コラム 施設の急な休止時の対応のポイント(参考)

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企業主導型保育施設(以下「保育施設」という)を利用する保護者や子どもたち、保育士をはじめとする施設の職員のためにも、事業者が施設の運営を急に休止することはあってはなりません。そのような事態が生じないよう、保育士の確保や利用者のニーズの把握及び反映、地域の地方自治体との連携などに十分配慮するとともに、万が一、止むを得ず休止する場合、入所している子どもたちの保育の受け皿を確保する必要があります。

ここでは、急な休止を回避するために事業者が気をつけるべきポイントや、事業者が速やかに子どもの転園先を確保する際のポイントなどについて、東京都世田谷区、神奈川県横浜市及び本事業の実施機関(令和元年9月30日時点)である公益財団法人児童育成協会(以下「児童育成協会」という)へのヒアリング調査に基づき、参考として記載します。

急な休止にならないために

事業者は施設の急な休止を避けるためにも、施設を運営する段階で以下のような点に配慮することが重要です。

保育士の確保

保育士等の人材確保は、保育施設の安定した運営を円滑に行うために最も大切にしなくてはならない要素です。

今回取り上げた事例では、事業者が認可保育所で経験を積んだ保育士を確保するために、給与を周辺の保育施設より高く設定し、業務支援ツールを導入して業務の効率化を図り、残業をできるだけ少なくするなど、働きやすい職場環境づくりや保育士の満足度を高める工夫が行われているところがありました。また、事業者の関係者で保育士の資格を持っているにもかかわらず、保育の職についていない潜在保育士を職員として確保したケースもありました。

地域との関わりの構築

保育施設の存在を知ってもらい、地域で保育施設の役割をアピールし、地元の住民と交流を図る機会を設けることで保育施設が広く認知されます。

今回取り上げた事例では、事業者が保育施設開設前に地元住民へ挨拶したり、事業者が地元企業、地元住民に参加を呼びかけイベントを開催して、保育施設の存在を周知したところがありました。

保護者との信頼関係づくり

保護者との信頼関係は、そのまま子どもとの信頼関係につながります。保護者が保育士に信頼感を持っていると子どもも安心して保育施設での時間を過ごすことができます。保育施設での子どもの様子をツイッターやフェイスブックで情報発信することも効果的です。また、保護者からの質問に対しては真摯に対応することはもちろん、例えば、質問を受けた保育士の経験が浅い場合は、主任保育士や園長に確認するなどを通じ、適切に返答することにより、信頼関係の醸成につながります。

今回取り上げた事例では、自宅では野菜を食べない子どもが、保育施設の食育に配慮したメニューによって食べられるようになり、このような子どもの成長を日々保護者に伝えることで、信頼関係が築かれ、保育施設の評価につながったところがありました。

利用者のニーズ把握と反映

従業員枠について、従業員の利用ニーズを調査で適切に把握するとともに、開所時間や保育料などの要望についても施設の運営に反映することで、満足度を高め、利用者の確保につなげることが可能となります。

今回取り上げた事例では、保育料を認可保育所と比べて低く抑えたり、兄弟割引などを導入し、従業員が保育施設を利用しやすくしていたところがありました。また、共同利用企業の働き方に合わせて保育施設の開所時間を設定することで、利用者の確保につながっているところもありました。

地域枠については、市区町村等への相談などを通じて地域の保育ニーズを適切に把握するとともに、市区町村等から入所希望者を紹介してもらうことが可能となるような市区町村等との関係の構築が重要です。今回取り上げた事例では、市区町村等から入所希望者の紹介があれば、空きがあればすぐに入所してもらうことが可能となる柔軟な受け入れ体制を整えることで高い定員充足率を維持していたところがありました。

企業主導型保育事業者同士の情報の共有化

企業主導型保育事業者同士がつながりを持つことで、保育施設ならではの問題や課題が情報共有でき、課題解決に向けた取組につながる可能性が高くなります。

【本冊子の事例】

東京都世田谷区
世田谷区は区内全ての企業主導型保育施設に声をかけ、意見交換会を開催しています。交換会では「区のホームページにおける空き情報の公開」等について、区から説明が行われ、その後施設間の情報共有と意見交換や保育内容、運営についての話し合いが行われています。

東京都武蔵野市
市が市内の企業主導型保育施設に声をかけて始まった、企業主導型保育施設長の情報共有会議がきっかけとなり、施設長同士のつながりができました。自主的な会議では運営を効率化する取組や保育の課題の解決に関する取組などが話し合われるようになりました。保育施設間の合同イベントも開催されるなど、連携による取組が継続して行われています。

地方自治体との連携

事業者は日頃から地方自治体と良好な関係を築くことを心がけることが必要です。このためには、まずは設置を検討する際に地域の保育需要を確認するなど市区町村等と相談することが重要です。市区町村等の保育需要に配慮した保育施設の整備は、利用者の確保にもつながります。また、施設の開設後も空き状況をはじめとする施設の状況について、定期的に施設の設置されている市区町村等に報告、意見交換することなども重要です。地方自治体によっては独自に企業主導型保育事業を支援している場合もあり、支援情報を収集し利用するためにも地方自治体との関係構築が重要となります。

今回取り上げた事例では、保育施設開設に際して、保育士採用の留意点や嘱託医の候補についての情報提供を地方自治体から受けたり、開設後は、地方自治体からの補助金情報の提供を受けたり、市区町村等の紹介で入所希望者の年度途中の受け入れを行うことで定員充足率の向上につながっているところがありました。

【本冊子の事例】

東京都世田谷区
世田谷区では、企業主導型保育事業で保育施設の設置を検討している事業者に対し、保育施設設置の優先度が高い地域での開設を薦めています。保育施設の優先度が高い地域へ誘導することにより、効果的な整備ができるよう連携しています。

東京都武蔵野市
市内に設置された全ての企業主導型保育施設に声をかけ、年1回開催している施設長会議による連携を通して、保育施設の情報も毎月更新されるようになったことから、定員に空きがあれば保育コンシェルジュにより保育施設の紹介が行われています。

企業主導型保育施設の急な休止時の対応のポイント(参考)

企業主導型保育施設の休止の方針を決定

保育施設を設置した事業者が止むを得ず保育施設を休止する場合は、休止の可能性が生じた段階で、あらかじめ児童育成協会に休止の連絡を行います。また、都道府県等(認可外保育施設の指導監督権限を持つ自治体)及び施設の設置されている市区町村等への連絡も併せて行います。

子どもの転園先の確保

休止に伴う入所中の子どもの処遇については、まず、子どもの転園先を確保する必要があり、次のような方法で転園先を探します。

  • 事業者は施設の休止方針の決定に伴い、保護者に休止する方針である旨の連絡・説明を行い、保護者の意向を確認します。保護者の意向を踏まえ、入所している子どもの転園先の確保は、事業者の責任で行う必要があります。
  • 市区町村等や児童育成協会に随時状況を報告しながら、事業者自らで近隣の保育所・保育施設に連絡し、当該施設が受け入れ可能である場合は、子どもの受け入れを依頼します。その際、日常的に保育施設同士で協力関係が築かれている場合には、協力関係がある保育施設に空き情報の確認を行い、子どもの転園先を確保することが可能となります。

転園先を確保する時に参考となるのが、児童育成協会のホームページで公開されている企業主導型保育事業助成決定一覧(平成31年3月31日現在)の地域枠情報や市区町村等がホームページで公開している、認可外保育施設、認可保育所など保育施設の空き情報です。

市区町村等によっては、相談窓口の保育・教育コンシェルジュを通じて保護者に保育施設の情報提供を行っている例もあります。

※児童育成協会 企業主導型保育事業助成決定一覧
 https://www.kigyounaihoiku.jp/wp-content/uploads/2019/08/H30_jyosei_20190809-01.pdf
(平成31年3月31日現在)

図:事業者が行う子どもの転園先確保のフロー(例)

図:事業者が行う子どもの転園先確保のフロー(例)

転園完了

入所している全ての子どもの転園先が決まれば、休止に向けた様々な手続を進めることになります。この手続に関しては、児童育成協会に相談してください。また、市区町村等に対しても随時状況を報告してください。

休止

手続完了後、事業者は都道府県等(認可外保育施設の指導監督権限を持つ自治体)に休止の届出を休止後1か月以内に提出します。併せて、受理された休止届の写しを添付した休止報告書を児童育成協会に提出します。

参考資料

企業主導型保育施設の空き情報の公表

世田谷区では、区内の保育施設のうち、掲載希望のある施設について保育所名、所在地、電話番号、年齢ごとの空き数をホームページで公開しています。

図:企業主導型保育事業(空き数)が掲載されている世田谷区のホームページ(一部抜粋)

図:企業主導型保育事業(空き数)が掲載されている世田谷区のホームページ(一部抜粋)
URL: https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/003/004/d00164202.html を参照してください。

保育・教育コンシェルジュを通じた保護者への保育施設情報の提供

横浜市では、保育・教育コンシェルジュを配置して、随時、保育施設の施設長に空き状況を確認し、就学前の子どもの預け先に関する保護者の相談に応じて、個別施設や施設が提供する一時預かりなどの様々な保育サービスについて情報を提供しています。

図:保育・教育コンシェルジュの役割が掲載されている横浜市のホームページ(一部抜粋)

図:保育・教育コンシェルジュの役割が掲載されている横浜市のホームページ(一部抜粋)
URL: https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/hoiku-yoji/service/concierge/concierge.html を参照してください。

急な休止への対応についての保護者への情報提供

世田谷区では、認可外保育施設が休園等により通園できなくなった場合についてのホームページを立ち上げ、利用できる可能性がある保育施設を紹介しています。

図:認可外保育施設が休園等により通園できなくなった場合が掲載されている世田谷区のホームページ(一部抜粋)

図:認可外保育施設が休園等により通園できなくなった場合が掲載されている世田谷区のホームページ(一部抜粋)
URL: https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kodomo/003/009/d00163097.html を参照してください。

保育施設の利用者の確保に関わる取組

世田谷区では、「区内の地域別保育施設整備優先度と保育施設の整備予定」を公表するとともに、区内に保育施設の開設を検討している企業等が相談に来た時に、企業等に対し「相談に対する回答について」という文書を渡し、保育施設設置場所の優先度が高い地域での開設を薦めています。

図:地域別保育施設整備優先度と保育施設の整備予定が掲載されている世田谷区のホームページ

図:地域別保育施設整備優先度と保育施設の整備予定が掲載されている世田谷区のホームページ

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