主要国の家族政策と家族関係社会支出の国際比較

資料1
第2回「子どもと家族を応援する日本」
重点戦略検討会議「基本戦略分科会」
平成19年4月11日

諸外国の合計特殊出生率の推移

資料:
Council of Europe : Recent demographic developments in Europe 2004 及び各国統計から作成。(なお、1960年前はUN : Demographic yearbookによる。1991年前のドイツのデータは西ドイツのもの。)
主要国の家族政策の概況(未定稿)2007.4
 出生率の動向育児休業保育サービス児童手当・税制その他(特徴)
フランス
  • 1980年代は1.8程度で比較的安定的に推移
  • 90年代に入り、一旦1.7を下回った(1995年1.66)が、その後急速に回復し、2006年には2を上回る(2006年暫定値2.00)
  • 子が3歳になるまで
  • 「乳幼児迎入れ手当」から第1子6か月、第2子以降は3歳まで賃金補助(3歳までの間支給される基礎手当込みで、月額約7.9万円、第3子以降で休業期間を1年間に短縮する場合は給付額が11.3万円に割増)、財源は児童手当と同じ
  • 集団託児所、ファミリー保育所、認定保育ママなどにより提供
  • 3歳未満児の半数近くが保育サービスを利用
  • 託児所は財政難で不足気味で、認定保育ママが急増(認定保育ママ利用に関しては、「乳幼児迎入れ手当」から保育費用補助が受けられる)
  • 第2子以降、20歳未満
  • 第2子月約1.8万円、第3子以降月約2.3万円(11歳以上は加算)
  • 所得制限なし、拠出金(賃金の5.4%の事業主拠出金)、国庫(一般福祉税)
  • 税制では、N分N乗方式により、子どもの多い世帯ほど税負担が軽減
  • 事業主拠出金(賃金の5.4%)を主な財源とする家族給付制度が、家族手当だけでなく、育児休業中の手当や保育費用の補助(=「乳幼児迎入れ手当」)など家族政策を幅広くカバー
  • 親が出産育児について幅広い選択ができるよう配慮
スウェーデン
  • 1980年代前半に1.6程度まで低下した後、80年代後半に反転し、90年代初めには2を上回る水準まで回復
  • その後1.5近くまで低下したが、最近再び回復傾向(2006年1.85)
  • 子が1歳6か月まで全日休暇、8歳までの部分休暇
  • 子が8歳までの間、両親合わせて最高480日の休業給付を受給可(親保険制度、最初の390日は従前賃金の80%、その後90日は最低保障額(月額約8.6万円)を給付、保険料率(事業主負担)は賃金の2.2%)
  • 集団で施設保育の保育所、家庭的なファミリー保育によって提供
  • 基礎的自治体(コミューン)に保育の実施責任(通常申請の3~4か月以内に保育の場を保障するよう義務付け)
  • 2歳以上の約9割の児童をカバーするなどサービス整備水準は高い(逆に、両親休暇制度により、0歳児の保育所利用は極めて稀)
  • 第1子から、16歳未満
  • 子1人当たり月約1.7万円
  • 子2人以上の場合多子割増手当(16~19歳の学生も対象)
    2人約0.2万円
    3人約0.7万円
    4人約2.1万円
    5人約3.8万円
  • 所得制限なし、国庫
  • 税制における対応はなし
  • 育児休業給付水準と保育整備水準の高さで、児童の健全育成と男女機会均等の双方の達成を目指す
  • 女性の就業率が高く、給与水準が育児休業給付にも反映する制度となっているため、経済状況、雇用情勢と出生動向が連動する傾向
イギリス
  • 1980年代以降1.8程度で比較的安定的に推移
  • 近年低下傾向が続き、2001年には1.63まで低下したものの、最近上昇に転じる傾向(2005年1.79)
  • 子どもが5歳になるまでの13週間
  • 休業給付なし

母親に出産後最大1年間の出産休暇(2007年から休業給付付期間が9か月に拡大)、父親には子の誕生から8週間以内に2週間の父親休暇(休業給付付)がある
また、2003年からは、6歳未満の子を持つ男女の労働者に柔軟な働き方を事業主に申請する権利を付与

  • 公立施設は少なく、企業内施設や民間施設が主体
  • 5歳未満児の10数%をカバーする程度でサービス不足
  • 利用料は原則親の負担だが、保育費用の80%(子ども2人の場合週5.3万円上限)が税額控除
  • 近年保育施設の拡充に積極的に取り組む
  • 第1子から
  • 16歳未満(学生又は無報酬の就労訓練中の者は20歳未満)
  • 第1子月約1.7万円、第2子以降月約1.2万円
  • 所得制限なし、国庫
  • 税制では、2001年より、児童税額控除制度が導入。年間所得が低い世帯ほど控除額が大きくなる仕組み
  • 2000年より「ワークライフバランスキャンペーン」を展開し、仕事と生活の調和が企業の業績向上にもつながることを示す
  • 2004年に「チャイルドケア10か年戦略」を発表し、子どもに人生の最善のスタートを、親に仕事と家庭生活の調和に向けより多くの選択肢を保障するため、有給出産休暇期間の拡大、無償幼児教育権の拡大、保育費用税額控除の拡大と保育サービスの質量の充実等を打ち出す
ドイツ
  • 1960年代以降急速に低下し、90年代半ばには1.24まで低下(特に旧東独地域では統合後の社会的混乱と失業の増大で出生率は一時期1を割り込む)
  • その後はやや回復するものの、1.3程度で推移(2005年1.34)
  • 子が3歳になるまで両親合わせて最長3年取得可
  • 生後24か月まで月額約4.5万円支給(受給期間を12か月に短縮した場合には月額約6.7万円支給)、財源は連邦政府が負担(税財源)
  • 2007年以降生まれの児童については、12か月間(両親で休業を取得する場合は最大14か月間)、従前手取り収入の67%を保障する両親手当が導入
  • 旧西ドイツでは3歳未満の育児は家族の役割との意識が強く保育の整備水準が低い(3歳未満児に対する保育サービスの利用割合は13.5%(2006年、旧西独7.8%、旧東独39%))
  • 2005年から保育整備法が施行、家庭的保育を含めて、2010年までに23万人分の定員増により3歳未満児の20%をカバーする目標
  • 保育費用の3分の2(年額59.6万円が限度)は必要経費として税控除の対象となる(2006年より)
  • 第1子から、18歳未満(失業者は21歳未満、学生は27歳未満)
  • 第1~3子月約2.3万円、第4子以降月約2.7万円
  • 所得制限なし、連邦及び地方政府の負担(税財源)
  • 児童控除(扶養児童1人あたり約86.5万円の所得控除)との選択制(一旦児童手当が支給され、税控除が有利な場合には申告時に精算)
  • 児童手当の水準は高く、3年間の育児休業も保障されているが、保育サービスの整備水準が低く、出生率も低位にとどまってきた
  • これまでの対策が経済給付に偏り十分に効果を上げていない反省にたち、近年、保育施設の増設と育児休業給付の充実により、若い夫婦が子どもを持てるよう支援
イタリア
  • 1970年代半ばまで2を上回っていたが、以後急速に低下し、先進国の中で最も低い水準で推移(1997年には1.18)
  • 最近若干回復傾向にある(2006年暫定値1.35)
  • 子が8歳になるまでの両親合計10か月
  • 事業主から休暇前賃金の30%相当額が支給
  • 制度化されたのが、遅く保育所整備は遅れており(3歳未満児に占める保育所整備水準は7%程度)、多くの親が親族の助けに大きく依存
  • 近年、保育所を整備する自治体や企業に対する助成により、保育施設の増設に取り組む
  • 家族手当‥18歳未満の子のいる低所得の被用者家庭に支給、額は家族構成や年収により異なる(年収約170万円未満の3人家族の場合、月約1.9万円支給)、また、農民、職人等の低所得家庭には、18歳未満児童1人に月約0.2万円が支給
  • 大家族手当‥18歳未満の子が3人以上いる低所得
  • 低資産家庭に月約1.8万円が支給
  • 税制では、子ども1人あたり最大約43.2万円(所得が増加すると減少)の所得控除が受けられる
  • 長く国として特別な対応がとられなかった
  • 所得制限のない普遍的な児童手当制度が一般的な欧州諸国の中で、貧困対策の色彩の濃い手当制度となっている
  • 近年、EUの要求水準に近づけるべく、保育施設の増設や休業制度の整備に取り組む
  • 2004年に、第2子以降の子を出産した母親に約14.2万円のベビーボーナスを支給する出生促進策を1年限りの措置として導入。(2006年に再度導入)
アメリカ
  • 1960年代前半から70年代半ばまで低下したが、その後反転し、80年代後半には2まで回復。
  • 90年代以降は概ね2以上で推移(2005年2.05)
  • 他国のような出産休暇や育児休暇は制度化されていない
  • 「家族及び医療休暇法」に基づき取得できる12週間の休暇の理由の一つとして、家族の介護や本人の療養とともに育児(子の誕生から1年以内)が位置づけられている
  • 休業給付はない
  • 国全体を通じた制度はなく、保育は基本的に私的な対応
  • 学齢前の子どもの18.9%が保育所や保育学校に入所、13.8%が家庭型保育やベビーシッターを利用
  • 保育費用は原則として親の負担だが、保育費用の35%の税額控除(所得により上限あり)を受けられる
  • 児童手当制度はない。
  • ただし、税制で、被扶養者1人当たり約36万円の所得控除に加えて、17歳未満の扶養児童1人あたり年間約11.7万円の児童税額控除が受けられる(夫婦の所得が約1,287万円を超えると控除額が逓減、控除額が納税額を上回る場合には、一定の要件の下で差額の全部又は一部を給付)
  • 公的な施策の範囲は、低所得者など問題のある層への限定的な支援にとどめられ、経済的な支援も減税(税額控除)という形で実施
  • しかしながら、低賃金労働者が多く存在し、保育サービスの費用が比較的低く抑えられ、私的な対応が可能となっている
(注)
換算レートは、1ドル($)=117円、1ユーロ(ユーロ記号)=149円、1ポンド(ポンド記号)=220円、1スウェーデンクローネ(SEK)=16円(平成19年1~6月の基準外国為替相場及び裁定外国為替相場)
〔参考〕
 出生率の動向育児休業保育サービス児童手当その他(特徴)
日本
  • 1950年代後半から70年代前半まで2前後で推移していたが、70年代後半に2を割り込み、80年代半ばまでは1.8台で推移
  • 80年代半ば以降は、低下の一途をたどっており、国際的にも最も低い水準となっている(2005年1.26)
  • 子が1歳に達するまで(2005年4月からは保育所に入所できないなど一定の場合には1歳6か月に達するまで)子を養育する男女が取得できる
  • 育児休業給付として、雇用保険から休業前の賃金の40%が給付(2007年10月から50%に引き上げられる予定)

このほか、3歳未満の子を養育する労働者に対して、事業主は、育児休業に準ずる措置や短時間勤務制度、フレックスタイム制、始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、所定外労働をさせない制度、託児施設の設置運営のうちから、いずれかの措置を講じなければならないこととされている

  • 両親が就労するなどにより家庭での保育に欠ける児童は保育所で保育を受ける
  • 3歳未満児の約18%、3歳以上児の約38%が保育所を利用(4歳以上ではほとんどの児童が保育所か幼稚園を利用)
  • 女性の就労の増大に伴い、保育ニーズが高まっていることを踏まえ、2002年度からは「待機児童ゼロ作戦」を掲げ、保育施設の増設に努めており、待機児童数は徐々に減少しつつあるが、平成19年4月現在、まだ約2万人弱存在し、その解消が課題
  • 第1子から、小学校修了まで
  • 第1子、第2子月0.5万円、第3子以降月1.0万円(3歳未満児については第1子、第2子についても月1.0万円(2007年度から))
  • 所得制限あり(対象年齢児童の90%が給付を受けられる水準)、国、地方公共団体、事業主拠出金(総報酬の0.13%)を財源とする
  • 税制における扶養控除あり(個人所得課税において、扶養親族1人あたり38万円(所得税)又は33万円(住民税)が課税対象となる所得額から控除)
  • 平成元年の出生率が昭和41年(丙午の年)の1.58を下回った、いわゆる「1.57ショック」により、少子化の進行が一般に知られるようになり、以来、少子化の進行を背景に、子どもを安心して産み、健やかに育てる環境をつくることを基本的な考え方に取組が進められてきた
  • しかしながら、子育て世代の長時間労働など働き方の見直しが進んでいないこと、地域における人のかかわりが希薄化する中子育てが孤立化し不安感や負担感が大きくなっていること、若者が社会的経済的に自立して家庭を築くことが難しい状況になっていることなど、社会の状況の変化に対策の効果が追いついておらず、出生率は低下を続けている
  • 2004年に「少子化社会対策大綱」を閣議決定し、これらの問題に総合的に取り組む枠組みが作られ、この具体的実施計画として、「子ども・子育て応援プラン」が2004年末に策定された

児童・家族関係の社会支出

OECD基準による家族分野への社会支出の対GDP比(2003年)

家族関係の給付の国民経済全体に対する割合


家族関係の給付の国民経済全体に対する割合(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

OECD基準による社会支出のうち、家族分野への支出割合(2003年)

家族関係の給付の社会保障関連給付全体に対する割合


家族関係の給付の社会保障関連給付全体に対する割合(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

(注)
家族関係の給付とは、出産や育児に伴う給付、児童養育家庭に対する給付(児童手当等)、保育関係給付、支援の必要な児童の保護に要する費用、就学前教育費など

備考

 社会支出全体の対GDP比(2003年)国民負担率《潜在的国民負担率》(2003年)
日本 18.6% 36.3%《46.8%》
アメリカ 16.6% 31.8%《38.3%》
イタリア 26.0% 58.3%《63.2%》
ドイツ 28.4% 53.3%《58.7%》
イギリス 21.4% 47.0%《51.1%》
フランス 29.1% 60.2%《65.8%》
スウェーデン 31.9% 69.1%《69.3%》
資料:
OECD"Social Expenditure Database 2007"(日本のGDPについては内閣府経済社会総合研究所「平成17年度国民経済計算確報」による。)

各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2003年)


各国の家族関係社会支出の対GDP比の比較(2003年)(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

(資料)
OECD : Social Expenditure Database 2007(日本のGDPについては内閣府経済社会総合研究所「国民経済計算(長期時系列)」による。

フランスの出生率の推移と家族政策


フランスの出生率の推移と家族政策(TXT形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

資料:
Council of Europe : Recent demographic developments in Europe 2003(2004,2005はINSEE:2005 Demographic Reportによる暫定値), 厚生労働省:人口動態統計

スウェーデンの出生率の推移と家族政策


スウェーデンの出生率の推移と家族政策(TXT形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

資料:
Council of Europe : Recent demographic developments in Europe 2003(2003~2005はSweden Statisticsによる), 厚生労働省:人口動態統計

ドイツの出生率の推移と家族政策


ドイツの出生率の推移と家族政策(TXT形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

資料:
Council of Europe : Recent demographic developments in Europe 2003 (2003~2005はStatistischesBundesamtによる), 厚生労働省:人口動態統計

フランスの児童・家族関係社会支出額の推移

(資料)
OECD : Social Expenditure Database 2007

スウェーデンの児童・家族関係社会支出額の推移

(資料)
OECD : Social Expenditure Database 2007

ドイツの児童・家族関係社会支出額の推移

(注)
1990年までは社会支出額、出生率とも西ドイツの数値
(資料)
OECD : Social Expenditure Database 2007

日本の児童・家族関係社会支出額の推移

(資料)
OECD : Social Expenditure Database 2007