第2回「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議「働き方の改革分科会」議事要旨

平成19年4月5日(木)
13:00~15:00
共用第7会議室(5階)

議事次第

  • ○ 開会

【議事】

  • 1.働き方改革を実践する先進的企業について
  • 2.ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて

○樋口主査
 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会議」の第2回目を開かせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、議事次第にございますように、3つほど議事が予定されております。
 まず最初、1番目の「働き方改革を実践する先進的企業の取組について」を、2人の方から御報告お願いいたします。まず最初に、NECの木村委員、続きまして、日本IBMの横山委員から御説明をお願いしたいと思います。
 それでは、木村委員、お願いいたします。

○木村委員
 それでは、私の方から御説明をさせていただきます。
 お手元に資料をお配りさせていただいております。
 1ページ目、まずは、これまでNECがどういった形で取組をしてきたかという過去の歴史を含めまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 題名で「NECにおける仕事と子育ての両立支援策」と書いてありまして、働き方とちょっと違う題名にはなっておりますけれども、「両立支援のための取組の背景」というところから御説明いたします。
 NECでは、1981年から女性の社員、主に技術者でしたが、大量に採用し始めたところから始まっております。この技術者に対して、色々な教育なり、研修なりをしまして、一人前の技術者にしていくといった過程で、当時、どうしても出産だとかを機に退職してしまう社員がいるということで、これに対する対策をどうしたらいいかというところから、90年の育児休職制度、92年の短時間勤務制度などを導入してまいりました。
 その結果としまして、このグラフにありますように、女性の総合職採用数が増えてきましたと同時に、この下にあるように、役職数もだんだん増えてきたという経緯があります。
 それから、制度だけではなくて、受け入れる職場なり、あるいは本人の意識改革ということから、いろんな教育だとかフォーラムを通じて、いろいろ啓発の活動をやってきたという経緯もあります。
 2ページが、これに続きます各種制度であります。
 主に、これまでの取組といたしましては、育児に関わる制度、介護に関わる制度ということで、この2つを基本に色々な制度を作ってまいりました。
先ほど御紹介させていただきました90年度の育児休職制度、92年の育児短時間勤務制度に併せまして、介護につきましても、同じく90年に介護休職制度、92年に介護の短時間勤務制度といったものを入れております。
 92年には併せまして、本人と家族の病気のために取得できる目的別休暇ということで、医療看護休暇という制度を導入しております。
 その後、いろいろ制度が書かれておりますけれども、2002年に、先ほど御紹介しました医療看護休暇制度を「ファミリーフレンドリー休暇制度」ということで改定をしたり、いろんな取組をこれまでもしてきているという経緯があります。
 こういったことを通じまして、最近では、産前産後休暇を取られる方の9割ぐらいが育児休職を取得するという状態になりまして、更に復職した後は、85%ぐらいの社員が短時間勤務制度を利用するという状況になってきております。
 3ページ目は、2002年に改定をいたしました「ファミリーフレンドリー休暇制度」の概要で、最初の医療看護休暇制度は、本人あるいはその家族が病気になったときに、年次有給休暇とは別に使える休暇制度ということで設けておりました。年間5日、ただし使わない場合は20日まで積立てができるという休暇制度でありますけれども、このころから視点が、女性を意識したところから、かなり男性社員も意識したような施策となってまいりました。このときの改定で一番大きな改定は、多目的休暇の利用目的に学校行事に参加するため、という目的を追加いたしました。
 この背景は、どうも子どもの教育だとか育児に対して、やはり男性社員が無関心であり過ぎるのではないかというところから、もっと子どものことに関心を向けようという気持ちもこめて、あえてこの多目的休暇の利用目的に、学校行事への参加というのを入れました。
 「ファミリーフレンドリー・ファンド」という制度も書かれておりますが、扶養給制度というものが昔からNECにもありました。これは子どもに対する扶養給、あるいは配偶者に対する扶養給というものでありましたけれども、実は配偶者に対する扶養給を実際に受給している社員というのは、99. 数%まで男性社員でした。こういった仕組みはやはりおかしいのではないのかということで、配偶者に対する扶養給を全面的に廃止をして、子どもが一人産まれたら、男性社員であろうと女性社員であろうと、一時金を55万円支給しましょうという仕組みに変えてきております。
 これ等は、社内ではいわゆるファミリーフレンドリー施策と呼んでおりますけれども、このほかにも、働き方ということについては、90年代初めには、フレックスタイム制度が入っており、93年には研究者を中心に裁量労働制度、2002年には研究者以外も含めて、社内で大体7,000 人ぐらいを対象に裁量労働の適用を行ったという取組をこれまで図ってきております。
 では、その先の働き方の改革についてはどうだということにつきましては、3年ぐらい前から、労使の間で、これからの時代はワーク・ライフ・バランスという考え方がやはり必要なのではないかということで議論を続けてきています。そういった労使の議論を受けて、昨年の暮れに労働組合が中間報告をまとめております。
 労使の議論の経緯を受けて、労働組合が考えるワーク・ライフ・バランスは、ワーク、つまり働くということは会社の中の話ではなく、自分のライフの中にあるものだというふうに位置づけましょう。その中で、楽しく働いて楽しく暮らすことを実現できるようにするにはどうしたらいいのか。
 それから、ワーク・ライフ・バランスというのは、自分なりのものがあるでしょう。一つの決まったものがワーク・ライフ・バランスではなくて、ワーク・ライフ・バランスというのは一人ひとりがそれぞれ考え、持つものだということも言っております。
 それから会社のことも気遣っていただきまして、社員が生き生きとしていなければ会社は良くならないということで、労使で頑張っていきましょうという議論をしているわけでございます。
 また、報告書のその中では、ワーク・ライフ・バランス施策ということで、これまで、どちらかというとファミリーフレンドリーという視点で今まで御紹介したような色々な施策、それから、先ほど申し上げた、フレックスタイムや裁量労働といったフレックスワークという位置づけの制度、そのほか、キャリア支援、残業削減、休暇促進、健康増進といったことを実は既にいろいろやってきていて、ワーク・ライフ・バランスという視点に返って見ると、かなりそういった土台というか、かなりの施策が実は展開されているのではないだろうかという見方をしております。
 要は、今まではファミリーフレンドリーということでやってきたわけなんですけれども、もう少し総合的にワーク・ライフ・バランスという観点からこういった制度を、逆にもう一回どうやって活用していったら良いのかということを議論していこうではないかということが、現状のNECでの取組ということになっております。
 簡単ではありますけれども、これで説明を終わらせていただきます。

○樋口主査
 ありがとうございました。
 御質問もあるかと思いますが、横山委員のお話を伺ってから、続けてお願いします。

○横山委員
 今回、働き方の改革ということで、ワーク・ライフ・バランスというよりは、ワーク・スタイル・フレキシビリティーという観点で、雇用形態の多様化というところは除いておりますけれども、多様な働き方ということで資料をまとめました。
 まず、「会社概要」で御承知のとおり、米国に本社を置くIBMでございます。
 私は日本IBMという会社の中におりますけれども、現在、約1万8,000 人弱のうち、約18%にあたる3,000 名強が女性社員です。女性社員も含めて、正社員ということでは、全員がほぼプロフェッショナル職の社員ということになります。
 この1万8,000 人のほかに、グループ会社も何社かありまして、私も実際に子会社でありますSEの会社の人事担当をしましたし、またはアジア・パシフィックにもUSとジャパンの間に立つアジア・パシフィックという組織で給与の仕事をしていたこともあります。
 やはりワールドワイドに仕事を進めるときには、オフィスにずっと座っていて仕事が済むよりは、やはりバーティカルにいろんな国の社員が1つのチームになって働くことになります。
 実際に、私がアジア・パシフィックに在籍していたときは、マネージャーがオーストラリアで、チームはシンガポール、香港、私はジャパンで1人でしたけれども、ジャパンの横山は、別に六本木のオフィスで働いている必要は全くありませんので、家で働こうが、どこのオフィスで働こうが、成果を上げれば問題ないということで、そういった働き方を既に私自身が実践してきておりまして、その後、本社のダイバーシティのポジションに就かせていただきました。
 ワーク・フレキシビリティ施策を会社としてどういうふうに位置づけて人事施策について結び付けているかというところですが、やはり根幹にはお客様の満足をどのように得るか。それから、社員の満足をどのように得て、それを事業の成長にどのように結び付けるかというところが根幹でして、その中で人事の優先課題が、3つあります。
 まず一つ目が、タレントです。優秀な社員を採用して、引き付ける。二つ目がクライメートです。企業文化を変えていく。自立的、自由濶達で達成志向、お客様志向というところ。三つ目がパフォーマンスです。成果と処遇ですね。どういう働き方をしていても、成果をどういうふうに出すかというところで処遇するというところの考えです。
 こういう3課題を解決していくために、やはり多様な勤務形態が必要だということで、取り組んでまいりました。
 また、一方でダイバーシティという考え方の中にも、ワーク・ライフ・バランスという優先課題がございます。その観点でも、やはり育児、介護ですとか、クライメートをどうしていくかといった中で、時間とか場所の制約から解放した働き方を模索していく必要があり、いろいろな制度づくりを取り組んでまいりました。
 幾つか制度がありますけれども、一番新しい制度ということで「短時間勤務制度」を挙げさせております。
 基本的には、弊社の考え方は、優秀な社員がキャリアを継続しながら、一過性の何らかの理由によって時間的な制限を少し緩くしてあげる必要がある場合に、この制度を使ってもらうということですので、育児、介護などの事由により、一時的にこのような制度を利用するという制度として位置づけております。育児は、中学就学前までを対象としています。また、一部障害を持っている社員などにもこの制度を適用しています。
今、NECの事例で、かなり多くの方が短時間勤務制度を使ってお戻りになっていらっしゃるとおっしゃっていましたけれども、弊社は余り多くなく、ただ、やはり戻ってすぐ2、3か月は、子どもも慣らし保育で、自分も慣らし勤務ということで活用する女性社員が比較的多くなっております。活用状況をみますと、やはり女性の方が多くて、男性はやはり介護ですとか、自分自身の障害のためということで使っている社員が多いです。
 次に、空間のフレキシビリティーということで、e―ワーク制度(在宅勤務)について説明します。
 この制度は、フルタイムで在宅をするというよりは、就業場所が家でも、会社と何ら変わりなく仕事ができる環境と仕組みを構築したという位置づけになっています。
 営業職であれば、もともと裁量勤務で、家での仕事もその中に含まれておりましたので、どちらかというと、ここに書いておりますけれども、企画型である我々のような人事ですとか、そういった社員がこの制度の対象となります。
 当初は、育児とか介護に限ってこの制度を適用しておりましたけれども、女性ですとか、そういったワーク・ライフ・バランスに課題を持つ社員だけではなくて、やはり一般的な社員でもこのような制度をどんどん利用していった方が仕事の効率がかえって上がるということもありましたので、特に人事の承認も必要とせず、ある一定以上のレベルの管理職であれば、マネージャーとのコミュニケーションは必要ですけれども、自由にこの制度を適用できるようになっています。
 「テレワーク施策」ということで、今、御説明いたしました在宅の「e―ワーク制度」でありますが、「モバイル・オフィス」というのは、97年当時から取り組んでいた営業ですとか、SE社員向けの制度です。お客様との対面のお時間を増やすということで、お客様先に外出して、再び自分のオフィスに戻るのではなくて、働きやすい場所に戻る、あるいは自宅に帰ることも含めて、そういったモバイラーとしての働きやすさを推進するというプログラムです。
 2004年になりまして「オンデマンド・ワークスタイル」という方に移行しています。これは、仕事そのもののプロセスをモバイラーに対して改善することによって、あるいはITインフラやオフィスの環境といったことをモバイラーに対して、快適な環境を整えるという仕組みですので、モバイル・オフィスからオンデマンド・ワークスタイルの方に今、移行しているというのが現状です。
 こういったITの仕組みを使って実際にどんな仕事ぶりなのかというのを皆さんに御理解いただくために説明しますと、パソコンを社員が1台ずつ持っておりまして、通常、オフィスにいますと、皆さん対面でお話しするところをパソコン上でするようになります。ですので、チャット機能ですとか、メール機能が備わっております。
 やはり、たまたま働いている場所が自宅なのであって、特に隣にチームメンバーがいないわけですけれども、顔を合わせない分はやはり働いている社員も自覚を持って、チャット機能ですとか電話ですとか、必要に応じて積極的なコミュニケーションをとる。また、家にいますと、なかなかオン、オフの切り替えができずにおりますので、そういったことも気をつけてやることが成功要因です。
 逆に、ほかから邪魔が入りませんので、いろいろな企画をしたりとか、深く思考しなくてはいけない提案書を作るときなどは、自宅で仕事をした方がかえって効率が上がるといった面もあります。
 あと、会社のいろいろな情報なども、すべてそのようなパソコンからネット上で提供できるようになっており、また、各種申請などについても、パソコンが1台あればできるように整えております。
 こちらは実際のケースですけれども、寝たきりというか、重い障害を持っている女性ですけれども、完全在宅勤務でこういったパソコンを整えまして、やはり時間もフルタイムはちょっと難しいということで6時間の勤務で、英訳をしてもらっております。
 このようにテレワークは、多様な人たちの活躍を助ける多様な勤務形態ということになります。
 次に、オンデマンド・ワークスタイルをイメージしていただくために、フリーアドレスについてです。決まった席はございませんので、社員はオフィスに出社しますと、空いているところに座りまして、パソコンをつなげて、仕事を始めます。
 通常のオフィスとはまた別に、いろんなところにサテライト・オフィスというものを設けておりまして、その時々で一番使い勝手のいいサテライト・オフィスに出かけて行って、社員は仕事ができるようになっています。なお、リーダー間でやはりコミュニケーションがとりにくいという面を解決するために、専用のブースも設けたりしています。
 また、会議のやり方なども改革をしまして、会議の前にこういった資料をみんなで整えて、集中的にディスカッションをして、会議の後は散って、またそれぞれの仕事を終えるという環境になっております。

○樋口主査
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま御説明をいただきましたNECと日本IBMの取組について、御質問、御意見がございましたらお願いいたします。どなたからでも、御自由にどうぞ。長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員
 では、お二人に簡単に2つずつ御質問したいと思います。
 今、NECとIBMという二大企業が、あたかも、働きやすさという点に関して互いに競ってくださったような感じなんですが、勿論、この会議自体は、どこまでも少子化対策ということがメインのテーマです。この少子化対策という点からそれぞれNECとIBMと、自分たちの企業のこの労働形態は、少子化対策という点で、ここが一番胸を張ってお勧めできる点だ、というところをそれぞれお二方にしていただきたい。と同時に、ここが実は、実際にやってみて問題だと、そういうところを伺いたい。今のお話を伺っていて、そういう実際にやってみた場合の問題点というのも出てきそうな感じなんですが、それをお二方に2点ずつ簡単にお答えいただけたらと思います。

○樋口主査
 では、NECの木村委員からお願いします。

○木村委員
 少子化対策にどれぐらい役に立っているかという話でございますけれども、検証したことがないのでよくわかりません。
 もう一つ、企業として直接少子化対策をやっているつもりはありません。企業として、今まで色々なファミリー・フレンドリー施策ということで御紹介させていただきましたけれども、これ等はあくまで社員が仕事をしていく上で選択肢を増やしている、または、提供しているということだと思っています。
 ですから、それによって社員が出産をしても仕事ができるだとか、出産しやすくなるとかということはあるかもしれませんけれども、少子化そのものに対し、企業として何か対策を取っているか、ということになると、そういう位置づけではないととらえております。 ですから、問題点というのは、その意味で言うと、少子化の問題点ということではなくて、制度そのものが使いやすいだとか、もっとこういう制度があったらいいとか、そういった話は出てまいりますけれども、少子化に対する問題点ということでありましたら、企業としては直接は把握していないという位置づけだと思っております。

○長谷川委員
 なるほど、少子化のことなど企業としては念頭にないと。率直なお答えをありがとうございます。

○樋口主査
 横山委員、お願いします。

○横山委員
 私どもも、やはり少子化対策ということは、逆にメッセージすべきではないという話を企業の中では常々しております。
 子どもを持つ、持たないというのは、あくまでプライベートな話ですし、逆に子どもを持てない、持たない社員から見ますと、とてもゆがんだ話になってしまいますので、常にメッセージは気をつけております。
 ただ、子どもを持った場合でもキャリアを継続できる、あるいはその優秀な社員に長く貢献してもらえるというところを視点に、メッセージ自体もいつも気をつけております。 課題点ですけれども、やはりこれまでの働き方とは、社員も意識を変えなくてはいけないですし、会社も意識を変えて、評価ですとか、離れたところにいるので、社員の方もきちんと管理職に対して報告をするとか連絡をする。逆に管理職の方もきめ細かく見ていくといったことが必要になってきます。
 やはり、どうしてもフレキシビリティーのあるプログラムですと、緩く緩くというか、どうしてもそちらに流れていってしまう傾向もなくはないので、やはりその辺、けじめといいますか、ときどきメッセージを発信しているような現実です。

○長谷川委員
 私の質問の仕方が悪かったようです。私は、少子化対策にどう取り組んでいらっしゃるかを伺おうと思ったんではなくて、今、ここでの少子化対策という観点から、お二人御自身のプレゼンテーションを振り返って、少子化対策のために、自分たちのやっているのはこういうメリットがあるな、あるいはそれについてこういう課題があるなと、いうお気づきの点があれば、という趣旨でお伺いしたんです。
 しかし、お答えを伺ってみる限りで、そういう視点自体をお持ちでないということが、どうやらはっきりしたという感じがいたします。ありがとうございます。

○樋口主査
 よろしいですか。

○木村委員
 企業の社会的責任として少子化対策をどうするんだという問題は、別の議論になってくると思います。

○長谷川委員
 私が伺ったのは、そういうことではないんです。たまたま、これは少子化対策を考える席なんです。
 ですから、その視点から改めて、これまで取り組んでいらした労働施策を振り返ってみたとき、これは少子化対策にもこんなにメリットがありますよと御自身でまた宣伝できるという点があれば、どうぞおっしゃってくださいというのが私の質問の趣旨だったんです。お分かりにくかったようですね。

○樋口委員
 北浦委員、どうぞ。

○北浦委員
 今のことに関連して感想なんですけれども、お二方は多分、そんな大それたということではなくて、自社の従業員に対して、いかにいい会社であるべきかという思想から来ているんだと思うんです。
 それで、長谷川委員がおっしゃったのは、まさにそういったものが今、この委員会で一番議論になるべき少子化対策とつながるということだと思います。これは、なかなか個別のミクロのものがマクロにどうつながるかということを検証するのは難しいとは思いますが、相対的な見方をすれば、企業のワーク・ライフ・バランスの施策は、それぞれ両者とも大変立派な施策を用意されていると思いますが、そのことがやはり少子化につながっているというのは、マクロ的に見れば言えると思います。
 つまり、ワーク・ライフ・バランスを通ずることによって、それだけ子育ての時間も十分に得られるといったゆとりを持つことが、場合によっては出産とか、そういうものの動機づけになっていくということもありましょうし、あるいは子どもさんを安心して育てられるということが動機づけになる場合もありましょう。それは、個人の考え方、思想の問題もありますので、一概には言えませんが、トータルで言えば、こういう企業の方がこのような環境をつくってくださることが、それにつながるというように理解できるんではないかと思います。
 一企業の目で見て、うちの会社が、では子どもさんが幾ら産まれたとかという話ではないんだろうと思いますので、多分ミクロとマクロの視点の違いだと思います。

○長谷川委員
 まさに私が御質問しようと思ったのも、今、北浦委員がおっしゃったことなんです。
 つまり、マクロの視点でこういうワーク・ライフ・バランスが大事と掛け声で言われているけれども、実際に実践してみて、こんなふうに実践の立場からメリットがありましたよ、あるいは課題がありましたよ、という、マクロとミクロをつなげるような体験談がおありでしたらということなんです。

○樋口主査
 多分、メリットというのは、子どもを増やすのが少子化対策かというと、むしろここでは「子どもと家族を応援する日本」重点戦略にどういうプラスがあったかという御説明はあったんだろうと思います。それは、選択肢を増やすということがお二人から明快に御説明あったわけでありまして、その結果として、子どもがどれだけ増えたかとうのはわからないというお話だったんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川委員
 勿論、どれだけ増えたかという結論ではなくて、その対策という視点から、こういうことは私たちも実際にやってみてとっても良かったですよ。ここのところを是非、これからの全体のワーク・ライフ・バランスの議論にも生かしてください、というミクロの実践の立場からの御提案があったら、是非、言っていただきたいということだったんです。

○樋口主査
 どうぞ。

○小杉委員
 お二人の企業はとても良い企業で、社員の選択肢を増やすとか、個人がキャリアにつなげやすいという仕組みづくりをするという、非常に優れた事例だと思います。 私がお聞きしたいのは、こういう実践をやるために一番大変だったところ、社員とか上司の理解を得るとか、あるいはお客様の理解を得るとか、さまざまな大変なところがあったと思います。
 それをなぜお聞きしたいかというと、今、この日本のトップ企業だからこそワーク・ライフ・バランス施策ができていると思いますが、社会全体に広げてということになると、30人とか50人とか100 人の規模の企業でもしできれば、すごくみんなが生きやすいいい社会になると思いますが、大企業だからできて、中小企業だからできないとすると、中小企業ができるとしたら、一体どこのところを突破すれば可能なのか、そういうヒントがあればと思ってお聞きしたいのです。

○樋口主査
 いかがでしょうか。

○木村委員
 先ほど御紹介しました資料の中では、育児休職制度を非常に多くの社員が利用しているというところがありまして、確かに利用する人が多く、年間250 人ぐらいが利用しております。
 ただ、やはりそれだけの者が利用しますと、1年なり1年以上休むわけでして、その間、その後をどうするのかいう議論がやはり一番問題であります。ここに関しましては、やはり大企業というボリュームの中で解決している部分もかなりあることは事実だと思います。
 ですから、私どもは首都圏を中心に社員がおりますので、首都圏の事業場では、そういったボリュームによってその部分を解決している。
 ただ、営業拠点などですと、1拠点に10人ぐらいしかいなくて、そこである仕事をしている社員は一人しかいないとかという事情はやはりあるわけでして、この場合はもう代わりはいないわけです。営業拠点で働く人と首都圏の事業場にいる社員のどちらが育児休職を取りやすいかというと、圧倒的に首都圏の事業場の人の方が取りやすいという環境にはあると思います。その意味で言うと、まだまだ至らないところはあるのかなという懸念があります。
 そのほか、細かい問題点を挙げれば切りはないですけれども、一番大きな、先ほどの大企業ということでありますと、そういった点ではないのかなと思います。

○樋口主査
 横山委員、いかがでしょうか。

○横山委員
 逆に大企業ではないからこそできることはあると思います。おそらく、業態であったり、その会社でフォーカスすべき、何か取り組まなければいけない課題があれば、例えば弊社では短時間勤務は、ワークシェアリングではなくて、フルタイムで戻るための制度として位置づけていますけれども、逆に例えばワークシェアリング的な短時間勤務制度にして位置づけて、それを長く社員に取らせるとかは、やはり経営者の方がどこまで腹に落ちてそれに取組むというところから始めるということではないかと思います。その企業が発展していくために何をしていくべきか。それから始めないと、育児休職制度ありき、在宅勤務ありきというところから始めてしまうと、方向感が違ってしまうのではないかと思います。

○樋口主査
 武石委員、どうぞ。

○武石委員
 お二人のお話を聞きまして、大変いろいろと刺激を受けました。ありがとうございます。
 今の観点で言うと、私は大企業と中小企業は、おそらく別のモデルを考えた方がいいのかなという気もしていました。大企業のモデルをそのまま中小企業にということは難しいのかなと、お話を聞きながら思いました。
 御質問なんですが、まず、木村委員にお伺いしたいことは、いろんな働き方を導入されるということで、要は全体として労働時間が短くなっていった時に、単純に言えば、そこで人を増やすということと、一人の生産性を上げることによって、人を増やさずに仕事を回すという2つのやり方があると思います。ざっくりと言って、そのどちらを目指しておられて、もし一人ひとりの生産性を上げて、全体としては要員をそれほど増やさないで時間短縮を進めるということであれば、その企業全体として何か組織的に取組むようなお考えがあるのかということについてお聞きしたいということが、まず木村委員への御質問です。
 それから、横山委員の方には、先ほど意識改革の重要性ということをお話しされましたが、特に管理職の意識改革ということに関して、例えば管理職の評価の中にこういう取組を評価するような仕組みがあるとか、そういうシステマティックに意識改革につなげるようなものがあれば教えていただきたいと思います。その2点です。

○樋口主査
 では、木村委員からお願いします。

○木村委員
 ワーク・ライフ・バランスを実現するために人を増やすという概念は、企業として当然ながらないわけです。
 例えば今、10の仕事に10の時間がかかっているとします。これを10の仕事を9の時間でできるようにするにはどうしたらいいのかという効率の問題です。
 それから、実は仕事は10なんだけれども、12の時間がかかっているといった場合もあるわけでございまして、基本的には、それを10には10にというところです。
 企業側としては、10の仕事を9でできたら、あと1の時間つかって11の仕事をしてくれというのが企業側の論理なんですけれども、そこのところはまだ余り深く組合と議論をしているわけではありません、今はなるべく効率的にいい仕事をして、自分の時間をそれなりに確保して、その中で自己実現をどういうふうにしていくのかというところが基本的な議論です。
 ただ、これが全員が全員に対してそういうことを求めているかというと、それはまた違うわけでして、組合と話をしておりますのは、要は働きたい人がいる、もっと働きたいという人もいる。それに対して、ではワーク・ライフ・バランスだから働くなと言うのか。彼等にとっては、働くことがある意味で言うと、彼等の中のワーク・ライフ・バランスの実現であるということで、色々な考え方の人がいるでしょう。そういった色々な人に対して、会社としてできることは何か、組合としてできることは何かという議論をしているということですので、必ずしも時間短縮だけがこの議論の目的ではないと理解をしております。

○樋口主査
 では、横山委員お願いします。

○横山委員
 管理職の評価には、直接こういったプログラムですとか、社員がどれだけ利用したかという指標は入っておりませんが、マネージャーフィードバックプログラムというのがございまして、部下が管理職を評価する仕組みがあります。この結果が、自動的に管理職の人事評価のところに、全体の評価を決めるわけではないですが、管理職のまた上の上長が評価を決めるときの評価の条件の中に入っております。
 それから、年一度、社員の満足度をサーベイしておりますので、この結果についてもライン管理職ごとに数値が出ますので、それも1つ判断材料になります。
 やはり、社員もワーク・ライフ・バランスというのは主導的に自分が決めていくという、ワークライフももうマネージメントだというふうにグローバルに言っておりますけれども、そういったステージに入ってきていますので、仮に制度が使えないですとか、理解のない管理職ということであれば、社員がやはり主導的にラインと折衝するとか、もしそれで解決しなければ、その上の上長にエスカレーションするですとか、そういった仕組みも持っております。

○樋口主査
 ほかにどうでしょうか。 北浦委員、どうぞ。

○北浦委員
 両方とも大変立派な制度ですけれども、働き方の改革という面で考えてみると、やはりそれぞれ残業の問題と残業削減の問題、IBMのようなフレックスな働き方の問題の両方あるんだろうと思います。
 NECの話の中に残業削減というのが出ていて、お取組があると思いますが、1つは、この中で例外業務折衝というのが意味がよくわからなかったので、これを教えていただきたい。
 それと併せて、やはり定時退社の促進が、今は結構流れとしてだんだん広がってきているところがありますが、これが具体的にどのような形で行われて、また、その難しさがあるか。そこのところをひとつ教えていただきたいと思います。
 もう一つ、IBMにつきまして、非常にいろんな働き方、ワークプレイスのものも含めて考えていらっしゃって、これはすばらしいものだと思いますが、先ほどの議論との重なり合いで、言わば生産性が上がっていくという側面がないとこういうものが成り立たないわけですが、それの測定ということです。恐らく、IBMはグローバルにいろいろそういう議論をされているんだと思いますが、そういう測定というところで、例えばこういうものを導入して、どれだけ効果があったという事例でも良いですが、そういうものがおありになるのか。あるいはそういうところをどういうふうに意識して取り組もうとなさっているのか。
 それからもう一つ、特にe―ワーク制度は前々から非常に藩たるものとしていろんなところでモデル的によく言われているわけでありますが、オンとオフに切り替えの問題です。特にいろいろフレックスになってくると、だんだん自律性が増してくる。そして、その局地になると在宅勤務のような形になる。
 このIBMの場合は通常の時間管理をするという形になっているので、そこはきっちりやっていると思いますが、オンとオフの切り替えというところが、やはりうまく行くのか行かないのか。あるいはそういう発想自体が、かえって硬直的な働き方の考え方なのか。これは感想で結構ですので、それだけ教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○樋口主査
 では、木村委員からお願いいたします。

○木村委員
 残業削減というところです。
 定時退社促進ということにつきまして、どんな難しい点があるかということでしたけれども、実は過去は毎週1日、ある特定の日を定時退社日として、その日はもうみんなで残業しないで帰ろうという掛け声をかけていた時代がありました。
 ところが、どういった問題が出てきたかというと、その日にやろうがほかの日にやろうが勝手にさせてくれというのが、実は働く側からの意見がありまして、そんなことまで拘束するなということでした。フレックスタイムなどが入ってきますと、もっと早く帰るのも自由だし、もっと遅くまでいるのも自由だということで、組合の方も掛け声はかけているものの、なかなか促進できないという問題が出てきまして、今で言うと、せめてということで、給料をもらった日、ボーナスをもらった日ぐらいは帰ろうということは、今は言っていますけれども、それ以上のところへまだ踏み込めていないという状況です。

○樋口主査
 横山委員の前に、やはり同じ質問なんですが、社員にとってはいろいろ選択肢の多様化というメリットがあると思うんですが、企業にとってのメリットは一体何だろうかという点はどうなんでしょうか。キャリア形成、継続とか、そういったものが可能になったというお話でしたけれども、それで生産性であるとか、何か企業にとってのプラスはあったのですか。

○樋口主査
 横山委員の前に、やはり同じ質問なんですが、社員にとってはいろいろ選択肢の多様化というメリットがあると思うんですが、企業にとってのメリットは一体何だろうかという点はどうなんでしょうか。キャリア形成、継続とか、そういったものが可能になったというお話でしたけれども、それで生産性であるとか、何か企業にとってのプラスはあったのですか。

○木村委員
 この時間の問題だけではなくて、すべてを通じてということですか。

○樋口主査
 はい。

○木村委員
 1つは、明らかに女性社員の勤続年数が伸びているというのは、間違いない。一番簡単な事実があります。
 また、生産性がどれぐらい伸びているということは、計測が非常に難しい話でして、組合などがとっているアンケートとか、会社側がとっているアンケートからすると、非常に前向きにとらえてくれている。その意味では、良い方向になっているのではないかという気はしています。
 ただ、それでもまだ不満がないかというと、いろんな施策についてまだまだ不満が多いわけでして、「どれだけの企業がこういうことをできているんだ」ということを内心思う面はありますけれども、不満があるということもまた事実です。

○樋口主査
 横山委員、どうぞ。

○横山委員
 定時退社ですけれども、たしか水曜日をノーデイとして、館内放送が流れていたように記憶しているんですが、今はどうなっているか全然記憶にありません。たしか流れている事業所と流れていない事業所があるかもしれません。ただ、電気はたしか8時以降、1時間ごとに消えますので、残っているとわざわざ付けに行かないといけないようになります。
 それから、生産性の測定ですけれども、やはり木村委員がおっしゃったようにとても難しい問題ですので、やはり社員の満足度ということを測りつつも、個々の生産性ということでは目標管理制度で毎年、目標を立てて評価する、中間評価も含めてやっております。 オンとオフの切り替えは、まさにおっしゃったとおりでして、私なども家で仕事をしていると、気づくともう8時ぐらいになって、子どもが帰ってきて、今日は家にいたのにご飯ができていないといってよく怒られますけれども、今日は家にいたわけではなくて、家で仕事をしていたんだとよく言います。
 ですので、これはやはり社員がそういう意識で働かないと、本当にすぐ時間が経ってしまいます。一応、一般職については、先ほど説明しましたチャットの仕組みを使って「仕事を始めます。お昼休みを取ります。」といった連絡を管理職としっかり取って、オンとオフと言いますでしょうか、勤務管理をするようにということは心がけております。

○長谷川委員
 先ほどの北浦委員の御質問に、オンとオフという発想自体が、ひょっとすると硬直した思想と考えられますかという御質問があって、私はこれは少子化対策の問題とは別に、ワーク・ライフ・バランスの問題として非常に重要な深い御質問だったと思うんですが、その点に関してはいかがでしょうか。私は木村委員のご発表の図の中にあったワーク・ライフ・バランスの考え方は、大変すばらしいと思っていまして、哲学者もライフとワークをこういうふうにとらえていると言えます。つまり、一口に言えば、自己の人生と仕事は切り離せないということです。
 そういう意味では、本当に夢中になって没頭して仕事をすること自体が、その人のライフの価値実現だという考え方は、もう多くの人が自分の実感として持っていると思います。その辺り、いかがでしょうか。私も北浦委員の御質問を聞いて、これを伺ってみたいなと思っていたところです。

○樋口主査
 もうちょっと具体的に御質問していただくと、お答えしやすいのかなと思いますが。

○長谷川委員
 つまり、例えば横山委員が夢中になって8時まで仕事をしてしまっている。オンとオフの切り替えが難しいとおっしゃったんですが、まさにそんなふうにして、もう時間の経つのも忘れて仕事をしていること自体が、実は横山委員のライフそのものであって、その価値実現と言っていいんではなかろうかということです。

○樋口主査
 横山委員への御質問ということですか。

○長谷川委員
 もしよろしければ横山委員からも伺ってみたいですね。

○横山委員
 会社からとってみれば、個々の社員がそれを自分自身で判断して決めていきなさいというメッセージになると思います。やはり、ワーク・ライフ・バランスのメッセージも折に触れて知っておりますけれども、自分の人生の中で仕事をどう位置づけていくかということを常に考えて、いろんなステージがありますので、会社としてはそのステージ、ステージに合ったいろんな制度もありますよというコミュニケーションをしていますので、まさに長谷川委員のおっしゃったとおりだと思います。
 それで、達成感があると感じている間は、まさにライフの中のワークが充実しているということのほかならないと、私個人的ですけれども考えます。

○長谷川委員
 わかりました。
 つまり、「ワーク・ライフ・バランス」のそのバランスということについても、実に様々あるわけですね。各人が本当に働きたい、定時退社なんて嫌で、本当に働きたいという人にとっては、そのオンとオフということにこだわったり、時間短縮、定時退社ということにこだわったりせずに、どんどん働いて自己実現をしてください。でも、そうでない人については、これはまたしっかりと時間短縮の制度も確保してあげましょうという、そういう考えだと受け取ってよろしいでしょうか。

○横山委員
 そうですね。

○樋口主査
 ただ、そのときに問題になるのは、第三者への外部効果というのがどうなるかということですね。時には、家族という、会社の中でも、その人が自分の思いのまま長時間働くことによって、ほかの人にどういう影響が出てくるか。各自が自分の思いのまま働くことが許され、短時間であっても、長時間であっても自由に労働時間を選択することができ、他の人への影響がまったく遮断されるというのであれば、まさに個々人の選択ということになると思うのですが、共同作業の問題で、上の部長が私の人生観は長く働くのがいいんだと言って、下の方は困るなというところも多々あるわけですから。その結果、長時間働けないという人が職場から閉め出されてしまうということもある。そこはまさにバランスをどう考えるかというところはあるのではないでしょうか。

○北浦委員
 私が軽々に質問したのがいけなかったんだと思うんですが、そんな深い意味があったとは私も思いませんで、びっくりしました。長谷川委員のおっしゃったような意味があると思うので、まさに仕事の中に自己実現というのがあるわけですから、そういった中では融合されていく部分というのはあると思います。
 ただ、先ほどの話と少し矛盾するかもしれませんが、大事なのは、多様な価値観を持つということを前提にして考えないと結局会社人間になってしまうので、むしろそのオンとオフのけじめを付けなさいと逆に言わないと、会社人間から脱却できないということもあるんだろうと思っています。現状からいくと、今はそちらの方が強調されているのが現状で、ただ、その前提は、だからといってけじめというのは分離ということではなくて、やはり多様な価値観を持って、仕事もあるし、それ以外もあるし、自分の実現という、いろんな価値観がある。家族のこともある。地域のこともある。そういった中で仕事が位置づけられるということで、そのときに仕事に専念をするということであれば、それはいいんだろうと思っています。
 ですから、多様な価値観を持つということが前提で考えていかないと、うっかりすると日本人というのは、もともとそういうオンとオフのけじめのない人たちだという、逆のそちらの方の流れに行ってしまうんではないかという感じは、お話を聞いて思いました。

○樋口主査
 まだ議論もあるかと思いますが、時間の制約もありますので、議事の2番目に移りたいと思います。
 昨年の6月に、社会経済生産性本部のワーク・ライフ・バランス研究会におきまして、中間報告としてとりまとめていらっしゃいます報告につきまして、北浦委員から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○北浦委員
 私の方からは、資料は2つ用意させていただいております。表紙をめくっていただきまして、私の考え方のレジュメが1枚あります。その後に、今、お話のありました生産性本部の方で出しました研究会報告の中間報告があります。この研究会につきましては、樋口主査に委員長をやっていただきまして、まとめたものでありますが、事務局の方で編纂させていただいたものと御理解いただきたいと思います。
 説明の順序なんですが、レジュメからと考えておりましたが、まず3枚目の御説明を申し上げて、それからレジュメで整理をさせていただきたいと思っております。
 ワーク・ライフ・バランス推進基本法を是非、制定しようという提案の表題になっておりますが、要点は、その下に「概要」として4点ほど出ております。
 1つは、硬直的な「働き方」からの脱却を目指そう。多様な「働き方」は、企業や社会の活力を持つものという考え方でこれを進めていきましょう。
 ワーク・ライフ・バランスそのものにつきましても、いろんな角度の視点があり得るわけで、それを総合的に取組む。その1つの提案として、基本法を制定したらどうかという流れであります。
 1ページに「はじめに」というのがありますが、見出しだけごらんいただければと思います。
 「働き方」と「暮らし方」双方においての構造改革が今、必要になっているということは、もう申し上げるまでもありません。この研究会では、もともとワークシェアリングを議論しておりまして、ワークシェアリングの議論をとことん突き詰めていきますと、働き方の改革が問題となりました。働き方を改革するには、実は暮らし方も変わらなければいけないということで、ワークシェアリングはワーク・ライフ・バランスの問題として考えないと解決しないなと発展してきたということをここで述べてあります。
 そういった中で、現状を見てみますと、やはり働き方の面においては、御案内のとおりの労働時間の問題、あるいは所得とか資産といった生活上の問題、そういったいろんな形での二極化とか格差ということが指摘されております。
 そういった流れの中において、いろんな働き方、暮らし方にゆがみといいますか、いろんなものが見えてきているという現状を打破していくためにも、このワーク・ライフ・バランスというのは考えないといけない。
 そして、最後にありますのは、少子化の問題があります。こういったような緊急のテーマから考えてみますと、では少子化というのは、実はこういった働き方、暮らし方のゆがみというものがもたらした現象なのではないか、その帰結だったんではないだろうか。だからその問題を解いていくためには、実はこのワーク・ライフ・バランスそのものの議論を始めなければいけないだろうということで「働き方」「暮らし方」双方について見直していくという視点をそこで掲げているわけであります。
 2ページ目ですが、働き方につきましては、最初にありますように、中間報告とりまとめ当時はまだ正社員の雇用がちょっと見えなかった時代でありますが、正社員採用にだんだん戻ってまいりました。そういう中において、働き方としては、正社員、非正社員それぞれの選択肢としてあり得るわけですが、バランスの取れた働き方をつくっていくということと、そしてそれが労使双方にとって最善の働き方になっていくような視点がないといけない。その観点からいくと、今の現状に長時間労働などのいろいろな問題があるということが書いてあります。
 3つ目のところに、こういった中で、よく問題となりますのは、非正社員としてのパートタイム、契約社員、派遣社員の方々の問題も重要な問題でありますが、実は正社員そのもののワークスタイル自体も見直していくという視点がないといけないので、別にこれは非正社員とかだけの問題ではなく、すべての働く人の働き方を変えていく問題であります。特にそういうことになりますと、労働時間の在り方という問題の辺りが議論になってくる。
 それから、ワーク・ライフ・バランスというものは、どういう視点で考えるかというと、全く企業にとって無関係なのではなく、むしろ企業の戦略の中に位置づけられる。これは、先ほどのプレゼンテーションの中にお話のあったとおりであると思います。
 3ページ目でございますが、その中の働き方の問題につきまして3つほど出ております。 1つは、多様な働き方を実現できるような労働市場の整備をしなければならないということで、これは当時の言葉では「やり直し」と書いてありますけれども、今の政府で推進されているような、いろんな形でのセーフティーネット、あるいはサポート体制を前提にしつつ、労働市場の整備を図っていくということです。
 2つ目に、こういう働き方がいろいろ多様に出てまいりますと、中には不安定な働き方も出てまいります。あるいは平等でないといいますか、均等でないということもあったりするわけであります。そういう待遇面の問題も含めて、安定的な働き方にしていくような努力は必要だということで、正社員、パートの均衡問題もありますけれども、そういうことも含めて、均衡処遇という問題がある。
 あるいは人事評価も含めた人事制度等の公正な取扱いの問題、職場のコミュニケーションの問題といったことも含めて、働き方に対しての従業員の不満が生じないようにしていく。これはひとつ押さえておかなければいけないだろうと思います。
 もう一つは、時間軸でございまして「キャリア・デザイン」と書いてありますが、これはその時点時点でなく、あるときは働かなければいけないときもあると思いますが、そういう形で定年までいたら必ず倒れてしまう。そういった流れの中において、時間軸の中において、キャリアというのは考えていかなければいけない。
 したがって、ワーク・ライフ・バランスもそういった視点でとらえていく必要がある。とりわけ、女性の方に対しましては、そういった問題というのは切実な問題であるということがありますが、今や、もう男性も含めて、家庭、あるいは地域生活も含めたワーク・ライフ・バランスの視点を持って進むべきだということであります。
 4ページ目でございますが、ワーク・ライフ・バランスの視点では、これを進めるに当たりまして、総合的な視点が必要であるということであります。
 ただいま申し上げたようなことで、これは少し公共政策の観点でありますが、労働政策で見ても、いろいろな分野にまたがっております。それがそれぞれ、ワーク・ライフ・バランスという視点で一本になって整合的にとられているかというと、必ずしもまだまだ十分でないところもある。そういった意味での整合性が必要であります。
 それから、ワーク・ライフ・バランスは働くことだけではなくて、生活面の問題もありますので、両者併せて議論していかないといけない。そういった意味で、これは政府の施策すべてが関わってくる問題ではなかろうかといったことが、まず第一であります。
 2番目にありますのは、それぞれ視点という問題です。これは、産業の立場、企業の立場、あるいは個人の立場、社会全体としての立場、それぞれの見方というものです。これもやはり総合性が必要だろうと思います。それぞれにとっての意味がある。先ほどの論議の中にもありましたが、企業にとってもやはり意味がある、あるいは個人にとっては勿論でありますが、社会全体としても意義があるという形で進められなければならないので、そういう観点から進めるべきではなかろうか。
 そういったような意味で、仕事と暮らしの両面が充実するような施策を総合的に進めていく。こういうふうに考えますと、4ページの一番下にありますが、各省庁の政策がばらばらにならないようにしていくことが重要である。産業・企業、個人、社会の取組というものが1つになってとらえていく。理想論かもしれませんが、そういったような観点を考えなければならないだろうと結論づけております。
 その具体的提案が5ページ目でして、ワーク・ライフ・バランス対策推進基本法なるものをつくって、そういったものを実現したらいかがかということです。
 基本法の内容は省略させていただきますけれども、その容態は5ページの箱の中に書いてます。
 例えば労働環境の整備を図っていくこと。税制・社会保障に関すること。保育施設やサービスの充実などの子育て支援策の問題。先ほどのワークプレイスの問題でもございますが、自宅で働くような方々の問題。ワーク・ライフ・バランスをサポートしていく産業というものも、やはり成り立っていかないといけないだろうという、産業振興の問題。
 キャリア設計ということになりますと、これは生涯にわたっていく。当然にこれは生涯学習といった問題との兼ね合いも出てきます。あるいはキャリア教育という問題もあるのかもしれません。そういったような意味をした学習、文教政策との関係。
 いろいろ生涯にわたって、こういうワーク・ライフ・バランスを含めたキャリアを実現していくためには、リスクという問題があります。それに備える対応ということでの財産づくり、あるいは老後生活という最大のリスクがあります。そういったものに対しての準備という問題。
 そして、地域レベル、あるいは国全体もそうかもしれませんが、行政サービス、いろいろなサービスがこういったワーク・ライフ・バランスに対して障害になっている点はないんだろうか、あるいは活動を更に広げていくという意味で、ボランティアとか、そういう社会活動の参加環境というのは、もっともっと充実されるべきなのか。
 そして、最後にありますけれども、一番大事なことは、こういうのを支える前提として、健康づくりということで、ワーク・ライフ・バランスもどちらかといいますと、今、そういう健康問題を結構ベースにして議論が出ているところもあります。そういうように、挙げてしまいますとすべての政策が入ってしまうわけですが、そういったものをワーク・ライフ・バランスの視点の下に総合的に進めるような体制が必要でなかろうかということで、こんな提案をしたわけであります。
 かなり総花的になってしまっておりますけれども、要は余り一つひとつの政策がみな立派であっても、それが全体として矛盾を生ずるということがあり得る。そういったことに対して、総合的に取組まなければ解決は得られないというのがこの結論です。
 最初のレジュメの方に戻っていただきたいと思います。
 簡単に整理をさせていただきたいと思いますが、始めの2つ目のところはよろしいかと思っておりますが、少子化の中での今の働き方の偏りの問題があるということ。そして、今後においては、やはり男女共同参画が大きな課題だと思いますが、そういうものを前提としつつ、多様な働き方ができる労働市場ができないといけない。
 そして、そのためには、男性が働き、女性が家事、育児というような、典型的な分業スタイルという労働モデルから脱却していかなければいけない。実は、このモデルというのが、戦後、長く日本においてはいろんなところに染みわたっていて、これを前提として企業が作られ、企業の制度も作られ、あるいは社会の制度も作られている面があります。そういった意味において、ここ自体が変わってきているという認識を持つことが大事だろうと思います。
 そういったような新しい従業員像という考え方の下で、人事管理改革は企業においても必要ですし、個人も先ほど言いました会社人間というばかりではなく、もっと生涯を展望した自分に望ましいキャリアデザインを考える時代になったんだ。そして、こういったものについて、社会的な制度やサービスについても、こうしたいわゆる伝統的な分業的なモデルから成り立っている要素があったとすれば、そういった点を見直していくべきではなかろうかということです。
 その結果、各領域が一体となって取組むようなことが必要になっているということが総論的なことです。
 その上で、具体的な方向として、企業、労働市場のところにおきましては、細かく6点ほど書いております。これはあえて申し上げることもございませんが、もう既に先ほどの2社のプレゼンの中にも出ておりましたが、やはり集団の一律的な管理でなく、だんだんと個人事情に配慮しての個別管理が重要になってまいりますので、そういった面での処遇等の問題がある。
 とりわけ、退職金や福利厚生というのも、結構家族モデルをどう考えるのかといったような従業員像との関わりもありますし、だんだん変わらざるを得なくなってきている。
 2点目に、やはりこれからは個人のキャリア。会社も人材を育てますけれども、個人自身がどう自分のキャリアを伸ばしていくか。そういう個人主導型で考えていく時代になっていること。
 そして3つ目に、働き方の選択肢についての、これは均衡ある処遇は勿論ですが、必要に応じ、それが安心して転換できるという形の整備が必要だということ。
 それから、特に両立の問題につきましては、育児、介護との両立。これは、やはりとりわけ労働時間の問題。育児休業は勿論でございますが、労働時間の管理はどのようにうまく個人の事情と折り合いが付けられるかといった点です。
 最後に、もう一つは、やはり労働力の活用ということで、女性あるいは定年後の高齢者といったところが働けるようにしていくこと。それから、若い世代に対してもこういったようなワーク・ライフ・バランス的視点を持って取組んでいけるようにすること。
 こんなことが労働面での具体的な課題であるということで、既にこういうのは関係施策がかなり充実しているところではないかと思いますが、先ほど申し上げた総合的視点の中でこういうものを進めていくべきではなかろうかということです。
 その次に、それを具体化していく上で、是非、こういった基本法的なものの考え方は検討できないだろうかということがあります。括弧の中に書いておりますが、では、こういったようなことをどういう段階で実行していくのか。生活ということになりますと、限りなく地域のレベルに降り立って考えないといけない問題もあります。これは、やはり個人に近い場面であるということ。それから、地域毎の事情に応じていろんな問題があるということも考えますと、この地域のレベルにおいて、今、申し上げた労働の施策、あるいは関係の施策のようなものが総合的に実施できるような体制というのは必要であります
 そういうことを考えますと、ここでは自治体の役割というものが非常に大きいのではないかと思うわけで、あえてそういった役割や権限をもう少し強化していく中で、解決の方向が見出せないだろうかというのが、抽象的でありますが書いてます。
 かつて、地方事務官制度というのがあって、職業安定行政につきましては、都道府県の中に入っていた時期があるわけです。それは、その制度自体についてのいろいろ問題もあり、廃止されたわけでありますが、今、いろんな自治体などを回ってみますと、それ以降、やはり都道府県の行政、あるいは市町村の行政といった地域レベル行政から雇用対策、あるいは労働施策という観点がどうも薄らいでしまったという感じがあります。 勿論、国の機関があるわけで、それと連携をとっていけばいいわけでありますが、どうもやはり国の機関と地方自治体ということの連携というのは、口ではいろいろありますけれども、なかなか難しい面もあります。政策の整合性というのも、なかなか国の政策ですと、全国一律的な性格も持っておりますので、なかなか地域の実情に尺度を合わせるのは難しい面もあります。
 それは、両者それぞれの事情、理由があるわけですが、そこをもう少し両者を一体となって取り組めるような体制ができないだろうかというのは、結構自治体辺りからも率直な声が出ているところではないかと思っております。
 そういった意味で、こういった新しい地域レベルでの取組の体制をどうやって作っていくのか。これが1点あります。
 2点目には、労働時間の問題です。
 これは、もう既にいろんなことで取り組まれていると思っておりますが、私はただここでは、先ほどありました生産性との関係をきっちり押さえておかないと、単に時間を短縮すればいい、弾力化すればいいというのは、かえって企業現場を混乱させてしまうと思ってます。
 だから必要ないというわけではないわけで、そういったものも一緒に併せて検討し、是非、この弾力的な時間制度を労使双方が納得できるような形でつくり上げていくということではないかと思ってます。
 どちらかというと、労働時間というのは事業主、使用者サイドで決めていくものという形で、言わばこれは一つの規制、規律であったわけです。
 しかし、それをだんだん自己設計型に変えていこうというのが、今の1つの流れでありますが、なかなかその壁というのは結構遠いわけであります。そういった意味では、まだまだ労働時間の管理の在り方、あるいは勤務制度の在り方というものも、問題点もありますが、いろいろ工夫の余地があるんだろうと思いますが、そういうものも詰めながら、少しずつ選択肢を増やしていくことが大事だろうと思います。
 そして、最後にありますのは、こういったワーク・ライフ・バランスを実現していく上で、いろんな場面において、やはり資金的な問題というのが生じてまいります。現実に、育児休業の場合には、雇用保険制度の中において、育児休業に対しての、これはある意味での給付という形で保障がされるわけであります。
 しかし、そういった育児の問題だけではなくて、生涯を通じて、ワーク・ライフ・バランスでいろいろ生活上との兼ね合いにおいて、所得についてやはり影響を受ける場合というのもあり得るわけです。
 例えば、学校に行くといったときには、教育訓練給付というのがありますけれども、では1年間学校にいたときはどうするんだとか、いろんな問題もあります。そういった意味で、現行の雇用保険制度がキャリア、あるいはワーク・ライフ・バランスの面でサポートしていることは事実ですけれども、もう少し機能の見直しをして、総合的なキャリア保険という形にもっと広げることはできないだろうかと、勝手ながら書かせていただいております。
 いずれにせよ、そういったサポートのためのやや公的な仕組みが必要であるということもあると思いますが、同時に、やはり労働施策ですと、財産形成とか退職金とかあります。こういったようなものも含めて、自己責任において確保していくという体制をつくっていくことも大事でありまして、こういう資金面のサポート体制というところもやはり考えていきませんと、絵に描いたもちになりかねないんではなかろうかということでます。
 まだ、十分練れていない提案もありますが、一応、申し上げたいのは以上です。

○樋口主査
 ありがとうございました。ワーク・ライフ・バランスの施策立案のみならず、実行性のある運用方法について具体的にどう取り組むべきか、というような御提言をいただきました。
 それでは、御質問、御意見ございましたら、どなたからでもどうぞ御自由にお願いします。

○小杉委員
 とても賛同するところが非常に多い御提案だと思います。2つだけ聞きたいことがあります。
 1つは、地域パネルと言ったときに、今お話しの都道府県のような雰囲気でありましたが、そのレベルなのでしょうか、それとも市町村なんでしょうか。
 それから、キャリア保険という考え方は、とてもすばらしいと思いますが、これをもう少し詳しくイメージがわくようにお話しいただければと思います。お願いします。

○樋口主査
 北浦委員、お願いします。

○北浦委員
 地域レベルというのは都道府県なのか市町村なのか大変重要な問題だと思います。今、余り賛同を得られていませんが道州制という議論もあるわけで、どういうレベルで考えるのかはこれからだと思いますが、現状の体制の中で考えれば、やはり都道府県を中心に、それに市町村という考え方ではないかと思います。
 市町村も今、広域化してきて、合併してきておりますが、やはりまだ範囲が狭い部分もありますので、都道府県を中心に市町村というような考え方ではないかと思います。
 それから、もう一点のキャリア保険は、思いつき程度のことですが、キャリアということを生涯キャリアということで考えた場合に、入口の段階から最後の段階まで、今は、キャリアの中断について、例えば、育児休業という事態についての補てんを行っているわけです。あるいはキャリアの、これは中断という意味ですが、やはりのその失業というのも1つの転機になるのかもしれませんが、そのようなときには失業ということの給付があるわけです。そして、高齢で引退すれば、それは一時金で払うという形で引退をしていく形になっていく。
 そうすると、今申し上げた場面についてはあるんですが、実それだけではない、ワーク・ライフ・バランスを考えていきますと、いろいろな事案が出てくる。今度、学習生活との兼ね合いで、さっき申し上げた年間で休む、教育訓練給付というのはあるかもしれないけれども、では、1年間会社はそれを無給で認めた場合に、その間の所得どうしたらいいでしょうか。そういう場合にも、給付があり得るのかどうかというようなことも、思いつきでありますが、1つだろうと思います。
 あるいは地域のボランティアへの参加のようなもの、これも会社としては、休暇は与えるけれども無給である。しかし、これは所得についてある程度認められるのか、こういったようなものが、公的保険でなじむのかどうかわかりませんけれども、今申し上げたワーク・ライフ・バランスを実現していく上でいろいろさまざまな言わば職業キャリアにおいて中断をしたり、一時的に離脱をしていくという場面においての支援があり得るのではないか。
 それから、そもそもその職業キャリアそのものを形成していくのに、自分自身で学んでいくという姿勢が大事だろうと思いますし、自分で設計をしていく。そういったところに対しての支援、それは今の教育訓練給付があるわけでありますが、そういったような教育面での支援というのは非常に大きいのだろうと思います。それは、現状でもあり得るわけですが、もっともっとウエイトを高める必要があるのかなという感じはいたします。
 そして、一番盲点になりますのは、入口などですね。入口は働いてないわけですから、現行の雇用保険という考えですと、働いてからの世界になってしまいますので、なろうとするという場面で読み切れるのは極めて限定的ですので、そういった労働者に入口の段階の、例えば、学生とかあるいは無業者、フリーターとかいうような方々で、保険に入っていない方がそういう方に参画するときへの支援ということ、そういったようなものも入り得るのではないかと思ってます。
 このように、今のいわゆる生涯キャリアに関してのいろいろな問題、ワーク・ライフ・バランスで、今、これから考えていかなければいけないさまざまなものとのバランスをさせるための準備立てということで考えられないかと、イメージしているものであります。

○小杉委員
 個人のキャリアを全うすることを国が応援するという、仕組みということはよくわかったんですけれども、財源とかはどうすればいいんでしょうか。

○北浦委員
 要は今までは企業が主体になって、個人の能力開発といったものをサポートしてきた。ただ、正社員も含めてどうも手薄になっているのではないかという視点もありますし、非正社員であるとか、あるいはまだ無業の人であるとか、その対象にならないような人たちに対する支援方法というのは幾つかあるのかなと思います。今申し上げたのは保険という方法でしたけれども、例えば、職業奨学金制度とかというようなこともあるかもしれませんし、例えば、税金の面で繰越減税みたいなものを、その時点では働いていないため、所得がないわけですから、控除額を幾ら認めても、もともと税金を払っていないわけですから意味がないわけで、それを今度働いていたら適用することができるというような仕組みというのも、諸外国で使われるようになってきているので、そういうものを考えたらどうかということもあるのではないかというふうに思います。それをここで議論していただけたらと思います。

○小杉委員
 わかりました。

○樋口主査
 長谷川委員、どうぞ。

○長谷川委員
 改めてお話を伺っていまして、労働をどうするかということに関しても、こんなにいっぱい問題があるんだなと改めて感心いたしました。しかし、もう一度やはり私はこの分科会の趣旨に立ちかえりたいと存じます。一番最初の分科会において、金子政策統括官からお話をいただいたように少子化という問題は日本にとって非常に重大な問題で、これについて働き方という視点から何か対策が打ち出せないかということが、私は、この会議の一番大事な目標だろうと思っております。このことは、第1回の会議のときにも確認させていただいたんですが、その観点からすると、改めて北浦委員にもう一度御質問したいというところがあります。
 こういうワーク・ライフ・バランスの実現ということが、少子化対策にとってどういう役割を持つのか、先ほどは大きなマクロの視点からこっちがよく行けば向こうもよく行くよという楽観的なお話を伺ったんですが、そこが具体的にどういうふうにつながるのかお伺いしたと思います。それをお伺いするに当たって、私がここで一番大きい問題だと思いますのは、この「基本的な認識」の第3でおっしゃっていらっしゃる・・・。

○樋口主査
 何ページですか。

○長谷川委員
 北浦委員のレジュメです。「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」、最初の「基本的な認識」という、ここで男性の世帯主が働き、女性が家事や育児を分担するといった典型的な分業スタイルを前提とした労働モデルからの脱却が不可欠という基本認識をおっしゃっていらっしゃいます。これは、お役所の作文としては、いたし方のないところがあろうかと存じます。つまり、もう既に出来上がっている雇用均等法、男女共同参画社会基本法といったものをいわばベースにした上で話をしなければいけないということで、こういう言い方が出てくるのは理解できます。しかし、少子化対策という点から考えるときには、これはまずいと思います。私はこの分科会というのは、第1回のときに申し上げたように、一切の先入観を排して、ゼロから、どういう問題点をどう解決していったら少子化対策に役立つのか、それをフリーハンドで考えることが大事だと思います。それを、はなから、こういう枠をはめてしまうと、もう何というか片足、片手縛られたままで山登りをしなければならないというふうなことになりはしないか・・・。結論としてこれを崩すことが大事という結論に至るならいいんですが、最初にこれを基本的な認識として掲げてしまうことが果たして少子化対策を本当に考える上で有効とお考えなのかどうか、そこのところを是非お伺いしたいと思います。

○木村委員
 併せてよろしいですか。今の御発表の中で、ワーク・ライフ・バランスを政府全体の取組にというところが題名になっていまして、樋口主査もワーク・ライフ・バランス研究会の担当をやらされているので、御質問しにくいところもありますけれども、この目的は、ワーク・ライフ・バランスによって日本の競争力を上げたいのか、単に少子化対策なのか、そこがちょっと見えないような気がします。
 我々企業の責任の中でワーク・ライフ・バランスが必要だと思ってやっています。しかし、当然のことながら企業の競争力が落ちてしまってはだめなわけで、それは自己責任、企業の責任の中で、企業の労使の責任の中で当然取組をしていますが、国がこれをやるときに、目的は何だということが、ちょっとはっきりしていない。そこのところがまず素直に入っていけない所です。もともとワーク・ライフ・バランスというのはアメリカの企業から始まっているところがあって、これはあくまでもアメリカの企業の中のブームであって、国の政策でも何でもないわけです。だから、その辺り、日本があえてこれを国の政策として持ってこようとしているところが、どんな目的なのかなということを御説明いただけたらと思います。

○樋口主査
 いかがでしょうか。

○北浦委員
 まず、ワーク・ライフ・バランスが少子化に果たしてどれだけの効用を持つのかというところをもう少し明確にというような御指摘だったと思います。それは先ほど来の議論からも出ていると思いますが、やはり今、少子化になっている原因を聞いてみると、出生率が低い、産まれない、産みにくい、そういう安心して子どもを産み育てることのできない環境があるという認識があって、それの原因というものの中に、働くこと、働き方との兼ね合いが取れない、そういう難しさというのが一つ指摘されているわけです。そういう意味において、その働き方を変えていくということは当然にひとつの障害となるものを取ることで少子化の原因である安心して産み育てるというようなところによい影響を与えることになるだろうというのがまず基本線にあるのだろうと思います。
 それから、もう一つ、ワーク・ライフ・バランスそのものについて、それは今も、少子化のための政策でもありますが、少子化になった帰結としてワーク・ライフ・バランスも出てきたところもあります。両方あります。それはなぜかというと、限られた人間で頑張っていかなければいけないときには、すべての人たちが皆参加をしていく社会をつくっていかなければいけないですし、働く社会をつくっていかなければいけない。そういう社会になっていくためには、当然にいろいろな個人の事情を持っている方々が、それと折り合いをつける方でないと働き続けることができない。そういう意味合いにおいても、このワーク・ライフ・バランスというのは、逆に少子化の帰結としても出てきている。そういうようなところがあると思います。
 したがって、ワーク・ライフ・バランスによって少子化を解決するというのは、ほかのいろいろな、勿論それだけですべてができるわけではありません。ワーク・ライフ・バランスという施策をどこまで定義するか、という問題があるわけです。そのワーク・ライフ・バランスの施策というのを非常に広くとらえるのか、あるいは働き方だけの問題を考えるか、そこの違いなんですが、働き方だけの問題だけですべてを解決できるわけではないですが、今の少子化の問題を解決する施策の1つに働き方の問題というのは非常に大きなウェートを持つということで、それを申し上げたわけであります。
 それから、2点目のところで申し上げますと、分業のモデルの脱却と申し上げましたけれども、別にそれはそれをすべて否定しているわけではないわけです。そのモデルだけでなくて、いろんな家族観ということについて言えば、いろんな考え方はあり得るわけです。
 ですから、おっしゃったように、やった結果が壊れてしまうという問題かもしれませんけれども、いわば、1つのモデルだけではなくて、いろんな考え方のモデルというのはもっと多様にしていかなければいけないというのがここの考え方で、脱却というのは1つのモデルだけに凝り固まっている現状を少し変えていったらいいんではないかといったような意味で申し上げたわけです。
 ですから、1つを完全に全否定してということではありません。それから、国全体で取組む目的というのは一体あるのかということですが、これはいろいろ御議論もあると思いますけれども、ワーク・ライフ・バランスを確かにアメリカでは企業の中での施策としてとらえられてきたわけであります。日本で考えていくワーク・ライフ・バランスというのは、ここで言うところは、またちょっと違った意味で使われている点もあると思います。
 それは、企業の中において、むしろ経営の施策として出てきたものというより、ここにありますように、いわば働く側の立場からの要望でもあり、経営側の要望でもあり、そして国全体としてもこういう現状の働き方と暮らし方のゆがみのあるような状態の中では、国全体としての今後の安定的な成長というのは望みにくい。そういった流れの中において出てきたもので、三者三様に意義が出てきているのが、日本流のワーク・ライフ・バランスの考え方なんだろうと思います。
 国全体にとってみれば、個々の企業であり、あるいは企業の中の従業員であり、その従業員が生き生きと働ける活力を見出すということがあって、その総和として国全体の活力が生まれるわけですから、当然にこの国全体の雇用が別にあるわけではなくて、そこの目的は企業なり、あるいは従業員なりがまさに生き生きと活力を持って働けるというところが1つのポイントだと思います。
 働くだけではなく、それは暮らし方とのバランスを持つというのがワーク・ライフ・バランスの主題であるわけですが、決してマクロで何とかというのではなくて、ミクロのそういったものの積み重ねが国全体としての効用を持つと思います。そこのところの焦点の違いはないだろうと思います。

○樋口主査
 木村委員の御質問には、私も少し答えないといけない責任があると思います。
 親委員会の方で、この分科会を設置するということを決めたわけでありますが、そこで議論になってきたのはどういうことかというと、やはり少子化という問題を考える上で、個々人の選択、あるいは企業の選択したものが、ときには制度によって規定されていまして、そこにゆがみといったものが今、表れているんではないかという意見が、特に経営側の方からも出ていたということで、是非、このワーク・ライフ・バランスについて検討してほしいということであったと思うんです。
 木村委員がおっしゃるように、それをどういうふうに推進するかというのは、個々の労使の問題という形であるわけですが、ただ、選択する上で、例えばそれを取り巻く社会制度とか、あるいは法制度といったものが恐らくそれを阻害しているということがあったとするならば、そこを見直していく必要があるのではないか。
 北浦委員が今日提示されたのも、個別企業の中の話と同時に社会の話という形で問題を提起されたというのは、そういったところにあったのではないかなと思っておりまして、ワーク・ライフ・バランスを取らないとペナルティーを科するという話ではないということは、そのとおりだと思います。

○長谷川委員
 今、北浦委員がお答えいただいたところについて、また改めて御質問したいのですが、その前に私も木村委員と同じ感想を持っていまして、しきりにここでワーク・ライフ・バランスが語られるときに、柔軟な、多様なという言葉が語られているにもかかわらず、それを国家が基本法として出すというのは、どうしてもどこかで矛盾が出てくるのではなかろうか。企業に何かペナルティーを科すとは言わないまでも、何か押し付けられることになるのではなかろうかと。私が企業の経営者だったら、そういう危惧の念を持つなと思いながら私も聞いておりました。

○樋口主査
 済みません。もう少し具体的に言っていただけますか。

○長谷川委員
 つまり、先ほどみたとおりワーク・ライフ・バランスというものは人によって非常にバラエティーがあるでしょう。その多様性をそのまま認めましょうといったら、これは基本法にならないですね。皆さんありのまま、今のとおりにどうぞという、そんな基本法はありません。
 ここに出ている、今おっしゃったさまざまなゆがみというもの、例えば労働の二極化という問題、それはそれとして、そういう問題として解決していけばいいのであって、それにワーク・ライフ・バランスという大きなスローガンの枠をはめることに、どんなメリットがあるんだろう。それに関しては、私もまだ十分納得できているとは言えないという感じがいたします。
 その中で、今、北浦委員が御説明された、働き方というところに、何か問題があって、そして少子化という現象が起こっているんではなかろうかと、私は大筋として言えるような気がします。
 例えば前回見せていただいた統計の中にも、若い男性が正社員になることができていないと、非常に結婚率が低い。日本の場合、結婚していないということは、即子どもができないということにもなるわけで、今年、ほんのわずかに出生率が上がったのも、どうやら失業率が改善したことと関係があるらしいということを考えてみても、働いて給料が確保されるかどうかという問題が関わっているということは当たっているところがあるのではないかと思います。
 しかし、それをワーク・ライフ・バランスという形で解決できるのかどうか。今も出てきたとおり、ワーク・ライフ・バランスということを、一人ひとりの人生の目的に従って、様々あっていいですよというメッセージとして受けるとしたら、むしろそれは、ニートの生き方も、それぞれの生き方として認めましょうということになります。
 もう一つ、かつての労働モデルからの脱却が必要だという主張も、あらためて問題にしたい。先ほども、これは全否定ではないとおっしゃいました。確かに、今このモデルが現実に崩れていることは確かです。ただし、それをどう評価するのか。むしろそのモデルが崩れていることと少子化の進展ということと関係があるのか。それとも崩れ方が不十分だから少子化になっているのか。そこのところは本当に微妙な細かい客観的な議論が必要なところです。そこを、素通りして片づけてしまったんでは、何か分科会を開く意味がないような気がするので、そこをもっと我々は詰めて議論していかなければいけないのではないかと思っています。

○北浦委員
 長谷川委員の御意見、誠にごもっともだと思います。ただ、1点目に関していいますと、基本法という言い方がいいのかどうかわからないですが、多分関係施策が働くことの改革だけではなくて、周囲のいろんな他の施策も同時にやっていかなければ、本当の解決は得られないだろうと考えています。ここを否定される方は、恐らくいないだろうと思います。
 しかし、施策同士の矛盾が生じることもあるのが現状である。あるいは何かは十分やっているんだけれども、何かは十分でない、足りない。政策自体のゆがみというと、大変語弊があって失礼になるかもしれませんが、濃い、薄いという関係がある中を、もう少しならしをして整える体制をつくりましょうということが、この法案の趣旨であって、何か一つの金科玉条的な、例えば教育基本法のようなテーゼをつくるというような意味合いがあるわけではない。なぜならば、ワーク・ライフ・バランスの定義が非常に多義的であり、また個人の考え方に根差すような概念でもあると思いますし、価値観に根差すところもありますで、私はそこはこうあるべしと断じてやるものではないと考えますので、そういった意味での通常言われている基本法とはちょっと違うと思います。
 そういった意味で、こういう名づけ方が適切かどうかわかりませんが、ここはいわば基盤整備をするための法案の整備だという考え方だということです。これが1点目です。
 2点目は、おっしゃったとおり、そこは私もわからないところで、むしろいろいろお教えを請いたいところでありますが、両者微妙なところにあるというのは、全くごもっともだろうと思ってます。ただ、現実を見ると崩れていることは事実だとおっしゃっているわけで、その崩れていることの流れというのが、エビデンスとして企業の人事制度の中に表れてきている。そういうものを前提としてどんどん制度が変わってきている。
 それはなぜならば、従業員の声が絶えず反映していかなければいけないわけですので、そういう流れがある。そういう流れというものは、やはりひとつ評価していかなければいけないだろうということがあります。それをかつてのモデルだけにこだわっていたのであれば、その流れを否定してしまうことになるだろうと。そのような意味から、少しストレスを置いたような表現になっているんですが、おっしゃったように、私も根源的なところを、家族観であるとか、そういったような問題はまた別の考え方もあると思いますので、そこまでは言及したつもりはありません。

○長谷川委員
 わかりました。

○樋口主査
 木村委員、どうぞ。

○木村委員
 先ほどの樋口主査の御回答で、企業の取組については尊重した上で、あくまでそれを支援するという、それがすべてであれば、非常にありがたい話で、そうあって欲しいという気がします。この社会経済生産性本部のレポートでは最初から、まず硬直的な働き方を変えなければいけないというところから始まっています。次に3番目のところでも、産業、企業、個人、社会の取組を総合的な視点から変えていくことが必要だと書かれているわけです。こう書かれた上で基本法だと言われると、本当に企業の取組を支援するということなんですかと念を押したくなるような気持ちがありますので、一言申し上げます。

○樋口主査
 御意見としてですね。

○北浦委員
 だからこそ、私はレジュメの方でそこのところをもう少しふくらまして書いたわけで、おっしゃったように、このストーリーは1年前でございますので、やや1つの考え方を強調したようなところはあるかと思いますので、そういう受け止めがあるということは、私どももよく認識したいと思います。

○樋口主査
 多分、長谷川委員がおっしゃった第1点目ですね。若者の雇用不安とか、そういったものが少子化に少なからず影響しているだろうということは、皆さん共通認識で持っている。では、それをどう解決したらいいか。その考え方が、何かいいアイデアがあったら、むしろ長谷川委員にお教えいただきたいと思いますが、どうなんでしょうか。

○長谷川委員
 それは宿題として、次回までに一生懸命考えてまいります。もしかすると大学教育が元凶だ、という具合に、矛先が自分に回ってくることもあり得るかというふうにも思います。宿題として頂戴いたします。

○樋口主査
 山口委員、どうぞ。

○山口委員
 北浦委員から御説明いただきましたワーク・ライフ・バランスの社会経済生産性本部での取組というのは、御報告を伺った中では、ここの分科会でこれから議論しなければいけないバックグランドが、かなり共有化されているというふうに思っています。
 基本法がどうするというのは、この場での議論ではないと思いますし、やはり少子化だけではなくて、いろいろ事象面で出てきている、犯罪が多くなったとか、いろんな部分で働き方と暮らし方のゆがみが影響しているという中で、大きく関係している働き方というものを見直そうというのが、この分科会の在り方でありまして、その背景としては大変共有できる部分です。
 そういう中では、先ほどの前段で木村委員と横山委員から御報告いただきました、大変貴重な、それぞれの企業の御報告というところでは、もう既にできているところというか、個別企業で見ると、もう働き方の改革に取り組んでできていらっしゃるところがある。そういったことで事例報告があったと思うんですが、やはりここの場では、多くがそれができていないわけです。だからこそゆがんでいるというところを、まず全体で共有化して、先ほど武石委員もおっしゃっていましたけれども、大企業のモデルだけでは、多くの9割が中小企業ということでいうと、やはり私たちがこれから取り組まなければいけないモデルとしては、そこで具体的にどのようなことが取り組めるのかということでもありましょうし、それから北浦委員の報告にありました地域、都市部と地方であるとか、都市部でもいろいろパターンがあると思いますけれども、そういったところに具体的に、要は働き方の改革というのはかなり具体的なテーマだと思いますので、そういうところに議論を向けていくというところでは、大変お三人の方の御報告は分科会としてもよかったと思いますし、それをつなげていきたいと思います。意見でも質問でもなく感想です。

○樋口主査
 藤木委員、どうぞ。

○藤木委員
 今お話にもありましたが、働く人の7割強が中小企業で勤めているというように聞いていますけれども、3割の先進事例はそのとおりだと思いますし、できるものならそういったものを取り入れていきたいというのは、どこの企業も思うところではあっても、できない事情があるということが重要なことです。この基本法をベースとか、あるいは考え方をベースにいろいろ議論を進めていくというのは、非常に有意義だと思いますし、そのことに関しては何ら議を挟む余地はないと思いますけれども、私が思うのに、ちょっと欠落していると思う点があります。それは中小企業の働き方の1つに、いわゆる事業主、会社と従業員の2者だけではなく3者があるということです。3者は、今日もたくさんいろんな方がお見えになっていますけれども、例えば私は印刷会社に勤めていますけれども、印刷会社というのは典型的な受注産業ですので、例えば納期の面とか、そういった面で非常に圧迫を受けるわけです。もうぎりぎりこの時期で納めてもらわないと困るということをクライアントはおっしゃるわけですので、何としてでもそれを納めたいと思うとすると、当然長時間労働、あるいは代替社員がいなければ、時間外労働が常時的にあるわけです。
 そういったことが、今でもあるのではないかと思いますけれども、それに対して、受皿がないということが中小企業の現状ですので、そういうことで言うと、やはり取引のバックボーンになっているもので、例えば下請代金法とか、そういったもので下請先を支えるようなものも世の中にあります。私どもは160人ほどの企業ですけれども、どちらかというと元請の方になってしまいます。元請になって、それより零細企業の下請先を保護しなさいということになってしまうという枠組みもあるということも、承知していただきたいと思います。
 私も今回の分科会に参加させていただくに当たって、割と中小企業白書というものを読ませていただいていますけれども、ちょうど私の属している企業でやっているのが、ちょうどM字カーブの底になっているところで、先程武石委員かほかの委員からもお話にもありましたけれども、いわゆる零細というと語弊があるかもしれませんけれども、小さい規模の家族的な企業では、どうにでもできるのです。何々さんがこういうことだからということであれば、休んでもらっていいよと、別に制度なんか整備してなくてもいいんではないかという話で展開していくわけですけれども、それが大企業だとそういうわけにはいかないわけですから、当然先ほどのお話のように、いろんな諸制度を設けて、だれにも公平にそれが利用できるようにということで展開されていく。その両極端の中間にいる我々のようなところというのは、大きくやろうと思えばすごく企業の負担が増えてきますし、小さくやろうとすれば公平でないという矛盾が出てきてしまいます。
 全体の中でいっても、恐らく100人を境目にするところの中小企業というのは結構な割合を占めていると思いますので、このワーク・ライフ・バランスの話をするのもいいと思いますけれども、別に否定しているわけではないですが、もしそこのところが抜け落ちてしまうと、かなり空洞化した議論をしていることになりはしないかということで、ちょっと危惧する部分がありますので、データ的なものが何もありませんので、またこの辺は是非御提供していただけるとありがたいと思います。是非そういった面で多面的な、中小企業という話でしたけれども、私からすると中堅から中企業といいますか、小企業よりちょっと大きいぐらいの、そこら辺が非常に弱いというか、何となくそんなようなことがあるんだということから、ワーク・ライフ・バランスを考えていただくことも必要ではないかと、ずっとお話を聞いていて思いました。

○樋口主査
 今の問題提起は、要は1社だけの中で考えてもできるものとできないものがあるということで、ほかとの連動、まさに働き方だけではなくて、仕事の発注の仕方から考えていく必要があるんではないかという問題提起だと受け止めてよろしいでしょうか。 ほかにいかがでしょうか。武石委員、もし何かあれば。

○武石委員
 今のお話、本当にそのとおりだと思います。もう一つあるとすると、今は取引先というお話だったんですが、消費者ということで、ライシュの『勝者の代償』という本がありますが、結局ニューエコノミーというのは、消費者にはすごくメリットをもたらしたけれども、働く人に非常に無理を強いた。その逆の話を今すると、今度はワーク・ライフ・バランスで働く人の多様性を認めていったときに、消費者としての生活をどう考えるかという辺りも、検討会で議論する少し大きな視点が必要かと、今のお話を聞きながら感じました。
 北浦委員の問題提起に対して、御質問させていただきたいのですが、最初のページにある「具体的な方向」のところですが、方向としてはそれぞれそのとおりだと思いますが、具体的ということになると結構いろんな難しい問題があるという気がしています。例えば最初のところに個別管理が重要になるとあって、確かに多様性を認めていくので個別管理になるのですが、例えば個別管理をしていこうとするときに、今の制度上でどういうところに課題があるかということを、少し具体的な課題があれば、そこを教えていただけるとありがたいです。
 これも重要なポイントだと思いますが、次の個人のキャリアをどのように形成していくかということも、もう少し具体的に方向性など、先ほどキャリアコンサルティングの重要性をお話しになったりしましたが、もう少し具体的なアイデアなりイメージがあれば教えていただきたいという質問です。

○樋口主査
 北浦委員、お願いします。

○北浦委員
 どれも重要な御指摘ですが、むしろ問題提起として書いたようなところもありますので、今、具体的にこの問題だけ絞って論議するだけのことは申し上げることはないですが、ただ一点申し上げたいのは、かなり言い方が問題提起ですので少し断定的な形で全部書いています。ですから、そういった意味では当然反論もあるでしょうし、いろいろ御批判もあるだろうと思います。
 例えば一律管理ではなくとはいっていますけれども、そんなことをやっていたら会社つぶれてしまうわけで、個別管理といっても、むしろ今度は集団的なものをどう形成するかということも考えなければいけないので、そのバランスの中で考えていくということは、1つ制約条件としてあり得る。これは1つあります。
 2つ目の個人のキャリアもそうであって、では会社は何もやらなくていいのかといったら、そんなことはないわけで、全然違う方向に育ってもらうとまた困ってしまうということもあるわけですから、これもやはり個人のベクトルと会社のベクトルとを合わせたところで、どう調和させるかという議論もあり得るわけです。それぞれ強調して書いておりますが、要するにそういった新しい流れとして出てくるものと、従来の流れのものとをどう調和させていくかというような、それぞれ問題も含んでいるというふうに、とりあえず申し上げておきたいと思います。
 そんな感じで、すべてやや言い切り的になっておりますけれども、問題提起というふうに受け止めていただければと思います。

○樋口主査
 ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、時間も来ておりますので、今回はこれまでにしたいと思います。本日は、長時間にわたり御議論いただきまして、誠にありがとうございました。
 次回は、事務局から前回説明がありましたように、内閣府において開催されております「キャリア教育等推進会議」で検討されております、キャリア教育推進プランの中間報告を行ってもらうことにしたいと思います。
 その後、委員の皆さんから、私も説明申し上げたいという方が何人もいらっしゃいますので、時間の制約もあるということで、それぞれの方々から、特に御報告なさってない方から、お一人5分程度御意見をいただければというふうに考えております。
 それも含めまして、その後事務局から厚生労働省所管のワーク・ライフ・バランスに関する現行施策の現状について、特に地域における取組等も含めまして説明をいただき、その後当分科会の論点の整理について、ワーク・ライフ・バランスの推進につきまして、必要な諸施策等について御議論いただきたいと考えております。
 最後に、事務局からということでありますが、日程についてはまた御相談させていただいて、確定し次第御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 何かございますか。よろしいですか。

○長谷川委員
 日程というのは、次回4月27日もまだ未定という形ですか。

○樋口主査
 もっと回数を多くしなければいけないのではないかということもありますので、もう一度整理させていただきたいと思います。

○長谷川委員
 それでは、4月27日というのは。

○山田労働政策担当参事官
 いずれにいたしましても、次回の開催日時につきましては、4月27日の10時からということでお願いをいたします。詳細につきましては、後日また皆様に御連絡することとしたいと存じます。今、主査からお話があったことも含めて、少し事務的に御相談させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○樋口主査
 それでは、本日は、どうもありがとうございました。