資料4-1 第 88 回障害者政策委員会 「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画フォローアップ」 意見書 石橋 大吾(全日本ろうあ連盟) 1 子育て等の希望する生活の実現に向けた支援 医療機関における障害者への偏見は依然として存在するため、きこえない者を含む障害のある親の子育て支援に対する理解は不可欠です。 産婦人科・小児科を含む医療機関に対し、障害のある人の子育て支援に関する啓発を強化し、差別的判断が行われないよう周知徹底をしてください。 また、きこえない・きこえにくい母子への支援体制には手話言語通訳を含め、予算化を明確に位置づけてください。 さらに、福祉サービスの質向上を図るため、「時間刻み報酬」ではなく基本報酬の大幅な引き上げによる支援強化をしてください。 現在、きこえない者が手話言語で相談できる場が限られています。手話施策推進法施行に踏まえ、地域における相談支援体制の強化を図るため、中心となる総合的な相談支援センター(基幹相談支援センター)はきこえない者の特性を熟知した聴覚障害者情報提供施設や障害当事者団体との連携をとるようにしてください。また、相談員の研修カリキュラムには、当事者ニーズを踏まえた研修を行えるよう推進してください。 手話言語の獲得支援だけではなく、きこえない者がメンターとなり、きこえないこどもやその親を支援できる制度や仕組みを構築することが重要で、そのための人材育成とその確保をしてください。 2 公務員の意識改革の強化 公務員は憲法99条に基づき、すべての国民の平等と人権保障を担う行政活動の主体です。したがって、公務員の意識改革は行政計画の基盤であり、地方自治体の計画策定にも大きな影響を及ぼします。 既存研修の周知にとどまらず、きこえない者も含めた障害者の実態を学び、その人権保障を前進させる行政のあり方を明確に位置づける必要があると考えます。 また、教科書への「優生保護法問題」の記載を進め、歴史的背景を踏まえた人権理解を深めてください。 加えて、新規採用時研修には、障害の特性や障害に配慮したコミュニケーションへの理解を実施しているとありますが、十分ではないため、それら研修の徹底と研修評価の導入等をご検討ください。手話施策推進法を踏まえ、手話言語を身につける研修も実施してください。 3 ユニバーサルデザイン2020行動計画の「心のバリアフリー」 (1)学校教育等における取組 きこえない・きこえにくいこどもときこえる子どもが共に学ぶ環境では、「手話言語が使用できる環境」、「視覚的情報へのアクセス」、「手話言語で指導ができる教員養成」「教材への手話言語や字幕の付与」等のインクルーシブ教育の基盤整備をしてください。 また、インクルーシブ教育を推進するためには、聾学校への通学環境(通学時間、地域、負担額等)の実態調査を早急に実施し、課題改善を図ることが必要です。 加えて、受け入れ側の地域の小学校・中学校において、きこえない当事者を招いた交流・学習を実施しているかも重要です。交流や学習の実施状況を示してください。 教職課程のコアカリキュラムに手話言語を明確に位置づけ、当事者団体を講師とした研修を設け、きこえない・きこえにくい者を理解できる仕組みを構築してください。 教職員のオンライン研修には字幕・手話言語を付与し、きこえない・きこえにくい教職員がアクセスできる環境を整備してください。 手話施策推進法の施行を踏まえ、「手話の日」の周知を含む企業・地域・国民への啓発を体系的に進めてください。 (2)企業などにおける「心のバリアフリー」の取組 「公共交通事業者向け接遇ガイドライン」とした各種ガイドラインに手話施策推進法にもその理念を反映させ、手話言語への理解を促進してください。 フランチャイズのドライブスルーは、きこえない・きこえにくい者が利用しづらいので、早急に環境整備を進めてください。 (3)地域における取組 自治体の障害福祉計画に「手話施策推進法」「手話言語条例」を反映するよう周知してください。 災害時には避難所等に聴覚障害者用受信装置(アイドラゴンW)を設置するよう、徹底した指導とチェック体制を整備してください。 また、相談支援専門員・サービス管理責任者等の研修に、ろう者・ろう重複障害への対応や手話言語の研修を加えてください。 (4)国民全体にむけた取組 手話施策推進法を踏まえ、手話動画の導入を推進してください。 きこえない・きこえにくい者・ろう重複者の障害特性を踏まえた「就労選択支援」を国として周知してください。 手話言語を始めとするきこえない・きこえにくい者への啓発研修を国として継続的に実施してください。 デフリンピック・デフスポーツを含めた啓発を進め、きこえない・きこえにくい者の文化・スポーツへの理解を広げてください。 第5回アジアパラ競技大会では手話言語を含む情報保障がきちんと整備されるようにしてください。 IoT・AI等の技術開発において、きこえない・きこえにくい者が利用できるよう当事者参画が保障されるようにしてください。 「建築プロジェクトの当事者参画ガイドライン」では障害者を一括りにせず、障害種別ごとの当事者団体が参画できるようにしてください。 (5) 障害のある人による啓発等の取組への支援 民間職業訓練校でも、きこえない者のニーズに応じた環境整備をするよう周知をしてください。 (6)国際的な発信 デフリンピックのレガシーとして、国際手話による配信や国際手話通訳者の育成や確保が重要です。 (7)旧優生保護法の被害を踏まえた対応 手話言語による動画や映画「沈黙の50年」を取り入れた人権教育を進めてください。また、教科書にも掲載するようにしてください。