少子化社会対策大綱検討会(第3回)議事要旨

1.日時 平成16年4月23日(金)18:20~19:30
2.場所 総理大臣官邸 3階南会議室
3.出席者

(少子化社会対策会議委員)
  福田 康夫 内閣官房長官
  小野 清子 内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
  原田 義昭 文部科学副大臣(文部科学大臣代理)
  谷畑 孝 厚生労働副大臣(厚生労働大臣代理)
  佐藤 茂樹 国土交通大臣政務官(国土交通大臣代理)
(有識者)
  大日向 雅美 恵泉女学園大学人文学部教授
  奥山 千鶴子 特定非営利活動法人びーのびーの理事長
  榊原 智子 読売新聞編集局解説部記者
  佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授
  白石 真澄 東洋大学経済学部助教授
  宮島 洋 早稲田大学法学部特任教授
  桃井 真里子 自治医科大学小児科教授
(欠席者)
  大塚 陸毅 東日本旅客鉄道株式会社代表取締役社長

4.議事次第
 1 開会
 2 議事
 ・少子化社会対策大綱(たたき台)について
 3 閉会

5.議事概要

1 開会
○小野内閣府特命担当大臣から、本日の検討会の議事について説明があった。

2 議事

・少子化社会対策大綱(たたき台)について
○事務局(山本内閣府政策統括官)から資料1(少子化社会対策大綱(たたき台)について説明があった後、意見交換が行われ、各委員から以下の意見が述べられた。なお、本日欠席の大塚委員より、文書による意見の提出があった(資料2)
(桃井委員)
 今までの意見を取り上げていただいたことに謝意を表するが、小児科医という子どもを守るプロフェッションについている者として、なおかつ幾つかの気になる基本的な点について意見を申し上げたい。
 一つは、視点、重要課題の大部分が、育てる側をいかに支援するかということに尽きている点である。育てる側の支援を唱う前に、日本国家は、安心して子どもを生み育てる社会を作ることを国の責務と考え、それを重要だと考える、そして子どもを大切にする国である、ということを、明記をしていただきたい。子どもを安心して生み育てる社会環境の整備をするということが国の責務であると国自身が認識していることは、国民に大いなる安心感を与える。育児を支援するという視点だけが重要課題、視点なのではなく、その前に是非子どもを安心して生み育てる環境づくり、子どもを大切にする政策の重視ということを文言として入れていただけると、国民には非常にわかりやすいアピールになり、生み育てることへの安心感、信頼感が生じると思う。
 生まれた子への、育児支援をたくさんしていただくのはもちろん非常に重要だが、しかし、安心して生んでいただくということが前提として必要なので、それを文言として入れることは、この大綱の基本姿勢をより明確に示すこととして非常に重要であると考えている。
 もう一つの点は、全体として政策的、方法論的に、非常に具体的な記載のある部分は、企業努力、働き方の見直しなどでも判る様に、大きな財政出動を必要としていない点が多い。その方が大綱に記載しやすいという面もあり、大きな財政出動を必要とする項目は、これからいろいろなプランの中で策定されていくものだと思う。実際の政策に移す際に、大きな財政出動を要する項目は、重要でありながらも財政上の閾を越えねばならないという一点で、実現しないリスクがある。その際、大綱に具体的な記載がないことが、切り捨ての口実になってはならないと思う。全体の政策争いの中で、切り捨てられてきたのが、今までの子どもに関する政策の基本的な問題点であり、子どもに対する施策が充実していなかった面が多々あるということの原因である。ここに具体的な記載のない総論的な記載だけである部分は、ほとんどが大きな財政出動を必要とするものである。医療も保健も教育もそうだが、そのことに関し、今後プランを策定するに当たり、大きな財政出動を要することであっても、日本の子どものために項目全体の実現を図るということ、国策として努力をするということを基本的にご確認したいし、明記が必要だと思う。
 全体を国民が読むと、恐らく、働き方の見直しも含めて、国の財政出動を大きく必要としていない部分が文章の量として大きな部分を占めているのは大変気になる。文章の量の多寡は、事の重大性の大小を決めるものではないということは、十分に承知しているが、書きにくい大きな財政出動を必要とする部分に関して、今後それに関しては十分に考慮した具体的プランを練るというようなことをどこかに明記していただくと、今後のプランを練る担当者も、子どもに関する施策の担当者も政策の実現を図り易く、実現により結びつきやすいと思う。
(宮島委員)
 一つは若干の意見と、もう一つは要望である。
 一つは、今度はかなりすっきりと書いていただいたが、改めて読み直すと、視点をこういう形で掲げることについて、9ページの「ライフステージの各段階に応じて必要な施策を有機的に組み合わせる」というこの文言を、視点のところに持ってきていただけないか。
 従来、こういう議論は必ず子育て支援がまず最初に出てくる。今回は、いわばライフサイクル的にどういう段階で何が必要かという並べ方を、視点のところで言ったのではないかと私は理解しており、それで、例えば「自立への希望と力」、それから「不安と障壁の除去」、「子育ての新たな支援」というような形の並び方になるのではないかと私は理解をしている。私もそういうことを申し上げた記憶がある。
 従って、読むときになぜこういうふうな順番になっているかというのは、ライフステージとかライフサイクルの中で切れ目なく―たしか切れ目なく対応するというのが前の言葉であったと思うが、読んでもらうときに、どういう形で序列されているかということを理解してもらうためには、少しそこは工夫した方がよろしいのではないかと思っている。
 それからもう一つは、これは今、桃井委員がおっしゃったので、恐らくほかの委員の方も同じだと思う。8ページの推進体制のところで、(2)の「重点施策についての具体的実施計画」というところがあり、ここで28の当面実施すべき事項が、よりブレイクダウンされ、具体化され、さらにその中身が明示され、あるいは時間的な経緯などもつくられていくと思う。
 当然、それは内閣総理大臣が会長を務める対策会議を中心に検討されていくわけであるから、そこで、例えば中期的な予算措置の在り方だとか、資金計画というものも併せて検討されるものだと理解している。要するに、この具体的実施計画の中に、そうしたものも含まれているというように私は理解しているので、そのことだけはむしろ要望というか、そういう理解でよろしいかということをお聞きしたい。
(白石委員)
 各委員の多様な御意見を盛り込んでいただいた事務局の労と、並びに官房長官、各大臣、副大臣の御理解に感謝を申し上げる。
 私も、非常にすばらしいものになっていると思うが、それをさらに発展的によいものにするように、4点御意見を申し上げたい。
 まず一つは、国民へのメッセージの工夫である。大綱策定の目的などを1ページ拝見すると、少子化の流れを変える決意はわかるが、それでは今までと何が変わったのかということを一言で言い表すのであれば、どういう言葉がふさわしいのか。この大綱というものに副題とかサブタイトルをつけるのはなじまないとすれば、例えばこの大綱とは別途、作成される報告書の中で、「子育てを社会の営みとするために」とか、「新たな命とその子どもをともに育む社会を目指して」とかを副題としてつけてはどうか。すばらしい言葉が本文中に出てきていると思う。是非、一言で今までと何が変わって、新しさは何かということが国民に理解され、琴線に触れるような工夫をお願いしたい。
 2点目は、少し具体的にお話をしたいが、6ページ目である。高齢者関係給付を見直して、この大きな比重を見直して、これからの若い世代に負担を抑えるとともにということを書いていただいているが、それでは児童関連の予算の比重が果たして高まるのかどうかということが、非常に現段階では見にくくなっている。強い決意をぜひより明らかにしていくために、ここは明確に児童関連の予算の比重を高めるというふうにぜひ書いていただきたい。
 次に、8ページだが、推進体制のところで、「内閣を挙げた取組の体制整備」ということを書いていただいている。その5行目ぐらいに、「少子化社会対策会議の下に、民間有識者の意見を反映させる仕組みをつくり」という記述がある。少子化を変えるための流れの施策を評価し、事後のチェック体制というふうに書かれているが、それでは、少子化に対する各省の政策の成績表みたいなものが出るのかどうか、少し具体的に書き込んでいただきたい。大綱を推進するには、総理大臣をトップに、強力なリーダーシップを発揮することが必要だと思うので、組織面での工夫もお願いしたい。
 そして、11ページ。私は今申し上げた意見の中で、ここが一番大事だというふうに思うが、「育児休業制度等についての取組を推進する」という(6)番のところで、これは私の意見発表の中でも申し上げたように、日本版パパクォータ制のことなども視野に入れて、ぜひ検討を進めていただきたいと思う。男女ともに育児休業が取れるように既に制度はできているが、男性の取得率は依然として低い水準にある。ここにお書きいただいているように、普及啓発のみで育児休業の取得が進むのならば、とっくに進んでいると思う。
 日本版パパクォータ制の法制化なども視野に入れて検討を進めるというふうに書いていただきたいと思う、それを書いていただくことによって、(7)番の「父親プログラムを労働者自ら作成し」というところに、各個人がより高い目標を視野に入れて、プログラムを策定することが容易になるのではないかと思う。
(佐藤委員)
 私も、よくまとめていただいたと思う。
 特に大きな修正ということではないが、今回の大綱の特徴を踏まえれば、もう少しウエートを置いてもらってもいいと思ったことが一つある。
 それは、従来の少子化対策というのは、今どなたか言われたが、既に結婚している人たち、子どもを持ちたいという方が子どもを持ちやすいように、あるいは、子どもを既に持っている人たちが、例えば仕事と子育てを両立しやすいように、こういうものを支援するというのが一つの大きな柱だったと思う。今回、三つ視点の一つで、若い人たち、社会へ出る前も含めた結婚する前の若い人たちが希望を持てる、そういう人たちが自立していくことを支援するということを前面に出されたということは、とても大事だろうと思っている。
 私は、若い人たちが仕事に就き、いろいろな人と出会い、そこで配偶者にめぐり合い、結婚し、子どもを持つということが自然な流れだと思うが、若い人たちが、まず社会とのつながりを持つ意欲を失っていたり、あるいは人と人とのつながりをつくる力が非常に弱くなっている、ここは非常に問題だと思う。そういう意味で、若い人たちの自立を支援するというのを全面に出して、先に置いたということが、今回の大綱の一つのアピールポイントだし、重要な視点だろうと思う。
 ところが、これは非常に難しいと思うが、例えば若い人たちが仕事に就けないという議論がある。若い人の中で、仕事に就こうという意欲があればよい。あるいは、今勉強しているというのであれば対策の打ちようがあるわけだが、実は若い人たちの中で、仕事に就く意欲を失ったり、学習する意欲を失って何もしていない、あるいは社会とのつながりも切れてしまっている、こうした人たちが相当増えてきている。こういう人たちが、どう社会とのつながりを持てるような仕組みをつくっていくのかということが大事である。後ろの方にいろいろな政府の施策があるが、従来この部分の施策というのはあまりなかったと思う。それをどうこれからやっていくのかということを考えると、9ページの28の具体的な行動の中で、例えば1の若者就労支援があるが、これは例えば、窓口をつくれば、それに出てくる若い人たちはよいが、そこに来ない人たちがいる。
 そういうことを考えると、その前に多分10ページの(3)のような、小さい子どもの頃からいろいろな人たちと付き合える、そういう能力をどうつくっていくのかというのがとても大事だと思うので、私は10ページの(3)のような施策を、きちっとやっていくということがとても大事だと思う。ただし、どれが効果があるのかよくわからないので、きちっと施策をフォローしながらやっていくということが、とても大事だと思う。
(榊原委員)
 今回の大綱、全体を読ませていただいて、子育て支援の新しい理念として、「子育ての新たな支え合いと連帯」というメッセージを入れていただいたということは非常によかったと思う。
 目的にも書かれているが、これこれの人たちで連帯をつくり上げていくということを明記していただいたということは、これまでの子育て支援の当事者とされてきた人たちが、親自身と国、自治体、企業に実は限られており、社会全体で支援しましょうと言いながら、実は当事者はその人たちだけだったのではないか。それが今回初めて、親以外のすべての国民、子どもを持たない人も、子育てが終わった人も含めて、すべての国民の共同の作業であると位置付けていただいたことの意味は大きいと思うし、これで子育て支援の政策の次元が一段階変わるのではないかと期待している。
 ここまでまとめいただいた関係大臣、それから事務局の御努力には感謝したい。
 その上で二つお願いしたい。
 「子育ての連帯」を実行していく上で、「三つの視点」の中で入れていただいた4ページの二つ目の段落の「かつて家族や地域・集落が担っていた次代の育成を支援する機能を、地域や社会の力を借りて再構築する」という取組と、その次の「「新たな支え合いと連帯による子育て支援」の体制をつくり上げていく」、この2点が連帯を具体化していく上で非常に大事なところになると認識している。これまでの政策のベクトルを変えるような力もはらんでいる部分ではないかと思っている。
 ただ、それをどういうふうに具体化していくのかというところをページを送って見ていったときに、「重点課題」では(4)として入っているが、その先がない。とりわけ「28の具体的な取組」の中には、どうも影も形もないというのはどうしてなのか。重点課題の(4)の中に入れていただいている、様々な支援施策を総合的な視点から在り方を検討するというところ、それから、社会保障の給付を含め配分の見直しをしていくという取組のところについて、どこで、いつまでに検討するのかということを、28の行動計画に加えて、きちっと明記していただきたいと希望する。
 その点は、大塚委員の出されたペーパーの1と実は重なるところであり、大塚委員の1には、全面的に私は賛成だし、同じことをおっしゃっていると理解している。
 2点目は、推進体制について、何人かの委員の方も御指摘になったが、結局、一体だれが、どういう責任で取り組んでいくのかというところにすべてがかかってくると思う。8ページ目の一番上のところで、少子化社会対策会議を中心にとあるが、同会議の長である総理は、国のすべてのいろいろな取組について責任を負っているので、総理が具体的な取組の旗振り役になるということは不可能であると考えた場合に、少子化担当の大臣が必要である。今、小野大臣も取組を丁寧にやっていただいているが、こうした対策を内閣を挙げて、しかも集中的に5年間で取り組むというのであれば、当然のごとく専従の大臣が必要なのではないかと考える。
 例えば、阪神大震災の後で震災復興大臣が任命され、時限で小里大臣が非常にいい仕事をされた。小里大臣が専従で飛び回っていらっしゃるということが、国民に対して、内閣がこの仕事を非常に大事にしているということを目に見える形で伝えていたと記憶している。
 これだけの重要なテーマ、震災復興にも匹敵するほどの国全体の緊急のテーマであるというふうに位置付けられるのであれば、内閣の姿勢を示す意味でも、2年、3年の時限でも結構なので、専従の大臣をぜひ置いていただきたい。現在、内閣、キャビネットメンバーの枠が小さくなっているので、非常に難しいということはよくよくわかっているが、ぜひそこのところは考えていただきたいと希望する。
(奥山委員)
 非常によくまとめていただいたと思う。特に、先ほど宮島委員からもあったように、ライフサイクルに基づいて流れをまとめていただいたところがとても分かりやすくなったのではないかと思っている。本当なら、今未婚の20代か30代の方々に、どうしたら産んでいただけるのかというところに一番ターゲットを絞りたいところだろうとは思うが、これは非常に難しいと思う。そこで私は、今子育て中の親たちに対して、国がどれだけ真剣に子育て支援をしていこうとしているのかということを、目に見える形で示すことを優先してほしいと思う。
 一方で、まだ結婚する前の乳幼児、子ども、それから若者、大学生に対して、次世代育成の視点でできることもぜひ実行していただきたいと思っている。子育て前、妊娠・出産・子育て中の両面からの支援を強化することでサンドイッチ方式というか、社会的に支えられ感が出てくれば、これからは子も親も尊重される社会ができて、子育てが安心してできるというふうになれば、結婚や子育てに対する意欲ということにもつながってくるのではないかと思っている。
 私たちのNPO法人は、ゼロから3歳の乳幼児と親のための子育て広場を運営している。これは1人目のお子さんを持った家族を、全力で地域が支えるという取組の一つである。やはり親も子どもを産んですぐに親になれるわけではない。
 例えば、カナダで「ノーバディズ・パーフェクト」という言葉を使っている。完璧な親なんていないということだが、こういった標語があることで、親自身も、「私は完璧じゃないから学んでいこう」という意欲が出るし、周りも支えなくてはいけないんだというふうになると思う。ぜひ何かそういったキャッチフレーズ的なものが出てくるといいなと思っている。
 また、子育ての目標は子どもの自立であると思う。子ども、若者に関して、どう自立させるかというところを、親も家庭も社会も考えていかなければいけないのではないかと思っている。先ほど佐藤委員も言われていた学齢期以降については、家庭が第一義的な責任を担いながらも、多様な大人と出会える場というのが非常に大事になってくると思っている。例えば、ある自治体の学校でセカンドスクールという試みが行われている。これは、1週間から2週間にわたって、姉妹都市などの地方に出向いていって、そこの学校に通うというような取組である。今、子どもの環境というのは、学校、宿題、塾、テレビゲーム、こんな環境である。これはもう逃れられない環境ではないかと思う。多分、地方に行っても、緑があるから豊かな自然体験をしているかというとそうではない。車に乗って移動、島育ちなのに泳げないという、そういう状況である。
 やはり長期間子どもたち同士で、自分たちで工夫して生活するということで生活感を取り戻したり、仲間意識を醸成する。そういったことがなければ、やはり自立していくというのは難しいのではないか。親だけではそこまでできないというところまで来ているのではないか。ここを、ぜひ社会連帯という視点で、地域、それから私たちより年配の方々に力を貸していただきたいと思っている。また、行政とNPOの連携による多様なサービスの提供が求められてくる分野であると思う。
 大綱の中に、「若者の自立とたくましい子どもの育ち」という形で盛り込まれているところは大変評価させていただきたいと思っている。
 ただ、一方で、皆さんから御指摘があったように、国の覚悟として、国民が何をもってとらえるのかといったときに、やはり一つは大きな組織で、これは特命大臣・専従大臣というお話もあった。そういった目に見える国の覚悟であるとか、もしくは、これだけのお金が配分されたんだという実感なくしては、なかなか国民に伝わらないということを申し上げたい。
(大日向委員)
 まず始めに全体の印象から申し上げたいと思うが、いろいろな立場を考慮して、バランスよくおまとめいただいたと思う。
 私は、第1回目のときに、大綱というのは総花的ではなくて、重点課題を幾つか絞って、前面に出すべきではないかと発言したが、こうしてたたき台を拝見すると、それぞれの立場、課題を網羅して、バランスよく盛り込むことも確かに必要であったと思う。改めて、事務局始め関係の皆様の御苦労に感謝申し上げたい。
 その上で、この大綱が広く人々に受け入れられて活用していただくために、やはりここで合意しておきたいこと、あるいは広報・周知していただく段階で留意していただければと思う点が幾つかあるので、申し上げたい。
 まず、網羅することは大切だと申し上げたが、一方で、この大綱として何を訴えたいか、優先順位を目に見える形で伝えていくことが必要だと思う。目次を見ると、三つの視点とあり、若者のことから書き始めてあるが、私は、今回の大綱の中でやはり一番力を入れるべきことは、「子育ての新たな支え合いと連帯」、そして「仕事と家庭の両立支援、働き方の見直し」だと思う。これは大人が、社会が、国がなすべき責務だと思う。それをまず十分やった後で、結果的に若者たちの自立支援につながるのではないか。
 この書き方は、ライフステージ別に書いていただいたのだと思う。決して優先順位ではないということを始めに書いていただきたい。そうでないと、大人が、社会が、国が、なすべきことは二次的、三次的にして、「若者よ、あなたたちが頑張らないといけませんよ」というメッセージが前面に出ているように受け取られかねないであろう。優先順位ではないということを注として入れていただけるとありがたい。
 「子育ての新たな支え合いと連帯」に関して、子育てにおける親の責任を認める一方で、社会全体で子育てを担って支援する必要性を等価で書いていただいたことは良かったと思う。ともすると、親が第一義的な責任を持っているのだけれども、親の育児力、あるいは家庭の教育力が低下していて、それでやむを得ず社会が支援していこうという書き方がよくあるが、そうではないということを明確に書いていただいた。
 「働き方の見直し」に関して、11ページのところで、男性の子育て参加促進のための父親プログラムを入れていただいた。現行、これも大変すばらしいプログラムであろうと思う。ただ、将来的には、やはりこの点、一層の充実を望みたいと思う。「子育ての新たな支え合いと連帯」、そして「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し」に関して、目に見える形でもう少し内容的に新しいものを入れて、将来的に充実していただければと願う。
 それから、これも大変、嬉しく思った点は、「結婚、出産は、個人の決定に基づくものである。」と、「。」で止めていただいたことである。これもともすると、「個人の決定に基づくものであるが、しかし」という書き方になりがちで、一人一人の生き方の選択に抵触するようなニュアンスを与えるきらいがある。少子化対策は、個人の生き方の選択に抵触するような書き方をしてしまうと、広く人々の合意は得にくいであろう。
 それと関連して、不妊治療への支援、これも必要性があるということは認めるが、一方で、不妊問題に直面している方々にプレッシャーにならないということを願っていた。その点に関しても、不妊の人々への心身の負担に配慮した記述がなされている点は、ありがたいと思った。
 ただ、こういうことを申し上げると、子どもの存在、命の大切さが重要であり、個人の生き方を尊重し過ぎるのはバランスを欠くのではないか、との御意見もよくある。私は、両方は決して拮抗するものではないと思っている。一人一人の生き方を尊重することと、子どもの存在、命の大切さを共有できる社会でありたいと思っている。
 こういう観点から見ると、細かい点で恐縮だが、1カ所、文言上気にかかるところがあった。目次には「生命の大切さ」と書いてあるが、13ページに「命の継承」という言葉が使われている。不妊等に苦悩している方々の立場を考慮すれば、「継承」ではなく、「生命の尊厳」あるいは「生命の大切さ」という表記で十分ではないかと思う。
 冒頭、目に見える形で優先順位をつけてということを申し上げたが、この点に関して、最後に申し上げたい。皆様が既に指摘されており、屋上屋を重ねるので簡単に済ませるが、推進体制についてである。現状あるものを最大限活用しつつも、将来的には担当大臣を設置する等、もう少し新しい体制を打ち出していただければ、なおありがたい。
(原田文部科学副大臣)
 報告書は、いずれも私ども文部科学省、また教育行政、生涯教育、そういう観点から、非常に大事なところを指摘していただいている。その一つ一つをこれから踏まえながら、努力をしなければいけないと思っている。
 まず、少子化と文部科学行政というと、まず生まれた子ども、児童・生徒をどういうふうに育てていくかということが一つの課題である。私たちが子どものときには、家族にたくさん子どもがいる、近所にもたくさんいる、知らず知らずのうちにたくましさ、また社会のいろいろな喜び、また厳しさを学んでいくということがあったが、だんだん核家族、また少子化が進んでくると、そういう面で児童・生徒、子どもたちに生きる力、その辺がやはり弱くなってきているのではないかというところがある。
 そういう意味で、このことについては、まずは家庭がしっかりしなければいけないし、学校、そして地域社会、しっかりとスクラムを組んで、教育力を高めていかなければいけないと思っている。
 文部科学省として、特に今年度、平成16年度の新政策の目玉として、「子どもの居場所づくり」という事業を発足させたところである。これは、学校から帰るときに、例えば公民館とか、小学校そのままの場所などを地域全体で、しばらくの間子どもを預かって、いろいろなことを教える、また切磋琢磨させると、こういうようなことをねらったところである。
 また、子育てのヒント集としての新家庭教育手帳の配布等を行ったり、いわゆる預かり保育を実施する。いずれにしても、いろいろな体験活動などを通して、子どもの生きる力を養う、こういうことにこれから力を入れていこうと思っている。
 さらに、命の大切さ、当然教育を通じて、また生涯教育という言葉もあるが、当然のことながら、次世代に続く人材をしっかりまた育てなければならない。先ほど大日向委員からもお話があったように、文字通り「命の尊厳」というものを子どものうちからしっかりと植えつける、そういうことが大事だろうと思っている。
 先ほど、フリーターという言葉は出なかったが、フリーターの話が佐藤委員から出た。だんだん青年期を過ぎて、これから社会に入るというときに、もちろんしっかり就職をしてと、こういうことが社会での役割、参画することであるが、現実には就職は厳しいということもある。またあわせて、なかなかそういう年齢が来ても、社会に参画することの必要性を認識しないまま、ぶらぶらというか、そういうことが多いのも現実である。若年雇用、若年失業の話は、また厚生労働副大臣の方から多少あるかと思うが、いずれにしても、この辺は学校、また教育分野と経済社会等、しっかりスクラムを組んで、まずはそのための教育、また学校を出てからの教育も含めて力を入れていかなければいけない。いずれにしても、次世代をはぐくむための人材として、しっかりとした生涯教育を進めていくというのが私どもの認識である。
(谷畑厚生労働副大臣)
 先生方の非常に温かい、またいい御提言をいただいて、非常に力強く感じている。
 少子化問題、古くて新しい問題であり、誰しもが問題意識を持つわけだが、これという決め手がなく、非常に難しい問題だと思う。そういう意味では、厚生労働省としては、この課題、若者の自立もそうだし、仕事と家庭の両立もそうだし、すべて、ほとんどが厚生労働省にかかわる仕事だと思っているので、非常に大事ではないかと思っている。
 そういう中で、一つは、いわゆる就業の関係と出生率の関係ということで、先ほどの男女共同参画会議の中でも議論になったが、共働きで就労している方が出生率が高いという報告があり、私どもの白書でもそうなっている。そういうことから見ると、やはり共働きというものをしっかりと支えていくということが非常に大事ではないか。そして、共働きを支えながら、しかも同時に子育てができるという、ここはやはり一番大きなキーポイントではないかと思っている。
 厚生労働省としては、今国会に育児休業法等改正法案を提出しており、一定の場合における育児休業期間の延長を図る。来週に公表する予定の厚生労働省の特定事業主行動計画において、男性職員の育児休業等取得率について50%を超える数値目標を盛り込むこととしている。
 それと同時に、やはり保育所、また地域においてもファミリーサポートのようなことも大事だと思う。
 ちょっと話が長くなって恐縮だが、私の家の近所で、幼い子どもたちが病気をしたものだから、お母さんがちょっと買い物に出たいということで、鍵をかけて行ったときに、その子どもがストーブを蹴って、火事になってしまい、その子どもを救出できずに亡くなってしまうということがあった。ちょっとしたことで子どもが危険な状況にあるということだ。ここにもしもファミリーサポートという、地域の人たちが支える体制があれば、救われたのではないか。私の本当に近所でしたので、非常に大きなショックを受けた。
 今回の大綱においても、地域が支える体制ということになっているので、ぜひここはしっかりやっていく必要があるのではないかと思う。
 それと、文部科学副大臣の方からもお話があったように、厚生労働省は今回、若者に自立についてもチームをつくって、何とかしていこうということになっている。
 というのは、失業率も若年者の方が10%で非常に高い。よしんば就職をしても、3年間でほぼ半分辞めていってしまって、フリーターが200万人、内閣府では400万人と言われているし、そういう中で意識調査をすると、まず人間関係ができないという答えが多い。それともう一つは、はっきりと生きる目的というのか、大学を卒業する場合でも目的がないというのか、そういうこともあるし、それとまた、社会自身も技術改革によって非常に能力の高い人を欲しがるということもあったりして、なかなか能力がついていかないということがある。様々な問題があろうかと思うので、これも非常に大事なことだと思う。やはりしっかりとした就労について、そして結婚ができて、子どもを生むことができるということは非常に大事ではないか。こういう点についても、しっかりとやっていく必要があるのではないかと思っている。
 それと最後に、私、地域をずっと回っていて、いわゆる地域においてもコミュニティーセンターというのはたくさん作る。これは非常に人気がある。しかし、それを使うのはほとんどが60歳以上の方である。そこで手芸をしたり、カラオケをやったり、まさしく子どもが週休2日制になって、土日が休みになっていますけれども、子どもがうろうろする場所がはっきり言ってないというのか、そういう状況があろうと思う。本当に路上で、車の走っているところで子どもは遊ばなければならない。だから、やはり子どもに対する予算、今日先生方の中でもっと、特養はたくさんできたし、グループホームはできているが、子どもの施設が全くないという点についても、厚生労働省、これも私に激励をいただき、先生方にいい意見をいただいた。しっかり取り組んでまいりたいと思う。
(佐藤国土交通大臣政務官)
 事務局から説明のあった大綱素案のうち、子育てのために安心・安全な環境を整えるための生活環境の整備に関する部分について、国土交通省は子どもの遊び場となる公園の整備、子育てしやすい良質な住宅居住環境の整備、妊婦、子ども及び子連れの方が利用しやすいバリアフリー環境の整備等に取り組んでいる。また、子育てバリアフリーの観点から各種施設の整備を進めるとともに、交通事故から子どもを守るための安全な道路環境の整備などにも取り組んでいる。
 今日は特別な御意見はなかったが、これまでの検討会において、生活環境の整備の分野について、様々な極めて建設的な御意見、御指摘をいただいた。具体的には通勤時間の短縮に資する職住近接の推進、シックハウス対策の推進、建築規制の見直しによる住宅供給の促進、男性の利用にも配慮したベビーベッド等の設置されたトイレの整備の促進、劇場等における乳幼児同伴の方向けの親子室の設置の促進、妊婦や乳幼児連れの方も利用できる駐車施設の入り口付近への確保等について御指導いただき、この素案の中にも盛り込ませていただいた。委員の先生方の御協力に改めて深くお礼を申し上げたい。なお、第2回から今回の会合までの間に、六本木ヒルズの自動回転ドアでお子さまが犠牲になるという事故や公園等の遊具で指を切断するという痛ましい事故があった。当省としても、子どもの皆さんが本当に安心して暮らせ、また遊べるような環境の整備に今後ともしっかりと取り組んでまいりたいと考えている。
(原田文部科学副大臣)
 今、内閣を挙げて食育ということを取り組んでいる。知育、徳育、体育にプラスして、総理も食育の大事さということを。
 実は今、「栄養教諭」という制度を創設することについて国会審議中である。言うまでもないが、食事、食生活が極めて大事であり、いろいろ統計を取っても、例えば朝御飯を食べていない子どもとか、偏食、さらには肥満体が増えてくるとか、食を通じて何かやらなければいけないということから、学校の栄養教諭制度を導入しようとしているところである。こういうものを通じて、ただ単に学校の中の給食を改善するばかりではなくて、学校と家庭、学校と社会、その面からもしっかり連携を図ろうというようなことを目指している。
(桃井委員)
 各副大臣が大変貴重な御意見をおっしゃっていただいたと思う。特に子どもに関する予算の充実とか、子どもを大事にする国家という言葉があった。これぞ少子化対策の基本中の基本であろうと思う。先ほど申し上げたが、子どもを安心して生み、育てる社会づくりは国家の責務であり、子どもを大事にする国づくりのためにこの大綱を制定するのであると唱っていただきたい。したがって、視点、重要課題には、子どもを大切にする国家をつくるための政策を重視するという文言が入っていないといけない。育児を支えます、働き方の改革を促す、それも大事だが、社会ではなく、国家が、地域ではなくて国家が子どもを大切にする、それが今の政府であるということをどこかに明言していただくことが最も大事なメッセージであると思う。
 副大臣のただいまの御発言に、子どもを大事にし、子どもに関する予算の充実ということがあったので大変安心したが、しかし、本大綱の大前提とはいえ、文言に入っている必要があると思う。
 ぜひ御検討いただきたい。
(奥山委員)
 今、厚生労働副大臣の方からいろいろお話があって、働いているお母さんたちの方が出生率が高いのではないかというお話があって、本当にそうだろうと思う。その一方で、多分それは保育園という大きなサポートがあるからだというふうに私は思っている。ただし、ゼロから3歳の子どもに関しては在宅での子育てが7割近い。なので、やはり同じように、例えば1歳以降は在宅の子育ての方でも保育所的なサポートが得られるとか、そういう親の就労にかかわらないサポート体制があれば、全体として出生率が高まるという可能性があるのではないかということを申し上げたい。
 また、お子さんが一人で留守番中に火事を起こしてしまったという話だがそれは、先ほど子どもを大事にという視点から言えば諸外国だと子どもを一人にしないという共通のルールがある。そうすると、一人にしないためにいろいろなサービスだとか、ボランティアを家に入れるという仕組みが必要となる。今回、13ページに学生ボランティア派遣というようなのも入れていただいたが、諸外国でも12歳からベビーシッターになれるシステムがあり、地域の子どもたち同士の縦の環境をつくっていくというようなシステムがある。やはり、まずは子どもを一人にしないという合意を得て、そのためにどういうシステムをつくるかというのも一つ大事ではないかと思った。
 また、国土交通省の方からは、いろいろ今回入れていただいたが、本当にハード面からの取組は重要だと思う。子育てバリアフリーというのは、社会のあらゆる世代の方が目にとめるものである。横浜でも今、市バスにベビーカーを畳まずに乗せるという試みを始めたところ、やはり高齢者の方から批判も出てきているけれども、批判が起こるというか、話題になることがとても大事だと思っている。安全性を確保しながら、社会的に目にとまる事例が増えてくるということに期待したいと思っている。
 また、家族が多いと交通費がかさむので、その辺もぜひ配慮していただくと嬉しいと思う。
 最後に、文部科学省の方の子どもの居場所づくりというのは非常に大切だと思うが、学校だけではなくて、やはり地域のいろいろなところに子どもの居場所がないと、どうしても管理的な感じになってしまうというようなことがあって、その辺を学校、地域、NPOの連携の下、多様なサービスがあるということが、これからとても大事ではないかと思うので、よろしくお願いしたい。
(榊原委員)
 厚生労働副大臣の方から、先ほどお言葉でいただいた子どもに対する予算をしっかりやっていきたいというところ、ぜひよろしくお願いしたい。
 というのは、私も地域で子育てもしているという生活をしているが、その中で、お母さん方の日常的な会話の中で、「この国は高齢者は大事にしてくれるのに、子どもはだれも省みないのよね」と話されている。それが、もう会話の中で日常的に出てくる。高齢者の例えば定年延長の話であるとか、高齢者についての施策はぽんぽん実現されるのに、子どもについては、うたい文句は出てくるし、ささやかないろいろな施策は出てくるのに、自分たちの手元に届くような力強い支援は何もないとみんなが感じている。そこを違うんだ、国はやるんだということを示すには、やはり予算であろうと思う。そこのところはしっかりお願いしたいと思う。
 その関連だが、具体的に取り組んでいく中の項目で、18ページの(28)、最後のところ、「児童手当の充実を図り、税制の在り方の検討を深める」とあるが、児童手当のここの記述はもう既に決まっている話である。その後半の方の税制のところが、これからの検討のところということになると思うが、これも税制の中だけで、控除を検討するだけで話は済むのかというと、もうそういうことではないと思う。
 先ほどから、社会保障の給付の配分を見直していこうということもきちっと入れてほしいという意見が複数出たが、その話は税制と一緒に絡めて、社会保障、税制を含めて、国全体のお金の使い方の中で、子どもに対する資源の配分の仕方を見直していくというふうに、この28番目の項目は是非改めていただきたいと思う。
 それが、大塚委員の意見も拝見すると、3ページ目の4の項目のところに書いていらっしゃることとちょうど同じだが、特に税制だけでは逆進性があったり、控除だけでは支援としては限界があるということはもう明らかなので、是非もう少し抜本的な検討に踏み込んでいただきたいと思う。
 それから、先ほど奥山委員がおっしゃったことだが、親の働き方、家族の形によって支援を変えるというのではなくて、もうこれからは子ども一人一人に着目した支援に普遍化していく。高齢者の支援を、介護保険を導入するときに、介護ニーズのある人にはだれにでも、所得がどうの、資産がどうのではない。高齢者に対して普遍的にサービスを提供していくというように理念を変えたのと同じように、子どもに対しても、子どものニーズに対して普遍的に支援を提供していくというように切りかえるということも大事だと思っているので、親の働き方や家族の形で施策の出し方を変えるということは、改めていただきたいと思う。
 それから、もう1点、5ページ目、6ページ目のところで、仕事と家庭の両立支援、働き方の見直しというところがある。5ページ目の一番下の方に、「男性が、親としての役割を積極的に果たしていけるような新たな取組を推進する」と書いてあるところが、非常に何を言っているのかわかりにくい。ここのところは、もう少し踏み込んで具体的に書いて、また取り組んでいっていただきたいと希望する。
 6ページ目のところにも、「職場の管理職や地域の町内会等で中核的役割を担う人の意識改革のための取組を進める」とあるが、ここも非常に重要なところなので、ぜひ具体的な取組として踏み込んでやっていっていただきたいと希望する。
(白石委員)
 もう他の各委員から出た御意見もあろうかと思うが、私も、5年経過したときに、各施策がどのように行われてきたのかということをきちんと把握し、それをまた新たな政策に反映していくためには、最初の目標設定がかなり明確になっていなくてはいけないと思う。
 ここに書いてある28項目、私はどれも同じ配分、つまりウエートが同じではないというふうに思う。各省庁でお出しいただいている政策であれば、何から手をつけていくのかということで、ぜひ28項目の中で、各省庁一押しの政策は何なのかということを是非明らかにしていただきたい。具体的なアクションプランの中の政策順位をつけていただきたいと思う。
 先ほど厚生労働副大臣から、厚生労働省として5割、男性に育児休業を取得していただくこの目標値、非常に心強く受け止めた。現在、日本の男性の家事・育児時間は、妻が働いていても、働いていなくても、わずか20分。もし、妻の出産後、男性が1カ月くらい休んで、家庭内で妻をサポートすることができれば、現状子どもを生んでいる共働き世代が、さらにまた1人生んでくれるかもしれない。これを国として掛け声だけではなく、きちんと制度化していくことが望まれる。是非これについて御理解と御協力、強力な推進体制をお願いしたいと思う。
 フリーター対策、若者の失業対策は非常に大事だが、私は、フリーターや失業者をいかに出さないかという事前の対策が非常に重要だと思う。それは、やはり小学校の早い段階で職業意識、自分の適性、自分が何者なのかということをきちんと把握する、客観的に把握するということと、きちんと情報提供していく、それが事前にお金をかけることが事後のフリーターや失業者を出さないことになると思うので、ぜひ早期の職業教育を文部科学省の方にお願いしたいと思う。
(宮島委員)
 先ほどから、優先順位という話があったが、実はこれは5年で、しかも集中的にやるという。しかも、これを見ると、28項目というのは、この表現そのままかどうかはともかくとして、まず着手する当面の具体的行動が28項目となる。
 だから、はっきり言えば今年の6月ぐらいからの概算要求の検討に間に合うような形でこれがある程度具体化され、しかも28項目がまず着手すべきものである。恐らくそこはもう少しブレイクダウンされると思うが、そういう意味では、優先順位をつけてくれというのはよくわかるけれども、あまり優先順位をつけてしまうのも困る。28項目とにかく一斉にやってほしい。とにかくやってほしい。
 しかも、それを今年の概算要求を議論する段階で、視野に入れて進めてほしい。その中で、多少修正があるかもしれないが、しかし、とにかく集中的にやるんだという以上は、タイミングで優先順位をつけるような発想は、むしろ取り残されて、先送りになってしまう可能性が強いので、最後に予算がないからどうなったというのは、これはやむを得ないかもしれないけれども、初めはなるべく一斉にやる道を考えていただきたいと、私はあえて無理を承知で希望したい。
(佐藤委員)
 男性の働き方を見直すというのは大事だと思う。先ほど、働いている女性、夫婦で働いている人たちの出生率が決して低いわけではなくて、高いというお話があったということだが、やはり働く女性が仕事をしながら子育てをしていくということを支援することは大事だと思う。ただ、男女共同参画会議があったそうだが、女性が仕事をしながら子育てもできるということを支援するということになりがちである。そうすると、女性だけが子育てをして、女性だけが仕事も子育てもできるようになって、そういうことだけになると、女性が子育てを可能とする特定の仕事だけつくということになりがちなので、やはり男女ともに、父親も含めて子育てにかかわることが大事だと思う。
 ただ、パパクォータと言われたが、これは人によってその意味することが違う。ある人は義務化することをイメージしている。国際的に見て義務化している国はない。海外では、パパクォータと同時にママクォータである。両方に割り当てられている。
 したがって、人によってその意味が多義的なので、留意して使うことが必要だと思う。男性が子育てにかかわるかかわり方はたくさんある。その一つとして、男性も育児休業を取るということがあるが、一つの選択肢にすぎない。パパクォータという言葉で何を意味しているかを明確にしないと混乱を招くだけではないか。その点は大塚委員も書かれている。反対ではないが、中身が何かということをきちっと定義することが必要だ。
 私は男性の子育て参加を進める仕組み、職場の働き方を見直すのは大賛成だが、その点については抵抗感がある。
(榊原委員)
 1点だけ今の関連だが、私もパパクォータの取組は進めてほしいというふうに発言も確かしたことがあったと思うので、白石委員のお考えに賛成だ。パパクォータといったときに、確かに一定の国の一定の制度を連想してしまうということはあるので、日本的な、日本にふさわしいパパクォータという言い方をさせていただいたと思う。要するに、育休を取得するためのインセンティブになるような、促すような仕組みを導入してほしいという意味で多分白石委員もお使いになっていると思うし、私も使っている。
 というのは、奥さんが働いていなくても、産後の数週間は取れるという制度になっているのにもかかわらず、これだけ取得がないということは、やはりどこかに何か問題があると考えて、積極的に取れるような仕組みを導入するということは、今のこの日本の状況の中では、必要なのではないかと考えている。
(白石委員)
 私は、優先順位をつけるというのは、すべて大事だがやはりこの政策を実行していく上でのロードマップが欲しい。最終ゴールはどれぐらいなのかということで申し上げたので、どれを落として、どれをすくい上げるという意味ではない。どれからスタートする、すべてやっていただくのが一番いいわけですが、果たしてそれが可能なのかどうかということを申し上げたかった。

 

3 閉会
○小野内閣府特命担当大臣から、大綱のたたき台について種々ご議論いただいたが、おおむね御理解いただけたのではないかと考えている、政府としては、今後、このたたき台をもとに、政府内、さらに関係各方面と調整をいたしながら、まとめさせていただきたい、との発言があった。