資料3-2 人口構造の変化に関する特別部会「議論の整理」(平成19年1月26日)のポイント

資料3-2
平成19年2月27日
第1回「子どもと家族を応援する日本」
重点戦略検討会議「働き方の改革分科会」

人口構造の変化に関する特別部会「議論の整理」(平成19年1月26日)のポイント

人口構造の変化の影響

  • 単純な人口規模の縮小ではなく、労働力・世帯・地域等の「姿」が大きく変化することに注目すべき
  • 労働力人口:労働力率が現状のまま推移すれば、生産年齢人口減少に伴い減少
    2030年まで:生産年齢人口は既にほぼ確定
    →若者、女性、高齢者の就労促進により、労働力人口減少の緩和を図ることが必要
    2030年以降:生産年齢人口はこれから生まれる世代
    →効果的な少子化対策を強力かつ速やかに講じることが不可欠
  • 世帯構成や地域の姿等:「人口構造」の変化により、生活の状況も大きく変化
    2055年:50歳代は概ね4人に1人が未婚
    →約4割の世帯が「単身かつ無子世帯」
    ※単身世帯は社会的リスクに弱く、可処分所得減少の影響受けやすい
    →要支援世帯増大や負担能力減少など、社会全体に大きな影響を及ぼす懸念
    2055年:出生数は50万人弱
    →地域社会で目にする子ども数は大幅に減少
    →地域社会の支え手も相当部分が高齢者に

→国・地方、経済界や労働界、地域社会において、将来の暮らしを守る観点からの少子化対策の必要性の認識について、機運の醸成も喫緊の課題

出生等に対する希望と実態との乖離の拡大

  • 結婚や子ども数に対する国民の希望と、現実の少子化の進行状況とは大きく乖離
    この30年間、希望には大きな変化はないが、出生率は低下し、乖離が拡大し続けている
  • 社会経済の発展に伴い、就労や社会参加等の個人の希望が拡大する中、結婚や出産・子育てと就労の両立に係る社会的選択肢が拡大しないため、二者択一を迫られ希望の実現を犠牲に

→こうした希望が実現できるよう社会的選択肢を拡大する視点が重要

出生等に対する希望を反映した人口試算

  • 結婚や子ども数についての国民の希望が一定程度実現したと仮定して将来の人口の姿を試算
    →新人口推計の結果等と比較検討、施策の立案等の議論の素材
  • 結婚や出生行動は国民一人一人の選択に委ねられるべき性格のもの
    試算は、「子供を産み育てやすい社会」の「可視化」を試みたもの→「出生率目標」の類ではない
前提(国民の希望値):
生涯未婚率10%未満、夫婦完結出生児数2.0人以上が実現=合計特殊出生率1.75程度(ケースI)
試算結果2055年の姿[新人口推計][希望を反映した人口試算(ケースI)]
希望実現の程度により、ケースII~IVも試算 総人口 9千万人弱 概ね1億人
高齢化率 4割以上 35%程度
出生数 約45万人 90万人弱
生産年齢人口 比率は同程度だが、人数はは試算が約800万人の増

結婚・育児と仕事との両立の必要性

  • これまでの女性の労働力率の上昇は、主に未婚率の上昇の影響
    ←仕事と子育ての両立が困難で、就労継続と結婚・子育てが、いわば二者択一
  • この構造を残したままでは、結婚や出生に対する国民の希望の実現と、今後の安定的な社会経済の発展の基盤となる労働力の確保とを同時に図ることはできない
  • 有配偶の女性が希望するように就労を継続できる環境の整備が必要
    →結婚や出生に対する国民の希望を実現しつつ、2030年の前後を通じて持続的な経済発展に必要な労働力も確保される

女性の未婚者と有配偶者の労働力率の大きな差をもたらしている仕事と子育ての両立が困難な現在の構造=「就業したいという希望」と「子供を産み育てたいという希望」の二者択一を迫られる構造 → 女性が安心して結婚出産し、男女ともに仕事も家庭も大事にしながら働き続ける選択ができるシステム


結婚や出生行動に影響を及ぼしていると示唆される要素の整理

(各種調査・研究結果から示唆される要素を可能な限り整理したもの)

《結婚》経済的基盤、雇用・キャリアの将来の見通し・安全性

〔調査・研究結果〕

  • 男性では、年収が高いほど有配偶率が高い。
  • 男性では、正社員に比べて非典型雇用の場合、有配偶率が低い。
  • 男性未婚者では、正規雇用者に比べてパート・アルバイトの結婚意欲が低い。
  • 男女雇用機会均等法施行以降に就職した世代の女性では、最初に勤務した勤務先での雇用形態が正規雇用と非正規雇用者の場合で比較すると、非正規雇用の未婚割合が高い。また、利用可能な育児休業制度の有無で比較すると、利用可能な育児休業制度がなかった層で未婚割合が高い。
  • 1歳児入園待機者の多い自治体ほど女性の結婚確率が低い。

下向き矢印

経済的基盤:
収入が低く雇用が不安定な男性→未婚率 高
出産後の継続就業の見通し:
非正規雇用の女性、育休が利用できない職場の女性、保育所待機児童が多い地域の女性→未婚率 高

《出産(第1子~)》子育てしながら就業継続できる見通し、仕事と家庭の調和

〔調査・研究結果〕

  • 育児休業が利用可能、取得しやすい雰囲気の職場の女性の方が、育児休業が利用できない職場の女性より出産する割合が高い。
  • 雇用機会均等法施行以降に就職した世代で、育児休業が利用可能な職場に勤めていた女性は、それ以前に就職した人とほぼ同程度に出産を経験している。
  • 勤務先に育児休業制度がある場合、少なくとも子どもを一人産む確率がその他の場合より高く、無職の女性より出産確率が高くなる。
  • 男性が長時間労働していた家庭では、労働時間の増えた家庭よりも減った家庭の方が子どもが生まれた割合が高い。
  • 女性の勤務が長時間労働の場合は、第1子を産むタイミングが遅れ、出産確率も低下する。

下向き矢印

出産後の継続就業の見通し:
育休利用可能→出産確率 高
仕事家庭生活との調和:
長時間労働→出産確率 低
※働き方+家事・育児の分担+保育所利用→相互に組み合わせることで継続就業効果 高

《出産(特に第2子~)》夫婦間の家事・育児の分担

〔調査・研究結果〕

  • 子どものいる世帯で、妻から見て夫が家事・育児を分担していないと回答した世帯では、分担していると回答した世帯に比べ、妻の子どもを持つ意欲が弱まる。
  • 夫の育児遂行率が高い夫婦の方が、追加予定子ども数が多い。

下向き矢印

男性の家事・育児分担:
男性の分担度が高い→女性の出産意欲、女性の継続就業割合 高
※夫の労働時間が長い→家事・育児分担 少

《出産(特に第2子~)》育児不安

〔調査・研究結果〕

  • 子どもが1人いる母親の場合、育児不安の程度が高まると、追加予定子ども数が減少する。
    (子どもが2人の場合も概ね同様の傾向)

下向き矢印

育児不安:
育児不安の程度が高い→出産意欲 減
※家庭内・地域からのサポート:配偶者の育児分担への満足度が高い、保育所・幼稚園からのサポートが高い→育児不安 低

《出産(特に第3子~)》教育費の負担感

〔調査・研究結果〕

  • 予定子ども数以上の子どもを持たない理由として教育費負担感をあげる者の割合を予定子ども数別に見ると、予定子ども数を2人とする者のところからその割合が高まる。
    (1970年代以降の生まれでは、予定子ども数が0人・1人とする者についても割合が高くなっている。)

下向き矢印

教育費の負担感:
3人目以降から割合が高い
※1970年代生まれ以降→1人目・2人目でも負担感が高い

当面焦点を当てて取り組むべき施策分野

出生率の要素別の乖離の状況

結婚の状況=上昇の余地あり
〔新人口推計〕生涯未婚は23.5%←→〔調査結果〕未婚者の9割以上が結婚を希望
子ども数=増加の余地あり
〔新人口推計〕2子以上を持つ者は6割弱←→〔調査結果〕未婚者の8割以上が2子以上を希望

※〔調査結果〕

現在0子・1子を持つ既婚者:追加予定子ども数は1.32人・0.64人

現在2子・3子を持つ既婚者:追加予定子ども数は0.08人・0.02人

→国民の希望を実現するためには、当面は「結婚したい」、「子どもを持ちたい」、「2子目がほしい」との希望に焦点を当てることが効果的

速やかに取り組むべき施策分野

  • 若者の経済的基盤の確立、継続就業環境整備、家事・育児の分担、保育環境の整備等、「働き方」、「家族・地域」の分野における効果的な施策の具体的な整理・検討が、特に重要
  • 今後の施策や子育て環境の変化等により、国民の希望水準自体も上下

→希望水準が低下して一層の少子化を招くという悪循環に陥らないため、希望ができるだけ実現するよう、早急かつ抜本的な対応が必要