地域枠を設定する事業者への施設整備等の補助(兵庫県明石市)

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パートII 地域枠を設定する事業者への施設整備等の補助(兵庫県明石市)(PDF形式:839KB)PDFを別ウィンドウで開きます

取組の特徴
  • 地域枠を設定する企業主導型保育施設の事業者に対し、地域枠等の設定1人につき最大20万円を補助している。
  • 待機児童緊急対策室を中心に7部署が連携して、企業主導型保育事業の活用を検討する事業者への相談体制を構築し、保育施設の円滑な立ち上げを支援している。
自治体の概要
○人口等 ■人口 303,077人
■世帯数 137,270世帯
注:人口及び世帯数は総務省「住民基本台帳」
平成31年1月1日現在
○保育施設数
保育施設数 142施設
認可保育施設数 87施設
認可外保育施設数 55施設
うち)企業主導型保育施設数 21施設
注:令和元年9月30日現在
○待機児童数の推移
年齢 平成26年 平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 平成31年
0歳児 2 6 8 34 35 26
1歳児 31 51 118 205 247 186
2歳児 19 45 49 140 130 133
3歳児 19 36 76 87 128 56
4歳児 4 16 36 70 27 10
5歳児 1 2 4 11 4 1
合計 76 156 291 547 571 412
(各年4月1日現在)

企業主導型保育施設の開設支援の背景

明石市では平成27年度に待機児童緊急対策室を設置し、保育施設の新設や既存保育施設の定員増など受入枠の拡大に取り組んできたが、待機児童数は増加し続けた。そうした時期に企業主導型保育事業(以下「本事業」という)が始まり、新たな受入枠の確保先として企業主導型保育施設(以下「保育施設」という)の開設を積極的に推進していくこととなった。支援を始めるにあたり、平成29年3月に企業主導型保育事業説明会を開催し、制度や申請手続きの説明を行うとともに、本事業の宣伝をした。参加者に、本事業は人材確保や従業員の定着につながる取組であること、認可外保育施設であるが認可保育所と同程度の助成を受けられることなどを説明し、事業所内保育施設の開設を呼びかけた。本事業への事業者の関心は高く、説明会には、53企業71人が参加した。

企業主導型保育施設の開設支援の内容

企業主導型保育事業所設置促進補助事業

市では本事業のさらなる推進のため、地域の子どもを預かる地域枠を設定する事業者を補助する企業主導型保育事業所設置促進補助事業を平成29年9月に開始した。この事業では、地域枠の設定人数及び受入数に応じた「補助基礎額」と「施設整備の外構工事費、設備・備品の購入及び設置に係る費用」を比較して少ない方が補助対象となり、補助額の上限は300万円となっている。

これまでの交付実績は、平成29年度5件、平成30年度4件、平成31年度6件である。

企業主導型保育事業所設置促進補助事業の概要
補助対象事業者 国の企業主導型保育事業の助成決定を受け、地域枠を設けた企業主導型保育施設を市内に設置する事業者
補助金額
(上限300万円)
注)補助基礎額と施設整備の外構工事費、設備・備品の購入及び設置に係る費用を比較して少ない方の額が補助額
<補助基礎額:下記の1と2の合計額>
1.地域枠設定数1人につき10万円
2.年度末の地域枠受入数1人につき10万円(市内居住の児童のみ)
<施設整備の外構工事費、設備・備品の購入及び設置に係る費用>
1.外構工事:施設整備に伴う屋外遊戯場、フェンス、植栽、大型遊具の設置などの工事のこと。
2.備品:器具などその性質、形状をかえることなく、比較的長期にわたり反復使用に耐えるもので取得価格が1万円以上のもの。消耗品は除く。
注)施設整備の外構工事費、設備・備品の購入及び設置に係る費用は、交付基準施行後、平成29年9月19日以降に発生した費用が対象。
申請期限 国の企業主導型保育事業の助成決定後1か月以内

※ 開設済の事業者についても、地域枠の設定や補助金の交付を受けようとする年度の3月1日時点において地域枠に市内居住の児童を受け入れている場合などは助成の対象。

固定資産税・都市計画税の軽減措置

固定資産税・都市計画税については、課税標準額の2分の1を基準とし、各市町村が3分の1以上から3分の2以下の範囲内で特定割合を条例で定めることになっている。

市では、事業者負担を下げることで保育施設の設置が促進されるよう、特例割合を3分の1に定めて、固定資産税・都市計画税を軽減している。

固定資産税等の軽減措置の概要
対象資産 平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に子ども・子育て支援法に基づく政府の運営補助金(※1)を受けた事業主などが設置した、一定の保育に係る施設(※2)の用に供する固定資産
課税標準の特定割合 <地方税法で定める割合>
課税標準の2分の1を基準として、3分の1以上から3分の2以下
<市が条例で定める割合>
課税標準の3分の1
適用期間 上記期間中に最初に補助金を受けた年の翌年度から5年間

※1:施設整備補助金を除く ※2:有償で借り受けた資産を除く

保育施設の開設に関わる相談支援体制

待機児童緊急対策室を中心に7部署が連携し、事業者からの保育施設の開設や本事業への相談に対応している。待機児童緊急対策室が相談窓口になり、相談内容に応じた担当部署を紹介するとともに、相談内容や対応結果は各部署と共有している。市のホームページには専用のページをつくり、本事業の利点や市の支援策を載せ、事業者に保育施設の開設を呼びかけている。

企業主導型保育施設の開設に関わる相談対応部署と役割
部署名 役割
こども局待機児童緊急対策室 企業主導型保育事業を検討する事業者からの問い合わせ対応[窓口]
事業概要や手続きの説明、図面確認
企業主導型保育事業の事業者募集情報の提供
保育士の子どもの優先入所の案内
受入枠の空き状況の確認及び窓口での案内
こども局こども育成室施設担当 認可外保育施設の図面確認、認可外保育所設置届の受理
こども局こども育成室運営担当 子育て支援員研修の受付
都市局建築安全課 建築基準法の確認
福祉局あかし保健所生活衛生課 保健衛生、調理室の確認
消防局予防課 消防法の確認
福祉局法人指導課 認可外保育施設に対する指導監査

広報による利用者確保への支援

市は、保護者へも積極的に保育施設の情報を提供している。保育施設の一覧や地図に地域枠を設定している保育施設も載せて、ホームページや相談窓口で案内している。入所相談に来る保護者にも保育施設の地域枠の設定数や年齢別の空き状況を伝えるなどし、保育施設の利用者確保につなげている。

図:企業主導型保育施設が載っている明石市の保育施設マップ

図:企業主導型保育施設が載っている明石市の保育施設マップ

企業主導型保育施設の開設支援の成果

本事業が開始された平成28年時点では市内の保育施設は2施設であったが、令和元年9月には21施設となり、この3年間で大幅に増加した。全ての保育施設が地域枠を設定しており、市の待機児童減少への貢献が期待できる。保育施設に入所した児童数は平成30年度4月1日時点で34人、平成31年度4月1日時点で47人となっている。

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