事務連絡を発出し、障害者差別解消法の趣旨について周知しており、各省庁において取組が進められることを期待しています。 立法府の取組については、三権分立の観点から、回答を差し控えます。 項目番号 3-(4)-5 委員からのご意見 【石橋委員】 政見放送における手話通訳および字幕の付与については、現在「持ち込みビデオ方式」に限って候補者の任意で対応可能となっており、スタジオ録画方式では原則として付与されていません。この仕組みでは、候補者の所属や方式によって情報保障の有無が左右されるため、きこえない・きこえにくい有権者がすべての候補者情報にアクセスができていません。選挙における情報アクセスの平等を確保するため、すべての政見放送に対して一律に手話通訳および字幕を付与できる制度的枠組みの整備をしてください。 ご意見に対する回答 (総務省) 政見放送における手話通訳の付与については、衆議院小選挙区選挙において「スタジオ録画方式」を採用した場合を除き、全ての政見放送を行うことができる選挙で付与することが可能となっています。なお、衆議院小選挙区選挙について、「持ち込みビデオ方式」による場合は、付与することが可能です。  また、政見放送における字幕の付与については、「持ち込みビデオ方式」による録画ができる衆議院小選挙区選挙及び参議院選挙区選挙については、持ち込みビデオに付与することができ、「スタジオ録画方式」による録画のみができる選挙についても、参議院比例代表選挙については付与できることとされているところです。  政見放送における手話通訳や字幕の付与につきましては、きこえない・きこえにくい有権者に配慮し、手話通訳士の確保状況や日本放送協会及び基幹放送事業者の体制等、環境が整った選挙から順次可能としてきており、引き続き各機関等と連携し、検討等を進めてまいります。 4.防災、防犯等の推進 項目番号 4-(1)-1 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない当事者団体と連携しながら地域防災計画作成や防災訓練に参加できるような運営を行っている地域は少なく、きこえない・きこえにくい人が防災訓練に参加できていないことが多く見受けられるので地域の当事者団体や情報提供施設への連絡し状況を改善するようにしてください。 ご意見に対する回答 (内閣府) 内閣府においては、防災訓練実施に当たっての基本方針を示しており、その中で聴覚障害者を含め様々な特性を有する要配慮者の視点に立ち、要配慮者本人の参加を得て避難場所への避難誘導訓練等を行うことなどに努めるよう促している。 (総務省) 総務省消防庁においては、地方自治体に対して防災訓練の実施について通知を発出し、聴覚障害者を含めた要配慮者を支援する体制整備を行うよう促しており、引き続き地方自治体に対する周知を行う。 項目番号 4-(1)-3 委員からのご意見 【福田委員】 避難を伝えるための防災行政無線のパトライトや、火災を伝えるための火災報知機の情報は、光や音であるため、盲ろう者は感知できない。防災や消防に関する緊急情報を盲ろう者へ適切に伝達するための取組についてどのように考えているか。 また、防災・消防についての情報伝達は命を守るために重要であるため、例えば振動で知らせるタイプの機器を、耐用年数に限らず、日常生活用具として給付することを検討できないか。 ご意見に対する回答 (内閣府) 「避難情報に関するガイドライン」において、要配慮者への情報伝達に当たっては、それぞれの特性に応じた、多様な伝達手段や方法を活用し、確実に情報伝達できる体制と環境を整えておくことが必要であることを示しており、各地域における好事例を「住民の適切な避難行動の促進に向けた好事例集」としてとりまとめ、周知しているところ。 また、「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」において、同じ障害者であっても必要とする情報伝達の方法等は異なることに留意したうえで、災害時の情報伝達については多様な手段を確保する旨、市町村に求めているところ。併せて障害の種別ごとに複数の情報伝達手段の事例を取組指針に記載し、市町村に示している。 引き続き、市町村への研修等を通じて周知して参る。 (総務省) 防災行政無線につきましては、自治体が住民の家に貸与する戸別受信機について、障害のある方へ対応するための機能強化を実施する場合は、地方財政措置の対象とされております。 また、火災発生時における盲ろう者への情報伝達には、振動式枕など、きめ細やかで多層的な手段の活用が考えられます。 (厚生労働省) 日常生活用具給付等事業については、実施主体である市町村が、日常生活がより円滑に行われるための用具を必要とする障害児・者や難病患者等を対象に実施する事業として、各市町村が地域の実情や利用者の状況に応じて柔軟な形態で実施する仕組みとなっております。 このため、(厚生労働省では、告示において「介護・訓練支援用具」や「情報・意思疎通支援用具」等といった給付対象種目の大枠はお示ししているものの、)具体的な用具については、国で一律に定めてはおらず、各市町村において決定しております。 ※参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/yogu/seikatsu.html 項目番号 4-(1)-6 委員からのご意見 【内布専門委員】 災害時の福祉避難所についてです。最近では能登半島の地震や小笠原諸島での台風被害で多くの避難所が開設されていると思います。福祉避難所を開設される際に人の声や物音に敏感な障害をお持ちの方たちに向けた準備は進められているのでしょうか?例えば、小スペースでも防音効果の高い壁材を使ったプレハブの導入などの検討などについて、あれば教えてください。 ご意見に対する回答 (内閣府) 指定避難所の指定は、災害対策基本法において市町村長が行うこととされており、地域的な特性や過去の教訓、想定される災害等を踏まえ、各市町村において適切に行われているものと認識している。 お尋ねの能登半島地震や台風被害における個別の事例は承知していませんが、内閣府としては、避難所において、要配慮者の不安を取り除くとともにニーズを把握することは重要と考えており、各自治体に対して、避難所に関する指針やガイドライン等において、パニックの際に落ち着くためのスペース(カームダウンスペース)の確保等の、障害者等の要配慮者を支援するために必要な整備を求めている。 災害時に要配慮者の方々への支援が着実に行われるよう、引き続き、自治体等と連携しながら、避難所における良好な生活環境の確保に取り組んで参る。 項目番号 4-(3)-2 委員からのご意見 【石橋委員】 きこえない人へ適切な対応ができていない警察官が多く見受けられます。どのような研修を行っているか、研修内容や実施状況を教えてください。 ご意見に対する回答 (警察庁) 警察庁では、新規採用及び昇任時の研修において、聴覚障害等の障害のある人をはじめとする各種人権課題に対する理解を深め、人権尊重の重要性や人権に配意した職務執行の必要性について理解させるための研修を行うよう指示しています。都道府県警察等では、これらの研修に加えて、警察署等における職場研修等の様々な機会をとらえて、聴覚障害等の障害の特性やコミュニケーション等への理解を深め、人権に配意した適正な職務執行を期するための研修を実施しているものと承知しています。 研修では、聴覚障害者協会や聴覚障害者情報提供施設等から講師を招聘し、講話を行ったり、手話通訳士による手話の実技研修を実施している県警等もあります。 今後も、様々な機会をとらえて、聴覚障害等の障害のある人をはじめとする各種人権課題に対する理解を深め、人権に配意した適正な職務執行を期するための研修を推進してまいります。