資料3-● 令和8年11月5日 日本社会事業大学社会事業研究所 客員教授 曽根直樹 第89回 障害者政策委員会 提案と質問 1.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止(項目番号1-(1)-1)について (1)保育所等における虐待防止措置を関連法に定めたことを追記することを提案する 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(以下「障害者虐待防止法」という)の附則第2条には、政府は、学校、保育所等、医療機関、官公署等における障害者に対する虐待の防止等の体制の在り方等について、この法律の施行後三年を目途として、児童虐待、高齢者虐待、配偶者からの暴力等の防止等に関する法制度全般の見直しの状況を踏まえ、この法律の施行状況等を勘案して検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることが定められている。 令和4年9月に国連の障害者権利委員会から日本政府に示された総括所見においては、障害者権利条約(第16条)搾取、暴力及び虐待からの自由に関して、教育、医療、刑事司法の場における、障害のある児童及び女性を含む、障害者に対する暴力の防止、報告及び調査が排除されているという、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律の範囲及び有効性の欠如が指摘され、あらゆる環境における障害者に対する暴力の予防の範囲を拡大するため、また、障害者に対する暴力及び虐待の調査や、被害者に法的な救済を提供するための措置を確立するために、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律を見直すことが勧告された。 これに関しては、令和4年8月に開かれた、障害者権利委員会第595回会合において、16条に関連した委員からの質問に対して、障害者のみに通報義務を課すと、障害の有無によって対応が分かれるという課題がある、という日本政府の答弁がなされた。 (提案) 日本政府としては、障害者権利委員会第595回会合における答弁を基礎として、保育所、認定こども園、幼稚園における虐待防止、通告義務、守秘義務の解除、通告者の保護、通告者の秘密保持義務を、障害者虐待防止法ではなく、児童福祉法、認定こども園法、学校教育法を改正して定め、障害の有無で分け隔てのない虐待防止の法制度化を実現したことは、障害者虐待防止法附則2条の検討規定への対応のみならず、障害者権利条約の理念に照らしても高く評価するべきであり、令和7年10月から法施行されたことを項目番号1-(1)-1に追記することを提案する。 (2)学校における通告義務を含む虐待防止措置を定めることについての質問 (1)で述べた保育所等における虐待防止の法制化があった一方、学校においては学校教育法に体罰の禁止が定められているものの、体罰が該当するのは虐待防止法制における虐待行為の類型のうち身体的虐待のみであり、心理的虐待、ネグレクト、性的虐待(「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」は別途定め有)については該当しない。また、通告義務、守秘義務の解除、通告者の保護、通告者の秘密保持義務は定められていない。 これに関して、令和6年10月の第80回障害者政策委員会において、文部科学省に対して学校教育法を改正し、通告義務を含む虐待防止の措置を定めることについて質問したが、文部科学省は、学校においては、教員の行為について既に学校教育法上で体罰が禁止されており、既に必要な措置が講じられている、という回答であった。 (質問) �@学校教育法の体罰の禁止規定で、既に必要な措置が講じられているということだが、体罰は虐待行為の類型をすべて対象にしているという認識で間違いないか。また、すべて対象にしているという認識であった場合、根拠となる法文等をお示しいただきたい。 �A仮に、体罰が虐待行為の類型をすべて対象にしていないという認識であった場合、学校教育法の体罰禁止規定をもって必要な措置が講じられているとする理由をご教授いただきたい。 �B学校教育法のうち幼稚園には虐待の疑いがある園児を発見した者に通告を義務付けているが、児童、生徒に対しては体罰が禁止されているのみで通告の義務はない。文部科学省初等中等教育局長が「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」を発出しているが、「教育委員会は、校長に対し、体罰を把握した場合には教育委員会に直ちに報告するよう求める」「校長は、教員に対し、万が一体罰を行った場合や、他の教員の体罰を目撃した場合には、直ちに管理職へ報告するよう求める」とするのみで、発見者の報告義務は示されていない。また、園児の虐待通告に際しては、守秘義務の解除、通告者の保護、通告者の秘密保持義務が定められているが、児童、生徒についてはそれらの定めがない。このような差異を前提としながらも、学校教育法の体罰禁止規定をもって必要な措置が講じられているとする理由をご教授いただきたい。 �C児童、生徒についても、園児と同様に学校教育法に虐待防止の措置に関する規定を定め、法律上の差異をなくすべきと考えるが見解をお尋ねしたい。 以上