「障害を理由とする差別に関する国内の実態及び今後の相談体制の整備、事例の収集・共有等に関する調査研究」報告書     目次  1. 調査研究の概要・・・1  1.1 調査研究の目的・・・1  1.2 調査研究の実施経過・・・1  1.2.1 検討会の開催・・・1  1.2.2 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の実施・・・2  1.2.3 詳細調査(ヒアリング)の実施・・・4  2. 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の結果・・・9  2.1 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の概要・・・9  2.1.1 調査目的・・・9  2.1.2 調査対象・・・9  2.1.3 調査時期・・・9  2.1.4 調査方法・・・9  2.1.5 回収状況・・・9  2.1.6 調査項目・・・9  2.1.7 調査結果の概要・・・10  2.2 地方公共団体悉皆調査の集計結果・・・13  2.2.1 単純集計・・・13  2.2.2 クロス集計・・・26  2.2.3 相談件数が多い自治体を対象とした集計・・・48  3. 相談体制の好事例調査の結果・・・51  3.1 相談体制の好事例調査の概要・・・51  3.1.1 調査目的・・・51  3.1.2 調査対象、調査時期・・・51  3.1.3 調査方法・・・51  3.1.4 調査項目・・・51  3.1.5 調査結果の概要・・・52  3.2 千葉県・・・58  3.2.1 自治体の基本情報・・・58  3.2.2 障害者差別の解消に向けた相談体制・・・59  3.2.3 事例の収集・共有の仕組・・・66  3.2.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組・・・68  3.3 長野県上小圏域・・・69  3.3.1 自治体の基本情報・・・69  3.3.2 障害者差別の解消に向けた相談体制・・・70  3.3.3 事例の収集・共有の仕組・・・77  3.3.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組・・・80  3.4 兵庫県明石市・・・81  3.4.1 自治体の基本情報・・・81  3.4.2 障害者差別の解消に向けた相談体制・・・82  3.4.3 事例の収集・共有の仕組・・・88  3.4.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組・・・91  3.5 岡山県総社市・・・92  3.5.1 自治体の基本情報・・・92  3.5.2 障害者差別の解消に向けた相談体制・・・93  3.5.3 事例の収集・共有の仕組・・・102  3.5.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組・・・103  3.6 福岡県北九州市・・・104  3.6.1 自治体の基本情報・・・104  3.6.2 障害者差別の解消に向けた相談体制・・・105  3.6.3 事例の収集・共有の仕組・・・111  3.6.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組・・・113  4. 行政職員調査の結果・・・114  4.1 行政職員調査の概要・・・114  4.1.1 調査目的・・・114  4.1.2 調査対象、調査時期・・・114  4.1.3 調査方法・・・115  4.1.4 調査項目・・・115  4.2 調査結果・・・115  4.3 調査対象地域の相談体制の概要・・・121  4.3.1 茨城県・・・121  4.3.2 群馬県・・・122  4.3.3 福井県・・・123  4.3.4 山梨県・・・124  4.3.5 岐阜県・・・125  4.3.6 三重県・・・126  4.3.7 滋賀県・・・127  4.3.8 奈良県・・・128  4.3.9 広島県・・・129  4.3.10 沖縄県・・・130  4.3.11 宮城県仙台市・・・131  4.3.12 千葉県浦安市・・・132  4.3.13 東京都大田区・・・133  4.3.14 東京都世田谷区・・・134  4.3.15 東京都中野区・・・135  4.3.16 東京都練馬区・・・136  4.3.17 大阪府門真市・・・137  4.3.18 大阪府東大阪市・・・138  4.3.19 兵庫県神戸市・・・139  4.3.20 福岡県福岡市・・・140  4.3.21 福岡県古賀市・・・141  4.3.22 大分県別府市・・・142  4.3.23 沖縄県那覇市・・・143  5. 類似制度の取組調査の結果・・・144  5.1 類似制度の取組調査の概要・・・144  5.1.1 調査目的・・・144  5.1.2 調査対象、調査時期・・・144  5.1.3 調査方法・・・144  5.1.4 調査項目・・・144  5.2 調査結果・・・144  6. 有識者調査の結果・・・151  6.1 有識者調査の概要・・・151  6.1.1 調査目的・・・151  6.1.2 調査対象、調査時期・・・151  6.1.3 調査方法・・・151  6.1.4 調査項目・・・151  6.2 調査結果・・・152  6.2.1 検討会構成員・・・152  6.2.2 佐藤彰一國學院大學教授・・・156  6.2.3 日本弁護士連合会・・・158  7. 障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について(今後の方向性)・・・161  7.1 基本的な考え方・・・161  7.2 障害者差別の解消に向けた相談体制の在り方・・・162  7.2.1 相談の実施体制の構築・・・162  7.2.2 地域協議会の充実・活用・・・171  7.2.3 相談機関へのアクセス向上策・・・174  7.2.4 相談対応を担う人材の確保・育成方策・・・177  7.3 障害者差別の解消に向けた事例の収集・共有の在り方・・・178  7.4 検討会から関係者へのメッセージ・・・179  資料編・・・180 p1  1. 調査研究の概要  1.1 調査研究の目的  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)附則第7条においては、施行(平成28年4月)後3年を経過した場合に事業者による合理的配慮の在り方その他の施行状況について所要の見直しを行う旨規定されている。このため、障害者政策委員会において議論が行われ、令和2年6月に意見書が取りまとめられた。当該意見書等を踏まえ、事業者に対し合理的配慮の提供を義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置を強化する措置を講ずることを内容とする同法の改正法が令和3年5月に成立・同年6月に公布された。  これを踏まえ、今後、改正法の施行に向け、地域の実情その他の実態等を踏まえつつ、今後の効果的な相談体制の整備、事例収集・共有の在り方等についての基本的な考え方を検討・提示するための調査研究を行う。    1.2 調査研究の実施経過  本調査研究の概要と実施経過は以下のとおりである。    1.2.1 検討会の開催  調査研究企画、進捗管理、結果分析、報告書のとりまとめを行うために「障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方等に関する検討会」を構成し、運営した。  検討会は、地方公共団体、障害者団体、事業者団体、有識者等10人を構成員とし、関係省庁をオブザーバーとした(委員名簿については、巻末奥付を参照)。  検討会の開催経過は以下のとおりである。    図表1 検討会の開催経過  第1回  日時 令和3年7月28日(水)10時30分~12時30分  議題 (1)開会     (2)出席者紹介     (3)調査計画の検討        ①調査計画(案)について        ②地方公共団体悉皆調査への意見・要望        ③好事例調査(ヒアリング)の対象・項目の確認     (4)構成員の相談体制の在り方に関する課題意識共有    第2回  日時 令和3年9月14日(火)10~12時  議題 (1)開会     (2)出席者紹介     (3)地方公共団体へのヒアリング(好事例調査)       ・千葉県     (4)ヒアリング内容に関する質疑応答・意見交換     (5)相談体制のあり方に関するフリーディスカッション     (6)その他の調査の進捗状況報告    第3回  日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分  議題 (1)開会     (2)出席者紹介     (3)自治体・地域への好事例ヒアリング       ・長野県上小圏域       ・兵庫県明石市       ・岡山県総社市       ・福岡県北九州市     (4)好事例ヒアリングに係る質疑応答・意見交換     (5)相談体制のあり方に関するフリーディスカッション    第4回  日時 令和3年10月28日(木)10時~12時  議題 (1)開会     (2)「障害者差別の解消の推進に関する地方公共団体への調査結果」(速報値)報告     (3)類似制度調査ヒアリング結果報告     (4)相談体制のあり方に関するフリーディスカッション    第5回  日時 令和3年12月24日(金)13時~15時  議題 (1)開会     (2)行政職員ヒアリング調査結果報告     (3)有識者ヒアリング調査結果報告     (4)「障害者差別の解消の推進に関する地方公共団体への調査結果」クロス集計報告     (5)相談体制のあり方に関する協議    第6回  日時 令和4年2月14日(月)13時~15時  議題 (1)開会     (2)障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について(今後の方向性)    第7回  日時 令和4年2月25日(金)10時~12時  議題  (1)開会      (2)報告書の全体構成      (3)障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について(今後の方向性)       ※全回、WEB会議方式で実施。   p2  1.2.2 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の実施  都道府県47件、市区町村1,741件(悉皆)を対象として、障害者差別の解消に向けた相談の実態を把握した。  また、23省庁(各省庁が所管する独立行政法人等も含む)を対象として、相談事例について、別途調査を行った。 p3   図表2 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の調査対象・回収状況  1  区分 都道府県  調査対象数 47  回収数 47  回収率 100%    2  区分 市区町村  調査対象数 1,741  回収数 1,741  回収率 100%    3  区分 省庁  調査対象数 23  回収数 23  回収率 100%    図表3 公共団体悉皆調査・相談事例調査の結果概要    【単純集計】  〇相談対応を行う体制について、全体でみると、「ワンストップ相談窓口を設置又は指定」が最も多く43%、次いで「明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている」が38%、「統一的な解釈・判断を行う部局等を指定」が21%であった。  〇ワンストップ相談窓口が設置されている場合の組織について、全体でみると、「障害者施策主管部局や福祉事務所等」が最も多く90%、次いで「民間事業者、民間団体等」が5%、「その他」が3%であった。  〇相談実績、件数カウントの有無について、全体でみると、「相談実績がない」が最も多く72%、次いで「相談実績があり、相談件数をカウントしている」が16%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」が13%であった。自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で相談実績がある一方、「中核市等1」で相談実績があるのは72%、「一般市2」では35%、「町村」は13%と割合が低くなっていた。  〇地域協議会の設置状況について、全体でみると、「設置済み」が59%、次いで「未定」が33%、「設置予定」が5%であった。自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で設置済みである一方、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて、設置割合は低くなっていた。自治体規模に応じ、地域協議会の設置について課題があることが伺える。  〇地域協議会の構成メンバーについて、全体でみると、「福祉等」が99%、次いで「障害当事者、障害者団体、家族会等」が88%、「地方公共団体の障害者施策主幹部局」が82%、「医療・保健」が77%、「地方公共団体(障害者施策主幹部局を除く)」が77%、「教育」が63%、「事業者」が58%、「国の機関」が50%であった。  【クロス集計】  〇地域協議会の設置状況について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で79.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で64.4%、「相談実績がない」で52.3%であった。相談実績のある地域のほうが、地域協議会の設置率は高い傾向にあった。  〇市町村における障害者差別に関する専門性のある相談員の配置有無について、相談実績別でみると、「障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している」割合は「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で58.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で43.3%、「相談実績がない」で42.1%であった。相談実績のある地域のほうが専門性のある相談員を配置している割合が高い傾向にある。  〇障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について、相談実績別でみると、「実施している」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で89.8%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で71.2%、「相談実績がない」で56.2%であった。相談実績のある地域のほうが、周知啓発の実施率は高い傾向にある。  〇障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点)について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で52.1%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で45.5%、「相談実績がない」で36.1%であった。相談実績のある地域のほうが、審議会等の設置率は高い傾向にあった。  1「中核市等」とは、中核市、特別区及び県庁所在地(指定都市を除く)を示している。  2「一般市」とは、指定都市及び中核市等のいずれにも該当しない市を示している。 p4   1.2.3 詳細調査(ヒアリング)の実施  (1) 相談体制の好事例調査  障害を理由とする差別の解消に関する先進的な取り組みを実施している5自治体を対象に、相談体制構築の取組実態の把握をするとともに、体制構築の課題や解決策を調査するため、ヒアリングを実施した。    図表4 相談体制の好事例調査の実施経過  1   調査対象 千葉県  実施日時 令和3年9月14日(火)10~12時(第2回検討会)    2   調査対象 長野県上小圏域  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    3  調査対象 兵庫県明石市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    4  調査対象 岡山県総社市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    5  調査対象 福岡県北九州市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)  ※全件、WEB会議方式で実施。 p5   図表5 相談体制の好事例調査からみえた相談体制構築パターン  本事業では、本事業内で実施した好事例調査に基づき、都道府県の相談体制を2種類、市区町村の相談体制を6種類に分類した。  都道府県の相談体制は、広域支援相談員配置型と広域連携型の2種類とした。広域支援相談員配置型は、都道府県設置の広域支援相談員等が市区町村を支援する体制である。以降本相談体制を、相談体制分類Aと称する。相談体制分類Aでは、都道府県障害福祉課等に設置された広域支援相談員等の相談員が、市区町村の相談体制を支援する。なおこの際、都道府県に設置された地域協議会等と広域支援相談員等の相談員が連携し、市区町村の協議会や相談体制を支援する場合もある。  広域連携型は、市区町村で相談を受け、困難事例等は広域で支援する相談体制である。以降、本相談体制を相談体制分類Bと称する。相談体制分類Bでは、広域支援相談員等を設置せず、都道府県障害福祉課や都道府県協議会等が、市区町村の相談窓口や協議会を直接支援する方式である。なお、都道府県における相談体制分類AとBでは、それぞれワンストップ窓口を設置する場合としない場合がある。  市区町村における相談体制は、地域協議会を持たない場合と、地域協議会を持つ場合の2つに大別される。それぞれの類型において、窓口の設置形態により3種類に分類する。地域協議会を持たない場合については相談分類ア~ウ、地域協議会を持つ場合は相談分類エ~カとし、窓口形態として、複数窓口型、ワンストップ窓口型、重層窓口型の3種類を定義する。複数窓口型は、各部署・機関の窓口で相談を受け付ける方式である。ワンストップ窓口型は、相談を1つのワンストップ窓口で受け付ける方式である。重層窓口型は、ワンストップ窓口と各部署・機関の窓口で重層的に相談を受け付ける体制である。それぞれの窓口形態とその分類名は次の通りとする。  ・相談分類アは複数窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類イはワンストップ窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類ウは重層窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類エは重層窓口・協議会連携型  ・相談分類オはワンストップ窓口・協議会連携型  ・相談分類カは重層窓口・協議会連携型    (2) 行政職員調査  相談体制の運営主体となる行政(10都道府県、13市区町村)の職員を対象に、相談体制の現状や課題等を調査するため、ヒアリングを実施した。    図表6 行政職員調査の実施経過  都道府県  1   調査対象 茨城県  実施日時 11月15日(月)10:30~11:00  2  調査対象 群馬県  実施日時 12月2日(木)9:00~10:30  3  調査対象 福井県  実施日時 12月8日(水)9:00~9:30  4  調査対象 山梨県  実施日時 11月16日(火)10:30~12:00  5  調査対象 岐阜県  実施日時 12月2日(木)9:00~10:30  6  調査対象 三重県  実施日時 11月18日(木)16:00~16:30  7  調査対象 滋賀県  実施日時 12月2日(木)9:00~10:30  8  調査対象 奈良県  実施日時 11月16日(火)10:30~12:00  9  調査対象 広島県  実施日時 11月16日(火)10:30~12:00  10  調査対象 沖縄県  実施日時 11月16日(火)10:30~12:00    市区町村  1  調査対象 宮城県仙台市  実施日時 11月16日(火)15:30~17:00  2  調査対象 千葉県浦安市  実施日時 11月15日(月)13:00~14:30  3  調査対象 東京都大田区  実施日時 12月3日(金)14:30~16:00  4  調査対象 東京都世田谷区  実施日時 11月16日(火)15:30~17:00  5  調査対象 東京都中野区  実施日時 12月9日(木)10:00~10:30  6  調査対象 東京都練馬区  実施日時 12月3日(金)14:30~16:00  7  調査対象 大阪府門真市  実施日時 12月3日(金)14:30~16:00  8  調査対象 大阪府東大阪市  実施日時 11月15日(月)13:00~14:30  9  調査対象 兵庫県神戸市  実施日時 12月1日(水)11:00~11:30  10  調査対象 福岡県福岡市  実施日時 12月8日(水)10:00~10:30  11  調査対象 福岡県古賀市  実施日時 11月17日(水)11:00~11:30  12  調査対象 大分県別府市  実施日時 11月16日(火)15:30~17:00  13  調査対象 沖縄県那覇市  実施日時 11月15日(月)13:00~14:30  ※全件、WEB会議方式で実施。 p6   図表7 行政職員調査の結果概要    【相談体制】  〇調査対象の市区町村の多くは、相談窓口に相談員を配置し、相談対応を実施している。市区町村は、困難事例等について都道府県と連携して対応する場合がある。  〇労働局やハローワーク、法務局や人権擁護委員と連携し、先進地域の研修や近隣地域との会合を活用して相談対応が行われている場合が多い。  〇地域協議会を設置し、事例の共有、法・制度の動向の共有、相談体制の広報に関する検討が行われている場合が多い。  〇相談方法は電話やメール、FAXや来訪が主である。  【広報・周知策】  〇パンフレットやリーフレット、団体向けの出前講座による相談機関へのアクセス向上に向けた広報・啓発を実施している場合が多い。  【人材確保・相談員の育成】  〇相談員として社会福祉士、精神保健福祉士、行政OB等の相談業務経験者を配置している自治体が多く、単発研修やOJTでスキル向上を図っている場合が多い。  【事例の共有・その他】  〇庁内・相談員間で個別事例を共有し、地域協議会では匿名化した概要を共有する場合が多い。  相談体制維持のための予算措置や、広報、事例データベースの整備、研修体制の整備等を国に求めている自治体が多い。 p7  (3) 類似制度の取組調査  関係省庁が実施している相談体制等のうち比較的類似した制度について状況を把握し、実効性のある相談体制の在り方を検討するため、法務省、総務省、消費者庁にヒアリングを実施した。    図表8 類似制度の取組調査の実施経過  1  調査対象 法務省 人権相談  実施日時 2021年10月19日(火)14:00~15:30  2  調査対象 総務省 行政相談  実施日時 2021年10月6日(水)13:00~14:30  3  調査対象 消費者庁 消費生活相談  実施日時 2021年10月6日(水)16:00~17:30  ※全件、WEB会議方式で実施。    図表9 類似制度の相談体制  類似制度調査として実施したヒアリングの結果をもとに、法務省・人権相談、総務省・行政相談、消費者庁・消費生活相談の相談体制について示した。  法務省・人権相談の所轄官庁・担当部署は法務省人権擁護局調査救済課である。相談窓口は、全国50か所に設置された法務局・地方法務局(法務局:8か所、地方法務局:42か所)と、全国261か所に設置された支局に設置されている。相談に対応するのは法務局職員と人権擁護委員(約14000名、ボランティア、法務大臣委嘱)である。  総務省・行政相談の所轄官庁・担当部署は総務省行政評価局行政相談企画課である。相談窓口は、全国50か所に設置された出先機関(管区行政評価局:8か所、行政評価事務所:7か所、行政監視行政相談センター:35か所)に設置されている。総務省行政評価局行政相談企画課は出先機関の監督・指示・支援等を行っている。相談に対応するのは出先機関職員と行政相談委員(約5000名、ボランティア、総務大臣委嘱)である。行政相談委員は市区町村毎に1名以上配置されており、出先機関からの支援を受けて相談に対応している。  消費者庁・消費生活相談の所轄官庁・担当部署は、消費者庁地方協力課であり、消費生活相談を所轄支援等している独立行政法人国民生活センターの監督等を行っている。相談窓口は、消費生活センター、消費生活窓口に設置されている。消費者庁地方協力課と独立行政法人国民生活センターは、消費生活センターや消費生活相談窓口の支援等を行っている。消費生活センターは、都道府県は設置必須、市区町村は努力規定となっている。消費生活相談窓口は、消費生活センターの基準(週4日以上の窓口開所、消費生活相談員の配置、PIO-NETなどの電子情報処理組織その他の設備の配置)を満たさない相談窓口である。現在は、全市区町村に消費生活センターまたは消費生活相談窓口が設置されており、相談に対応するのは消費生活相談員(約3000名、自治体採用)である。 p8   (4) 有識者調査  検討会で相談体制の在り方に関する基本的な考え方等をとりまとめる上で必要な専門的知見を有する有識者の立場から、助言や提案等を聴取するため、3回のヒアリングを実施した。    図表10 有識者調査の実施経過  1  調査対象 検討会 小牟礼構成員、穂苅構成員、又村構成員  実施日時 2021年12月2日(木)13:00~15:00  2  調査対象 佐藤彰一國學院大學教授  実施日時 2021年12月3日(金)10:00~11:00  3  調査対象 日本弁護士連合会  実施日時 2021年12月2日(木)15:30~17:00  ※全件、WEB会議方式で実施。 p9  2. 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の結果  2.1 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の概要  2.1.1 調査目的  障害者差別解消法に基づく全国的な取組状況を把握し、今後の相談体制の整備、事例の収集・共有の在り方に関する検討の基礎資料とするために調査を実施した。    2.1.2 調査対象  調査の対象は、47都道府県、1,741市区町村(悉皆)とした。  なお、23省庁(各省庁が所管する独立行政法人等も含む)に対しては、悉皆調査の一環として収集する相談事例と同様の項目について、別途調査を行った。    2.1.3 調査時期  8月:調査票配布  9月~12月:調査票回収    2.1.4 調査方法  内閣府から、都道府県、市区町村、省庁にメールで電子調査票を配布  回答者から調査事務局にメールで電子調査票を提出    2.1.5 回収状況  調査票の回収数、回収率は以下の通りである。  図表11 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の調査対象・回収状況  1  区分 都道府県  調査対象数 47  回収数 47  回収率 100%    2  区分 市区町村  調査対象数 1,741  回収数 1,741  回収率 100%    3  区分 省庁  調査対象数 23  回収数 23  回収率 100%    2.1.6 調査項目  調査項目は以下の通りである。  図表12 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の調査項目  〇障害者差別解消法第10条に基づく対応要領  〇障害者差別解消法第17条に基づく地域協議会  〇障害者差別の解消に係る条例  〇障害者差別の解消に係る相談・紛争解決  〇相談事例(不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供、環境の整備)  〇障害者差別解消法に係る周知啓発等  〇障害者差別の解消に係る施策の効果測定等  〇障害者基本法に基づく障害者計画の事項  〇障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関 p10   2.1.7 調査結果の概要  地方公共団体悉皆調査の結果の概要を以下に示す。    図表13 地方公共団体悉皆調査・相談事例調査の結果概要  【単純集計】  〇相談対応を行う体制について、全体でみると、「ワンストップ相談窓口を設置又は指定」が最も多く43%、次いで「明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている」が38%、「統一的な解釈・判断を行う部局等を指定」が21%であった。  〇ワンストップ相談窓口が設置されている場合の組織について、全体でみると、「障害者施策主管部局や福祉事務所等」が最も多く90%、次いで「民間事業者、民間団体等」が5%、「その他」が3%であった。  〇相談実績、件数カウントの有無について、全体でみると、「相談実績がない」が最も多く72%、次いで「相談実績があり、相談件数をカウントしている」が16%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」が13%であった。自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で相談実績がある一方、「中核市等」で相談実績があるのは72%、「一般市」では35%、「町村」は13%と割合が低くなっていた。  〇地域協議会の設置状況について、全体でみると、「設置済み」が59%、次いで「未定」が33%、「設置予定」が5%であった。自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で設置済みである一方、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて、設置割合は低くなっていた。自治体規模に応じ、地域協議会の設置について課題があることが伺える。  〇地域協議会の構成メンバーについて、全体でみると、「福祉等」が99%、次いで「障害当事者、障害者団体、家族会等」が88%、「地方公共団体の障害者施策主幹部局」が82%、「医療・保健」が77%、「地方公共団体(障害者施策主幹部局を除く)」が77%、「教育」が63%、「事業者」が58%、「国の機関」が50%であった。  【クロス集計】  〇地域協議会の設置状況について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で79.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で64.4%、「相談実績がない」で52.3%であった。相談実績のある地域のほうが、地域協議会の設置率は高い傾向にあった。  〇市町村における障害者差別に関する専門性のある相談員の配置有無について、相談実績別でみると、「障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している」割合は「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で58.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で43.3%、「相談実績がない」で42.1%であった。相談実績のある地域のほうが専門性のある相談員を配置している割合が高い傾向にある。  〇障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について、相談実績別でみると、「実施している」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で89.8%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で71.2%、「相談実績がない」で56.2%であった。相談実績のある地域のほうが、周知啓発の実施率は高い傾向にある。  〇障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点)について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で52.1%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で45.5%、「相談実績がない」で36.1%であった。相談実績のある地域のほうが、審議会等の設置率は高い傾向にあった。 p12   図表14 相談体制の好事例調査からみえた相談体制構築パターン  本事業では、本事業内で実施した好事例調査に基づき、都道府県の相談体制を2種類、市区町村の相談体制を6種類に分類した。  都道府県の相談体制は、広域支援相談員配置型と広域連携型の2種類とした。広域支援相談員配置型は、都道府県設置の広域支援相談員等が市区町村を支援する体制である。以降本相談体制を、相談体制分類Aと称する。相談体制分類Aでは、都道府県障害福祉課等に設置された広域支援相談員等の相談員が、市区町村の相談体制を支援する。なおこの際、都道府県に設置された地域協議会等と広域支援相談員等の相談員が連携し、市区町村の協議会や相談体制を支援する場合もある。  広域連携型は、市区町村で相談を受け、困難事例等は広域で支援する相談体制である。以降、本相談体制を相談体制分類Bと称する。相談体制分類Bでは、広域支援相談員等を設置せず、都道府県障害福祉課や都道府県協議会等が、市区町村の相談窓口や協議会を直接支援する方式である。なお、都道府県における相談体制分類AとBでは、それぞれワンストップ窓口を設置する場合としない場合がある。  市区町村における相談体制は、地域協議会を持たない場合と、地域協議会を持つ場合の2つに大別される。それぞれの類型において、窓口の設置形態により3種類に分類する。地域協議会を持たない場合については相談分類ア~ウ、地域協議会を持つ場合は相談分類エ~カとし、窓口形態として、複数窓口型、ワンストップ窓口型、重層窓口型の3種類を定義する。複数窓口型は、各部署・機関の窓口で相談を受け付ける方式である。ワンストップ窓口型は、相談を1つのワンストップ窓口で受け付ける方式である。重層窓口型は、ワンストップ窓口と各部署・機関の窓口で重層的に相談を受け付ける体制である。それぞれの窓口形態とその分類名は次の通りとする。  ・相談分類アは複数窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類イはワンストップ窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類ウは重層窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類エは重層窓口・協議会連携型  ・相談分類オはワンストップ窓口・協議会連携型  ・相談分類カは重層窓口・協議会連携型    図表15 地方公共団体悉皆調査を踏まえた相談体制構築パターン別の集計  地方公共団体悉皆調査に基づき、図表5に示した類型で都道府県と市区町村の相談体制を分類した。都道府県での広域支援相談員配置型は18都道府県であり、全体の38%を占めた。そのうち、ワンストップ窓口を配置している都道府県が全体の34%を占める16箇所、ワンストップ窓口を配置していない都道府県が全体の4%を占める2箇所であった。  都道府県での広域連携型は全体の62%を占める29箇所であった。そのうち、ワンストップ窓口を配置している都道府県が全体の40%である19箇所、ワンストップ窓口を配置していない自治体が全体の21%を占める10箇所であった。  市区町村では、ワンストップ窓口を持たず、各部署・機関の窓口で対応する複数窓口型と、ワンストップ窓口を持つワンストップ窓口型・重層窓口型の合算で集計を行った。また、それぞれの窓口形態に加え、地域協議会の有無でさらに分類し、4分類で集計を行った。地域協議会を持たない複数窓口型は、全体の26.9%を占める468箇所であり、地域協議会を持たず、ワンストップ窓口を持つ自治体は全体の15.2%を占める265箇所であった。複数窓口を持ち、かつ地域協議会を持つ複数窓口・協議会連携型は、全体の30.7%を占める534箇所であり、ワンストップ窓口を持ち、かつ地域協議会を持つ自治体は全体の27.2%を占める474箇所であった。 p13   2.2 地方公共団体悉皆調査の集計結果  2.2.1 単純集計   (1) 相談対応を行う体制  相談対応を行う体制について、全体でみると、「ワンストップ相談窓口を設置又は指定」が最も多く43%、次いで「明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている」が38%、「統一的な解釈・判断を行う部局等を指定」が21%であった。  自治体区分別でみると、「明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている」が「一般市」で34%、「町村」で45%であり、「都道府県」「指定都市」「中核市等」に比べて多かった。    図表16 障害者差別に関する相談対応を行う体制  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  ワンストップ相談窓口を設置又は指定  合計の数 775(839)  合計の割合 43%(47%)  都道府県の数 35  都道府県の割合 74%  指定都市の数 8(10)  指定都市の割合 40%(50%)  中核市等の数 45(45)  中核市等の割合 51%(52%)  一般市の数 316(338)  一般市の割合 45%(48%)  町村の数 371(413)  町村の割合 40%(45%)    2  障害者差別に関する相談員を配置  合計の数 243(261)  合計の割合 14%(15%)  都道府県の数 35(36)  都道府県の割合 74%(77%)  指定都市の数 11(10)  指定都市の割合 55%(50%)  中核市等の数 16(16)  中核市等の割合 18%(18%)  一般市の数 95(102)  一般市の割合 13%(14%)  町村の数 86(97)  町村の割合 9%(10%)    3  統一的な解釈・判断を行う部局等を指定  合計の数 383(420)  合計の割合 21%(23%)  都道府県の数 14(13)  都道府県の割合 30%(28%)  指定都市の数 11(11)  指定都市の割合 55%(55%)  中核市等の数 36(37)  中核市等の割合 40%(43%)  一般市の数 177(184)  一般市の割合 25%(26%)  町村の数 145(175)  町村の割合 16%(19%)    4  明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている(1~3のいずれにも該当しない)  合計の数 679(538)  合計の割合 38%(30%)  都道府県の数 2(3)  都道府県の割合 4%(6%)  指定都市の数 3(2)  指定都市の割合 15%(10%)  中核市等の数 15(12)  中核市等の割合 17%(14%)  一般市の数 238(198)  一般市の割合 34%(28%)  町村の数 421(323)  町村の割合 45%(35%)    (母数)  合計の数 1,788(1,788)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 89(87)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 706(708)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 926(926)  町村の割合 100%(100%) p14   ※選択肢1「ワンストップ相談窓口」とは、原則として、障害者差別に関する相談について、分野を問わず一元的に受け付ける相談窓口を指す。相談受付から最終的な解決まで一貫して対応する窓口だけでなく、相談受付後に内容に応じた関係機関につなぐ窓口も含む。また、選択肢1・2はいずれも、当該相談窓口や相談員が障害者差別以外の相談にも対応している場合を含む。  ※複数回答可(各割合の合計は必ずしも 100%と一致しない)。  ※令和3年4月1日時点。 p15   (2) ワンストップ相談窓口の設置先  ワンストップ相談窓口が設置されている場合の組織について、全体でみると、「障害者施策主管部局や福祉事務所等」が最も多く90%、次いで「民間事業者、民間団体等」が5%、「その他」が3%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は、「中核市等」「一般市」「町村」に比べて「民間事業者、民間団体等」にワンストップ窓口を設置する割合が高かった。    図表17 ワンストップ相談窓口の設置先(ワンストップ窓口が設置されている自治体)  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  障害者施策主管部局や福祉事務所等(3 を除く。)  合計の数 698(766)  合計の割合 90%(91%)  都道府県の数 23(22)  都道府県の割合 66%(67%)  指定都市の数 6(6)  指定都市の割合 75%(60%)  中核市等の数 41(41)  中核市等の割合 91%(91%)  一般市の数 288(308)  一般市の割合 91%(91%)  町村の数 340(389)  町村の割合 92%(94%)    2  障害者施策主管部局以外の部局(人権主管部局等)  合計の数 14(9)  合計の割合 2%(1%)  都道府県の数 - (-)  都道府県の割合 - (-)  指定都市の数 - (-)  指定都市の割合 - (-)  中核市等の数 1 (-)  中核市等の割合 2% (-)  一般市の数 4(4)  一般市の割合 1%(1%)  町村の数 9(5)  町村の割合 2%(1%)    3  地方公共団体の出先機関  合計の数 5(5)  合計の割合 1%(1%)  都道府県の数 2(2)  都道府県の割合 6%(6%)  指定都市の数 - (-)  指定都市の割合 - (-)  中核市等の数 - (-)  中核市等の割合 - (-)  一般市の数 - (-)  一般市の割合 - (-)  町村の数 3(3)  町村の割合 1%(1%)    4  民間事業者、民間団体等  合計の数 36(43)  合計の割合 5%(5%)  都道府県の数 7(7)  都道府県の割合 20%(21%)  指定都市の数 2(4)  指定都市の割合 25%(40%)  中核市等の数 2(2)  中核市等の割合 4%(4%)  一般市の数 12(16)  一般市の割合 4%(5%)  町村の数 13(14)  町村の割合 4%(3%)    5  その他  合計の数 22(16)  合計の割合 3%(2%)  都道府県の数 3(2)  都道府県の割合 9%(6%)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 1(2)  中核市等の割合 2%(4%)  一般市の数 12(10)  一般市の割合 4%(3%)  町村の数 6(2)  町村の割合 2%(0%)    計  合計の数 775(839)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 35(33)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 8(10)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 45(45)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 316(338)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 371(413)  町村の割合 100%(100%)    ※「(1)相談対応を行う体制について」の設問で、「1 障害者差別に関する相談を一元的に受け付ける窓口(ワンストップ相談窓口)を設置又は定めている」と回答した団体のみ調査。  ※「5その他」に関しては、「社会福祉協議会」、「社会福祉法人」等の回答があった。  ※令和3年4月1日時点。 p16   (3) 相談実績  1) 相談実績、件数カウントの有無  相談実績、件数カウントの有無について、全体でみると、「相談実績がない」が最も多く72%、次いで「相談実績があり、相談件数をカウントしている」が16%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」が13%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で相談実績がある一方、「中核市等」で相談実績があるのは72%、「一般市」では35%、「町村」は13%と割合が低くなっていた。    図表18 障害者差別に関する相談実績、件数カウントの有無  1  相談実績があり、相談件数をカウントしている  合計の数 280   合計の割合 16%   都道府県の数 46   都道府県の割合 98%   指定都市の数 19   指定都市の割合 95%   中核市等の数 56   中核市等の割合 63%   一般市の数 128   一般市の割合 18%   町村の数 31   町村の割合 3%   合計の数 224   合計の割合 13%     2  相談実績があるが、相談件数をカウントしていない  都道府県の数 1   都道府県の割合 2%   指定都市の数 1   指定都市の割合 5%   中核市等の数 8   中核市等の割合 9%   一般市の数 122   一般市の割合 17%   町村の数 92   町村の割合 10%   合計の数 1,284   合計の割合 72%    3  相談実績がない  都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 25   中核市等の割合 28%   一般市の数 456   一般市の割合 65%   町村の数 803   町村の割合 87%   合計の数 1,788   合計の割合 100%     計  都道府県の数 47   都道府県の割合 100%   指定都市の数 20   指定都市の割合 100%   中核市等の数 89   中核市等の割合 100%   一般市の数 706   一般市の割合 100%   町村の数 926   町村の割合 100%   ※令和3年4月1日時点。 p17   2) 相談件数をカウントしていない理由  相談件数をカウントしていない場合の理由について、全体でみると、「相談件数が少ないため」が最も多く47%、次いで「通常の障害福祉等の相談件数に含めてカウントしており、障害者差別に関する相談のみを区分することが難しいため」が44%、「相談内容を記録する様式・報告手順を定めていないため」と「複数部署で対応しており、とりまとめが煩雑なため」が各16%であった。  自治体区分別でみると、「相談件数が少ないため」とした割合は、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて高くなっていた。また、「複数部署で対応しており、とりまとめが煩雑なため」とした割合は、一定の規模がある「中核市等」で高くなっていた。    図表19 相談件数をカウントしていない理由(相談実績があるが、相談件数をカウントしていない自治体)  1  相談件数が少ないため  合計の数  105    合計の割合  47%    都道府県の数  -    都道府県の割合  -    指定都市の数  -    指定都市の割合  -    中核市等の数  2    中核市等の割合  25%    一般市の数  47    一般市の割合  39%    町村の数  56    町村の割合  61%      2  相談内容を記録する様式・報告手順を定めていないため  合計の数  36    合計の割合  16%    都道府県の数  -    都道府県の割合  -    指定都市の数  -    指定都市の割合  -    中核市等の数  1    中核市等の割合  13%    一般市の数  18    一般市の割合  15%    町村の数  17    町村の割合  18%      3  複数部署で対応しており、とりまとめが煩雑なため  合計の数  36    合計の割合  16%    都道府県の数  -    都道府県の割合  -    指定都市の数  1    指定都市の割合  100%    中核市等の数  3    中核市等の割合  38%    一般市の数  21    一般市の割合  17%    町村の数  11    町村の割合  12%      4  通常の障害福祉等の相談件数に含めてカウントしており、障害者差別に関する相談のみを区分することが難しいため  合計の数  98    合計の割合  44%    都道府県の数  -    都道府県の割合  -    指定都市の数  -    指定都市の割合  -    中核市等の数  3    中核市等の割合  38%    一般市の数  61    一般市の割合  50%    町村の数  34    町村の割合  37%      5  その他  合計の数  18    合計の割合  8%    都道府県の数  1    都道府県の割合  100%    指定都市の数  -    指定都市の割合  -    中核市等の数  -    中核市等の割合  -    一般市の数  12    一般市の割合  10%    町村の数  5    町村の割合  5%      (母数)  合計の数  224    合計の割合  100%    都道府県の数  1    都道府県の割合  100%    指定都市の数  1    指定都市の割合  100%    中核市等の数  8    中核市等の割合  100%    一般市の数  122    一般市の割合  100%    町村の数  92    町村の割合  100%      ※「1)相談実績、件数カウントの有無」の設問で、「2 相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」と回答した団体のみ調査。  ※複数回答可(各割合の合計は必ずしも 100%と一致しない)。  ※「5その他」に関しては、「国で定められている相談支援事業の種別によって集計しているため」、「差別に係る相談かどうか線引きが難しい案件があるため」等の回答があった。  ※令和3年4月1日時点。 p18  3) 令和2年度における相談件数  相談件数をカウントしている場合の令和2年度における相談件数について、全体でみると、「9件以下」が最も多く76%、次いで「10~29件」が11%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は、30件以上が40%台となっている一方、「中核市等」「一般市」「町村」は、9件以下が90%前後を占めていた。    図表20 令和2年度における障害者差別に関する相談件数(相談件数をカウントしており、令和2年度分を算出済みの自治体)  1  9件以下  合計の数  208    合計の割合  76%    都道府県の数  11    都道府県の割合  24%    指定都市の数  5    指定都市の割合  26%    中核市等の数  49    中核市等の割合  88%    一般市の数  115    一般市の割合  93%    町村の数  28    町村の割合  97%      2  10~29件  合計の数  29    合計の割合  11%    都道府県の数  13    都道府県の割合  29%    指定都市の数  5    指定都市の割合  26%    中核市等の数  5    中核市等の割合  9%    一般市の数  6    一般市の割合  5%    町村の数  -    町村の割合  -      3  30~49件  合計の数  12    合計の割合  4%    都道府県の数  4    都道府県の割合  9%    指定都市の数  5    指定都市の割合  26%    中核市等の数  2    中核市等の割合  4%    一般市の数  1    一般市の割合  1%    町村の数  -    町村の割合  -      4  50~99件  合計の数  14    合計の割合  5%    都道府県の数  10    都道府県の割合  22%    指定都市の数  3    指定都市の割合  16%    中核市等の数  -    中核市等の割合  -    一般市の数  1    一般市の割合  1%    町村の数  -    町村の割合  -      5  100件以上  合計の数  9    合計の割合  3%    都道府県の数  7    都道府県の割合  16%    指定都市の数  1    指定都市の割合  5%    中核市等の数  -    中核市等の割合  -    一般市の数  -    一般市の割合  -    町村の数  1    町村の割合  3%      計  合計の数  272    合計の割合  100%    都道府県の数  45    都道府県の割合  100%    指定都市の数  19    指定都市の割合  100%    中核市等の数  56    中核市等の割合  100%    一般市の数  123    一般市の割合  100%    町村の数  29    町村の割合  100%      ※「1)相談実績、件数カウントの有無」の設問で、「1 相談実績があり、相談件数をカウントしている」と回答し、かつ、令和2年度の「相談件数は算出済み」と回答した団体のみ調査。  ※令和3年4月1日時点。   p19  (4) 地域協議会の状況  1) 地域協議会の設置状況  地域協議会の設置状況について、全体でみると、「設置済み」が59%、次いで「未定(策定するかしないか決まっていない)」が33%、「設置予定」が5%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数で設置済みである一方、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて、設置割合は低くなっていた。    図表21 地域協議会の設置状況【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  設置済み  合計の数 1,053(1041)  合計の割合 59%(58%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 74(70)  中核市等の割合 83%(80%)  一般市の数 484(479)  一般市の割合 69%(68%)  町村の数 428(425)  町村の割合 46%(46%)    2  設置予定  合計の数 89(98)  合計の割合 5%(5%)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 4(5)  中核市等の割合 4%(6%)  一般市の数 28(34)  一般市の割合 4%(5%)  町村の数 57(59)  町村の割合 6%(6%)    3  設置しない  合計の数 62(65)  合計の割合 3%(4%)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 2(2)  中核市等の割合 2%(2%)  一般市の数 23(25)  一般市の割合 3%(4%)  町村の数 37(38)  町村の割合 4%(4%)    4  未定(策定するかしないか決まっていない)  合計の数 584(584)  合計の割合 33%(33%)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 9(10)  中核市等の割合 10%(11%)  一般市の数 171(170)  一般市の割合 24%(24%)  町村の数 404(404)  町村の割合 44%(44%)        計  合計の数 1,788(1,788)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 89(87)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 706(708)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 926(926)  町村の割合 100%(100%)    ※障害者差別解消法第17条に基づく地域協議会を正式に設置していない場合でも、地域協議会の事務に相当する事務を行う組織、会議体、ネットワーク等の枠組みが別途存在しており、かつ、過去に当該枠組みで地域協議会の事務に相当する事務を行った実績がある場合は、「1設置済み」と整理している。  ※令和3年4月1日時点。 p20   2) 地域協議会の設置形態  地域協議会の設置形態について、全体でみると、「単独で設置」が69%、次いで「複数の地方公共団体により共同で設置」が31%、「その他(他の地方公共団体への事務の委託など)」が0%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」は全数が「単独で設置」である一方、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて、「単独で設置」の割合は低くなっていた。    図表22 地域協議会の設置形態  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  単独で設置  合計の数 723(699)  合計の割合 69%(67%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(18)  指定都市の割合 100%(90%)  中核市等の数 71(67)  中核市等の割合 96%(96%)  一般市の数 368(357)  一般市の割合 76%(75%)  町村の数 217(210)  町村の割合 51%(49%)    2  複数の地方公共団体により共同で設置  合計の数 325(325)  合計の割合 31%(31%)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 3(2)  中核市等の割合 4%(3%)  一般市の数 114(113)  一般市の割合 24%(24%)  町村の数 208(210)  町村の割合 49%(49%)    3  その他(他の地方公共団体への事務の委託など)  合計の数 4(17)  合計の割合 0%(2%)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(2)  指定都市の割合 -(10%)  中核市等の数 -(1)  中核市等の割合 -(1%)  一般市の数 2(9)  一般市の割合 0%(2%)  町村の数 2(5)  町村の割合 0%(1%)    4  無回答  合計の数 1 (-)  合計の割合 0% (-)  都道府県の数 -(-)  都道府県の割合 -(-)  指定都市の数 -(-)  指定都市の割合 -(-)  中核市等の数 -(-)  中核市等の割合 -(-)  一般市の数 -(-)  一般市の割合-(-)  町村の数 1(-)  町村の割合 0%(-)    計  合計の数 1053(1041)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合100%(100%)  中核市等の数 74(70)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 484(479)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 428(425)  町村の割合 100%(100%)    ※「1)地域協議会の設置状況」の設問で、「1 設置済み」と回答した団体のみ調査。  ※圏域単位や他の市町村と共同で設置している場合は「2 複数の地方公共団体により共同で設置」と整理している。  ※地域協議会が他の協議会やネットワークの位置付け等を兼ねている場合には、その状況は問7の設問に係る内容として回答し、上記問では、当該状況のみであれば、「3」ではなく「1 単独で設置」又は「2 複数の地方公共団体により共同で設置」のいずれかと整理している。  ※令和3年4月1日時点。   p21  3) 地域協議会の組織形態  地域協議会の組織形態について、全体でみると、「障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている」が63%、次いで「障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ」が33%、「障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている」が15%であった。  自治体区分別でみると、「都道府県」「指定都市」「中核市等」では「障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ」の割合が最も高い一方、「中核市等」「一般市」「町村」と規模が小さくなるにつれて、「障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている」割合が高くなっていた。    図表23 地域協議会の組織形態  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  合計の数 343(328)  合計の割合 33%(32%)  都道府県の数 31(28)  都道府県の割合 66%(60%)  指定都市の数 11(11)  指定都市の割合 55%(55%)  中核市等の数 42(39)  中核市等の割合 57%(56%)  一般市の数 136(138)  一般市の割合 28%(29%)  町村の数 123(112)  町村の割合 29%(26%)    2  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている  合計の数 123(115)  合計の割合 12%(11%)  都道府県の数 6(7)  都道府県の割合 13%(15%)  指定都市の数 5(5)  指定都市の割合 25%(25%)  中核市等の数 6(6)  中核市等の割合 8%(9%)  一般市の数 52(54)  一般市の割合 11%(11%)  町村の数 54(43)  町村の割合 13%(10%)    3  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  合計の数 667(646)  合計の割合 63%(62%)  都道府県の数 4(5)  都道府県の割合 9%(11%)  指定都市の数 2(2)  指定都市の割合 10%(10%)  中核市等の数 24(23)  中核市等の割合 32%(33%)  一般市の数 323(310)  一般市の割合 67%(65%)  町村の数 314(306)  町村の割合 73%(72%)    4  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている  合計の数 158(153)  合計の割合 15%(15%)  都道府県の数 6(6)  都道府県の割合 13%(13%)  指定都市の数 1(2)  指定都市の割合 5%(10%)  中核市等の数 7(7)  中核市等の割合 9%(10%)  一般市の数 65(62)  一般市の割合 13%(13%)  町村の数 79(76)  町村の割合 18%(18%)    5  その他組織の位置付けを兼ねている  合計の数 49(58)  合計の割合 5%(6%)  都道府県の数 10(10)  都道府県の割合 21%(21%)  指定都市の数 2(2)  指定都市の割合 10%(10%)  中核市等の数 5(5)  中核市等の割合 7%(7%)  一般市の数 17(22)  一般市の割合 4%(5%)  町村の数 15(19)  町村の割合 4%(4%)    (母数)  合計の数 1053(1041)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 74(70)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 484(479)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 428(425)  町村の割合 100%(100%)    ※「1)地域協議会の設置状況」の設問で、「1 設置済み」と回答した団体のみ調査。  ※複数回答可(各割合の合計は必ずしも 100%と一致しない)。  ※令和3年4月1日時点。   p22   4) 地域協議会の開催実績  地域協議会の開催実績(令和2年度)について、全体でみると、「1回」が28%、「0回」が27%であった。    図表24 地域協議会の開催実績(令和2年度)  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  0回  合計の数 289(193)  合計の割合 27%(19%)  都道府県の数 9(3)  都道府県の割合 19%(6%)  指定都市の数 1(2)  指定都市の割合 5%(10%)  中核市等の数 11(12)  中核市等の割合 15%(17%)  一般市の数 131(77)  一般市の割合 27%(16%)  町村の数 137(99)  町村の割合 32%(23%)    2  1回  合計の数 295(313)  合計の割合 28%(30%)  都道府県の数 29(29)  都道府県の割合 62%(62%)  指定都市の数 10(5)  指定都市の割合 50%(25%)  中核市等の数 28(18)  中核市等の割合 38%(26%)  一般市の数 131(151)  一般市の割合 27%(32%)  町村の数 97(110)  町村の割合 23%(26%)    3  2~3回  合計の数 245(248)  合計の割合 23%(24%)  都道府県の数 4(10)  都道府県の割合 9%(21%)  指定都市の数 8(10)  指定都市の割合 40%(50%)  中核市等の数 22(23)  中核市等の割合 30%(33%)  一般市の数 110(115)  一般市の割合 23%(24%)  町村の数 101(90)  町村の割合 24%(21%)    4  4~5回  合計の数 68(94)  合計の割合 6%(9%)  都道府県の数 4(3)  都道府県の割合 9%(6%)  指定都市の数 -(3)  指定都市の割合 -(15%)  中核市等の数 8(8)  中核市等の割合 11%(11%)  一般市の数 31(43)  一般市の割合 6%(9%)  町村の数 25(37)  町村の割合 6%(9%)    5  6回以上  合計の数 156(193)  合計の割合 15%(19%)  都道府県の数 1(2)  都道府県の割合 2%(4%)  指定都市の数 1(-)  指定都市の割合 5%(-)  中核市等の数 5(9)  中核市等の割合 7%(13%)  一般市の数 81(93)  一般市の割合 17%(19%)  町村の数 68(89)  町村の割合 16%(21%)    計  合計の数 1,053(1041)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 74(70)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 484(479)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 428(425)  町村の割合 100%(100%)    ※「1)地域協議会の設置状況」の設問で、「1 設置済み」と回答した団体のみ調査。  ※地域協議会の組織形態が他の組織・合議体の位置付けを兼ねている場合には、地域協議会としての議題を取り扱っていない会合は、開催実績から除外している。  ※令和3年4月1日時点。    【開催実績が0回になった理由(主な回答)】  新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため。  取り扱う事案がなかったため。  協議会の体制を刷新し、新たに生活支援部会・権利擁護部会を設けるなど、体制整備の議論を庁内で行ったため。  不当な差別的取扱いの解決のためのあっせん申立てがなかったため。  令和3年4月1日設置のため。  課内に地域包括支援センターや保健福祉業務、障害に係る担当がおり、常に情報共有をしているため。 p23   5) 地域協議会の事務実績  地域協議会の所掌する事務のうち実施実績のある項目について、全体でみると、「相談事例の共有」が37%、次いで「障害者差別の解消に資する取組の共有・分析」と「差別解消の取組の周知・発信、研修・啓発」が32%であった。    図表25 地域協議会の所掌する事務実績(地域協議会を設置済みの自治体)  1  紛争の防止・解決を図る事案の共有  合計の数 129   合計の割合 12%   都道府県の数 9   都道府県の割合 19%   指定都市の数 6   指定都市の割合 30%   中核市等の数 17   中核市等の割合 23%   一般市の数 57   一般市の割合 12%   町村の数 40   町村の割合 9%     2  相談事例の共有  合計の数 389   合計の割合 37%   都道府県の数 30   都道府県の割合 64%   指定都市の数 15   指定都市の割合 75%   中核市等の数 42   中核市等の割合 57%   一般市の数 164   一般市の割合 34%   町村の数 138   町村の割合 32%     3  相談体制の整備  合計の数 178   合計の割合 17%   都道府県の数 16   都道府県の割合 34%   指定都市の数 8   指定都市の割合 40%   中核市等の数 18   中核市等の割合 24%   一般市の数 71   一般市の割合 15%   町村の数 65   町村の割合 15%     4  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析  合計の数 336   合計の割合 32%   都道府県の数 36   都道府県の割合 77%   指定都市の数 12   指定都市の割合 60%   中核市等の数 45   中核市等の割合 61%   一般市の数 143   一般市の割合 30%   町村の数 100   町村の割合 23%     5  構成機関等による紛争解決の後押し  合計の数 47   合計の割合 4%   都道府県の数 2   都道府県の割合 4%   指定都市の数 2   指定都市の割合 10%   中核市等の数 4   中核市等の割合 5%   一般市の数 24   一般市の割合 5%   町村の数 15   町村の割合 4%     6  差別解消の取組の周知・発信、研修・啓発  合計の数 332   合計の割合 32%   都道府県の数 23   都道府県の割合 49%   指定都市の数 11   指定都市の割合 55%   中核市等の数 34   中核市等の割合 46%   一般市の数 154   一般市の割合 32%   町村の数 110   町村の割合 26%     7  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む)  合計の数 129   合計の割合 12%   都道府県の数 6   都道府県の割合 13%   指定都市の数 3   指定都市の割合 15%   中核市等の数 11   中核市等の割合 15%   一般市の数 62   一般市の割合 13%   町村の数 47   町村の割合 11%     8  その他  合計の数 55   合計の割合 5%   都道府県の数 4   都道府県の割合 9%   指定都市の数 1   指定都市の割合 5%   中核市等の数 8   中核市等の割合 11%   一般市の数 26   一般市の割合 5%   町村の数 16   町村の割合 4%     9  実績なし  合計の数 466   合計の割合 44%   都道府県の数 7   都道府県の割合 15%   指定都市の数 2   指定都市の割合 10%   中核市等の数 19   中核市等の割合 26%   一般市の数 221   一般市の割合 46%   町村の数 217   町村の割合 51%     (母数)  合計の数 1,053   合計の割合 100%   都道府県の数 47   都道府県の割合 100%   指定都市の数 20   指定都市の割合 100%   中核市等の数 74   中核市等の割合 100%   一般市の数 484   一般市の割合 100%   町村の数 428   町村の割合 100%     ※「1)地域協議会の設置状況」の設問で、「1 設置済み」と回答した団体のみ調査。  ※複数回答可(各割合の合計は必ずしも 100%と一致しない)。  ※令和3年4月1日時点。   p24  6) 地域協議会の構成メンバー  地域協議会の構成メンバーについて、全体でみると、「福祉等」が99%、次いで「障害当事者、障害者団体、家族会等」が88%、「地方公共団体の障害者施策主幹部局」が82%、「医療・保健」が77%、「地方公共団体(障害者施策主幹部局を除く)」が77%、「教育」が63%、「事業者」が58%、「国の機関」が50%であった。    図表26 地域協議会の構成メンバー(地域協議会を設置済みの自治体)  【下段()内数値は令和2年度調査結果】  1  地方公共団体の障害者施策主幹部局  合計の数 861(866)  合計の割合 82%(83%)  都道府県の数 28(30)  都道府県の割合 60%(64%)  指定都市の数 12(11)  指定都市の割合 60%(55%)  中核市等の数 61(56)  中核市等の割合 82%(80%)  一般市の数 383(392)  一般市の割合 79%(82%)  町村の数 377(377)  町村の割合 88%(89%)    2  国の機関  合計の数 524(527)  合計の割合 50%(51%)  都道府県の数 38(39)  都道府県の割合 81%(83%)  指定都市の数 17(16)  指定都市の割合 85%(80%)  中核市等の数 49(50)  中核市等の割合 66%(71%)  一般市の数 280(277)  一般市の割合 58%(58%)  町村の数 140(145)  町村の割合 33%(34%)    3  地方公共団体(貴団体の障害者施策主幹部局を除く)  合計の数 813(796)  合計の割合 77%(76%)  都道府県の数 38(38)  都道府県の割合 81%(81%)  指定都市の数 15(14)  指定都市の割合 75%(70%)  中核市等の数 54(55)  中核市等の割合 73%(79%)  一般市の数 385(374)  一般市の割合 80%(78%)  町村の数 321(315)  町村の割合 75%(74%)    4  障害当事者、障害者団体、家族会等  合計の数 923(910)  合計の割合 88%(87%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 19(19)  指定都市の割合 95%(95%)  中核市等の数 70(68)  中核市等の割合 95%(97%)  一般市の数 436(431)  一般市の割合 90%(90%)  町村の数 351(345)  町村の割合 82%(81%)    5  教育  合計の数 660(672)  合計の割合 63%(65%)  都道府県の数 32(32)  都道府県の割合 68%(68%)  指定都市の数 9(12)  指定都市の割合 45%(60%)  中核市等の数 48(48)  中核市等の割合 65%(69%)  一般市の数 328(327)  一般市の割合 68%(68%)  町村の数 243(253)  町村の割合 57%(60%)    6  福祉等  合計の数 1,044(1,018)  合計の割合 99%(98%)  都道府県の数 46(46)  都道府県の割合 98%(98%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 73(69)  中核市等の割合 99%(99%)  一般市の数 479(473)  一般市の割合 99%(99%)  町村の数 426(410)  町村の割合 100%(96%)    7  医療・保健  合計の数 816(800)  合計の割合 77%(77%)  都道府県の数 42(42)  都道府県の割合 89%(89%)  指定都市の数 16(17)  指定都市の割合 80%(85%)  中核市等の数 58(57)  中核市等の割合 78%(81%)  一般市の数 396(385)  一般市の割合 82%(80%)  町村の数 304(299)  町村の割合 71%(70%)    8  事業者  合計の数 610(774)  合計の割合 58%(74%)  都道府県の数 38(41)  都道府県の割合 81%(87%)  指定都市の数 16(16)  指定都市の割合 80%(80%)  中核市等の数 54(55)  中核市等の割合 73%(79%)  一般市の数 284(349)  一般市の割合 59%(73%)  町村の数 218(313)  町村の割合 51%(74%)    9  法曹等  合計の数 345(351)  合計の割合 33%(34%)  都道府県の数 38(38)  都道府県の割合 81%(81%)  指定都市の数 19(19)  指定都市の割合 95%(95%)  中核市等の数 55(53)  中核市等の割合 74%(76%)  一般市の数 150(156)  一般市の割合 31%(33%)  町村の数 83(85)  町村の割合 19%(20%)    10  学識経験者  合計の数 448(446)  合計の割合 43%(43%)  都道府県の数 37(37)  都道府県の割合 79%(79%)  指定都市の数 16(17)  指定都市の割合 80%(85%)  中核市等の数 54(54)  中核市等の割合 73%(77%)  一般市の数 218(218)  一般市の割合 45%(46%)  町村の数 123(120)  町村の割合 29%(28%)    11  報道機関  合計の数 9(7)  合計の割合 1%(1%)  都道府県の数 5(5)  都道府県の割合 11%(11%)  指定都市の数 2(2)  指定都市の割合 10%(10%)  中核市等の数 -(-)  中核市等の割合 -(-)  一般市の数 2(-)  一般市の割合 0%(-)  町村の数 -(-)  町村の割合 -(-)    12  自治会  合計の数 102(107)  合計の割合 10%(10%)  都道府県の数 1(-)  都道府県の割合 2%(-)  指定都市の数 2(2)  指定都市の割合 10%(10%)  中核市等の数 13(12)  中核市等の割合 18%(17%)  一般市の数 57(57)  一般市の割合 12%(12%)  町村の数 29(36)  町村の割合 7%(8%)    13  その他  合計の数 144(76)  合計の割合 14%(7%)  都道府県の数 12(12)  都道府県の割合 26%(26%)  指定都市の数 2(1)  指定都市の割合 10%(5%)  中核市等の数 13(5)  中核市等の割合 18%(7%)  一般市の数 75(39)  一般市の割合 15%(8%)  町村の数 42(19)  町村の割合 10%(4%)    (母数)  合計の数 1,053(1,041)  合計の割合 100%(100%)  都道府県の数 47(47)  都道府県の割合 100%(100%)  指定都市の数 20(20)  指定都市の割合 100%(100%)  中核市等の数 74(70)  中核市等の割合 100%(100%)  一般市の数 484(479)  一般市の割合 100%(100%)  町村の数 428(425)  町村の割合 100%(100%)    ※「1)地域協議会の設置状況」の設問で、「1 設置済み」と回答した団体のみ調査。  ※複数回答可(各割合の合計は必ずしも 100%と一致しない)。  ※令和3年4月1日時点。 p25   (5) 事業者の合理的配慮提供の義務化に関する周知状況  事業者の合理的配慮の提供の義務化に関する周知状況について、全体でみると、「未定である」が78%、次いで「当面、事業者への周知の予定はない」が12%、「事業者への周知を予定している」が6%であった。    図表27 事業者の合理的配慮提供の義務化に関する周知状況  1  事業者への周知を開始している  合計の数 54   合計の割合 3%   都道府県の数 13   都道府県の割合 28%   指定都市の数 2   指定都市の割合 10%   中核市等の数 10   中核市等の割合 11%   一般市の数 18   一般市の割合 3%   町村の数 11   町村の割合 1%     2  事業者への周知を予定している  合計の数 111   合計の割合 6%   都道府県の数 7   都道府県の割合 15%   指定都市の数 5   指定都市の割合 25%   中核市等の数 10   中核市等の割合 11%   一般市の数 54   一般市の割合 8%   町村の数 35   町村の割合 4%    3  当面、事業者への周知の予定はない   合計の数 222   合計の割合 12%   都道府県の数 2   都道府県の割合 4%   指定都市の数 1   指定都市の割合 5%   中核市等の数 11   中核市等の割合 12%   一般市の数 92   一般市の割合 13%   町村の数 116   町村の割合 13%     4  未定である  合計の数 1,401   合計の割合 78%   都道府県の数 25   都道府県の割合 53%   指定都市の数 12   指定都市の割合 60%   中核市等の数 58   中核市等の割合 65%   一般市の数 542   一般市の割合 77%   町村の数 764   町村の割合 83%     計  合計の数 1,788   合計の割合 100%   都道府県の数 47   都道府県の割合 100%   指定都市の数 20   指定都市の割合 100%   中核市等の数 89   中核市等の割合 100%   一般市の数 706   一般市の割合 100%   町村の数 926   町村の割合 100%     ※令和3年4月1日時点。   p26  2.2.2 クロス集計  相談者にとって一番身近な市区町村における今後の相談体制の整備、事例の収集・共有の在り方に関する検討の基礎資料とするため、都道府県、指定都市以外の自治体における現在の各種体制や取組の有無と、相談実績の関係について、クロス集計を行った結果を以下で示す。  なお、各項目について参考までに、都道府県、指定都市について同様のクロス集計を行った結果を示す。    (1) 障害者差別解消に関する条例の制定状況と相談実績の関係  障害者差別解消に関する条例の制定状況(令和3年4月1日時点)について、相談実績別にみると、「制定済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で12.1%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で5.4%、「相談実績がない」で4.6%であった。  条例の制定率が全国的に低い状況にあるものの、相談実績がある地域のほうが条例の策定率は高い傾向にある。    図表28 障害者差別解消に関する条例の制定状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=215)  制定済み 12.1%  制定していない 87.9%  無回答 -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=222)  制定済み 5.4%  制定していない 94.6%  無回答 -    相談実績がない(n=1284)  制定済み 4.6%  制定していない 95.3%  無回答 0.1%   p27  図表29 (参考)障害者差別解消に関する条例の制定状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  制定済み 78.3%  制定していない 21.7%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  制定済み -  制定していない 100%    図表30 (参考)障害者差別解消に関する条例の制定状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  制定済み 42.1%  制定していない 57.9%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  制定済み -  制定していない 100% p28   (2) 地域協議会の状況と相談実績の関係  1) 地域協議会の設置状況と相談実績  地域協議会の設置状況について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で79.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で64.4%、「相談実績がない」で52.3%であった。  相談実績のある地域のほうが、地域協議会の設置率は高い傾向にある。    図表31 地域協議会の設置状況;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=215)  設置済み 79.5%  設置予定 5.6%  設置しない 3.3%  未定 11.6%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=222)  設置済み 64.4%  設置予定 1.8%  設置しない 4.1%  未定 29.7%    相談実績がない(n=1284)  設置済み 52.3%  設置しない 3.6%  未定 38.4%   p29  図表32 (参考)地域協議会の設置状況;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定 -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定 -      図表33 (参考)地域協議会の設置状況;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定 -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定 -   p30  2) 地域協議会の設置形態と相談実績  地域協議会の設置形態について、相談実績別でみると、「単独で設置」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で83.6%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で65.7%、「相談実績がない」で62.3%であった。  相談実績のある地域のほうが、協議会を単独で設置している割合が高い傾向にある。これは、相談実績のある地域のほうが自治体規模が大きいことと関連がある可能性が高い。    図表34 地域協議会の設置形態;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=171)  単独で設置 83.6%  複数の地方公共団体により共同で設置 16.4%  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -  無回答 -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=143)  単独で設置 65.7%  複数の地方公共団体により共同で設置 33.6%  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -  無回答 0.7%    相談実績がない(n=672)  単独で設置 62.3%  複数の地方公共団体により共同で設置 37.1%  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) 0.6%  無回答 -  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した986件を対象に集計している。   p31  図表35 (参考)地域協議会の設置形態;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  単独で設置 100%  複数の地方公共団体により共同で設置 -  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  単独で設置 100%  複数の地方公共団体により共同で設置 -  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した47件を対象に集計している。    図表36 (参考)地域協議会の設置形態;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  単独で設置 100%  複数の地方公共団体により共同で設置 -  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  単独で設置 100%  複数の地方公共団体により共同で設置 -  その他(他の地方公共団体への事務の委託など) -  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した20件を対象に集計している。 p32   3) 地域協議会の組織形態と相談実績  地域協議会の組織形態について、相談実績別でみると、「障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で43.3%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で28.0%、「相談実績がない」で27.9%であった。  相談実績のある地域では、自立支援協議会等の位置付けを兼ねるのではなく、地域支援協議会として単独で設置している割合が高い傾向にある。これは、相談実績のある地域のほうが自治体規模が大きく、会議体を独立して運営する必要性と十分な体制があることと関連がある可能性が高い。    図表37 地域協議会の組織形態;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=171)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 43.3%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている 9.4%  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている 48%  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている 15.2%  相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=171)その他組織の位置付けを兼ねている 5.3%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=143)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 28%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている 10.5%  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている 75.5%  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている 11.9%  相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=143)その他組織の位置付けを兼ねている 2.8%    相談実績がない(n=672)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 27.9%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている 12.1%  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている 70%  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている 16.1%  相談実績がない(n=671)その他組織の位置付けを兼ねている 3.6%  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した986件を対象に集計している。 p33   図表38 (参考)地域協議会の組織形態;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 65.2%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている 13%  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている 8.7%  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている 13%  その他組織の位置付けを兼ねている 21.7%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 100%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている -  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている -  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている -  その他組織の位置付けを兼ねている -%  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した47件を対象に集計している。    図表39 (参考)地域協議会の組織形態;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 52.6%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている 26.3%  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている 10.5%  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている 5.3%  その他組織の位置付けを兼ねている 10.5%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ 100%  障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている -  障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている -  障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている -  その他組織の位置付けを兼ねている -  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した20件を対象に集計している。   p34  4) 地域協議会の所掌する事務と相談実績の関係  地域協議会の所掌する事務のうち実績ありの項目について、相談実績別でみると、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域は、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域や「相談実績がない」地域に比べて、いずれの項目も実施率が高い傾向にある。  特に実施率が高いのは、「障害者差別の解消に資する取組の共有・分析」が55.6%、「関係機関等が対応した相談に係る事例の共有」で54.4%、「障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発」で40.4%であった。    図表40 地域協議会の所轄する事務(実績あり);相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=171)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 20.5%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 54.4%  障害者差別に関する相談体制の整備 28.7%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 55.6%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 9.4%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 40.4%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 17.5%  その他 5.3%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=143)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 13.3%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 30.8%  障害者差別に関する相談体制の整備 14.7%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 18.9%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 4.9%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 28.7%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 16.8%  その他 7%    相談実績がない(n=672)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 8.9%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 30.8%  障害者差別に関する相談体制の整備 12.5%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 24.7%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 3%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 28%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 9.8%  その他 4.6%  ※「(4)地域協議会の状況1)地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した986件を対象に集計している。 p35   図表41 (参考)地域協議会の所掌する事務(実績あり);相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 19.6%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 63%  障害者差別に関する相談体制の整備 34.8%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 76.1%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 4.3%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 47.8%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 13%  その他 8.7%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 0%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 100%  障害者差別に関する相談体制の整備 0%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 100%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 0%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 100%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 0%  その他 0%  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した47件を対象に集計している。    図表42 (参考)地域協議会の所轄する事務(実績あり);相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 31.6%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 73.7%  障害者差別に関する相談体制の整備 42.1%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 57.9%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 10.5%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 52.6%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 15.8%  その他 5.3%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有 0%  関係機関等が対応した相談に係る事例の共有 100%  障害者差別に関する相談体制の整備 0%  障害者差別の解消に資する取組の共有・分析 100%  構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し 0%  障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発 100%  個別の相談事案に対する対応(紛争解決を含む) 0%  その他 0%  ※「地域協議会の設置状況」について、「設置済み」と回答した20件を対象に集計している。 p36   (3) 障害者差別の相談体制と相談実績  1) 相談対応を行う体制と相談実績  障害者差別に関する相談対応を行う体制について、相談実績別でみると、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域は、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域や「相談実績がない」地域に比べて、ワンストップ相談窓口、障害者差別の相談員の配置、統一的な解釈や判断を行う部局の設置率が高い傾向にあり、特に「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域では、ワンストップ相談窓口の設置率が56.7%であった。  一方、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域や「相談実績がない」地域では、「明確な相談体制はない」がそれぞれ36.9%、41.1%であった。    図表43 障害者差別に関する相談対応を行う体制;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=215)  ワンストップ相談窓口を設置 56.7%  障害者差別の相談員を配置 19.1%  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 31.6%  明確な相談体制はない 19.5%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=222)  ワンストップ相談窓口を設置 36.9%  障害者差別の相談員を配置 13.5%  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 17.1%  明確な相談体制はない 42.8%    相談実績がない(n=1284)  ワンストップ相談窓口を設置 41.1%  障害者差別の相談員を配置 9.8%  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 19.6%  明確な相談体制はない 41.8% p37   図表44 (参考)障害者差別に関する相談対応を行う体制;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  ワンストップ相談窓口を設置 76.1%  障害者差別の相談員を配置 76.1%  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 28.3%  明確な相談体制はない 4.3%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  ワンストップ相談窓口を設置 -  障害者差別の相談員を配置 -  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 100%  明確な相談体制はない -    図表45 (参考)障害者差別に関する相談対応を行う体制;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  ワンストップ相談窓口を設置 42.1%  障害者差別の相談員を配置 57.9%  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 57.9%  明確な相談体制はない 10.5%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  ワンストップ相談窓口を設置 -  障害者差別の相談員を配置 -  統一的な解釈や判断を行う部局を決定 -  明確な相談体制はない 100%   p38  2) 市町村における専門性のある相談員の配置有無;相談実績別  市町村における障害者差別に関する専門性のある相談員の配置について、相談実績別でみると、「障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している」割合は「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で58.5%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で43.3%、「相談実績がない」で42.1%であった。  相談実績のある地域のほうが専門性のある相談員を配置している割合が高い傾向にある。    図表46 市町村における専門性のある相談員の配置有無;相談実績別(障害者差別の相談員を配置している、都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=41)  障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している 58.5%  特段、専門性を有した者を配置していない 41.5%  無回答 -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=30)  障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している 43.3%  特段、専門性を有した者を配置していない 56.7%  無回答 -    相談実績がない(n=126)  障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している 42.1%  特段、専門性を有した者を配置していない 57.1%  無回答 0.8%  ※障害者差別に関する相談対応を行う体制について、「障害者差別に関する相談員(専ら相談業務に対応する職員等)を配置している」と回答した197件を対象に集計している。   p39  図表47 (参考)広域支援相談員等の配置有無;相談実績別(障害者差別の相談員を配置している、都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=35)  広域支援相談員等を配置している 45.7%  広域支援相談員等を配置していない 54.3%  ※障害者差別に関する相談対応を行う体制について、「障害者差別に関する相談員(専ら相談業務に対応する職員等)を配置している」と回答した35件を対象に集計している。    図表48 (参考)広域支援相談員等以外の専門性のある相談員の配置有無;相談実績別(障害者差別の相談員を配置している、都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=35)  広域支援相談員以外の障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者を配置している 40%  特段、専門性を有した者を配置していない 60%  ※障害者差別に関する相談対応を行う体制について、「障害者差別に関する相談員(専ら相談業務に対応する職員等)を配置している」と回答した35件を対象に集計している。   p40  (4) 障害者差別の解消に向けた周知啓発と相談実績  1) 周知啓発の実施状況と相談実績  障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について、相談実績別でみると、「実施している」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で89.8%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で71.2%、「相談実績がない」で56.2%であった。  相談実績のある地域のほうが、周知啓発の実施率は高い傾向にある。    図表49 障害者差別の解消に向けた周知啓発;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=215)  実施している 89.8%  実施していない 10.2%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=222)  実施している 71.2%  実施していない 28.8%    相談実績がない(n=1284)  実施している 56.2%  実施していない 43.8% p41  図表50 (参考)障害者差別の解消に向けた周知啓発;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  実施している 100%  実施していない -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  実施している 100%  実施していない -    図表51 (参考)障害者差別の解消に向けた周知啓発;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  実施している 100%  実施していない -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  実施している -  実施していない 100% p42   2) 周知啓発で用いている媒体と相談実績別  障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体について、相談実績別でみると、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域は、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域や「相談実績がない」地域に比べて、紙媒体、SNS・動画・専用ウェブサイトのいずれの媒体も活用している割合が高い。    図表52 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体;相談実績別(都道府県、指定都市以外の自治体)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=193)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 89.1%  SNS・動画・専用ウェブサイト 36.7%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=158)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 77.8%  SNS・動画・専用ウェブサイト 26.6%    相談実績がない(n=722)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 77%  SNS・動画・専用ウェブサイト 22.3%  ※障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について「実施している」と回答した1073件を対象に集計している。   p43  図表53 (参考)障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体;相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 93.5%  SNS・動画・専用ウェブサイト 80.4%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 100%  SNS・動画・専用ウェブサイト 100%  ※障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について「実施している」と回答した47件を対象に集計している。    図表54 (参考)障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体;相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 100%  SNS・動画・専用ウェブサイト 52.7%  ※障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について「実施している」と回答した19件を対象に集計している。 p44   (5) 障害者差別の解消に向けた周知啓発と地域協議会の設置状況  地域協議会の設置状況と周知啓発の実施状況をみると、「設置済み」について、周知啓発を「実施している」が72.8%であった。「設置予定」では、「実施している」が48.3%、「設置しない」では54.8%、「未定」では50.7%であった。    図表55 地域協議会の設置状況と周知啓発の実施有無    設置済み(n=1052)  実施している 72.8%  実施していない 27.2%    設置予定(n=89)  実施している 48.3%  実施していない 51.7%    設置しない(n=62)  実施している 54.8%  実施していない 45.2%    未定(n=584)  実施している 50.7%  実施していない 49.3%  ※「(4) 1)地域協議会の設置状況」の設問で、「無回答」であった1件を除く1787件を対象に集計している。 p45   図表56 地域協議会の設置状況と周知啓発で用いている媒体    設置済み(n=766)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 82.1%  SNS(Twitter、LINE、Instagram等) 3%  動画(YouTube等) 5.2%  専用ウェブサイト(SNS及び動画の掲載を含む。) 24%  その他 30.2%    設置予定(n=43)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 81.4%  SNS(Twitter、LINE、Instagram等) 0%  動画(YouTube等) 0%  専用ウェブサイト(SNS及び動画の掲載を含む。) 18.6%  その他 25.6%    設置しない(n=34)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 67.6%  SNS(Twitter、LINE、Instagram等) 2.9%  動画(YouTube等) 0%  専用ウェブサイト(SNS及び動画の掲載を含む。) 23.5%  その他 41.2%    未定(n=296)  紙媒体(パンフレット、リーフレット等) 76.7%  SNS(Twitter、LINE、Instagram等) 0.7%  動画(YouTube等) 1.4%  専用ウェブサイト(SNS及び動画の掲載を含む。) 17.6%  その他 26.7%  ※周知啓発を実施していると回答した1139件を対象に集計をしている。 p46   (6) 障害者基本法に基づく審議会等の設置状況と相談実績  障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点)について、相談実績別でみると、「設置済み」は、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」で52.1%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」で45.5%、「相談実績がない」で36.1%であった。  相談実績のある地域のほうが、審議会等の設置率は高い傾向にある。    図表57 障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=215)  設置済み 52.1%  設置予定 2.3%  設置しない 25.1%  未定(※設置するかしないか決まっていない) 20.5%    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=222)  設置済み 45.5%  設置予定 2.7%  設置しない 20.7%  未定(※設置するかしないか決まっていない) 31.1%    相談実績がない(n=1284)  設置済み 36.1%  設置予定 1.7%  設置しない 19.9%  未定(※設置するかしないか決まっていない) 42.4% p47   図表58 (参考)障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(都道府県)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=46)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定(※設置するかしないか決まっていない) -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定(※設置するかしないか決まっていない) -    図表59 (参考)障害者基本法に基づく審議会その他の合議制の機関の設置状況(令和3年4月1日時点);相談実績別(指定都市)    相談実績があり、相談件数をカウントしている(n=19)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定(※設置するかしないか決まっていない) -    相談実績があるが、相談件数をカウントしていない(n=1)  設置済み 100%  設置予定 -  設置しない -  未定(※設置するかしないか決まっていない) - p48   2.2.3 相談件数が多い自治体を対象とした集計  相談件数が12件(月に1回)以上で、一定程度相談体制が機能していると想定される自治体を対象に、相談対応を行う体制、広域支援相談員とそれ以外の相談員の配置状況、障害者差別の解消に向けた周知啓発の実施状況について、集計を行った。    図表60 障害者差別に関する相談対応を行う体制について  1  ワンストップ相談窓口を設置又は指定  合計の数 35   合計の割合 66%   都道府県の数 24   都道府県の割合 83%   指定都市の数 6   指定都市の割合 43%   中核市等の数 3   中核市等の割合 75%   一般市の数 2   一般市の割合 40%   町村の数 -   町村の割合 -     2  障害者差別に関する相談員を配置  合計の数 36   合計の割合 68%   都道府県の数 24   都道府県の割合 83%   指定都市の数 10   指定都市の割合 71%   中核市等の数 1   中核市等の割合 25%   一般市の数 1   一般市の割合 20%   町村の数 -   町村の割合 -     3  統一的な解釈・判断を行う部局等を指定  合計の数 22   合計の割合 42%   都道府県の数 8   都道府県の割合 28%   指定都市の数 9   指定都市の割合 64%   中核市等の数 2   中核市等の割合 50%   一般市の数 3   一般市の割合 60%   町村の数 -   町村の割合 -     4  明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応をしている(1~3のいずれにも該当しない)  合計の数 1   合計の割合 2%   都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 1   町村の割合 100%     (母数)  合計の数 53   合計の割合 100%   都道府県の数 29   都道府県の割合 100%   指定都市の数 14   指定都市の割合 100%   中核市等の数 4   中核市等の割合 100%   一般市の数 5   一般市の割合 100%   町村の数 1   町村の割合 100%   ※相談件数が12件以上あった53件を対象に集計している。    図表61 広域支援相談員等の配置の有無(都道府県)  1  広域支援相談員等を配置している  合計の数 13   合計の割合 54%   都道府県の数 13   都道府県の割合 54%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     2  広域支援相談員等を配置していない  合計の数 11   合計の割合 46%   都道府県の数 11   都道府県の割合 46%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     計  合計の数 24   合計の割合 100%   都道府県の数 24   都道府県の割合 100%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     ※相談件数が12件以上あった53件のうち、都道府県かつ障害者差別に関する相談対応を行う体制において「2 障害者差別に関する相談員を配置」と回答した24件を対象に集計している。 p49   図表62 広域支援相談員等以外の障害者差別に関する相談員の配置の有無(都道府県)  1  障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した相談員を配置している  合計の数 12   合計の割合 50%   都道府県の数 12   都道府県の割合 50%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     2  特段、専門性を有した相談員を配置していない  合計の数 12   合計の割合 50%   都道府県の数 12   都道府県の割合 50%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     計  合計の数 24   合計の割合 100%   都道府県の数 24   都道府県の割合 100%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     ※相談件数が12件以上あった53件のうち、都道府県かつ障害者差別に関する相談対応を行う体制において「2 障害者差別に関する相談員を配置」と回答した24件を対象に集計している。    図表63 障害者差別に関する相談員の配置の有無(都道府県、指定都市以外の自治体)(障害者差別に関する相談員を配置している場合)  1  障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した相談員を配置している  合計の数 2   合計の割合 100%   都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 1   中核市等の割合 100%   一般市の数 1   一般市の割合 100%   町村の数 -   町村の割合 -     2  特段、専門性を有した相談員を配置していない  合計の数 -   合計の割合 -   都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     計  合計の数 2   合計の割合 100%   都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 1   中核市等の割合 100%   一般市の数 1   一般市の割合 100%   町村の数 -   町村の割合 -     ※相談件数が12件以上あった53件のうち、中核市等もしくは一般市にて、障害者差別に関する相談対応を行う体制において「2 障害者差別に関する相談員を配置」と回答した2件を対象に集計している。    図表64 障害者差別の解消に向けた周知啓発について  1  実施している  合計の数 52   合計の割合 98%   都道府県の数 29   都道府県の割合 100%   指定都市の数 14   指定都市の割合 100%   中核市等の数 4   中核市等の割合 100%   一般市の数 4   一般市の割合 80%   町村の数 1   町村の割合 100%     2  実施していない  合計の数 1   合計の割合 2%   都道府県の数 -   都道府県の割合 -   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 1   一般市の割合 20%   町村の数 -   町村の割合 -     計  合計の数 53   合計の割合 100%   都道府県の数 29   都道府県の割合 100%   指定都市の数 14   指定都市の割合 100%   中核市等の数 4   中核市等の割合 100%   一般市の数 5   一般市の割合 100%   町村の数 1   町村の割合 100%     ※相談件数が12件以上あった53件を対象に集計している。 p50   図表65 障害者差別の解消に向けた周知啓発で用いている媒体(周知啓発を実施している場合)  1  紙媒体(パンフレット、リーフレット等)  合計の数 51   合計の割合 98%   都道府県の数 29   都道府県の割合 100%   指定都市の数 14   指定都市の割合 100%   中核市等の数 4   中核市等の割合 100%   一般市の数 4   一般市の割合 100%   町村の数 -   町村の割合 -     2  SNS(Twitter、LINE、Instagram等)  合計の数 3   合計の割合 6%   都道府県の数 3   都道府県の割合 10%   指定都市の数 -   指定都市の割合 -   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     3  動画(YouTube等)  合計の数 12   合計の割合 23%   都道府県の数 11   都道府県の割合 38%   指定都市の数 1   指定都市の割合 7%   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 -   町村の割合 -     4  専用ウェブサイト(2及び3の掲載を含む。)  合計の数 24   合計の割合 46%   都道府県の数 13   都道府県の割合 45%   指定都市の数 7   指定都市の割合 50%   中核市等の数 2   中核市等の割合 50%   一般市の数 2   一般市の割合 50%   町村の数 -   町村の割合 -     5  その他  合計の数 20   合計の割合 38%   都道府県の数 11   都道府県の割合 38%   指定都市の数 7   指定都市の割合 50%   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 1   一般市の割合 25%   町村の数 1   町村の割合 100%     母数  合計の数 52   合計の割合 100%   都道府県の数 29   都道府県の割合 100%   指定都市の数 14   指定都市の割合 100%   中核市等の数 4   中核市等の割合 100%   一般市の数 4   一般市の割合 100%   町村の数 1   町村の割合 100%   ※相談件数が12件以上あった53件のうち、障害者差別の解消に向けた周知啓発について、「1 実施している」と回答した52件を対象に集計している。 p51   3. 相談体制の好事例調査の結果  3.1 相談体制の好事例調査の概要  3.1.1 調査目的  検討会における相談体制の在り方に関する基本的な考え方等の検討に当たり、参考となる先進地域の取組実態、先行者の立場からの提案を把握するために調査を実施した。    3.1.2 調査対象、調査時期  調査の対象、時期は以下の通りである。  体制構築・運営の行政実務上の工夫・課題を指摘できるよう、一定期間、一定規模で相談体制を運営した実績がある地方公共団体を選定した。  また、地域の実情反映のため、地域バランス、人口規模にも配慮した。    図表66 相談体制の好事例調査の実施経過  1  調査対象 千葉県  実施日時 令和3年9月14日(火)10~12時(第2回検討会)    2  調査対象 長野県上小圏域  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    3  調査対象 兵庫県明石市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    4  調査対象 岡山県総社市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)    5  調査対象 福岡県北九州市  実施日時 令和3年9月30日(木)9時~12時30分(第3回検討会)  ※全件、WEB会議方式で実施。    3.1.3 調査方法  検討会(WEB会議方式)に調査対象地域の担当者を招聘し、検討会構成委員がヒアリングを実施した。    3.1.4 調査項目  調査項目は以下の通りである。    図表67 相談体制の好事例調査の調査項目    (地域の基本情報)  (障害者差別の解消に向けた相談体制)  〇障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  〇相談体制構築の経緯  〇相談の実施体制  〇相談件数・内容  〇障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  〇関係機関との連携  〇相談機関へのアクセス向上方策  〇相談対応に係る人材の確保・育成  〇相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと    (相談事例の収集・共有の仕組)  〇事例の収集の現状  〇事例の共有の現状  (障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組) p52   3.1.5 調査結果の概要  相談体制の好事例調査の結果の概要を以下に示す。    図表68 相談体制の好事例調査からみえた相談体制構築パターン  本事業では、本事業内で実施した好事例調査に基づき、都道府県の相談体制を2種類、市区町村の相談体制を6種類に分類した。    都道府県の相談体制は、広域支援相談員配置型と広域連携型の2種類とした。広域支援相談員配置型は、都道府県設置の広域支援相談員等が市区町村を支援する体制である。以降本相談体制を、相談体制分類Aと称する。相談体制分類Aでは、都道府県障害福祉課等に設置された広域支援相談員等の相談員が、市区町村の相談体制を支援する。なおこの際、都道府県に設置された地域協議会等と広域支援相談員等の相談員が連携し、市区町村の協議会や相談体制を支援する場合もある。    広域連携型は、市区町村で相談を受け、困難事例等は広域で支援する相談体制である。以降、本相談体制を相談体制分類Bと称する。相談体制分類Bでは、広域支援相談員等を設置せず、都道府県障害福祉課や都道府県協議会等が、市区町村の相談窓口や協議会を直接支援する方式である。なお、都道府県における相談体制分類AとBでは、それぞれワンストップ窓口を設置する場合としない場合がある。    市区町村における相談体制は、地域協議会を持たない場合と、地域協議会を持つ場合の2つに大別される。それぞれの類型において、窓口の設置形態により3種類に分類する。地域協議会を持たない場合については相談分類ア~ウ、地域協議会を持つ場合は相談分類エ~カとし、窓口形態として、複数窓口型、ワンストップ窓口型、重層窓口型の3種類を定義する。複数窓口型は、各部署・機関の窓口で相談を受け付ける方式である。ワンストップ窓口型は、相談を1つのワンストップ窓口で受け付ける方式である。重層窓口型は、ワンストップ窓口と各部署・機関の窓口で重層的に相談を受け付ける体制である。それぞれの窓口形態とその分類名は次の通りとする。  ・相談分類アは複数窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類イはワンストップ窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類ウは重層窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類エは重層窓口・協議会連携型  ・相談分類オはワンストップ窓口・協議会連携型  ・相談分類カは重層窓口・協議会連携型 p53   図表69 相談体制の好事例調査の結果概要    千葉県  基本情報  人口 6,283,727人  世帯数 2,785,297世帯  社会資源の状況   〇基幹相談支援センター:直営9か所、委託15か所   〇指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所:431か所   〇権利擁護センター:直営1か所   〇障害者虐待防止センター:直営47か所、委託7か所    相談体制  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  平成18年に障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例(以下、障害者条例)を制定し、障害のある人もない人も誰もがお互いの立場を尊重し合い、支え合いながら安心して暮らすことのできる社会を実現するという理念のもと、地域に根差した相談員が第三者的な立場から関係者への説明・助言・調整・紹介等を実施  体制構築の経緯  障害者条例に相談体制の規定があるため、条例施行と同時に相談業務を開始  相談の実施体制   〇千葉県本庁:県職員3名   〇広域専門指導員:県内16の障害保健福祉圏域毎に1名   〇地域相談員:535名  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況   〇千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会:広域専門指導員・地域相談員の委嘱についての意見具申、差別事案に関する審議等   〇障害者差別解消支援地域協議会:具体的な対応事例の共有、市町村単独での対応が難しい事案の協議   〇障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり推進会議:個別相談では解決が難しい課題に関する議論・周知  相談件数・内容(相談内容の整理軸を含む)   〇平成30年度:135件、令和元年度:153件、令和2年度:103件   〇相談内容の整理軸:差別の類型別、事例の内容別、情報の収集方法別、解決状況別  相談件数・内容の直近3年間の傾向   〇新型コロナウイルス感染症の影響により、相談件数が減少   〇例年、障害種別では精神障害に関する相談が最も多く、分野別では福祉サービス関連が最も多い。  相談の流れ(障害者から)(受付の方法・相談員)   ①相談受付   ②ケース検討会議にて取組方針検討   ③双方から事情を確認   ④助言・調整案の提案   ⑤双方に対し、助言・調整   ⑥合意   ⑦活動結果の評価  相談の流れ(事業者から)(受付の方法・相談員)  障害者からの相談と同様の流れ  関係機関との連携(連携する内容を含む)   〇障害者差別に関する相談の内容に応じて県内市町村、中核地域生活支援センター、障害者就業・生活支援センター等と連携   〇広域専門指導員が市町村の地域支援協議会に同席する等、日常的に市町村と連携  アクセス向上方策・意思疎通支援の工夫(ICT活用を含む)   〇相談窓口を記載したパンフレット等に音声コードを添付   〇事業者に対する広報媒体の配布や法律・条例の説明   〇「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」による配慮の実施   〇専用メールアドレスの活用  相談対応に係る人材の確保・育成   〇広域専門指導員等連絡調整会議での事例検討(月1回)   〇地域相談員への研修(年1回)  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  平成18年に障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例(以下、障害者条例)を制定し、障害のある人もない人も誰もがお互いの立場を尊重し合い、支え合いながら安心して暮らすことのできる社会を実現するという理念のもと、地域に根差した相談員が第三者的な立場から関係者への説明・助言・調整・紹介等を実施    事例の収集・共有の仕組  事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む)   〇事例の分類、内容、対応等で整理   〇事例の収集先:市町村や教育庁、県警、広域専門指導員を配置している保健所、障害者相談センター  事例の共有   〇今後の相談活動の参考になるよう、相談分野、類似事例の有無、具体的対応等調整活動の妥当性などを勘案し、共有事例として選定    その他  障害者差別の解消に向けた相談体制の構築を進めるために必要なこと・課題   〇県と市町村の障害者差別解消支援地域協議会の活性化が必要   〇市町村によって規模や相談件数等が異なり、未設置となっている地域や差別相談がない地域との関わり方が課題    各自治体特記事項  【広域専門指導員】  障害を理由とする差別相談に関する助言や調整活動、個別訪問等による障害者条例及び障害者差別解消法の周知啓発や、地域相談員への助言・研修を実施    長野県上田・小県群圏域  基本情報  人口 155,223人  世帯数 68,446世帯  社会資源の状況 〇基幹相談支援センター:委託1か所   〇指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所:53か所   〇権利擁護センター:設置なし(権利擁護機能を持つ機関:直営4か所)   〇障害者虐待防止センター:直営1か所、委託1か所    相談体制  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇障害者理解の周知・啓発が重要であることを障害者差別解消支援地域協議会で共有し、周知啓発活動を展開   〇差別解消に係る相談窓口を上田市障がい者支援課に設置し、市民からの相談も受付  体制構築の経緯  障害者差別解消法施行の1年前から障害当事者・支援機関等との会議によりパンフレットを作成し、相談窓口を計画  相談の実施体制   〇上田市障がい支援課:35名   〇基幹相談支援センターの相談支援専門員:10名  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況   〇上小圏域障がい者自立支援協議会 本会:市町村相談実績及び相談内容・対応内容の報告と検証を実施し、差別解消協議会に報告し周知を図る  相談件数・内容(相談内容の整理軸を含む)   〇平成30年度:1件、令和元年度:3件、令和2年度:2件   〇相談内容の整理軸:障害種別、相談者の状況、相談者の種別(個人・団体)、差別の類型別  相談件数・内容の直近3年間の傾向   〇不当な差別:障害に対する理解不足による差別的対応が主   〇合理的配慮:当事者及び当事者の家族からの一般市民・社会に対する合理的配慮への働きかけの訴えが主  相談の流れ(障害者から)(受付の方法・相談員)   ①相談受付   ②管理職報告・課内検討   ③相談者及び対応者へのアクセスと事実確認   ④解決に向けた対応者への説明と合意  相談の流れ(事業者から)(受付の方法・相談員)   ①相談受付   ②管理職報告・課内検討   ③相談者及び対応者へのアクセスと事実確認   ④必要に応じた支援会議での方向性と解決に向けた方法の検討   ⑤解決に向けた対応者への説明と合意  関係機関との連携(連携する内容を含む)   〇相談案件が出た際に、支援会議等に基幹相談支援センターも同席して内容の把握と解決方法を検討   〇圏域ごとの権利擁護委員会が県の自立支援協議会に参画して議論  アクセス向上方策・意思疎通支援の工夫(ICT活用を含む)   〇電話相談窓口の明確化   〇身近な自治センターでの相談受付   〇手話通訳士(者)の配置、コミュニケーション支援アプリ・遠隔手話通訳、筆談、点字・点訳広報   〇メール相談・SNSでの相談・TV電話・オンライン会議等の導入  相談対応に係る人材の確保・育成   〇行政担当者と基幹相談支援センター合同研修会を開催(年1回)  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇障害者理解の周知・啓発が重要であることを障害者差別解消支援地域協議会で共有し、周知啓発活動を展開   〇差別解消に係る相談窓口を上田市障がい者支援課に設置し、市民からの相談も受付    事例の収集・共有の仕組  事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む)   〇事例の分類、事例の内容、障害の種別、事例が生じた場面、対応内容等で整理   〇事例の収集先:障害者支援課、権利擁護委員会  事例の共有   〇個人情報を保護した形で障害者差別解消支援地域協議会での資料として、内容を含め報告    その他  障害者差別の解消に向けた相談体制の構築を進めるために必要なこと・課題 〇障害者の権利擁護相談支援についての担当者レベルの研修の機会づくり   〇一定の質が担保された相談体制モデル構築と窓口の増加   〇専門部会での周知活動、勉強会、教育カリキュラムへの組み込み    各自治体特記事項  【広域連合・協議会の活用】   〇障害者自立支援協議会本会が障害者差別解消地域協議会機能を兼ねる   〇複数の部会を設置し、具体的な議論を行う体制を構築    兵庫県明石市  基本情報人口 299,623人  世帯数 130,352世帯  社会資源の状況   〇基幹相談支援センター:委託1か所   〇指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所:27か所   〇権利擁護センター:委託1か所   〇障害者虐待防止センター:委託1か所    相談体制  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇明石市障害者配慮条例の基本理念(第2条)に基づいて実施   〇差別をする人を非難することが目的ではなく、差別をした人、された人両者が話し合って、お互いに理解を深め、積極的に合理的配慮がなされるようになることが目的  体制構築の経緯  障害者差別解消法施行に合わせて「明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」を制定し、条例に基づく相談体制を構築  相談の実施体制   〇障害福祉課障害者施策担当:4名   〇障害者がよく相談に訪れる4機関でも障害者差別相談を受付  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況   〇障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会:あっせん手続き、障害を理由とする差別を解消するために必要な施策を市長に表明、条例の施行状況検討・見直し、その他障害を理由とする差別を解消するために必要な事務  相談件数・内容(相談内容の整理軸を含む)   〇平成30年度:3件、令和元年度:18件、令和2年度:6件   〇相談内容の整理軸:相談窓口別、対応別、差別の類型別、事例が生じた場面別、相談者別  相談件数・内容の直近3年間の傾向   〇窓口開設初年度と比較し、減少傾向   〇本人が調整を望まない場合、主訴が別の相談で背景に差別が伺われるが、相談者が差別相談とは考えていない場合等、相手方との調整までに至らない案件が多い  相談の流れ(障害者から) (受付の方法・相談員)   ①相談受付   ②調整会議で事案担当者決定   ③担当者による双方の事情確認   ④調整会議で助言・調整案を検討   ⑤担当者による助言・調整の実施   ⑥合意が得られれば終結   ⑦地域協議会(あっせん部会)があっせんを実施  相談の流れ(事業者から)(受付の方法・相談員)  障害者施策担当で受け付け、必要に応じて関係機関に協力を求めて対応  関係機関との連携(連携する内容を含む)  必要に応じて関係機関(相手方が事業者であれば、管轄する行政機関、加盟する業界の上部団体等)と連携して対応  アクセス向上方策・意思疎通支援の工夫(ICT活用を含む)   〇障害者団体等を通じた差別事例の収集、相談窓口の周知、ホームページ、パンフレット等での周知   〇合理的配慮の提供を支援する助成制度利用事業者へのアンケート実施   〇手話通訳、テキストデータや点字での情報提供、Web問い合わせ・電子メールによる相談対応、対話支援機器の利用  相談対応に係る人材の確保・育成   〇「障害を理由とした差別」に関わる案件を判断するスキル向上用研修を実施   〇差別相談の手引きを作成して相談員に周知  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇明石市障害者配慮条例の基本理念(第2条)に基づいて実施   〇差別をする人を非難することが目的ではなく、差別をした人、された人両者が話し合って、お互いに理解を深め、積極的に合理的配慮がなされるようになることが目的    事例の収集・共有の仕組  事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む)   〇事例の分類、事例の内容、対応内容等で整理   〇事例の収集先:所管部局、障害者差別解消支援地域協議会、明石市障害当事者等団体連絡協議会  事例の共有   〇事例の共有の際には個人情報等を加工し、詳細な内容が必要な場合は本人の同意を得てから共有    その他  障害者差別の解消に向けた相談体制の構築を進めるために必要なこと・課題   〇地域の障害者団体との連携により事業者への合理的配慮に関する助言や日頃の情報交換などができる関係作り   〇合理的配慮の提供が過重な負担であるかを判断するための基準や、公的な支援制度の充実   〇専門的な知識や地域のネットワーク    各自治体特記事項   【既存の複数の相談窓口の活用】   障害者配慮条例に基づき複数の相談窓口を設け、障害を理由とした差別に関連する相談を受付   【合理的配慮の支援】   合理的配慮の提供のための支援助成制度を運用    岡山県総社市  基本情報  人口 69,739人  世帯数 28,940世帯  社会資源の状況   〇基幹相談支援センター:委託1か所   〇指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所:8か所   〇権利擁護センター:委託1か所   〇障害者虐待防止センター:直営1か所    相談体制  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇「全国屈指の福祉先駆都市」を目指し、障がい者千五百人雇用事業を始め、多様な支援を展開   〇行政だけでなく、関係機関等との連携のもと、地域の実情を踏まえ、各機関が主体的に取組を推進  体制構築の経緯   福祉施策を通じて構築されていたつながりをベースに総社市地域自立支援協議会において相談体制構築の準備を遂行  相談の実施体制   〇保健福祉部福祉課:2名   〇その他各種センターがワンストップで対応できる体制を構築  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況   〇障害者差別解消支援地域協議会:対応要領策定の諮問機関、差別解消の取組を円滑に行うための役割   〇総社市地域自立支援協議会:障害のある方が、総社市で安心して暮らせるよう関係者が話し合う場所、障害者施策を協議し、情報共有できる場所として設置  相談件数・内容(相談内容の整理軸を含む)   〇平成30年度:0件、令和元年度:0件、令和2年度:0件   〇差別解消支援地域協議会への直接の相談を件数として計上し、連携の他機関の支援の中において、相談が必要な案件は、情報共有等により相談につなげる  相談件数・内容の直近3年間の傾向   〇直近3年間の相談実績なし  相談の流れ(障害者から)(受付の方法・相談員)   〇基幹相談支援センター、障がい者千五百人雇用センター、権利擁護センターなどが支援を実施   〇相談案件がある場合は、協議会で集約し、他機関と連携のうえ情報収集を行い、支援方針の検討・事案の評価、基本的な事案への対応等を実施  相談の流れ(事業者から)(受付の方法・相談員)   〇基幹相談支援センター、障がい者千五百人雇用センターなどによる事業所訪問で情報交換を実施   〇相談案件がある場合は、協議会で集約し、他機関と連携のうえ情報収集を行い、支援方針の検討・事案の評価、基本的な事案への対応等を実施  関係機関との連携(連携する内容を含む)   〇障がい者千五百人雇用事業などの福祉施策を通じて、様々な機関が連携   〇当事者団体をはじめ、家族団体・事業所・支援団体と日ごろから関係構築し、相互連携  アクセス向上方策・意思疎通支援の工夫(ICT活用を含む)   〇障害者と関係機関、協議会の関係構築   〇事業者との日ごろからの訪問を通した関係構築   〇手話通訳者、要約筆記者の派遣や意思疎通のための関係機関との連携   〇Web会議での相談対応体制づくり  相談対応に係る人材の確保・育成   〇各機関に専門知識のある有資格者等を配置し、横の連携を取り合って対応   〇業務遂行に必要な研修、障害者差別解消法対応要領に伴う職員研修を受講  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   〇「全国屈指の福祉先駆都市」を目指し、障がい者千五百人雇用事業を始め、多様な支援を展開   〇行政だけでなく、関係機関等との連携のもと、地域の実情を踏まえ、各機関が主体的に取組を推進    事例の収集・共有の仕組  事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む)   特になし  事例の共有   特になし    その他  障害者差別の解消に向けた相談体制の構築を進めるために必要なこと・課題   〇日ごろから関係機関との連携を密にし、いつでも相談できる体制を構築   〇企業を定期的に訪問し、意見交換を行うことで差別相談の予防につなげている    各自治体特記事項   【ワンストップの相談】   複数の支援センターや障害者差別解消支援地域協議会が連携して対応できる体制づくり    福岡県北九州市  基本情報  人口 934,130人  世帯数 435,354世帯  社会資源の状況   〇基幹相談支援センター:委託1か所   〇指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所:106か所   〇権利擁護センター:委託1か所   〇障害者虐待防止センター:委託1か所    相談体制  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方   「差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」が行われた場合に、個別の事案ごとに「正当な理由」や「過重な負担」などの様々な要素を考慮し、民間事業者や行政機関と障害当事者の双方の意見を聞きながら公平・中立な立場で対応  体制構築の経緯   「障害により差別を受けた・いやな思いをした事例」等の調査の結果、約4割が「どこにも相談していない」という回答であり、障害者差別解消法の施行によりこれまで埋もれていた相談が多数寄せられる可能性があることから、専門相談員を配置し、障害者差別解消相談コーナーを開設  相談の実施体制   〇保健福祉局障害福祉部障害福祉企画課職員:3名(うち相談員1名)  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況   北九州市障害者差別解消支援地域協議会:障害者差別に関する情報共有や、差別解消の取組のためのネットワーク構築   北九州市障害者差別解消委員会:市の相談対応で解決が困難な事案に関する調査審議、あっせん  相談件数・内容(相談内容の整理軸を含む)   〇平成30年度:103件、令和元年度:79件、令和2年度:54件   〇相談内容の整理軸:事例の内容別、事例の解決状況別  相談件数・内容の直近3年間の傾向   〇医療・福祉、行政などが多い   〇相談件数は年々減少   〇相談件数減少は、障害者差別解消法施行からの時間経過や、新型コロナウイルス感染症の影響の可能性あり  相談の流れ(障害者から)(受付の方法・相談員)   〇相談を受け付け、介入を求められた場合は調整活動を実施   〇係内で支援方針を検討し、調整活動や、他機関への連絡、調整等は相談員が対応  相談の流れ(事業者から)(受付の方法・相談員)   〇相談受付から対応まで相談員が実施  関係機関との連携(連携する内容を含む)   〇障害団体への技術的支援の相談   〇事例内容について障害者差別解消支援地域協議会で検討   〇相談内容に応じて保健所、ハローワーク等の適切な窓口を案内  アクセス向上方策・意思疎通支援の工夫(ICT活用を含む)   〇障害団体への案内、広報物、障害者週間啓発イベント、市ホームページへの掲載や研修・出前講演時に相談窓口を周知   〇電話、電子メール、FAXや対面相談に対応し、筆談対応や遠隔手話通訳体制を整備  相談対応に係る人材の確保・育成   〇障害福祉に関する実務経験がある有資格者を公募で採用   〇障害団体等と協議を行うことが、障害福祉に関する知識の習得に有効  障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  「差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」が行われた場合に、個別の事案ごとに「正当な理由」や「過重な負担」などの様々な要素を考慮し、民間事業者や行政機関と障害当事者の双方の意見を聞きながら公平・中立な立場で対応    事例の収集・共有の仕組  事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む)   〇事例の分類、事例の内容、障害の種別、事例が生じた場面、対応内容等で整理   〇事例の収集先:「障害者差別解消相談コーナー」での相談内容、合理的配慮の不提供事例等の情報提供  事例の共有  〇相談当事者や事業者が特定できないように加工したうえで、障害者差別解消支援地域協議会で共有    その他  障害者差別の解消に向けた相談体制の構築を進めるために必要なこと・課題 〇業務の専門性や特殊性により、公募では適当な人材を確保することが困難となる可能性あり   〇障害者団体や事業者の声を聞きながら検討していくことが重要    各自治体特記事項   【障害者差別解消支援地域協議会】   〇事業者も参加した北九州市障害者差別解消支援地域協議会を設置 p58   3.2 千葉県  3.2.1 自治体の基本情報  (1) 基本データ  人口 6,283,727人  世帯数 2,785,297世帯  面積 5,157.57?  障害福祉サービスの利用者数(実数)(令和3年4月) 集計なし  障害児給付費の利用者数(実数)(令和3年4月) 16,983人  障害者手帳所持者数(令和3年3月31日現在)  全体  身体障害者手帳 178,653人  療育手帳 45,439人  精神障害者保健福祉手帳 54,662人  うち65歳以上  身体障害者手帳 126,597人  療育手帳 集計なし  精神障害者保健福祉手帳 集計なし    (2) 地域の特徴(地域特性、産業等)  千葉県は、首都圏の東側に位置し、太平洋に突き出た半島となっている。三方を海に囲まれており、冬暖かく夏涼しい海洋性の温暖な気候である。石油・鉄鋼等の素材産業企業が多く集まる京葉臨海地域や、オフィス・商業・アミューズメント施設など複合的な機能を備える国際業務都市である幕張新都心、東葛テクノプラザなどの産業支援機関を有する東葛地域等、商業・工業バランスの取れた活動が活発に行われている。図表70に千葉県の障害保健福祉圏域を示す。 p59   図表70 千葉県の障害保健福祉圏域  千葉県は、障害保健福祉圏域として、16の圏域を設置している。内訳は、千葉、船橋、柏、習志野、市川、松戸、野田、印旛、香取、海匝、山武、長生、夷隅、安房、君津、市原の各圏域である。  出所)第七次千葉県障害者計画    (3) 社会資源の状況  基幹相談支援センター 直営9か所、委託15か所  指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所 市町村から障害者相談支援事業の委託を受けている事業所 63か所  市町村から障害者相談支援事業の委託を受けていない事業所 368か所  権利擁護センター 直営1か所  障害者虐待防止センター 直営47か所、委託7か所    3.2.2 障害者差別の解消に向けた相談体制  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  平成18年に障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例(以下、障害者条例)を制定し、障害のある人もない人も誰もがお互いの立場を尊重し合い、支え合いながら安心して暮らすことのできる社会を実現するという理念のもと、地域に根差した相談員が第三者的な立場から関係者への説明・助言・調整・紹介等を行うこととしている。 p60   (2) 相談体制構築の経緯  千葉県の障害者条例は、障害を理由とした差別の解消に関する全国初の条例であり、平成18年に成立、平成19年より施行された。本条例において相談体制の規定があるため、条例施行と同時に相談業務も開始した。    (3) 相談の実施体制  1) 行政の庁内体制  障害者条例は健康福祉部障害者福祉推進課が所管しており、担当職員は常勤の県職員3名(保健師1名・一般行政職2名)である。条例の施行開始時点では、社会福祉士2名、保健師1名、行政職4名の計7名の職員が配置されていたが、徐々に職員数が減少し、現在の体制となっている。なお、庁内の担当職員数が減少した要因の1つとして、相談件数が減少したことがある。また、以前は障害福祉課の職員として駐在していた広域専門指導員の所属を各健康福祉センター(保健所)及び障害者相談センターとし、相談体制の主体が本庁全体から出先機関に移行したことの影響も大きいと考えられる。    2) 相談員の配置状況  県内16の障害保健福祉圏域ごとに非常勤の相談員として広域専門指導員を1名ずつ、計16名を各保健所、各障害者相談センターに配置している。広域専門指導員は障害者条例に基づき設置されるものであり、担当圏域を構成する市町村長からの推薦と、地方自治法上の附属機関である障害のある人の相談に関する調整委員会の承認が必要となる。また、地域相談員として535名(令和3年3月1日時点)が、地域に根差した相談員として相談業務を担当している。地域相談員は身体・知的・その他(精神・福祉サービス・医療・商品サービス・労働者雇用・教育・建物及び公共交通機関・不動産)の分野に専門知識を有する者より選定しており、その中には、民生委員や人権擁護委員経験者等も含まれる。    広域専門指導員は、当初は本庁直属の職員として各保健所等に駐在する形であったが、勤怠管理の課題等があり、その後各保健所等が直接雇用する形となった。    3) 相談員の業務内容  【広域専門指導員】  障害を理由とする差別相談に関する助言や調整活動、個別訪問等による障害者条例及び障害者差別解消法の周知啓発や、地域相談員への助言・研修を行っている。広域専門指導員は各保健所や障害者相談センターに配置されており、そうした機関の職員と一緒に活動するケースが多い。また、地域相談員と連携して活動するケースもあり、原則として単独で活動することはない。    【地域相談員】  障害を理由とする差別相談に関する助言や調整活動を行っている。 p61   4) 障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況  千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会と障害者差別解消支援地域協議会は、構成メンバーの一部が重複することから、同時開催となっている。それぞれの詳細を以下に示す。    【千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会】  構成員 障害当事者、県議会議員、福祉・医療・雇用・教育・法律その他障害のある人に対する差別の解消について専門的な知識を有する者(18名)  目的 広域専門指導員及び地域相談員の委嘱についての意見具申、差別事案の解決のための助言・あっせん、勧告の実施についての審議等  開催頻度 年1~2回程度  その他 -    【障害者差別解消支援地域協議会】  構成員 千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会の委員に国・地方公共団体等の委員(26名)  目的 具体的な対応事例の共有、広域にわたる事案等、市町村単独で対応が難しい事案のバックアップ等について協議  開催頻度 年1~2回程度  その他 -    【障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり推進会議】  構成員 知事(座長)、障害当事者、障害関係団体や事業者(33名)  目的 個別の相談では解決が難しい、社会的慣習やルールが背景にある差別の問題について議論・周知する役割  開催頻度 年1回程度  その他  〇コミュニケーションに障害のある人への配慮として、「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を策定(1回改訂)し、県庁ホームページにも掲載  〇車いすマークの駐車場の適正利用についても議論し、2021年7月にパーキング・パーミット制度が導入され、車いすマークの駐車場を利用する方に対する駐車許可証発行を実現  〇銀行窓口における視覚障害者の自署代筆の取組も導入され、その後全国に普及    5) 相談体制の全体像  千葉県では、行政(福祉施策所轄部署)の窓口を活用し、相談体制を構築している。相談体制の全体像を図表71に示す。 p62   図表71 相談体制の全体像  千葉県の相談体制は、地域相談員や地域相談員の指導・助言を実施する広域専門指導員と、知事、千葉県障害のある人の相談に対する調整委員会で構築されている。  相談者は、まず地域相談員に相談をする。なお、ここでの相談者は、障害のある人、保護者、関係者だけでなく、差別をしたとされる人も含まれる。相談者は、地域相談員からの説明・助言・調整を受け、必要に応じて地域相談員は、関係行政機関に対し、相談事実の通告や虐待の通報を行う。  相談者が知事に申し立てを行った場合、知事は広域専門指導員に申し立てに関わる調査指示を行い、広域専門指導員は任意の調査を実施する。その上で、知事は千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会に助言、あっせんを付託する。千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会は障害のある人、保護者、関係者や差別をしたとされる人に対し、助言やあっせんを行い、知事に対して是正勧告の進言をし、知事は差別をしたとされる人に対する勧告や、障害のある人、保護者、関係者への訴訟援助を行う。  出所)千葉県 令和元年度活動実績報告書    (4) 相談件数・内容  1) 直近3年間の相談件数の推移  直近3年間の相談件数の推移を以下に示す。  平成30年度 135件  令和元年度 153件  令和2年度 103件    2) 相談件数をカウントする際の軸  以下の項目に分けて相談件数のカウントを実施している。    収集先 障害者施策主管部局や主管部局等、障害者施策主管部局以外の部局(人権主管部局等)、地方公共団体の出先機関  差別の類型 不当な差別的取扱、合理的配慮の提供  事例の内容 性別、年代、種別、場面、相談者種類  事例情報の収集方法 対面、電話、電子メール、文書・郵送  事例の解決情報 解決、継続中、未解決  その他 -    3) 相談件数・内容の年次推移の傾向  令和元年度から令和2年度にかけての相談件数の減少は、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛が要因の1つではないかと考えられる。令和2年度の相談において p63 は、精神障害の方からの相談が最も多く約3割を占め、次いで、視覚障害、肢体不自由の順となっている。精神障害は、毎年相談件数の約3割を占めており、最も多い傾向にある。事業者からの相談もあるが、現状は少ない。差別解消法の改正により、民間事業者の合理的配慮の提供が義務化されていくことになるため、今後は相談件数が増えていくものと考えられる。  相談内容の分類では、令和2年度において最も多かったのは福祉サービスに関する差別相談であり、毎年多い傾向にある。    4) 未解決となった相談事案の件数及びその主な理由  平成19年から令和2年度までに2,432件の相談を受け、239件(9.8%)が不調となっている。費用面の問題や人員配置の難しさ等、様々な理由が挙げられる。相談者の求める合理的配慮が相手方の過重な負担等を理由に行われなかった場合、お互いの状況を理解し合えるように調整を試みるが、相談者から理解を得られなかったこと等の事例がある。不調案件について、国や所轄省庁等への報告・相談等は実施していない。    (5) 障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  1) 障害者からの相談  以下の段階に分けて相談対応を実施している。  ①地域相談員及び広域専門指導員が相談受付・内容の把握  ②ケース検討会議を開催して取組方針の検討  ③双方からの事情を確認(相談者からの合意の上で実施)  ④対応方針を検討し、助言・調整案の提案  ⑤双方に対し、助言・調整  ⑥合意、合意が困難な場合は調整委員会へ助言・あっせんの申し立て  ⑦活動結果の評価    ②ケース検討会議の開催 や⑤助言・調整 を行う際は、必要に応じて関係機関(市町村や中核地域生活支援センター※等)が同席する場合がある。  令和元年度の相談件数(97件)について相談先の内訳を見ると、広域専門指導員が55件、県障害者福祉推進課が16件、保健所が11件、市町村が7件、県の障害者相談支援センターが2件、中核地域生活支援センターが2件、地域相談員が2件、その他2件となっており、地域相談員への相談件数は少ない。現状では、県庁等が受け付けた相談について、広域専門指導員が適任の地域相談員に協力を依頼して一緒に活動していく形になっている。調整委員会への助言・あっせんの申し立てが行われたケースは、平成19年7月~現在までで8件である。  ※中核地域生活支援センター:児童、高齢者、障害のある人といった対象者種別にとらわれず、福祉全般にわたる相談に365日、24時間体制で応じ、速やかに適切な機関への連絡・調整などの必要な活動を行う。千葉県独自の取組として、健康福祉センター(保健所)の所 p64 管区域ごとに設置している。    2) 事業者からの相談  以下の段階に分けて相談対応を実施している。    ①地域相談員及び広域専門指導員が相談受付・内容の把握  ②ケース検討会議を開催して取組方針の検討  ③双方からの事情を確認(相談者からの合意の上で実施)  ④対応方針を検討し、助言・調整案の提案  ⑤双方に対し、助言・調整  ⑥合意、合意が困難な場合は調整委員会へ助言・あっせんの申し立て  ⑦活動結果の評価    差別解消法や県条例に係る事業者の認知の状況については、具体的な調査を行っていないため詳細は把握していないが、十分とは言えないと感じる。事業者への周知啓発・研修等については、具体的な検討はこれからであるが、ガイドラインや対応要領の周知などについては更に情報発信していきたい。    (6) 関係機関との連携  1) 相談体制の構築・運用における関係機関との連携状況  障害者差別に関する相談の内容に応じて、県内市町村、中核地域生活支援センター、障害者就業・生活支援センター等と連携している。相談者や関係者が様々な機関にすでに相談しているケースでは複数の機関と連絡を取り合いながら、役割分担等を話し合い、調整活動等を進めていく。連携に当たっては、普段から広域専門指導員が各種会議等に積極的に参加するとともに、適宜連絡を取り合い対応する。  広域専門指導員の人選に際して市町村長の推薦を条件としているため、市町村が人選に関わっている。市町村が関係する案件については、相談者の同意を得た上で、市町村と協力して対応している。広域専門指導員が市町村の地域支援協議会に同席するなどして、日常的に市町村との関係を深めている。    (7) 相談機関へのアクセス向上方策  1) 相談窓口へのアクセス向上方策(障害者向け)  相談窓口を記載したパンフレット等に音声コードを添付し、視覚障害のある人でも相談窓口や連絡先が分かるようにしている。地域相談員については、県民への周知があまり進んでおらず、相談者から地域相談員への相談は少ない傾向にある。相談者が相談しやすい環境づくりのために地域相談員の活用方法や周知について検討していく必要がある。 p65   2) 相談窓口へのアクセス向上方策(事業者向け)  広域専門指導員が県内の事業所を訪問し、相談先が記載された広報媒体(パンフレットやチラシ)の配布、法律や条例の概要の説明等を行っている。現在は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から事業所への訪問は控え、広報媒体(パンフレットやチラシ)を郵送することで相談先等の周知啓発を図っている。    3) 意思疎通支援に関する工夫、課題  障害のある人と情報のやりとりをする際にどのような配慮を行うべきか示した「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を策定し、活用することで障害のある人それぞれの特性に応じた配慮を実践している。  新型コロナウイルス感染拡大防止と日常生活の両立のため、「新しい生活様式」の実践(マスクの着用等)を県民や事業者に依頼しているが、障害特性によりマスクを着用しているとコミュニケーションがとりづらくなること(例:聴覚障害を持つ人は相手の口の動きを見て情報を把握するため、マスクで口の動きが見えなくなるとコミュニケーションが困難)や身体的距離の確保がうまくできない(例:視覚障害を持つ人はスーパーマーケットのレジに並ぶ際に前後の距離を認識することが困難)、知的障害を持つ人はマスクの着用が難しい、など、生活のしづらさや不安を抱えているとの声がある。そういった方たちの生きづらさや不安を解消するための、感染対策とコミュニケーション手段の確保を両立させる方法については課題である。    4) ICT活用に関する工夫、課題  障害者条例相談専用のメールアドレスがあり、電子メールでも相談を受け付けている。関係機関とケース検討会議を行う際、オンライン会議の活用を検討していくことが課題である。    (8) 相談対応に係る人材の確保・育成  1) 相談対応に係る人材の確保・育成の取組  広域専門指導員等連絡調整会議を毎月開催しており、実際にあった相談事例の対応等について検討している。新任の広域専門指導員に対する研修は行っていないが、条例や制度の理解に関する新任研修等は今後必要となる可能性がある。広域専門指導員に求められる資質としては、障害者の特性を理解していること、障害者・事業者双方との調整能力があること、が挙げられる。双方の争いごとを調停するため、双方から信頼される人間性も求められる。  地域相談員への研修は年1回行っており、各圏域の広域専門指導員が企画・運営を行っている。内容は毎年広域専門指導員が考え、テーマ等によっては外部講師を依頼して実施する。   p66  2) 相談対応に係る人材の確保・育成の課題  広域専門指導員は資格等が必須ではないものの、業務内容を鑑み、社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を所持していることが望ましい。しかし、広域専門指導員が退職等の理由で欠員となった際、地域によってはそのような資格を持つ後任の広域専門指導員を見つけることが難しい場合がある。また、最近では対応に苦慮する困難事例が増加傾向であることから、そういった事例に対応できる人材を育成していくことが課題である。    (9) 障害者差別の解消に向けた相談体制の構築  1) 相談体制の構築を円滑に進めるために必要なこと  障害者差別解消法が制定され、市町村にも相談窓口が設置されたことから必要に応じた相談事案の共有や関係機関を含めた相談体制のネットワークづくりが必要である。体制の構築を円滑に進めるためには、障害者差別解消支援地域協議会等での連携が必要である。また、障害のある人に対する差別の解消について理解を促すための周知活動を通し、相談窓口を周知することが必要である。    2) 相談体制の構築を進める上での課題、その他自由意見  相談体制を構築するために、県と市町村の障害者差別解消支援地域協議会の活性化が必要だが、市町村によって規模や相談件数等が異なり、未設置となっている地域や差別相談がない地域との関わり方が課題である。    国に対する要望としては、法改正に伴い民間事業者の合理的配慮の提供が義務化されたため、合理的配慮の具体例を示して頂けるとよい。    3.2.3 事例の収集・共有の仕組  (1) 事例の収集の現状  1) 収集・共有する事例の選定  相談者から差別を受けたという相談すべてを収集している。共有する際は、事例を共有することについて同意書を記載いただき、同意が取れた事案について共有している。    2) 収集している事例において取得している情報  収集している事例において、取得している情報を以下に示す。    事例の分類 不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供  事例の内容 性別、年代、種別*1、場面*2、内容、経緯、背景、相談者種類  *1障害の種別 視覚障害、聴覚・言語障害、盲ろう、肢体不自由、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害、難病に起因する障害、重症心身障害  *2事例が生じた場面 行政・公共施設、教育、医療・福祉、雇用・就業、交通・移動  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の収集方法 対面、電話、電子メール、紙文書・郵送  その他 記載なし p67   3) 事例の収集先  市町村や教育庁、県警、広域専門指導員を配置している保健所、障害者相談センターから事例を収集している。    (2) 事例の共有の現状  1) 共有している事例における共有情報  共有している事例における共有情報を以下に示す。    事例の分類 不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供  事例の内容 性別、年代、種別*1、場面*2、内容、経緯、背景、相談者種類  *1障害の種別 視覚障害、聴覚・言語障害、盲ろう、肢体不自由、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害、難病に起因する障害、重症心身障害  *2事例が生じた場面 行政・公共施設、教育、医療・福祉、雇用・就業、交通・移動  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の収集方法 文書ファイル、電話、電子メール、紙文書・郵送  その他 記載なし    2) 事例の共有先  事例の共有先は、各市町村や障害者が関わりあう部署、障害者差別解消支援地域協議会や保健所、障害者相談センター等である。各市町村には、広域専門指導員活動報告書を送付し、事例の共有をしている。また、障害者に関わりがある部署、健康福祉部、商工労働部、教育庁に広域専門指導員活動報告書を送付し、事例の共有を図っている。  障害者差別解消支援地域協議会では、広域専門指導員活動報告書に記載されている事例の紹介をするとともに、委員で共有したい事例について選定し、共有している。なお、保健所、障害者相談センターに広域専門指導員を配置しているため、相談事案全てについて報告を受け、共有している。現在は国との事例の共有が行えていないが、今後要請があれば協力していきたい。    3) 収集した事例の共有にあたっての考え方・工夫  個人を特定されないよう配慮することを前提として事例を共有することについて同意書を記載いただき、同意を得た事例についてのみ共有している。事例の共有にあたり、今後の相談活動の参考になるよう、相談分野、類似事例の有無、具体的対応等調整活動の妥 p68 当性などを勘案し、共有事例として選定している。    3.2.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組  広域専門指導員が県内にある事業所や学校等の施設を訪問し、広報媒体(チラシやパンフレット等)を用いて法律や条例の概要を説明している。最近では、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から事業所等への訪問は控え、郵送などの方法で広報媒体を送付して周知啓発を図っている。また、県内の商業施設において、相談先などが記載されたカード入りポケットティッシュを来場者向けに配布している。県の職員(新規採用、新任管理職)に向けては、研修を毎年実施し、法律や条例の概要について説明を行っている。 p69   3.3 長野県上小圏域  3.3.1 自治体の基本情報  (1) 基本データ  人口 155,223人  世帯数 68,446世帯  面積 552?  障害福祉サービスの利用者数(実数)(令和3年4月) 1,374人  障害児給付費の利用者数(実数)(令和3年4月) 286人  障害者手帳所持者数(令和3年4月1日現在)  全体  身体障害者手帳 6,156人  療育手帳 1,677人  精神障害者保健福祉手帳 1,969人  うち65歳以上  身体障害者手帳 4,694人  療育手帳 157人  精神障害者保健福祉手帳 400人    (2) 地域の特徴(地域特性、産業等)  水と緑が豊かであり、高い技術力を持つ製造業が盛んな地域である。温泉や観光地も点在しており、「信州の鎌倉」と呼ばれている。塩田平は昨年6月に「レイラインがつなぐ「太陽と大地の聖地」~龍と生きるまち」として日本遺産として登録された。図表72に、上小圏域の地図を示す。  図表72 上小圏域の地図  長野県上小圏域は、長野県の北東部に位置し、上田市、東御市、青木村、長和町、坂城町で構成される圏域である。  出所)上田地域広域連合,「広域連合の紹介」, http://www.area.ueda.nagano.jp/?page_id=78, (参照:2021/9/22)    (3) 社会資源の状況  基幹相談支援センター 直営0か所、委託1か所(委託先:上小圏域基幹相談支援センター)  指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所 市町村から障害者相談支援事業の委託を受けている事業所 27か所  市町村から障害者相談支援事業の委託を受けていない事業所 26か所  権利擁護センター 権利擁護センターの機能を持つ機関:直営4か所 (上田市・東御市・長和町・青木村の障害福祉担当課)  障害者虐待防止センター 直営1か所、委託1か所(委託先:上小圏域基幹相談支援センター(窓口)) p70   3.3.2 障害者差別の解消に向けた相談体制  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  法律施行に向けては、障害者理解の周知・啓発が重要であることを協議会で共有し、パンフレットの作成と全戸配布、コンビニや医療機関等への周知活動展開を行っている。障害者虐待防止センターとして、上田市障がい者支援課の窓口において相談対応を行っていることから、市民からの差別解消に係る相談窓口も同様に上田市障がい者支援課とした。  図表73 上小圏域 パンフレット(一部抜粋)  上小圏域では「障がいを知り、誰もが暮らしやすい地域を作ろう」と題したパンフレットを作成している。パンフレットでは、障害のある人、社会的障壁を定義したうえで、障害のある人の生きにくさを知り、差別的な取り扱いをせず、障壁を取り除く配慮を呼び掛けている。また、障害者差別解消法についても説明している。また、具体的な障害の症状や困りごと、配慮やサポートのポイントを紹介している。  出所)上小圏域 圏域版リーフレット   p71  (2) 相談体制構築の経緯  障害者差別解消支援地域協議会において、障害者差別解消法施行に向けた相談体制構築を重要なメインテーマとして事業計画に盛り込んだことから、具体的議論を開始した。法施行1年前より、障害者差別解消支援地域協議会内に設置した障がい者の権利擁護委員会の議題に相談体制構築を据えた。障がい者の権利擁護委員会では、障害当事者と支援機関などの合同会議を重ね、共通パンフレットを作成し、相談窓口も計画化した。圏域4市町村には相談窓口を設置し、紛争解決の仕組みを作ったうえで、相談事案の協議・検討・共有の場として、障害者差別解消支援地域協議会の権利擁護委員会が設置されている。    (3) 相談の実施体制  1) 行政の庁内体制  上田市障がい者支援課(本庁・丸子自治C・真田自治C・武石自治C)が所管し、担当職員として常勤(27名、このうち社会福祉士2名、精神保健福祉士1名)・非常勤(8名)、社会福祉士(2名)、精神保健福祉士(1名)、社会福祉主事(23名)が業務にあたっている。    2) 相談員の配置状況  障害者差別解消に関する特別な職員の配置はなく、行政の庁内体制に記載された35名が対応している。また、市のケースワーカー及び委託先である基幹相談支援センターの相談支援専門員(10名:社会福祉士・精神保健福祉士・言語聴覚士・保育士など)も相談対応にあたっている。    3) 相談員の業務内容  【長野県】  長野県健康福祉部障がい者支援課内に、広域支援相談員として非常勤の専門員を1名配置し、長野県内の相談受付及び市町村障害福祉課との連携などによる解決に向けた取組を行っている。    【上田市】  相談受付・解決に向けた取組・必要な場合の紛争解決を行っている。市町村直営の紛争解決の仕組みと、それを共有し協議する障害者の自立支援協議会の図を図表74に示す。 p72  図表74 支援フロー図  上小圏域での支援フローを示す。  上小圏域では、不当な差別や不利益な取り扱いに関する相談、行政相談や生活困窮者相談、人権相談、法律相談、消費生活相談、家庭相談などの多様な相談を市町村窓口で一元的に受け付ける。この際、構成機関への相談も市町村窓口へ一元化している。ここでの構成機関とは、法務局、公共職業安定所、渉外担当、健康推進、消費生活、教育、当事者、家族、PTA、相談支援、事業者、民児協、医療、商工、交通、弁護士、人権擁護、学識を指す。  相談を受けた市町村窓口は、相談窓口のあっせんや相談窓口の紹介、紛争解決に向けた調整を行い、障害者差別解消法第12条、22条に基づき、主務大臣、公安委員会、県知事、市町村長によるチームでの対応を行い、助言や指導、勧告を行う。  実務者会議では、以下4つについて取組を実施する。  ①各市町村の実態把握、情報収集、困難案件の協議  ②困難案件の協議  ③紛争の防止、解決に向けた協議、それぞれの機関の情報交換  ④取組の共有、分析、研修啓発、発信  代表者会議では、以下3つについて取組を実施する。  ①運営方針の検討  ②政策提言、研修啓発の企画決定  ③関係機関への情報の提供、意見の表明、協力要請  なお、代表者会議は、構成機関と相談・連携・参画しながら進められる。  在宅福祉サービス連絡会やケアマネージメント連絡会、施設連絡協議会、主任者会やケア会議から寄せられたニーズや課題、困難ケースへの対応として、療育部会、権利擁護部会、発達専門部会、就労専門部会、地域生活移行部会、人材育成専門部会、重心ワーキングがある。これらを束ねる事務局会は、総合センター専門部会担当・事務局員により構成される。  事務局会の上部組織として運営委員会があり、市町村担当係長・保健福祉事務所係長、総合支援センター等により構成される。運営委員会では、各専門部会の内容検討及び集約/本会運営内容の検討が行われる。さらに上部組織として設置されている広域設置の全体会(本会)は、市町村障がい福祉課長、関係団体、当事者団体、総合支援センター等により構成される。  出所)2017年度 障がい者自立支援協議会 本会資料    4) 障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況  【上小圏域 障がい者自立支援協議会 本会】  長野県は、圏域ごとに自立支援協議会を設置する特徴がある。上小圏域の障がい者自立支援協議会では、年度末に圏域内の相談案件の報告が行われている。平成24年度の障害者虐待防止法の施行に伴って、虐待防止のフローを圏域の中で作成した。そのフローを活用する形で、市町村窓口と基幹相談支援センターで相談対応をしている。具体的な相談対応は市町村それぞれの状況に応じて行われるが、圏域の権利擁護委員会に事案を上げて検証を行うだけでなく、年3回実施される本会(医療・教育・福祉・就労等の分野の代表計60名ほど)で状況報告を行っている。上小圏域 障がい者自立支援協議会 本会の詳細を以下に示す。    構成員 上田市立長野大学教授(座長)、市町村課長・医療機関・特別支援・校長会・就労(労働局)・支援関係機関代表・当事者会市町村代表・県保健福祉事務所・基幹相談支援センターなど(計50名程度)  目的 市町村相談実績及び相談内容・対応内容の報告と検証を実施。本会(差別解消協議会)に報告し周知を図っている  開催頻度 年3回(5月、10月、3月)  その他 障害者差別解消支援地域協議会機能を兼ねる p73   5) 相談体制の全体像  障害者総合支援法の基幹相談支援センターを活用しており、基幹機能が全ての項目と連動した機能となっている。図表75に組織体制図を示す。就労関係としてハローワークも自立支援協議会に参画しているが、事業者団体の参画は今後の課題である。運営委員会はほぼ毎月開催されているほか、市町村の担当係長と基幹相談支援センター事務局が集まる会議は月数回開催されている。そのため、関係者が頻繁に話し合いを重ねる体制が構築されている。  図表75 相談体制図  上小圏域障がい者自立支援協議会は3層構造となっている。  第1層として、本会と称する全体会・代表者会議と称する障害者差別解消地域協議会がある。この層は広域設置に関するものであり、上小圏域にもそれぞれ設置されている。なお、これらの組織は市町村福祉課長・関係団体・当事者団体・障害者総合支援センター等により構成される。  本会は年に3回開催される。  第2層として運営委員会・権利擁護委員会がある。これらは市町村福祉係長と上田保健福祉事務所係長、基幹相談支援センターや就業・生活支援センターといった障害者総合支援センター等で構成される。  ここでは、各専門部会の内容検討及び集約や本会運営内容の検討が行われる。  運営委員会は適時開催であり、第6期障害福祉計画推進プロジェクトとして、地域生活支援拠点整備等が行われている。設置されている委員会としては、緊急ショートステイ運営委員会、相談支援体制整備検討委員会、医療的ケア児等支援連携推進委員会、地域包括ケアシステム検討委員会がある。  第3層として事務局会議があり、障害者総合支援センター専門部会担当・事務局員で構成される。  事務局会議の専門部会として、療育・発達専門部会、地域生活移行専門部会、就労支援専門部会、生活支援専門部会、人材育成専門部会がある。  事務局会議は適時開催である。  なお、ニーズ・課題・困難ケース等は、在宅福祉サービス連絡会、ケア会議、施設連絡協議会、ケアマネジメント連絡会が障害者自立支援協議会にあげる。    出所)2021年度開催 障がい者自立支援協議会 運営委員会本会報告資料  圏域内市町村の福祉係長が5つの専門部会の部会長を担っている。事務局は基幹相談支援センターが担当しており、例えば就労支援部会の事務局には障害者就業・生活支援センターも参画している。就労支援部会の取組では、ハローワークとも連携している。そのため、就労している障害者への対応については、就労支援専門部会において具体的な議論が行われるようになっている。また、発達障害については療育・発達専門部会で議論されるようになっている。それぞれの部会長と基幹相談支援センター事務局員は、日常的にコミュニケーションをとっており、月1回開催される事務局会議では、本会内で差別解消地域協議会機能として、状況報告・検証を行っている。ただし、いずれの部会も合理的配慮や差別解消に特化した議論は行わないため、特化した組織を立ち上げる必要性を感じている。    (4) 相談件数・内容  1) 直近3年間の相談件数の推移  平成30年度 1件  令和元年度 3件  令和2年度 2件 p74  2) 相談件数をカウントする際の軸  以下の項目に分けて相談件数のカウントを実施している。  収集先 -  差別の類型 不当な差別的取扱、合理的配慮の提供  事例の内容 障害種別、相談者の状況  事例情報の収集方法 -  事例の解決情報 -  その他 -    3) 相談件数・内容の年次推移の傾向  現段階では相談件数の年次推移分析には至っていない。不当な差別的取扱いに関する相談については、一般市民において障害者や盲導犬に対する理解が十分でないがゆえに大変失礼な、差別的な対応をされた、という内容の相談が主であった。合理的配慮に関する相談については、当事者及び当事者の家族から、一般市民・社会に対する合理的配慮への働きかけの訴えが主であった。    4) 未解決となった相談事案の件数及びその主な理由  基本的に、相談を受けた事案については解決に至っており、相談後に相手方に丁寧な説明を行うことで理解を求める対応をすることで終結している。    (5) 障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  1) 障害者からの相談  以下の段階に分けて相談対応を実施している。なお、相談者が一般の場合・自治体の場合ともに対応は共通である。    ①行政相談で相談を受け付け  ②管理職(上司)報告・課内検討  ③相談者及び対応者へのアクセスと事実確認  ④解決に向けた対応者への説明と合意  ⑤相談者に回答  過去の事例においては、相談対応の職員が該当の公共機関に出向いて、合理的配慮の取組の徹底を依頼し、2か月後に確認も実施した。    2) 事業者からの相談  以下の段階に分けて相談対応を実施している。    ①行政相談で相談を受け付け  ②管理職(上司)報告・課内検討  ③相談者及び対応者へのアクセスと事実確認  ④解決に向けた対応者への説明と合意  ⑤相談者に回答 p75   (6) 関係機関との連携  1) 相談体制の構築・運用における関係機関との連携状況  障害者差別に関する学びの機会も少なく、自己流的な発想で捉えている事業所も多いため、管理者を含めた障害者差別解消法の理解及び障害特性を含めた障害者理解の浸透が課題と考える。よって、相談案件が出た際には丁寧なコミュニケーションを取り、支援会議等に基幹相談支援センターも同席して内容の把握と解決方法を検討することとしている。  県との連携については、障害者の権利擁護を考える委員会を全ての圏域で設置し、圏域ごとの権利擁護委員会が県の自立支援協議会に参画して議論する形となっており、差別解消に関する情報共有や検証も共同で実施している。ただし、全ての圏域で差別解消地域協議会の組織が設置されているわけではない点が課題である。県は平成16年から各圏域に相談窓口の体制を整備し、また、自立支援協議会も圏域ごとに設置しており、圏域全体で一つの方向を目指している。    (7) 相談機関へのアクセス向上方策  1) 相談窓口へのアクセス向上方策(障害者向け)  相談の入口として、電話相談窓口を明確化し、パンフレットおよび市のHP等で周知している。相談窓口の開設時間は、障がい者支援課の窓口受付時間と同様とし、必要に応じて相談のアウトリーチも実施している。平成18年の市町村合併以降は、本庁以外の身近な自治センターでも相談受付が出来る体制を取っている。新型コロナウイルス感染症対応での特例的な対応は現在行っていない。    2) 相談窓口へのアクセス向上方策(事業者向け)  相談の入口として、電話相談窓口を明確化し、パンフレットおよび市のHP等で周知している。相談窓口の開設時間は、障がい者支援課の窓口受付時間と同様とし、必要に応じて相談のアウトリーチも実施している。平成18年の市町村合併以降は、本庁以外の身近な自治センターでも相談受付が出来る体制を取っている。新型コロナウイルス感染症対応での特例的な対応として、必要に応じてオンライン会議での相談を受け付けている。    3) 意思疎通支援に関する工夫、課題  上田市において手話言語・情報コミュニケーション条例を制定している。この条例に基づき、相談窓口における意思疎通支援については、市町村窓口に手話通訳士を配置しているほか、基幹相談支援センターにも手話通訳士の相談支援専門員を配置しており、電子メールやSNSでの相談対応や、コミュニケーション支援アプリ・遠隔手話通訳システムを p76 導入するなど、IT機器の活用にも取り組んでいる。また、筆談への対応、障害特性に配慮した説明資料(点字・点訳の広報など)の活用などの対応を実施している。一方で、突然の来所相談では、即時に対応の体制が整わない場合がある点が課題である。    4) ICT活用に関する工夫、課題  一部の基幹相談支援センターにおいて、メール相談・SNSでの相談・TV電話・オンライン会議を活用している。一方で、当事者が活用できるかという点や、行政の受信方法や庁舎内全体のセキュリティは課題である。    (8) 相談対応に係る人材の確保・育成  1) 相談対応に係る人材の確保・育成の取組  毎年度初めに、障がい者虐待防止研修とともに、行政担当者と基幹相談支援センター合同研修会を夜間に企画開催している。    2) 相談対応に係る人材の確保・育成の課題  行政担当者は異動により経験値の高い人材が継続して相談対応を担うことができないため、基幹相談支援センターとの連動や研修会の継続を図っている。権利擁護委員会を開催する中で、職員向けに虐待防止の研修は行っているが、差別解消についての研修も毎年開催できるとよい。差別解消のマニュアルはあるが、職員ごとに認識にばらつきがあるため、国から差別解消のマニュアルが示されれば活用していきたい。    (9) 障害者差別の解消に向けた相談体制の構築  1) 相談体制の構築を円滑に進めるために必要なこと  障害者の権利擁護相談支援についての担当者レベルの研修機会づくりが必要である。    2) 相談体制の構築を進める上での課題、その他自由意見  市町村の窓口と基幹相談支援センターだけでは全ての相談をすくい上げることは難しいため、相談窓口は今後さらに増やしていく必要がある。相談体制の構築にあたり、一定の質の担保がとれる相談体制モデルがあれば目標に向かいやすい。障害者差別の予防的な取組を行う上では、自立支援協議会の様々な専門部会で周知活動や勉強会が開催されている。しかし、障害者への理解は子どもの時期から行っていく必要があるため、教育カリキュラムに組み込んでいくことが重要である。 p77   3.3.3 事例の収集・共有の仕組  (1) 事例の収集の現状  1) 収集・共有する事例の選定  圏域の自立支援協議会への差別解消相談の報告義務を設け、かつ対応に関する検証の機会を事務局で毎年継続している。    2) 収集している事例において取得している情報  以下に事例の収集の際に取得している情報と、収集のための報告書を示す。    事例の分類 不当な差別的扱い、合理的配慮の不提供  事例の内容自由記述形式で記載(含む種別*1、場面*2)  *1障害の種別 視覚障害、聴覚障害、盲ろう、肢体不自由、知的障害、発達障害、難病、その他  *2事例が生じた場面 自由記述形式で記載  対応内容等 自由記述形式で記載  事例の収集方法 -  その他 - p78  図表76 障害を理由とする差別に関する報告(報告書)  障害を理由とする差別の禁止に関する報告書では、相談を受けた市町村名、相談者の障害種別、相談者の状況、相談内容、相談の対応状況を記載する。  相談者の障がい種別の記載例としては、視覚障がい、聴覚障害、盲ろう、肢体不自由、知的障がい、精神障がい、発達障がい、難病、その他が挙げられている。    出所)2018年度 障がい者自立支援協議会 権利擁護委員会    3) 事例の収集先  事例の収集先は、各市町村の障害者支援課や権利擁護委員会である。    (2) 事例の共有の現状  1) 共有している事例における共有情報  以下に事例の収集の際に取得している情報と、集約のための報告書を示す。    事例の分類 不当な差別的扱い、合理的配慮の不提供  事例の内容 自由記述形式で記載(含む種別*1、場面*2)  *1障害の種別 視覚障害、聴覚障害、盲ろう、肢体不自由、知的障害、発達障害、難病、その他  *2事例が生じた場面 自由記述形式で記載  対応内容等 自由記述形式で記載  事例の収集方法 直営相談窓口において、市町村内での事例を集約し、権利擁護委員会へ書面提出・共有後回収  その他 事例収集の際には、長野県権利擁護センターの専門職のオンライン会議同席等の対応をする場合がある   p79  図表77 障害を理由とする差別に関する報告(集約)  障害を理由とする差別の禁止に関する報告書の集約版では、報告書に記載された事例の件数と、各項目の集計結果を記載するための枠が設定されている。  出所)2018年度 障がい者自立支援協議会(差別解消地域協議会) 本会    2) 事例の共有先  事例は、障害者差別解消支援地域協議会の際に、個人情報は保護した形で、協議会資料として内容を含めた報告を行い、意見交換をしている。    3) 収集した事例の共有にあたっての考え方・工夫  事例の加工は行っていない。報告書へ記載をする際に担当者主観が入る可能性があることから、圏域の協議会の委員会内で共有し、概況の説明や対応検討の振り返りを行った上での資料のため、一部は加筆や修正が入った資料となっている。 p80   3.3.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組  上小圏域のパンフレットは、内閣府から障害者差別解消に係るパンフレットが出された際に作成したものである。当事者団体が協議会の権利擁護委員会に参画し、見える障害・見えない障害がある中で、地域の中でしっかりと合理的配慮が図られるように、障害に対する理解を深める趣旨で作成した。  法施行に際して上田市ではパンフレットの全戸配布や商工会議所等による事業所配布等を行った。また、地域の子どもたちの理解を深めていくために、小中学校において授業カリキュラムの中に権利擁護委員会のイベント、地域のイベント等、障害者理解を深めていくための内容を組み込むようにしている。   p81  3.4 兵庫県明石市  3.4.1 自治体の基本情報  (1) 基本データ  人口 299,623人  世帯数 130,352世帯  面積 49.42?  障害福祉サービスの利用者数(実数)(令和3年4月) 2,457人  障害児給付費の利用者数(実数)(令和3年4月) 1,319人  障害者手帳所持者数(令和3年3月31日現在)  全体  身体障害者手帳 11,213人  療育手帳 3,157人  精神障害者保健福祉手帳 2,873人  うち65歳以上  身体障害者手帳 8,234人  療育手帳 118人  精神障害者保健福祉手帳 集計なし    (2) 地域の特徴(地域特性、産業等)  明石市は、東経135度の日本標準時子午線上に位置しており、瀬戸内海に面し、明石海峡をはさんで淡路島を眼前に臨むことができる。気候は温暖で、古くは万葉歌人柿本人麻呂によって多くの歌が詠まれた風光明媚な地である。さらに、阪神都市圏と播磨臨海地域、そして海を隔てて淡路・四国と結ぶ位置にあり、海陸交通のうえで重要な拠点となっている。  市の東と北は神戸市と接し、西は加古川市、稲美町、播磨町と接している。現在、市の面積は49.42?、周囲は60.4kmです。最長距離は、東西15.6km(海岸線は15.9km)、南北で9.4kmあり、東西に細長いまちを形成している。図表78に明石市の地図を示す。  図表78 明石市の地図  兵庫県明石市の地図を示す。明石市は兵庫県南部に位置し、瀬戸内海に面しており、対岸には淡路島がある。  出所)明石市作成 p82   (3) 社会資源の状況  基幹相談支援センター 委託1か所(委託先:明石市社会福祉協議会)  指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所 市町村から障害者相談支援事業の委託を受けている事業所 27か所  市町村から障害者相談支援事業の委託を受けていない事業所 0か所  権利擁護センター 委託1か所(委託先:明石市社会福祉協議会)※後見支援センター  障害者虐待防止センター 委託1か所(委託先:明石市社会福祉協議会)    3.4.2 障害者差別の解消に向けた相談体制  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  明石市障害者配慮条例の基本理念(第2条)に基づいて実施している。なお、差別をする人を非難することが目的ではなく、差別をした人、された人両者が話し合って、お互いに理解を深め、積極的に合理的配慮がなされるようになることが目的である。明石市障害者配慮条例の基本理念(第2条)を以下に示す。    明石市障害者配慮条例の基本理念(第2条)  ・障害を理由とする差別を解消するに当たっては、障害のある人とない人との権利の平等が、最大限尊重されなければならない。  ・共生社会の実現は、障害を、障害のある人だけの問題としてではなく、障害のない人も含めたすべての人の問題として認識し、相互の違いを理解し、その個性と人格とを互いに尊重することを基本として行われなければならない。  ・障害を理由とする差別の解消は、差別する側とされる側がお互いを一方的に非難することにより行われるべきものではなく、ともに協力し合うことによって実現しなければならない。  ・合理的配慮の提供は、障害のある人が、障害のない人と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを基本として行われなければならない。    (2) 相談体制構築の経緯  平成28年4月の障害者差別解消法施行に合わせて「明石市障害者に対する配慮を促進し誰もが安心して暮らせる共生のまちづくり条例」(通称「障害者配慮条例」)を制定し、 p83 本条例(第11条)に基づき相談体制を構築した。    (3) 相談の実施体制  1) 行政の庁内体制  福祉局生活支援室障害福祉課障害者施策担当が担当しており、担当職員数は4名である。    2) 相談員の配置状況  相談業務は主に障害福祉課障害者施策担当4名(直営、常勤、兼務)で行っている。知識・経験や資格要件等はないが、現在、手話通訳士2名、社会福祉士1名が配置されている。加えて障害者がよく相談に訪れる4機関(基幹相談支援センター、発達支援センター、障害福祉課、地域総合支援センター)で、生活相談等の中で障害者差別相談を受け付けている。    3) 相談員の業務内容  相談業務内容は、障害を理由とする差別の相談受付、関係者への事情聴取・説明及び助言、関係行政機関への通告・通報その他の通知、あっせんの申し立ての支援、その他障害を理由とする差別を解消するために必要な対応である。    4) 障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況  【障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会】  障害者の差別の解消を支援する地域づくり協議会を設置している。詳細を以下に示す。    構成員 18人(障害者3人、学識経験者1人、弁護士1人、社会福祉関係者1人、医療関係者1人、障害者関係団体の代表者4人、事業者の代表者2人(商店会会長・バス協会会長)、関係行政機関の職員1人、公募市民4人)  目的 障害のある人とない人が、ともに支えあい、活かしあうことができる地域社会を実現する  開催頻度年2回程度  その他  所管する事務は、以下の4点  〇あっせん手続き(相談及び助言で解決できない場合)、  〇障害を理由とする差別を解消するために必要な施策について市長に意見を述べる  〇条例の施行状況の検討及び見直し  〇その他障害を理由とする差別を解消するために必要な事務    5) 相談体制の全体像  行政(福祉施策所管部署)の窓口を活用して相談を受けている。相談の流れを以下の図 p84 表79に示す。  図表79 障害者差別相談の流れ  明石市における障害者差別相談の流れを示す。  ①差別をされた障害者や、その代理人からの相談は、庁内窓口である障害福祉課や発達支援課、又は相談機関である基幹相談支援センター、地域総合支援センターが受け付ける。この際、来所又は電話等での相談に応じる。また、相談窓口での受付だけでなく、日常の業務や活動の中での相談についても対応する。  ②障害福祉課障害者施策担当と差別事案にかかわる調整会議を開催し、相談体制を確立したうえで、相談者に対して事案の担当者を決定する。以降、差別事案にかかわる調整会議を、調整会議と称する。  ③事案の担当者が双方から事情を確認する  ④調整会議を開催し、必要に応じて関係機関に出席を要請し、助言・調整案を検討する。  ⑤事案の担当者が双方に対して助言及び調整を実施する。  ⑥合意が得られた場合、終結する。  ⑦合意の形成や調査自体を拒否された場合など、状況を説明したうえで、相談者本人の意思に従い、本人又は代理人が市長に申立て、条例第15条に規定する地域協議会が設置したあっせん部会があっせんを行う。  なお、匿名の相談についても、相談メモで障害者施策担当に事例を報告する。  出所)相談の手引き(明石市作成)    (4) 相談件数・内容  1) 直近3年間の相談件数の推移  平成30年度 3件  令和元年度 18件  令和2年度 6件    2) 相談件数をカウントする際の軸  以下の項目に分けて相談件数のカウントを実施している。  収集先 相談窓口(障害者施策担当、障害福祉課、発達支援センター、基幹相談支援センター、地域総合支援センター)  差別の類型 不当な差別的取扱い、合理的配慮の不提供、複合型、その他  事例の内容 事例が生じた場面(商品・サービス、福祉サービス、建物・施設、交通、住宅、教育、医療、雇用、個人間、その他)  事例情報の収集方法 -  事例の解決情報 相談のみで終了、調整、あっせん申立  その他 相談者(障害のある人、家族、行政職員、事業者、支援者) p85   3) 相談件数・内容の年次推移の傾向  相談件数は、窓口開設初年度の2016年度から年々減少傾向にある。2019年度に、背景に差別が伺われるが、相談者が差別相談とは考えていない案件についての事例把握を行い、一時的に件数が増加した。  相談内容は、本人が調整を望まない場合や、主訴が別の相談で背景に差別が伺われるが、相談者が差別相談とは考えていない案件など、相手方との調整までには至らない案件が多い。傾向についての経年変化は見受けられない。    4) 未解決となった相談事案の件数及びその主な理由  これまで、未解決となった事案が2件ある。市の調整結果を当事者が受け入れられなかったケースと、事業者が提供可能なサービスと当事者が求める配慮に乖離があったケースである。    (5) 障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  1) 障害者からの相談  以下の流れで相談対応を実施している。    ①相談窓口において、来所または電話等での相談に応じる。また、相談窓口での受付だけでなく、日常の業務や活動の中での相談についても対応する。  ②差別事案にかかわる調整会議(以下「調整会議」)では、相談体制を確立した上で、相談者に対して事案の担当者を決定する。  ③事案の担当者が双方から事情を確認する。  ④調整会議を開催し、必要に応じて関係機関に出席を要請し、助言・調整案を検討する。  ⑤事案の担当者が双方に対して助言及び調整を実施する。  ⑥合意が得られた場合、終結する。  ⑦合意の形成や調査自体を拒否された場合など、状況を説明した上で、相談者本人の意思に従い、本人又は代理人が市長に申立て、条例第 15 条に規定する地域協議会(あっせん部会)があっせんを行う。  これまであっせんに至ったケースはなく、自治体職員を相手方とする差別相談についても、一般の相談事案と処理の流れは変わらない。    2) 事業者からの相談  以下の流れで相談対応を実施している。   p86  ①障害者施策担当で相談を受け付け  ②必要に応じて関係機関に協力を求めて対応    (6) 関係機関との連携  1) 相談体制の構築・運用における関係機関との連携状況  必要に応じて関係機関(相手方が事業者であれば、管轄する行政機関、加盟する業界の上部団体等)と連携して対応する。    (7) 相談機関へのアクセス向上方策  1) 相談窓口へのアクセス向上方策(障害者向け)  障害者団体等を通じた差別事例の収集及び相談窓口の周知や、ホームページ、パンフレット等での周知を行っている。パンフレットは、障害のある方についての配慮やポイントなどを分かりやすく記載したものであり、条例の理念や相談窓口の案内についても掲載している。    2) 相談窓口へのアクセス向上方策(事業者向け)  ホームページ、パンフレット等での周知や、合理的配慮の提供を支援する助成制度を利用した事業者にアンケートを実施している。    3) 意思疎通支援に関する工夫、課題  意思疎通のため、わかりやすい言葉での説明を心掛けるほか、設置手話通訳者による手話通訳対応やあかし手話サービス、遠隔手話通訳による対応を行っている。また、窓口での対話支援機器の利用や、必要に応じてテキストデータや点字での情報提供を行っている。  視覚障害のある人からの相談の際、差別された場面での周囲の状況が分かりづらい場合があること、知的障害のある人がとりとめもなく話すなどの場合があり、相談内容を把握するのに時間がかかること、メールでの相談の際、相手の感情や伝えたい要旨が把握しきれないことがあり、どのように返答するかが難しいこと、といった課題意識がある。当事者への説明は、具体的な表現を用いて周囲の状況等を丁寧に伝える必要があると感じている。    (8) ICT活用に関する工夫、課題  あかし手話サービスでの対応や、遠隔手話通訳による対応、ホームページからのWeb問合せ、電子メールを活用している。遠隔手話通訳を行う際、相談者のICT機器の設定の問題により、円滑に通訳できない場合がある。 p87   (9) 相談対応に係る人材の確保・育成  1) 相談対応に係る人材の確保・育成の取組  「障害を理由とした差別」に関わる案件かどうかを判断するスキルを高めるため、図表80に示す研修を実施している。差別相談の手引き(差別相談窓口開設時(2016年)に担当職員が作成)を用いて相談員に周知している。    図表80 差別解消相談員研修実施一覧  明石市で実施された、差別解消相談員研修について示す。  平成28年には、以下の3つの研修が実施された。  ①相談体制の考え方、事例説明等  ②明石市障害者配慮条例の概要と特徴  ③相談事例の事例検討  ①「相談体制の考え方、事例説明等」の講師は弁護士職員と、障害者施策担当課長であり、参加者:27人であった。  ②「明石市障害者配慮条例の概要と特徴」の講師は障害者施策担当課長であり、参加者は27人であった。  ③「相談事例の事例検討」の講師は他市の元行政職員であり、参加者は27人であった。    平成29年には、以下の4つの研修が実施された。  ①各相談窓口の業務内容の共有  ②障害者差別解消法と障害者差別解消条例(基本編)  ③精神障害者について  ④相談面接技術について  ①「各相談窓口の業務内容の共有」の講師は各相談窓口担当者であり、参加者:39人であった。  ②「障害者差別解消法と障害者差別解消条例「基本編」」の講師は障害施策担当課長であり、参加者:22人であった。  ③「精神障害者について」の講師は精神保健福祉士であり、参加者:22人であった。  ④「相談面接技術について」の講師は基幹相談支援センターの社会福祉士であり、参加者は21人であった。    平成30年には、以下の3つの研修が実施された。  ①相談者・関係機関とのやりとりから  ②障害者差別解消法と明石市障害者配慮条例について  ③障害者差別の事例と関係機関の連携について  ①「相談者・関係機関とのやりとりから」の講師は発達支援センターの臨床心理士であり、参加者は23人であった。  ②「障害者差別解消法と明石市障害者配慮条例について」の講師は弁護士職員であり、参加者は40人であった。  ③「障害者差別の事例と関係機関の連携について」の講師は弁護士職員であり、参加者は56人であった。    令和2年には、以下の研修が実施された。  ・障害者差別について考える  「障害者差別について考える」の講師はNPO法人事務局長であり、参加者:29人であった。  出所)明石市障害福祉課作成    2) 相談対応に係る人材の確保・育成の課題  人事異動による知識・経験等の引継ぎが難しい。研修も実施しているが、差別事例に該当するかどうかの判断が難しいケースがある。どこまで配慮すれば合理的配慮となるのか判断は難しい。国による事例の蓄積、開示が望ましい。    (10) 障害者差別の解消に向けた相談体制の構築  1) 相談体制の構築を円滑に進めるために必要なこと  行政職員だけでなく、地域の障害者団体との連携により事業者への合理的配慮に関する助言や日頃の情報交換などができる関係作りが必要である。また、合理的配慮の提供が過重な負担であるかを判断するための基準や、合理的配慮を提供するための公的な支援制度の充実が必要である。 p88   2) 相談体制の構築を進める上での課題、その他自由意見  相談件数が少ない理由に、①相談窓口の周知が不十分②相談しづらい環境(心理的、物理的)③障害者差別に関する意識の醸成が不十分、などが考えられる。相談件数が少ないからよいということではなく、簡単に相談窓口にアクセスできる方法の検討と、相談した障害当事者や事業者が「相談して良かった」と思える環境づくりが重要と考える。しかし、現時点では、事業者の人材不足や環境整備のための予算確保が難しいことから、提案できる改善策が少ない。  障害のある人のニーズも多様であり、一つの方法だけでは改善できないこともある。時間をかけて双方の状況を理解し、建設的な対話を進めていくには、専門的な知識や地域のネットワークが重要と考える。  企業における予防的取組(マニュアルの整備)については、企業規模も様々な中でどのように有効な取組ができるか検討課題である。企業に予防的取組を依頼するためには、相応の予算措置も必要となる。また、現場担当者としては障害者に丁寧に接していきたいと考えていても、経営者としては対応が難しく、経営者と現場担当者の間で認識が異なっている場合があるため、対応が困難である。企業のスタッフは、正社員だけでなく、パート職員・アルバイト職員もいるため、全ての職員に障害者対応研修を受けてもらうことも難しいケースがある。そうした点への対応が重要である。  地域の困りごとがわからないと施策に繋がらないことから、地域の障害のある方へのアンケートや個別ヒアリング、当事者団体との対話を通して、職員がイメージをつかむことが重要である。当事者とともに働くことで、生活を身近に感じ、必要な制度の検討に繋がると考えられる。    3.4.3 事例の収集・共有の仕組  (1) 事例の収集の現状  1) 収集・共有する事例の選定  相談事案を差別相談受付窓口間で収集・共有し、好事例や困難事案等を地域協議会で共有している。    2) 収集している事例において取得している情報  収集している事例において、取得している情報は以下である。また、相談を受けた際の相談受付票と相談メモを図表81、図表82に示す。    事例の分類 不当な差別的扱い、合理的配慮の不提供  事例の内容 性別、年代、内容、経緯、背景、相談者種類  *1障害の種別 記載なし  *2事例が生じた場面 記載なし  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の収集方法 対面、電話、webページ、電子メール、紙文書・郵送  その他 個人情報の部分は加工して、概要として共有している。詳細な検討が必要と判断されれば、相談者本人の同意を得た上で、個人情報も含めて共有している。 p89   図表81 障害者差別解消相談受付票  明石市で使用している相談受付票では、相談者と対象者の基本情報と、相談内容・対応を記載する形式となっている。  対象者の基本情報では、障害者手帳の有無や障害年金、生活保護や介護保険の状況や、利用中のサービス、通院医療機関や病名、調整活動についての意向確認までを記載する。  相談内容・対応では、困りごとや、解決に関する希望を聞き取ったうえで、相手方の情報や言い分を記載する。  また、相談受付票の中に、条例に基づく相談窓口の教示や、障害者施策担当への情報提供の諾否、障害者施策担当からの折り返し電話の可否までの確認欄を設置することで、相談受付後の対応の参考としている。  相談結果の記載欄には、事案の緊急性や継続回数等の状況を選択肢式で記載したうえで、対応結果を記載する形式となっている。  出所)障害者差別解消相談受付票(明石市作成) p90   図表82 障害者差別解消 相談メモ  明石市で使用している相談メモでは、相談者・相談内容・対応について、自由記述形式で記載欄を設定している。  また、相談者の調整の要望の有無や、差別的な対応が見受けられるか、差別事例に該当しないかを選択肢形式で記載する方式となっている。  出所)障害者差別解消 相談メモ(明石市作成)    (2) 事例の収集先  事例の収集先としては、障害者施策主管部局や主幹部局等、障害者差別解消支援地域協議会、事業者、民間団体等がある。障害者施策主管部局や主幹部局等では、相談事例の収集を実施し、障害者差別解消支援地域協議会では好事例の収集を実施している。また、事業者、民間団体等では、明石市障害当事者等団体連絡協議会から差別事例の収集を行っている。    (3) 事例の共有の現状  1) 共有している事例における共有情報  共有している事例における共有情報を以下に示す。  事例の分類 記載なし  事例の内容 場面*2、内容、経緯、背景、相談者種類  *1障害の種別 記載なし  *2事例が生じた場面 相談者から聞き取った内容を記録し、概要を書面で共有している  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の収集方法 文書ファイル、紙文書・郵送  その他 記載なし p91   2) 事例の共有先  事例の共有先は、障害者施策主管部局や主幹部局等と障害者差別解消支援地域協議会である。障害者施策主管部局や主幹部局等には相談事例を共有し、障害者差別解消支援地域協議会では好事例の収集や困難事例について取り扱っている。    3) 収集した事例の共有にあたっての考え方・工夫  事例を共有するにあたり、個人情報等を加工して概要を共有している。対応方法等について協議するとき等、詳細な内容の共有が必要な場合は、本人の同意を得たうえで個人情報も含めて共有している。    3.4.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組  ホームページ、パンフレット等での周知、小学生対象の手話体験教室・バリアフリー教室、市職員、新任教職員への障害理解研修や市民への出前講座等での周知を行っている。また、明石ユニバーサルモニター制度(知的・精神・身体に障害のある明石市民30名にモニターとして登録して頂き、日頃の生活の中で気づいたことや改善が必要なことの意見の提示を受け、具体的な改善事項を検討)の運用や、合理的配慮の支援のための費用助成(対象:飲食店における点字メニューの作成、筆談ボード・ポータブルスロープの購入、手すりの取り付け、段差解消等)を行っている。  また、障害のある人とない人の交流の機会づくりとして、タクシー協会と共同したイベントを開催し、対応を学ぶ機会の設置や、バス会社の協力を受けた、車いすの当事者向けの対応研修を実施している。?   p92  3.5 岡山県総社市  3.5.1 自治体の基本情報  (1) 基本データ  人口 69,739人  世帯数 28,940世帯  面積 211.90?  障害福祉サービスの利用者数(実数)(令和3年4月) 506人  障害児給付費の利用者数(実数)(令和3年4月) 593人  障害者手帳所持者数(令和3年4月1日現在)  全体  身体障害者手帳 2,102人  療育手帳 558人  精神障害者保健福祉手帳 433人  うち65歳以上  身体障害者手帳 1,541人  療育手帳 32人  精神障害者保健福祉手帳 63人   p93  (3) 社会資源の状況  基幹相談支援センター 委託1か所(委託先:総社市社会福祉協議会)  指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所 市町村から障害者相談支援事業の委託を受けている事業所 1か所  市町村から障害者相談支援事業の委託を受けていない事業所 7か所  権利擁護センター 委託1か所(委託先:総社市社会福祉協議会)  障害者虐待防止センター 直営1か所    3.5.2 障害者差別の解消に向けた相談体制  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  総社市では、以前より「全国屈指の福祉先駆都市」を目指している。福祉課では障害に係る施策として、障がい者千五百人雇用事業を担当しており千五百人雇用センターも所管しているほか、障害者施策(サービス)も担当しており基幹相談支援センターを所管している。その他、権利擁護、生活困窮、引きこもり支援も担当している。所管しているセンター等は社会福祉協議会に委託し、専門的な組織が横断的に対応できるような形としている。  相談については、行政だけでなく、関係機関等との連携のもとに、地域の実情を踏まえ、各機関が主体的に取組を推進する。  平成28年4月には、障害者差別解消法の施行に伴って、市職員の対応要領を作成した。対応要領の中では、障害を理由とする差別を解消するための留意事項として、①不当な差別的取り扱いの基本的な考え方、②正当な理由の判断の視点、③不当な差別的取り扱いの具体例、④合理的配慮の基本的な考え方、⑤過重な負担の基本的な考え方、合理的配慮の具体例、を掲載している。 p94   図表84 障害者差別解消法の施行及び対応要領の策定  障がい者差別解消法の施行及び対応要領の策定は平成28年4月1日に施行されている。ここでは、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律である障害者差別解消法に基づき、職員が対応するための要領が設定されている。対応要領の対象者は嘱託・臨時職員も含む総社市職員であり、目的は、法第10条に基づき、法や基本方針に即し、市職員が適切に対応するためのものである。記載内容としては、以下のようなものである。  ・第1条 目的  ・第2条 不当な差別的取扱いの禁止  ・第3条 合理的配慮の提供  ・第4条 監督者の責務  ・第5条 相談体制の整備  ・第6条 研修・啓発    第2条と第3条に記載された、不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供での、障がいを理由とする差別を解消するための職員対応要領に係る留意事項では、以下の6つの内容を明記している。  ①不当な差別的取扱いの基本的な考え方  ②正当な理由の判断の視点  ③不当な差別的取扱いの具体例  ④合理的配慮の基本的な考え方  ⑤過重な負担の基本的な考え方  ⑥合理的配慮の具体例  出所)総社市作成    (2) 相談体制構築の経緯  平成27年当時、進めていた福祉施策を通じて構築されていたつながりをベースに自然と相談体制構築の準備が進んだ。その結果、既存の総社市地域自立支援協議会にその機能を付加することができた。    (3) 相談の実施体制  1) 行政の庁内体制  保健福祉部 福祉課が所管し、常勤2人(内 兼務2人。1人は社会福祉士)が業務を担当している。    2) 相談員の配置状況  配置なし。    3) 相談員の業務内容  設定なし。 p95   4) 障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況  総社市に設置された会議体や各種センターの詳細を以下に示す。    【障害者差別解消支援地域協議会】  構成員 総社市地域自立支援協議会の運営委員  目的 ①対応要領策定の諮問機関としての役割 (平成27年6月~)②差別解消の取組を円滑に行うための役割 (平成28年4月~)  開催頻度 総社市地域自立支援協議会の運営会議に合わせて定例会を開催(年3回)、そのほか必要に応じて随時開催  その他 〇事務局は障がい者基幹相談支援センター、〇連携を組む地域自立支援協議会の事務局を担っている障がい者基幹相談支援センターのほか、障がい者千五百人雇用センター、権利擁護センター、生活困窮支援センター、ひきこもり支援センターをワンフロア(1室)内に整備しており、常時非常時に関わらずワンストップで対応できる体制づくりを行っている    【総社市自立支援協議会】  構成員 70以上の団体機関(家族会・ボランティア・民生委員児童委員・障害福祉サービス事業所・支援学校・ハローワーク・更生相談所・保健所・県民局・総社市各課等)  目的 障害のある方が、総社市で安心して暮らせるよう関係者が話し合う場所、障害者施策を協議し、情報共有できる場所として設置  開催頻度 全体会議1回/年,その他,実務担当者,運営会議,専門部会等のそれぞれ開催  その他 〇事務局は障がい者基幹相談支援センター、〇各種専門部会・プロジェクトチームの連絡会を持ちながら、個別支援会議を開催   p96  図表85 令和3年度の構成  自立支援協議会の令和3年度の構成は、最上位の全体会より、実務担当会議、専門部会・プロジェクトチーム・連絡会、サービス担当者会議・個別支援会議と続く形である。また、運営会議の中に障がい者差別解消支援地域協議会が設置されており、事務局は障がい者基幹相談支援センターが担っている。行政とは、意見・検討にて連携をしながら、協議会から提言を行うという形になっている。  専門部会・プロジェクトチームの詳細を以下に示す。  ・住まいを考える部会  ・ハートフルそうじゃ実行委員会  ・地域生活支援拠点等整備検討プロジェクトチーム  ・医療的ケア児支援体制検討プロジェクトチーム  連絡会の詳細を以下に示す。  ・日中活動事業所連絡会  ・こどもに寄り添う連絡会  ・日中一次支援連絡会  ・療育支援事業所連絡会  ・相談支援事業所連絡会  出所)総社市社会福祉協議会作成    【障がい者基幹相談支援センター】  障がい者基幹相談支援センターの詳細を以下に示す。また、その構成図を図表86に示す。  構成員 センター長1名、社会福祉士1名、発達障がい支援コーディネーター1名(計3名)  目的 専門的な相談や、権利擁護・虐待防止、地域移行・地域定着の業務等  設置時期 平成24年4月  その他 児童の発達や相談支援も展開 p97   図表86 障がい者基幹相談支援センター  障がい者基幹支援センターは、総合相談・専門相談、地域移行・地域定着、地域の相談体制の強化の取組、権利擁護・虐待防止の機能を持つ組織である。また、相談支援事業者や児童発達支援センターといった相談支援事業者との連携も行っている。  総合相談・専門相談では、障害の種別や各種ニーズに対応しており、3障害に対応した総合的な相談支援や、専門的な相談支援を実施している。  地域移行・地域定着では、入所施設や精神科病院への働きかけや、地域の体制整備に係るコーディネートを行っている。  地域の相談支援体制の強化の取組では、相談支援事業者への専門的支援・助言や、相談支援事業者の人材育成、相談機関との連携強化の取組を行っている。  権利擁護・虐待防止では、成年後見制度利用支援事業や、虐待防止に取り組んでおり、通報受理や相談等を実施する市町村障害者虐待防止センターを兼ねることができる。  出所)総社市社会福祉協議会作成    【障がい者千五百人雇用センター】  障がい者の1,000人雇用を目標に掲げていたが、平成29年5月にその目標が達成されたため、同年11月に1,500人の雇用を目標にした。令和3年8月1日現在の就労者数は1,196名である。  障害者と民間企業の仲介を障がい者千五百人雇用センターが担当し、企業を訪問する等のアウトリーチ活動や、障害者の雇用・募集の依頼、賃金アップの依頼等を行っている。また、企業訪問を年に一回実施している。市の仕事としても、ごみの減量化に向けての紙資源の回収の受付を行ってもらう、市内の公園における清掃業務を担当してもらう、等の委託を行っている。特に市民に触れ合う場における業務を障害者団体に依頼している。障がい者基幹相談支援センターの詳細を以下に示す。また、協議会の構成図を図表87に示す。    構成員 障がい者千五百人雇用センターに4名、ハローワーク総社に6名、総社市役所に5名の体制  目的 障害者が就労を通して、生きがいを感じながら安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与すること  設置時期 平成24年4月  その他 支援内容は、登録者に対してマッチングから生活までマンツーマンでサポートの実施、企業など就労先へのアフターケア p98   図表87 障がい者千五百人雇用センター  障がい者千五百人雇用センターは、障がい者が就労を通して、生きがいを感じながら安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的として設置されている。以前は、1000人を目標に掲げていたが、達成したため、現在は1500人を目標に取り組んでいる。障がい者雇用に向けて、障害者就業・生活支援センターと同等の機能を有する障がい者千五百人雇用センターとハローワーク総社、総社市役所の三本の矢で支援を行っている。  出所)総社市作成    【その他組織】  権利擁護センターは平成25年4月に設置された。センター内に設置されている支援検討委員会において様々な問題・課題に対応するとともに、中核機関体制整備WGにおいて成年後見制度や虐待事案の検討などを行っている。障がい者権利擁護支援推進WGでは、障害者の成年後見制度利用促進、虐待に関する予防及び対応を中心に、障害者の権利擁護支援の推進について検討している。2つのWGでは、主に課題の解決に向けた方策を検討している。  生活困窮支援センターは生活困窮への対応が主な業務であるが、生活困窮の事案においても障害者が対象となるケースがあるため、基幹相談支援センターも横の連携の中に位置づけるようにしている。  本来は生活困窮支援の中に位置づけられるものであるが、ひきこもり支援に特化した組織(ひきこもり支援等検討委員会)も設置している。障害があってもなくても社会の中で自立した生活ができるように取組を進めている。    5) 相談体制の全体像  行政(福祉施策所管部署)の窓口や、障害者総合支援法の基幹相談支援センター、障害者差別解消支援地域協議会、障害者自立支援協議会等の会議体、虐待防止センター、権利擁護センター、総社市が独自に設置している「障がい者千五百人雇用センター」、「生活困窮支援センター」、「ひきこもり支援センター」の活用が考えられる。図表88に相談を受けた際のフローを示す。 p99  図表88 相談の流れ  総社市での相談体制を示す。  障がいのある人やその家族、または事業者から、不利益な取り扱いに関する相談を、市役所の各所属部署窓口で受けた際、相談内容を市役所福祉課に集約する。そのうえで、多岐にわたる相談や取組・分析を障害者差別解消地域協議会と行い、障害者差別解消支援地域協議会からは分析結果・紛争解決の後押しを受ける。  障害者差別解消支援地域協議会は、障害団体や警察署、医療機関、基幹相談センター、千五百人センター、権利擁護センター、生活困窮センター、引きこもり支援センターと連携し、これらの対応を実施する。  出所)総社市作成    (4) 相談件数・内容  1) 直近3年間の相談件数の推移  平成30年度 0件  令和元年度 0件  令和2年度 0件    2) 相談件数をカウントする際の軸  差別解消支援地域協議会への直接の相談を件数としてカウントしている。連携の他機関の支援の中において、相談が必要な案件は情報共有等により相談につなげている。    収集先 障害者施策主管部局以外の部局、地方公共団体の出先機関  差別の類型 -  事例の内容 -  事例情報の収集方法 -  事例の解決情報 -  その他 -    3) 相談件数・内容の年次推移の傾向  相談実績なし。    4) 未解決となった相談事案の件数及びその主な理由  特になし。   p100  (5) 障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  1) 障害者からの相談  基幹相談支援センター、障がい者千五百人雇用センター、権利擁護センターなどが、障害者に寄り添う中で、日頃から差別解消の視点をもちつつ支援を実施している。なお、相談がある場合は、以下の段階に分けて相談対応を実施する。  ①障害者差別解消支援地域協議会で集約  ②他機関と連携のうえ、情報収集を実施  ③支援方針の検討・事案の評価、基本的な事案への対応等を実施  また、相談案件がある場合は、障害者差別解消支援地域協議会で集約し、他機関と連携のうえ、情報収集を行い、支援方針の検討・事案の評価、基本的な事案への対応等を行う。    2) 事業者からの相談  基幹相談支援センター、障がい者千五百人雇用センターなどが、定期的に企業や事業所訪問(主に障がい者千五百人雇用センター)等を行う中で、日頃から差別解消や合理的配慮の視点をもちつつ情報交換等を実施している。  なお、相談がある場合は、以下の段階に分けて相談対応を実施する。  ①障害者差別解消支援地域協議会で集約  ②他機関と連携のうえ、情報収集を実施  ③支援方針の検討・事案の評価、基本的な事案への対応等を実施    (6) 関係機関との連携  1) 相談体制の構築・運用における関係機関との連携状況  障がい者千五百人雇用事業などの福祉施策を通じて、様々な機関が連携を図るとともに、総社市地域自立支援協議会により当事者団体をはじめ、家族団体・事業所・支援団体などの関係機関と日頃から「顔」の見える関係が構築されている。そのため、相談のケースに応じて、それぞれの機関が連携し、専門性などを生かした役割分担の下で相互に支援する体制を構築している。    (7) 相談機関へのアクセス向上方策  1) 相談窓口へのアクセス向上方策(障害者向け)  障害者が相談窓口にアクセスするには、窓口の場所、受付時間、受付方法、相談対応者、広報の方法等の課題がある。総社市においては、個々の障害者が日頃から接している関係 p101 機関との連携に基づいており、障害者と関係機関、地域自立支援協議会が「顔の見える関係」であるため、比較的アクセスはしやすい状況であると考えている。    2) 相談窓口へのアクセス向上方策(事業者向け)  事業者は、適切な相談窓口にアクセスしづらい点が課題と考えるが、総社市においては、障害者を雇用している事業所等に対して、日頃から訪問を実施しており、そういった機会を通じて、事業所と関係機関、地域自立支援協議会が「顔の見える関係」づくりに努めている。    3) 意思疎通支援に関する工夫、課題  総社市においては、手話通訳者を嘱託職員として採用するとともに、手話通訳者・要約筆記者の派遣等を行っている。また、ろう者以外でも、精神・知的の障害により、自分の言葉でうまく意思疎通ができない場合は、相談支援を行っている各機関が継続して支援を行うなど、関係機関等と連携を図り、必要に応じて意思疎通支援に係る対応やアドバイス等がもらえる関係を構築している。なお、令和3年4月に手話言語条例を制定している。一方で、すべての方に応じた意思疎通支援を即座に行うことは難しいのが現状であり、様々な連携を生かして可能な限り支援できる体制づくりを行うことは課題である。    4) ICT活用に関する工夫、課題  現在特別な工夫はしていないが、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、迅速な対応が必要な場合等はWEB会議で対応できる体制づくりは行っている。    (8) 相談対応に係る人材の確保・育成  1) 相談対応に係る人材の確保・育成の取組  それぞれの相談において、高度な専門性や知識・経験などが必要であるが、総社市においては、様々な対応を行う各機関に専門知識のある有資格者等を配置し、それぞれが横の連携を取り合うことで幅広く対応することとしている。また、各職員は業務遂行にあたって必要な研修等を受講し、その情報を共有するなどしてスキルアップを図っている。また、年1回は、障害者差別解消法対応要領に伴う職員研修を実施し、人材育成を図るとともに、市役所窓口や施策への反映に向けた取組等での対応力向上につなげている。    2) 相談対応に係る人材の確保・育成の課題  自治体の規模的にも多くの人材を相談対応に充てることは難しい。国から相談事例の提示があれば、今後の運用に活用したい。現状では相談事例が発生していないため、人員の増員は検討していない。   p102  (9) 障害者差別の解消に向けた相談体制の構築  1) 相談体制の構築を円滑に進めるために必要なこと  相談機関を設置するにあたり、構成員となる有識者を新たに招集することは、時間等もかかり、困難である。総社市では、障がい者千人雇用事業などの福祉施策を通じて、当事者団体をはじめ、家族団体・事業所・支援団体などの関係機関と日頃から「顔」の見える関係が構築されていた。また、障害者施策を通じて、市民、職員等が障害者を「知る」ということが無意識にできていたなど、「障がい者雇用」をキーワードに共生社会に関する意識共有が進んでいたため、地域自立支援協議会を中心として、比較的スムーズに相談体制の構築ができたと考えている。    2) 相談体制の構築を進める上での課題、その他自由意見  啓発及び合理的配慮の提供として、特に、課長級(監督者)、新規採用職員への啓発が必要であり、年1回は、研修を実施し、障害の理解を深めている。また、自立支援協議会をはじめとした連携機関、民間企業等を巻き込んだ研修等による啓発や情報共有も重要である。加えて、「顔」の見える関係の継続には、課題意識の共有や障害者施策の継続が必要であり、そのため地域自立支援協議会や障害者雇用等のイベント実施など日頃から連携を密にし、いつでも相談等ができる体制の整備を図っている。  企業に対しても定期的に訪問して意見交換等を行っているため、差別相談の予防につながっているのではないかと思われる。相談体制を構築できていない自治体は、障害を担当している部署が窓口を立ち上げることから始めてもよいのではないかと考える。    3.5.3 事例の収集・共有の仕組  (1) 事例の収集の現状  1) 収集・共有する事例の選定  特になし。    2) 収集している事例において取得している情報  特になし。    3) 事例の収集先  特になし。 p103  (2) 事例の共有の現状  1) 共有している事例における共有情報  特になし。    2) 事例の共有先  特になし。    3) 収集した事例の共有にあたっての考え方・工夫  特になし。    3.5.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組  障害者差別解消法の施行及び対応要領に伴う職員研修の実施や、地域自立支援協議会における情報共有や研修機会の確保を行っている。 p104   3.6 福岡県北九州市  3.6.1 自治体の基本情報  (1) 基本データ  人口 934,130人  世帯数 435,354世帯  面積 491. 69km2  障害福祉サービスの利用者数(実数)(令和3年4月) 9,144人  障害児給付費の利用者数(実数)(令和3年4月) 2,866人  障害者手帳所持者数(令和3年3月31日現在)  全体  身体障害者手帳 47,084人  療育手帳 11,526人  精神障害者保健福祉手帳 9,864人  うち65歳以上  身体障害者手帳 集計なし  療育手帳 集計なし  精神障害者保健福祉手帳 集計なし    (2) 地域の特徴(地域特性、産業等)  北九州市は、九州の最北端に位置する国際産業貿易都市である。  アジア諸国に近いというロケーションを活かし、日本の四大工業地帯のひとつとして近代化を支えてきた歴史がある。世界に誇る環境や産業の技術集積、空港や港湾などの都市基盤を有する一方、長く美しい海岸線や緑豊かな山々など自然にも恵まれた街である。図表89に北九州市の地図を示す。  図表89 北九州市の地図  北九州市は、九州地方の福岡県北部に位置している。  出所)北九州市ホームページ: https://www.city.kitakyushu.lg.jp/kouhou/file_0002.html(令和 p105 4年2月2日)    (3) 社会資源の状況  基幹相談支援センター 委託1か所(委託先:公益社団法人北九州市障害者相談支援事業協会)  指定特定相談支援事業所・指定障害児相談支援事業所 市町村から障害者相談支援事業の委託を受けている事業所 指定特定相談支援事業所 1か所、指定障害児相談支援事業所 1か所、(うち重複 1か所)  市町村から障害者相談支援事業の委託を受けていない事業所 指定特定相談支援事業所 86か所、指定障害児相談支援事業所 64か所、(うち重複 45か所)  権利擁護センター 1か所(実施主体:社会福祉法人北九州市社会福祉協議会)  障害者虐待防止センター 委託1か所(委託先:公益社団法人北九州市障害者相談支援事業協会)    3.6.2 障害者差別の解消に向けた相談体制  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  「差別的取扱い」や「合理的配慮の不提供」が行われた場合に、個別の事案ごとに「正当な理由」や「過重な負担」などの様々な要素を考慮し、民間事業者や行政機関と障害当事者の双方の意見を聞きながら公平・中立な立場で対応を行う。    (2) 相談体制構築の経緯  平成27年7月に障害団体等および指定障害福祉サービス事業者に協力を依頼し、「障害により差別を受けた・いやな思いをした事例」などの調査を実施した結果、約4割が「どこにも相談していない」という回答であった。差別解消法の施行により障害者差別等に対する意識が高まり、これまで埋もれていた相談が多数寄せられる可能性が極めて高いことから、平成28年4月より、専門相談員を配置し、「障害者差別解消相談コーナー」を開設した。    (3) 相談の実施体制  1) 行政の庁内体制  保健福祉局障害福祉部障害福祉企画課が所管し、3名の担当者が対応している。内訳は、係長、職員(臨床心理士、公認心理師)、職員(相談員、社会福祉主事任用資格)である。 p106   2) 相談員の配置状況  直営、常勤、専従の相談員を1名配置している。相談員は社会福祉主事任用資格を持つ生活保護のケースワーカー経験者である。    3) 相談員の業務内容  障害のある人やその家族、事業者、市役所各部局等からの障害者差別に関する相談対応や、障害を理由とする差別事案についての当事者間の調整や助言、市民及び事業者等への啓発(出前講座・研修の企画運営等)、業務に関する書類作成等の一般事務(パソコン操作含む) 等を行う。    4) 障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況  【北九州市障害者差別解消支援地域協議会】  参加者が情報共有・意見交換を行いながら、協議会の方向性を議論している。このような場で相談員と障害者団体の交流も行われている。協議会は、事例のデータベースとしての機能は持っておらず、全ての事例の情報は市が集約し、管理している。ただし、ある程度情報共有を図る必要はあるかもしれない。協議会の場でも、事例の検討は行われているが、年に2~3回かつ、1回あたりの時間も2時間程度と限られているため、1回の協議会の中で3事例程度の検討にとどまっている。昨年度までは、3事業者のみ参画していたが、令和3年度より増加予定である。分散会として、構成員をグループ分けした会議の開催も検討している。会議の詳細を以下に示す。  構成員 学識経験者、法曹、医療・福祉等、教育、支援団体、障害当事者団体、民間事業者、行政など計28名  目的 障害者差別に関する相談等について情報を共有し、障害を理由とする差別を解消するための取組を効果的かつ円滑に行うネットワークを構築する  開催頻度 協議会を年2~3回程度開催。その他、必要に応じて事務局会議等を開催している(令和2年度は事務局会議を14回開催)  その他 〇事務局は市と協力の上、障害関係団体に委託    【北九州市障害者差別解消委員会】  「障害を理由とする差別をなくし誰もが共に生きる北九州市づくりに関する条例」に基づいて設置された市の付属機関として、北九州市障害者差別解消委員会が設置されている。詳細を以下に示す。  構成員 学識経験者、法曹、障害当事者・家族、事業者、相談支援事業者  目的 「障害を理由とする差別をなくし誰もが共に生きる北九州市づくりに関する条例」に基づいて設置された市の付属機関である。障害を理由とする差別に関する事案で、市が相談対応を行ってもなお解決が図られない事案について、障害のある人などからの申立てがあった場合に、当該事案を調査審議し、解決に向けた助言又はあっせんを行う。  開催頻度 申立てがあった場合に開催(開催は設置時の1回のみであり、これまでに申立てによる開催はない)  その他 事務局は、保健福祉局障害福祉企画課が担当 p107   5) 相談体制の全体像  市役所本庁舎内に専用の窓口を設置している。相談体制全体のイメージ図を図表90に示す。    図表90 相談体制の全体像イメージ図  北九州市での相談の流れを示す。  障害を理由とする差別に関する相談は、まずは、「障害者差別解消相談コーナー」で専門相談員が対応する。それでもなお解決が難しい場合には、「北九州市障害者差別解消委員会」による助言・あっせん等を行うことで、問題の解決を図る。  出所)北九州市 障害者差別解消条例パンフレット    (4) 相談件数・内容  1) 直近3年間の相談件数の推移  平成30年度 103件  令和元年度 79件  令和2年度 54件    2) 相談件数をカウントする際の軸  収集先 障害者施策主管部局や主管部局等  事例の分類 分類していない  事例の内容 性別、年代、種別、場面、相談者種類  事例情報の収集方法 対面、電話、電子メール、その他(FAX)  事例の解決状況 事案の顛末は把握しているが、分類はしていない  その他 - p108   3) 相談件数・内容の年次推移の傾向  相談分野として、医療・福祉、行政などが多く、相談が顕著に増えている分野は無い。相談件数は全体的に減少傾向であり、中でも相談が減っている分野は、医療・福祉(平成30年度:27件 令和元年度:20件 令和2年度:10件)、行政(平成30年度:21件 令和元年度:12件 令和2年度:10件)である。全体的に相談件数が減少している理由として、法・条例施行当初は、障害者差別解消についての気運が高かったが、法施行から5年、条例の施行から4年が経過し、落ち着いてきていること、新型コロナウイルス感染症の影響により、周知・啓発の機会が減少したこと、人との接触機会が減少し、トラブルが減少したことが挙げられる。企業からの相談については、令和元年度は13件、令和2年度は0件、令和3年度は1件であった。    4) 未解決となった相談事案の件数及びその主な理由  相談による解決が困難であり、障害者差別解消委員会への申し立てが行われた相談事案は無く、調整の結果、すべて解決に至っている。なお、相談事案の中には、明らかに差別案件ではないものや、事実関係が不明確で、傾聴のみで終わるものが多く含まれる。    (5) 障害者差別の解消に向けた相談事案の取扱いの基本的な流れ  1) 障害者からの相談  以下の段階に分けて相談対応を実施している。    ①相談受付、情報収集(相談員)  ②聞き取りの際に当事者から相手方への介入を求められた場合は、調整活動を実施  ③相談内容を整理  ④係内にて支援方針を検討    調整活動や、他機関への連絡、調整等は相談員が対応する。基本的な事案か、専門的な事案かといった事案の評価については実施していない。  自治体職員を相手とする相談についても、一般の相談と同様である。ただし、合理的配慮や不当な差別的取り扱いの防止は自治体職員にとっては義務であるため、該当の職員に対して研修を行い再発の予防に努めることになる。公共機関の職員の場合でも、再発防止に向けて出前講演を行うようにしている。    2) 事業者からの相談  相談受付から対応まですべて相談員が実施している。状況に応じ係内にて支援方針の検討を行う。事業者からの相談内容としては、障害のある方に対しての対応方法や、障害者 p109 差別解消法・条例の解釈、合理的配慮の提供方法について、実際に起こった事案についての相談など様々であるが、内容を整理し、説明や助言等を実施している。基本的な事案か、専門的な事案かといった事案の評価については実施していない。    (6) 関係機関との連携  1) 相談体制の構築・運用における関係機関との連携状況  障害の特性に応じた対応等の技術的支援については、障害団体等へ相談している。情報の共有については、障害者差別解消支援地域協議会において議題として取り上げ、事例内容について検討している。関係機関との連携については、医療に関する相談であれば保健所(医療安全相談コーナー)、労働の相談はハローワーク、市の保健福祉サービスについての相談は北九州市保健福祉オンブズパーソン事務局等、内容に応じた窓口を案内している。    (7) 相談機関へのアクセス向上方策  1) 相談窓口へのアクセス向上方策(障害者向け)  アクセス向上のためには、事業者への法・条例および相談窓口のさらなる周知啓発が重要である。商工会議所を通じた事業者への周知や、出前講演の開催等を今後も継続的に企画し、実施していく。現在は、事業者向けの障害者差別解消条例リーフレットを作成・配付し、周知を図っている。新型コロナウイルス感染症防止に関連して、従来のように出前講演等を実施することができないため、今後の周知方法等について検討している。    2) 相談窓口へのアクセス向上方策(事業者向け)  アクセス向上のためには、事業者への法・条例および相談窓口のさらなる周知啓発が重要である。商工会議所を通じた事業者への周知や、出前講演の開催等を今後も継続的に企画し、実施していく。現在は、事業者向けの障害者差別解消条例リーフレットを作成・配付し、周知を図っている。新型コロナウイルス感染症防止に関連して、従来のように出前講演等を実施することができないため、今後の周知方法等について検討している。    3) 意思疎通支援に関する工夫、課題  聴覚障害のある人が来庁した場合、筆談にて対応できるようにしている(部署の窓口や相談室に耳マークを設置済み)。また、タブレット端末の導入及び通信環境の整備により、遠隔手話通訳を実施する体制を整えている。  意思疎通支援が必要であることを事前に把握できた場合は対応できるが、そうでない場合は対応に苦慮することが予想される。北九州市では手話通訳者派遣事業、要約筆記者派遣事業、盲ろう者通訳・ガイドヘルパー派遣事業を実施しているため、必要に応じて派遣を依頼する。    4) ICT活用に関する工夫、課題  相談窓口専用のメールアドレスを設け、電子メールによる相談を受け付けている。また、聴覚障害のある人が来談した場合に、遠隔手話通訳を実施できるよう体制を整えている。  電子メールでの相談の場合、内容によっては本題にたどり着くまでに何回もやり取りが必要なため、相談内容の整理に時間を要する。相手方が電子メールのフィルタリング機能を利用している場合は、相手方に返信ができない場合があるため、電子メール以外の連絡手段について把握しておく必要がある。    (8) 相談対応に係る人材の確保・育成  1) 相談対応に係る人材の確保・育成の取組  相談員の業務は、各種相談に対する対応や関係機関との調整、市民および事業者等への啓発(出前講演・研修の企画運営等)、相談事例の収集など多岐にわたることから、社会福祉士又は精神保健福祉士もしくは、社会福祉主事の任用資格を有する者で、障害福祉に関する実務経験がある者を公募で採用している。障害団体等と協議を行うことが、障害福祉に関する知識の習得に繋がっている。    2) 相談対応に係る人材の確保・育成の課題  民間事業者や行政機関と障害当事者の双方の意見を聞きながら公平・中立な立場で判断を行うためには、障害特性をよく理解し、適切に支援ができる知識と技術を有する者(社会福祉士、精神保健福祉士、障害者施設で相当年数勤務歴がある者)が必要となる。  相談員は1名のみ配置しており、これまでは福祉系の経験者が中心であったが、企業経験者の活用も検討課題である。今後機会があれば、ぜひ企業経験者の募集も検討したい。相談員に必須の要件は、どのような相談者が来てもコミュニケーションできる能力であり、また、1人で抱え込まずに相談内容を共有できることも重要な条件である。国全体で、マニュアルや相談事例など統一的なツールがあれば、ぜひ活用していきたい。    (9) 障害者差別の解消に向けた相談体制の構築  1) 相談体制の構築を円滑に進めるために必要なこと  「障害者差別に関する相談窓口」という業務の専門性や特殊性により、公募では適当な人材を確保することが困難となる可能性がある。相談においては、住居に関するトラブル等から行政制度に関するものまで、生活に関する多種多様な内容に対応できる知識・経験が必要となるため、単に知識や資格を有するだけでなく、日々の業務等で障害者と接し、相談支援等を行う実務経験がある者が求められる。そのため、人材確保の方法等について検討が必要となる。 p111   2) 相談体制の構築を進める上での課題、その他自由意見  相談体制を直営としているため、公募により広く人材を募集する必要があり、相談業務に適当な人材を確保することに苦慮している。北九州市の特色として、障害者差別解消に限らず、様々な障害者施策を進める上で、必ず障害者団体や事業者の声を聞きながら検討していくことが、これまでの相談対応が粛々と進んできた要因ではないか。特に障害団体の方々と議論できる場を長年にわたり積み重ねてきていることがポイントと思われる。  事業者向けのリーフレットの作成等は行っているが、接客対応マニュアルの提示まではできていない。これまでの相談対応事例が、接客対応マニュアルに反映されていけばよいと考えている。    3.6.3 事例の収集・共有の仕組  (1) 事例の収集の現状  1) 収集・共有する事例の選定  事例の収集について、相談コーナーに相談があったものについては、全ての事例(調整をおこなったもの、他の窓口を紹介したもの、傾聴したのみのもの等)について、「障害者差別相談受付表【報告】」に記録し収集している。  事例の共有について、「北九州市障害者差別解消支援地域協議会」において、相談事例の中から、いくつか事例を選定し協議会委員で共有している。選定については担当課で実施しており、相談分野や、障害種別、調整の有無等を勘案し選定している。 p112  図表91 障害者差別 相談受付票[報告]  北九州市で使用している様式では、相談者名や事業所名、障害当事者の基本情報である障害種別や手帳の有無、年齢、性別の記載欄や、相談経緯の概要、今後の方針を記載する欄が設置されている。なお、今後の方針の欄では、調整活動や啓発・広報活動の有無や、助言、他機関紹介等の情報提供上についても記載することとなっている。  出所)北九州市様式    2) 収集している事例において取得している情報  収集している事例において、取得している情報を以下に示す。  事例の分類 不当な差別的取り扱い、合理的配慮の提供、環境の整備  事例の内容 性別、年代、種別*1、場面*2、内容、経緯、背景、相談者種類  *1障害の種別 視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害、難病に起因する障害、その他(重複、不明)  *2事例が生じた場面 行政・公共施設、教育、医療・福祉、雇用・就業、交通・移動、その他(サービス、その他(災害含む))  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の収集方法 対面、電話、電子メール、その他(FAX)  その他 -    3) 事例の収集先  事例の収集先は、「障害者差別解消相談コーナー」での相談内容や、合理的配慮の不提供事例等の情報提供である。 p113   (2) 事例の共有の現状  1) 共有している事例における共有情報  事例の共有先と共有方法について、以下に示す。  事例の分類 不当な差別的取扱い、合理的配慮の提供、環境の整備  事例の内容 種別*1、事例が生じた場面*2  *1障害の種別 視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、知的障害、精神障害、発達障害、内部障害、難病に起因する障害、その他(重複、不明)  *2事例が生じた場面 行政・公共施設、教育、医療・福祉、雇用・就業、交通・移動、その他(サービス、その他(災害含む))  対応内容等 対応内容、対応結果  事例の共有方法 その他(協議会の場で紙文書で配布(共有後回収))  その他 -    2) 事例の共有先  事例の共有先は、障害者差別解消支援地域協議会であり、3.6.3 (1) 1)、3.6.3 (2) 1)の記載内容について、情報の共有を行っている。共有する事例は、相談当事者や事業者が特定できないよう加工している。協議会では、紙文書で配布(共有後回収)している。    3) 収集した事例の共有にあたっての考え方・工夫  収集した事例は、相談当事者や事業者等が特定できないように事例情報を加工している。北九州市の場合、「北九州市障害者差別解消支援地域協議会」においてのみ相談情報を共有しているが、協議会での議題を決定する際に、妥当性・中立性について課内にて精査している。また、情報の正確性の確保については、相談後に「障害者差別相談受付【報告】」を作成し、課内で供覧しているが、その際に不明な点、捕捉が必要な点について随時、確認を行っている。    3.6.4 障害者差別の解消に関する全般的な周知啓発の取組  障害者差別解消条例等について、市民や事業者を対象に出前講演を実施している。障害者週間啓発事業として、例年、障害者団体と協力して街頭啓発イベントを実施している。また、助け合いのしるしである「ヘルプマーク」について、市の広報誌への掲載、公共交通機関等への啓発ポスターの掲示等の取組を行った。マスクができない方をお知らせするステッカーの作成も行っている。障害者週間に合わせ、令和2年度に啓発ラッピングバスの運行を開始した。 p114  4. 行政職員調査の結果  4.1 行政職員調査の概要  4.1.1 調査目的  地方自治体における相談体制の現状や課題等を把握するために、行政職員を対象にヒアリング調査を実施した。    4.1.2 調査対象、調査時期  調査の対象、時期は以下の通りである。  相談体制構築・運営の行政実務上の工夫・課題を指摘できるよう、一定期間、一定規模で相談体制を運営した実績がある地域を選定した。また、地域の実情反映のため、地域バランス、人口規模に偏りなく選定した。    図表92 行政職員調査の実施経過  調査対象、実施日時は以下の通り。  都道府県  1茨城県 11月15日(月)10:30~11:00  2群馬県 12月2日(木)9:00~10:30  3福井県 12月8日(水)9:00~9:30  4山梨県 11月16日(火)10:30~12:00  5岐阜県 12月2日(木)9:00~10:30  6三重県 11月18日(木)16:00~16:30  7滋賀県 12月2日(木)9:00~10:30  8奈良県 11月16日(火)10:30~12:00  9広島県 11月16日(火)10:30~12:00  10沖縄県 11月16日(火)10:30~12:00  市区町村  1宮城県仙台市 11月16日(火)15:30~17:00  2千葉県浦安市 11月15日(月)13:00~14:30  3東京都大田区 12月3日(金)14:30~16:00  4東京都世田谷区 11月16日(火)15:30~17:00  5東京都中野区 12月9日(木)10:00~10:30  6東京都練馬区 12月3日(金)14:30~16:00  7大阪府門真市 12月3日(金)14:30~16:00  8大阪府東大阪市 11月15日(月)13:00~14:30  9兵庫県神戸市 12月1日(水)11:00~11:30  10福岡県福岡市 12月8日(水)10:00~10:30  11福岡県古賀市 11月17日(水)11:00~11:30  12大分県別府市 11月16日(火)15:30~17:00  13沖縄県那覇市 11月15日(月)13:00~14:30  ※全件、WEB会議方式で実施。 p115   4.1.3 調査方法  WEB会議方式で、調査対象地域の行政担当者に事務局がヒアリングを実施した。    4.1.4 調査項目  調査項目は以下の通りである。    図表93 行政職員調査の調査項目  〇障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  〇相談の実施体制、相談事案の取扱いの基本的な流れ  〇関係機関との連携  〇相談者(障害者、事業者)の相談機関へのアクセス向上、周知啓発の方策  〇相談対応に係る人材の確保・育成  〇相談事例の収集・共有の仕組み  〇相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと    4.2 調査結果  行政職員調査の結果を以下に示す。    図表94 行政職員調査の結果  市区町村の結果は以下の通り。  関係機関との連携  都道府県・市区町村の連携  〇相談窓口の開設支援  ・窓口開設当初に都道府県から助言・支援。  〇困難事例の都道府県照会(情報提供にとどまることが多い)  ・困難事例があった場合、都道府県の広域相談員に対応方法について相談。  ・都道府県の権利擁護担当者と連携して対応したケースあり。  〇市区町村域を超える広域事案の対応における都道府県との連携  ・市民が市外事業者から受けた差別事案について、都道府県の広域相談員と協力して対応。  〇都道府県が受け付けた相談への対応  ・都道府県の広域相談員が受けた市内からの相談事例について、広域相談員から引き継ぎ対応。    関係機関との連携  〇労働局・ハローワーク:雇用・労働関係の相談  〇法務局・人権擁護委員:人権に関する相談  〇弁護士:困難事例に対する法的対応の相談  ・困難事例への対応時に弁護士に相談するための予算を確保。  ・事例報告について自立支援協議会構成員の弁護士メンバーから助言。  〇相談先としての国の機関が不明確  ・国のどの機関に相談すべきか明確にしづらく、連携が困難。    権限行使  ○実績なし    相談機関へのアクセス向上に向けた広報・啓発  一般向け  〇パンフレットやリーフレットの作成・配布、HPでの紹介、障害者週間等のイベント出展、広報誌への記事掲載、地元TVでの施策紹介等  ・市内の小学4年生にバリアフリーハンドブックを配布。  ・夏休みボランティアのオリエンテーリングの際に出前講座を実施。  ・合理的配慮の理解について動画や子供向けの冊子を作成。  ○相談しやすい環境づくり  ・コミュニティ・ソーシャルワーカーを通して地域の困りごとを行政等の機関に連携する仕組みを生かした一般市民への相談のしやすさの醸成。  〇自治体職員向けの情報発信  ・行政が対象となる相談が半数を占めるため、障害者への差別を解消するためのガイドブックを職員向けに発行。  ・職員向けメールマガジンで差別事案を紹介。    出前講座  〇住民団体・学校・事業者向けの出前講座  ・要望に応じて当事者講師を現地に派遣し、障害特性や必要な配慮について説明。  ・小学校4年生の総合学習の時間に福祉分野の講師や障害当事者による講義を実施。  ・障害当事者を学校に派遣し、自主企画や講義形式での講演で差別・障害問題について啓発。    障害者向け  〇障害当事者団体を通じた働きかけ  ・知的障害者の就労支援センターと共催で、差別事案や相談方法を寸劇方式で紹介。  ・自立支援協議会、障害当事者部会が市の施設の建築・改築の際に施設・設備を確認の上、行政に要望を提出。  ・差別事例収集のアンケートを地域協議会に参画する障害者団体を通じて実施。今後の周知・啓発活動の参考にする予定。  〇障害者本人への直接的な働きかけ  ・知的障害者向けの周知広報が課題で、特別支援学校等との連携を検討中。    事業者向け  〇商工団体や経済団体を通じた働きかけ  ・経済団体のメールマガジン等を通じた普及啓発を検討。  ・事業者向けのチラシを作成し、バス事業所、飲食店、商工会議所に配布。  ・視覚障害者に対応する際の注意事項等パンフレットを当事者団体と作成し、市内バス会社の全乗務員向けに配布。  ・商工会や工業団地の定期的な集まり等でリーフレット等の配布を検討。    相談方法、ICT活用  〇電話、メール、FAX、来訪が主であり、電話相談が多い傾向  ・虐待・差別専用の電話番号で24時間365日専門の相談員が対応(外部委託)。市外の相談も含め数百件の相談がある。  ・基幹相談支援センター(委託)でメール・電話相談を24時間専門相談員が対応。  〇手話通訳を除くオンライン会議の活用実績は少なく、今後の課題  〇SNSでの相談希望は少数、導入には消極的    人材確保・育成の方策  人材の配置状況(資格要件)  〇社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、行政OB等の相談業務経験者を配置  〇差別解消検証会議と称して関係部署の管理職が集まり方針を決定しているケースもあり    育成のための研修等  〇単発研修、OJTが中心  ・市としての研修は実施しておらず、都道府県の研修に参加。  〇相談対応のマニュアルの活用・作成  ・差別相談については、日弁連の手引きを活用。  ・相談窓口向けの対応マニュアルを独自に作成。  ・都道府県の差別対応マニュアル(事例含む、平成28年作成。順次改定)を活用。  ・参考になるマニュアルがないため、手探りで対応。  〇相談員の情報共有の場を設定  ・基幹相談支援センターにコーディネーターを配置し、市内の相談員を指導。自立支援協議会の下部組織として相談員が集まる会議を毎月開催し、情報共有、相談対応のスキルの均質化を企図。  〇その他  職員向けのeラーニングの中に差別解消法に関する教材を用意。    地域協議会  設置状況  〇地域協議会は市区町村単独設置で、他の会議体を兼ねる場合が多い  ・高齢者虐待、障害者虐待、成年後見、差別解消を所管。  ・虐待防止・差別解消・権利擁護部会(地域協議会の専門部会)で事例内容や件数統計等を報告。    開催頻度  〇概ね年1~3回開催    主な議題  〇相談事例の概要報告や事例の共有、法・制度の動向の共有などが中心  ・事例を年1回集約して地域協議会に報告し、対応方法等についてのアドバイスを得ている。地域協議会の議事録・資料等がHPに掲載されるため、そこで情報を共有することができる。  ・年度内に受けた相談案件の報告が中心であり、事例の詳しい検討までには至っていない。  ・個別の事例検討は実務者会議で実施。    構成メンバー  〇学識経験者、障害当事者団体、障害福祉事業者(団体)、教育関係者(教育委員会、特別支援学校など)、医療関係者、司法関係者(弁護士など)、商工団体、経済団体、法務局(人権擁護委員など)、労働局(ハローワークなど)等    事例の収集・共有  収集方法  〇定型様式で、エクセルに相談員が入力する地域が多数    共有範囲  〇庁内、相談員間で個別事例を共有、地域協議会で匿名化した概要を共有するパターンが一般的  ・平成29年度にそれまでに受け付けた相談の事例集を作成して、庁内に公開。  ・職員向けの研修で情報を共有。特に共有した方が良い事例は、職員向けの掲示板で共有。  ・相談窓口を含めた全職員に個人情報に配慮するよう加工した事例を共有。  ・事例を年1回集約して、地域協議会に報告。委員から対応方法等について助言。  ・都道府県が都道府県下の自治体から集めた事例集を活用。    外部公開  〇HP等で公開している地域あり  ・地域協議会で共有された事例は、HPで公開。    国・都道府県への要望事項  国への要望事項  〇障害者差別相談の対応マニュアルやガイドラインの作成  ・国の対応マニュアルがあれば活用したい。  ・差別相談かどうかを判定できる基準として、差別の定義やガイドラインを国で提示してほしい。  〇予算措置  ・助成金等の予算措置を検討してほしい。  〇事例データベースの作成  ・他自治体の相談事例のデータベースを参照し、相談対応の方針の参考にしたい。データベースへの入力負荷が大きいため、第三者による入力・登録の仕組みが望ましい。  〇研修体制の整備  ・調整やあっせんの研修を都道府県や国で実施してほしい。      都道府県への要望事項  ・都道府県で、管内市区町村の横連携を進めてほしい。  ・都道府県の研修でスキルアップに関係がありそうなものがあれば参加したい。    都道府県の結果は以下の通り。  関係機関との連携  都道府県・市区町村の連携  〇体制構築  ・市区町村から推薦を受けた相談員を都道府県知事が委嘱し、市区町村単位に都道府県の相談員を配置。  ・都道府県に差別専門の相談員を配置しているため、差別に関する相談が市から紹介されてくる場合や、相談者が都道府県に直接相談に来る場合が多い。  〇都道府県間の広域連携  ・先進的な取組を実施している近隣都道府県へのヒアリングや、近隣都道府県の広域相談員向けの研修会(広域専門指導員等連絡調整会議)への参加。  ・近隣都道府県の会合での意見交換・困難事例の対応等の共有(開催頻度:年2回程度)。  ・近隣都道府県の相談員研修会(差別対応の相談に特化したもの)で困難事例を報告。    関係機関との連携  〇労働局・ハローワーク:雇用・労働関係の相談  〇法務局・人権擁護委員:人権に関する相談  〇弁護士:事例共有と相談  ・都道府県弁護士会と提携し、年2回の会合で事例共有を共有し、アドバイスを受けている。  ・差別解消アドバイザーとして弁護士、学識経験者等を3名任命し、事例の共有やアドバイスを受けている。  〇相談先としての国の機関が不明確  ・国のどの機関に相談すべきか決めかねる案件が多数。    権限行使  〇実績なし    相談機関へのアクセス向上に向けた広報・啓発  一般向け  〇パンフレットやリーフレットの作成・配布、HPでの紹介、障害者週間等のイベント出展、広報誌への記事掲載、地元TVでの施策紹介等  ・小学校等の訪問、事例集・パンフレットを配布。  ・あいサポート研修で障害者差別の講義を実施。    出前講座  〇住民団体・学校・事業者向けの出前講座  ・市区町村の新規職員採用時の研修や、福祉事業所、警察学校などで出前講座を実施。  ・大学から依頼を受け、差別解消法や相談窓口について講義。  ・市区町村への普及・啓発の出前講座に Zoom の活用を開始。    障害者向け  〇障害者当事者団体を通じた働きかけ  ・地域アドボケーター(障害当事者、家族、関係者等)を介した現場での困りごと・要望の吸い上げ。    事業者向け  〇商工団体や経済団体を通じた働きかけ  ○あいサポート協力企業に対する働きかけ  ・あいサポート活動に協力してもらえる事業所に対し、直接パンフレット等を配布。  ・あいサポーター協力企業の研修時に障害者差別解消法や条例の周知・啓発を実施。  ・都道府県の情報提供用(福祉以外も含む)メールマガジン(商工関係者が登録)での周知・広報。    相談方法、ICT活用  〇電話、メール、FAX、来訪が主であり、電話相談が多い傾向にある。  〇オンライン会議の活用実績がある  ・新型コロナウイルス対応期間には、ビデオ通話アプリを活用。  ・出前講座にオンライン会議を活用  〇SNSでの相談希望は少数、導入には消極的    人材確保・育成の方策  人材の配置状況(資格要件)  〇社会福祉士、精神保健福祉士、行政OB等の相談業務経験者を配置      育成のための研修等  〇単発研修、OJTが中心  ・先進的な取組を行っている近隣都道府県へのヒアリングや研修会への参加  ・年3回、情報交換を兼ねて相談員向け研修会を実施  ・近隣都道府県との情報交換会で意見・情報共有(年2回程度)。地域アドボケーター向けの社会モデル研修(年1~2回)に相談員も参加  ・市区町村の相談員向けに、年1回、研修会を実施    地域協議会  設置状況    〇地域協議会は、他の会議体を兼ねる場合が多い  ・自立支援協議会の1つの部会として地域協議会を設置。  ・障害者施策推進協議会に地域協議会の機能を含めている。    開催頻度  〇概ね年1~3回開催    主な議題  〇相談事例の概要報告や事例の共有、法・制度の動向の共有、窓口の周知等の広報などが中心  ・障害者差別に関する知識が十分でない参加者もいるため、事例紹介と共有を実施。  ・構成委員は障害者差別解消法に詳しい方ばかりではないため、法律の説明や相談窓口の周知を目標にして活動。    構成メンバー  〇学識経験者、障害当事者団体、障害福祉事業者(団体)、教育関係者(教育委員会、特別支援学校など)、医療関係者、司法関係者(弁護士など)、商工団体、経済団体、法務局(人権擁護委員など)、労働局(ハローワークなど)等  〇市区町村が参加メンバーとなっているケースは少ない  ・障害者団体とのつながりが強く、市区町村とのつながりが弱い面がある。  ・市区町村が入っていないことは課題。    事例の収集・共有  収集方法  〇定型様式で、エクセルに相談員が入力する地域が多数    共有範囲  〇庁内、相談員間で個別事例を共有、地域協議会で匿名化した概要を共有するパターンが一般的  ・年度毎に都道府県で事例を都道府県で取り纏め、エクセルで整理した後に各相談員に共有。個人情報を外した概要版を地域協議会に報告。  ・都道府県・市区町村で対応した事例を半年に1回、エクセル表に整理して、都道府県の担当者・市区町村で共有。  ・広域相談員間での情報共有を目的としてデータベースを整理し、市区町村からの問い合わせの際に参照する場合も想定。  ・地域協議会や都道府県内市区町村の情報交換会で共有。  ・課内の共有フォルダにエクセルファイルとして登録し、課内で閲覧可能。  ・地域協議会や各種委員会でのみ共有。    外部公開  〇HP等で公開している地域あり  ・地域協議会で共有された事例は、都道府県HPで公開。  ・近隣都道府県の相談員研修会(差別対応の相談に特化したもの)に困難事例を報告。    国・都道府県への要望事項  国への要望事項  〇予算措置  ・関東甲信越地区の障害福祉主管課長会議で、毎年、国への要望事項を実施(毎年)。相談体制の整備・普及啓発について財源の確保、事業者の合理的配慮に対応するための補助金等の要望を提出している。  ・相談員を設置することができるよう、財政的支援を求める。  ・事業者向けの合理的配慮の助成金事業、相談体制整備(人員増)のための財源措置を求める。  〇広報の実施  ・制度の認知度を高めるため、国にも大規模な広報を行ってほしい。  〇事例データベースの作成  ・データベース整備事業、特に困難事例の共有化(市区町村職員のアクセス可能化)を図ってほしい。  ○研修体制の整備  ・全国共通の研修プログラムを作成してほしい  ・研修や出前講座用の動画教材作成を国に担当してほしい。  ○国・都道府県・市区町村の役割分担の明確化  〇相談体制支援  ・相談員がアドバイスを受けられる国の窓口の設置が望ましい。    都道府県への要望事項  - p121   4.3 調査対象地域の相談体制の概要  4.3.1 茨城県  自治体名 茨城県  人口 2,907,678 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例  公布日 平成26年03月26日  施行日 平成27年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 A  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託3名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 相談対応について、一部の相談員が関係者との調整等のため外出する場合があるが、窓口の相談業務に支障が出ないような勤務体制をとっている。  広域支援相談員 配置の有無 配置している(3名)  業務経験・資格等の要件 資格等の要件は特に設けていない。  障害者差別の解消等に関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士等)  業務内容 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、市町村相談員への技術的助言、相談事例の調査及び研究、その他(企業・団体等に対する普及啓発の取組み等)  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 -  業務内容・役割 -  相談件数 平成30年度:107件、令和元年:84件、令和2年:68件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、相談者別の件数(障害者本人、ご家族、行政機関、その他)、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(茨城県障害者差別解消支援協議会部会)  設置時期 平成27年4月1日設置  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置、  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 障害のある人もない人も共に歩み幸せに暮らすための茨城県づくり条例に基づき、相談のあった解決が困難な事案について迅速な解決を図るため、茨城県障害者差別解消支援協議会に部会を設置している。 p122   4.3.2 群馬県  自治体名 群馬県  人口 1,958,185 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 群馬県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例  公布日 平成31年03月22日  施行日 平成31年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  市区町村への相談の困難事例等のみに対応しているのではなく、県のみへの相談や並行しての相談にも対応している。  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託1名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 これまで差別解消法・条例の趣旨を説明することで、理解を得られているため、現時点では特になし。  広域支援相談員 配置の有無 配置していない  業務経験・資格等の要件 特になし  業務内容 -  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 特になし  業務内容・役割 県が設置する障害者差別相談窓口に相談のある事案への対応。  相談件数 平成30年度:72件、令和元年度:108件、令和2年度:81件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、障害の種別の件数、その他(障害者差別に関する要望・苦情等)  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、協議会の下に部会を設置  設置時期 令和元年10月1日 ※平成28年4月~令和元年9月は、虐待防止と差別解消を兼ねる会議体を設置していた。  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:なし  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ p123   4.3.3 福井県  自治体名 福井県  人口 774,596 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 障がいのある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例  公布日 平成30年3月22日(令和2年3月19日)  施行日 平成30年4月1日 (令和2年4月1日)  改正の内容 制定有  相談体制 相談体制分類 B(直接県が窓口となる場合もありうる)  相談員の配置 相談員を配置していない(専門員は配置していない)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 当事者からの相談が数時間におよぶケースもあるため、人員不足を感じている。また、相談の内容も様々なケースがあるため、相談が可能な人材不足も課題である。  広域支援相談員 配置の有無 無(財政面で課題)  業務経験・資格等の要件 -  業務内容-  広域支援相談員以外の相談員知識・経験 -  業務内容・役割 -  相談件数 平成30年度:73件、令和元年度:66件、令和2年度:46件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議(R3.8にあっせんの部会を設置)  設置時期 平成28年4月1日設置  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:その他組織の位置付けを兼ねている(障害を理由とする差別に該当する事案についてのあっせん機関(障がいのある人もない人も幸せに暮らせる福井県共生社会条例第21条))  設置・運営等の工夫・課題 障がい者からのあっせんの申立てがあった際に、機動的に対応できるよう、今年度から少人数のあっせんの部会を設置することとした。 p124   4.3.4 山梨県  自治体名 山梨県  人口 821,094人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 山梨県障害者幸住条例  公布日 平成27年12月25日  施行日 平成28年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 市町村に配置している障害者差別地域相談員への相談が少なく、直接県あてに相談や訴えが来る場合が多い。相談者が障害者というだけで、障害者差別に該当せず、本来、専門部署で対応すべき相談が増えている。  広域支援相談員 配置の有無 配置していない  業務経験・資格等の要件 ―  業務内容―  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 特段専門性を有したものを配置していない  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等 /市町村相談員への技術的助言 / 相談事例の調査  相談件数 平成30年度:64件、令和元年度:52件、令和2年度:71件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/労働/サービス/公共交通/福祉/医療/教育/不動産)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年4月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 紛争解決にあたる国の関係機関(法務局、運輸支局、労働局、行政監視行政相談センター)を構成団体に加えた。 p125   4.3.5 岐阜県  自治体名 岐阜県  人口 2,016,868 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 岐阜県障害のある人もない人も共に生きる清流の国づくり条例  公布日 平成28年3月29日(改正:平成30年3月22日)  施行日 平成28年4月1日(改正:平成30年4月1日)  改正の内容 「岐阜県手話言語の普及及び障害の特性に応じた意思疎通手段の利用の促進に関する条例」制定に伴う文言の修正。  相談体制 相談体制分類 A(相談対応等を行うセンター業務を委託)  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置している(1名)  業務経験・資格等の要件 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士の資格を有するもの)  業務内容 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等 / 助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査 / 相談事例の調査及び研究 / 市町村相談員への技術的助言  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 経験・資格等の規定なし  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等 / 助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査 / 相談事例の調査及び研究 / 市町村相談員への技術的助言  相談件数 平成30年度:193件、令和元年度:93件、令和2年度:156件  相談分類の軸 障害者差別に関する要望・苦情等の件数 / 事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数 / 相談者(障害者/事業者/その他)別の件数 / 障害の種別の件数 / 事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数 / 相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年4月  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:―  組織形態:障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 特になし p126   4.3.6 三重県  自治体名 三重県  人口 1,800,756 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 障がいの有無にかかわらず誰もが共に暮らしやすい三重県づくり条例  公布日 平成30年06月29日  施行日 平成30年10月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 A  相談員の配置 相談員を配置している(業務委託以外:1名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置している(1人)  業務経験・資格等の要件 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有した者(手話通訳士)  業務内容 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、市町村相談員への技術的助言、相談事例の調査及び研究  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 ―  業務内容・役割 ―  相談件数 平成30年度:12件、令和元年度:55件、令和2年度:75件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、その他(障がい者差別以外の相談や要望・苦情等の件数)  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年8月17日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置   共同で設置した自治体名:―  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 障害者差別解消法(第17条第1項)に基づき三重県差別解消支援地域協議会を設置し、県条例にて協議会設置の義務化を規定。相談の処理経過の検証や結果の周知を行っている。 p127   4.3.7 滋賀県  自治体名 滋賀県  人口 1,418,886人 (R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 滋賀県障害者差別のない共生社会づくり条例  公布日 平成31年03月22日  施行日 平成31年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置している(2名)  業務経験・資格等の要件 精神保健福祉士、社会福祉士、保健師、公認心理士、特別支援学校教員免許、社会福祉主事任用資格  業務内容 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、相談事例の調査及び研究  広域支援相談員以外の相談員知識・経験 【地域相談支援員(地域アドボケーター)】 条例第9条から障害者の福祉の増進に関し、熱意と識見を有する者  業務内容・役割 【地域相談支援員(地域アドボケーター)】 条例第9条にもとづき、障害者が相談をする際に、自らの意思を適切に表明するために必要な支援を行い、相談内容を県の障害者差別解消相談員につなぐ。  相談件数 平成30年度:16件、令和元年度:85件、令和2年度:88件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 令和元年10月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 あっせん手続きを行うことを想定し、法規的な視点の必要性から弁護士を委員として加えた。事業者への差別解消・合理的配慮の提供の浸透のために、県商工会議所連合会、県中小企業家同友会を推薦団体としている。   p128  4.3.8 奈良県  自治体名 奈良県  人口 1,344,952 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例  公布日 平成27年03月25日  施行日 平成28年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外 2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置していない  業務経験・資格等の要件 -  業務内容-  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 社会福祉士、精神保健福祉士、教員免許保持者  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等  相談件数 平成30年度:84件、令和元年度:93件、令和2年度:93件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年4月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:その他組織の位置付けを兼ねている(「奈良県障害のある人もない人もともに暮らしやすい社会づくり条例」に基づく「奈良県障害者相談等調整委員会」)  設置・運営等の工夫・課題 課題点は、行政機関相互間の連携の強化   p129  4.3.9 広島県  自治体名 広島県  人口 2,812,477 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  相談員の配置 相談員を配置している(業務委託以外:1名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置していない  業務経験・資格等の要件 特になし  業務内容 -  広域支援相談員以外の相談員 知識・経験 心のバリアフリー推進員  業務内容・役割 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:42件、令和元年度:34件、令和2年度:31件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(障害者差別解消支援地域協議会)  設置時期 平成27年7月27日 設置  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置 共同で設置した自治体名:  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ、障害者基本法(第36条)に基づく合議制の機関の位置付けを兼ねている、障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 -   p130   4.3.10 沖縄県  自治体名 沖縄県  人口 1,485,484 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 沖縄県障害のある人もない人も暮らしやすい社会づくり条例  公布日 平成25年10月29日  施行日 平成26年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 B  相談員の配置 相談員を配置している (相談員:業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  広域支援相談員 配置の有無 配置している(2名)  業務経験・資格等の要件 福祉、保健、医療、その他障害者に対する相談支援、介護等の実務経験を有する者  業務内容 障害者差別に関する相談対応(電話・面談等)/ 障害者差別に関する調査、研究、周知、啓発 / 関連する資料の作成等  広域支援相談員以外の相談員知識・経験 -  業務内容・役割 -  相談件数 平成30年度:54件、令和元年度:99件、令和2年度:54件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、障害者の性別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(虐待防止ワーキング)  設置時期 平成30年4月  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題- p131   4.3.11 宮城県仙台市  自治体名 宮城県 仙台市  人口 1,065,932 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 仙台市障害を理由とする差別をなくし障害のある人もない人も共に暮らしやすいまちをつくる条例  公布日 平成28年03月14日  施行日 平成28年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ア(本庁の障害者差別担当者は個別案件の対応を行いつつ、各窓口の相談員のバックアップも行っている)  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外6名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 各区に配置した専門の相談員に対し、外部講師による研修や相互の事例共有を通じて、相談対応のスキルアップを図っている。 経験年数・対応案件数の差によって、職員間の対応力に差があることが課題。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 以下の資格のいずれかを有しているもの。(社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士、保健師、看護師)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等  相談件数 平成30年度:75件、令和元年度:84件、令和2年度:63件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置済み、子会議なし  設置時期/予定時期 平成28年4月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 特記事項なし。 p132   4.3.12 千葉県浦安市  自治体名 千葉県 浦安市  人口 169,918 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 浦安市障がいを理由とする差別の解消の推進に関する条例  公布日 平成28年03月24日  施行日 平成28年04月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 エ  相談員の配置 相談員を配置している  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 調整活動の相手方にも差別解消法に関するリーフレットや、障がい理解促進のため「こころバリアフリーハンドブック」を配付。また、「罰する」「非難する」ということではなく、建設的な話し合いを進めるための調整活動であることを丁寧に説明し、どんな対応が可能か一緒に考える、という立場で調整を行う旨伝えている。   現在のところ、ほとんどの場合相手方も一定の理解を示し、協力的な姿勢であるが、今後合理的配慮が義務化され、非協力的な事業者が現れた場合、どのような対応フローとなるのか、各自治体で均質な運用ができるよう、国マニュアルや手引きの提示を希望する。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士、精神保健福祉士)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査、広域の相談員との連携・相談、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:21件、令和元年度:24件、令和2年度:9件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置済み、子会議あり(浦安市高齢者・障がい者権利擁護協議会実務者会議)  設置時期 平成28年4月  年3回開催  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている、その他組織の位置付けを兼ねている(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、成年後見制度の利用の促進に関する法律)  設置・運営等の工夫・課題 複数の位置づけを兼ねた協議会のため、各分野の動向などを共有する内容の議題が多い。 p133   4.3.13 東京都大田区  自治体名 東京都 大田区  人口 728,703 人(R4.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ア(協議会で方針を決定するのではなく、相談内容の共有を行っている。)  相談員の配置 相談員を配置していない  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題  <工夫している点>東京都障害者権利擁護センターと連携し解決を図っている。都には、事例も多くあることや広域支援相談員の配置もされているため、判断に悩むときは情報共有、助言をもらっている。  <課題>差別相談に該当する事案であるか、該当しない場合どのような対応を行うか判断に悩むことがある。個人間で起きたトラブルの上での暴言、接客の態度等は区が介入することは難しい。 相談対応について、対応マニュアルの用意はされているが、相談内容は多岐に渡ること、経験の乏しい職員が対応にあたることもあり、対応に差が出てしまう場合がある。専門相談員の配置についても、現在の相談数から考えると難しい。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 相談員の選定の際に、知識・経験の規定を設けてはいないが、相談業務にあたるものは、東京都が主催する障害者差別解消法の研修を受講している。  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間の必要な調整)、関係機関との情報共有・連携  相談件数 平成30年度:7件、令和元年度:30件、令和2年度:18件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年11月25日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 学識経験者や弁護士、障がい者団体の他に、障がい当事者に委員として参加いただき、当事者の視点で意見をもらっている。 p134   4.3.14 東京都世田谷区  自治体名 東京都 世田谷区  人口 920,372人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 カ 障害者差別解消支援担当専門調査員と所管課と重層的対応 地域協議会には随時報告している。  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 専門員は特別な権限を有しているわけではないので、最終的には助言に留まっている。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したもの(社会福祉士相当)を配置している(区の再雇用を満了した職員で、保健福祉分野での経験が豊富な職員を配置している)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:55件、令和元年度:58件、令和2年度:36件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害の種別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(自立支援協議会虐待防止・差別解消・権利擁護部会)  設置時期 平成19年10月に設置された「自立支援協議会」の部会として、平成26年8月に「虐待防止・権利擁護部会」が設置され、平成28年4月から「虐待防止・差別解消・権利擁護部会」として運営している。  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 協議会には当事者をはじめ、人権擁護委員や弁護士、警察等の幅広い関係者を交え、様々な角度からの意見を伺うようにしている。 p135   4.3.15 東京都中野区  自治体名 東京都 中野区  人口 334,632 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ウ ワンストップ窓口(二次窓口)に相談があった場合は、事案ごとに「中野区障害者差別解消検証会議」(内部の部長級職員等で構成される会議体)を開催し、対応が適切であったか検証し、必要に応じ担当所管に是正措置や再発防止を求める。なお、地域協議会は個々の事案についての対応の協議は行わない。  相談員の配置 相談員を配置していない  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  障害者差別に対する相談員 知識・経験 -  業務内容・役割 -  相談件数 平成30年度:7件、令和元年度:16件、令和2年度:8件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置済み、子会議なし  設置時期 平成30年6月1日設置  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 特になし p136   4.3.16 東京都練馬区  自治体名 東京都 練馬区  人口 740,099 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ウ  相談員の配置 相談員を配置していない  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 障害者差別に関する相談窓口向けに、相談対応マニュアルおよび相談記録票を作成し、統一した対応を心掛けている。また、区職員へ向けた障害理解や差別解消法に関する研修などを実施している。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 -  業務内容・役割 -  相談件数 平成30年度:17件、令和元年度:20件、令和2年度:19件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(練馬区障害者差別解消支援地域協議会実務者会議)  設置時期 平成28年4月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 自立支援協議会の委員と重なる委員も多いため、地域協議会を同日に行うことで、参加委員への負担を軽減している。 p137   4.3.17 大阪府門真市  自治体名 大阪府 門真市  人口 120,536 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ア  相談員の配置 相談員を配置していない  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査、広域の相談員との連携・相談、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:5件、令和元年度:12件、令和2年度:16件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(差別解消専門部会)  設置時期 平成31年4月  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者総合支援法(第89条の3)に基づく協議会の位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 子会議で地域課題を出し、サブ協議会で整理・検討を行い、必要時に地域協議会で検討を行う仕組みを採用している。令和2年度は新型コロナウイルス感染症拡大のため、子会議の開催が書面開催1回、WEB会議1回のみの実施のため、十分な検討ができなかった。 p138   4.3.18 大阪府東大阪市  自治体名 大阪府 東大阪市  人口 485,928人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ア  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  障害者差別に対する相談員 知識・経験 保健師と社会福祉士を設置している。  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整  相談件数 平成30年度:10件、令和元年度:16件、令和2年度:4件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害者の年代別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成28年4月  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 特になし p139   4.3.19 兵庫県神戸市  自治体名 兵庫県神戸市  人口 1,526,835 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 イ<必要に応じて地域協議会へ相談事例・相談件数の報告、共有等行っている>  相談員の配置 配置している(業務委託以外 2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 障害のある方及びその家族、関係者等からの相談に対し、相談を聞くだけではなく、必要に応じて、相手方への状況確認や現場の状況確認を行い、提供可能な代替案がないかなど、建設的な対話が行われるよう促す。また、相談内容によっては、適切な機関をつなぐなど、はしわたしとしての役割を果たしている。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験を有したものを配置している  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、  相談件数 平成30年度:70件、令和元年度:80件、令和2年度:64件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数 / 合理的配慮に関する相談件数 / 環境の整備に関する相談件数 / 障害者差別に関する要望・苦情等の件数 /事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数   / 事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置済み、子会議なし  設置時期 平成29年3月31日設置  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 顔の見えるネットワークを構築し、相談事例など、各機関と情報共有・蓄積し、相談窓口にフィードバックできるようにしている。 p140   4.3.20 福岡県福岡市  自治体名 福岡県 福岡市  人口 1,562,767 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 福岡市障がいを理由とする差別をなくし障がいのある人もない人も共に生きるまちづくり条例  公布日 平成30年06月25日  施行日 平成31年01月01日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ウ  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 これまでのところ、相談窓口による事実上の調整が機能しており、条例に基づく指導等の権限を行使した実績はない。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障がい及び障がい者に関し専門的知識を有し、かつ、社会福祉全般に関し必要な知識を有する者  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等 / 助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査 / 相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:28件、令和元年度:72件、令和2年度:38件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、環境の整備に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(相談部会)  設置時期 平成31年3月19日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 福岡市では、個別の相談事案に対する対応は、相談者が相談窓口に相談しにくくなる、あるいは相談のきっかけとなった相手方事業者に影響が及ぶ恐れもあるため、個人情報を除外し、事案の匿名化・抽象化を行ったうえで、非公開の子会議で検討していたが、親会議の委員から統計的な分析結果のみでなく、ある程度詳細な個別の情報についての共有を求められたこともあり、親会議と子会議の役割・権限等の再確認や親会議への報告事例について検討を行い、令和3年度より親会議を一部非公開とした上で、事例の報告を行うこととしている。 p141   4.3.21 福岡県古賀市  自治体名 福岡県 古賀市  人口 59,645 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 古賀市部落差別をはじめあらゆる差別の解消と人権擁護に関する条例  公布日 令和2年03月27日  施行日 令和2年03月27日  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 ウ  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 特になし  障害者差別に対する相談員 知識・経験 特段、専門性を有したものを配置していない  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応) / 相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整 / 関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等 / 助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査  相談件数 平成30年度:0件、令和元年度:0件、令和2年度:0件  相談分類の軸 障害の種別の件数  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成30年6月1日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:障害者差別解消法(第17条)に基づく地域協議会の位置付けのみ  設置・運営等の工夫・課題 特になし p142   4.3.22 大分県別府市  自治体名 大分県 別府市  人口 113,425人(R3.12.31)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定有  名称 別府市障害のある人もない人も安心して安全に暮らせる条例  公布日 平成25年9月30日(平成27年12月24日改正)  施行日 平成26年4月1日(平成28年4月1日改正)  改正の内容 行政不服審査法全部改正に伴う条文の整理  相談体制 相談体制分類 エ  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託16名、業務委託以外2名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 基幹相談支援センターを4か所に委託して、市全域をカバーできるよう工夫している。  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士、精神保健福祉士、看護師、介護福祉士、介護支援専門員)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査、広域の相談員との連携・相談、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:5件、令和元年度:6件、令和2年度:2件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、事例の取組主体(行政機関等/事業者)別の件数、障害の種別の件数  設置有無 設置済み、子会議なし  設置時期 平成26年4月22日  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  組織形態:その他組織の位置付けを兼ねている(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律、成年後見制度の利用の促進に関する法律)  設置・運営等の工夫・課題 条例に基づく申立がないと会議を開催できない点が課題となっている。 p143   4.3.23 沖縄県那覇市  自治体名 沖縄県 那覇市  人口 320,467 人(R3.1.1)  障害者差別の解消に係る条例 制定状況 制定なし  名称 -  公布日 -  施行日 -  改正の内容 -  相談体制 相談体制分類 エ  相談員の配置 相談員を配置している(相談員:業務委託8名、業務委託以外6名)  相談対応・紛争解決に関する運用上の工夫・課題 県が主催する研修等に参加し、適切な相談対応ができるようにしている  障害者差別に対する相談員 知識・経験 障害者差別の解消などに関する知識・経験・資格等の専門性を有したものを配置している(社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事)  業務内容・役割 相談者に対する必要な助言・情報提供(相談対応)、相談者及び相談内容に関係する者(関係者間)の必要な調整、関係機関との情報共有・連携、同機関への必要な通告等、助言又はあっせんの申立があったときは、当該申立に係る事実の調査、広域の相談員との連携・相談、相談事例の調査及び研究  相談件数 平成30年度:17件、令和元年:17件、令和2年度:9件  相談分類の軸 不当な差別的取扱いに関する相談件数、合理的配慮に関する相談件数、障害者差別に関する要望・苦情等の件数、相談者(障害者/事業者/その他)別の件数、障害者の性別の件数、障害の種別の件数、事案が生じた場面(行政/教育/医療・福祉/雇用・就業/交通・移動/災害等)別の件数、相談対応後の状況(解決/未解決)別の件数、その他(県条例に沿い、相談内容が「不当な差別的取扱いに関する相談」「合理的配慮に関する相談」に加え、「つらい事いやな事に関する相談」「その他の意見」に該当する場合の件数)  障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況 設置有無 設置済み、子会議あり(那覇市障がい者権利擁護ネットワーク会議、実務者会議)  設置時期 平成29年1月(要綱改正)  設置形態 地域協議会の設置形態:単独で設置  共同で設置した自治体名:  組織形態:障害者虐待防止法に基づくネットワークの位置付けを兼ねている  設置・運営等の工夫・課題 障害者差別に関する相談件数が限られており、対応状況の報告や事例共有に留まっている。また、受け付けた相談は、匿名による相談、相手方への介入を望まない相談が多く、あっせん、調整に至らず、紛争解決の事案としての積み上げができていない。 p144  5. 類似制度の取組調査の結果  5.1 類似制度の取組調査の概要  5.1.1 調査目的  関係省庁が実施している相談体制等のうち比較的類似した制度について状況を把握し、実効性のある相談体制の在り方を検討するため、調査を実施した。    5.1.2 調査対象、調査時期  調査の対象、時期は以下の通りである。  図表95 類似制度の取組調査の実施経過  調査対象、実施日時は以下の通り。  1法務省 人権相談 2021年10月19日(火)14:00~15:30  2総務省 行政相談 2021年10月6日(水)13:00~14:30  3消費者庁 消費生活相談 2021年10月6日(水)16:00~17:30  ※全件、WEB会議方式で実施。    5.1.3 調査方法  WEB会議方式で、類似制度を運営する省庁担当者に事務局がヒアリングを実施した。    5.1.4 調査項目  調査項目は以下の通りである。  図表96 類似制度の取組調査の調査項目  〇相談受付・対応に関する基本的な考え方  〇国、都道府県、市区町村の役割分担  〇相談の実施体制  〇相談件数・内容  〇相談事案の取扱いの基本的な流れ  〇関係機関との連携  〇相談者の相談機関へのアクセス向上方策、相談を掘り起こすための周知啓発方策  〇相談対応に係る人材の確保・育成  〇相談事例の収集・共有の取組  〇相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと    5.2 調査結果  類似制度調査の結果を以下に示す。 p145  図表97 類似制度の相談体制  類似制度調査として実施したヒアリングの結果をもとに、法務省・人権相談、総務省・行政相談、消費者庁・消費生活相談の相談体制について示した。  法務省・人権相談の所轄官庁・担当部署は法務省人権擁護局調査救済課である。相談窓口は、全国50か所に設置された法務局・地方法務局(法務局:8か所、地方法務局:42か所)と、全国261か所に設置された支局に設置されている。相談に対応するのは法務局職員と人権擁護委員(約14000名、ボランティア、法務大臣委嘱)である。  総務省・行政相談の所轄官庁・担当部署は総務省行政評価局行政相談企画課である。相談窓口は、全国50か所に設置された出先機関(管区行政評価局:8か所、行政評価事務所:7か所、行政監視行政相談センター:35か所)に設置されている。総務省行政評価局行政相談企画課は出先機関の監督・指示・支援等を行っている。相談に対応するのは出先機関職員と行政相談委員(約5000名、ボランティア、総務大臣委嘱)である。行政相談委員は市区町村毎に1名以上配置されており、出先機関からの支援を受けて相談に対応している。  消費者庁・消費生活相談の所轄官庁・担当部署は、消費者庁地方協力課であり、消費生活相談を所轄支援等している独立行政法人国民生活センターの監督等を行っている。相談窓口は、消費生活センター、消費生活窓口に設置されている。消費者庁地方協力課と独立行政法人国民生活センターは、消費生活センターや消費生活相談窓口の支援等を行っている。消費生活センターは、都道府県は設置必須、市区町村は努力規定となっている。消費生活相談窓口は、消費生活センターの基準(週4日以上の窓口開所、消費生活相談員の配置、PIO-NETなどの電子情報処理組織その他の設備の配置)を満たさない相談窓口である。現在は、全市区町村に消費生活センターまたは消費生活相談窓口が設置されており、相談に対応するのは消費生活相談員(約3000名、自治体採用)である。   p146   図表98 類似制度調査の結果  法務省・人権擁護機関による人権相談  基本情報 名称 人権相談  開始時期 人権相談所は昭和24年に初めて開設された。  目的 憲法に保障されている基本的人権を擁護し、自由人権思想の普及高揚を目的とする。  所轄官庁・担当部署 法務省人権擁護局調査救済課  相談体制 相談のあり方に関する基本的な考え方 人権問題に関して相談に応じ、助言等の必要な措置を採ることにより、憲法に保障されている基本的人権を擁護し、併せて自由人権思想の普及高揚を図る。  相談体制構築の経緯 昭和24年に、全国の法務局職員と人権擁護委員が人権相談を担うようになった。  取り扱う相談の内容 セクハラ、パワハラ、家庭内暴力、体罰やいじめ、インターネットでの誹謗中傷、差別等を含む様々な人権相談に応じている。  相談窓口の設置状況 〇全国の法務局・地方法務局又はその支局内に常設相談所を設置。〇市町村役場や公民館等の公共施設、デパートや社会福祉施設等に特設相談所を随時開設。  対応する相談員 法務局職員や人権擁護委員(法務大臣が委嘱した民間ボランティア)が対応。  相談員の確保・育成 〇人権擁護委員は、市町村長から推薦された候補者の中から、法務大臣が委嘱(人権擁護委員法第6条)。〇人権擁護委員は、定期的に相談対応を含む研修を受講。  関係機関との連携 支援を受けている機関・受けている支援の内容 相談内容に応じて、関係機関を紹介するほか、関係機関との間で情報共有を行っている。  支援している機関・支援している内容 同上。  国・都道府県・市区町村の役割分担 特になし。  相談件数等 平成30年度・31年度・令和2年度における相談件数 平成30年:216,239件、令和元年:203,570件、令和2年:173,634件。  主な相談の内容 相談内容は多岐にわたるが、インターネット上の誹謗中傷や学校におけるいじめ、住居・生活の安全関係の相談が多い。  最近の傾向 人権相談の件数は近年、面談による相談を中心に減少傾向にある。直近は、新型コロナウイルス感染症の影響が要因と考えられる。  相談事案の取り扱いの基本的な流れ 相談発生~対応の基本的な流れ 人権相談の処理としては助言が多く、相談者からの救済の申し出があり、相談内容から人権侵犯に該当する疑いがあるときは人権侵犯事件に切り替え、調査結果を踏まえ、事案に応じた適切な措置(援助、調整、説示等)を講じている。なお、調査結果によっては、侵犯事実を認定することができない場合もある。  相談者からのアクセスを向上するための方策 幅広いツール(面談、電話、手紙、インターネットメール等)により人権相談を受け付けている。  ICTの活用状況 面談・電話以外に、インターネットメール等により人権相談を受け付けている。また、SNSの活用を順次拡大していくことを検討している。  相談を掘り起こすための周知啓発方策 ポスター、リーフレット、ホームページ、SNS、新聞、広報誌など、様々な媒体で人権相談窓口の周知を図っているほか、専用相談電話の強化週間を設けて、集中的に広報を行っている。  相談事案の事例の収集・共有の仕組 事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む) 〇人権相談に関する統計作成に必要な項目をシステムに入力している。〇各法務局・地方法務局において、管内の相談事例を収集・把握。  事例の共有・情報発信 人権擁護機関が救済措置を講じた具体的事例を年に10件程度抽出し、ホームページ等で公開。  その他 相談体制の構築を進める上で必要なこと・課題等 被害者の実効的救済に向けて、加害者に直接指導・改善を要請することができる立場にある業界団体や当該所管省庁を関係機関として含めることが有益。  障害者差別解消に係る相談窓口を設置する際のアドバイス ―    総務省・行政相談  基本情報 名称 行政相談  開始時期 行政管理庁が、国の行政機関の業務の運用改善を目的とする行政監察の一環として昭和30年2月に開始。「苦情相談暫定処理要領」を策定し、国民の行政に関する苦情等を聞いてその解決を促進するための相談窓口を開設。  目的 担当行政機関とは異なる立場から、行政などへの苦情や意見、要望を受け、その解決や実現を促進するとともに、行政の制度や運営の改善に生かすことを目的とする。  所轄官庁・担当部署 総務省行政評価局行政相談企画課  相談体制 相談のあり方に関する基本的な考え方 個人(個別)の問題を解決することと、問題点の原因となっていると思われる行政の課題を改善することの2つの役割を有する。  相談体制構築の経緯 管区行政監察局と一部の地方行政監察局における監察業務に付随して実施されていたが、相談件数が多かったため、全管区行政監察局及び地方行政監察局に相談窓口を開設。  取り扱う相談の内容 〇国の行政すべてを対象とした幅広い相談に対応。〇相談窓口がわからない、という相談を受け付けることが多い。  相談窓口の設置状況 〇全国に50か所の出先機関を設置。〇全市区町村に1人以上の行政相談委員を約5,000人配置。○全国の主要都市(17都市)のデパート等に総合相談所を開設  対応する相談員 〇総務省にある全国50か所の出先機関職員約700人が行政相談に関連。〇全国の市区町村に必ず1人は配置された約5,000人の行政相談委員(ボランティア)も相談業務を担当。  相談員の確保・育成 〇行政相談委員は、市町村長からの推薦を受けて、総務大臣が委嘱。研修や自主的な勉強会を実施。〇職員を対象とした研修では、業務の基本的な知識や相談対応方法を共有。  関係機関との連携 支援を受けている機関・受けている支援の内容 中央レベルの府省の連絡協議会で、窓口担当者同士の情報交換や協力要請を実施。  支援している機関・支援している内容 国の行政機関、独立行政法人、特殊法人、都道府県・市(区)町村(国の仕事の関係)に対する支援を実施。  国・都道府県・市区町村の役割分担 総務省の出先機関において、管轄内の国の機関・自治体等と情報共有・協力を要請。  相談件数等 平成30年度・31年度・令和2年度における相談件数 平成30年度:169,100件、令和元年度:163,689件、令和2年度:119,116件。  主な相談の内容 医療保険・年金、雇用、道路、社会福祉、交通機関などの相談が多いが、行政相談が担当する相談では、「どこに相談したらよいか分らない」といった入り口の整理の場合が多い。  最近の傾向 新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、定例相談所における対面での相談受付が一定期間中止されるなど、委員活動が減少したことにより、令和2年度の受付件数は、大きく減少している。  相談事案の取り扱いの基本的な流れ 相談発生~対応の基本的な流れ 行政相談を受けた当該機関での処理が原則であり、担当者の回答で終了する相談が大半であるが、対象機関への照会・あっせんが必要な場合もある。基本的には担当者からの回答で完結する。  相談者からのアクセスを向上するための方策 電話を中心とした相談を受けているが、手話通訳を導入しているケースもある。  ICTの活用状況 今後はオンライン会議システムによるリモート相談の導入を検討しており、現在、数か所で試行的に導入している状況。  相談を掘り起こすための周知啓発方策 〇ポスター・チラシの活用。○市町村広報誌への掲載依頼○政府広報の活用〇「一日合同行政相談所」の開催。  相談事案の事例の収集・共有の仕組 事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む) 〇各局所、センターが受け付けた行政相談をデータベースに一元管理。〇行政分野や相手機関、氏名や連絡先、相談履歴、解決したかどうかを入力。  事例の共有・情報発信 〇入力された相談事案は各局・センターで閲覧可能。〇データベースに入力された相談事案を定期的に確認し、意見交換や個別指導を実施。  その他 相談体制の構築を進める上で必要なこと・課題等 〇国家公務員の定数が削減傾向にあることから、AI等の仕組みの活用を検討。〇非対面での相談受付に向けたICTの活用。  障害者差別解消に係る相談窓口を設置する際のアドバイス 〇相談が必要な方々への周知の方法を考えること。〇通常の情報の流れの他に個別のコミュニティの活用。    消費者庁・消費生活相談  基本情報 名称 消費生活相談  開始時期 1960年代に一部の地方自治体での自治事務として取り組みを開始したのち、全国的に広がる。  目的 消費者の救済やあっせん、消費者への注意喚起等による消費者保護、不当な取引や表示に関する悪質事業者への指導・処分、欠陥品や消費者事故につながる商品やサービスの早期発見による消費者安全の確保等。  所轄官庁・担当部署 消費者庁地方協力課、独立行政法人国民生活センター  相談体制 相談のあり方に関する基本的な考え方 事業者と消費者の間に生じたトラブルの適切な解決を図るため、助言やあっせん等を実施。  相談体制構築の経緯 〇1970年に国民生活センターを設置。〇2009年に消費者庁を設置し、すべての地方自治体での消費生活相談体制を確保。  取り扱う相談の内容 商品の購入や、サービスを利用した際の販売方法・契約・品質・価格などのトラブルに関して、トラブル解決のための助言、あっせん、情報提供等  相談窓口の設置状況 〇地方自治体に消費生活センター又は消費生活相談窓口を設置。 〇都道府県は必ずセンターを設置し、市町村については努力規定。 ※法令上に消費生活センターの基準が存在し、その基準を満たさない窓口は消費生活相談窓口となる。  対応する相談員 全国に設置された約3,000人の消費生活相談員が、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談・あっせんを実施。  相談員の確保・育成 〇「消費生活相談員資格試験」に合格した者又はこれと同等以上の専門的な知識及び技術を有すると都道府県知事若しくは市町村長が認めた者のうちから任用。 〇国民生活センターで実践研修を実施。  関係機関との連携 支援を受けている機関・受けている支援の内容 各業の所轄省庁や、業界毎のトラブルを扱う相談窓口等を対象に他機関紹介を実施。  支援している機関・支援している内容 国民生活センターが、各自治体の消費生活センター等からの問い合わせに対し、助言や共同処理、移送を実施。  国・都道府県・市区町村の役割分担 地方公共団体の消費生活センターの休業日に、国民生活センターが代替的に業務を実施。  相談件数等 平成30年度・31年度・令和2年度における相談件数 2018年:102.6万件、2019年:94.0万件、2020年:93.4万件。  主な相談の内容 デジタルコンテンツやインターネット接続回線に関する通信サービスや架空請求を含む商品一般、健康食品の定期購入に関連した食料品の相談件数が多い。  最近の傾向 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、新型コロナウイルスワクチン詐欺に関連した相談に対応するための相談専用ダイヤルを設置。  相談事案の取り扱いの基本的な流れ 相談発生~対応の基本的な流れ 〇全国共通番号(188、ナビダイヤル)により、地方公共団体の消費生活センターが相談を受ける。解決が難しい場合は国民生活センターで対応する。 〇国民生活センターの裁判外紛争解決手続き(ADR)は、重要消費者紛争に対応している。  相談者からのアクセスを向上するための方策 ポスター・チラシ、SNS等を活用。  ICTの活用状況 現在は電話対応が中心だが、アクセシビリティ向上のため多チャンネル化を検討。  相談を掘り起こすための周知啓発方策 〇ポスター・チラシ、SNS等の活用。 〇制度の長い歴史により、すでに一定の知名度がある。  相談事案の事例の収集・共有の仕組 事例の収集・蓄積(事例内容・情報の整理軸を含む) 〇全国共通のフォーマットにより事例を一元管理。 〇入力内容は事業の性質上公開不可。  事例の共有・情報発信 〇消費者庁と各消費生活センター等をつなぐシステムで一元管理し、閲覧可能な人員を限定。 〇国民生活センターを通じて、重要事例を相談員に周知。  その他 相談体制の構築を進める上で必要なこと・課題等 〇電話に代わる相談受付方法の検討。 〇体制構築のための費用面での確保が重要。  障害者差別解消に係る相談窓口を設置する際のアドバイス ―   p151  6. 有識者調査の結果  6.1 有識者調査の概要  6.1.1 調査目的  検討会で相談体制の在り方に関する基本的な考え方等をとりまとめる上で必要な専門的知見を有する有識者の立場から、助言や提案等を聴取するため、調査を実施した。    6.1.2 調査対象、調査時期  調査の対象、時期は以下の通りである。  図表99 有識者調査の実施経過  調査対象、実施日時を以下に示す。  1検討会 小牟礼構成員、穂苅構成員、又村構成員 2021年12月2日(木)13:00~15:00  2佐藤彰一國學院大學教授 2021年12月3日(金)10:00~11:00  3日本弁護士連合会 2021年12月2日(木)15:30~17:00  ※全件、WEB会議方式で実施。    6.1.3 調査方法  WEB会議方式で、有識者に事務局がヒアリングを実施した。    6.1.4 調査項目  調査項目は以下の通りである。  図表100 有識者調査の調査項目  調査対象、調査項目は以下の通り。  1検討会 小牟礼構成員、穂苅構成員、又村構成員  ・都道府県・市区町村行政と関係機関との連携:関係機関との役割分担・体制構築、個別の相談事案における連携  ・都道府県・市区町村行政における相談機関へのアクセス向上策:ICT活用に関する工夫・課題、相談を掘り起こすための周知啓発方策  ・都道府県・市区町村行政からみた相談体制の構築に対する課題・意見等:相談体制の構築に係る工夫・課題、地域協議会の活用状況    2佐藤彰一國學院大學教授  ・障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  ・相談の実施体制、相談事案の取扱いの基本的な流れ  ・関係機関との連携  ・相談者(障害者、事業者)の相談機関へのアクセス向上、相談の掘り起こし、周知啓発の方策  ・相談対応に係る人材の確保・育成  ・相談事例の収集・共有の仕組み  ・相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと    3日本弁護士連合会  「自治体対象者向け障害者差別解消相談対応マニュアル」を作成した経緯  作成過程で明らかになった自治体の困りごと等  マニュアル作成の際の工夫した点・課題等  マニュアルを活用したセミナー等実施の有無  マニュアルに対する地方自治体の反応  マニュアル作成経験をふまえた相談体制の在り方 p152   6.2 調査結果  有識者調査の結果を以下に示す。    6.2.1 検討会構成員  (1) 関係機関との連携  1) 関係機関との連携や、支援内容、役割分担  国には国民が相談できるワンストップ相談窓口の設置を希望。  国のワンストップ窓口の相談員は、当初5~10人程度の配置で始動することを想定。  連携先を探すのが難しい、あるいは判断が難しい相談事例があった場合に、当該事例の対応を実施する市町村のフォローを行う機関の設置を希望。  2) 国から移譲されている権限に基づくもの、あるいは条例等による自治体独自の権限による救済措置による相談事案解決  都道府県と国とが連携することで解決する事例も多いと思われるため、適切な国の部署につなぐ機能が重要で、国版の地域協議会が必要。 p153   (2) 相談機関へのアクセス向上策  1) 相談を掘り起こすための周知啓発方策  広報より一歩進んだ啓発が重要で、障害当事者、家族を含め権利侵害のケースを具体的に示すことが必要。ある自治体での障害者向けアンケートで7割が「差別を受けたことはない」、事業者向けで6割が「差別に該当する事象がある」という回答もあり、障害者側が相談の必要性に気付くことの重要性を示唆。  当事者に日常生活を語ってもらうだけでも他の障害特性の人も含めて多くの気付きが得られるのに加え、合理的配慮の欠如のケースを整理しマニュアルにまとめること等も可能。  気付きの啓発に関しては国で一括して取り組み、それを自治体に広めていくのが肝要。  大阪府では障害理解の促進等を目的に「共に生きる障がい者展」を実施している。令和3年度は合理的配慮や障害者差別解消についてわかりやすく学ぶことができるフォーラムを開催し、動画配信している。詳細を下記に示す。    図表101 地方自治体での取組みの紹介(大阪府)  第18回共に生きる障がい者展として実施した、Web版ともいきの開催の事例を示す。  大阪府では、障がいのある人もない人も一堂に会し、ふれ合いながらお互いの理解を深めることを目的として、様々なプログラムを行うイベント「共に生きる障がい者展」を開催してきた。今年度は、新型コロナウイルス感染症対策のため、初めてWeb開催とし、府ホームページにて公開している。    「Web版ともいき」のプログラム例は以下である。  ・フォーラム「身近な事例を基に障がい者差別解消について考える」(動画配信)  ・大阪府障がい者芸術・文化コンテスト(動画配信)  ・IT機器展2021・ユニバーサルデザイン生活展  ・すべての人に読書の楽しみを~様々な読書の方法のご紹介~  フォーラム「身近な事例を基に障がい者差別解消について考える」と大阪府障がい者芸術・文化コンテストは動画配信形式で実施された。    なお、フォーラムのプログラムは以下である。  ・令和3年4月に大阪府障がい者差別解消条例を改正し、「事業者による合理的配慮の提供」を義務化  ・「合理的配慮」「障がい者差別解消」について、実際にあった相談事例をもとにした寸劇で紹介  ・有識者・事業者・障がい当事者等によるパネルディスカッション 地方自治体での取組みとして、長野市では障害者理解促進を目的として、障害のある人を特別視することなく障害のある人が安心してサービスを利用できる「心のバリアフリー」の気持ちのある店を「長野市障害者にやさしいお店」として登録(エントリー)する事業を実施している。詳細を下記に示す。 p154 図表102 地方自治体での取組みの紹介「長野市障害者にやさしいお店登録制度」  「長野市障害者にやさしいお店登録制度」の趣旨は、 障害のある人を特別視することなく、障害のある人が安心してサービスを利用できる「心のバリアフリー」の気持ちのある店を「長野市やさしいお店」としてエントリー・登録してもらい、障害のある人の社会参加を応援していくもの としている。  「やさしいお店」とは、以下の5点について、適切な対応ができるお店である。  ・障害を理由としてサービス提供拒否や入店拒否をしないこと  ・心のバリアフリーを大切にした店づくりを進めること  ・合理的配慮の提供に努めること  ・障害者の社会参加を応援すること  ・障害者との対話を大切にすること  本事業開始にあたっては、平成30年4月より当事者、民間事業所、福祉関係者、行政がメンバーとなり、やさしいお店プロジェクトを始動した。この際、差別解消地域協議会で協力要請を行っている。その後、シンボルマーク案を令和元年9月に決定し、令和2年1月17日には、タウンミーティング「やさしいお店登録制度説明会」を実施した。令和2年2月28日にはステッカー贈呈式を実施している。なお、登録一号店は「そば亭油や」である。  「長野市障害者にやさしいお店」に登録するためには、以下の4ステップが設定されている。  ①「やさしいお店づくりマニュアル」を読み基本事項を理解  ②長野市に「登録申込書」を提出  ③長野市から「ステッカー」及び「リーフレット」を送付  ④入り口等にステッカー、店内にリーフレットを掲示  なお、「長野市障害者にやさしいお店」のシンボルマークは、障害のある人もない人も共に生きていく社会の実現に向けて、人と人がつながり、お互いの個性を尊重し合い、協力し合い、支え合える社会を目指して制定された。  安らかな笑顔を取り囲む花びらのような7つのハートは、よくみると少しずつ形が違っており、これはいろいろな人のいろいろな形の優しさが、障害のある人をはじめ多様な個性を包み込む社会を表現している。  本事業は、社会福祉法人 森と木 への委託事業であり、以下の事項を委託している。  ・店舗等の申請受付・登録・台帳管理  ・登録店に対する啓発、助言  ・ステッカー、マニュアル、リーフレットの作成  ・長野市障害ふくしネットとの協働による事業実施      なお、店舗等の申請受付・登録・台帳管理の一部は長野市障害福祉課で実施している。  本事業の目標登録店数は、毎年200店を5年間として、1000店であり、令和4年 1月31日時点では 256店である。  事業の終期設定は、目標達成時又は令和5年度であり、市の事業終了後は事業の協働先である「長野市障害ふくしネット」へ事業を移管を予定している。  2) ICT活用に関する工夫・課題  電話相談が困難な人に対しメールやFAXでのアクセスを周知する等、アクセシビリティの平等性確保が必要。電話リレーサービスもICT活用の1つ。  総務省LGWANにおけるセキュリティー・リスク管理の制約からSNSの利用が広が p155 りにくく、Zoom等の活用も不十分な可能性があり、LGWANの機能拡張も併せて言及することが必要。  SNSでの差別相談に係るツールの使い方の提示が必要。一方、相談窓口の周知・啓発としてのSNSは、障害者差別や人権に関するイベントの告知や、イベントのビデオ動画の配信等に活用可能。    (3) 地域協議会の活用状況  虐待防止と差別解消を一緒にした地域協議会を設置する自治体の例では、警察(関係案件に差別事案が多い)も参加。他には、消費生活センターとの連携も候補。消費生活センターは都道府県設置・広域設置の場合、都道府県からの後押しが重要。法務局・労働局・運輸局、教育委員会、弁護士・司法書士、医師会とも、具体的な相談対応で連携。  市町村規模を考えると、全ての市町村で個別の協議会設置は困難。地域協議会未設置の市町村には、都道府県からの助言・アドバイスが必要。地域協議会の形骸化対策として、都道府県担当者や相談員が出向いて話をするという事例も存在。  各協議会は趣旨に合わせて独立設置・運営することが理想だが、趣旨の似ている協議会はまとめた形も考えられる。ただ、複数協議会をまとめて開催するケースでも、差別解消に必要な関係者は含めるべきで、趣旨の異なる議論を行うため同一日で開催時間を区分する方式等も考慮する必要。  地域協議会で最低限行うべき活動として、差別解消に関する施策の策定・運営等に関するPDCAの議論や、事例検討、職員の対応要領の策定等。    (4) 相談対応を担う人材の育成・業務の質の向上  相談対応のノウハウは、置かれた場面によって求められるものが異なる。①市町村で差別解消を主に担当する場合、②相談をファーストコンタクトでキャッチする場合、③地域協議会を含めて行政介入を行う場合、④権限行使について都道府県・国と連携する場合などがあり、現状では①や③が主。  相談対応者には経験の蓄積と、傾聴だけでなく事業者との調整能力も求められるレベルの高い相談業務である。  ファーストコンタクトを受け付ける窓口人材については、福祉事業所職員やサービス担当者などを含め、適切な相談窓口につないでいく能力・感度の高さなど共通のリテラシーが必要で、国の方で共通教材などの作成を希望。    (5) 事例の整理・分析・共有方法  国として全国的な事例共有の仕組みを期待。内閣府が収集した事例の自治体への共有を希望。ただしオープンな形での共有は、案件の個別性が失われるケースも出てくるため、パスコード設定し閲覧者を限定する等、共有方法は要検討。  国による有権解釈等のQ&A作成が必要。  事例が少ない自治体では国で事例データベースを構築、対応まで含めた開示を期待。  一方、最初は事例そのものの掲載ではなく、検討の素材の一つとしてのモデル事例で p156 データベースをスタートする方策もあり。具体的な事例を内閣府で収集・整理し、各自治体にフィードバックしたもので解決・対応の方法が検討可能な形式を想定。法改正で事例収集は自治体の努力義務になったため、規定通りの対応であれば自治体から事例収集も可能。    6.2.2 佐藤彰一國學院大學教授  (1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  「差別」の切り口では「自分は差別されている」と思う人以外は相談にはあまり来ず、むしろ「生活困りごと相談」くらいの切り口の方が、相談につながると思料。消費生活相談や就労、生活困窮などの相談にも根本に差別の問題が潜んでおり、相談を受けた側が、差別の存在に気付く必要あり。  差別事案が多くある中で各自治体の障害福祉課等の職員に相談が来るが、職員も権限はなく相手方事業者との板挟みになるため、国として相談を解決する仕組みを作る必要があり、自治体の職員が関与する場合には、職員側に明確な権限・役割を与えることが必要。    (2) 相談の実施体制、相談事案の取扱いの基本的な流れ  差別を扱う相談窓口を行政内に設定するとしてもそれは2次相談で、最初に受け止める生活相談が1次相談であり、それらには消費生活相談や生活困窮、場合によって警察関与の事案など様々な相談を包含。そこから差別事案を拾い上げ、2次相談、差別解消に向けてアドバイスという流れと認識。  差別とは関係ないと思われる部署であっても、行政内の全ての相談対応者が、差別に対する意識を持ち、差別が潜んでいるケースがあれば差別専門の相談窓口につなぐことが必要。    (3) 関係機関との連携  1次相談で「差別」に気づき、該当案件を差別に特化した機関につなげる必要があるが、現状ではつないでも解決に至らないため、その解決の機関を作ることが必要。障害者差別解消法においてもそのような機関は規定されておらず、法律家に相談しても、調整・解決の制度はないことから、調整・解決の機関を作ることが必要。  斡旋の仕組みはあるが、行政職員から相手先事業者に強制する権限がなく、相手先事業者が「どうにもできない」との話で終わってしまい、相手先事業者の名前を公表も困難。  そこでADRのような仕組みを設ければ、相手先事業者と一緒に差別解消に向けて考えていける。    (4) 相談対応に係る人材の確保・育成  法律家だから適任、社会福祉士だから適任という資格ベースの議論ではなく、障害者 p157 の生活や環境、抱えている課題を感じる人間的なセンスを持つ人材が必要で、行政側ではそのような人材を発見するアンテナを高く張ることが必要。センスは育まれるもので、そうした人材を研修で養成することは困難と思料。  差別相談は主観的な問題が多くのウェイトを占めており、感情の問題になってしまうと相談者の納得を得られにくい。そうした問題に対応する行政職員の「心が折れる」ケースも心配であり、行政職員に対するケアを行うこと(研修・支援等)が必要。    (1) 相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと  国の役割も重要であり、ADRのような紛争解決の手段を設定することに期待。  弁護士に対する支援も国として必要。弁護士が差別事案に関わる際に相応の報酬を得ることができ、差別解消に取り組みやすくすることが必要。    (5) 相談体制構築を円滑に進める上で必要なこと  国の役割も重要であり、ADRのような紛争解決の手段を設定することに期待。  弁護士に対する支援も国として必要。弁護士が差別事案に関わる際に相応の報酬を得ることができ、差別解消に取り組みやすくすることが必要。    (6) 公正・中立な相談機関として、障害者に寄り添いつつ事業者からも信頼される相談体制の在り方について  今の世の中の状況で事業者も対話を拒む姿勢は持たないと考えられるが、問題の解消の仕方でのズレ、相談者のニーズと事業者の姿勢にズレがあると、話し合ううちに感情的な対立が生じることがある。この対立を調整することが必要で、現状は両者の間に行政職員が板挟みになるが、行政職員には権限・役割がなく調整できないため、調整のノウハウを持つ人が解決に向けて動ける制度が必要。  調整・解決のための機関は、理想的には人口10万人程度に1か所ずつの設置が適当。  相談対応にWebの活用も考えられるが、Webでの相談は匿名のものが多くなると思われ、そのような匿名の案件は本来の相談と言えるのか疑問。    (7) 地域協議会のあり方について  現状設置されている地域協議会は周知・広報の役割が多く、相談対応や紛争解決の機能を持っているケースはほとんどない。地域協議会にADR的な機能を持たせるのは現行法制度では難しいため法改正の必要がある。機関に権限がないことと、そのために調整を担う人材の力量が育っていないため、きちんとした権限・権能を付与することが必要。  架空事例の模擬的な検討は可能であり、進めるべきで、関係者間で「頭の訓練」を行うことが必要。  日常的に差別相談に関与する職員の立場を明確にし、職員に寄せられている相談事例をもっと公表して共有する仕組みが必要で、その仕組みを地域協議会で作ることが地域協議会の形骸化の防止にも寄与。  各自治体の地域協議会はレベルがバラバラであり、地域の関係者が集まって差別について話し合うこと、地域協議会メンバーが差別解消法を勉強することを期待。  地域協議会は、毎月開催して参加可能なメンバーが適時参加する形、重要な相談案件が発生した際の随時開催も考えられる。  行政職員と地域協議会の接点を増やすことが必要。 p158   6.2.3 日本弁護士連合会  (注)下記内容全てが日本弁護士連合会としての意見ではなく,ヒアリングに出席した弁護士個人の見解が含まれる。    (1) 「自治体対象者向け障害者差別解消相談対応マニュアル」(以下「マニュアル」)作成の経緯  日弁連では2002年に人権擁護委員会障害のある人に対する差別を禁止する法律に関する調査研究委員会(現:人権擁護委員会障がいを理由とする差別禁止法制に関する特別部会)を設置。障害者差別禁止法の制定を求めていたが、成立した障害者差別解消法には障害者権利条約及び当連合会が従前から求めてきた内容と比べると不十分な点があるとともに、条例の有無も背景に自治体ごとに対応の差異が考えられ、地域格差が生じることを懸念。  障害者差別解消法を見ても、それだけでは差別相談に対応することは困難。差別相談は人権に関わるし、解決には法的思考が必要なため、法律家の関与が必要である。思考過程を示した本マニュアルを契機にこのことについての行政と弁護士の連携を期待。  先進的な自治体での事例集はあっても対応マニュアルはほとんどなかった。法律の条文や基本方針だけでは、行政職員や一般福祉職レベルで解決の道筋を立てることは困難との認識。    (2) マニュアル作成の際の工夫した点・課題等  1) 障害者差別の解消に向けた相談の在り方に関する基本的な考え方  不当な差別的取り扱いと合理的配慮の不提供の区別が難しく、明らかに不当な差別的取り扱いと考えられる事案でも、合理的配慮の不提供として処理されるケースが存在。  不当な差別的取り扱いの解消をまず検討すべきことをマニュアルで周知するように意図。  実際には権利侵害がなされていても曖昧に処理されてしまうため、マニュアルでは対応のフローチャートを作成し対応の仕方を整理。最初は不当な差別的取り扱いを考え、そうでなかった時に合理的配慮の不提供に当たるか検討する流れ。  2) 相談の実施体制、相談事案の取扱いの基本的な流れ  相談が入った時に、きちんと話を聞き、相談に対応していく姿勢が重要である点を記載。  苦情や一般的な相談に見える場合であっても先入観を持たずきちんと話を聞くと、不当な差別的対応の問題であることもあるため、自治体が介入することで解決につなげられる可能性がある点を強調。  相談を広く受け付けられるよう、一般的な相談でも根本に差別の問題が関係してい p159 ないかと考える姿勢が必要で、それには一般行政職員にもまず差別解消法を知ってもらうことが重要。  大阪市では、毎月開催される事例検討会に報告が上がり対応を検討。同検討会には行政職員に加え、対応についての助言ができる人材(弁護士・当事者・学者)を配置。話の聞き方や、調査の仕方、調整の仕方などのアドバイザーも必要。  各自治体の取り組みや事例をリファレンスする仕組みが必要で、それらの情報を自治体職員が独力で集めることは難しいため、将来的には国がデータベース化することが理想。  差別相談の件数の増加のため、相談窓口の明確化が必要。    (3) 関係機関との連携  国、都道府県にも市町村にもワンストップの相談窓口を設置することを期待。国としての相談窓口は、全国的な大企業を相手先とする事案の対応には必須。  差別の事案として法的整理が必要であり、弁護士会と連携は必要。福祉的な観点からは社会福祉士会、精神保健福祉士会をはじめとした福祉職が関与することで、障害特性に応じた対応が可能。  都道府県が率先して、自治体職員と弁護士の懇談会のようなものを開催することを期待。    (4) マニュアルを活用したセミナー等実施の有無、(実施の場合)実施に当たって工夫した点や課題等  日弁連として障害者差別解消法に関する研修(キャラバン)を各地の弁護士会で開催し、弁護士が差別相談の事案へ対応できることを目指す。    (5) マニュアルに対する地方自治体の反応(自治体での活用実績等)  自治体職員からはもっと弁護士と行政が協力・連携したいという声あり。  マニュアルを評価してくれる自治体は意識の高い自治体。多くの自治体はまだ差別相談に対応した経験に乏しい。  現状のマニュアルは中級編の内容を含んでおり初級者には難しいところもあるので、対象者に応じて,より分かりやすい初級編の内容を意識したマニュアルが必要。  各自治体で相談対応に責任を持つ部署が設置され、職員が実際に対応する段階になって初めて本マニュアルの活用段階に到達。    (6) 相談者(障害者、事業者)の相談機関へのアクセス向上 、周知啓発 の方策  相談窓口が明確に設定され解決の仕組みがあることが市民に周知されることが相談に直結。住民に、相談すれば何とかなる、窓口に話を持ち込むと解決する、という姿を示すことが必要。 p160  (7) 相談対応に係る人材の確保・育成  差別相談に対応するためには高度な専門性が必要なため、都道府県・指定都市レベルで人材育成の予算化(専門職を配置すれば予算が付くなど)の仕組みが必要。  一方で、相談者の話を聞く、訪問して実際の現地を見ることができるのは地元市町村の職員であり、広域的な人材での対応は難しいため、地元市町村の職員と当該職員への助言等を行う広域的な人材を組み合わせた対応が必要。遠方の職員に対する助言等の実施に当たっては、オンラインの活用も要検討。  差別相談に関係するのは障害福祉課だけではなく、学校教育、さらには建設・土木やなど全ての部署が関係していることから、関連部署ごとの研修や一般職員向けの研修も必要。  条例で差別解消を明確に規定している自治体では相談の件数も多い傾向。一般的な相談に差別関連の相談もあるはずで、相談を受ける自治体職員全体の差別に関する意識醸成が必要。 p161    7. 障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について(今後の方向性)  7.1 基本的な考え方  ・今般、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(平成25年法律第65号。以下「障害者差別解消法」という。)が一部改正され、事業者の合理的配慮の提供が義務化されることとなった。障害者差別解消法が平成28年に施行されて以降、障害者団体、事業者、行政機関等など様々な関係者の努力により、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に尊重し合いながら共生する社会の実現に向けた取組が着実に進められている。今般の事業者に対する合理的配慮の提供の義務化はこれらの取組を更に推し進めるものであるが、障害者差別解消の取組を進める上では、障害者に対する支援を行うことはもちろんのこと、義務化の対象となった事業者が適切な取組を行えるよう、相談対応や情報提供などの必要な支援を行うことが不可欠である。地域の住民が、より安心して、暮らしやすい地域となり、共生社会の実現に資するよう、改正法の円滑な施行に向けて、地方公共団体と国は、連携して相談対応、事例の共有等に関する仕組みを整備し、総合的・一体的取組を推進する必要がある。本項では、前項までで整理した調査結果や検討会における議論等を踏まえ、障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方について基本的な考え方を整理した上で、取組が必要と考えられる事項等について述べることとする。  ・障害を理由とする差別に関する相談(以下「差別相談」という。)については、現在、国及び地方公共団体に様々な相談窓口が存在している。個々の相談者のニーズに応じアクセスが可能な窓口が複数存在することは重要であり、適切な役割分担の下、これら複数の既存窓口を活用・充実していくことが必要である。相談対応に際しては、差別相談の特性上のニーズに応じたマルチチャンネルでの対応の重要性に留意しつつ、まず相談者にとって一番身近な市区町村が基本的な窓口の役割を果たしつつ、都道府県が市町村への助言や広域的・専門的な事案についてのフォローや必要に応じて一次窓口の役割を行い、国においては各府省庁が所掌事務に応じて相談対応を行うという役割分担を基本とすることが考えられる。障害者差別の解消を推進する立場にある内閣府には、どの機関に相談があろうとも、相談があった機関から適切な機関に対して必要な連携・協力依頼が行われ、適切な対応が図られるよう、国及び地方公共団体の相談体制構築・強化に向けた司令塔としての役割を担うことが求められる。  ・各地域における関係機関のネットワーク構築・強化を図る観点からは、「障害者差別解消支援地域協議会」(以下「地域協議会」という。)の活用も重要である。現状では協議会の設置や運営に課題を抱えている地方公共団体もあることから、構成員や議題、開催形式の工夫等を通じて協議会の活動を活性化させることが求められる。  ・また、差別相談の解決を図るためには、障害者権利条約の理念や障害の「社会モデル」の考え方等を理解した上で、障害者の日常の困りごとから差別事案を拾い上げて適切に対応できる人材・公正中立な立場から相談対応を行える人材が必要不可欠である。具体的には、国及び地方公共団体において、広域支援相談員等その他の相談対応を担う者に対する研修等の実施を通じて、相談対応を行う職員の専門性の向上を図 p162 ることが求められる。この場合においても、人材育成に係る取組に格差が生じることのないよう、内閣府が各省庁や地方公共団体のバックアップを行うことが求められる。  ・さらに、障害者差別の解消を推進するためには、事例の収集・分析・共有を通じて、障害者と行政機関等及び事業者との間で障害を理由とする差別的取扱いや合理的配慮の考え方等に係る共通認識の形成を図るとともに、各相談機関における事案対応力を向上させることが重要である。地方公共団体においては、地域協議会の開催を通じた取組を行うことや、内閣府においては、障害者、事業者、各相談機関等が合理的配慮の提供や相談対応等に当たって参照できるよう、収集事例の蓄積、分析、分析結果の共有等の対応が求められる。  ・上述の基本的考え方に基づき、次の項目以降では、取組が求められる事項についてより具体的に整理することとする。    7.2 障害者差別の解消に向けた相談体制の在り方  7.2.1 相談の実施体制の構築  (1) 障害を理由とする差別に関する相談体制の現状  ・地方公共団体における障害を理由とする差別に関する相談体制については、差別相談を一元的に受け付ける窓口(ワンストップ窓口)の設置や相談員の配置、疑義等が生じた場合に統一的な解釈や判断を行う部局等をあらかじめ定めるといった相談体制の整備を、96%の都道府県、85%の指定都市、83%の中核市等が行っている。一方で、34%の一般市、45%の町村においては、明確な相談体制はなく、相談を受けた部署や通常の相談窓口で対応を行っているのが現状である。  ・半数の都道府県において、市町村の相談機関における相談事案の解決を支援し、また市町村の相談機関では解決が困難な広域的・専門的な相談事案を取り扱う「広域支援相談員等」が配置されており、個別の相談対応や市町村相談員への技術的助言等の業務を行っている。  ・また、地方公共団体悉皆調査のクロス集計結果からは、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域は、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域や「相談実績がない」地域に比べて、ワンストップ相談窓口、障害者差別の相談員の配置、統一的な解釈や判断を行う部局の設置率が高い傾向にあり、特に「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域ではワンストップ相談窓口の設置率が57%となっており、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域(37%)や「相談実績がない」地域(41%)と比較して高くなっている。  ・地方公共団体における相談体制の構築パターンについて、本調査研究におけるヒアリング等を踏まえて整理すると以下の表のとおりとなる。 p163   図表103 各地方公共団体における現状の相談体制パターン  本事業では、本事業内で実施した好事例調査に基づき、都道府県の相談体制を2種類、市区町村の相談体制を6種類に分類した。  都道府県の相談体制は、広域支援相談員配置型と広域連携型の2種類とした。広域支援相談員配置型は、都道府県設置の広域支援相談員等が市区町村を支援する体制である。以降本相談体制を、相談体制分類Aと称する。相談体制分類Aでは、都道府県障害福祉課等に設置された広域支援相談員等の相談員が、市区町村の相談体制を支援する。なおこの際、都道府県に設置された地域協議会等と広域支援相談員等の相談員が連携し、市区町村の協議会や相談体制を支援する場合もある。  広域連携型は、市区町村で相談を受け、困難事例等は広域で支援する相談体制である。以降、本相談体制を相談体制分類Bと称する。相談体制分類Bでは、広域支援相談員等を設置せず、都道府県障害福祉課や都道府県協議会等が、市区町村の相談窓口や協議会を直接支援する方式である。なお、都道府県における相談体制分類AとBでは、それぞれワンストップ窓口を設置する場合としない場合がある。  市区町村における相談体制は、地域協議会を持たない場合と、地域協議会を持つ場合の2つに大別される。それぞれの類型において、窓口の設置形態により3種類に分類する。地域協議会を持たない場合については相談分類ア~ウ、地域協議会を持つ場合は相談分類エ~カとし、窓口形態として、複数窓口型、ワンストップ窓口型、重層窓口型の3種類を定義する。複数窓口型は、各部署・機関の窓口で相談を受け付ける方式である。ワンストップ窓口型は、相談を1つのワンストップ窓口で受け付ける方式である。重層窓口型は、ワンストップ窓口と各部署・機関の窓口で重層的に相談を受け付ける体制である。それぞれの窓口形態とその分類名は次の通りとする。  ・相談分類アは複数窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類イはワンストップ窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類ウは重層窓口型(地域協議会無し)  ・相談分類エは重層窓口・協議会連携型  ・相談分類オはワンストップ窓口・協議会連携型  ・相談分類カは重層窓口・協議会連携型    図表104 相談の実施体制構築パターン別自治体数  地方公共団体悉皆調査に基づき、図表5に示した類型で都道府県と市区町村の相談体制を分類した。都道府県での広域支援相談員配置型は18都道府県であり、全体の38%を占めた。そのうち、ワンストップ窓口を配置している都道府県が全体の34%を占める16箇所、ワンストップ窓口を配置していない都道府県が全体の4%を占める2箇所であった。  都道府県での広域連携型は全体の62%を占める29箇所であった。そのうち、ワンストップ窓口を配置している都道府県が全体の40%である19箇所、ワンストップ窓口を配置していない自治体が全体の21%を占める10箇所であった。  市区町村では、ワンストップ窓口を持たず、各部署・機関の窓口で対応する複数窓口型と、ワンストップ窓口を持つワンストップ窓口型・重層窓口型の合算で集計を行った。また、それぞれの窓口形態に加え、地域協議会の有無でさらに分類し、4分類で集計を行った。地域協議会を持たない複数窓口型は、全体の26.9%を占める468箇所であり、地域協議会を持たず、ワンストップ窓口を持つ自治体は全体の15.2%を占める265箇所であった。複数窓口を持ち、かつ地域協議会を持つ複数窓口・協議会連携型は、全体の30.7%を占める534箇所であり、ワンストップ窓口を持ち、かつ地域協議会を持つ自治体は全体の27.2%を占める474箇所であった。  出所)内閣府「令和3年度地方公共団体悉皆調査」    (2) 障害を理由とする差別に関する相談の体制構築の考え方  ・これまでの調査結果等を踏まえると、相談体制構築に当たり、以下の3つのプロセスごとに、それぞれ以下の事項に留意する必要があると考えられる。 p164  ・特に、地方公共団体における相談体制構築に当たっては、相談体制の地域間格差が大きい現状を踏まえ、地域の社会資源の状況、人口規模等に応じて、どの機能を、どの程度の規模(箇所数等)で、どのエリア単位(市区町村、圏域、都道府県)で相談窓口を整備するか等、段階的な体制整備方針を検討する必要がある。  ・また、国においても、地方支分部局又は各府省の相談窓口・担当課において相談対応を行うことから、以下の事項に留意した対応を検討する必要がある。  1) 相談の一次受付  ・相談の一次受付では、様々なチャンネルがあることが望ましい。  *差別相談はどこに相談に行けば良いか分かりにくいため、障害者も事業者も分かりやすいよう「差別相談窓口」と明確に看板を掲げた窓口が必要である。その際、全国共通の通称を決めておくことも、分かりやすさに寄与すると考えられる。  *一方、相談者本人が初めから差別という認識を持って相談に来るケースは少ないため、障害者からの生活上の困りごと相談や通常業務における事業者とのやり取り等の中から担当者が差別相談を拾い上げる必要がある。この点では、明示的な「差別相談窓口」だけでなく、日常的に生活支援に関わる部局や商工関係部局等も一次受付として重要な役割を担うこととなる。なお、これら部局等は目前の課題解決に注力せざるを得ない面がありつつも、差別事案への気付きや対応が後回しにならないよう留意することが求められる。  *身近なところで相談できる利便性の担保が重要である一方、差別相談の性格上、日常的な関わりがないところに相談したいというニーズもある。この点では、一次受付窓口の役割は必ずしも基礎自治体である市区町村のみが担うものではなく、圏域、都道府県、国の地方支分部局等国レベルでの一次受付窓口の重要性にも留意する必要がある。  2) 基本的な対応  ・窓口ごとに案件対応にばらつきが生じることのないよう、一次相談窓口で受け付けた差別相談については当該窓口のみで対応を完結させるのではなく、統一的な対応方針に基づく対応ができるよう、関係者間で案件を共有し、対応を検討することが望ましい。  ・相談の一次受付から案件終結までに想定される「基本的な対応」としては以下のような事項が想定される。  *相談者からの情報収集(事実確認)  *関係者での情報共有、対応方針の検討  *相手方からの情報収集(事実確認)  *関係者での情報共有、事案の評価分析、対応方針の検討  *相談者と相手方との調整、話し合いの場の設定  ・共有先となる「関係者」については、障害者施策関係部局のみならず、普段事業者等との関係がある部局(商工関係部局)等も含まれることに留意(なお、共有に当たっては、個人情報の保護のための所要の対応を行うことが必要である。) p165  ・上記の「基本的な対応」については、基礎自治体である市区町村レベルで実施できるような体制の整備が望ましい。  ・ただし、小規模な市区町村では、人材確保、ノウハウの蓄積等の観点から単独対応は難しい場合もある。また、一定規模の市区町村であっても、市区町村域を超えるため単独対応できない場合も想定される。このような場合は、都道府県が広域支援相談員等を通じて市区町村を支援することが期待される。  ・なお、相談者が障害者である場合や小規模事業者である場合等には、相談を躊躇したり諦めたりしてしまうことのないよう、公正中立な立場である相談窓口の担当者とは別に、相談者に「寄り添う」アドボケーターやアドバイザー等を置くことも円滑な相談対応に資すると考えられる。  3) 基本的な対応で解決が難しい場合の対応  ・基本的な対応で解決が難しい場合、次のステップとして以下のような対応が考えられる。その際、他機関への連携・協力を依頼する必要が生じることもあるが、その場合においては、権限を有する機関を判断し、当該機関に円滑に引き継ぎや連携協力の依頼を行うことが可能となるよう(「たらい回し」の防止)、後述のような担当機関の明確化、関係機関の連携が重要となることに留意する。  *当該地方公共団体による行政措置(条例により独自の権限を定めている場合や、障害者差別解消法第12条について、各事業法等における監督権限に属する事務を地方公共団体の長等が行うこととされている場合)  *当該地方公共団体による行政措置による対応ができない場合やより有効な解決を図ることができると考えられる場合等において、障害者差別解消法第12条に基づく主務大臣による行政措置(報告聴取、助言、指導、勧告)  ・上記1)~3)を踏まえた具体的な流れのイメージとしては以下フロー図のとおり(図は市区町村で相談の一次受付を行った場合の例)。 p166   図表105 障害者差別事案の相談対応フローのイメージ  (例:市区町村で一次受付を行った場合)  市区町村で一時相談を受けた場合の障害者差別事案相談フローのイメージとして、障害者差別事案や事業者案件の相談対応フローを示す。  なお、ここでの市区町村は、障害者差別解消に係る条例を定めておらず、報告徴収等独自の権限を有しない場合を想定していることに留意が必要である。    差別をされた障害者又はその代理人は、以下の①から③のステップに沿った初期対応を受ける。  ①相談の受付  相談の受付は各市区町村の障害福祉担当課又は、各市区町村の障害福祉担当部局や商工関連部局等が実施する。  相談者が障害者や小規模事業者等の場合、相談担当者とは別に相談者に寄り添うアドボケーター・アドバイザー等を置くことも有効である。  ②市区町村における相談対応、関係部局等での情報共有、対応方針の検討  相談対応を実施した結果、相談のみで終結する事案もある。  ③対応方針に応じ、各市区町村において相談事案に係る情報収集を実施  ここでは、事実確認を行い、その後以下の④⑤に進む。相手方から事実確認を拒否された場合等は都道府県や国に連携・協力依頼をする。    続いて、以下の④⑤のステップに従い、具体的な対応を実施する。  ④関係者での情報共有、事案の評価分析、対応方針の検討  ⑤具体的な対応を実施  具体的な対応として、相談者と相手方との調整、話し合いの場の設定などを行う。    ④⑤を経て、事案が終結する場合もあるが、事業者が具体的対応を拒否する場合や、③で相手方から事実確認を拒否された場合等により、  終結に至らなかった場合は都道府県又は国に連携・協力を依頼する。なお、都道府県に連携・協力を依頼しても終結に至らなかった場合は、さらに国に連携・協力を依頼する。これらの連携・協力により、助言・調整等が実施され、事案の終結に至る場合もあるが、それでも差別的な取り扱いが繰り返される場合等は、都道府県または主務大臣による報告徴収、助言・指導・勧告を行う。  虚偽報告等があった場合は過料がある。    (3) 相談の実施体制構築モデル  ・前項のプロセスを踏まえた各行政機関における相談体制の在り方の検討等に資するよう、望ましい相談の実施体制の在り方について、市区町村・都道府県・国それぞれの役割について、以下のとおり整理することとする。  ・相談の実施体制の構築に当たっては、以下に述べるような役割分担を基本としつつ、相談者がどの相談機関に相談しても、つながるべき相談機関につながり、適切な対応が図られるような環境整備が必要である。このため、内閣府においては、各府省庁の相談窓口の明確化や、各相談窓口の人材育成の支援、事例の収集・分析・共有を通じた障害者・事業者の障害者差別解消に関する理解の向上や行政の対応力の強化等に取り組むことにより、国・地方公共団体全体としてワンストップ相談窓口としての機能を担うことができるようにすることが求められる。 p167  図表106 国・都道府県・市区町村の役割分担図  障害者差別に関する相談の実施体制構築モデルとして、国・都道府県・市区町村の役割分担図を示す。    障害者は、合理的配慮が必要な場面において、事業者にその旨の申し出を行い、事業者は合理的配慮を提供する。  両者の関係において、相談が必要となる事案が生じた場合、市区町村・都道府県・国は重層的に相談者である事業者・障害者の相談を受付、助言や指導等を実施する。    市区町村は、身近な窓口として相談に対応する。相談窓口は、ワンストップ窓口や既存の各相談窓口とし、これらが重層的に対応する。また、市区町村の地域協議会はこれらの相談窓口の支援を実施する。  これらの取組を経て、事業者に対して助言・指導等を実施する。  また、市区町村は、必要に応じて都道府県や国に連携・協力依頼を行い、都道府県や国はこれを支援する。    都道府県は、広域的な相談等への対応や、市区町村への支援を実施する。都道府県としては、広域支援相談員や都道府県の地域協議会を設置し、これらの取組を支援する。  これらを経て、事業者に対して助言・指導等を実施し、必要に応じて国への連携・協力を行い、支援を受ける。    国は、所管している分野に応じた各省庁・地方支分部局の相談窓口にて、都道府県や市区町村、相談者からの相談に対応する。ここでは、以下の3つの対応を行う。  ・広域的な相談等への対応  ・所管の法令の適切な解釈・運用等  ・法第12条に基づく主務大臣の勧告徴収、助言、指導、勧告  上記3つの対応を経て、事業者に対して対応指針の策定や、主務大臣による報告徴収・助言・指導・勧告を実施する。    なお、内閣府は、各省庁・地方自治体における相談体制構築・強化に向けた司令塔の役割を果たし、以下の3つの対応を行う。  ・国の相談窓口の明確化  ・人材育成のための研修資料・マニュアルの作成  ・事例の収集・分析・フィードバック    1) 市区町村  ・現在、各市区町村において窓口を担っている主な機関は以下のとおりである。  *差別相談のワンストップ窓口  *市区町村の障害福祉施策所管部署  *市区町村の教育、就労、生活困窮、消費生活、施設管理、公共サービス、市民生活全般に関する相談窓口  *障害者総合支援法の基幹相談支援センター、市町村障害者相談支援事業を実施する相談窓口(事業の受託を受けた相談支援事業者)  *障害者虐待防止法に基づく障害者虐待防止センター  *成年後見制度利用促進のための中核機関(権利擁護センター等)  *社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業の相談窓口  ・相談者の利便性担保の観点から、市区町村は身近なところで相談できる基本的な窓口の役割を担うことが望ましい。  ・前述の差別事案の掘り起こし及び相談者からのアクセス向上の要請を踏まえると、市区町村においては将来的には重層窓口型を志向し、明示的な差別相談のワンストップ窓口と日常的に生活支援に関わる機関の窓口双方で、相談者の困りごとの中から差別相談を拾い上げられるような対応をすることが望ましい。ただし、小規模な市区町村ではワンストップ窓口は複数市町村において共同設置することも考えられる。  ・あわせて、各市区町村又は複数市町村共同で地域協議会を設置することで関係者間の連携を強化するとともに、各窓口での対応方針等を関係者で決定・確認し統一的に p168 対応する体制を構築することも重要である。    2) 都道府県  ・都道府県には、広域支援相談員や都道府県の地域協議会等を通じて、市区町村の相談体制整備、具体的な相談対応を広域的に支援する役割が求められる。  ・また、市区町村に相談の一次受付窓口が十分に整備されていない現状や、差別相談の特性上、相談者に日常的な関わりがないところに相談したいというニーズがあることを踏まえると、基本的な窓口としてアクセス可能な相談窓口(一次受付窓口)を、市区町村だけでなく都道府県においても設置することが望ましい。    3) 国  a. 国・地方公共団体全体としての「ワンストップ相談窓口」機能構築について  ・国及び地方公共団体が全体として「ワンストップ相談窓口」としての機能を担うことについては、検討会の場において以下のとおり合意がなされた。  *国においては、障害者差別解消法第12条に基づき、主務大臣は、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業者に対し、報告を求め、又は助言、指導もしくは勧告を行うこととされている。これらの権限は特定の府省庁が一元的に担っているわけではなく、分野ごとに当該事業を所管する各主務大臣(各府省庁)が有しており、現状においても各府省庁に分野ごとの相談窓口が設けられている。国に対しては、差別相談の内容が各府省庁の所管法令等に関係する場合や事業者が広域展開している場合等、市区町村や都道府県のみでは対応が困難な事例において市区町村や都道府県に対し適切な支援等行うことが基本的な役割として求められており、このため、事案ごとに、市区町村や都道府県の相談機関等が同条の権限を有する適切な省庁の相談窓口に円滑にアクセスできることが必要となる。  *一方で、現状においては各府省庁の所掌する分野が複雑に入り組んでおり、相談窓口が必ずしも明確ではないため、障害者や事業者のみならず、地方公共団体にとっても、相談窓口が分かりにくいという問題がある。このため、内閣府においては、これらの課題に対応するため、以下の環境整備を行うことが考えられる。  *環境整備のための取組としては、まず相談対応を行うための人材育成の支援や事例収集・分析・提供に係る取組が考えられる。各相談窓口において「適切な相談窓口にきちんとつなぐ機能を備えるためには、関係者に必要な事実関係を確認し、対応方針を整理した上で適切な担当機関に連携・協力依頼を行うことができる人材の育成や、そのために参考となる事例の収集・分析・共有が必要である。このためには、内閣府において、後述の7.2.4のような研修プログラムの作成・窓口担当者向けのマニュアル作成等や事例の収集・分析・共有の取組など、他の相談機関をバックアップするための取組が必要である。  *また、国及び地方公共団体全体として「ワンストップ相談窓口」としての機能を構築するための取組として、担当府省庁の明確化も必要である。障害者差別解消 p169 法第6条に基づく「障害を理由とする差別の解消に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、同法第11条に基づく主務大臣が作成する事業者のための対応指針に記載する事項として、「国の行政機関(主務大臣)における相談窓口」があるものの、現状では、所掌する分野(事業者・サービス内容等)と対応する相談窓口の分かりやすさについては、各府省庁により、ばらつきが生じている。この課題への対応としては、まず第一に、対応指針における書きぶりの更なる工夫による、所掌分野と対応した相談窓口の明確化や、内閣府のHP等において、一括して各府省庁の相談窓口を分かりやすく示す(窓口一覧等の作成・掲載)ことなどにより、相談者や各相談機関が法律上権限のある担当府省庁に円滑にアクセスできるための取組を行うことが必要と考えられる。加えて、各相談機関等における相談対応プロセスの中で国の対応を求める必要がある場合等において、国の窓口一覧を確認したものの、所管が複数の省庁にまたがる等どの省庁が担当するか分からないような場合には、内閣府が必要な助言等の対応を行うことが期待される。これらの取組により、どの相談機関でも対応されない事例が発生しないようにすることが重要である。また、司令塔としての役割を担う内閣府においては、障害者差別の解消の推進のために、障害者と事業者双方の困りごとを受け止めつつ、相談体制構築・強化に係る国や地方公共団体の取組に対する十分な支援ができるような体制整備を検討することが望まれる。    b. 国民からの一次相談を受け付ける総合窓口としての国の「ワンストップ相談窓口」新設について  ・内閣府における「ワンストップ相談窓口」の新設については、以下のとおり本調査研究の有識者ヒアリング及び検討会の場で様々な意見が出され、本検討会において意見の一致には達しなかったが、今後、本調査研究において得られた知見等も踏まえ、相談対応機能の充実のための取組について引き続き検討を進めることが望まれる。  *国、都道府県にも市町村にもワンストップの相談窓口を設置することを期待。国としての相談窓口は、全国的な大企業を相手先とする事案の対応には必須。(日本弁護士連合会に対する有識者ヒアリング。なお発言内容はヒアリング対象者個人の見解)  *国には国民が相談できるワンストップ相談窓口の設置を希望。相談員は、当初5~10人程度の配置で始動することを想定。連携先を探すのが難しい相談事例等があった場合に、当該事例の対応を実施する市町村のフォローを行う機関の設置を希望。(検討会構成員に対する有識者ヒアリング)  *国のワンストップ窓口を設置した場合に、当該窓口が果たすべき役割  相談受付窓口としての役割:従前より、障害者が国に差別に関する相談を行う際、担当する主務官庁が分かりづらく、いわゆる「たらい回し」の状態になるとの問題点が指摘されている。これを解消するため、国においても、障害者の差別に関する相談をワンストップで受け付ける窓口を設置することが望ましい。  連絡・調整機関としての役割:障害者から寄せられた差別に関する相談 p170 について、各省庁に設置されている相談窓口の中から、担当することが適切な省庁の相談窓口につなぐ役割を担うことが望ましい。また、省庁の相談窓口と連携して、事業者・相談者と個別に、あるいは、同時に協議を行う場を設定する等の調整を行う役割を担うことも考えられる。(第5回検討会における構成員提出資料より一部抜粋・整理)  *仮に想定される事例ごとにどの相談窓口にアクセスするのが適当かを整理した窓口一覧を作成した場合、当該一覧はかなりの情報量となり相談者にとっては使いづらい。内閣府が最初の総合相談窓口としての役割を担う必要があるのではないか。  *どの省庁にアクセスすべきか道案内してくれるような窓口や、所管等相談できるようなルートは必要。  *自治体でしっかり相談対応をした上で、それでもなお対応に迷うものにつきどのように処理していくかが重要。担当省庁が分からない事例については、内閣府が「総合窓口」として各省に割振りをしていくのが良いのではないか。なお、割振りをする場合には、内閣府から各府省庁の担当課長会議(障害者差別解消関係府省連絡会議)につなぎ、そこから適当な窓口に繋げるような流れを想定。実施に当たっては、障害当事者の立場から助言等を行えるような人員も含めた体制整備が必要。  *相談体制の構築に当たっては、差別解消法の目的である共生社会の実現に結び付けていくことが重要であり、この点では、まず地域の相談体制を育てることが必要。全国展開の店舗も従業員は地域住民であり、いきなり国が介入することは地域の事業者も委縮する。相談体制については、まさに市区町村が地域の「かかりつけ医」的な存在として一次的な事案の対処に当たり、それでもなお対処が困難な事例があれば「専門医療機関」的な存在である都道府県や各省庁に上がっていく、というような重層的な相談体制が重要。  *地域の重要性を踏まえると、まずは地域の相談窓口につながり、地域が主体となって相談対応に当たることが重要ではないか。都道府県は広域対応を行い、国では所管省庁としての見解を示すということではないか。内閣府では、個別事案対応ではなく、窓口の明確化や人材育成支援(障害者差別解消のための指導者養成研修などによる地方公共団体への支援も含む。)、事例収集、国民の機運醸成を担うべきではないか。  *事業者の実態からすると、まず相談に行くのは地域の事情を知る地域の窓口。例えば、店舗によっては自治体との間で、当該地域にお住まいの高齢者・障害者の方に係る対応等も盛り込んだ地域包括協定を締結していることもある。このような観点からも、相談事例への対応については地域としっかり結びついた対応を行いたい。  *内閣府が個別の相談対応を担うのは法的にも予算・体制的にも困難。内閣府は既存の各府省庁の窓口等の情報整理を行うなど、市町村・都道府県のバックアップを担うのが基本ではないか。 p171   7.2.2 地域協議会の充実・活用  (1) 現状  ・地域協議会の設置状況をみると、都道府県、指定都市は100%設置済みであるが、中核市等83%、一般市69%、町村46%であり、小規模になるほど設置率が低い。地域協議会の開催頻度も、都道府県では81%、指定都市では55%、中核市等では53%、一般市では54%、町村では55%が年度に0回又は1回の開催となっている。  ・また、地域協議会の設置形態については、都道府県は全て単独の自治体による設置(単独設置)となっており、指定都市は100%、中核市等は96%、一般市は76%が単独設置となっているが、町村では単独設置と複数の自治体による共同設置の方法がそれぞれ約半数となっている。組織形態については、都道府県・指定都市・中核市等では、約6割が地域協議会を他の協議会と兼ねることなく設置しているが、市町村では約6~7割が障害者総合支援法に基づく協議会を兼ねて設置している。  ・地方公共団体悉皆調査のクロス集計結果からは、相談実績のある地域の方が地域協議会の設置率が高い傾向にあること(「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地域のうち80%、「相談実績があるが、相談件数をカウントしていない」地域のうち64%、「相談実績がない」地域のうち52%の自治体が地域協議会「設置済み」となっている)、また地域協議会を設置済みの自治体の方が障害者差別に関する周知啓発活動を実施している割合が高いこと(周知啓発を実施している割合については、地域協議会「設置済み」の自治体で73%、「設置予定」の自治体で48%、「設置しない」自治体で55%)が分かる。    (2) 役割  ・内閣府のガイドライン3においては、地域協議会で検討する事項として以下の内容が挙げられており、地域協議会の設置・活用によって相談への迅速かつ適切な対応や紛争解決に向けた対応力の向上等が期待されるとされている。  *複数の機関等によって紛争の防止や解決を図る事案の共有  *関係機関等が対応した相談に係る事例の共有  *障害者差別に関する相談体制の整備  *障害者差別の解消に資する取組の共有・分析  *構成機関等における斡旋・調整等の様々な取組による紛争解決の後押し  *障害者差別の解消に資する取組の周知・発信や障害特性の理解のための研修・啓発  *個別の相談事案に対する対応  ・障害者施策関係部局や障害者団体、福祉関係者だけでなく地域の事業者・事業者団体など多様な関係者が集い、事例共有等を通じて認識の共有を図り、地域としての差別解消の機運醸成を図る場として、地域協議会の重要性は高い。地域協議会未設置の自 p172 治体においては設置の検討を進めるとともに、地域協議会を設置しているものの利活用が十分でない自治体においては積極的な活用を検討するといった対応が期待される。  ・また、各自治体での設置促進・利活用に当たっては都道府県の役割が重要である。都道府県においては、管内各市町村における地域協議会の設置状況・実施状況の把握や好事例の展開等を通じて、市区町村における取組のバックアップを積極的に行うことが求められる。  3 内閣府政策統括官「障害者差別解消支援地域協議会の設置・運営等に関するガイドライン」(平成29年5月)    (3) 地域協議会を活用した関係者の連携強化  1) 現状  地域協議会のメンバー構成は、設置主体(都道府県・市町村)や区域の広さ、人口規模等によって異なるが、障害者差別解消法では、地域協議会のメンバーとして、国及び地方公共団体の機関のうち、医療、介護、教育など障害者施策に関連する部署を始め、NPO法人などの団体、学識経験者、その他必要と認める者を示している。  現在、9割近くの地域協議会に障害当事者、障害者団体、家族会等が参画しているが、一方で、事業者が参画している地域協議会は58%、国の地方出先機関が参画している地域協議会は50%となっている。  2) 関係者の連携強化  合理的配慮の義務化を内容とする障害者差別解消法改正法が施行されれば、地域の事業者、障害者からの相談が増加することが予測される。各地方公共団体においては、それらの事案に適切に対応し、又はトラブルを事前に防止することが求められる。地域支援協議会は、地域における差別の解消の推進を担う機関として、地域の様々な関係者やその関連する行政部局を参集し、地域の問題解決に当たることが重要である。  ・相談対応の円滑化、相談体制の充実に向け、地域協議会の構成メンバーとしては、従来、障害者施策関係部局や障害者団体、福祉関係者等の参画は確保されてきたが、今後さらに連携が期待される機関や関係者として以下が考えられる。  *地方公共団体の機関(商工関係部局、教育関係部局等):障害者福祉関係部局のみならず、事業者関係、教育関係など、合理的配慮の提供を担う者に関わる部局の参集を求めることが適当である。   *国の地方出先機関(法務局、運輸支局、地方経済産業局等):地域の具体的な差別事案を共有し解決の支援を受けるとともに、所管団体・機関への相談窓口の周知や事例の共有を依頼することも想定される。  *地域の事業者団体:地域における合理的配慮の提供の推進の重要な担い手であり、具体的な差別事案や合理的配慮の提供の事例の共有・分析を通じて、行政機関や障害者団体等とともに、共通認識を形成していくことが期待される。また、差別事案の共有を通じ、類似事例が発生しないよう、例えば、傘下の企業への情報提供や各企業のマニュアル等の見直しを行う等の差別解消の取組の広がりが p173 期待される。  *その他:関係案件に差別事案が含まれ得る警察や、差別判断に当たり、専門的知見からの検討や助言のため、弁護士や医師会、学識経験者を含めることも有効と考えられる。  ・また、これらメンバー構成に留意した上で考えられる地域協議会の設置促進・利活用の工夫としては以下の事項が考えられる。    (設置促進策)  *地域の事業者・事業者団体を始めとする多様な主体の参画の下、差別相談への対応に主眼を置いて議論を行う観点からは、地域協議会の単独設置が本来望ましい。一方で、小規模自治体ほど設置率が低いことを踏まえると、地域協議会を単独の会議体として設置する負担が大きいことが考えられる。このような場合には、構成メンバーが一部重複する障害者総合支援法に基づく(自立支援)協議会、障害者虐待防止法に基づくネットワーク、障害者基本法に基づく審議会等に合わせて開催したり、これらの会議の部会として位置付けるなど、柔軟に開催形式を検討することも考えられる。ただし、いずれの場合においても、他の協議会と一体的に運営した結果、連携を図るべき主体(地域の事業者・事業者団体等)が参画できていない状態となることを避けるため、構成メンバーについては「差別の解消」という目的に応じて必要な入替を行うなど、多様な関係者の参画を担保することが重要である。  *また、小規模な市区町村では地域協議会を複数の自治体で共同設置することでも差し支えない。  *設置促進策の好事例としては、以下の自治体の取組が挙げられる(以下の取組事例については本調査研究で実施したヒアリングで得た事例のほか、内閣府において別途収集した事例も含まれる)。    【複数の自治体で設置】  ・長野県上小圏域:圏域で協議会を設置(P72「3.3長野県上小圏域 3.3.2(3)4)障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況」参照)  ・静岡県・香川県:地域によって圏域又は複数の市区町村で共同設置    【他の協議会と併せて開催】  ・千葉県:構成メンバーの一部が重複する「千葉県障害のある人の相談に関する調整委員会」と同時開催(P61「3.2千葉県 3.2.2(3)4)障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況」参照)  ・長野県上小圏域・岡山県総社市:(自立支援)協議会と地域協議会を兼ねて実施(長野県上小圏域については上述のP72該当部分、岡山県総社市についてはP95「3.5岡山県総社市 3.5.2(3)4)障害者差別の解消に関して協議する会議体の設置状況」を参照)    (利活用策)  *「相談事案が少ない」等の理由により、開催回数が少ない地域支援協議会も多い。関係機関が「顔の見える関係」をつくり、事案発生時に迅速・円滑に対応できる p174 ネットワークを維持するためには、実際の意見交換の機会を確保することも有効であること、また、地域における障害者差別解消を推進するためには、「相談事案がないから地域に障害者差別はない」と安易に考えるのではなく、地域における実質的な障害者差別解消が進むよう、例えば、以下のような議題で定期的(年に複数回程度)に協議会を開催し、地域の取組を推進することが期待される。  ・差別解消の推進施策の効率的・効果的な実施(PDCAサイクル)  ・普及啓発策や職員研修の企画立案等の施策提案  ・行政職員の対応要領の更新  ・架空事例を使用した相談対応のシミュレーション、各機関の役割分担の確認  ・差別相談で基本的な対応を担当する行政職員に対する助言  ・差別事案の発生防止を目的とした企業内のマニュアルの見直しのポイント(障害者差別解消法に抵触する事項の有無の確認等)の提示やそれを踏まえた見直しの促進  *利活用策の好事例としては、以下の自治体の取組が挙げられる(以下の取組事例は内閣府において別途収集した事例)。  ・福岡県:条例に関する県の取組状況についての審議  ・兵庫県明石市:障害を理由とする差別を解消するために必要な施策に係る市長への意見・条例の施行状況の検討及び見直し  ・広島県広島市:条例・条例施行規則の検討、条例の実効性確保に向けた検討  ・宮城県:新規条例の制定に向けた検討    7.2.3 相談機関へのアクセス向上策  (1) 現状  障害者差別に関する相談の件数をみると、「相談実績がない」が72%、「相談実績があり、相談件数をカウントしている」地方公共団体においても、「相談件数が9件以下」が76%となっており、100件以上としているのは、都道府県で7自治体、指定都市で1自治体、町村で1自治体のみとなっている。    図表107 令和2年度における障害者差別に関する相談件数  出所)内閣府「令和3年度地方公共団体悉皆調査」  1  9件以下  合計の数 208   合計の割合 76%   都道府県の数 11   都道府県の割合 24%   指定都市の数 5   指定都市の割合 26%   中核市等の数 49   中核市等の割合 88%   一般市の数 115   一般市の割合 93%   町村の数 28   町村の割合 97%     2  10~29件  合計の数 29   合計の割合 11%   都道府県の数 13   都道府県の割合 29%   指定都市の数 5   指定都市の割合 26%   中核市等の数 5   中核市等の割合 9%   一般市の数 6   一般市の割合 5%   町村の数 -   町村の割合 -   3  30~49件  合計の数 12   合計の割合 4%   都道府県の数 4   都道府県の割合 9%   指定都市の数 5   指定都市の割合 26%   中核市等の数 2   中核市等の割合 4%   一般市の数 1   一般市の割合 1%   町村の数 -   町村の割合 -   4  50~99件 5  合計の数 14   合計の割合 5%   都道府県の数 10   都道府県の割合 22%   指定都市の数 3   指定都市の割合 16%   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 1   一般市の割合 1%   町村の数 -   町村の割合 -   5  100件以上  合計の数 9   合計の割合 3%   都道府県の数 7   都道府県の割合 16%   指定都市の数 1   指定都市の割合 5%   中核市等の数 -   中核市等の割合 -   一般市の数 -   一般市の割合 -   町村の数 1   町村の割合 3%   計  合計の数 272   合計の割合 100%   都道府県の数 45   都道府県の割合 100%   指定都市の数 19   指定都市の割合 100%   中核市等の数 56   中核市等の割合 100%   一般市の数 123   一般市の割合 100%   町村の数 29   町村の割合 100%  p175  (2) 相談機関へのアクセス向上策  ・(1)のとおり、相談実績がない、又は相談があっても件数が少ない自治体が多いのが実態ではあるが、相談実績がないことが地域における障害者差別に関する問題が生じていないということとは限らない。相談窓口がどこにあるのか分からない、相談をして良いのかどうか分からない、そもそも自分が差別を受けているのかも分からない、といった様々な理由が隠れていることも考えられる。  ・このため、相談機関があることを周知広報していくこと、どのようなことが障害者差別に当たるのか、気付きを促していくことも、相談機関へのアクセス向上策として、重要である。  ・相談機関へのアクセス向上策としては、次の3点が考えられる。いずれも主に地方公共団体における取組を念頭に整理したものとなるが、国(特に内閣府)においては、広報用コンテンツの提供や全国的な周知の取組を通じて、地方公共団体におけるこれら取組をバックアップすることが求められる。    1) 継続的な広報周知  ・相談機関へのアクセスを向上させるためには、まず障害者差別について相談ができる窓口があることを広報周知する必要がある。  ・制度の創設や窓口設置、法改正のタイミング等で一時的、重点的に広報周知するだけでは、その時点で困りごとを抱えている人にしか情報がキャッチされず、その時点で困りごとがない人には流されてしまう可能性が高い。困りごとを抱えた人が情報収集を始めたときに、いつでも、できるだけ早く相談窓口に関する情報を入手できるよう、国及び地方公共団体においては、定期的・継続的に情報発信することが求められる。  ・地方公共団体における情報発信に当たっては、障害者団体や事業者団体等と連携しつつ、紙媒体(パンフレット、リーフレット等)の配布だけでなく、SNS、動画、専用ウェブサイト(SNS及び動画の掲載を含む)といった多様な媒体を活用した情報発信を行うことが期待される。広報周知例としては以下のとおりである。  *市の広報誌等での広報  *障害者団体、事業者団体を通じた広報  *障害者週間等に合わせたイベント開催  *地域協議会でパンフレットを作成し全戸配布、コンビニや医療療機関等にパンフレットを設置周知、商工会議所等を通じて事業者に配布  *子供たちの障害者理解を深めるため、小中学校の授業カリキュラムに権利擁護のイベントを組み込み  ・また、国においても、障害者差別解消のための周知啓発イベントの活用や、ポータルサイトの設置・運用を通じた情報発信を行うとともに、個別の自治体による広報周知に対する支援として、パンフレットのひな形等の広報用コンテンツの提供等を通じて各自治体での取組を支援する必要がある。 p176   2) 対象を限定した啓発・意識喚起  ・相談機関へのアクセスを向上させるためには、継続的な情報発信だけでなく、相談者の窓口利用を促進すべく、相談者となる障害者が「もしかして、これは差別なのかもしれない」ということに気付いたり、事業者が「この社内ルールは障害者の方に対する差別となりうるかもしれない」という気付きを得たり、「合理的配慮提供のために何をすればよいのか知りたい」と自発的に行動できたりするような啓発・意識喚起の取組が求められる。    a. 障害者  ・障害者は、生活の上での不利な状態、望ましくない影響があっても、それが日常化しがちであるため、「障害者差別の事案」として相談すべきものなのか、自身では見極めがつきにくい。そこで、自治体の取組として、障害者ワークショップやアンケート調査、支援者からの聞き取りを通じて、確認した「困ったこと」「嫌な思いをしたこと」「気になったこと」から差別事案を引き出し、このような場合は積極的に相談することが問題解決につながり得ることを認識してもらうことが差別事案の掘り起こし・相談窓口の活用促進に有効であると考えられる。  ・また、事案を掘り起こした後も、差別相談の性質上、心理的、物理的に相談しづらい可能性もあるため、どのような窓口であれば相談しやすいか、前述のワークショップ等を行った際やその後のフォローアップ過程等の中で、要望を確認するなどの工夫も必要である。    b. 事業者  ・現状では自治体の窓口における事業者からの相談は僅かであり、今後施行される事業者の合理的配慮提供の義務化に関する周知の実施率も低い。  ・「障害者差別解消」というと、事業者になじみがなく取組のハードルが高まる可能性があるため、合理的配慮が充実していくとサービス向上や新たなビジネスの芽につながり得るという建設的な視点で情報提供することに留意しつつ、実際に事業者が障害者からの申出を受けた場合に参照できるような対応事例集の提供等を通じて事案への適切な対応について理解促進を図ることが考えられる。また、情報発信に際しては、既存の業務マニュアルの中に障害者差別解消法に抵触するような内容がないか点検するなど、相談事案が発生する前段階で事業者自身が取り組める予防的な対応について積極的に発信することも有効であると考えられる。情報発信に当たっては、商工部局の情報展開の場を活用したり、地域協議体に参画している事業者団体の協力を得るだけでなく、企業と協働した事業者向け研修の実施や出前講座を開催する等といった、多様なルート・媒体の活用も効果的である。  ・事業者向けの啓発・意識喚起の取組例として以下のような例が挙げられる。  *庁内の商工所管部署が運営する事業者向けメールマガジンで障害者理解に関する広報記事を配信  *企業からの求めに応じた出前講座の開催  *事業者と協働した車いすユーザー等への対応研修の実施 p177  *事業者向けリーフレットの作成・配布  *障害者の雇用促進施策等を通じた企業との日常的なネットワーク構築    3) 相談者の利便性に考慮した相談対応  ・相談機関へのアクセス向上を図るためには、相談者にとって利用しやすい相談窓口の仕組みを検討することも重要である。  ・障害者の相談者が利用しやすい窓口として、相談受付時に障害特性に応じた意思疎通支援を柔軟に行うことは重要である。意思疎通支援の取組として以下のような例が挙げられる。  *電話、FAX、電子メール、TV電話、WEB会議での相談受付  *筆談対応  *ルビ付きの資料作成、テキストデータの提供、点字、拡大文字  *電話リレーサービスの活用、対話支援機器の利用、手話通訳士(者)の配置   ・また、窓口の利便性向上という観点からは、AI(人工知能)が基本的な定型質問に回答するチャットボット等のICT利活用も期待されるが、各自治体においてそれぞれの実情等に応じ段階的な導入を検討することが望ましい。    7.2.4 相談対応を担う人材の確保・育成方策  ・差別相談の解決を図るためには、障害者や事業者等からの相談を適切に受け止め、対応する人材の確保・育成が重要である。障害者差別解消法改正法においても、国・地方公共団体の相談対応を担う人材の育成及び確保についての責務が明確化されており、国及び地方公共団体においては人材育成・確保に一層取り組む必要がある。  ・相談対応を行う人材には、公正中立な立場から相談対応を行えるよう、障害者差別解消法や解決事例に関する専門的な知識に加え、当事者同士の考えや希望を聞いてそれを調整する能力が必要であるとともに、事業者の現場での業務実態等に関する知識や、どの機関に相談があろうとも、適切な対応が図られるよう、事案に応じて、連携・協力依頼を行うべき機関に関する知識・ネットワークを有していること等の様々な能力が重要になってくる。  国においては、自治体単独で取り組む場合など、自前での研修資料の作成や研修の実施が困難である場合もあることを踏まえ、できるだけ多数の窓口で相談の一次受付を担えるよう、例えば、以下のような2種類の研修用コンテンツを作成し、既存の各相談機関に提供するとともに、必要に応じ、当該相談機関の人材育成プログラムの一部に盛り込むよう関係機関に働きかけることが効果的である。  *国や地方公共団体における既存の各相談窓口(基礎):日常の困りごとから差別事案を引き出し適切に対応できるよう、障害者権利条約の理念や障害の「社会モデル」の考え方、障害者差別解消法・基本方針の解説など基本的な法令知識や、必要に応じ、他機関に連携・協力依頼ができるよう、差別相談窓口の連絡先等を盛り込んだコンテンツ。  *ワンストップ窓口(障害者差別相談窓口)(応用):ワンストップで相談を受け付けられるような人材を育成するための「ワンストップ相談研修」用の素材とし p178 て、上述の既存の各相談窓口向けコンテンツに加え、相談対応の一連の流れや関係機関の役割、具体的な事例分析・ポイントの整理等、個別具体の差別事案への適切な対応等に資するようなコンテンツ。  ・このツールは、特に、以下の人材育成プログラムで活用してもらえるよう関係機関に働きかけることが期待される。  *地方公共団体における各種相談受付窓口の担当者研修、初任者・管理職研修  *各府省庁における相談窓口課室の担当者研修、初任者・管理職研修  *相談支援専門員研修  *人権擁護部局、行政相談部局、消費生活相談部局等の国が運営する類似相談制度の担い手に対する研修  ・既存の人材育成プログラムの中で研修を実施することが難しい場合や、こうした研修を受講する機会がない相談窓口があることも踏まえ、当該コンテンツはインターネットを利用したeラーニングでの提供も検討することが望まれる。  7.3 障害者差別の解消に向けた事例の収集・共有の在り方  ・障害者差別の解消に向けた事例の収集・共有は、障害者、事業者双方の障害者差別の解消に関する認識を深めるとともに、前述のとおり国及び地方公共団体の相談体制強化の観点からも非常に重要である。  ・地方公共団体においては、自治体内で受け付けた相談を共通帳票で収集した上で、当該事例を関係機関や地域協議会で共有し、個別事例の対応や今後の相談体制の在り方検討に活用している例が多い。しかし、単一自治体内では相談件数が少なく、事例収集・分析を通じた相談ノウハウの蓄積には至っていない場合が多い。  ・一方、内閣府では、市町村、都道府県、関係省庁から、毎年「広く情報共有することが望ましい、特徴的な相談事例」を収集しており、これを元に作成した「合理的配慮の提供等事例集」を平成29年4月にホームページ上に掲載している。しかし、その後は更新されておらず、市町村、都道府県が相談対応に困った際に閲覧するインセンティブは低下しているのが現状である。  ・単一自治体内では事例収集・分析を通じた相談ノウハウの蓄積が困難であることを踏まえれば、今後、内閣府において構築するデータベースに収集事例を蓄積するとともに、参考となる事例を、自治体や障害者、事業者等に対し、事案や解決のポイント等が分かりやすい形で、定期的にフィードバックすることや、周知啓発を行うことが重要である。  ・特に、各相談機関における事案対応力を向上させる観点からは、参考となる事例を共有するに当たっては、単に収集事例をそのまま共有するだけでなく、内閣府において、事例の内容・対応パターン別にどのような機関と連携し、どのような対応を進めることが解決に当たって適当であったのか等、収集事例のケーススタディを行い、分かりやすく整理した上で各相談機関に共有することが望ましい。このことは、類似事案において連携が必要となる関係機関の見当をつける際の参考にも資すると考えられる。  ・このような内閣府による事例の収集・分析・共有を通じて、合理的配慮や差別の禁止についての社会的な認識共有を図り、建設的対話が円滑に進むことや、各相談機関に p179 おける事案対応力が向上することが期待される。    7.4 検討会から関係者へのメッセージ  ・障害者の日常の困りごとから差別事案を拾い上げることの重要性はこれまで述べたとおりである。しかし、件数が少ない=差別事案が少ない(ニーズが少ない)と捉え相談体制を整備しないこととするのではなく、相談体制の構築・強化に取り組み、いかに差別事案の掘り起こし・課題解決を図っていくか、地域の行政機関、事業者、障害者など関係者が一体となって検討を進めていくことが差別解消の推進ひいては住みやすい地域づくりに資するものと考える。実際に、本調査研究における調査の過程においては、実際に障害者差別の解消に向けた相談体制の構築・強化に取り組む自治体から「相談体制の整備により、自分の自治体は変わったと実感している」との声もあった。  ・相談体制の構築・強化を始めとした障害者差別の解消に係る取組を一歩ずつ進め、「多様性」を尊重するという価値観を地域の関係者皆で共有することが、ひいては障害者のみならず、社会全体の「多様性」を認め、共に生きる共生社会の実現に向けた原動力となるものと考える。  ・国や地方公共団体を始めとする関係者においても、本報告書に記載の取組事例等も参考に、ぜひ積極的に相談体制構築・強化に取り組んでいただきたい。 p180  資料編  (1) 尾上構成員 第1回検討会提出資料 国におけるワンストップ相談窓口についての検討を?国と自治体の連携強化に向けて  1) 関わった自治体の相談事例から  ・あるテーマパークに関する相談事例(乗車制限や、車いす二人で並んでショーを観ることが認められない)~担当省庁を確認するまでに時間を要した   ・ライド系(含むマニュアル)→国交省   ・ショーの車いすスペース→消防庁  ・携帯ショップでのハンドル式車いすでの入店拒否?個別店舗の対応だけでなく、「店舗の共通マニュアル」に記載がある    2) DPI差別相談事例より  ・たらい回しにあったが、担当窓口にたどり着いて解決した事例   差別事例の概要   ・全国チェーンのエステ店で施術を受けたいと電話し、車いすだと伝えると「車椅子の人は施術をすることができない」と言われた。杖歩行が可能だと伝えたが、車いすの人は全員断らせてもらっていると言われた。設備、スタッフのスキルともに受け入れ体制が整っていないとのこと。   事例の経過   ・相談者本人が相談したところ、厚労省→内閣府→法務局と回されて法務局で止まっていたが、DPIに相談があり対応。DPIから厚労省に問い合わせると「美容は所轄だが、エステは違うので経産省に連絡して」と言われ、経産省のヘルスケア産業課に相談。   ・経産省からエステ店に事実確認をしたところ、内容通りであると認めた。解消法への対応として指針をつくっているが、車いすの人に対しては付添や対応に慣れたスタッフがいるかなどによって施術を受けてもらっていることもあり、一律に拒否しているように伝わり、不快な思いをさせて申し訳なく思っている。マニュアルを見直し、今後同じようなことがないように徹底するということになった。  この事例のポイント    ・本人は、エステは厚労省が所轄だと思って連絡したが違った。その後たらい回しにあって途中で止まってしまった。どの省庁が所轄なのか一般の人はわからない分野も多い。   ・経産省は適切に対応してくださった。所轄の窓口にたどり着ければ、このように解決できる。 p181   3) 参考 障害者差別解消法改正 衆議院・参議院附帯決議、並びに大臣答弁  【2021年4月16日 衆議院・内閣委員会、2021年5月27日 参議院・内閣委員会 附帯決議より】  九 障害を理由とする差別に関する相談及び紛争の防止又は解決に必要な体制を整備するに当たっては、以下の諸点に留意すること。  1.障害を理由とする差別に関する相談について、ワンストップの相談窓口を設けるとともに、国と地方公共団体との連携を強化すること。  2.障害者が安心して相談することができるよう、相談窓口における相談対応者に障害者を加えること。  3.既存の機関によるこれまでの対応について調査、分析し、その結果を公表すること。    【2021年5月27日参議院・内閣委員会議事録より】  〇横澤高徳参議院議員  …法の趣旨から鑑みて、内閣府の障害者差別に特化した相談窓口を設置することが必要になってくると考えますが、大臣、内閣府に是非このワンストップ相談窓口の開設を検討していただきたいんですが、いかがでしょうか。    〇坂本内閣府特命担当大臣  障害者政策委員会の意見書が昨年、令和2年6月に出されました。その中で、「相談のたらい回しを防止する等の観点から、国における新たなワンストップ相談窓口の設置や既存の相談窓口の効果的な活用、国・地方公共団体の役割分担の整理などを含め、どのような対応が可能かについて検討すべきである。」というふうに意見が出たところでございます。  これを受けまして、内閣府におきまして、今年度、令和3年度には、効果的な相談体制の在り方等につきまして調査研究を行うこととしております。そして、一元的な相談窓口なども含めて、相談体制の在り方を検討し、適切な仕組みが整えられるよう、しっかりと取り組んでまいります。    (2) 尾上構成員 第6回検討会提出資料「適切な担当省庁の相談窓口へのアクセスの確保を」  本検討会の第1回目において提示資料の通り、国におけるワンストップ相談窓口の必要性に関連して、「適切な担当省庁の窓口につながり解決した事例」を紹介した。  このような事例が広がることを願うが、「所掌する分野と対応した相談窓口の明確化や、内閣府のHP等において、一括して各府省庁の相談窓口を分かりやすく示すこと」だけでは解決し得ない事例を紹介したい。  これらのように、どの省庁が担当か相談者が分からない場合、分かっても適切な対応が得られない場合、さらに、テーマパークのように複数の省庁にまたがる場合など、適切な担当省庁の相談窓口につなぎ解決に向けて働きかけていく役割が司令塔である内閣府には求められるのではないか。    【たらい回しや不適切な対応により解決に至らなかった事例】  1.飲食店で入店拒否にあったため、まず農水省に相談すると「飲食店関連は厚労省へ」と言われ、厚労省の対応指針の窓口にかけた。ところが「飲食所管の部局にかけて下さい」と言われた。飲食所管の部局にかけたところ、「ここではなく、生活衛生課に連絡を」 p182 と言われた。生活衛生課に電話をかけ相談をしたがその後、2か月返事がなかった。もう一度、催促の電話をしたが、その後、連絡はこないままである。(2017年、神奈川県)  2.人工呼吸器ユーザーに対し、クラシックコンサートの主催者が参加を拒否した。主催者と話し合いを重ねたが解決に至らなかったため、担当省庁の相談窓口に連絡をした。ところが、「わが省は芸術を推進する立場なので」「両者を裁く立場にない」などと言われ、各部署へたらい回しされた。ようやく担当者が決まったが、その後、京都に異動したとのこと、内閣府HPに掲示の相談窓口ではなく当該担当者の異動先の番号にかけてくれと言われた。(2018年、東京都)  ※なお、事例に関しては、いずれも調査協力者が記入した内容をそのまま記載している。    (3) 田中(伸)構成員 第5回検討会提出資料「国のワンストップ窓口に対する意見」  これまでの当検討会における議論及び各種調査の結果を踏まえると、市町村及び都道府県にワンストップの相談窓口を設置することに加え、国レベルでもワンストップの相談窓口を設置することが検討されるべきである。  そこで、これまでの当検討会の議論状況から、国のワンストップ窓口を設置した場合において、この設置窓口が果たすべき役割に関して、試案としての意見を述べる。    1) 相談受付窓口としての役割  従前より、障害者が国に差別に関する相談を行う際、担当する主務官庁が分かりづらく、いわゆる「たらい回し」の状態になるとの問題点が指摘されている。  これを解消するため、国においても、障害者の差別に関する相談をワンストップで受付ける窓口を設置することが望ましい。    2) 連絡・調整機関としての役割  障害者から寄せられた差別に関する相談について、各省庁に設置されている相談窓口の中から、担当することが適切な省庁の相談窓口につなぐ役割を担うことが望ましい。  また、省庁の相談窓口と連携して、事業者・相談者と個別に、あるいは、同時に協議を行う場を設定する等の調整を行う役割を担うことも考えられる。    3) 相談対応マニュアルの策定事業  相談を受け付ける窓口の担当者向けのマニュアルを作成し、提供することにより、地域間格差を解消する方向を目指すことが望ましい。  また、事業者がアクセスしやすい方法により、事業者が障害者からの申し出を受けた場合に参照できる対応マニュアルを作成し、提供することも検討されるべきである。    4) 研修プログラムの作成・提供事業  相談窓口を設置していない地方自治体に対して、相談窓口設置を支援するため、相談担当者向けの研修プログラムを作成することが望ましい。 p183  また、事業者に対する合理的配慮の提供が義務とされたことに伴い、事業者向けの研修プログラムを作成し、提供することも検討されるべきである。    5) 事例収集・整理・提供事業  国及び地方自治体の相談窓口で受け付けた相談事例を収集・整理・提供する役割を担うことが望ましい。この場合、データベースとして提供することが考えられる。  また、解決困難な事例の分析を行い、将来に向けて改善・提言に結びつけることも考えられる。    6) 好事例の共有  解決した好事例を積極的に周知し、可能な場合には全国的な対応を求めることが望ましい。また、何らかの省庁間調整が必要な場合には、その連絡・調整を行うことも考えられる。   p184   「障害者差別の解消に向けた相談体制、事例の収集・共有の在り方等に関する検討会」構成員名簿  1岩上 洋一 (一社)全国地域で暮らそうネットワーク 代表理事  2尾上 浩二 (認定NPO)DPI日本会議 副議長  3小牟礼まゆみ 大阪府福祉部障がい福祉室障がい福祉企画課 課長  4杉崎 友則 日本商工会議所 産業政策第二部 担当部長  5曽根 直樹 日本社会事業大学院福祉マネジメント研究科 准教授  6田中 伸明 (福)日本視覚障害者団体連合 評議員、名古屋市視覚障害者協会 会長  7田中 正巳 日本チェーンストア協会 常務理事  8野澤 和弘 植草学園大学副学長/(一社)スローコミュニケーション代表  9穂苅 修利 長野市保健福祉部障害福祉課長  10又村 あおい (一社)全国手をつなぐ育成会連合会 常務理事兼事務局長  ※五十音順・敬称略    ■オブザーバー(関係省庁)  ・法務省 人権擁護局調査救済課  ・国土交通省 総合政策局バリアフリー政策課  ・厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部企画課  ・経済産業省 経済産業政策局経済社会政策室    ■発注者  内閣府政策統括官(政策調整担当)付障害者施策担当 p185  「障害を理由とする差別に関する国内の実態及び今後の相談体制の整備、事例の収集・共有等に関する調査研究」報告書    2022年3月    株式会社三菱総合研究所  ヘルスケア&ウェルネス本部  TEL(03)5157-2111(代表)