資料4-3 【資料2について】 臼井久実子(専門委員) 現状として約590の法令が集約されたのは、政府としては初とみられる。最高裁判決が出た今、欠格条項を抜本的に見直す必要がある。その点から資料2を読み込んだところ、障害があることと、業務などを適正に行う能力とが、結びつけて考えられていることが明白になった。最高裁判決の趣旨(註1)、障害者差別解消法(註2)をふまえた審議をお願いしたい。 (註1) 本年2月18日、最高裁大法廷の裁判官が全員一致で、警備業法の欠格条項を違憲と判決した。判決文は、成年後見等が開始しても(精神上の障害があっても)その余の能力が直ちに欠如しているとはいえないという見方に、社会的に変化したことを認め、障害者の法的な権利の保障、差別の禁止に関して、国連障害者権利条約、障害者差別解消法や雇用促進法についても述べて、判決の根拠とした。 判決の背景に「医学モデルから社会モデルへ」、「保護の客体から権利の主体へ」というパラダイムシフトがあり、社会情勢はすでに大きく変化している。これに対して、現行の欠格条項は「医学モデル」の典型であり、法律によって、障害ゆえに能力を欠くという差別偏見を社会に広めている。 最高裁大法廷の違憲判決の内容を重く受け止め、府省庁任せにせず政府一体で、迅速かつ根本的に欠格条項の廃止にむけて作業を進めることが、今こそ必要である。 (註2) 「法は、障害者に対して、正当な理由なく、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否する又は提供に当たって場所・時間帯などを制限する、障害者でない者に対しては付さない条件を付けることなどにより、障害者の権利利益を侵害することを禁止している」と、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(以下、「基本方針」と略)」に記述されている。 一般に、試験に合格すれば免許が交付され、有資格者として求職などができる。しかし、免許を定める法律に障害を理由とする欠格条項がある場合、試験に合格しても医師の診断書などによる審査期間が待っており、その間、就職活動も研修もできない不利益がもたらされている。 業務などに基本的に必要な知識や技能を評価する試験を実施しているにもかかわらず、合格者のうち、障害のある者だけを対象に審査する欠格条項は、「基本方針」の「障害者ではない者に対しては付さない条件を付ける」権利利益の侵害にあたると考えられ、障害者差別解消法との整合性の問題がある。 資料2の項目「当該欠格条項が必要な規定である理由(以下、「理由」と略)」に共通的な論理構造は、心身の故障・精神などの機能の障害があると、(ここに飛躍がある)、「判断、意思疎通、認知」が欠如しうるため、安全や、財産管理、公正性や中立性を損ないうる。それらを防ぐには欠格条項が必要、というものである。障害がある人が、必要に応じて合理的配慮の提供を得ながら他の人々と共に働く、という視点は、この資料にはほぼ見られない。 「理由」のパターン 理由 安全・危険防止 詳細 障害があると公共の安全の確保が困難、事故や災害につながりうる 理由 財産や金融や税務に関する保全・安定・信頼 詳細 障害ゆえに「高い財産管理能力・判断力・説明責任」が欠如しうる 理由 人命・要支援者の利益 詳細 障害ゆえに業務上必要な判断や意思疎通の不全がありうる 理由 公正・中立・独立性 詳細 障害があると客観的な判断が困難なことがある 特徴的な記述の例 記述 専門的能力や学識経験が必要 法律名 ※同様の記述が多数ある 記述 心身の健全性を備える必要がある 法律名 建設業法 記述 税理士資格のない介助者が介在することになるので不適切(要約) 法律名 税理士法 記述 盗品を取り扱う蓋然性が極めて高い 法律名 質屋営業法・古物営業法 記述 ドナーと患者の間で売買や利益供与が行われることを防ぐ 法律名 造血幹細胞移植推進法