少子化社会対策大綱検討会(第2回)議事要旨

1.日時 平成16年1月13日(火)8:30~9:45
2.場所 総理大臣官邸 3階南会議室
3.出席者

(少子化社会対策会議委員)
  福田 康夫 内閣官房長官
  小野 清子 内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
  河村 建夫 文部科学大臣
  坂口 力 厚生労働大臣
  佐藤 泰三 国土交通副大臣(国土交通大臣代理)
(有識者)
  大塚 陸毅 東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長
  大日向 雅美 恵泉女学園大学人文学部教授
  奥山 千鶴子 特定非営利活動法人びーのびーの理事長
  榊原 智子 読売新聞編集局解説部記者
  佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
  白石 真澄 東洋大学経済学部助教授
  宮島 洋 早稲田大学法学部特任教授
  桃井 真里子 自治医科大学小児科教授

4.議事次第
 1 開会
 2 議事
 (1)少子化社会対策大綱についてのアウトライン
 (2)分野別の施策に関する取組方針について
 3 閉会

5.議事概要

1 開会
○小野内閣府特命担当大臣から、本日の検討会の議事について説明があった。

2 議事

(1)少子化社会対策大綱についてのアウトライン
○事務局(山本内閣府政策統括官)から資料1についての説明があった後、大綱の目的、基本的な考え方、重点課題等について意見交換が行われ、各有識者委員から以下の意見が述べられた。
(大塚委員)
 少子化問題は、国家百年の大計に係わる基本的な問題であり、国としてどれだけの覚悟で取り組むかという姿勢が非常に大事なのではないか。
 前回も申し上げたが、たくさんある政策課題の中でも、少子化対策は非常に重要な課題であるということを明確にすべきである。これまでもいろいろと言われながら、なかなか進まないのは、国が本腰を入れて取り組むということを明らかにしないからではないかと思う。したがって、今度の大綱でも、もっと踏み込んで、国としても少子化対策が重点的、優先的に取り組むべき課題であるという認識を強く打ち出すべきなのではないか。
 極論すれば、こうしたことを進める委員会は、総理の直属の委員会として進めるというようなことを打ち出すことも一つの案である。やはり国民の意識や、現在の社会の風土を変えないとなかなか進まないのではないかと思うので、何としても、インパクトがある旗印を打ち立てるべきではないか。少子化問題について、「産めよ増やせよ」というような話は決して好ましいことではないので、そうならないように注意する必要があるが、今申し上げたように、大きな柱となる方針をきっちり打ち出すべきであると考える。
 それから、今後の問題ということも含めて申し上げると、もう少しいろいろな意味で周知する、あるいは広報していくということも併せて進めていくことが必要なのではないかと思う。
(大日向委員)
 まず1点、基本的な考え方についてだが、少子化対策は広く国民の理解、合意が得られなくてはならないと思う。冒頭に「家庭や子育てに夢を持つ」という言葉が来るが、これは本当に正しいことだとは思うけれども、家族のあり方とか、人々のライフスタイルが多様化している実情にこれが最初にきてしまうと合わなくて、抵抗を覚える人も少なくないのではないか。多様なライフスタイルを認める社会のあり方がまず基本として明記されなくてはならないだろうと思う。
 2点目は、重点課題を六つ並べているが、ウエート付けが必要だと思う。5年、10年先の人々のライフスタイルがどうなっているのかということを視野に置いて優先順位をつけていくこと。そして、その場合に大切なことは、子どもを生み育てることで失うものができるだけ少なく済むということがわかりやすく重点課題に挙げられることだと思う。
 そうすると、いろいろな課題があるが、総花的に取り上げるのではなくて、まず「子育てと仕事の両立支援」だと思う。これは大人のためである。「男性を含めた働き方の見直し」とか、女性が子どもを持っても働き続けることができる支援というのは、この「子育てと仕事の両立支援」の柱の中に入っていくことが大切だと思う。
 もう一つの柱は、「子どもにとっての自立支援」である。子育て支援は、やはり子どもに対する経済的支援であり、自立支援である。「子育て家庭への経済的支援」と書いているが、そうではないと思う。子どもが自立するまでその子どもに対して経済的支援をすること、そして自立支援をすること。
 重点課題はこれらの柱を2本出す。大人が仕事と子育ての両立ができる社会、子どもが自立しやすい社会というふうに明確なものを2本ぐらいでいいではないかと思う。
 3点目は、推進体制のところだが、大塚委員も総理直属の委員会のようなものが必要だとおっしゃったが、私も本当にそう思う。これだけの推進体制を進めていくために、ポイント、基軸をどこに置くかということがはっきりと見える形で示していただければと思う。
(白石委員)
 各省庁から出ている政策のメニューは、いずれも非常に大事なことだと思うが、この大綱の会議を受けて何がどう変わっていくのか、今までの少子化対策と今後の少子化対策は、どう変わるのだろうかということが、今日出されたアウトラインの中からは見えてこない。今の組織体制、予算の中で各省庁ができることをやるというような意思表示だから仕方がないが、今までとこれからと何が違うのかということをもう少し明確にしていただきたい。
 そのためには、今、大日向委員がおっしゃったこの重点課題、私も六つは多過ぎると思う。専業主婦家庭を共働き家庭が上回っているわけだから、もう少し男女共同参画の視点というものを強調した方がいいのではないかと思う。
 次に、この大綱を受けて、どうこのそれぞれ施策を推進していくのか、また5年を待たずして途中経過などをフォローアップして、5年という期間は非常に長いので、社会状況の変化があれば、きちんと軌道修正する組織づくりが非常に重要だと思う。その点に関しては、大塚委員がおっしゃった経済財政諮問会議に変わるような首相直属の機関で、民間委員と議員の方が構成をして、きちんとフォローアップし、政策の優先課題をつけてチェックをしていく。さらには、それが将来的には子ども省というような形に発展していって、政策横断的に子どもや家庭や男女共同参画を全て、その省庁で見ていけるような体制がつくられるのが理想的ではないかと思う。
(佐藤委員)
 第1点は、今回の少子化社会対策大綱に基づいてどういう対策をやるのかといった時に、従来の施策と違って新しいことをやる必要があるのか、あるいは従来の施策をより強く推進すればいいのか、これが明確ではない。これまでいろいろ施策をやってきたけれども効果がないと書かれている。それはなぜなのか。施策自体に問題があるのか、推進体制に問題があるのか。つまり、施策自体に問題があるとすれば、新しい取組をやらなければいけない。多分その辺を少し、ここに書くかどうかは別としてきちんと議論しておかないと、今回打ち出す施策、なぜこういうものを打ち出すのかということが説得的ではないのではないか。
 2点目は、近年の少子化対策の議論は、結婚した夫婦の出生率が落ちてきたことが大きな変化なので、この問題に関する対策を進めなければいけないという前提がある訳だが、未婚率上昇についても歯止めがかかっている訳ではない。このことは、大綱の目的にも書かれているが、重点課題のところには留意事項としてしか挙げられておらず、それ自体を考えた施策が挙げられていない。もちろん、子育て支援と未婚率に歯止めをかけるということについては、重なる部分が相当大きいと思うが、やはり未婚率上昇についてどうするのかということを念頭に置いた施策が必要なのではないか。
 25歳から34歳の者が独身にとどまっている理由として、適当な相手にめぐり会えないというようなことがあるが、これは単に本人の個人的な問題なのか。そうではなく社会構造が変わってきたことがめぐり会えないという状況をつくっているとすれば、何らかの対策が必要だろう。例えば、そういうことをきちっと議論する必要があるのではないか。
 3点目は重点課題について、私も六つは多いと考えている。
 両立支援が大事だとは思うが、子育てと仕事の両立の支援について制度上は相当充実している。しかし、これが活用されないのはなぜかと言うと、両立支援策が不十分なのではなく、それが活用できないような社会や職場の仕組みにあると思う。
 大事なのは両立支援策が活用されるような社会や仕事の仕組みにしていくということを第1の重点課題にすべきことではないのか。つまり働くこと、家庭で生活・子育てをすること、地域で生活すること、この三つのバランスを考えると、やはり仕事に時間がとられる。男女で言えば、男性が仕事中心で女性が子育て、この仕組みを変えていくということだと思う。仕事、家庭、地域のバランス、家庭の中での男女の生活時間配分、こういうものが変わっていかないと、実は両立支援策を幾ら一生懸命やっても使われないのではないか。そういう意味では、働き方なり、家庭と仕事と地域の間での時間配分の見直しというようなことを全面に打ち出すということが実は重要なのではないか。
(宮島委員)
 最初の点は直接大綱と関係ないかもしれないが、なぜこれまで少子化あるいは出生率に対する対策が、必ずしも十分普及しないのかと言うと、これは私の考え方だが、出生率の低下という問題は非常に長期にわたってじわじわ進んでいく。また、対策を打って仮に出生率の歯止めがかかるなり上昇しても、その影響が現れるのがかなりに先になる。そういう意味では、どうしても危機感というものを強くは持ちにくい性格を持っている、病気で言うと慢性病みたいなものであり、急性の劇症の肝炎やがんであれば皆さん関心を持つけれども、糖尿病が進んでいくような世界ではどうしても関心を持てない。政治家にとっても取り組む価値があるかどうかというような事の緊急性が、どうしても感覚的に小さくなってしまう。
 段々ボディーブローのように効いていって、そして効果も非常に緩やかに出てくるというようなものを、一般普の人に危機感をもて、頑張れと言っても、これはなかなか個別に対応しようといっても難しい。政治なり行政がそういう問題を先取りして、打ち出していく責任は重いと思うし、そういう意味では、今回こういう形で内閣府が取り組むということは、非常に大事だと思う。
 その場合に、率直に言って、核家族化した家族では子どもを支え切れなくなっているという認識をぜひ持っていただきたいと思う。それは先ほど言った仕事のことや、いろいろな職場や家庭環境のこともある。非常に長期の緩やかな問題で、大変認識が難しいような問題であるということと、本当に家族だけでは支え切れなくなってきているという二つの認識をベースに、ぜひ政府レベルできちんと取り組んでほしい。
 それから、重点課題のところは、若い人が読んだ時に、これを自分の人生の流れの中で考えるのではないか。したがって、並べ方としては、まず「若者の自立支援」が最初にあって、その次に「男性を含めた働き方の見直し」というようなことがあって、それから結婚、子育てという、順番になっていく。そういうライフサイクル、ライフステージでどんな形で問題が起こり、それに対してどういう形で政府が切れ目なく対応していくのかということを分かりやすいように示した方がいいのではないか。
 3番目は、推進体制というのは、余り言い方は良くないが、中身が仮になかなか難しくても、推進する仕組みが外に分かるようにはっきりと整備されれば、政府が挙げて取り組んでいるという姿勢が分かる。また、おそらくこれをやっていくと、あるいは自主的な努力に委ねる部分もあると思うが、やはり、規制や法改正、予算要求や税制改正の問題に踏み込んでいく事項が当然出てくることになる。すると、予算編成や税制改正に本当に取り組む姿勢というのは、やはり所掌事務がかなりはっきりとした組織でないと大変難しい。そういう意味では、少子化社会対策会議とその事務局を含めるところの所掌事務をはっきりさせて、予算編成や税制改正といったかなりハードな仕事にも本当に責任を持って取り組めるという姿勢をぜひつくっていただきたいと考えている。
(桃井委員)
 留意すべき事項及び重点課題、少子化に対する、あるいは育児支援の重要性、緊急性が述べられているが、子どもに関する施策の重要性、緊急性は述べられていない。これは片手落ちだと思う。重要な柱として、子どもに価値が置かれているというトップメッセージがあるためには、子どもに対する施策の重要性、緊急性ということをトップメッセージに持っていくことで、国民の意識が変わるということがある。
 それに沿って重点課題を、「子どもに関する施策の重要性、緊急性」、そしてもう1つは「育児支援、育児不安への対策の重要性、緊急性」という2本柱の中で整理していくとよいのではないかと思う。
 それから、推進体制等は、私どもの研究でもそうだが、目的、計画、方法論、それから評価法、これらがないと結果は出ない。やはり施策でも推進のための実際的方法論、それから実行の評価法、評価時期、これらが明確にならないと、計画、推進、図るという言葉だけでは、国民はトップメッセージとして伝わらないと思う。
 したがって、トップメッセージの最初の中に、推進すると体制を示すという説明であったが、そうではなく、推進するからにはやはり方法論が伴わなくてはならないので、方法論と評価法というのをぜひアウトラインの中に言語として入れていただきたいと思う。それによって、政策実行の意気込みというのがトップメッセージとして明確になるであろうと思う。
(奥山委員)
 今年も年金の改革があって、その時に想定された想定出生率というのが1.39だったと思うが、今第二次ベビーブーマーの方達が29歳、30歳近くになって、それでも1.33、1.32というふうに落ちていく中で、年金での想定が1.39ということは、かなり頑張らないといけない数字ではないかと思う。
 その中で、今子育て世代の私達にとってみると、少子化でいろいろな対策があるけれども、どうも身近に感じられないというのが現状としてあると思う。国民にとって、子育て中の私達にとって強いメッセージを国として投げかけていただきたい。
 その際に多様なライフスタイルへの配慮というのはもちろん大事だと思う。ただ、次代を担う子どもたちの育ちを支えるという視点から言えば、次の世代をどう育むか、どう伝えていくかといったことは、子どもがいる方もいない方も、高齢者の方も自分には関係のないことだと言い切れるものではない。そういった世代を越えた社会連帯、その中での少子化対策になっていければと思っている。
 それから、どうも少子化対策というと、結婚、出産、子育て期の方達がどうしても視野に入るが、やはり乳幼児、それから小学校、中学校、そして大学、仕事をして家庭を持つというようなライフスタイルの中で、それぞれどのように効果的に見据えた形で施策が打っていけるのかということ、厚生労働省だけではなく、文部科学省、それから国土交通省も連携を取りながら、ライフスタイルに合わせた施策を打っていくことが肝心ではないかと思う。
(榊原委員)
 今回の大綱は、平成11年12月に決定された少子化対策基本方針の流れを汲んだものだと理解しているので、その時点と比較して一体何を取り上げるべきかという見方も必要だと思った。
 平成11年に決定された内容を読んで、非常に印象付けられるのは、この内容が今も実に新鮮である。ひっくり返して言えば、この時決定された内容が実現されていないままで来ているのではないか。4年経って見直すべきこと、反省すべきことは、その当時の方針が誤りであったとか不十分であったというよりは、正しい方向が示されていながら実現が十分に図られてこなかったということをきちっと反省するところからスタートしなければいけないのではないかと思っている。
 ゆえに、今回の最重要な点は、それぞれの施策、これをやるべきであるということはかなり議論された上で前回も決定されているので、そうしたそれぞれの施策の実行に裏付けをきちっとつけるということではないかと思う。それは実行計画を立てるということ、推進体制を組むということ、裏付けとなる予算を組むということではないか。
 今回、具体的に例えばこういうものを入れていただきたいと考えるのは、子どもや子育て関連の分野に対する資源配分を格段に増やすという方向の政策目標をきちっと組み込むということ、それから、今度は新エンゼルプランに変わって新しい計画を組むという厚生労働省の方のプランもあるわけだが、今後の5年から10年、ちょうど人口減少社会に日本が突入するこの期間を集中的な取組期間と位置付けて、総理直属の推進マシーンをつくるというふうにしていただけないか。これは、何人かの委員の方々と考えは同じだが、例えば時限付きで、例えば重要政策会議、経済財政諮問会議の並びのようなものでもいいかと思うし、特命大臣、専任の大臣と専任の事務局を組んだ体制ということでもいいと思う。確実に期限を切って、その中で推進、取り組むということが明確になる推進のマシーンというものを位置付けていただきたいと思っている。
 あともう1点だが、当時の少子化対策基本方針の時には、基本的な考え方として、個人の選択が尊重されるということがきちっと書かれていた。この点は、皆さん御存じのとおり、今回の基本法が国会で議論された時にも非常に大きな議論を呼んだ争点の1つであったと思う。その上で、附帯決議の冒頭にも、結婚、出産にかかる個人の意思や、家庭、子育てに関する国民の多様な価値観を尊重するということが入れられたり、「結婚、出産は個人の決定に基づくものであるが」と、基本法の本文にも入れられた経緯があったとおり、それは大綱の中にもどこか基本的な考え方ということできちっと明記した方が良いのではないか。若い当事者世代の共感を得たり、不必要な反発を呼ぶことを避ける実効性を高めるという意味でも必要なのではないかと考えている。

(2)分野別の施策に関する取組方針について
○各出席大臣等から資料に基づき以下の説明があった。
(坂口厚生労働大臣)(資料2‐1)
 厚生労働省としても、確かにいろいろな問題をたくさん並べてきているが、大体挙げるのは尽きており、どうこれを実現させるかということになってきているのだろうと思う。
 少子化対策を本格的に取組出したのは、榊原委員が先ほどおっしゃった平成11年の頃からはないかと思うが、宮島委員のおっしゃるとおり、じわりじわりとしかなかなか効いてこない、そう即効的には結果の出てこない分野であるということも事実である。
 そうした中で、我々ももう少し整理をしていかなければいけないと思うが、一つは、やはり雇用環境の整備、私はこれが一番難しいと思っている。これは言うは易くして、経済動向だとかそうしたことも絡んでいるので、企業にだけこうしてください、ああしてくださいと言うだけでは済まない話であり、ここを一体どうするかというのが最大の課題ではないかと思っている。
 我々の調査で言うと、南関東では、午後11時から午前3時までに帰る人が2割あるという数字が出ている。これは本当かなと思うが、全国でも1割ある。そういう環境をどう乗り越えていくかということとセットでないと進まないだろうと思っているが、やはり時間外労働時間が長い家庭ほど子どもは少ないことが統計として明らかになっている。そこをどうするか。かえって両方働いていても、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒にいるような地域、例えば富山や福井ではお子さんが比較的多いというようなことがあるので、もう少し全体として企業にもう一歩お願いをしたいわけだが、企業にお願いするだけではなくて、全体として企業にそういうふうにやっていただけるような環境をどうつくっていくかということが大事だと思っている。
 その中には、先ほどからお話のあった男性の育児参加をどう進めていくかということもある。
 2番目は保育サービスの充実で、これは待機児童ゼロ作戦を進めているが、依然として都市部においてまだ待機児童が多い。ここはさらに積極的に進めていくとともに、延長保育、休日保育、特定保育も含めてやっていくということが大事かと思っている。
 いわゆる保育園と幼稚園の一元化の話が、17年度に部分的な試行事業を実施して、18年から本格的に始めるということにしたいということになっている。
 地域における子育て支援体制の整備、これが比較的遅れている分野であるので、地域の中でも利用できる子どもを遊ばせる場所や、親子同士で安らぎを与えるような場所、そうしたことをこれからやっていかなければならない。ここは文部科学大臣とよく相談させていただいて、小学校低学年のお子さんの問題も含めて進めていきたいと思っている。
 その他、母子医療体制の小児科の先生や、救急医療の問題もしっかりやりたいと思っている。
 以上のようなことを進めて、何とか少しでも前進できるような体制を確立したいと思っている。
(河村文部科学大臣)(資料2‐2)
 子どもを生み、育てるということが、やはり夢の持てることでなければいけない訳だが、現実はなかなかそうでない。教育にお金が物すごくかかって先行きが不安だというようなこともそれの一つの原因だと言われている。子どもを生み育てるというのは、家庭にとっては大変大きな仕事である。社会全体が、子どもを生み育てるということは大切なことで、いわば大事業であるという認識をみんなが持ち合うということが、必要であろうと思う。
 文部科学省としては、いろいろなバリアをできるだけ除くように努力をして、幼稚園から始まって大学まできちっとやります、だから、安心して生んでくださいと、こういう方向へ持っていかなければいけないと思っている。
 保育サービスについても、これは幼稚園の方も保育機能をもっと持たせていく必要がある。御案内のように幼稚園は文部科学省、保育所の方は厚生労働省という縦割りがあるが、子どもを育てるお父さん、お母さんにとって、また子どもの幸せにとっては、厚生労働省がやろうと文部科学省がやろうと関係ない。本当に子どもにとって一番何がいいか、そのためには保育機能も幼稚園教育機能もしっかり持ったものができるというのが願いだろうから、その方向で持っていこうという話になっている。厚生労働省ともその垣根を取っ払って、どうしたら子ども達にとって一番いいスタイルなのかということで「総合施設」の検討を進めてまいりたいと思い、17年度にはそのモデルをつくって、18年度から本格的に統合できたものをやっていこうと思っている。それから、低年齢期のところは保育機能がしっかり要るので、そこを保育所機能でやり、3歳からの教育については、そこは幼稚園教育をしっかりやり、また4時間の教育が終わってもまだ預かるところは預かり保育をしっかりやろうということで、まさに教育機能と保育機能を一緒にやるのが一番いいと思っており、そういう方向で進めてまいりたい。
 それから、子ども達の教育についての不安がいろいろある。土曜日が休みになって、子ども達を預かる機能がだんだんなくなってきたし、勉強時間が少なくなって大丈夫かという話もあるが、やはり子ども達にしっかりとした学力をつけてやって、そして生き抜く力をつけてやる。そのためには、いろいろな地域、学校が一体となって取り組むということが必要である。それからすべての教育の出発点である家庭教育に対する支援もやはりしていかなければいけないと思っている。これがまさにいわゆるゆとりある教育の狙いであり、そこのところをもっと力を入れていかなければいけない時に来ていると思っている。
 また、地域の大人の皆さん方にもしっかりとした子ども達のために教育力を発揮していただくような仕組みをつくろうということであり、今年度の新しい予算において、子どもの居場所づくり新プランを計上している。子どもの居場所というのが受け身的だと言う人もいるが、何とかして地域の子ども達が放課後や週末に安心・安全な立場で地域の皆さんと交流活動ができる活動拠点を設けていこうというのが狙いであり、これはまさに地域の教育力を引き出すことにつながると思う。
 さらに地域と学校ももちろんオープンにして、そして一体となってやっていかなければならないので、地域と学校が連携協力した奉仕活動・体験活動とか、豊かな体験活動を推進していかなければいけない。また、子育てサポーターの資質向上と言っているが、そういうことを積極的にやっていただけるようなリーダーをつくったり、あるいは子育て中の保護者に対する学習機会等を提供するための家庭教育支援総合推進事業等の家庭教育支援をもっと進めていきたいと思っている。
 私も仕事柄、PTAの方などといろいろ話をすると、やはり親学問というのか、親というのは一体どういうものなのかということを、もっと学ぶところはないのかという指摘もあり、そういう方々のためにも、子育てのための新家庭教育手帳であるとか、これを中学生以下の子どもさんを持つ方々に配布をしようというようなことで、家庭教育、それから教育啓発、そういうことをこれからもきちっとやっていこうと思う。
 特に、日本全体で子育て、子どもを持つことはすばらしいことで、夢があることなんだということを、やはり学校教育の中でもその年代に応じて少しずつ教育の中にそういうものが入ってこなければいけないわけで、お父さん、お母さん、互いに協力して家庭を持って子どもを育てるということはどういう意義があるんだとか、それから人間尊重の精神というか、命を大事するとか、そういうようなことを踏まえながら、家庭があって、子どもがあってということ、一つの夢をつくっていくんだというような、そういう教育がなされるべきであろうと、思っている。
 経済的負担の問題では、奨学金のことが盛んに言わており、その方向で今どんどん奨学金を増やすように努力している。私は、基本的には学ぶ意欲があって、経済的な理由もあり、自らの自立のためにも奨学金でやっていこうと言われる方には、無利子・有利子の別はあるけれども、全員奨学金をもらっていけるというくらいの予算を用意していくのが本当だと思っている。
 また、幼稚園は園児の、大学は学生の約8割が私立であるということを考えると、特に私立へ通わせる保護者の経済的負担が大きいという不安があるので、私学助成もしっかりやらなければならないし、その私立と公立の差は奨学金できちっとカバーできるような体制をもっとつくっていかなければいけないと思っている。
 また、特に子どもが一番最初に通う学校である幼稚園は、公私立幼稚園間の保護者負担の格差、あるいは保護者の経済的負担が過大となっているなどの問題もある。そのためにも、幼稚園就園奨励費補助を予算計上もしている。
 いずれにしても、子どもを生み育てることがすばらしいことだというふうな国民意識を国全体で向上させることが大事だと思っている。小野大臣は5人のお子さんを持って、自ら先頭に立っておられるが、私も、4人の子どもを育ててみて、やはり子どもがいるということは大変だったけれどもすばらしいことだと思っているので、そういう意識を向上させるために、具体的な施策がいろいろある。厚生労働省ともしっかり連携をとる部分もあるが、学校教育の中で、そういうものをもっともっと啓発していきたいと思っている。
(佐藤国土交通副大臣)(資料2‐3)
 国土交通省においては、ファミリー向けの良質かつ低廉な住宅の供給、職住近接の実現、公共賃貸住宅団地などにおける保育所の併設などのほか、バランスのとれたまちづくりの推進、子育てに適した住宅の供給などによる生活環境の整備を推進している。
 さらに、子連れの方でも利用しやすいバリアフリー環境の整備や子どもの遊び場の確保なども進めており、これらの施策の推進に今後ともいろいろと努力してまいりたい。 
 この機会に、私個人の私見をいくつか申し上げさせていただきたい。かつては、年間250万人もの出生があったが、今はその半分以下になっている。その一方で、平均寿命が80歳を超えるなど高齢化が進展していることを踏まえれば、少子化対策は重要な問題であるが、家族というもののあり方との関係を考慮することが重要だと思う。
 最近の若い方は、夫婦ともに経済的な独立をめざす傾向があるようにも思われるが、結果として子づくりや子育てというものに対する考え方に影響を与えてるようにもみえる。また、私の近所の町でも旧家が相続に伴い分割されるような例をみるが、こうした相続の問題も家族のあり方というものになにかしら影響を与えているようにも感じる。
 また、長年にわたり産婦人科医として従事させていただいた経験から申し上げると、昔は高齢での出産は危険性があるために敬遠する傾向があったが、最近では、出産における帝王切開の割合が40%にものぼるというような調査結果もあると聞いている。出産の時期については、いろいろな要素が影響するが、産婦人科医の立場からすると、ご出産は可能な範囲で早めにしていただいたほうが、高齢での出産に伴う危険性を小さく出来ると考えている。以上のとおり少子化の問題は、様々な側面があるので、幅広くご議論をいただければあり難いと考えている。
○意見交換が行われ、各有識者委員から以下の意見が述べられた。
(大塚委員)
 全体的にはいろいろな事柄が網羅されていると思うが、幾つかの省庁が関連してくると、どうしても縦割りになり、全体を見る視点がなくなるという問題がある。少子化社会対策基本法では、「総合的かつ長期的な施策の大綱を定める」となっており、省庁横断的、長期的な視点で進めていく必要がある。先ほど首相直属の委員会ということを申し上げたが、そういう意味も含めて、省庁横断的な大きな仕組みで進めていくことが重要なのではないかと思う。
 もちろん、それぞれの省庁の施策は、それなりの意味が当然あり、理由を聞くとなるほどと思うが、それだけでは大きな前進は期待できない。やはりもう一度ゼロベースで見直して、国をあげて推進するという体制をとらないとなかなか進みにくいのではないかと考えるので、この点をぜひ御配慮いただきたい。
 それから、先ほどの話と重複するが、全体を見ると、どうしても民間企業の負担を前提にしているものが非常に多いように思われる。民間企業としてやるべきものは、当然これはやらなければいけないが、やはり何と言っても政府としての方向、具体的な行動というものが非常に重要と考える。例えば、「保育所制度の抜本的な見直し」ということもそうだし、前にも議論があったが、「社会保障給付総額に占める児童・家族関連の施策の比重を引き上げる」ということも大事だと思う。こういうことは、政府として決意を持ってやっていただかないと進まないので、そのような点も重要な視点ではないかと考える。
 また、具体的な問題で二点申し上げさせていただきたい。
 地域社会における子育て支援体制の整備は非常に大事なことだと思うが、こういう体制を整備するためには、地方公共団体の創意工夫が生かされる形にしていかなければいけないのではないか。今の補助金制度は、必ずしもそういう形になっていないような感じがするので、そういう意味で、地方公共団体等の創意工夫が反映できるような形にして、地域におけるいろいろな支援体制を総合的に構築していくことが必要ではないかと思う。
 それから、「新たな次世代育成支援システム」というのも非常に大事だと思うが、例えば経済的支援についても、児童手当、税制扶養控除など様々な部品がある中で、新たなシステムを検討するのであれば、こういったものを全部含めてどういう形がいいのかということを抜本的に見直してみることも必要なのではないか。新聞等で拝見するところでは、「育児保険」のようなものが念頭にあるような感じがする。これも一つの方法だと思うが、まずは歳出全体の抜本的な見直しをする中で、少子化対策の優先順位を高く位置づけていくことが重要ではないかと感じる。
(佐藤委員)
 厚生労働省の施策について、少し意見を述べさせていただきたい。
 坂口厚生労働大臣が言われたように、メニューは相当充実していると思う。どのように施策間の連携をとって、どこに重点を置いていくのかということが、これから10年の取組を考える際には大事であり、その中で、17年度から施行される次世代育成支援対策推進法が、コアになるのではないかと思う。これは企業規模が300人を越える企業については、10年間の時限立法だが、その間、働く人達が子育てしやすいような働き方を見直すための行動計画をつくっていくという仕組みである。
 先ほどお話があったような労働時間の問題とか、子育てしやすいような働き方、そういうものをどう企業の中に定着させていくかという、そういう計画をつくり実行させていくということであり、そういうものを総合的に企業が進めていくこと、単に形式的に行動計画をつくるだけではなく、実際それを取り組んでいくことが企業にとってもプラスになるということを理解していただいて、そのことをいろいろな施策で支援していくことが重要だと思う。10年間それを進めていく中で、働き方の見直しをどう実現していくのかということが非常に大事であり、この仕組みがうまく回っていくということを軸に、いろいろな施策を考えていくとことが非常に大事なのではないかと思う。
 また、自治体も地域の行動計画をつくるわけなので、企業の行動計画と自治体の行動計画をリンケージしてどう進んでいくのかということが次に大事になる。
 さらに、国も自治体も、事業主として行動計画をつくっていく。これまで、ややもすると民間企業だけを想定して、いろいろな働き方の見直しを考えてきたわけだが、先進国を見ると、例えば国とか地方自治体が民間企業のモデルになるような子育てのしやすい働き方を作り、モデルとして実験したりしていた訳だが、日本はなかなかそれがしにくいような仕組みがある。
 例えば、公務員を考えると、勤務時間法で定員1人週40時間という時間が決まっており、35時間の職員はつくれない。もともとパブリック・セクターは非常に固定的な働きしかできない仕組みになっている。民間企業での柔軟な働き方、子育てしやすいような働き方を進めていくとすれば、やはりパブリック・セクターも民間企業の見本になるような取組ができるような仕組みにしていく。そうすると、例えば、勤務時間法などを見直すということも実は大事なのではないかと思う。
(白石委員)
 今日の資料は、各省庁別でまず第一次的な資料なので致し方ないかという気がするが、主役が国民のニーズであるということが見えないと思う。
 例えば、大綱の重点課題で、男女ともに子育てと仕事をきちんと両立することが重点課題だと位置付けるのであれば、例えば、厚生労働省はそれをするために育児休業制度を見直していくとか、職場環境を整備していく。国土交通省は、職住近接でゆとりある住宅を都心に確保していく、さらに文部科学省は、幼少期から男女共同参画社会の重要性というものをきちんと位置付けていくということが、ニーズ中心で整理されなければいけないと思うが、今日の資料は残念ながらそれが見えてこないと思いう。
 書かれている言葉は、こういうお役所的な文章なので仕方ないかと思うが、一層推進するとか、普及促進するというふうに非常に曖昧模糊としている。最終的にはこれが数値目標なども伴ってこない限りは迫力がないと思う。数値目標も、今までのものでいいかどうかということも再検討していただく余地があるのではないか。例えば、都市型の居住誘導水準などは、たしか今4人家族で94か98だったと思うが、もはや4人家族で物を考えるのではなく、都市部では3人家族が中心なので、それでは3人家族でより一層居住の質を上げていくためには94にしようじゃないかということで、この数値の中身も質を向上させるために再点検する作業をしていただきたいと思う。
(大日向委員)
 この3省の案というのは、ここ1、2年の先を見通した対策をお出しいただいていると思うが、これを元に、それでは5年先、10年先、じわじわと効果を生んでいるものに対してどう絞った対策にしていくかということが、この大綱ならではの意義だろうと思う。
 そうすると、アウトラインの重点課題に即して、白石委員が言われたように、3省の提案を絞り直し、整理し直していくことが必要だと思う。それができるためにも、やはり先ほど申し上げたことと重なるが、縦割りではなくて、各省連携を取り、連携でもまだ生ぬるいと思うが、一括ワンストップ・サービスステーションのような推進体制の舵取りができる基地をどこに置くかということを明確にして書き直す必要があると思う。それをしないと、予算の獲得とか配分が提示できないだろうし、ばらばらにやられていて、大変もったいない予算の使い方がなされているというのが、現場の感覚である。文部科学省の予算と厚生労働省の予算とが本当に錯綜していて、現場ではどちらがどうというのは全く見分けがつかず、いただけるものは本当に少額である。
 たくさんのお金がなくても、例えば一つの団体に年間100万円いただいても、とてもいい活動しているところはたくさんある。その100万がなかなかいただけない。そうかと思うと、別のところで大きな調査、似たような調査を幾つも幾つもやったり、フォーラムやフェスティバルをやったりと、そういうところのお金をもっと本当に子育て支援をやっている人達にくださったら、地域の子育て意欲の回復につながるのではないかと思う。
 保育問題もそうだが、子育て支援というのは8割、9割人件費である。見えないお金を配分するため、極力無駄をなくした組織体制づくりを進めていくことが必要だろうと思う。
(桃井委員)
 アメリカが昨年、国の子どもの発達をよりよくするためにはどのような内因環境、外因環境を整備したらいいかという20カ年計画を立て、そこに3,000億円投入することを決めた。日本でも同類の研究が文部科学省で進められているが、そこに投入されると決まった金額はその1,000分の1近い金額である。やはり子どもに関する施策は、そして育児支援に関する施策は結果が20年後なので、きちっとした10年計画なりを立てて、そこに莫大なお金を投入するということがなければ、これらの省庁で作成した政策はいずれも実現できないと思う。
 私の現場である医療に関しても、実現できなかったのは、やはり財政負担が余りにも細かい、少ないからである。したがって、これらのものを実現するためには、10か年計画として、国家として大型の予算、お金を投入すると。アメリカで3,000億円、日本はその1000分の1近い数億円というようなことでは、とてもこの国の子ども達に未来をあげることはできない。また、国民も政府のトップメッセージとして子ども達に、また、育児に対してお金を投入するという姿勢が伝わらないと思う。やはり財政がなくては何もできないので、それをぜひここに盛り込んでいただきたい。数字が盛り込めないまでも、例えば、がんに関して対がん10か年計画で莫大な予算を投入したために、日本のがん研究がいかに進んだか、国際的レベルに近く達したかということは、過去の実績が示すとおりであるので、対少子化10か年計画ということで、莫大な予算を投入するという姿勢を明確に、せっかくの大綱なので、出していただきたいと思う。それがなくしては、これらの取組はいずれも実現しないと思う。
 細かい政策に関しては、時間もないので、後で文書で提出させていただきたい。日本は、外国に出しているお金はアメリカの2倍投入している。それであれば、日本の子ども達にアメリカの3,000億円に匹敵するお金がなぜ投入できないかと思う。そういう姿勢をぜひこの委員会で明確にしていただきたい。
(榊原委員)
 今回、各省から出された資料は、印象として、昨年末までの予算案の議論の中で既に出てきている施策がまた並んでいるような、そういうものが多いのではないかという印象を受けている。もう一段踏み込んだものを組まないと、中長期の計画にならないのではないか。
 それぞれ重要な、この部分で状況を進めたいと思うところに目玉の施策というものを組んでいくことが大事ではないかと思う。
 厚生労働大臣が先ほどおっしゃった労働の分野での働き方の見直しが大事であるという認識は全くそのとおりだと思っている。では、どのように変えていくのかということだが、政策の方でもし取り組んでいくとしたら、今回育休の見直しも挙げられているが、これまでの育休をやや拡充するというレベルに留まるのではなく、厚生労働省も掲げているように父親の1割の取得を目指すのであれば、やはりパパ・クオーターを、日本の企業で利用されるような日本版のパパ・クオーターという組み方が必要だと思う。何がしかのそういった施策をきちっと組み込むことで、政府も本気でやっているということが子育て世代にきちっと伝わるということにもなると思う。
 また、大塚委員からも話があったが、社会保障給付費の中での余りにも少ない子どもに対する配分のあり方というものもきちっと見直すというような取組をしていただきたい。それを何らかの形で政策目標として入れることができないのか。
 それから、その話とつながるが、次世代育成法で、行動計画を自治体や企業で組んでいくという計画を進めており、非常に期待しているところであるが、ニーズ調査をして計画を組んだ後、財源をどうするのかという声が既に自治体の方からも不安の声として上がっているのを耳にしている。そこのところをどうしていくのか。ここにも絡める形で次世代育成支援システムを検討すると書いてあるが、財源の確保も含めて、子ども向けの資源配分をどうするのかというところを取り組んでいただきたい。システムの検討というよりも、具体化に向けた検討というふうに位置付けていただければと思っている。
 待機児童の取組は、特に子どもを預けながら働きたいと思っている潜在的なニーズを持っている子育て世代に非常にアピールした政策であったと思うが、ゼロにすると言いながら、推進するというふうに書いてあるのはやや矛盾があるのではないかと思う。このゼロの達成というのを一体いつまでにやろうと思っているのか。ニーズがどんどん出てきている中で難しいと思が、強力な取組体制というものも明確にできないかと思う。
 また、学童保育の問題もきちっと取り組むべき目玉の施策に位置付けてもらいたい。
 というのは、就学前の子ども達には保育を用意しながら、子どもが学校に上がった後は非常に宙ぶらりんになっている。学童保育は夕方の5時や6時までである。子ども達が学童から外に出された後、例えばゲームセンターとか、スーパーなどの一角でみんなたむろして、親が帰ってくるのを待っているというような、先進国では考えられないような非常に貧しい状態が都市部ではあり、そういった子ども達をきちっと受け皿を用意して親、保護者に届けるという体制を用意するというところまで持っていけないのか。学童についても、待機児童ゼロ作戦に並ぶような、待機はゼロにする、親にきちっと届くようなサービスを民間の力も活用しながら整備するというような計画に引き上げていただきたいと思っている。
 その他、細々申し上げたいことについては、追ってのペーパーで出させていただきたい。
(宮島委員)
 今日3省から出されたものは、前に議論した重点項目の整理の仕方の中にそれぞれ繰り入れていくような形で整理されるだろうと思うので、これはそちらの方に期待する。
 それから、今お話があったように、これからまとめていく時に、一つはできるだけ計画と数値目標を掲げていくことが必要になるだろうと思うし、それに伴って当然財源の問題も必要になってくると思う。
 そこで、日本のようにこれだけ70年代から4半世紀にわたり出生率の低下が続いていて、これが今のところなかなか変えられない状況になっており、一方では平均寿命が延びて、高スピードで高齢化が進んでいるといっても、その流れを変えるために、1960年代、1950年代の昔の地域や家族に戻すような歴史の歯車を逆に回すようなことはできない。そう考えると、例えばフランスでの児童手当制度の成立は1932年と非常に早い時期に児童手当制度を導入しているが、やはりそういう状況の中では、どうしても少子化の流れを変える財源が必要になったり、それから企業や我々も含めていろいろな形での負担が必要になるんだということを覚悟していただく必要がある。歳出の削減によって財源を回せとか、他の負担を減らせとか、どこかを何とか減らしてという、ただゼロサム型で何とかしてやっていこうとしても、どうしても限界がると思う。
 したがって、やはりそれなりの経済的な資源の投入が必要になるということをとにかく覚悟してもらわないとと思う。どうも聞いていると、財源が必要だとか、予算を組めとか言うが、一方でどこか削れという話か増税はだめだとかという、そういう話ばかりの中で何とかやろうとしても、結局、推進に努力するという表現しかできなくってしまうだろうと思うので、余り具体的な話ではないが、その辺の覚悟をそろそろしていただいた方がいいと思う。
(奥山委員)
 先日、元10年働いていた職場の人達と話をする機会があったが、まだ結婚しないでいる方が大変多く、やはり働き方の問題がとても厳しいと感じている。
 また私どもの広場でお母さん達と、今子育て中に欲しい物は何かという話をしたら、自分の時間、それから仲間というような話が出てきた。経済的な部分も厳しいという話もあった。本当だったら、仲間の前に夫だろうと思うが、これがまたなかなか帰ってこないというようなことで、改めて厳しい雇用環境というのを感じることができた。厚生労働省の資料の中にもパパ・プログラムというのが入ってきているが、本気でこれをやっていかないと、健全な子ども達の発育が確保できるのかというようなことをとても感じている。
 佐藤委員もおっしゃったように、次世代法が整備されつつあって、これから企業でも自治体でもいろいろな意味で新しい目標を持っての取組がなされると思うが、ぜひここに文部科学省、国土交通省、うまく政策を一体的な運営をしていただかないと、また志半ばでということになりかねないのではないかと感じている。
 皆さんおっしゃられたとおり、働き方のことを考えるとすれば、厚生労働省が両立支援、それからパパ・プログラムを実行すると同時に、例えば文部科学省の方では小学生の放課後児童クラブの問題をどうするのか、また、働いている親が多いにも関わらず、土曜日が学校がお休みになったという理由で、PTAを平日に実施するケースが多い。そうなると働いているお母さん達が参加できない。ましてや、お父さん達は年に1回土曜日の父親参観日に行く程度ということで、親や地域との連携と言葉では言うが、本当にそれができているのか。PTAはどうしても女性が中心になりがちで、今おやじの会だとか、ネットデイだとかということで、なるべくお父さんを学校に引き込もうという話もあるけれども、まだまだ連携がとれてないのではないかと思う。
 先ほど、子ども達のライフスタイルというか、人間が生きていくライフスタイルに合わせた支援をと申し上げたが、やはり学校が、例えば赤ちゃんを受け入れて一緒に家庭のあり方などを学んでいく機会だとか、それから地域の人達、学校にいろいろ協力したいと思っている方を学校ボランティアという形で受け入れるとか、子どもたちが育っていく中で、親になることを学んだり地域の大人と出会う機会が必要である。
 それから、ベビーシッターの話。諸外国では、子どもを大事にと言った時に、13歳までは子どもであり、必ず大人が近くにいなくてはいけない、一緒にいなくてはいけないということで子どもを守っている。先ほど放課後、7歳、8歳の子が学校の後ゲームセンターへいっているというお話もあったが、こういった放り出され方が実際にされているということである。子どもを大切にするために13歳まではベビーシッターが必要だという認識のもと、それがボランティアであったり、お金を払ったりしながら、地域の中での縦の社会の中で子どもたちは育っていく。
 今、中学生で労働対価という形で、雇われるということは無理だろうが、近所の中でお子さんを預かってお金を得るということは決してやっていけないことではないと思う。小さい頃から金銭感覚を養う、先ほど自立支援ということもあったけれども、そういったものに地域、学校なども参画していくということも大事ではないかと思う。
 国土交通省に関しては、子育てを応援する社会づくりに果たす役割というのはとても大きいと思っている。年が明けてからも、JR西日本がチャイルドクッションという、新幹線に乗った時にお子さんを大人の座席の間に座らせられるクッションを開発したという記事があったが、ずっと2、3時間抱っこしてないといけないような今までの状況を考えるとうれしいことである。このような子育てバリアフリーについては、本当に国際スタンダードというか、諸外国でやっているようなことが日本でもぜひ実現してほしいと思う。
 幾つかは書いてもらっているが、子育て世代にとって、移動に対する制限が非常にストレスを生んでいる。そこのところをうまく政策として転換していただきたいと思う。
 最後にやはりお金のことで、やはり社会給付の金額が高齢者世代に比べて非常に少ないというところ、なかなか若い世代は、声を上げられないと思うが、ぜひ国を挙げて、子育て分野に社会的投資をするんだという意思表示をしていただきたいと思っている。

3 閉会
○小野内閣府特命担当大臣から、次回の検討会では、本日の意見を踏まえて大綱に盛り込む内容について検討すること、日程については通常国会も開会になるため、事務局で調整の上決定する旨の発言があった。