資料2-3 第86回障害者政策委員会 障害者基本計画(第5次)の実施状況についての意見 石橋大吾(全日本ろうあ連盟) p1 項目番号 (6 全体) 意見 最低、精神保健福祉士、社会福祉士の養成段階(現在は障害者福祉で障害者の定義と特性を取り上げているが不十分)で、「ろう(聴覚障害)」の理解、手話言語通訳の理解を深める時間を設けてください。 ろう+精神障害に対する具体的な支援、システムは不明な点が多く、調査研究を進める必要があるので検討してください。 「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」に基づき、聴覚障害児支援中核機能強化事業が実施されていますが、法的根拠がありません。法的な位置づけを早急に行ってください。また、難聴児の支援施策が都道府県によってかなり格差がありますので、早急に是正してください。 項目番号 6-(1)-1-ウ 意見 精神障害にも対応した地域包括ケアシステムで言われている誰もが安心して暮らせる地域包括ケアシステムの構築にあたって手話言語を第1言語とする者のケアシステムの確立も併せ持って推進してください。 また、聴覚障害+精神障害を併せ持つ者に対する事例等も含めて紹介してください。またその地域移行支援後の受け入れ先の整備もしてください。 ケアシステムに意思疎通支援事業、情報提供施設をどのように位置づけるか検討してください。 項目番号 6-(1)-1-エ 意見 聴覚障害+精神障害を併せ持つ者について学べる教材の作成を進め、地域移行、地域定着支援関係者の研修に活用できるようしてください。 項目番号 6-(1)-2 意見 相談、カウンセリングへのアクセスの平等性の確保ときこえない・きこえにくい人特有の心理的負担への理解と支援体制の構築をしてください。きこえない人も「こころの健康相談」等が受けられる体制がどのようなものか明らかにし、構築できるようにしてください。 具体的には、きこえない・きこえにくい児童や生徒に対しては、手話言語のできるスクールカウンセラーまたは、手話言語通訳者の同席、また、きこえない障害の特性や手話言語に対する知識を有するスクールカウンセラーを配置するということです。 項目番号 6-(1)-3 意見 市町村のきこえない人の相談支援体制については、既存の制度で考えると、手話言語通訳者設置事業を活用した相談体制の確立が現実的だと考えます。その場合、設置手話言語通訳者の研修が必要になるので対応を検討してください。 p2 項目番号 6-(2) 共通 意見 保健・福祉・医療の専門職が手話言語通訳を活用する際、手話言語通訳についての理解の度合いに左右されることから手話言語通訳の活用事例集を作成し、手話言語通訳がその機能を充分果たせるよう取り組んでください。 項目番号 6-(4) 共通 意見 人材育成、確保に関しては、手話言語通訳活用についての見識を深める必要があり、そのための教材作るようにしてください。 項目番号 6-(4)-1 意見 鳥取大学医学部では手話言語教育(基礎手話言語・医療手話言語)を実施しており、きこえない・きこえにくい人の特性を学んだ医療関係者を育てています。全国の医学部・歯学部にも同様に手話言語教育を導入する仕組みを作ってください。 項目番号 6-(4)-2 意見 国立障害者リハビリテーションセンター手話通訳学科の卒業者が令和6(2024)年度2名と極めて少ないので、卒業生が増えるよう学科のあり方を検討してください。 項目番号 6-(6)-1 意見 新生児聴覚スクリーニング検査を実施しているだけでは実態がわからないので、「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針」に基づき、どのような施策で実施しているのかを具体的に報告してください。 項目番号 6-(6)-2 意見 生活習慣病の予防の取り組みは大切です。健診や特定保健指導に手話言語通訳者が配置されていないと、きこえない・きこえにくい人には十分に内容が伝わらず、健康への取り組みがおろそかになるために重症化してしまうことがあります。予防の取り組みには、情報保障(手話言語)も併せて徹底するように周知啓発をしてください。 項目番号 (7 全体) 意見 きこえない・きこえにくい方の主要なコミュニケーション手段は音声言語ではなく、手話言語や筆談など多様です。しかし、相談支援事業者や相談員の多くはきこえる方であり、支援の場ではきこえる方の価値観が優先されやすい傾向があります。 そのため、支援のあり方に偏りが生じ、本人の意思が十分に尊重されないことがあります。 また、相談支援に関する研修に当事者が関わっていない場合も多く、実際のニーズや文化的背景が反映されにくい状況です。 特に子どもの段階では、言語発達の重要な時期に自身の意思を表出しにくく、同じコミュニケーション手段を共有できる環境の有無が将来に大きく影響します。 こうした点を踏まえ、当事者が研修や制度設計に参画し、本人の意思を尊重できる支援体制と、言語環境の整備を進めてください。 意思決定は「自ら望む言語」を基盤として行われることを、経済的事情、人材不足などの条件よりも優先されることを徹底していただいたい。きこえない人には、各種サービスが手話言語により提供される体制を構築していただきたい。 p3 項目番号 7-(1)-2 意見 手話言語を第1言語とする者の成年後見、補佐、補助の業務の担い手は手話言語に堪能な者を基本としてください。ただし、人がいない場合は手話言語通訳の活用も含め自己決定を支えるシステム化を図ってください。 項目番号 7−(2) 全項目 意見 難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針に基づく、福祉・教育・保健の連携に対する取り組みを明記してください。 項目番号 7−(2)−1から3 意見 きこえない・きこえにくい人が利用する場合、基幹相談支援センターなどに手話言語でコミュニケーションが可能な職員を配置することが理想です。それが叶わないのであれば、手話言語通訳者をはじめとした情報保障を準備するように徹底してください。また、相談員に対してきこえない障害や手話言語の研修を実施するようにしてください 項目番号 7-(2)-7 意見 意見を申しにくい言語的な問題を抱える手話言語を第1言語とするきこえない人の虐待は、令和6年「障害者福祉施設等における障碍者虐待の防止と対応の手引き」に「必要なメガネ、補聴器、補助具などがあっても使用させない」等が例示されていますが、虐待の防止にはスムーズなコミュニケーションも不可欠です。手話言語のできる職員の配置や手話言語通訳者の活用など財源、人材を確保してください。 虐待通報、差別解消に関する窓口として内閣府の「つなぐ窓口」と同様に、手話言語で問い合わせができる「手話リンク」を取り入れてください。 項目番号 7-(4)-1 意見 インクルーシブ社会において、保育所等はすべての子どもの受け入れができる体制を整えるべきです。きこえない・きこえにくい子どもを受入れるにあたっての保育所等および職員の研修は必須にしてください。 項目番号 7-(5)-2 意見 障害福祉サービス事業者のきこえない人への理解は十分とはいえず、適切な支援がされていない事例が多くあります。きこえない人からも、事業者の「理解がない」「コミュニケーションが十分とれない」といった不満が多く、障害福祉サービス事業者の研修については、きこえない障害についての特性を学べるようにしてください。についての特性を学べるようにしてください。 p4 項目番号 7-(6)-2 意見 補聴援助機器などの支給対象範囲は自治体によって異なり、最新の通信機器や情報保障機器が対象外となっている地域もあります。そのため、生活の実態や技術の進歩に制度が追いついておらず、意見聴取も形式的で、当事者の声が制度に反映されにくい状況です。 さらに、実勢価格の調査や上限額の見直しが不十分であるため、必要な機器を自己負担で購入せざるを得ない場合もあります。 そのため、地域によって受けられる支援に差が生じ、情報アクセスや生活の質に格差が生じています。 きこえない・きこえにくい方の声を反映させながら、最新の情報機器を対象に含め、地域格差のない制度運用を進めてください。 項目番号 7-(7)-1 意見 手話施策推進法の成立も踏まえ、取組実施状況に手話通訳士を加えることで手話言語通訳に対する認識を深める一助にしてはどうでしょうか。 項目番号 7-(7)-2 意見 7-(5)-1 の意見に加えて、福祉支援専門職やPT、OTなどの医療従事者の養成課程のカリキュラムに、きこえない障害特性や手話言語を取り入れてください。特にきこえない障害を専門としたSTは非常に少ないので、STの養成カリキュラムには必須科目としてきこえない障害特性と手話言語を学べるようにしてください。 項目番号 (9 全体) 意見 手話言語の使用を基本とする雇用、就業などの場面におけるシステムや支援体制について調査研究を進め、手話言語による職業生活を保障し、自己実現が可能な社会を構築するようにしてください。 相談支援機関が積極的に手話言語のできる職員の採用を進めるための措置を講じてください。 項目番号 9-(1)-1 9-(1)-2 意見 ハローワークにおける就労定着支援の数が少ないように思われます。就職件数115,609件に対し18,874人となっていますが、障害種別での数を教えてください。 きこえない・きこえにくい人は特に就職初期の段階での定着支援がないとコミュニケーション面等の問題で業務習得が進まなかったり、人間関係構築が上手くいかなかったりすることがあります。手話協力員を同行しての定着支援が有効ですが、手話協力員が定着支援に同行できる体制になっているのか教えてください。同行できる体制になっていないのであれば、同行できる体制の構築をすすめてください。 p5 項目番号 9-(1)-6 意見 障害者就業・生活支援センターが手話言語で利用できる体制をつくるために、手話言語のできるワーカーの採用、情報提供施設との連携、手話通訳設置事業の手話言語通訳者との連携など事例集を作成し、周知をしてください。 項目番号 9-(1)-7 意見 障害者職業能力開発校には手話言語のできる職員を配置してください。例えば、拠点校で採用し、広域的な体制を構築するなど検討してください。 項目番号 9-(4)-1 意見 精神障害者同様に、手話通訳士・者資格を有する者を雇用サポーターとして配置していただく、また職場定着支援等、企業に対する雇用に係る課題解決のための相談援助が担えるように手話協力員制度の充実を図ってください。