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府政共生第325号
平成16年6月22日
 
 
  都道府県知事
各         殿
  指定都市市長
 
 
  内閣府事務次官

障害者基本法の一部を改正する法律の施行について

 障害者基本法の一部を改正する法律(平成16年法律第80号)(以下「改正法」という。)が、平成16年6月4日公布されたところである。
 本改正の趣旨及び概要は、下記のとおりであるので、福祉、雇用、教育、建築その他関係部局間の連携を密にし、適切な対応を図ることとされたい。
 なお、貴管内市町村、関係機関・団体及び住民に対して、本改正の趣旨及び概要を広く周知されるよう御配慮願いたい。
 
 
第1 改正の趣旨
  心身障害者対策基本法(昭和45年法律第84号)は、平成5年、障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野への参加を促進するため大幅に改正され、法律の題名が障害者基本法と改められた。その後、政府は、「障害者対策に関する新長期計画」(平成5年度〜14年度)の後期重点施策実施計画として、数値による施策の達成目標を定めた「障害者プラン」(平成8年度〜14年度)を策定するとともに、内閣総理大臣を本部長とする障害者施策推進本部を中心として、障害者施策の総合的な推進を図ってきたところである。
  この間、平成6年には「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」、平成12年には「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」が制定され、建物、交通分野でのバリアフリー化に向けた制度が整備されるとともに、障害者の社会参加を阻む欠格条項の見直しが行われたところである。
  加えて、平成14年12月には、新たな「障害者基本計画」(平成15年度〜24年度)及び同計画の前期5年間に重点的に行う施策と達成目標を定めた「重点施策実施5か年計画」(平成15年度〜19年度)が策定され、障害者施策を推進していく上での基本的 な枠組が示されるとともに、国際的にも、ESCAP「アジア太平洋障害者の十年」(平成 5年〜14年)が我が国の主唱により、更に10年延長されたところである。
  このように政府は障害者施策を着実に推進してきたが、障害者の社会への参加、参画をより実質的なものとするには、障害者の活動を制限し、社会への参加を制約している諸要因を除去するとともに、障害者が自らの能力を最大限発揮し、自己実現できるよう支援することが求められるところである。
 今回の改正は、このような障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等に対応し、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るために行われたものである。
 
第2 改正の概要
 1 基本的理念(法第3条関係)
 基本的理念として、何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならないことを加えたこと。
 
 2 国及び地方公共団体の責務(法第4条関係)
 国及び地方公共団体の責務として、障害者の権利の擁護及び障害者に対する差別の防止を図りつつ障害者の自立及び社会参加を支援すること等により、障害者の福祉を増進する責務を有することを規定したこと。
 
 3 国民の責務事項(法新第6条関係)
 国民の責務として、社会連帯の理念に基づき、障害者の人権が尊重され、障害者が差別されることがない社会の実現に寄与するよう努めなければならないことを加えたこと。
 
 4 障害者週間(法新第7条関係)
 障害者の日の規定を障害者週間の規定に改め、障害者週間は、12月3日から12月9日までの一週間としたこと。
 
 5 施策の基本方針(法新第8条関係)
 施策の基本方針として、障害者の福祉に関する施策を講ずるに当たっては、障害者の自主性が十分に尊重され、かつ、障害者が、可能な限り、地域において自立した日 常生活を営むことができるよう配慮されなければならないことを加えたこと。
 
 6 障害者基本計画等(法新第9条関係)
 都道府県及び市町村は、障害者のための施策に関する基本的な計画を策定しなければならないこととしたこと。
 
 7 教育(法新第14条関係)
 教育の規定として、国及び地方公共団体は、障害のある児童及び生徒と障害のない児童及び生徒との交流及び共同学習を積極的に進めることによって、その相互理解を促進しなければならないことを加えたこと。
 
 8 職業相談等(法新第15条関係)
 職業相談等の規定として、国及び地方公共団体は、障害者の地域における作業活動の場及び障害者の職業訓練のための施設の拡充を図るため、これに必要な費用の助成その他必要な施策を講じなければならないことを加えたこと。
 
 9 公共的施設のバリアフリー化(法新第18条関係)
 公共的施設のバリアフリー化の規定として、国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるよう な施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならないこととしたこと。
 また、交通施設その他の公共施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによって障害者の自立及び社会参加を支援するため、社会連帯の理念に基づき、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進に努めなければならないこととしたこと。
 
 10 情報の利用におけるバリアフリー化(法新第19条関係)
 情報の利用におけるバリアフリー化の規定として、国及び地方公共団体は、障害者が円滑に情報を利用し、及びその意思を表示できるようにするため、障害者が利用しやすい電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の普及が図られるよう必要な 施策を講じなければならないことを加えるとともに、国及び地方公共団体は、行政の情報化及び公共分野における情報通信技術の活用の推進に当たっては、障害者の利用の便宜が図られるよう特に配慮しなければならないことを加えたこと。
また、電子計算機及びその関連装置その他情報通信機器の製造等を行う事業者は、社会連帯の理念に基づき、当該機器の製造等に当たっては、障害者の利用の便宜を図るよう努めなければならないこととしたこと。
 
 11 相談等(法新第20条関係)
 相談等の規定として、国及び地方公共団体は、成年後見制度その他の障害者の権利利益の保護等のための施策又は制度が、適切に行われる又は広く利用されるようにしなければならないことを加えたこと。
 
 12 障害の予防に関する基本的施策(法新第23条関係)
 障害の予防に関する基本的施策の規定として、国及び地方公共団体は、障害の原因となる難病等の予防及び治療が困難であることにかんがみ、障害の原因となる難病等の調査及び研究を推進するとともに、難病等に起因する障害があるため継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めなければならないことを加えたこと。
 
 13 中央障害者施策推進協議会(法新第9条、法新第24条、法新第25条関係)
 障害者基本計画の案の作成に際して意見を聴くため、内閣府に、障害者、障害者の福祉に関する事業に従事する者及び学識経験者の委員30人以内で組織する中央障害者施策推進協議会を置くこととしたこと。なお、委員の構成については、中央障害者施策推進協議会が様々な障害者の意見を聴き障害者の実情を踏まえた協議を行うことができることとなるよう、配慮されなければならないこととしたこと。
 
第3 施行期日等
 1 施行期日(改正法附則第1条関係)
 改正法は、公布の日(平成16年6月4日)から施行すること。ただし、中央障害者施策推進協議会に係る規定の部分は、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するとともに、市町村障害者計画の策定義務化に係る規定の部分は、平成19年4月1日から施行すること。
 
 2 検討(改正法附則第3条関係)
 改正法の施行後5年を目途として、改正後の規定の実施状況、障害者を取り巻く社会経済情勢の変化等を勘案し、障害者に関する施策の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。
 
第4 附帯決議
 改正法の成立に際しては、参議院において附帯決議が付されているので留意されたい。(別添参照)
 

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