基調講演

 基調講演  14:40 ~ 15:15

講師:勝間 和代(経済評論家/にっぽん子育て応援団 団長)

テーマ:「もっと子どもに時間とお金を出せる余裕のある日本にしよう」

勝間和代氏の写真

〈ポイント〉

● 国際競争力を失っている日本

今、日本の競争力は、イメージで言いますと、世界の中で大体20位くらいです。しかもこれは、株価の下落やひどい円高によって、年々落ち続けています。

さらには、財政破綻の問題があります。日本は、国債を借りています。国債を借りていると大体、年間1.2パーセントくらい金利を払うんです。でも、今の日本の名目成長率というのは、1パーセントどころか、0パーセントあるかないか、なんですね。そうすると1.2パーセントで借りたお金が、0パーセントでしか廻っていないんです。こうしたら借金は、増えるに決まっているじゃないですか。あるいは、名目成長率が0パーセントである限りは、この先、どんなに消費税を上げようが、所得税をあげようが、財政は破綻します。そこについて、やはり、私たちがもっともっと声を大にして政策の変更を求めなければなりませんし、あるいはこれからお話する少子化対策というのをやっていかなければ、いつまでも財政というのは黒字にならないわけです。

では何故、こんなに日本の将来が悲観的かといいますと、一言で言ってしまうと少子高齢化が進んでいるからです。とにかく、人口動態がおかしくなっている。毎年、毎年、子どもがどんどん少なくなってきて、だいたい今、一学年に100万人とちょっとしか子どもが生まれません。団塊の世代では、250万人くらい子どもがいました。すなわち、あと10年、20年すると、日本は毎年100万人ずつ、人口が減っていく国になります。そのような国で、景気が良くなったり、あるいは様々な商品が売れたりするのか、というと、皆さんが直感的に「できるわけない」と思うように、難しい状況であります。

● 少子化対策と男女共同参画は裏表

人口減少の課題となっている少子化対策には、現在2つの案が考えられます。

一つは、子どもに対する投資、そしてもう一つは、男女共同参画の推進を図ることです。男女共同参画の推進、つまり女性の社会進出は、少子化と逆行すると思われるかもしれませんが実は逆です。先進国になると、物価の高騰により生活水準が上がり、男性一人の収入で家庭を維持することが非常に難しく、共働きをして、初めて子どもに十分な教育ができる、あるいは社会的な水準を保てるようになる、というのが全体的な傾向です。

そんな状況の中で、日本では、女性に対する上手な働き口、つまり労働時間が短くて、十分な給料ができるような働き口がないということで、なかなか子どもを持つということができなくなっています。

このように男女共同参画が進まない理由として、長時間労働ということが挙げられます。普通の男性は50時間、60時間、働いているんです。女性が働きたくても、週に40時間だって苦しいのに、週に50、60時間働いて、家事、育児をやってくださいというのは、難しいと思います。だからなるべく働かないか、働いても、短時間労働にならざるをえない。結果として、短時間労働だと、どうしても低賃金になってしまい、なかなか社会も発展しない、という構造になっています。

ちなみに、男女共同参画という点で、日本は、全世界130か国のうち第90位くらいです。女性がほとんど社会に関わることができていないんですね。議員さんでも、会社の管理職にしろ、女性は10パーセントちょっとしかいません。収入も、男性と同じ働き方をした場合でも、大体6~7割しかないんです。結果として、女性が非常に厳しい状況となるのです。しかも、ご主人も長時間労働で苦しい。そうすると、子どもを育てる余裕がなくなっているというのが現状です。

●長時間労働を見直そう

子育てというのはお金もかかるんですけれども、時間的な余裕も必要です。ですので、もっともっと日本人全体が、短く働かないと、子どものための時間を使えない、ということなんですね。私たちはそれを「ワーク・ライフ・バランス」と呼んでいます。

一番大事なことは、1時間あたりの労働生産性を高くすることによって、男性も、今の大体、四分の三から、できれば、三分の二くらいの時間しか働かなくても、同じくらいの成果を上げられるような社会にすることなんです。

日本人は、大半の方が週に50時間以上働いています。同じように、平日10時間を越えているような人は、男性では、約半分近い方です。女性も1割くらいの人がそういうような働き方をしていますので、これを続ける限り、どんなに子育て支援が充実しても、また子ども手当てをつけても、実は、あまり子どもというのは増えていきません。それよりは労働時間規制などを導入して、週に、男性も女性も30時間~40時間しか働けなくしたら、自然と子どもが増えるんですね。

渡部さんのお話にもありました「ご飯を一緒に食べること」、これが家族の定義です。子育て体験が楽しいのは何故かといいますと、これは夫婦で一緒に育てるから、あるいは家族みんなで育てるから楽しいのであって、お母さん一人には押し付けてはいけません。子ども達自身も、もっと温かみのある、お父さん、そして家族の愛情というのを必要としていると考えます。

●できることから始めよう

少子化の問題は、環境問題と近いと思います。一人一人が価値観を転換し、できることから少しずつ始めることが必要です。

一人一人が長時間労働をやめ、より短い時間で、イノベーションを図るような仕事を行うこと、そして余った時間を、子どものために使うこと、こういうことをやっていけば、もっともっとこの日本は良くなると思いますし、震災復興への手助け、そして子どもに対する支援がもっともっとできると考えています。

みなさんには、にっぽん子育て応援団にサポーター登録していただき、またこういった考え方のある政治家に投票をして、官僚をもっと応援して、社会の仕組そのものを、子どもたちのために一緒に変えていっていただきたいと思います。