「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議(第3回)議事要旨

1.日時

 平成19年12月18日(金)8:34~8:54

2.場所

 内閣総理大臣官邸 2階小ホール

3.出席者


(少子化社会対策会議委員)
福田 康夫  内閣総理大臣
町村 信孝  内閣官房長官
上川 陽子  内閣府特命担当大臣(少子化対策)
大田 弘子  内閣府特命担当大臣(経済財政政策)
増田 寛也  総務大臣
額賀 福志郎  財務大臣
渡海 紀三朗  文部科学大臣
舛添 要一  厚生労働大臣
甘利 明  経済産業大臣
冬柴 鐵三  国土交通大臣

(有識者)
池田 守男  株式会社資生堂相談役(日本経済団体連合会少子化対策委員会委員長、日本商工会議所特別顧問)
岩渕 勝好  東北福祉大学教授、産業経済新聞客員論説委員
清原 慶子  三鷹市長
古賀 伸明  日本労働組合総連合会事務局長
佐藤 博樹  東京大学社会科学研究所教授
樋口 美雄  慶應義塾大学商学部教授
吉川 洋  東京大学大学院経済学研究科教授

4.議事概要

○町村内閣官房長官
 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議は、昨年末の将来推計人口において、今後、少子高齢化が一層進行するという見通しが示されたことを踏まえ、改めて国民の結婚や出産に対する希望を実現するには何が必要であるかに焦点を当て、効果的な対策の再構築・実行を図るための重点戦略を策定すべく、本年2月に設けられた。
 その後、各分科会で精力的にご検討いただくとともに、重点戦略の最優先課題である「仕事と生活の調和」の実現について、官民トップ会議を設けて憲章及び行動指針の策定を進め、先程、決定されたところである。
 本日は、これまでの各分科会の議論、仕事と生活の調和のための憲章及び行動指針を踏まえ、全体的な重点戦略を取りまとめていただきたい。

○上川内閣府特命担当大臣
 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略の案について、策定作業に当たられた各分科会の主査を代表して、吉川委員から重点戦略の全体について説明いただき、次いで、樋口委員から仕事と生活の調和に関する部分、佐藤委員から利用者の視点に立った点検・評価に関する部分について、補足的に説明いただきたい。

○吉川委員
 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略については、6月の中間取りまとめの後、「骨太の方針2007」にも盛り込まれ、さらにそれを踏まえ、基本戦略分科会において、他の分科会の主査にも参画いただき、議論を進めてきた。
 参考資料の1枚目を見ると、まず問題の所在がある。先程、官房長官からも話があったが、二者択一構造の解消というのは、言うまでもなく、仕事を取るか、出産・子育てを取るか、二つに一つを選ばなければいけないという、ある種、不幸な選択を強いられている人が多くいるということである。とりわけ日本の場合、女性が多いが、そういう問題を解消する必要がある。
 全体として、働き方の改革と子育て支援を「車の両輪」として進めていくということであるが、働き方の改革による仕事と生活の調和の実現については、既にこの会議の前に官民トップ会議が開かれ、樋口委員からも後程説明があるので、私からは、もう一つの柱である、「親の就労と子どもの育成の両立」、「家庭における子育て」を包括的に支援する枠組みの構築について、参考資料の2枚目に沿って、報告させていただく。
 一つは、児童手当のような現金給付による支援である。もう一つは、具体的なサービスの提供、例えば託児所を整備するといったことであるが、この両方が必要でるというのが専門家または各国の経験が示すところである。
 とりわけ日本では、具体的な子育て支援のサービスが不足している。基本戦略分科会には子育ての現場をよくご存知の3名の女性委員がいるが、この3名が異口同音に具体的な物的サービスや支援が足りず、この整備が急務であると発言していた。
 家族支援・子育て支援については、過去にも様々な議論がされてきたが、ややもすると、理念先行で、具体的な施策になかなか結びつかなかった。この点で、私どもは一歩踏み込んで、具体的にどういう支援が必要かということに加え、それがいくらかかるのかという財政的な試算も行った。
 これは既に6月の中間取りまとめの段階でも行ったが、そのことが、「推計追加所要額」の下に※印で書いてある。そこでは、家族支援の先進国といわれるフランスの家族関係支出を、人口や年齢構成等を調整し、日本にそのまま移入するとしたら一体いくらかかるのかを推計し、10兆6,000億円という数値を示した。
 そして今回の重点戦略では、日本の実情等も踏まえて、物的なサービス支援について、一体いくらぐらいの所要額になるのかを試算してみたところ、1兆5,000億円から2兆4,000億円という結果になった。4兆3,300億円が平成19年度の現行の支出額で、モノと金の両方をあわせた支援として使っている額である。これでは不足であって、これに加える必要がある額が1兆5,000億円ないしは2兆4,000億円ということである。
 社会保障というと、どなたも、まずは高齢者、とりわけ年金、医療介護といったものをお考えかと思うが、それに加え、子育て・家族支援ということで1兆5,000億円ないし2兆4,000億円は投入する必要があるということが今回の取りまとめの要点である。

○樋口委員
 参考資料の1枚目の「II 仕事と生活の調和の実現」について、先程のトップ会議においても承認された内容であるが、ここでは、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を記述している。今、吉川委員からも話があったように、モノと金の不足ということが起こっているのと同時に、例えば労働市場の二極化の問題、あるいは、経済格差の問題、そうしたものをすべて根源的にさかのぼっていくと、すべて人々の働き方の問題に直面する。また、少子化の根本的な理由として、一つは、この働き方の問題があるということで、女性だけの働き方の問題ではなく、国民全体の働き方、暮らしという問題について、意識改革を含め、進めていく必要がある。
 国民一人一人が、将来に向かって、やりがいや充実感を覚えながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭及び地域生活などについても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じてその選択肢を広げていくことが重要である。具体的には、3本柱として、(1)就労による経済的自立が可能な社会、(2)健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、(3)多様な働き方・生き方が選択できる社会、の実現を進めていくことが必要である。
 その中で、例えば、就業率、フリーターの数、有給休暇の取得率、週労働時間60時間以上の雇用者の割合、育児休業取得等について、10年後の社会的な目標及び中間的な目標として5年後の目標を掲げたが、これを実現していくことが重要である。そのためには、個別企業における労使の取組が主体になるが、同時に、国も、地域社会も、これを支援していくことが必要であり、国全体の運動としてこの問題に取り組んでいくことが不可欠である。
 これは行動指針ができれば実現できるものではなく、一歩一歩進めていくためには、政策についての評価、それに伴う見直しが求められる。このため、今後、随時フォローアップしていく必要がある。

○佐藤委員
 参考資料の2枚目、「IV 利用者の視点に立った点検・評価とその反映」のところが私が担当したところである。これまで政府は様々な少子化対策を実行してきたが、少子化の流れになかなか歯止めがかからないということで、これまでの少子化対策をきちんと評価していくという考え方について検討することが我々の課題であった。
 これまでの少子化対策の評価は、その施策の進捗状況を把握するということが中心であったが、これではなかなかうまくいかなくて、やはり利用者の視点に立った評価が必要なのではないかと整理した。
 具体的には、結婚や出産・子育てに対する希望の実現度、利用者の多様性、地域差、施策相互間の連携、質と量の評価、施策の周知と利用しやすさ、といった6つの視点に立って点検・評価を行うことが重要である。
 その観点から、これまでの施策、あるいは、これからの施策を、利用者の視点に立って整理するとともに、その6つの視点から定期的に点検・評価し、毎年の予算編成、事業編成、プラン策定に反映させるPDCAサイクルを回していくことが重要である。

○上川内閣府特命担当大臣
 続いて、意見交換を行いたい。
 先程のトップ会議において、経済界と労働界からは、仕事と生活の調和の実現に向けて積極的に取り組む旨の決意を既に表明されているので、本会議では、岩渕委員と清原委員から一言ずつ、ご発言いただきたい。

○岩渕委員
 子育て支援に費用について、これは来年度に全部投入するのではなくて、毎年少しずつサービスを積み上げていくということである。しかしながら、少子化が進んでいる現状では、児童手当の給付総額がどんどん減っていって、トータルの少子化対策経費は現在より少なくなってしまうおそれが非常に強く、少子化に歯止めをかけるにはとても足りない。ドイツや韓国と比べても見劣りがする。ここは思い切った政治決断を下して、対策費を大幅に積み上げていただきたい。

○清原委員
 今回の検討を経て、ワーク・ライフ・バランスということが社会の有り様として明確に示されたことは、歴史的に刻まれるべき大きな出来事であると認識している。
 命が生まれ、そして育まれる地域社会の自治体経営を担う者として、今回示された指針と数値目標を共有しつつ、誠実に具体的な施策の推進に努めたいと考えている。暮らしとは、新しい命が生まれ、そして次世代が育成され、社会が新しい命の息吹を得て価値を創造し、発展していくものだと思う。
 この検討会議で示された方向に従い、国民的な運動として、この子育て支援のあり方が具体的にきめ細かく推進されていくよう、皆様と一緒に努力ができればと考えている。

○上川内閣府特命担当大臣
 それでは、本日ご報告いただいた重点戦略の案をもって、本検討会議の取りまとめとしたいが、いかがか。 (「異議なし」の声あり)

○上川内閣府特命担当大臣
 それでは、本取りまとめについては、後日、全閣僚から構成される「少子化社会対策会議」において正式に決定することとする。
 この重点戦略については、今後、その内容を、平成20年度予算案にも反映するよう努めるとともに、具体的な制度設計について、税制改正の動向を踏まえつつ速やかに検討を進め、また、先行して実施すべき課題については必要な法律の見直しを検討いただくこととしたい。

○福田総理大臣
 現在の急速な少子化の進行は、女性が仕事と出産・子育てのどちらかをあきらめざるを得ないという状況が背景にあり、妊娠・出産を機に、それまで仕事についていた女性の7割が離職するという事態に至っている。そうした構造の解消は、女性の「仕事を続けたい」という希望と「結婚したい、子どもを持ちたい」という希望を同時に実現するために必要不可欠であることはもとより、若者や女性の労働市場参加を促進し、労働力人口の減少を緩和するという意味においても、直ちに取り組まなければならない課題である。
 働き方の見直しについては、これまで企業ごとの労使の自主的な取組に委ねられてきたことから、一部の企業の先進的な取組にとどまり、社会的な広がりに欠けていた。今般、政労使の合意によって、先程署名した憲章や指針が定められたことは、社会全体を動かす契機となるものと確信している。
 また、重点戦略にあるとおり、こうした仕事と生活の調和の推進を実効あるものとするためには、多様な働き方に対応した保育サービス等の子育て支援の社会的基盤の充実に取り組んでいかなければならない。来年度予算においても、待機児童の解消に向けた保育所受け入れ児童数の拡大を図るとともに、家庭的保育など、多様で弾力的な保育サービスの充実、子育ての不安や悩みを相談できる地域の子育て支援拠点の拡充など、内閣として重点的に取り組んでまいりたい。
 検討会議の皆様におかれては、これまで精力的にご議論いただき、深く感謝申し上げる。