パネルディスカッション

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パネルディスカッション 14:40~15:20

テーマ:大切にしたい家族の絆、地域の支え

パネルディスカッションの様子1

コーディネーター:
奥山 千鶴子 (おくやま ちづこ)
(NPO法人子育てひろば全国連絡協議会 理事長)

パネリスト:
大豆生田 啓友 (おおまめうだ ひろとも)
(玉川大学教育学部乳幼児発達学科 教授)
羽生 祥子 (はぶ さちこ)
(日経DUAL 編集長)
ユージ
(タレント)

子育ての関わり方について

奥山


奥山 千鶴子 氏

私は今日の「家族の日」フォーラムで表彰式のあった「家族や地域の大切さに関する作品コンクール」の写真部門の審査員をここ3年くらいさせて頂いております。これからはユージさんと幼児教育のご専門でNHK の「すくすく子育て」にもご出演をされている大豆生田先生、豆先生と今日はお呼びしてよろしいですか? では、豆先生どうぞよろしくお願いいたします。そして働くママとパパの情報サイト「日経DUAL」の編集長 羽生さんと一緒にお送りします。どうぞよろしくお願いします。

一つ目のテーマは「大切にしたい家族の絆」です。最近は働くお父さん、お母さん、また在宅勤務の子育て家庭も増えています。なかなかうまくいかない子育てで苦労されている家族も多いかと思いますが、そういった時に地域や行政がどんなことが出来るのか、そんなことも含めて一緒に考えていければと思っております。

それではまずパネリストのみなさんに自己紹介してもらおうと思います。ご自身のご関心、ご専門なども含めて、ご紹介ください。

大豆生田


大豆生田 啓友 氏

玉川大学の教育学部に所属しております大豆生田といいます。子供は3人おりますけれども、先ほどのユージさんの家事や育児の話を聞いて時代は変わったなあという印象を受けました。ただ、そのせいでプレッシャーを感じ、ストレスになっている方もいるんじゃないかと感じました。ユージさんみたいな方の行動や言動が、これからの若いパパ・ママを引っ張っていかれることも多いだろうと思いますね。

今日は、僕はユージさんとは逆側の役だなと思いながらここに立っております。もう時代が変わったということもあるんですけれども、長男はもう大学二年生なので。保健センターで赤ちゃん生まれる前の講座ってあるじゃないですか。今、パパ・ママ両方で参加が普通だけど、僕の時代は、50組のうち、パパで行ったのは僕だけですよ。だから僕なんかは凄くいいお父さんだと自分では思い込んでいたんです。でも妻に言わせたら「いやいや」と。ユージさんのところと負けないくらい、うちの妻もかなり私にアプローチしてくださる方なんですけれども、その時、妻は私に言いましたよね、「ねえあなた、来ただけで、自分がいいお父さんとか思っていない?」と言われて。

ユージ

厳しいですね。僕の奥さんとかなりアプローチの仕方が似ていますね!

大豆生田

僕の場合、いろんなところで、パパやママたちに子育てのことをお話する機会があるのですが、まだ子供が小っちゃい時にやってたら、妻からこう言われたんですよ。「外でパパやママたちに子育ての話してるんだって? 何の話してるの?」って。「子育ての前に、土日しょっちゅう仕事で家にいないよね。」って言われて、ドキッとするわけですよ。今日だって、「家族の日」なのにこんなところにいるんですから、まずいですよね(笑)。それで、「平日はたまに早く帰って来ても、そうやってソファーにゴロンとしながらテレビ見るよね。子供が遊ぼうって言うと、そうやって隣に抱き抱えて一緒にテレビを見るだけだし。なのに、子育ての話、外でしてるんだ。」と。怖いですよね。

ユージ

「そういう自分の話を正直に外で言ってるのか」と。そういうことですね。

大豆生田

妻に言われても、あとからなるほどって思うけれど、当時は全然わからなかった。自分のことをイクメンの走りくらいに思ってたけれど、妻からすると、言ってることとやってることが違うと。でも今でもそういうことがきっとあるんじゃないかなと思います。テレビの子育て番組に出させてもらうと、そんな声が溢れるように出てきます。「土日ちょっと子育てやったくらいで、イクメンとか言わないでよね。」って。男性側としては結構プレッシャーなわけですが、そういう現実もあるというところで、問題意識を話させて頂きました。

奥山

ユージさんと豆先生の奥様は、似ている部分があるみたいですね。

羽生さんいかがですか? 働くママとして。

羽生


羽生 祥子 氏

そうですね。私は強い妻の立場になるのかもしれないんですけれども、小学校二年生の女の子と、年長の保育園に通っている息子がいまして、働くお父さんとお母さんの為の情報サイト「日経DUAL」というウェブマガジンの編集長をしています。働くという意味だとお父さんもお母さんも同じ立場なんですよ。さっきユージさんもおっしゃってたように、育児とか家事を「手伝う」なんて言われた日には困っちゃうわけで。労働者としても、お父さんとお母さんは同じ。それで、親としても同じ立場なので、まったくイーヴンな関係ですね。とは言え、どうしても赤ちゃんのお世話とかお洗濯とかお掃除とか、お母さんの仕事になっちゃうことが多いので、じゃあどうやって夫婦一緒に育てていきましょうか、というところで、いろいろな問題が出てきたり、褒めあったり、うまい喧嘩の仕方とか、お願いの仕方とかを考えたり、そんなことを毎日記事にしてアップしています。

奥山

「日経DUAL」は、パパの読者率も高いと聞きましたが。

羽生

そうですね。大体、子供のことを扱う雑誌とかウェブというのは、どうしても女性が多くなるんですけど、最近の若い人はみなさん自分のこととして捉えるのか、男性会員が4割弱いますね。なので、お父さんもお母さんも関係なく、サイトの色もピンクをやめて、黄色とか白とか黒にしました。

妊娠、出産のお話になるとどうしてもママの話になるので、そのテーマのときはちょっと女性が多いんですけど、子育ての問題だと、男目線、女目線でいろいろ意見が書き込まれておもしろいですね。

奥山

実は私は横浜市港北区で地域の子育て支援をしている立場なのですが、14年前に活動を始めた時は、どちらかというと在宅で子育てしている人たちのための「子育てひろば」みたいな感じだったんです。今は2割から3割が育児休暇中の方か、もしくは在宅で仕事されている方、3割くらいがそういう就労、仕事に関係のある方がご利用になっています。そういう意味では地域子育て支援の利用者も働く方が増えていますし、土曜日なんかは父親の参加も多いですね。仕事も地域活動も男女ともに、そういうムードになってきていますね。

羽生

そうですね。今、夫婦のいる世帯の6割のお母さんが何らかの職業に就いています。パートタイマー含めてなんですけれどね。子育てが一段落したら、何かしらお仕事をするという女性が多いと思います。そうするとやっぱり仕事と家庭の両立という問題になるので、家族の大切さというのを今一度感じたいなあという思いもあります。

少子化に関するデータ紹介

①赤ちゃんのお世話の経験

奥山

それでは、次にこのデータを見てください。「初めて子供が生まれる前に赤ちゃんの世話をしたことがありましたか?」という質問なんですね。これに横浜市の保護者の方が答えたんですが、74%の方が、したことがなかったと答えています。赤ちゃんのお世話というのは、おむつを替えたりミルクをあげたりということらしいですね。そのことについてユージさんどうですか?

データ1:赤ちゃんのお世話の経験

ユージ


ユージ 氏

僕は今まではこれを聞かれたら「ある」って答えていました。だって赤ちゃんのことをだっこしたこともあるし、ベビーシッター的なこともしていました。僕のいとこでが生まれた時とかは世話もしたし、これでいうと赤ちゃんの世話をしたことあるって答えてたんですけど、いざ自分が父親になって、娘が生まれて世話をした時に、「あ~ちょっと待って、今までのは世話じゃなかったな」と。そういう意味で今は 「なかった」のほうです。結構僕は赤ちゃん好きで、ずっとしていたんですけど、あれは世話じゃなくて子守でした。

奥山

子守ですか? 羽生さんどうですか?

羽生

ほとんどの人はないんじゃないですかね。私も初めての妊娠、出産が8年前なんですけど、ご多分に漏れず育休ノイローゼになりました。赤ちゃんが生まれて、会社を休んで半年くらい家に籠るんですけど、ニュースとか見るとボロボロ泣いちゃいます。どこかの国の戦争のニュースとか見るだけで、涙が止まらないんですよ。もう哀しい。多分ホルモンのバランスが崩れているんだと思うんですけど、授乳中なので。ただそれ以前は新聞記者をやっていましたから、戦争の話でも普通に記事を書いていたんですが、それがひとたび、初めての出産、妊娠で、もう一気に崩れてしまって、もうテレビも付けられないし新聞も読めないという状態になってしまいました。赤ちゃんなんて身近にはいなかったですしね。

奥山

いとこの数というのも凄く少なくなっていませんか? 親戚が集まっても身近に赤ちゃんがまずいない。豆先生はどうでした?

大豆生田

僕は専門柄、結構赤ちゃんに接する機会はあったんですよ。でも、必ずしもその経験があることと、親になることはイコールではなかった。幼稚園や保育園の先生たちも、たくさん育てていますけれども、実際、親になったら言うことはみんながらっと変わりますから。「こんな大変なのか」って。「親側ってこんな気持ちだったんだ」と気付くんですね。僕の場合、有り難かったのは、たまたま二番目の子の時、搾乳した母乳を運んで飲ませるという経験を何度かさせてもらったんです。これは凄く大きい。赤ちゃんが生まれた時に自分が具体的に何かをするということが、父親になった実感がわくきっかけとしては大きいなと思いましたね。

奥山

なかなか、生まれてすぐのころに父親が関わるって難しいですよね。メンタルの部分も含めて。

羽生

そうですよね。人気の「日経DUAL」のコラムに「男は急にパパにはなれない」というものがあるんですよ。やっぱり女性は妊娠して出産するので、確実に自分の中から出てきたものだと体感的にわかるんですけど、お父さんは文化的なものや社会的なもので父親になるわけで、やっぱりすぐには父親になれないんじゃないかなというのは思いますね。

大豆生田

明らかに準備期間がないんですね、お父さんたちにとっては。意図的に何かしない限りは実感がわきません。女性は妊娠するだけで、かなり準備期間になりますし、そこは大きいと思いますね。

ユージ

お腹が痛い思いをしてバッと生まれた時の切り替えスイッチが男は何もないから、パッと切り替えるのは難しいんですよ。生まれる前と生まれた後で、どこも痛くないですし。見ているときは、「あっ僕の息子だ、娘だ」って、お父さんになれるんだけど、いない時は今までと何も変わらないから難しいんですよ、テンションを維持していくのが。父親になるのにちょっと時間かかっちゃうかもしれないですよね。

大豆生田

最近の研究で、かつては女性の方が子育て、赤ちゃんの面倒を見るのに向いてとると言われてきましたが、それは違うというものがあります。確かにおっぱいをあげられるかどうかという差はあるにせよ、実は本来、大きな差はないというのが最近の見方です。だから、ユージさんのようにやっている人は、普通に赤ちゃんの面倒が見られるのではないかと思います。女性か男性かではなく、やっているかどうかの差というのが実は大きいのではないかと言われていますね。

奥山

今は母乳育児推進の風潮もあって、パパが授乳しているママにどう関わっていいのかがわからないかもしれません。その「パパのスイッチが入るきっかけ」はどうつくっていけばよいのでしょうか?

ユージ

奥さんには、旦那さんに子供のことを全部やらせてしまう勇気を持ってもらうといいと思います。旦那さんって自分から 「俺やる、俺やる」ってやり辛いし、わからないから。赤ちゃんが未知の生物だから、「どっ、どうしたらいいんだろう」って。奥さんは子供が生まれた瞬間からお母さんになれているから、だっこも上手だし、おっぱいもあげられるし、泣いた時、何すればいいかわかるんですよ。だから逆にパパがやるよりもママが自分でやる方がよっぽど楽だと思うんです。奥さんにとっても。「ちょっとやってくれる」っていうよりも「もう見てられないからもういい、私やるからいい、いい、いい」って、やっちゃったほうが楽なんだけど。でもそうすると、いざとなった時に、お父さんにちょっとお願いって出来ないんですよ。そこを乗り越えると、パパも自信になるんですよね。

奥山

そうですね。羽生さんその辺、いかがですか? ご主人は?

羽生

うちは赤ちゃんを保育園に入れて7カ月くらいに、南アフリカに出張に行かなければいけなかったんですよ。お乳も張っちゃうので、南アフリカでお乳搾ったりして、「私、何やってるんだろう?」と思いました。それで、その時は家では、「お陰で地獄絵図だよ」とあとからメールで言われました。だけど、初めて粉ミルクに強制シフトして、三歳児神話など諸説ありますが、やはり赤ちゃんは、最近一番お世話してくれた人のことを一番愛する生物なんだなあと思いました。私が二週間いなかった時、家に帰ったらもうパパにべったり。ビックリしちゃいました。パパがいなくなった時は、私にね、「ママ、ママ」って言うし、両親ともいない時、松崎さんという地域のシルバー人材センターの方に頼んでるんですけど、血繋がっていなくても、「松崎おばあちゃんが一番好き」と言ったりして。だから、直近で一番お世話してくれた人のことを、やっぱり大好きになるんだなあと。ですので、実は、性差はないというのは、なんとなく私も肌で感じていましたね。

②子供がいる夫婦の休日の家事・育児
 時間別にみた、この8年間の第2子以降の出生の状況

奥山

ということはやっぱり、一緒に過ごす時間って大事ですよね。育休も含め、パパが時間をとれるか、パパスイッチを入れるために、どう時間を共有できるか、これがとっても大切だということですね。

さて、次のデータは、そのスタートのところに、夫婦としてどう取り組むか、「時間だけじゃないよ」という部分や働き方も含めて、考えていかなければいけないというデータだと思っています。

男性にとってちょっと厳しいデータかもしれないですが、「夫が家事・育児時間が長いほど第二子以降の出生割合が高い」という当たり前といえば当たり前のようなデータです。どうでしょうか。

データ2:子供がいる夫婦の休日の家事・育児 時間別にみた、この8年間の第2子以降の出生の状況

羽生

お母さんの立場としたらやっぱり、旦那さんが家事、育児をしてくれるほうが、「じゃあもう一人いきましょうか」となると思いますし、「2人目、3人目が欲しい」となった時に、パートナーがヘルプをしてくれるかどうかというのは凄く大事かなと思いますね。

奥山

手伝いたいと思っても、日本の30代の男性の長時間労働が諸外国と比べてとても多いんですよね。多分、したくても出来ないという現状かなあと思うんです。横浜ですと、東京に仕事に行くのに1時間くらい通勤にかかっちゃうんですね。南関東の男性は、世の中的に一番帰宅時間が遅いと言われています。多分、横浜のパパたちもなかなか、帰りたくても帰れないという現状があると思うんですけれど、その辺り働き方から考えた時にどうでしょうか?

ユージ

働き方ですか? そうですね、あくまで自分の趣味の為の仕事じゃなくて、家族を支える為の仕事なので、どうしても会社を早く切り上げることが出来ないこともあるかもしれませんね。だからちょっとお父さんは大変かもしれないですけど、帰る時間遅くてもある程度は家のことを手伝うとか、しなくちゃいけないと思いますよね。

大豆生田

それぞれの家庭の折り合い方が大事だと思うんですよね。これからユージさんみたいな意識は凄く男性側に必要ですよ。ただ、現実はいろいろなケースがあるので、どう夫婦の中で折り合いをつけるかというところだと思います。

奥山

そうですね。そのあたり羽生さん、コミュニティにいろんな方が、特にパパなんかが投稿されていると思いますが、いかがでしょうか?

羽生

一番大事なのは、お母さんも働いたとしても、5対5にしなきゃダメとがんじがらめにならないことだと思います。その家庭、そのステージ、その子の年齢によって、お父さんが凄く忙しい時と、お母さんがちょっとセーブする時ってあると思いますので、そこはちゃんと夫婦で話し合っていくべきかと。例えば今は2対8で私の方が仕事をセーブするよとか、今は落ちついているからお前頑張れと奥さんの方にお仕事を頑張ってもらうとか、そういうセーブは必要かなあと思います。ただ、きっかけというのは半分強制的にやらないと男の人の長時間労働というのは変えられないですね。例えば毎週水曜日だけは、子供と一緒にお風呂に入ってくださいとか、多分一週間に一回だったら頑張れば帰って来れるはずなんですよ。ちょっと飲み会やめて、水曜日だけは「家族の日」というふうにして、職場のみんなにも周知しておくとかね。そうすると、「あ~今日はちょっとごめんなさい。水曜日なんで」と帰りやすくなりますから。まずは週一回から始めるとか、いいかもしれませんね。

奥山

そうですね。かなり仕事は厳しいけれど、だからといって、自分たちの家族のことも会社に伝えていくという努力も必要だってことですよね。

羽生

伝える努力って大事だと思います。日本の文化って、会社ではプライベートなことや家族のことを言わないというのが基本ですから、そこはちょっと開示する勇気が必要かなあと思います。

大豆生田

専業主婦家庭の場合だと、女性の側は、ユージさんのところと違って専業主婦なんだからというふうに、「実際は私がやっぱ頑張らなきゃいけないんじゃないか」とか、男性の側も、「俺が働いてお金稼いできてるんだから」みたいな意識が働いちゃうと思うんです。だからユージさんのところは本当に素晴らしいと思いますよ。必ずしも、働いている、働いていないに関らず、どういうふうに家のことを分かち合うかが大切です。働き方が忙しい場合には、家事や子育ての分担をルーティーンにするのも手です。ルーティーンになると今度はそれが固定化してそれしかやらないという問題もあるけれど、それも一つの方法だと思いますね。

奥山

そうですね。女性も男性も働き方が多様ですし、夫婦の中でどうバランスをとるかをしっかり話しておくということですよね。専業主婦家庭の女性のほうも遠慮することなく、一緒に子育てをしているという意識をもつことですね。

地域の支えの大切さについて

奥山

では、二つ目のテーマ、「地域の支え合い」に移りたいと思います。

最近は家族の規模が小さくなって、おじいちゃん、おばあちゃんの手を借りるとか、ママ友同士で預け合うということも難しくなってきました。また諸外国のようにベビーシッターというのもなかなか普及しない中で、子育て家庭が孤軍奮闘するというのが、日本の子育ての状況ですが、地域の力を借りたり、うまくサービスを使って子育てをするというところについてはどうですか?

大豆生田

横浜は保育園の待機児童ゼロで有名になりましたけれど、実は地域の子育て拠点とか、「ひろば」が充実している地域なんです。しかも、凄く質も高い。地域の中に居場所をたくさん作ろうとしていたり、地域の中にいろんな人の繋がりを作ろうということに力を入れてる地域なんです。その為に、子育てしている当事者たち、奥山さんなんかその代表ですけれども、繋がりを作ろうとしている意味では、なかなかいい地域だと思っています。そういう「ひろば」があったおかげで、親同士の友達に出会えますし、子育てで悩んでいる時に自分が今大変なことを話せて、「そうそう、わかる、わかる」と共感し合える、これにかなり救われますよね。

羽生

普通、例え結婚していても、子供がいないとあんまり自分の住んでいる地域のことって意識しないと思うんですよね。会社に行って、おうち帰って寝るだけになってる場合が多いので。ただ、子供が生まれると、幼稚園ですとか、保育園ですとか、ここに住んでいるということを凄く意識することになります。それで、働いているお母さんですと、何かしら手を借りることは多いと思います。私自身も地域の70歳前後のおばあちゃんに3人来てもらっているんです。シルバー人材センターと言って、そんなに高いベビーシッターさんでもないんですが。あとは高齢なので、そんなに長い時間働けないので、「私は二時間だけ子守を出来ますよ」って手を差し伸べてくれるんです。なので、うちの場合だと火曜日に夕方2時間とか、水曜日に2時間、2時間ということで、3人の方に来てもらっています。最初お願いする時は凄くハードル高かったです。3人の方に合鍵を渡すわけですし、子供と3人きりになりますから「 この人、大丈夫かな」とか。ただ今では凄く助けられていて、一番嬉しかったエピソードを言うと、保育園の息子が、マラソン大会で一番になったんですよ。その時に、金色の紙のメダルを獲ってきたんです。その時、今までだったら、パパが帰って来ても、おばあちゃんが来ても、「やっぱり一番言いたいのはママだから」って、リュックに隠していたけど、この間のマラソン大会で一番の時は、なんとそのシルバーさんに見せちゃったの。それで、私帰って来た時に、ちょっとなんか役割取られた感じで。最初「えっ、えっ」と思ったけど、やっぱりおばあちゃんのこと信頼していてね、本物のおばあちゃんじゃないんですけど松崎さんに聞いてもらって、「よしよし」してもらって凄く嬉しかったって息子から聞いて、「あ~この子にとっては他人だけれど、もう家族の一人なんだなあ」と、凄く嬉しかったですね。

奥山

ユージさんは、家族以外のヘルプを受けるということってありますか?

ユージ

うちは奥さんがずっと家にいてくれているので、一人で頑張っているんですけれど、その分、やっぱりいっぱいいっぱいになっちゃう時ってあるんですよね、奥さんも。僕もなるべく手伝うんだけど、そうはいかない時というのはやはりベビーシッターさんにお願いしようと話していて、まだお願いはしていないんですけど、色々見ています。僕自身が、一人っ子で、シングルマザーに育てられているので、僕のお母さんが仕事に行っている時は僕もベビーシッターに育ててもらったんです。その時はお母さん一人で働いているから、そんな裕福じゃなくて、ベビーシッターさんを毎日雇うって結構な金額になっちゃうんで、出来なかったんですよ。でも俺を置いてくわけにはいけないので、そこで目をつけたのが、ベビーシッターを引退したおばあちゃんだったんです。子供大好きでまだやりたいという人が実は、結構探すといらっしゃって、その方々はもうベビーシッター事務所の方でもないから、安くやってくれるんですね。年齢はもう70歳越えていますけど、かなり優しくて、かわ村さんって言うんですけど。そのかわ村さん、今90いくつ。まだ元気。まだ元気だけど、流石に面倒は見てもらってないですよ。たまにごはんに行ったりとか、かわ村さんの家まで遊びに行ったりとか。この間も、かわ村さんにちょっとだけ出てきてもらって、近くのイタリアンでごはん食べたり。だからまあ、そういうのもいいんじゃないかなと。

羽生

どんな感じですか? お母さんみたいな感じですか? おばあちゃんかな?

ユージ

おばあちゃんみたいな感じですね。かわ村さんとの思い出はいっぱいあって、家で一緒に相撲をとったりとか。かわ村さん、めちゃくちゃ強いんですよ。小学校の時に70歳、80歳くらいのおばあちゃんと本気で二人で相撲とかやっているんですよ。まあ投げ飛ばされたね。何回やっても、ぐるんとひっくり返されたりとか、ごはん作ってくれたりとか、凄い思い出があります。だから子供をベビーシッターに預けるのはかわいそうなんじゃないかと思っているお父さんお母さんがいるかもしれないですけど、僕自身の体験から考えても、いい思い出を作れますし、そんなに深く悩まなくてもいいかもしれないですね。

奥山

なるほど、そうですね。横浜も、全国にもファミリー・サポート・センター事業という事業があって、地域の人たちの預かり合いなんですね。私たち 「どろっぷ」でも、ファミリー・サポート・センターの事務局を担っていますが、75パーセントは保育所、学童の送迎で、お迎えに行って、ご自宅で預かって、そこに保護者の方が迎えに行く形なんですが、地域の中でのおじいちゃん、おばあちゃん役みたいな感じなんですね。こういった事業も気持ちがあって支援をしてくださる方がたくさんいるということは、今のお話に通じることがありますよね。

ユージ

そういったサポートがあることを知るだけでも、大分、心は楽になりますよね。もし、何かあった時はお願いしようという。

奥山

本当そうですね。ユージさんからそのおばあちゃんとずっと繋がっているという話がありましたが、子供の視点から見た時に、両親が揃って子育てしてくれることだけではなく、その地域の人の顔が浮かぶとか、関係があるって、凄いことですよね、きっとね。

大豆生田

大事ですよ。マンガのサザエさんを思い出してみてください。サザエさんの子育て考えた時に、サザエさん一人でタラちゃんの面倒なんか見てないんですよね。タラちゃんって3歳くらいなのかわかりませんけれども、一人で歩いていますよね。みんなが声掛けてくれて、お隣の伊佐坂先生の家にも出入り自由ですよね。かつて子育てって、お母さん一人でなんか、やっていなくて、大家族や地域の支えの中でやっていたからこそ、子供はいろんな人の中で愛情を受けたり、多様な経験をして育つ力になってるんだということは、重要なことですよね。親同士の繋がりも大事ですね。地域の中でのパパ友みたいなものがいると、凄く子育てがやり易いなあとかね。

羽生

うちにはそのシルバーさんが3人と、あと義理の母がたまに来るので、いろんなおばあちゃんが来ているんですよ。それで、子供もまだ最初の時2歳とか3歳だったので、最初の3カ月は「お腹痛い」とかシルバーさんの日は鼻血が出たりとかして、「あ~訴えてるんだなあ」と思ってましたけど、今ではシルバーさんのお誕生日をカレンダーに書いていて、保育園でお手紙書いてきたりとか、ハッピーバースデーをやったりとか、うちにとっての縁側というのかな。もちろん血は繋がってないんですが、完全に外ではない存在が、そこにいてくれるっていうのが、凄くいいことですね。あと70代の女性が、日々ちょっとずつ老化していくんですよ。2年間頼んでいるんで、見えるんですよ。そういうのも子供にとっては凄くいいことだなあと思います。いつでも元気じゃないとか、3人いるといろんな性格があるとか、みんなみんな自分にとって都合のいいシルバーさんではないというのはわかっているので、みんなで育ててもらっていることに感謝の気持ちですね。

奥山

そうですね。第一子が幼稚園のお子さんで、第二子が赤ちゃんだったりすると、産後出歩くのが大変ですよね。そうすると幼稚園の送り迎えをママ友がいる方だったりすると、週に3日くらい、残りの2日をファミリーサポートの人が担ったりして、ママ友の力、それから地域の年配の人たちの力、いろんな力を借りて、なんとか乗り切っているというのが、地域の子育て家庭見ていて思うところです。どっちも必要ですよね、きっと。

羽生

同世代の子育て中の人というのは、コミュニケーションをするのが上手な人もいるんですけど、そうじゃない人もやっぱり多いと思うんですよね。そういう時に、例えば公民館に行って同じような年齢だったり、ちょっと一つ学年が上かなあと思う子でも、質問してみたりね、「年齢が近いですね」とか声かける勇気があれば、ちょっとずつ変わっていくのかなと思いますね。

奥山

地域子育て支援拠点では、就労しているかいないかに関わらず、妊娠期から保育園、幼稚園まで使える場になっておりますので、そういう場を地域にたくさん作っていきたいと思っております。

早いもので、そろそろ時間になってきました。最後に一言ずつ、家族のこと、地域のこと、それから今会場にお集まりのみなさんに向けて、お願いできればと思います。

ユージ

僕自身もパパとしての経歴はまだまだ浅いので、知識も足りない部分はありますが、多分、誰もが初めてお父さんお母さんになるわけで、そういう意味で、子育てに正解なんて多分ないと思うんですよ。手探りでもいいから自分がいいと思うやり方で、いろんな人と情報交換をして、お互い支え合っていくっていう気持ちで、みなさんにも子育てを頑張って頂きたいなと思います。僕も今後頑張っていきますので、これからもみなさんよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

羽生

今日は、「働くお母さん」の代表でお話させて頂きましたけれども、いろんな形で働くという場面が迎えられるお母さんが、これからどんどん増えていくと思います。「日経DUAL」の会員が8万人以上いるのですが、キーワードはみんな何故か「罪悪感」なんですよね。仕事もあるし、家庭もあるし、子供あるから幸せそうに見えるんですけど、やっぱり、心の中は、「全部中途半端でごめんね」と、「24時間のお母さんでいられなくてごめんね」と思っているお母さんいっぱいいると思います。そういう時に同じような辛さですとか、ちょっと明るく元気になるようなヒントがいっぱい詰まっている場所がありますので、もし「ごめんね」って子供に思っちゃう時があったら、ぜひ例えばうちのサイトに来てもらったりとか、外の講演に行ってもらったりとか、地域の先輩おばあちゃんにお話を聞いたりとか、そういうことをして乗り切っていってもらえればなあと思います。

大豆生田

最近、妻とこれまでの子育てのことを話す機会があったんですね。結局、子育て中って、本音で妻と話せるかというと実は話せないこともあるんです。でも、このことをちょっと話せた時に少し和解した感じがするんですね。このこと凄く大事なことだなあというふうに思っていて、そういう意味で言うと、ユージさんのお話聞きながら、「夫婦で話すって大事だなあ」ということを思いました。それでも話せないこともあるし、その時はうまくいかないなと思っていることもいっぱいある。そういう時は、どこかに出向いていって誰かに「私、今、大変なんだ。今これ困ってるんだ。」って、聞いてもらうと、それでかなり救われると思います。一人で抱えないでということがとても大事だと思います。

奥山

家族の絆はまずは夫婦でちょっと話し合うところから。もう、うちは子供が大きいので、今はもう振り返りという感じになっていますけれども、まずはそこから。そして、やっぱりちょっとしんどいなあと思ったら地域のサービスだとか、支え合いの仕組みなんかもあるので、そういうのをうまく活用して頂くということかなと思いました。今日は、夫婦の大切さ家族の大切さ、そして地域の支えというところをもう一度確認をさせて頂きました。登壇者のみなさん、どうもありがとうございました。