第3回「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議「働き方の改革分科会」議事要旨

平成19年4月27日(金)
10:00~12:00
共用第7会議室(5階)

議事次第

  • ○ 開会

【議事】

  • 1.キャリア教育等推進会議における検討状況についての報告(内閣府)
  • 2.ワーク・ライフ・バランス関連施策について(厚生労働省)
  • 3.分科会委員からの報告
  • 4.その他

○樋口主査
 定刻になりましたので、ただいまから「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議 第3回の「働き方の改革分科会」を開会いたします。お忙しいところ、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
それでは、早速ですが、議事に入っていきたいと思います。本日の議事は盛りだくさんございまして、役所からの報告とそれに続きましてこれまでご説明いただいていない委員からお話を伺うことになっております。まず議事次第にございます1と2を一括して説明を伺った後、質疑をお願いしたいと思っています。
それでは、キャリア教育等推進会議における検討状況につきまして、内閣府から10分程度、続きまして、ワーク・ライフ・バランス関連施策につきまして、厚生労働省から20分程度御報告をお願いいたします。まず、内閣府からお願いします。

○大塚内閣府参事官
 内閣府共生社会政策担当統括官の下で青少年育成の分野を担当しています大塚と申します。本日はよろしくどうぞお願いいたします。
お手元の資料1でございますが、「キャリア教育等の推進について」ということで、今、私どもが中心となりまして、関係省と連携をしながら推進方策を取りまとめているところでございます。本日はその状況と、我々の問題認識等について御説明をさせていただきたいと考えております。
まず資料の表紙をめくっていただきますと、「キャリア教育等の推進に向けて」ということで、簡単なポンチ絵をつけてございますが、このいわゆる背景ということで書きましたものでありまして、ところ、この経済構造の変化、雇用形態の多様化等々といったようなことは改めて御説明するまでもないことと思っております。
こういう中で、次の2つ目の「◆」になるわけですが、青少年が自らの個性や適正をしっかりと自覚をした上で主体的に進路を選択して、社会的自立を果たしていく必要性というものが、当然こういったようなものは従来からも必要であったわけですけれども、最近の様々な状況の変化の中で、こういう必要性がこれまで以上にクローズアップされてきたということだろうと考えております。
そういう中で、その部分に記載してある矢印になるわけですが、望ましい職業観・勤労観、さらには職業に関する様々な知識や技能といったようなものを身につけさせて、その上でしっかりとそれぞれの個性を理解していただき、主体的な進路を選択できるような能力・態度を育てる「キャリア教育等」、「等」と申しましたのは、例えば、職業教育ですとか、必ずしもキャリア教育という概念でおさまり切らないものがあるものですから、「等」とつけてございます。そういったものの取組が必要であるということが背景認識でございます。
「青少年育成推進本部」は総理が本部長となりまして全閣僚で構成される本部がございますが、その下に「キャリア教育等推進会議」を設置いたしました。これが昨年の12月でございます。構成員は下に書きましたように、内閣府の青少年育成担当の高市早苗特命担当大臣、そして文部科学省、厚生労働省、経済産業省の計4閣僚から成る会議という構成で推進方策の取りまとめを始めているわけでございます。
2枚目をめくっていただきますと、これまでの検討状況、今後の予定を簡潔に書いてございます。昨年末にこの閣僚級の会議が設置をされまして、年を明けてからは、主に主宰者である高市担当大臣が教育分野あるいは企業の方等々の有識者からいろいろ御意見を聞き、意見交換をし、併せて先ほど申し上げました4省庁の課長クラスから成る実務者レベルでの検討も行っています。そして、その取りまとめは佳境に入っておりまして、連休が明けて5月から6月にかけまして再度閣僚会議を開催し、方策を策定して、さらにその上の青少年育成推進本部に報告をするという流れになっております。
3ページ目をおめくりください。我々が今このキャリア教育の現状というものをどうとらえているかということでございますが、これまでも、例えば「若者自立挑戦プラン」ですとか、そういう施策体系が策定をされまして、キャリア教育もいろんな施策が実は既に打たれてきている状況にございます。ただ、現状を見てみるとどうかということで、ここに各学校段階ごとの主要なデータをつけてございますが、例えば、一番上の大学におけるインターンシップの実施状況を、とりあえず過去13年度から5年間分あらわしたものでございます。
 3つ折れ線グラフがございますが、一番上が学校数で見た場合の割合、2番目が学部数で見た場合、そして最後が、いわば個々の生徒、実際に自分は体験をしたという割合で見た場合はどうかということで並べてみたものでございます。ごらんのとおりインターンシップをやっている状況にあります。これはいわば単位認定のきちんとした科目として位置づけられているという意味でございますが、そうしてやっているところは、平成17年度では6割を超えております。ただ、それが学部単位でもう少しきめ細かく見ていくと、5割を切り、さらに実際に参加している学生数で見るとまだ1割にも満たないという状況になっておりまして、制度としてかなり導入されつつあるものの、個々の学生単位で見るとまだまだ参加率が低いことが課題であろうと考えております。
 それから、下の表は公立高校に限って同じくインターンシップのようなものがどうなっているかということで見ておりますが、こちらは緑の実線と点線、赤の実線と点線に分かれておりますけれども、緑の方がいわゆる職業関係の学科、これは農業、工業、商業、水産等々ございますが、そういった学科の割合です。そして赤の方が普通科の割合でございます。そして点線は、学科単位で見たときに導入している学科がどのくらいあるかということで、実線はまさしく個々の生徒で見たときに、それを実際経験した生徒の割合がどのくらいあるかということでございます。
 特徴としては2つございまして、職業関係学科に比べると普通科の割合はまだ低いということ。それから、それぞれの学科で見ても、学科として導入している割合と、実際にそれに参加している生徒の数との割合にまだまだ乖離があり、特に普通科において大きいということがいえようかと考えております。
 次のページでございますが、これは公立中学校でございます。若干それぞれ表をまとめる視点が違っておりますが、この中学校については、とにかく1日でもやっている学校数はどのくらいあるかといいますと、それが一番上の青のグラフでありまして、これは9割以上となっております。ところが3日以上、あるいは5日以上ということで統計をとってみますと、それが4割を切り、さらに1割強になるということでございます。ただ、1割強という5日というところでございますが、文部科学省の方で「キャリアスタートウイーク」ということで、5日以上の職場体験を推進しようということでちょうど取りかかったところでございまして、16~17、それでもこれだけ増えています。今これをさらに増やすべく文部科学省の方で努力をいただいている状況でございます。
 こういった状況がございまして、先ほど申しましたように、いろんな施策がとられている中で、まだまだ改善の余地があるのではないかということでございます。今申しましたように、学校段階でも濃淡がありますし、例えば中学校で5日間やってもその成果が高校でどう活かされているのか。さらに言えば、それが大学でどう発展していくのかといった学校段階を縦串で見た場合の体系化の問題があります。それから、中学校での5日間の経験といっても、結局は各地域で生徒の受入先を探していただくということになりますので、そういう各地域での学校と企業、さらには地元の方々との連携という各地域、地域の横の連携が重要になってまいります。
 それから、受け入れていただける企業のサイド、短期的に見ますと企業の利益に直結するものではありませんので、正直なかなか理解が得にくいといったようなところもあるようでございますが、そういう企業の理解を得て協力を促していくような施策は考えられないのだろうかといったようなこともあります。それから、先ほど横の連携ということを申し上げましたけれども、例えば学校、企業、地域の方々といっても、皆さんそれぞれ働いていらっしゃる場所があるわけですから、お互いに連携しましょうというだけではスムースにいかない面もございます。
 そういう中で、今、NPO等の方が中心になりまして、そういう間をとりもってつなぐ役割を果たしていただけるような、そういうコーディネーターという方がかなり地域で活躍を始められておりまして、そういう方をいかにして育成し、支援していくかといったことも課題として今浮かび上がっております。
 それから、学校サイドで見ますと、どうしても先生方お一人ひとりのある意味自覚とやる気に負うところが大きいわけですが、裏を返しますと、まだまだそういう個々の先生方の熱意ですとか、そういうところに頼っている部分がございます。そういうところがもう少しシステマチックになるように、研修等を通じまして、教員の先生方の資質向上といったようなことも課題であろうと思っております。
最後に、例えば高校の普通科ではどうしても取組が低いというのは、これはすぐ目の前に控えている大学受験というのがございますので、どうしても学科優先の気持ちが先生方にもありますし、生徒さんにもありますし、そして親御さんにもあるという中で、保護者の方々の理解といったようなものも必要であろうと考えております。学校、生徒、企業、保護者、地域それぞれ皆さん一体となって取り組んでいただくためには、個々の施策展開とキャリア教育に対する重要性といったようなものをもっと認識していただけるような意識啓発、国民運動的なそういう取組も併せて必要だろうと考えておりまして、大体そのようなことを現在念頭に置きながら、閣僚会議の下の実務者レベルの会議、そして有識者との意見交換を重ねながら取りまとめ方策の詰めの段階に現在入っているところでございます。
以上でございます。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは、続きまして、厚生労働省から説明をお願いいたします。

○山田労働政策担当参事官
 参事官の山田でございます。まず、資料2‐1でございますが、ページをあけていただきまして、先般4月6日に経済財政諮問会議の労働市場改革専門委員会の第1次報告が出されております。樋口主査におかれてもこの専門委員会のメンバーになられているということでございますが、ワーク・ライフ・バランスにかかわる様々な提言が行われております。上の枠囲みの下の方に、就業率あるいは労働時間の短縮にかかわる目標数値の設定等々が行われておりまして、これが4月6日の経済財政諮問会議で報告されたわけでございますが、そのときの総理発言が下の方の枠囲みにございます。「ワークバランスは大切であり、少子化対策等の観点からも重要なテーマであろうと思うので、安倍内閣としても本格的に取組たいと思う。『働き方を変える行動指針』について、政府部内で十分連携し、とりまとめることとしたい。」というような指示があったということでございます。
それから、資料2‐2でございますが、働き方にかかわることにつきまして「子ども・子育て応援プラン」の中でどのような数値目標が設定されており、現状どのような感じかということでございます。大判の紙を広げていただきますと、(4)のところに「仕事と生活の調和のとれた働き方の実現」という施策が掲げられております。長時間にわたる時間外労働の是正につきましては、現在の数値が平成16年度で週労働時間60時間以上の雇用者の割合は12.2%でございましたが、17年には11.7%、18年数字が書いてございませんが、10.8%ということになっております。「子ども・子育て応援プラン」の目標値のところに1割以上減少と書いてございますが、具体的には16年の12.2%が11.0%までこの5年間に減少させるということになっておりますので、18年の数字はこの数字を達成している状況になっています。
年次有給休暇の取得促進につきましては、平成16年度の46.6%が17年には47.1%で若干増えているという状況にあります。
それから、テレワークの普及促進につきましては、目標値が20%でございますが、現在テレワークの比率が10.4%という数字になってございます。
それから、資料2‐3でございます。時間が限られておりますので、簡略して御説明させていただきます。まず、先ほど内閣府の参事官からも御説明ありましたキャリア教育ともかかわりますが、若者の経済的な自立の関係につきましては3ページをお開きください。最近若者で非正規が増えているということの社会的な影響といたしまして、右側のグラフをごらんいただきますと、これはよく出てくるものでございますけれども、正規と非正規と比べるとやはり有配偶者の割合が非正規の場合は非常に低いという状況が見てとられるわけでございまして、少子化との関係でこれをどう考えるかということがございます。
こういったことに対する対応として、その次のページからいろいろ若年者の経済的な自立にかかわる施策が掲げられてございますが、これは説明を省略させていただきます。
それから、2番目の課題として13ページでございますが、労働時間の問題でございます。棒グラフを見ていただきますと、全体の平均としては、平成5年以降もかなり労働時間は減少してきているわけでございますが、一般労働者、パート労働者それぞれの労働時間は横ばっているということで、全体の減少というのはパート労働者の割合の増加ということで起こっていることが実態ということでございます。
14ページをごらんいただきますと、労働時間の二極化ということで、週35時間未満の方の割合というものが非常に増えている一方で、30代男性で60時間以上働いている労働者の方の割合は増えてきているという状況でございます。
さらに15ページに行きますと、「労働時間の国際比較」ということで、年間の総実労働時間を見ましても日本は非常に諸外国と比べて長いということもございますし、右側の表で見ても週労働50時間以上と長時間の労働者の割合もかなり高いということが見てとられるということでございます。
16ページは、長時間労働と出生率がどういう関係にあるかというグラフでございます。地域別に見ますと、長時間労働が多い地域ほど出生率が低いといった相関が緩やかでございますけれども、散見されるということでございます。
19ページでございますが、こういった労働時間にかかわる施策といたしまして、「労働時間等設定改善法」といったものが18年4月から施行されております。その中で「労働時間設定改善指針」というものが位置づけられております。右側の枠囲みでございますが、基本的な考え方のところに、労使の話し合いによる自主的な取組の推進というのが基本的なスタンスでございますけれども、事業主等が講ずべき措置ということで様々なことが掲げられており、その下にございます国の支援策としても、労働時間等設定改善援助事業といたしまして、コンサルタント事業のようなものが行われておりますし、労働時間等設定改善推進助成金という制度も行われているところでございます。
23ページでございますが、テレワークの関係でございます。先ほど申し上げましたように、政府目標としては、2010年までにテレワーカーの割合を20%という数値目標が設定されてございます。厚生労働省の取組といたしましては「在宅勤務ガイドライン」の周知ということで様々な労務管理上の問題を解消するためのガイドラインの策定・周知をしているということでございます。さらにテレワークの普及啓発あるいは相談等の実施というものを行っているといったところでございます。
24ページからの資料につきましては、後ほど職業家庭両立課長の方から説明をするということで、もう一つの資料で、資料2‐4というのがございますが、それをごらんいただきますと、地域におけるワーク・ライフ・バランスにかかわる取組の事例ということで兵庫のケースを挙げさせていただいております。ページをおめくりいただきますと、「仕事と生活の調和と子育て支援に関する三者合意」ということで、連合兵庫、兵庫県経営者協会、兵庫県という三者での合意が行われているということでございます。
具体的に施策といたしましては、後ろの方にアクションプログラムというのがございますけれども、それの2ページ目をごらんいただきますと、例えば「多様な働き方のモデル開発と普及啓発による仕事と生活の調和」ということで労使も巻き込んだ形の中で、地域における好事例を拾いだしまして、それを地域の中で広げていく運動的なことをされているというような事例があるということでございます。
駆け足でしたけれども、その全体的な状況は以上でございます。
職業家庭両立課長から両立関係のところをお願いします。

○麻田雇児局職業家庭両立課長
 それでは、資料2‐3の後半部分、24ページ以下をごらんいただきたいと思います。
最初に継続就業とワーク・ライフ・バランスについて、現状のご説明をいたします。おめくりいただきまして25ページをごらんいただきたいと思います。
これは第1子出産前後の就業経歴を年代別に見たものでございます。一番下の枠囲みですが、育休を利用して継続就業している方はここ20年で着実に増加をしているわけでございますが、育休の目的とするところの継続就業ということで見ますと、育休を利用する、しない含めた継続就業の率は、過去20年間に変化がないということでございまして、育休の利用を延ばしていくということのほかにも取り組むべきことがあるというようなことが推察されるわけでございます。
次のページでございますが、これも第1子出産を機に働いている方がどうなるかということですが、平成13年で約7割の方が離職をされております。これを就業形態別に見ますと、常勤の方は4割継続、パート・アルバイトの方は1割ということで、就業形態で相当の差があるということがございます。
それから、次のページでございますが、出産前後で仕事をやめた方がやめた理由をお答えになったものでございます。半数ぐらいの方は、家事、育児に専念するために自発的にやめたと言っておられますが、仕事と育児の両立の難しさといった両立環境を理由にやめた方が約3割いらっしゃるという現状でございます。
次のページでございますが、両立環境でやめたと言われた方に、具体的に両立が難しかった理由を聞いたものでございますが、自分の体力がもたなかったというのがトップにきておりまして、生活時間の余裕や柔軟性がなかなか確保されていないことが見てとれるわけでございます。そのほかにも両立支援策が実際に利用できるか、あるいは保育サービスがきちんと利用できるかというようなことも挙がっております。
次のページでございますが、これは一般に仕事と育児が両立をしやすく継続就業の面が実現をされているとされますフランス、スウェーデンと日本の両立環境を比較したものでございます。アウトカムとしては、継続就業を子育て世代の女性が実現できているかということでございますが、ここで日本が60%ぐらい、フランス、スウェーデンが80%前後というようなアウトカムの差がございます。この両立環境でございますが、ワーク・ライフ・バランスの環境について見ますと、実労働時間、長時間労働をされる方の比率、多様で公正な働き方のルール、男性の帰宅時間ということで相当の差がございますように見てとれます。
そのことの反映といたしまして、夫の家事・育児時間につきましても、文字どおり桁の違う時間というふうになっております。反面、育児休業の利用に関しましては、むしろ日本の方がフランスよりもよく利用されるということがございまして、狭義の両立支援の施策だけでなく、それがしっかりと機能するためのワーク・ライフ・バランスですとか、あるいは社会的な保育のサービスとか、こういうようなことも継続就業のために非常に重要な基盤となっているということでございます。
次に30ページでございますけれども、これは日本の労働者に自分の職場が継続就業できるかというふうに聞いた調査結果ですが、労働時間が短い会社ほどそのように考える労働者が多い結果となっております。
次は男性の家事・育児時間でございますが、日本は大変に短くなって、その分、女性が長い。それから、下の方でございますが、子育て世代の父親は仕事も子育ても同じように大切にしたいという方が多数派でございますが、実際には仕事優先の現実にあるということがございます。
次の32ページでございますが、これは昨年の10月に経営者の方にお集まりをいただきまして、男性が育児参加できるような働き方について御提言をいただいたものの概要でございます。結論としては、男性が育児参加できる働き方というのは、従業員全員のワーク・ライフ・バランスがポイントであるということ、そして、そのことが企業経営にとっても必要性があり、いろいろなメリットがあるというような御提言をいただいているところでございます。
次に33ページ以下の次世代法(次世代育成支援対策推進法)の関係の御紹介でございます。
まず1枚目、34ページでございますが、次世代法は平成17年から10年間の時限立法でございますが、これは二本立てになっておりまして、左半分は都道府県や市町村が子育て支援の施策の計画を策定して、これを実行していくという仕組みでございます。右側のいま一つの半分は、これは人を雇う立場、民間企業であれ、国、地方公共団体であれ、人を雇う立場の事業主がそこで働く人の子育て支援のための行動計画をつくって実行していくという仕組みでございます。地域の行動計画につきましては、地域のいろんな関係者の協議会でもってこれに協力する。また、事業主のこの行動計画に関しましては、地域の経済団体がいろいろな策定支援等を行うという枠組みとなっております。
次のページでございますが、次世代法の具体的な仕組みでございます。企業規模に応じまして、各企業で従業員の子育て支援の計画、目標と措置を策定していただきまして、労働局にお届けいただく形となっております。計画を実行した後に一定の基準を満たした場合には、下にございますような認定マークを使うことができるということでございます。現在義務づけのございます301人以上の大企業では、99.8%が届出済みとなっておりまして、中小企業におきましては5,700余の会社から届出をいただいておりまして、届出企業数のうち約2割が認定申請の予定であるとお答えいただいております。
36ページ以下は、これは行動計画の実例ですので割愛させていただきまして、40ページをごらんいただきたいと思います。これはサンプル調査的に、東京労働局に届出が出てきた行動計画の中身でございますが、規模は大きい方がたくさん出ているということであります。それから、次のページでございますが、計画期間は2年もの、3年もの、5年ものがそれぞれ3割ずつぐらいというような状況でございます。
42ページでございますが、行動計画の目標として取り上げられている事項の割合でございますが、最も多いのは「育児休業を取得しやすく、職場復帰しやすい環境の整備」、次に「育児休業や時間外労働の制限など諸制度の周知」、その次に「所定外労働の削減」というような現状となっております。
次に43ページでございますが、これは企業が自主的につくりました行動計画につきまして、自主的に公表するようなサイトを設けておりまして、現在250社余が自主的にここに登録いただいて行動計画の公開をされております。
次に44ページでございますけれども、こういうような次世代のいろいろな取組でございますが、職場にどのくらい浸透しているかということでございます。これは現状では、「浸透している」と考えている割合が、企業、管理職、一般社員の順にだんだん少なくなっていくというようなことでございまして、職場への浸透にもこれから取り組まなければならないという課題がございます。
次に45ページでございますが、これは次世代法の施行に当たりまして、労働局と都道府県との連携がどうなっているかという事例でございます。いろいろな連携のあり方がございますが、1つのタイプとしては、事業主向けのいろいろなパンフレットや手引き等の啓発資料を連携して作成・配布するというパターンがあります。
それから、2のところにございますが、事業主向けの説明会やシンポジウム、セミナーを連携して開催するということがございます。特に45ページの一番下のところに大変興味深い取組がございまして、山口県の例でございますが、県のいろいろな契約に企業が入札をする場合に、入札参加資格の審査項目におきまして、行動計画の策定、認定ということを評価してプラスのポイントにするというような仕組みが設けられております。こういうようなことについて、労働局と県の方で共同で説明会を行うというような取組が行われております。
そのほか、46ページ以下でございますが、連携しての個別の事業主訪問ですとか、あるいは県独自の認証制度、アンケート調査等の取組が行われております。
47ページでございますが、これは先ほど申しました地域の経済団体をセンターとして指定いたしまして、事業主相談や講習会を行うという枠組みでございます。現在、地元の商工会議所、経営者協会、中小企業中央会を中心といたしまして、全国で92団体がセンターとして指定を受けておりまして、事業主に対する相談等の活動を行っております。
最後に「仕事と家庭の両立支援策」でございまして、48ページ以降になります。
49ページは全体像でございますが、現在両立支援はこの三本柱で行っておりまして、1つ目が、「育児・介護休業法等の施行」、これは最低基準の徹底ということでございます。
2本目の柱が、事業主の法を上回る取組への支援ということでございまして、今、申しました次世代法に基づく取組の促進ですとか、あるいは事業主がいろいろな制度導入等を行われるときの助成金の支給、あるいはファミリーフレンドリー企業の表彰、あるいは両立のしやすさを点検・評価するための指標の普及等を行っております。
右側が労働者への支援でございまして、保育ニーズへの対応ですとか、再就職支援を行っております。
次に50ページでございますが、これが現在の妊娠から育児に至るまでの法的な環境整備の枠組みでございまして、代表的なところは、産前産後休業、そしてその後の育児休業と、育児休業復帰後の小学校就学前までの勤務時間短縮等の措置という枠組みになっております。
これの現状について、52ページで簡単に御紹介をいたしたいと思いますが、現在男女別の育児休業の取得率を見ますと、女性が72%、男性が0.5%となっております。女性の方は出産した労働者に占める割合、男性の方は配偶者が出産した労働者に占める割合でございまして、女性の方は順調に伸びておりますが、男性の方は大変低い水準でございます。
それから、最後でございますが、柔軟な働き方の普及、活用状況でございますが、子が3歳に達するまでの柔軟な働き方につきましては、措置をしている事業主が全体の40%程度、この中では、一番多いのが「短時間勤務制度」で3割程度となっております。育休復帰者、女性の柔軟な働き方の活用状況で見ましても、「短時間勤務」を利用される方が2割ぐらいというような現状となっております。
以上でございます。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは、今の御説明につきまして御質問ございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
なければ、議事3に移りたいと思いますが、時間の制約もあるということで、御説明いただく委員からは、5分程度お話をお願いしたいと思っております。名簿順に、まず阿部委員からお願いいたします。

○阿部委員
 私、この回が初めての参加になります。どうぞよろしくお願いいたします。
少子化対策というと、今まですぐに出生率の回復ということが議論されるわけですけれども、私はこの段階に至っては、出生率を回復させるような政策のみが政策ではないだろうと思っています。と申しますのは、今後10年間で総人口が多分200万人程度減少し、その一方で、労働力人口は多分1,200~1,300万人程度は減少するというふうに予測されているわけです。つまり食いぶちは200万人しか減らないのに、それを支える人口は1,300万人も減ってしまうということが、これから10年間で進む社会の状況であるということを考えると、我々はこれからの少子化対策は出生率の回復だけではなくて、それと同時に社会を維持できるような、例えば労働者をもっと活用するとか、そういうところに目を向けていく必要があるのだろうと思っています。
この間、日本の社会と企業というのはかなり役割が大きく変わってきたのだろうと思っています。第2次大戦前後、このあたりでは自営業が中心であった就業構造の中で、大家族制というのがあって、その中で子育てとか、介護とかというのがかなり行われてきた。ところがだんだんと雇用者の割合が高まると同時に大家族制が崩壊して核家族化が進行してきた。これは皆さん御存じです。その中で企業がかなりセーフティネットの役割を果たしてきた。終身雇用もありますし、年功序列もありましたし、それから福利厚生も充実していたところです。
ところが90年代前後から国際競争が激化して、企業は思い切ったリストラをかなりやってきて、現状ではもはや企業にセーフティネットの役割を期待するというのはなかなか難しくなっています。そうなってきますと、個人が自立して、それを社会が尊重し、あるいは企業も尊重して、と同時に個人を鍛えていくということをしていかないと、個人というか、家族がどこにセーフティネットを求めるかがなかなか難しくなった。もちろん企業がそれを支え、社会も支えるということは非常に重要なことだろうと思いますけれども、それだけでは済まなくなってきているのではないかというのが私の現状認識です。
そうした中で、90年代後半の企業の大きなリストラというのは、企業が省力化を進めてきましたし、それによって業績が回復してきたということですが、一方で過密な労働を従業員が要請されていて、実際会社の中では精神的な病にかかってしまう人とかもいらっしゃるとよく聞きますし、そういうような状況になっているということだろうと思います、非正規化の問題などもこういう中で進展してきたのだろうというふうに理解しております。
一方、一般的には正社員の中でも仕事以外の生活でやりたいこと、あるいはやらなくてはならないことが労働だけが人生ではないですので、そういうのに取組たいと思っても現実には長い労働時間の中では取り組めない人たちも増えている。
実際、最近日経BPというところが調査して、今年度、「新年度(4月以降)、お金や時間を自分自身の充実のために使う『自分投資』をあなたは何か考えていますか」というような質問(アンケート)があったのですが、それを見ると、サラリーマンの65.8%は、何らか働くというだけではなくて、自分自身の充実のために時間やお金を投資したいというふうな方がかなりいらっしゃるということがこの日経BPの調査では出てきました。
ということは、今までは企業の中ですべて完結できていたわけですけれども、セーフティネットを外されてきた結果、それがなかなかうまくいかない。そうすると、例えば読書したり、スポーツしたり、資格試験などの勉強などをして自分投資をして、自分のライフコースとか、あるいはキャリアとか、そういうのを考えざるを得なくなってきているというのが現状ではないかと思います。
こういう現状の中で、企業が多様な従業員の考えを支えて、それを活用するということは重要だろうと思います。加えて、グローバル化の中で既に金銭的報酬の限界が見えてきていますので、企業が非金銭的報酬としてのワーク・ライフ・バランスを使いながらいくということは必要だろうと思っています。
ワーク・ライフ・バランスと簡単に言って行っても、単純にどんな人でも全員が全員ワーク・ライフ・バランスを必要とするかというと、そうでもないかもしれません。従業員がワーク・ライフ・コンフリクトが出てきたときに制約条件を緩和できるような施策を企業が持っておくということが必要だろうと思っています。
先ほど家族の話をしたので、若干ですけれども、現在共働き世帯が増えているというのが次のページに書いてあるとおりで、以前は昭和55年ごろというのは、私がちょうど小学生のころですけれども、このあたりは専業主婦世帯が一般的だったということですが、現状では共働き世帯が半数以上を占めるようになってきている。
その中で、次のページが年代別有配偶・子どものいる女性の有業率ですけれども、以前に比べると、40代未満のところでは、女性の有業率は落ちている。むしろ女性は今までずっと両立支援だ、何だかんだ言われて育児休業法もできましたし、いろいろやってきたわけですけれども、実は余り働いてないというのが現状であるということです。
次のところは、6歳未満児のいる男女1人当たりの育児ですけれども、先進国に比べれば、家事・育児というのは、日本の場合には女性に頼りきりになっているというのがこのグラフであります。
企業にとってみて、このワーク・ライフ・バランスというのはコストであることは、私は事実だろうと思います。ただ、それが企業業績にどういう影響をもたらすかということですが、これは武石委員と御一緒して調査した研究結果なのですが、4つのポイントがありまして、両立支援をやっていくと、企業業績に対してかなりプラスの効果があるのではないかというふうに考えられます。特に人材育成策とともに実施するとプラスの効果がある。それで人々の能力を上げてあげるということをやると同時に、両立支援策を導入するということはかなり業績にも効果があるということで、次のページに業績にどう影響しているかということが書いてあるわけですけれども、人材育成を重視している企業で両立支援を先進的にやっている企業のところではかなり業績が高い。300万円以上というのは、これは1人当たりの経常利益が300万以上ということですが、そこの人材育成非重視×両立支援先進、人材育成重視×両立支援非先進、そういった組み合わせに比べれば、かなり1人当たりの業績は高いということがわかっております。
次が、私が提出した資料は、内閣府がこの3月におまとめになりました「女性のライフプランニング支援に関する調査」ということでございまして、2ページ目は、「ライフコース選択の実情」ということで、子どもがあって継続しているのは女性全体の8.4%、54.6%分の8.4%だけが継続就業している。働いているのは22%ぐらいになっているわけですが、離職した人たちをよく見ますと、家事、育児に時間をとりたかったというのは6割弱いらっしゃいまして、確かに家事、育児のために離職した方がいいと考える人は少なからずいるということですが、その一方で、実は体力、時間的に厳しかったということもあります。つまりワーク・ライフ・コンフリクトに遭っている人たちも4割強いるというようなことであります。
次の3ページ目ですけれども、これは「ライフステージの変化に即した働き方の希望と現実」ということで、かなり希望としては、子どもが3歳以下の場合には「働きたくない」という女性は4割程度いらっしゃいますが、残りの2割は働きたいということです。ところが現実には、子どもが3歳以下の場合には3割程度しか働けていないという現実があります。
その一方で、その後、子どもが4歳以上になってくると、短時間勤務やあるいはフルタイムだが、残業のない仕事の割合が高まってきますが、パート・アルバイトしかないというのが現状だろうということです。
こうしたある種、働きたい、それに能力が伴っていれば、それを使っていないというのは、社会にとっては相当のむだ遣いを行っていることだろうと思います。
あと、5ページ目をおめくりいただいて、最近の企業、先ほどリストラでなかなか大変なことになっているということをお話いたしましたけれども、図表7で「婚姻・子どもの状況別1年以上の離職前後の年収の変化」という結果があるわけですけれども、「既婚・子どもあり」のところでは、離職してしまうと、相当所得が下がる。「やや下がった」、「上がった」、「ほとんど変わらない」、「やや下がった」全部入れても30%程度で、7割程度は相当に所得が落ちているということがわかります。これが多分共働き世帯を増やしていることになっているのではないかと思います。
子育てするためには当然ながらお金が必要ですから、お金がなければなかなか出生率も上がらないということになろうかと思いますが、と同時に、働ける人が働けるという社会をつくるということは出生率にも影響しますし、先ほど言いましたように、生産性を高めるということにも寄与するだろうというふうに私は思います。
実際にどういうことを「子育てしながら働くために必要な環境」を人々は考えているかというのが8ページにございます。2つに分けていて、家族の状況として最も必要なことは何なのかということと、図表13で「職場の環境・制度として最も重要なこと」は何なのかということになるわけですが、家族の状況として必要なのは「配偶者・パートナーが平日も家事・育児に協力してくれること」が42.7%、「配偶者・パートナーに子どもを育てながら働いてことへの理解かあること」28%ということで、男性・女性ともそれなりに家事・育児に協力し合いながらやっていくということが望ましいのではないかと思います。
図表13では、「職場に対してどういうことが望まれるか」というと、「育児休暇がとれること」というのは5%程度しかなくて、ここでお話になったかどうかわかりませんが、育児休業そのものはそれほどでもない。むしろ「子どもが病気のときや学校の行事などで休みがとれること」とか、「上司に理解があること」、「フレックスタイム制度や在宅勤務など柔軟な働きができること」、こういったところが望まれているということかと思います。ついては、ワーク・ライフ・バランスといったときにもう少し生活と密着したところをお考えになるようなことが企業にとっては望ましいし、それが結果的には出生率とか生産性の向上といったところにも効果があるのではないかと思います。
長くなりました。以上です。

○樋口主査
 ありがとうございました。北浦委員、木村委員は前回お話いただきましたので、続きまして小杉委員からお願いいたします。

○小杉委員
 ありがとうございます。できるだけ5分を守るように頑張ります。
私の資料、私は、結婚より前の若者というのが基本的にテーマでございまして、出産というところまでちょっと目が届かないのですけれども、基本的には、日本の場合には順番に起こっていますので、結婚というところまで考えるというスタンスで話させていただきたいと思います。
最初の図は、ごくよく使われる男性の収入の低い層が結婚していないという事実をあらわしたものです。資料を付け忘れたのですけれども、女性についても、これと同じものを作っていまして、女性の場合には大体250万あたりを底にしたUの字型になっています。一方で非常に収入が低い人たちが結婚している。これは逆に、むしろ結婚することを契機として収入の低い仕事、あるいは労働時間の短い仕事に移っているということのあらわれです。一方、Uの字型の右側の方が男性と同じように年収が高い人ほど結婚しているという関係もあります。
ここのところには2つの価値観があらわれていて、1つは、役割分業的な考え方で結婚後の就業行動をとっているというタイプの人たちと、そうではなくて、男性と同じように、収入の高い女性の方が男性から選ばれるという事実ももう一方で起こっている。この2つのことが起こっていて、若い人たちの今の考え方はある意味では多様な考え方があって、一方では役割分業的な考え方を支持している、あるいはそうせざるを得ない人たちもいるし、一方でそうではない生き方を選んでいる人もいるという多様な状態があるのではないかと思います。
女性の方はグラフにすると非常に複雑になります。男性の簡単な方のところに注目しまして、今、収入という話をしましたが、収入との働き方というのは非常に相関があって、特に非典型型、アルバイト・パート型の働き方は非常に収入が低い働き方になります。アルバイト・パート型の働き方から、収入の高い正社員へという移動の話をしてみたいと思います。
と申しますのは、いわゆる学校卒業時期に非常に厳しい状況で就職できなかった人たち、いわゆる年長フリーター問題というのがございまして、それは多分今のまさに出産してくれるかどうかにかかっている30代前半の層の、いわゆる団塊ジュニア世代の話になります。この人たちのその後、どうなるのかということを、これは東京都に住む2,000人の若者たちをエリアサンプリングという方法で抽出した結果です。2ページ目に示してありますが、学歴によってかなり違いがある。大卒の場合にはやはり何だかんだといっても正社員になっているし、正社員の範囲で転職している人が圧倒的に多い。就業機会が最も恵まれなかったのは高校卒あるいはここには出していませんが、学校中退層で、こういう人たちが正社員になかなかなれなかった。ただ、若い世代ほどなれてないんです。それをここではキャリアという形で見ていまして、今、例えば18歳、19歳の人たちが学校卒業からここまでどのような状態であったか。赤い棒が正社員でない形でずっと来たという人たちです。
これを2006年の調査と5年前の2001年の調査で比べています。高卒の男性だけ見ていただきますと、どちらもだんだん赤が減ってきて黒い棒が増えているといいますか、古く学校を卒業した世代の方が正社員をずっとやってきていて、新しい世代ほど最初は非典型でそのまま非典型でいる確率が高くなっている。あとは年齢が高くなれば、だんだんと緑色のところ、正社員ではない形から正社員に変わるという行動がとられている。そういう移行があって、団塊ジュニアの世代もこういう変化があれば、それなりに安定的な就業に移っているわけです。
ところが、2006年と2001年を比べてみますと、緑の棒の高さがかなり違っている。今、いろんな形で就業支援が行われているのですが、にもかかわらずこの5年間に正社員になる人が増えているかというと実はそうではない。少なくとも東京都内のある程度代表しておりますその若者たちを見ると、低学歴の若者たちの中で、年が来ればだんだん正社員になれるよという人の比率は減ってきているという状態があるのではないかと思います。それはなぜなのか。
次のページは、フリーターを経験したことのある若者たちが正社員になろうとしたか。そのうち、なろうとした人のうち、正社員になったという人の比率をとったものです。男性・女性どちらも言えることは、まず黄色い印つけましたけれども、5年前に比べて、今の方が正社員になろうとしていない。結果として正社員になろうとして努力したら結果としてなれたという比率は男性は下がっています。女性の方は余り変わらないようなそういう状態があります。
正社員になろうとしなくなったのはなぜか。これを見ますと、年齢が高い層はどの世代でも、年齢が高くなれば正社員になろうとする行動はとっています。もう一つ、下に学歴別の状況を出しましたけれども、学歴別の行動が少し変わってきている。例えば2001年の場合ですと、高校卒業以上というのは、高等教育卒業あるいは高等教育中退者の場合と、高校卒業以下の学歴の人たちと余り変わらない。男性の8割方は正社員になろうとしていたのですが、それが2006年にはかなり差が出てきて、低学歴層で正社員になろうとする行動をとらなくなったというのがあります。これは女性についても同じように見られます。今、就職の労働市場も違っていて、学歴がかなり大きな要素になっていて、学歴の高い人の方が正社員の採用先があるという事態があると思います。その結果として、正社員になろうとする行動さえも低学歴層では取らなくなるという状態があります。
次は、今度は彼らが一体何を考えているのか。正社員になろうとした人たちがやってみて、やっぱりだめだった。それである意味では退職してしまうケースですが、何がだめだと思っているか。低学歴層に多いのは機会が、学歴が低いとなかなか機会がないことやスキルがないという問題がある。ここのところを何か埋めてあげる必要がある。
もう一つ、2番目に出てくるのが、正社員に対する忌避感です。圧倒的にこれは労働時間の問題です。正社員になるということは長い労働時間を選択するということで、そうではない労働時間で働きたいと思うと、正社員よりは今の方がいいと思ってしまう。そこは価値観だと思うのですけれども、ある意味では本人の働き方の選択肢は狭められているといいますか、正社員で収入を高く持とうと思えば労働時間を長時間にせざるを得ない。そういうジレンマみたいなものが本人の中にあるのではないか。つまり本人の考えている枠組みと社会の選択肢との間でかなり差があって、それが多分彼らのフリーターから正社員への移行を阻止してしまうというか、その壁になっている可能性があるのではないかと思います。
次のページには、年長フリーターの人たちが具体的に何をしたいと思っているのかということを示しました。正社員になろうとしてない人が多いというか、半数近くいるわけですけれども、なろうとしてないといっても、正社員ではない者にはなろうとしています。アルバイトのままでいいとは男性の場合にはほとんど思っていません。女性の場合には、役割分業感を持った人はアルバイトのままでいいと思っています。1つ、正社員になろうと思っている人たちは、今持っている能力を評価してもらって、今の延長上に正社員を考えたいと思っている。そうでないと思っている人たちは、いろんな形で夢を追っかけているタイプとか、開業とか、国家試験とか、何らかの次のステップを考えてはいる。それは可能性が低いか、高いかという問題で、こういう分野はある意味、こういうことを頑張ってくれる人がいなければ困るわけで、問題はこの人たちが結果としてキャリア、このキャリアではない違うキャリアに行こうとしたときにチャンスがあるかないか、そこの整理ではないかと思います。
次のあたりは労働時間の話などを私どものデータで位置づけたものです。
次のページは、学歴がかなり大きな要素になっているということを示したものです。フリーターにしろ、ニートにしろ、失業者にしろ、低学歴層が特にニートなどは多くて、高等教育卒業者というのは比較的少ない。むしろ学歴差というのが労働市場にとって大きな要因になっているのではないかという、先ほどの話の裏づけです。
結果、自立の話でいえば、最後のページですけれども、低学歴層の問題と高学歴層は多分分けて考えなければいけなくて、低学歴層の場合には、まず能力やスキルというところでかなりチャンスがないと思っていますので、こういうところにどうやって力をつけるかという政策がある。
もう一つは、本人が何を考えているかということに着目し、配慮しなければ実は政策効果が出ない。先ほど男性にしろ女性にしろ役割分業感的な発想を持っている人もいれば、全く違う発想を持っている人もいる。そうした多様な思考枠組みが現実にあって、彼らのその枠組みから全く離れたところの施策ではなくて、そこを配慮した、その人たちにフィットできるような政策が必要ではないか。
一応そんなところで、時間も過ぎましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

○樋口主査
 ありがとうございました。どうも急がせて済みませんでした。それでは、武石委員からお願いします。

○武石委員
 それでは私は資料3‐3で中小企業におけるワーク・ライフ・バランスの問題について簡単に説明をさせていただきます。
 前回、大企業と中小企業では少しモデルが違うのではないかということを申し上げました。それ以降、少し中小企業の問題について考えたことを非常に簡単なレジュメにしております。
まず、中小企業の問題ということでいえば、実態として育児休業制度を制度化していない企業も3割、4割ということで制度の導入が遅れている。育児休業以外にもいろんな制度の導入状況を見ると大企業と大きな格差があるのが実態なわけです。
中小企業において、どうしてそういう施策が導入できないか、取組の課題は何かということでいえば、ほかにもあるかもしれないのですが、1つは財源的、人員面で余裕がないということです。第二に、メリットはあるのだけれども、コストがかかってしまうのでやれないとか、メリットがあるのか、何となくよくわからないので取り組めないということもあると思います。第三に、どうやっていいかわからないとか、ノウハウがないということがあります。あるいは前回、藤木委員からお話がありましたが、取引先との関係などもあって、勝手に短時間勤務とか育児休業制度というのをやってしまうと取引先との関係、維持が難しくなるというようなことで、大企業にはない中小企業の問題があるのだろうということです。
次に中小企業でワーク・ライフ・バランスを展開している事例を少し見てみるとどういう特徴があるかということです。まだまだたくさんあると思うんですが、後ほど藤木委員からもうちょっと詳しく御説明いただけると思いますので、私からはごくごく簡単に4つの事例だけを御紹介させていただきまして、そこから課題について最後にまとめたいと思います。
1つ目は、四国の製造業で、100名ぐらいの企業です。ここはタオルをつくっている会社ですが、言ってみれば自然発生的にワーク・ライフ・バランスというか、育児支援策が進んだ企業といえると思います。ここは法律ができる前後ぐらいという、非常に早い時期に育児休業制度を導入した企業でして、そこに私は注目して調査に行ってまいりました。どうしてそういう制度を導入したかというと、ここはみかん農家の主婦が労働力の供給源になっていて、みかんの収穫時にお休みをとりたいという人が多いということで、家庭の事情で休むことに対する職場の抵抗感が余りなかったということがありました。そのため、育児や介護のための休業制度の導入について、職場に抵抗感がなかったということで導入が容易になったということです。制度のニーズに対して自然発生的に職場の風土が変わっていったという事例ではないかと思います。
2番目は、東北の製造業で30名というそれほど大きくない企業ですが、ここはかなり両立支援策を積極的に導入している企業です。託児所は無料の託児所を設置していますし、育児休業は3歳まで、短時間勤務制度も導入しているということで、大企業顔負けの非常に充実した制度があるということです。ここはどうしてこういうことをやっているかというと、1つは経営者が強いリーダーシップを発揮している点があげられます。少数精鋭でいいものをつくっていくということ、社員と会社が両方とも発展していくということを大事にしており、それによって地域にも貢献していきたいというように、非常に高い経営理念を持った経営者がいるということが大きな特徴ではないかと思います。
ここは従業員からのニーズというのが前提になりまして、従業員の退職を防止する、能力発揮を進めるということに対して前向きに取り組んでいます。30名の会社ですから、社長が毎年、従業員全員と面接をしている。そういう中から育児のニーズが非常に大きいことがわかったということで、そこへの対応を重点的に進めてきたということです。
工夫点としましては、休業などで休む人がいますから、多能工化を進めて一人の人がいろんな仕事ができるようにして欠員をカバーする。それから、もう一つは、育児支援だけを一生懸命やると、ほかの人からの不満が出てしまうということで、介護とセットにして取り組んでいます。介護ですと、今は直面していなくても将来は直面するかもしれないということで社員全体の共有できる問題になっていきますので、それによって不公平感をなくすという工夫をしながら進めているということでした。
次に、C社の事例なのですが、これは労働時間の短縮、残業をしない制度を強力に進めている会社で東京の製造業です。ここも経営者がかなりリーダーシップを発揮しており、平成17年に残業をしない職場風土をつくるということで取組を始めました。経営者が、うちには会社人間は要らないと考えたことが取組のスタートです。地域とかほかのいろんな社会のことをしっかりとわかっている人に企業人として生きてほしいということを考えると、会社人間、つまり労働時間が長くどうしてもつき合いが会社の中だけになってしまうようなことは問題なので、まずは労働時間を短くすることから始めようということから残業をしない取組というのを始めています。まず残業は月の初めに計画を出させて、この時期が忙しいから、この時期に何時間残業しますということを社長が決裁します。それ以外に突発的に発生した残業に関しては、基本的にはよほどの理由ができない限りはできなくて、どうしても必要な場合には社長の決裁を経て残業をするということです。原則として残業はないということです。導入当初のころは、6時になると会社のシャッターを閉めて、従業員を外に追い出したということをしたそうです。残業をしない職場をつくるために、何をしたかということですが、1つは徹底した情報の共有化を進めます。規模が100人程度なので、秘密事項以外のメールは全員に流すということで、だれが今どういう仕事をしているか、どういう問題を抱えているかということを共有化する。それから、人がやらなくて済むことに関しては、すべてIT技術に置き換えるということで、そこにはかなりの投資をして業務の効率化を進めるということをしました。業務改善を進めて、半年ぐらいでかなりの効果が上がって、ほとんどの人が残業をしない体制になっていったということです。最初はシャッターをおろした外で、今から何をしようかと従業員がたむろをする姿もあったようですが、徐々に自分の生活を重視する生活に変わっていったということです。
次だけ企業名を書いているのですが、規模が大きくて中小企業と言っていいかどうかわからないのですけれども、大阪厚生年金病院という、昨年日経の子育て支援大賞を受賞した企業です。ポイントは女性のお医者さんの長時間労働、看護師さんももちろん入るのですけれども、そういった女性が多い職場、特に専門職の女医さんの働き方ということに問題意識を持ちまして、病院の人手不足を解消するということで様々な休暇制度を導入していく。それによって、次のページになりますが、女性医師の中でも短時間勤務とか育児休業制度を利用しながら継続する人が出てきているというような専門職の支援策ということで出させていただきました。
事例の特徴を簡単にまとめますと、1つは経営トップの強いリーダーシップがあげられます。中小企業だからこそ経営トップがリーダーシップをとることによって職場に浸透しやすいということがあると思います。その際にメリットを非常に理解した経営者がいる。やらないことのデメリットということも重要なんですけれども、やらないで何が起こるかということを考えてやった方が得だというふうに考えているということだと思います。
それから、職場の文化を変える。推進部門におけるきめ細かなフォロー体制をしながら、かなり短期間で職場の文化を変えることができているのではないかということです。
2点目としては、大企業のようにいろいろな制度を導入するのは難しい面があると思います。フルラインナップを目指すよりは、何が効果的かということで、先ほどのC社のように、例えば残業時間を削減するところにかなり集中していくのも1つのやり方かなと思います。
3点目ですが、職場不在型といいますか、長い休業をとるというのは中小企業ではなかなか難しいのだろうと思います。例えばA社のような託児所や、育児休業までは難しいけれども、短時間勤務制度を導入するというように、休業制度以外の代替の措置というのも考えられるという気がいたします。
さらに、業務改善・効率化を進めないと中小企業はこういった制度を導入できませんので、そういうことを推進するような、これも経営者のリーダーシップかもしれないですが、ノウハウの提供等も必要かと思います。
最後に、B社の事例で申し上げましたように、育児だけではなくて、多様なワーク・ライフ・バランス施策を包含することによって従業員の理解も得やすくなるのではないか。運用面での工夫も重要だろう。それから、取引先や顧客の理解を得る。この辺は難しい問題だと思いますが、中小企業にとってはこの辺が重要になっていくということです。非常に簡単ですが、以上です。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは続きまして長谷川委員からお願いいたします。

○長谷川委員
 皆さんのお手元の資料はコピーとファックスを繰り返して大分見にくい資料になっておりますが、余り資料にはこだわらず、ごく簡単なワンポイント提言というような形で申し上げたいと存じます。
実は前回、私、座長の樋口先生から宿題をいただきました。今日もいろいろ問題になっておりましたが、若者の、なかなか正社員に雇用されない層が増えている。その雇用不安が少子化に少なからず影響している。それをどう解決したらいいのかという大きな宿題をいただいております。大体皆さん平均10分という感じなので、私も10分いただくとして、もしそれをはみ出してしまったらお許しください。それをお答えするに当たって、今問題になっておりますワーク・ライフ・バランスの考え方をどんなふうに活用していったらいいのか。私は前半に御説明があったようなワーク・ライフ・バランスの考え方に多少の修正を加えて、この少子化対策の問題に応用する必要があるのではないかと思っております。
第1枚目では、ワーク・ライフ・バランスの問題をどんなふうな修正を加えて応用したらいいかについて少し簡単に提言を申し上げてみたいと思います。ここには書いていないのですが、実は大事なことは、ワークとライフというふうに対比されますと、ライフの方には大事な仕事が含まれていないような誤解が生じやすい。何かレジャーライフのような、そんなものをイメージしてしまいがちなのですが、それは間違いであるということを、(前回の議事録をごらんになればおかわりのように)、座長の樋口先生もはっきりとおっしゃっていらっしゃいます。むしろライフの部分に人間として、どうしてもしなければならない大事な仕事が含まれている。そこに含まれている大事な仕事の1つが子どもを産み育てることというふうにとらえていいかと思っております。当然これは大事な仕事ですから片手間ではできません。
先ほどもお話がありましたように、子育てにはお金がかかります。経済力が必要です。それからもう一つ、手間がかかります。この手間についてはこれまで余り大きく取り上げられてきませんでしたが、これが大きな問題です。単に世話をするというだけでなくて、女性の場合、約半年以上、気分悪く、大きなおなかを抱えてよたよた歩き回らなければならない。出産したらすっきりするだろうと思うとさにあらず。出産後も大体半年は体調が戻りません。出産については丸少なくとも1年間は、女性は体を張って手間をかけるという、そういう大変な仕事なわけです。言い換えると、次世代を産み育てるためには手間も金も要る。その両方をどうやって調達するのかということが、問題の骨格となるわけです。
それをワーク・ライフ・バランスという考え方でとらえるときに、これまでの御発表を拝見していますと、どちらかというと個人単位で考えていらっしゃる。ところが、子どもというのは家庭に生まれてくるものです。ですから子育てに関する少子化対策の問題を考えるときには、ワーク・ライフ・バランスは家庭単位で見ていくことも必要になっていくのではあるまいかと考えております。
これも実は前回の樋口先生のお話の中に出てまいりました。ワーク・ライフ・バランスというものは決して個人で閉じられているものではなくて、人間関係の中で考えていくべきものであるとおっしゃったそのお話の延長というふうに考えていただいていいかと思います。
ここでいろいろ資料に書いてございますが、大事なワンポイントとしましては、次のことを申し上げたい。例えば先ほどから男性の子育ての時間が少ないということが問題とされております。女性に子育てを丸投げしているという、あたかもそれでバランスが崩れているようなお話なのですが、家族単位でワーク・ライフ・バランスを考えるなら、家族全体の中でそのバランスがお金と手間、どちら もしっかりと調達されているという形であれば、その家庭はかなり安心して子どもを産み育てられる家庭だというふうに評価することができると思います。ついでながら、単身の家庭の場合にはそれが非常に難しいことになるという、そういうことも家族単位で考えると見えてまいります。
もう一つ、家庭単位でワーク・ライフ・バランスを考える場合に大事なことは、そのメンバーに余り大きな負担のアンバランスがないようにということなんです。ですから極端な話、男性が完全に家事をして、女性がお金を専ら調達するという形も十分にあり得るのですが、こと子育てになりますと、今申し上げたように、1年間はどうしても男性に肩代わりしてもらえない大きな負担が女性にかかってきます。その1年間、女性1人に家族を支えるだけのお金を稼ぐべくバリバリ働けといっても、これはものすごく不公平なことになります。
そういう意味では、時々批判されます男女性別役割分担というものも実はかなり合理的な家庭内のワーク・ライフ・バランスだということも言えるのではないかという気がします。もちろん今の経済状況では、一人の収入で完全に家族を賄うのは難しくなっていますから、共働きが増えてくる。これは阿部委員がおっしゃったとおりだと思います。しかし、その場合も必ずしも1対1のバランスで働く必要はない。1対0.5というバランスもあり得る。
一番大事なのは、家族全体として、金と手間の両方がしっかり安定して確保されているか。そして各家族構成員のメンバーの間で著しいアンバランスがないかということなのです。
その観点から、最後の2分で、宿題の方に戻りますと、男性が正社員でない場合に結婚意欲が非常に低くなっている。これは今見たところからのごく当然の現象で、若い男性の大多数はとっても常識にかなった考え方をしている、といえると思います。つまり女性が子どもを産むとなると、最低でも1年あるいは2年バリバリ働けない時期を迎える。そのときに安定した収入をもう片方のパートナーが持っていないと、これは到底安心して子どもを産める状況にない。
同じ若者の雇用不安の解決といっても、男性の正社員化を目指すのか、両方均等に目指すのか、これは雇用均等法との絡みで大変難しいと思いますが、少子化対策という点から考えると、男性の方に重点を置いた施策をすべきだという結論が出てくるという気がいたします。
ここに挙げました表は、ほとんどが、これまでに配られた表の中からピックアップしたものです。図5と図6だけは樋口先生の御著書からちょっと拝借させていただいたものです。なお、注目していただきたいのは、3枚目の図4です。「女性の希望する就職形態」、これも先ほどお話がありましたが、子どもが1歳になるまでの間、子どもが3歳になるまでの間、これは育児休業か、あるいは非就業か、少なくとも殊に1歳になるまでの間はほとんど9割近い人が、自分は仕事をしたくないというふうにおっしゃっていらっしゃる。これも今述べたところからごく常識的な希望だと思います。決してわがままでもなまけ心でもなくて、女性は片方で産児、育児という大事な仕事に体を張って参加するのだから、この期間はちょっと働くのを休ませてくださいと。たしかに、企業の側からいうと、こういうブランクのある人間をトップにつけるのは難しいという話にあるいはなるかもしれない。しかし、これをいろんな小手先の施策で解決しようと思っても難しいような気がします。私はむしろ女性が安心して、また職場に復帰できるときに、また、きっちり働ける。最初に阿部委員が御提案になったような、そういう復帰のシステムというものを確保することが大事なのではあるまいかと思います。
したがって、宿題に対する私の答えとしては、差し当たっての雇用不安という点では、まず男性の方に重点を置いて施策をするべきである。もう一つは、女性の再就職のシステム化、これも本気で取り組むべきことではなかろうか、そんなふうに御提案したいと思います。
やっぱり超過してしまいました。済みません。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは藤木委員お願いいたします。

○藤木委員
 私の資料は、グラフとそこから読み取れることという形に若干中小企業の現状といったものを織りまぜながら御説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページ目ですけれども、このグラフを見てわかりますように、従業員規模で上下で代替要員を入れるか入れないかというところが如実に分かれているのではないかと思います。100人以下を中小企業というのもちょっと力わざのような感じもしますけれども、中小企業においては、私どもの周りの企業の状況も聞き合わせている中でいうと、短期的な代替要員の確保、特に派遣社員ですとか、期間限定の社員を応募活動したところ、その呼応が非常に弱い、応募者が低いというようなこともありますし、また派遣社員の場合にはコストが非常に高いということで、そういったことを避ける動きがありまして、結局のところ充てていないという状況が現実だと思います。ですので、現有勢力に対して多能工化とか、業務のマルチ化とか、そういったことを求めながら、社員のスキルアップを図っているというのが現状です。
 2ページですが、これは前回の会議のときに概略をちょっと説明させていただきましたけれども、このグラフからは、50人、100人、ないしは100人超の300人未満のところの中小企業に継続就業率が非常に低いという状況が出ているという調査の結果です。小規模企業では職場の柔軟な取組がいろいろ行われていますので、制度というようなことではなく、トップの判断によっていかようにでも継続就業ができるようなことが大企業以上にあるということのまさにわかりやすい資料なのではないのかと思います。しかし、中小企業のうちの中規模といわれるようなところについては、出産を契機に退職するというのは非常に割合として高くて、これは従業員間の不公平感というバランス感をとる場合に柔軟な取組は非常に困難になってしまうというようなことがありまして、また、それを公平感を持たれるような形での制度整備をするということでありますと、やはりここに限界感を感じざるを得ないというのが現状だと思います。
3ページ目ですけれども、これは、この資料を見たときにかなり意外だなと思ったんですけれども、このグラフの中の自分が利用する場合というときには周りに迷惑がかかるのだろうなというようなことを思う人が多いということがあります。これは意識調査ですから注意が必要ですけれども、自分の立場がその中で、上であるか、下であるかということを見る場合に、自分の上位者が利用するということに関してかなり否定的な部分が傾向として見られるということです。つまり、先程の話との対比にもなると思いますけれども、両立支援の意義とか必要性についての普及啓発活動というのは、単に特定の層だけではなくて、全層といいますか、国民を対象にしたような活動が求められるのではなかろうか、と感じた次第です。
その次のページですけれども、これは意識調査の累積ですので、ちょっとグラフとしてこういうグラフがいいのかどうか定かではないのですけれども、右から2つ目のところの従業員の要望というところ、グレーのところが全体として、これも100人を境にして傾向的に違っているということがあるのではないかと思います。これは何かというと、従業員の要望は、大企業になればなるほどその割合は高まってくるのかなということと、それともう一つ、順番が逆になりましたけれども、中小企業では経営トップの意識とか、姿勢とか、そういったものに左右されて両立支援が動き出すということなのではなかろうと思います。大企業ではCSRですとか、人事政策でメリットがあるという観点から取組が進められることが多いのではなかろうかなというのは、前回の両委員の御説明の中にもそういった傾向があらわれていたのではないのかなと思います。
次のグラフですけれども、これは影響がどうあるかということですけれども、先ほど何人かの委員の方から御説明がありましたけれども、コスト増になるのかどうなのかということに関しては、この真ん中の白でもない、黒でもないというようなところの層は意外に多いことがこのグラフからわかるということで、それほど端的に両立支援がプラス、マイナスというような白黒つけがたいというようなことなのではなかろうかと思います。下側の黒のポツがありますけれども、両立支援の取組の必要性の認識が総じて希薄であるというようなことが、ちょっと強引かもしれませんけれども、結論的にとらえられるのではないかと実感しているところであります。
というところで、結論的なことになりますけれども、「中小企業における両立支援の定着には」ということで、4点私なりに感じていることをちょっとまとめさせていただきました。1つは、これも前の御発言の中にもありましたけれども、経営トップへの強い動機づけというのが必要になるという点がまず1つだと思います。「普及・啓発施策の充実」ということで、少子化問題との関連を含めながら、そういった動機づけを図っていくということでいろんな経営者団体があろうかと思うのですけれども、ちょっと意識されてないのか、私の不勉強で存じ上げないのかあれですけれども、例えばロータリークラブですとか、ライオンズクラブですとか、そういう任意団体というか、そういったところへの働きかけというのはいかがなものなのでしょうかというか、割とそれらの団体には地域の名士の方というか、トップが集まってきていて、社会政策というか、いろいろな、それこそボランティア的なことというのも非常に、活動としてはすごく前向きないい活動をされているとういうふうに見える組織だと思うのですが、両立支援なんていうことをそこで考えているという事例は恐らく聞いたことがないのではないかと思います。また、あるいは私もきのう参加してきたのですけれども、法人会といった団体、これは税の関係のことですけれども、そういった団体もいわゆる経営といったことを考えてみますと、こういう両立支援ということもそこで絡むのというのについては、動機づけを図られるといいのではないかと思いました。
また、もう一つは、そういった経営トップがメリットを感じられるようなさらなる施策を拡大していただけることも必要なことなのではないかと思うのです。先ほどもお話がありましたけれども、入札資格の要件として、そういったものを入れるということは飛びつきやすい1つの状況になるのではないのかなということを感じます。また、金融・税制の優遇施策等も今以上にまた見直し等も必要になってくるのではないかと思います。
2点目についてですけれども、「両立支援への取組に対する社会的評価の充実」ということで、今、次世代法の中で行動計画の策定・届出というようなことでありますけれども、策定・届出をするということが中小企業にとっては1つのハードルになっていることで、一切そういったことを考えてないという周りの企業の状況をよく聞きます。としますと、届出段階で社会的評価があるとないとでは随分違うのではないのかなと思いますので、クルミンのマークとはまた違う形で、あるいは私も存じ上げないというか、不勉強でよくわかりませんけれども、法制度でない形の中で外郭団体等もお使いになりながら、提出企業が申し出たところで、別な評価のマークなのか呼び方なのかわかりませんけれども、そういったものを与えるということは動機づけになるのではないのかなと思います。
それから、現行の認定制度ですけれども、中小企業にとって、特にハードルが高いと感じることは男性の育児休業等の取得者の基準が非常に大命題としてというか、その基準の達成が非常に困難であるということが認定のハードルを高くしているのではないのかなと思っております。これはこれで共通の基準の中では必要なのだろうと思いますけれども、いろいろほかの制度に目を移しますと、例えばゴールド、シルバー、ブロンズのような幾つかの段階というのがあるわけであって、中小企業にとっては、その導入口のところで、先ほどもっと幅広い意味でのというようなこともありましたけれども、例えば時短の取組ですとか、何とかということをしているということであれば、もうちょっと低いレベルでの評価があってもよろしいのではないのかなというふうにも思いますので、そういった評価制度も是非検討の対象にしていただけるとよろしいのではないのかと思います。
それから、3点目としては、この「中小企業の経営安定化支援施策の充実」ということで、これは成長力底上げ戦略という取組を今政府の方でされているということも今回のこういった分科会に出させていただいて聞き知ったような次第ですけれども、取引上の劣位で低収益・高コストというようなことを強いられているというようなことが中小企業の場合、非常にありますので、そういったことに関してのケアをこの戦略の中での絡みでぜひ強力に推進していただけるとよろしいのではないのかなというふうに思いました。
それと、こういった両立支援の実態調査を何なりか定点観測していくというようなことがやはり必要なのではないかということで、そのとき、そのときの状況でいろんな資料等があるのはよろしいことではないのかと思うんですけれども、指定統計化することによって進捗状況を定点観測していくということも必要なのではないのかというようなことも感じたりしました。
実例は、また、いろいろ口頭での話ということに致しまして、書面に出すレベルではこのような形でまとめさせていただきました。以上です。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは、最後に山口委員お願いします。今日、資料が配布されているかと思います。

○山口委員
 資料が別配布で申し訳ございません。発言メモという簡単なメモを出させていただきました。私の方からは、この順番でいうと、3番目に書いてございます連合の「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)基本的な考え方」ということを述べさせていただきたいと思います。現在、連合内部で政策制度分野と労働政策分野と合同でというか、連合全体がかかわってこのワーク・ライフ・バランスの実現、あるいはワーク・ライフ・バランスというものはいかなるものかということについて現在議論をしているところでございますので、ここで詳細に申し上げることはできません。その前提としてというところで1)、2)の部分に触れさせていただきたいと思います。
やはりワーク・ライフ・バランスの実現を考えるに当たって重要なことは現状でありまして、この分科会の重要テーマであります働き方の改革を必要とする現状はどういう現状なのであるかというところの問題意識が重要だというふうに思っています。これは第1回のときにも発言させていただき、しつこくて申し訳ありませんが、これは多分御報告の中にもありまして、共有化されていることだと思います。職場における長時間労働の実態、それから不安定で低所得の非正規雇用の増大、若者を含めて女性もそうですが、高齢者含めて非典型でなくては働けないといった実態、この課題に取組、これを是正するということなしにワーク・ライフ・バランスの実現に到達しないのではないかということで、常にここを基本スタンスに置いて考えているわけでございます。働き方の改革の視点ということを企業、労働組合も含めて労働者、行政というか、国の施策というか、そういう3つの視点で考えていきたいと思いますが、企業について、私が企業と発言すると労働組合が企業に対してまた負担をかけるというようなことになりがちですが、これも第1回で申し上げたとおり、すべてがそこではありません。
私は、働き方の分科会の働き方というフレーズの中にちょっと主体的な響きがあると考えています。労働者がいかに働き方というものを変えていくか、そういうような視点ももちろんあるのですが、働くという視点で自らの働き方を変えるというのは結果的に働き方を変えることの半数ぐらいしか占められなくて、多くは企業の「働かせ方」の改革をもってしなくては実現できないというふうに思っております。企業においての「働かせ方」の改革というものは、前回、木村委員、横山委員から御報告いただいたように、既にそういった改革に取り組んでいらっしゃるところもありますし、今日武石委員や藤木委員から御報告もありました中小企業でも、という言い方ですけど、そういう取組もしている。
特に武石委員の御報告で、私はこの「働かせ方」というのは重要なものだというのを強く認識したわけですが、トップリーダーの強い意識、それから、お金は使えなくても知恵とか工夫とかでできるのだというような御報告を伺って心強く思い、そういう視点での働き方の改革が必要であろうと。それから、そういう強い意識を持って、それを全従業員に浸透させるというようなことも重要なのではないか。
それから、労働者・労働組合というところでいえば、自らが働き、これは働き方というものを、働くということをどう考えるのかということを労働者の立場でもう一度しっかり考える必要があるのではないかと思います。経験的にではございますが、労働時間の問題、長時間労働も含めて職場で考えますと、ややもすると、労働者自身が仕事がないにもかかわらず何となく会社にいなくてはいけないというような意志を持ってではないけれども、何かに強制されるような働き方をしていると、なかなかそういうふうに意識変化できないというようなこともありますので、そういった意識変化と簡単に言ってしまうのですが、そういうところも含めて取り組まなくてはいけない。また同時に労働組合としてもしっかりとこのワーク・ライフ・バランスというものを企業内で考えるに当たっては対等な立場で企業と議論する。あるいは、ワーク・ライフ・バランス、連合が考える中では提言をしたいのですが、労使共同宣言といいますか、この企業が求めるものは、この企業におけるワーク・ライフ・バランスというものはこういうもので、企業あるいは労働組合は従業員・労働者にこういった働き方、こういった生活の仕方を求めるというような宣言などをするというのも具体的には考えているところです。
それから、行政というようなところで、ここの分科会の場ではない、例えば労働に関するルールの徹底とかということは行政の役割だと思いますし、これももう一つ、国民的合意というのは大げさですが、きょう御報告いただいた委員の皆様の中にもありましたけれど、国民はこれからどういう社会を求めていくのか、そういったようなことをかなりビジュアルに発信をして、それの共有化するということなくしてはなかなかワーク・ライフ・バランスの実現というのは到達しないと思います。ややもすると、長時間労働につながっているところは、例えば消費者である多くの市民が過剰に求める結果、長時間労働になってしまうとか、あるいは過剰に求めることによって価格をかなり抑えなくてはいけないことがいろいろ雇用に影響するとか、そういったようなこともあります。私たちは何げなく市民の言動がそういうところにも影響しているのだと、そういうことを少し心して市民として生活しましょうとか、そういったようなことが必要なのではないかという視点でございます。
いずれにしましても、この働き方の改革というところではワーク・ライフ・バランスというものの実現に資する改革を取り組まなくてはいけないという視点で発言させていただきました。以上です。

○樋口主査
 ありがとうございました。それでは、ただいま何人かの委員からお話をいただきましたが、それについて御質問、御意見がございましたら、どうぞ御自由にお願いいたします。

○長谷川委員
 積極的な前向きの提言をしたいと思うのですが、先ほども藤木委員の方から御説明がありましたように、中小企業の場合に両立支援に取り組もうと思っても敷居が高いところがある。もう少し柔軟な目標を設定してもらいたいという話がありました。実際に今前半で、こういう資料をいただいて拝見していると、非常に盛りだくさんの施策を実施していらっしゃるのですが、この1つひとつがどれだけ本当にきめ細かく若い男女のニーズに合っているかどうかということのそのきめ細かい検討が本当になされているのかどうかというのは少し疑問なところが幾つかあります。殊に先ほど藤木委員が言っていらっしゃいました男性の育児休業取得の高さの設定があると非常に敷居が高くなってしまうというお話あります。
資料2‐3の52ページの男女の育児休業取得率を見てみますと、現在の男女の育児休業取得率が出ていまして、その下に「子ども・子育て応援プラン」(目指すべき社会の姿)女性80%、男性10%というふうにあります。しかし、もう片方で、子育て中の女性がパートナーに求めることとして、家事・育児をもっと手伝ってほしい。しかし、そのもっと手伝ってほしいということが果たして育児休業をとってほしいということなのか、むしろある一定期間、残業をしないで済むというような制度とか、いろいろとりやすいバラエティーのあるシステムをつくっていただいた方がむしろ本当のニーズに合っているのではなかろうか。
こういう高い目標を設定してしまうと、本当に志のある中小企業も参入できない。しかも、本当に女性が望んでいることはそんなことではない。お父さん、もうちょっとだけ早く帰ってきてくださいということかもしれない。そういったきめの細かい見直しの1つとして、男女の育児休業取得率の目標設定、これをもう一回見直しした方がいいのではないかなということを御提案したいと思います。

○樋口主査
 これは我々の前に「子ども・子育て応援プラン」の方で決めた話であり、この設定について、どのように受けとめたらいいのでしょう。事務局より説明願います。

○麻田雇児局職業家庭両立課長
 長谷川委員からいただいた御指摘ですけれども、この10%、80%というのが決まっておりますのは、「子ども・子育て応援プラン」という政府で5年間の目標として決定したものです。この中には育児休業のことだけが取り上げられているわけではありませんで、国全体として子育て支援していくためにたくさんの施策とその数値目標が掲げられています。先ほど出ました次世代法に基づく行動計画をできるだけたくさんの企業がつくるようにという、作成率の目標ですとか、あるいは男性の子育てといいますか、早くうちに帰るということにつきましても、例えば長時間にわたる時間外労働をしている人を1割以上減らしていくとか、年次有給休暇の取得率を上げるとか、こういう休暇をとるということだけではなくて、労働時間を生活しやすいものにしていくとか、あるいは生活の事情に応じて休みがとれるというようなことも含めて目標として取り組んでいるところでございます。

○長谷川委員
 もちろんそうだと思うのですが、この10%という目標の水準はどうやって出てきたのですか。

○麻田雇児局職業家庭両立課長
 これは女性が80%、男性が10%というふうに掲げておりますけれども、まず最初に、要は育児休業について理想的な状態は何だろうかと、問題設定しまして、希望する人が全員安心してとれるという状態が我々の目指す状態であり、希望する人が今どのくらいいるのだろうかということから既存の統計の中で希望している者の割合を推計してみたわけです。そうしますと、女性の場合は、その時点で女性の取得率というのがありまして、それ以外に取得したいけれども、職場の雰囲気とかいろんなことがあってとれないという人を実際にとった人に足し合わせたら76%でありましたので切りのいいところで80%と設定しました。
また、男性の方ですけれども、子育て層の男性を対象とした統計調査がありまして、その中で機会があれば育児休業を取得したいと答えている男性の方が7.4%いらっしゃいました。そういうことも踏まえて、これも切りのいいところで10%といたしました。要は取得したい人が取得できるという状態を数字に置き換えたら何%だろうかということから設定をしたものです。

○長谷川委員
 わかりました。ただし、その場合、そういう統計の扱い方は難しいと思いますが、希望という言葉にいろんな幅があるんですね。女性の場合の希望というのは、体の方が悲鳴上げているから、もう無理よという、それが希望という形で出てくる場合もあるし、もらえるのであればもらいますよという希望というのもあるでしょう。そのあたりはただ希望だけで切らないで、いろいろ希望のバラエティーをあぶり出すような、少なくとも2通り、3通りぐらいのいろんな調査をバックにして数値を出していただきたいと思います。

○武石委員
 私は『男性の育児休業』という本を書いておりますので、説明を補足する責任もあるかと思います。長谷川委員の質問にも少しお答えしたいと思うのですが、男性の育児休業で「取りたいですか」と聞くと、もっと多くて半分ぐらいの人が「取りたい」とおっしゃるんですね。実際に「子どもが生まれたときに取りたかったですか」と振り返って聞いてみても、半分ぐらいの人が「取りたかった」と答えていて、かなり潜在的ニーズはあると思います。麻田課長がおっしゃった「取りたい」というのは、たしか私の記憶ですと、ぜひ取りたいというかなり強いニーズをベースにした数字ではないかと思います。
長谷川委員がおっしゃるように、夫婦で一方が仕事を100%、他方がライフを100%やってバランスをとるというのもそれは1つのやり方だと思いますが、一方で、男性でも育児休業をとりたい人がいるとか、フィフティー・フィフティーでやりたいという人たちもいて、かなり多様な社会になっていることを前提にしながら、これからの少子化対策といいますか、働き方というのは考えていかなくてはならないのではないでしょうか。いきなり企業に対して男性社員で子ども生まれたら1割とってくださいねというのは、中小企業も厳しいと思いますが、1割という数値目標は、社会全体としてそういう方向に進むような目標値として設定されたものであり、これは企業に義務づけている目標値ではないと私は理解しております。1つの社会の目標値として、とりたい人がとれる社会というのは、私は長谷川委員のおっしゃっているワーク・ライフ・バランスのあり方と必ずしも矛盾しないのではないかと思っております。

○長谷川委員
 よくわかりました。その場合、育児休業のとり方についても、例えばかなり短期間の、奥さんが出産直後の期間、奥さん一人ではお手上げだよと、こういった男性の育児休業の希望もあるでしょうし、もっと長期の希望もあるでしょうね。そうした多様性に応じた柔軟なシステムをつくっていただきたいということですね。それが数値目標出てしまうと非常に硬直した受け取り方をされてしまうところもあるので、そのあたりの柔軟性を増やすという観点から取組の目標としていいのではないかと思います。

○山口委員
 今の議論に関連あるかもしれませんが、長谷川委員がおっしゃっている妊娠・出産にかかわっている女性は1年ぐらい大変負担がかかる。その間の生活を維持するためにもパートナーである男性の働きが必要だというような性別役割分業というのは合理的だというものに対してちょっと意見を申し上げたいと思います。それは例えば家族というものが所与の問題である。女性よりも男性の方が総じて賃金が高い。だから男性が休むより女性が休暇をとって、自分自身の体をケアするということの方が合理性があるというところにつながってしまうわけですけど、今、武石委員もおっしゃっていたように、過去それが当たり前であったところと比較すると大きく変容しているわけです。家族というものも一律的ではなくなってきているし、男性と女性の働き方とか、あるいはライフサイクルというものも大きく変わってきて一律で言い切れないというような、今、この議論をするときに、過去にさかのぼるじゃないですけれど、そういったアプローチというのは私はとるべきではないというふうに思います。
必ずしも働きたくないのだと。子育てに専念したいと、それを否定するわけではなくて、ただ、多くの女性が働き続けたい。それから、今まで働くことだけであった男性たちも今の事例であるように、現場でもそうですけれど、できることだったら育児に大きくかかわりたいというようなことがあって、それができないのが男女の例えば賃金格差であったりとか、労働時間差であったりとか、そういったようなことをどう解決していくかというときに、何度も申し上げますが、家族という所与のものであるという認識からのアプローチというのはちょっと危険ではないかというふうに思います。特に女性の場合、過去そういうような性別役割分業のものというか、それを選択して生活してきて、今、特異な例かもしれませんけれど、多くの単身の高齢女性の貧困があったりとかというところから、自分自身の働き方を変えようという、そういう方向になってきていると思いますので、私の意見としては、意見はおありだと思いますけれど、それについてはそういう視点でアプローチするべきでないということを申し上げておきたいと思います。

○長谷川委員
 ちょっと誤解していらっしゃるようですが。

○樋口主査
 順番にいきましょう。

○長谷川委員
 全然そのようには言ってないということだけはちょっと申し上げた上で、阿部委員どうぞ。

○阿部委員
 気を取り直して。多分我々はこれから先、日本の社会を考えて戦略を考えるということで集まったのだと思います。これから、先ほども冒頭お話しましたように、労働力人口が減少していくという中では多分企業はこれまで以上に年齢とか性とか、あるいは人種といったものにかかわらず、個人の能力を発揮させるような仕組みを一層とっていくのだろうと。現実に男性・女性関係なく、かなりいい仕事につけている企業多い。
先ほど長谷川先生が家族単位で考えるのではないかと申されまして、私はそれを否定しません。ただし、家族の中で考えるとしても、個々人の中では協調とか、コミュニケーションをとりながらやっていくのだと思います。
そうなってきた時に、多分これから次のようなことが起こりやすいのだろうと思います。男性も女性もそれなりに企業の中で能力開発をされて面白い仕事をしてきたと。ところが女性だけは大変な出産を迎えるときに、男性だけでやっていきましょうとなると、女性はどうなるでしょう。ここに豪華なディナーがあるのに、これを食べようと思ったら食べれなかったという状況になるのではないか。そこを家族の中で調整をし、協調していく。それに企業が少なからず援助していく。それが簡単にいえばワーク・ライフ・バランスを企業が援助するということだろうと思います。その中には育児休業もあるでしょうし、病気休業もあるでしょうし、あるいは短時間就業もあるでしょうし、先生おっしゃる再雇用というのもあっていいと思います。そういう制度をいろいろ用意して、それを企業がうまく運用し、そしてもって個々人が能力を発揮できることが、多分これからの社会としては必要だろうと思います。
これまで企業は、多分労働力が増える中でいろいろ物事を考えていたので、その意味では性別役割分業の中でも、社会も持続できてきたし、企業も持続できてきたのだろうと思います。それが果たして今後も続くかというのは我々考えていくべきではないかというふうに思います。

○長谷川委員
 さっき申し上げた中で全く誤解されている部分だけ訂正しておきたいと思います。今回の私の提言は、全く何のイデオロギーも背景にしておりません。ただ、単純に子どもを育てるのにはお金も手間もかかる。女性には大変な負担がある。そして、今、阿部委員がおっしゃったように、家族の中での協調ということが非常に大事で、どちらかにアンバランスがかかってはいけないということになると、少なくとも男性は、女性がしばらく収入が減る可能性のある場合に安定した職業についていたいと思うのは、これは当然だろうという、全く単なる理屈の机上のお話をしたわけで、過去の習慣もそれに照らしていえば、合理的と判断できるかもしれませんねということ以上のことは申し上げてないので、それは是非お間違いないようにお願いしたいと思います。
そして、確かに女性がやりがいのある仕事をしていて、そして、それは負担があってもやりたい、という方もおありでしょう。私も自らを省みて、大いに同感できます。ただ、日本全体で見たときに、どうなるか、これはもう一回、私の資料の3枚目の図4を見ていただきたいのですが、1歳になるまでの間、休業したり、非就業したい人が9割近いという、このパーセンテージ、これは決してうんと古い昭和40年の統計なんかじゃありませんよね。これを見て、それで申し上げているんです。別に何かイデオロギーやタイプに基づいて言っているのではないかということを御理解いただきたいと思います。

○阿部委員
 ただ、今の資料もそうなんですが、私が添付しました内閣府が昨年やった調査のところでも。

○長谷川委員
 ライフコース選択の実情。

○阿部委員
 そこですね。その中で、これまでの働き方に不満を持っていると。余りおもしろい仕事についてないという人たちがやめている率が多いんですね。そういうことを考えていきますと、これまではそれほど活用されてなかったという現状の中で、余りおいしいようなものがなかったとので、それであれば家庭でやりましょう。それはそれで私はいいと思うんです。
ただ、先ほど私が申し上げたように、これからは多分面白い仕事が増えていくのだろうと。そこのときのフリクションをどういうふうにするかというのを私たちは議論した方がいいと思います。先生がどのような意見をお持ちとか、そういうのではなくて、過去は過去であったのは事実です。ただ、これからどうするかを考えた方がいいのではないかと思います。

○長谷川委員
 いや、本当に「面白い仕事」が増えるようになるといいですね。

○阿部委員
 いいですね。

○樋口主査
 数の多寡ではなく、また、少ないからそこはちょっと我慢してもらおうというのはなかなか通じない論理であって、少数派であっても、そういう人たちも自分の考え方を実現できる社会をどのように構築していくかという中では、ある意味で多様な個々人の選択というものを尊重しましょうということについては、どうも皆さん共通した認識だろうというふうに思います。
それでは、時間も参りましたので、きょうの議論はこれで終わりたいと思います。
次回は、当分科会としまして、報告書の提言を取りまとめていきたいというふうに考えております。これまで分科会で議論されました内容を踏まえまして、スケルトン案を次回提示したいと思いますので、その後、そのスケルトン案をベースに提言の取りまとめにつきまして皆様に御議論いただきたいというふうに考えております。
それでは、事務局からお願いいたします。

○金子政策統括官
 統括官の金子でございます。今日は諸先生方に大変タイトな時間の中でプレゼンテーションしていただきまして恐縮でございました。少し議論する時間が足りなかったのかなという感じもいたしまして、恐縮に存じます。
次回につきましては、5月8日の17時からということで日程調整をさせていただいております。後日、詳細につきまして御連絡を申し上げたいと思います。
どうもありがとうございました。

○樋口主査
 どうもありがとうございました。