「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議 第4回 点検・評価分科会 議事要旨

1.日時

 平成19年4月23日(月)18:00~19:50

2.場所

中央合同庁舎第4号館 2階 共用220会議室

3.出席者


(有識者)
佐藤 博樹  東京大学社会科学研究所教授(分科会主査)
渥美 由喜  株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治  日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美  恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子  株式会社資生堂常勤顧問
奥山 千鶴子  特定非営利活動法人びーのびーの理事長
藤本 保  大分こども病院長
前田 正子  (財)横浜市国際交流協会理事長

4.議事概要


○佐藤主査
 これまで2回にわたって働き方の改革、地域・家族の再生に関する重点テーマについて関係省庁からの報告、企業や働きながら子育てしている方、地方自治体からヒアリング、分科会委員による報告をもとに議論してきた。本日から、分科会の中間取りまとめに向けた議論を行いたい。
 資料は、前半が働き方の改革、後半が地域・家族の再生という構成になっているので、前半と後半に分けて、最後には両方合わせて議論していただきたい。
 それではまず、前半について事務局から説明願いたい。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
資料1 点検・評価分科会における議論について(PDF形式:53KB)PDFを別ウィンドウで開きます
参考1 点検・評価分科会における議論について(参考資料)(PDF形式:52KB)PDFを別ウィンドウで開きます
参考2 第2回点検・評価分科会 厚生労働省説明資料(PDF形式:315KB)PDFを別ウィンドウで開きます
参考4 内閣府HP「少子化に関する意見募集」にお寄せいただいたご意見への対応~大臣からの返事
(「企業における子育て支援制度について」、「保育所の利用について」、「放課後子どもプランについて」)
参考5 内閣府HPにおける意見募集に寄せられた意見の結果について
(「地域における子育て支援拠点について」、「働き方の見直しについて」)
 まず、参考資料であるが、参考1は、これまでの議論に関するデータの整理である。参考2は、第2回点検・評価分科会で厚生労働省から提出された資料、参考3は第3回分科会で厚生労働省から提出された資料である。参考4と参考5は、内閣府のホームページに寄せられた意見に関する資料である。
 まず、参考1をご覧いただきたい。「現状と課題(データの整理等)」の(1)は継続就業環境整備の関係である。(1)として、女性の約7割が第1子出産を機に離職し、そのうち約3割が両立環境が整わないことを理由に辞めている。「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさで辞めた」と回答した理由として、「体力がもたなさそうだった」、「育休を取れそうもなかった」、「保育所の開所時間と勤務時間が合いそうにもなかった」、「子どもの病気等で度々休まざるを得ないため」といったことが挙げられている。次に、「利用できれば仕事を続けられた支援・サービス」として、保育園・託児所、育休制度、職場の理解、看護休暇制度、夫の協力といったことが挙げられている。
 次に3ページ目であるが、(2)として、特に中小企業において育休制度等の利用が立ち遅れている。中小企業では育休取得者の業務をカバーすることが難しいことなどから、両立支援制度の利用が進んでいない。育休制度を就業規則に規定している企業の割合は、全体でみると17年度は61.6%、規模別にみると、企業規模が大きいほど就業規則に規定されている割合が高く、5人から29人まででは56.5%となっている。また、勤務時間短縮等の措置状況をみると、全体で41.6%となっている。なお、「子ども・子育て応援プラン」においては、育休制度を就業規則に規定している企業の割合の目標は21年度で100%になっている。
 次に、両立支援策の利用促進上の問題点については、「代替要員の確保が難しい」、「社会通念上、男性が育児参加しにくい」、「日常的に労働時間が長い部門・事業所がある」、「職場で周りの人の業務量が増える」といったことが挙げられている。
 次に4ページ目であるが、(3)として、男性が育児に主体的に参加できていないということがある。例えば、職場優先の働き方、キャリアや業務知識への影響などから育休が取りにくいといった状況にある。育休の取得率をみると、女性の取得率は着実に向上しており、平成17年では72.3%となっているが、男性の取得率は低い水準にとどまっており、17年で0.5%となっている。「子ども・子育て応援プラン」での「目指すべき社会」、概ね10年後の展望では、男性10%、女性80%という目標となっている。
 育休を取得しなかった理由について雇用者男性に聞いたところ、「仕事の都合がつかなかった」、「父親の給料が入らないと経済的に困る」、「父親が休む必要はなかった」といった回答が多くなっている。
 次に5ページであるが、(4)として、継続就業希望に応じた保育環境の整備が整っていない面があり、地域の保育サービスの状況が継続就業の見通しにも影響するという点である。内閣府ホームページに寄せられた意見として、「育休中だけれども、保育所への年度途中の入所が難しいため、途中で切り上げるか、職場復帰をあきらめざるを得ない」、「延長保育を利用しても保育の終了時間が早いために迎えに行けない」、「病児保育を利用する場合に保育の開始時間が遅いので会社の始業時間に間に合わない」といったものがあった。
 6ページは、ワークライフバランスを支える環境整備が不十分という点である。第2回点検・評価分科会で厚生労働省から説明のあった通り、30代女性の労働力率、週実労働時間、夫の帰宅時間、家事育児の分担時間といったものをフランス、スウェーデンと比べると、日本はまだ十分とはいえない。
 次に、資料1の「点検・評価分科会における議論について」をご覧いただきたい。
 1ページ目は「議論の前提」ということで、この分科会における議論をどのように進めてきたかということである。人口構造の変化に関する特別部会「議論の整理」で速やかに取り組むべきとされた施策の分野、あるいは「子ども・子育て応援プラン」の進捗状況、内閣府ホームページに寄せられた意見といったものをもとに効果的な対策の再構築を図る上で、特に検証が必要と考えられる重点テーマを設定したということである。
 点検・評価の視点として、個々の施策の進捗状況、運用改善のほか、施策間の連携に着目しつつ、問題点あるいは今後の取組の方向を整理するといったことで議論いただいてきた。
 2ページ目の「問題の所在」であるが、まず、「ワークライフバランスの必要性」といったことがある。育児や介護、自己啓発、社会活動など、仕事以外の生活に時間を割くことを希望する労働者が増えており、ワークライフバランスはあらゆる人にとって重要なものとなっている。しかしながら、多くの職場では仕事の時間に制約がないことを前提とした働き方になっている。一方、企業にとっても労働者の仕事の意欲の低下、あるいは必要な人材の確保といった問題が生じて、生産性の低下につながる可能性がある。ワークライフバランス実現のためには時間制約を前提とした業務管理、人材活用を図る必要がある。その効果として、継続就業ということだけではなく生活時間が増えるということで男女の出会いの機会の増大にも資するということである。
 次に、「継続就業環境整備」と「育児不安の解消」という論点に分けて記述している。
 まず「継続就業環境整備」であるが、ワークライフバランスの実現により継続就業環境整備が図られ、第1子以降の出産に影響を与える継続就業の見通しの改善に寄与するということと、仕事の進め方の見直しや業務の効率化につながるのではないかということが基本認識である。
 以下、4つの個別の論点を書いているが、1点目は女性の継続就業であり、先ほど参考資料で説明したとおり、約7割が出産を機に離職し、そのうち3割が両立環境が整わないことを理由に辞めている。
 2点目は、育休制度等の一層の整備と意識改革である。育休制度は法律に基づき該当者は誰でも利用できるが、労働者の約半数が勤務する中小企業において制度利用が立ち遅れている。中小企業の利用促進を図ることが全体の底上げに寄与するのではないかということである。
 3点目は、男性の育児への主体的な参加であるが、夫の育児への主体的な参加は妻が働き続ける上で不可欠ということのほか、妻の育児不安の解消にも寄与する。しかしながら、男性の育休取得が職場の理解などから極めて低く、育児に主体的に参加したい男性労働者の希望を実現することが重要なのではないかということである。
 4点目は、継続就業環境整備と保育環境の整備の連携ということで、地域の保育サービスや放課後対策の状況が継続就業の見通しにも大きな影響を与えるということである。
 次に、「育児不安の解消」ということで、1点目は、育休中の方を含めて専業主婦など、特に在宅で子育てをしている親の育児不安を解消するということが重要であり、地域の子育て支援拠点の拡充と人材育成、ネットワークづくりが必要である。
 2点目は、産科医療システム、小児医療システムの充実ということで、安心して妊娠、出産、子育てができる環境整備のために医療システムの充実が必要ということである。
 3ページ目以降は、「今後の方向」ということで個別の論点を整理しているが、前半部分の「継続就業環境整備」の点について説明させていただく。
 (1)は女性の継続就業ということで、「問題点と原因」には、約7割が出産を機に離職し、そのうち3割が両立環境が整わないことを理由に辞めているということで、対応の方向として、育休制度等について更なる周知徹底を図るということで整理している。次に、利用しやすい職場づくりについては、企業向けに意識改革をする、企業による従業員のニーズ把握の取組を促進する、あるいは業務効率化・情報共有のためのノウハウ提供といったことが必要である。子どもの病気等への対応としては、看護休暇等の適切な運用、あるいは病児・病後児保育の充実といったことがある。次に、体力的な問題については、業務の効率化による長時間労働の解消といったことである。
 4ページ目であるが、育休制度等の一層の利用促進と意識改革ということで、中小企業での利用が立ち遅れている理由として、育休取得者の業務をカバーするのは難しいといったことを挙げている。対応の方向としては、育休制度等の更なる周知徹底、あるいは利用しやすい職場づくりということで、意識改革、従業員のニーズ把握、あるいはノウハウ提供といったことを記述している。
 5ページ目は、男性の育児への主体的な参加という点である。問題点としては、仕事優先の働き方などによって男性が育児に主体的に参加できていない。例えば、女性の育休取得率は向上しているが、男性の取得率は0.5%と極めて低い水準である。その原因として、職場の雰囲気、キャリアや業務知識への影響といった懸念がある。
 対応の方向としては、長時間労働の是正など働き方の見直し、あるいは利用しやすい職場づくりということで、意識改革、ニーズ把握、ノウハウ提供のほか、キャリアの影響については制度利用者の評価ルールの明確化、業務知識への影響については育休中の業務関連情報の提供といったことが考えられる。なお、このキャリア、業務知識への影響は女性にも共通する問題である。
 6ページ目は、継続就業環境整備と保育環境整備の連携という点である。保育所の入所時期に合わせて育休を途中で切り上げざるを得ないといったことであり、継続就業希望に応じた保育環境の整備が整っていないという面がある。対応の方向としては、待機児童ゼロ作戦の推進や定員の弾力化、保育所の開所時間の問題については延長時間の充実などがあるのではないかといったことである。働き方に関する前半部分は以上である。

○佐藤主査
 資料1は、点検・評価分科会においてこれまでの政府の取組すべてを点検・評価するというのは時間的な制約があるので、議論の前提にある通り、人口構造の変化に関する特別部会の「議論の整理」に即しながら、内閣府のホームページに寄せられた意見等も踏まえ、点検・評価の分野を限定し、重点テーマとして働き方の改革と地域・家族の再生の部分に分けて議論をすることとしている。
 その点を踏まえた上で、働き方の改革についての意見をお願いしたい。

○案田委員
 継続就業環境整備について、女性に離職理由を聞いているアンケートがあるが、企業と本人との関係で、阻害要因が何であるのかということに対する回答として、実際に家族という単位で子育てをすると考えると、その中の項目は、かなりの部分が、夫の働き方が変わればこのような回答にならないものが含まれている。男性の正社員全体の働き方をワークライフバランスという視点で一挙に改善することは難しい問題ではあるが、中期的に見て重要な要素であれば、これまでの晩婚化や少子化の一因として認識することが重要である。
 そのような観点から見ると、長時間労働の是正について、業務の効率化という視点を踏まえながらとあるが、ワークシェアリングのようなことを考えないと、なかなか是正が進まない。女性の不安定雇用と男性の長時間労働とのワークシェアリングに今まで手を打ってこなかったことも踏まえ、検討していく必要がある。

○佐藤主査
 例えば、病児保育の問題に関して、短時間勤務は使いにくいという面もあるが、週に2、3日は定時で帰れる、あるいは夫も子育てに関わることが当たり前になれば、2人とも定時で帰れないという日はそんなに多くない。そうすると、極端なことをいえば、短時間勤務は要らなくなるかもしれない。つまり、長時間残業があるから短時間勤務が必要なのであって、カップルがお互いに週のうち2、3日定時で帰れれば、5日間のうち誰かが定時で帰ることができる。病気についても、2人とも仕事が忙しいという場合には必要かもしれないが、女性だけが働きながらということになると、病児保育の問題は大きくなる。
 看護の問題も同じである。今のご意見は、いろいろなアンケートをすると、現状の働き方や労働時間、夫の子育ての関わり方でいろいろな問題が出てきて、こういうことをやってほしいというニーズが出てきているが、ニーズがあるから対応するということだけでいいのかというご指摘だったと思う。
 少し気になったのは、2ページの就業環境整備のところでワークライフバランスの実現に向けた取組によって以下が成り立つとあるが、ワークライフバランスの実現に向けた取組がどこにも書いていない。この構成であれば、それが先に来るはずだが、どのように考えているのか。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 ワークライフバランスの実現に向けた取組について、参考資料にあるが、問題点としてはフランス、スウェーデンとの国際比較において、長時間労働の問題、夫の帰宅時間の問題がある。ワークライフバランスを具体的にどう進めるのかについては、働き方の分科会で議論しているので、この分科会でもワークライフバランスに関するご示唆をいただければ、共有化していきたい。

○佐藤主査
 ワークライフバランスの実現が、「今後の方向」の先頭にこないと、論理的につながらないと思う。後ろの書き方が、制度の利用をできるようにという感じであるため、前の方で言っているのと後ろで言っているのが、かなりギャップがある。後ろの制度が使えるようにというのは今までやってきたことであり、その限界がわかったので、なぜそれではだめかということを(2)のところで書いたわけである。「今後の方向」もそこを先に書くという構成ではないかと思う。
 もう一つが、夫の「育児参加」というところである。他のところは「子育て」と書いてあるが、男性の方も「子育て」と書いた方がいいのではないかと思う。育児というと非常に期間が狭いイメージがあるが、「子育て」とした方がもう少し期間が長くなる気がする。

○奥山委員
 私も資料をもらったときに気になったのが、ここの(3)で、最初は「男性の育児への参加」だったのを「主体的な参加」と修正した点は評価できると思うが、先程、案田委員から指摘があったように、子育てを家族全体として見たときには夫婦という単位の中でどちらかが参加というのではなく、一緒に子育てをするという中で夫婦の働き方も見直していくという視点で書かないと、子育ての主体は女性である妻で、夫は参加という感じがして、少し表現が変わってくるといいと思っていた。

○佐藤主査
 先程の働き方、ワークライフバランスの後ろにも関わるが、土日保育も本当にそれだけニーズがあるか。女性だけが働きながらというと土日の保育ニーズはあるが、夫婦でということになれば、今よりもニーズが減る可能性がある。

○大日向委員
 今のご指摘はその通りであるが、一方でシングルペアレントも今、非常に増えているので、そこをどのように考えていくのか。夫婦で子育てということを出していくことは賛成だが、一方で多様な家族を支援するという視点も書いていく必要がある。
 それからもう一点、「業務の効率化」という言葉が何か所かあるが、既にかなり効率化していてこれ以上さらに効率化によって長時間労働が解消できるのか。小さい子どものいる親は会議などを昼間にできればというのが根本的な働き方の見直しであって、業務の効率化と長時間労働をセットにすることのみでは解決できない問題もあると思う。

○佐藤主査
 業務の効率化自体が目的というよりも、仕事の仕方、時間管理の仕方を見直すと、結果として無駄がなくなるものと考えている。無駄をなくすことが先にあるわけではなくて、働き方、時間の使い方、仕事の仕方を見直すと、結果として生産性が高くなると思う。書き方を工夫したい。

○大矢委員
 そもそも論になるが、点検・評価分科会の議論の整理をしていく中で、我々のやるべきまとめというのは、働き方の分科会に対し、点検や評価の中にどのような目標を持ったらいいかということを働きかけることであると思う。
 今は、望めば子どもの持てる社会に対して、継続就業の3割アップが目標である。問題点としては、保育所の充実、中小企業、男性の育児、地域の保育サービスと挙がっているので、中小企業も非常に問題になってくるが、働き方の分科会に働きかけるという形でやっていくことが望ましいと考えている。事務局はどのように考えているのか。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 就業環境整備に関しては、ここに書いているような論点、いろいろ問題点があるため、今後の方向はこういったことではないかという点をにじませていく。
 また、個々の施策だけではなくて、ワークライフバランスを実現できる環境が整っていないとこういう両立支援策は有効に機能しないのではないかということが第2回の点検・評価分科会でも議論があったので、個々の施策の問題点と今後の方向をにじませるとともに、ワークライフバランスという非常に重要な目指すべき姿を提示する。ワークライフバランスは具体的にどうやって実現していくのかについては働き方の分科会でまさに中核的な議論をしているため、ワークライフバランスの必要性をこの分科会からも発信していければと考えている。

○渥美委員
 私は、すべての分科会を傍聴しているが、各分科会でも良い資料が多く提出されており、他の分科会の情報が共有されていないのは残念である。
 また、点検・評価分科会で議論されている内容が、他の分科会に伝わっていないのではないかと懸念する。例えば、働き方の分科会では、既にこれまでの審議会等での議論で結論が出ていることを最初からやり直しているような面もある。事務局へのお願いだが、議論の要点を相互に交換し合うこともやっていただけたらと思う。
 それから、今後、政策として何を考えていくかというのが戦略会議の最重要課題ではないか。この点、他の分科会は具体的な対応策がないまま議論している印象がある。そういうこともあり、日程的に厳しい中で、政策として何が考えられるのかについての全体像が見えにくくなっている。6月になって出てくる中間報告書が全然イメージと違うといけないので、現時点で全体像を共有できたらと思う。
 次に、主体別に、国、企業、従業員に対し、いくつかこういうことはできないかということを申し上げたい。
 第一に、ワークライフバランスというのは、今、言葉先行で掛け声だけが広がっている状況だが、霞ヶ関がワークライフバランスを率先垂範するためには、特に政治家の方がルールを守っていただきたいと思っている。例えば、国会答弁の質問を決められた時間までに出すということをやれば、役人はその準備に追われて徹夜で明け方を迎えるということはなくなる。そういうルールを政治家自らが守ることが重要である。
 それから、企業のコンサルティングをしているときによく申し上げるのだが、保育所の送迎をしているワーキングマザーがチームメンバーにいれば夕方以降会議を入れないようにすべきである。私自身、ゼロ歳児の息子の保育所送迎を担当しているので、この会議も夕方以降ではなくもっと早い時間にやっていただけたら、ありがたいと思っている。
 第二に、企業に関する施策は、いろいろなアイデアが出されており、企業自体も変わろうとしている、あるいはそもそも行政に言われなくても先にワークライフバランスに取り組んでいる企業もたくさんある。一方で、企業の担当者が困っていてこういうものがあったらいいと思っているものがいくつかある。まず、ジョブディスクリプションをきちんとしないと、業務の標準化や業務の効率化が図れない。ただし、まだ職種別・役級別に詳細なジョブディスクリプションを規定している企業はほとんどない。この点、海外企業にヒアリングをすると、詳細な規定を持っている。そういうものを日本に導入できれば、業務の見直しや無駄を省くというプロセスはやりやすくなる。
 また、基本的にワークライフバランスを進めると人事労務管理が複雑になる。それはどの国でもそうであるが、その複雑な人事労務管理システムをうまくこなすためのツールというのも海外にはあって、それが日本ではまだ足りない。ソフトウェアの会社だと自社の開発したものを応用してやっているという事例をいくつか知っているが、システムはまだ販売されていない。システムとしてそういうものを企業に紹介できたら、今、人事労務管理の複雑さで難しいと感じている企業は取組やすくなる。
 第三に、従業員は意識改革が遅れている。しばしば経営者の意識改革や管理職の意識改革が喧伝されるが、従業員の意識改革は一番大切だと思う。私自身、育児休業の前後で、起源前起源後くらいの意識の変化があった。今後、巻き込まなくてはいけないのは独身の人たちである。ワークライフバランスを、独身者の多くは自分達にしわ寄せがくるかもしれないととらえている。本当はワークライフバランスとは全従業員に向けた取組なのに、あたかも子育てをしている人達だけに絞られている印象を与えていて、結果として独身者は蚊帳の外に置かれやすいというのは非常に残念な状況である。独身者は、子育て世代以上に将来のワークライフバランスに対して悲観的である。彼らに対して一番有効なのは、個人の従業員の成功モデルの提示である。企業もそうであるが、成功モデルを見せられると、なるほどと言って模倣するものである。個人でも、こういうふうに業務の効率化を図れば、個人でワークライフバランスが実現できる。時間あたりの生産性の高さを上司との交渉でどういうふうにアピールして、どういうふうに自分の就労環境を改善できたかという事例はたくさんあるが、それを個人が知る術はない。そういう個人のワークライフバランスの成功モデルを紹介するパンフレットみたいなものがあったら、地に足がついた意識改革ができると思う。

○佐藤主査
 働き方の分科会との連携については、我々がここで議論してきたことからすれば、これまで政府の施策としては、育児休業等の両立支援策を利用できるようにする。それで、1つは次世代法の中で育児休業取得率の目標を立てる。ただし、それはある程度達成するとしても、実はそこにいくまでに多くの女性は辞めているので、両立支援の制度を使えるようにするだけではだめだということで、そのベースとして働き方、広い意味でワークライフバランスを実現できる働き方というものをやっていくことが必要だというメッセージを伝えることが重要である。
 それで、どういう目標を立てるかということは分からないが、1つは実労働時間が社会全体の目標としては一定程度下がることだと思う。それから、女性の継続就業であれば育児休業取得率だけではなくて、今は7割の人が辞めているが、希望する人は続けられると言えば5割ぐらい続けるのか。あとは両立支援制度の使いやすさや、先程の男性の育児参加で言えば一人親家庭もきちんと考えなければいけないし、カップルで考えればカップルで子育てということにすると育児、家事への時間配分が相当変わっていくはずである。どういうことが大事で、どういう目標を立てたらいいのかということについて、どこまで言えばよいのかよくわからない。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 第1回の分科会でも議論していただいたが、現行の子ども・子育て応援プランでいろいろな施策があり、いろいろな目標や目指すべき社会の姿、概ね10年後を展望ということが掲げられている。それに代わるような新たな目標、評価の指標、手法といったものについては、6月以降に議論していただきたいと思っている。当面、今回とあと一回でこの分科会はとりあえずの整理をすることになっているが、今回は女性の継続就業やワークライフバランスの中で長時間労働の問題点について、にじませられるものがあれば、にじませていきたい。今、ご指摘のあった目標や手法といったことについては、6月以降に議論をお願いしたいと考えている。

○前田委員
 ワークライフバランスについてであるが、佐藤主査が指摘したとおり、最初はワークライフバランスが必要と言いながら、最後の結論が延長保育の実現や保育の方でやるということになっている。
 私自身、4年間、霞ヶ関のキャリアの人に近い生活をしてきて、今日も二重保育であるが、横浜市は出張などの際に子どもを24時間、1週間まで預かる保育制度や夜間保育もつくってきた。
 今の日本の社会では、お金があればそういう子育ての問題はベビーシッターなどで解決できるが、親も子も本当にくたくたになる。時間ではなくて質だと言うが、あまりにも時間が短くて睡眠時間も十分でなく触れ合う時間も少ないと、質は落ちるし親のゆとりがなくなる。
 一番両立のしんどい時期に預けるところがないため、母親が仕事を辞めざるを得ず、子どもを生んだことを後悔するようなことになったら大変もったいないので、しんどい時期を支える保育はしてほしい。しかしながら、それが何年も続くような生活はおかしいし、そうした働き方が当たり前ではない社会を実現するための一過程として頑張ろうと言っている。夜10時、11時までの保育では保育士も疲れるし、子どもも親も疲れる。
 6ページの「対応の方向」は延長保育の充実で、次は保育環境となっているが、小売業の女性は多いので、本当にしんどい時期に年末年始保育、休日保育、夜間保育が必要な人もいる。しかし、それが当たり前ではない社会を実現することが本当の目的のはず。今は長時間労働が当たり前なので過渡的なものとして、女性が仕事をあきらめたり、子どもを生むことを後悔しないようにそれにあわせた保育を整備しなければならない。しかし、それは本当の社会ではないというメッセージを入れていただきたい。

○大矢委員
 「問題の所在」の最初に出てくる「ワークライフバランスの必要性」については、本当にそうだとは思うが、企業側から考えると、「ワークライフバランスの必要性」が最初に出てきても具体策がみえてこないと、逆に継続就業環境整備、育児不安の解消を実現することにより、結果ワークライフバランスが実現されるのではないか。
 繰り返しになるが、企業は実質的には仕事の生産性を高め、個人の暮らしも充実させることによって業績が上がる。これがワークライフバランスであると言っているので、逆に最初に必要性を言うよりは、継続就業環境整備、育児不安の解消が目標で、その結果、ワークライフバランスにするとした方が非常に実現性を感じる。
 最初に必要なことは分かるが、結果としてこのような形になると言った方が実現性があるような感じに見えるとも思うが、皆さんのご意見も伺いたい。

○佐藤主査
 確かに唐突な感じがあるので、主要な環境整備をやるためには実はワークライフバランスを実現できるような働き方をつくらなければいけないという書き方の方がわかりやすいかもしれない。同じであるが、書く順番をどうするか、そこは考えさせていただく。
 前田委員が言われたことは非常に重要で、男性中心の働き方を変える、ワークライフバランスを実現し、男性も含めたカップルで子育てということになれば相当子育ての仕方は変わってくる。今あるニーズを満たさなければいけないとすると、極端なことを言うと女性だけが仕事をしながら子育てをしやすいような環境をつくっても男性の働き方は全然変わらないことになりかねないので、そこは留意した方がいい。
 前半のところは、麻田課長に報告していただいたことでもあるので、何かあればお願いしたい。

○麻田厚生労働省職業家庭両立課長
 前回、私が申し上げたことのエッセンスは、継続就業する人が全然増えていない。でも、育児休業は増えている。だから、育児休業を充実させることによってやれることに限界が出てきているので、その背景にあるワークライフバランスなどに取り組むのはいいのではないかということと、継続就業を目標にして何かそれについて指標を立てるならば、そのことをここで検討いただけたらいいのではないかということである。

○佐藤主査
 育児休業を取る人は増えてきているが、継続就業は増えていない点が難しいところである。全員がもちろん仕事を続けたいと思っているわけではない。続けたい人もいるし、一時仕事を辞めて子育てしたい人もいる。それはもちろんいいわけであるが、希望する選択ができない状況があるので、これは直していく。ただし、両立支援の制度をつくればそこが直るわけではないので、そこは少し踏み込んだ議論ができればと思う。

○大日向委員
 例えば、働き方の分科会ではワークライフバランスなどについて集中的に議論してもらうと思うが、なぜそれを議論してもらうかということを提案するのが点検・評価分科会の役割であると考える。大矢委員の発言の通り、何のためにワークライフバランスを進めるのかという筋書きを明確にしていくことが大切である。
 そのように考えていくと、前田委員の意見とも関連するが、ワークライフバランスを一方で言いつつ長時間保育を、という非常に矛盾したことが並列で書かれている。その矛盾点を解消することを検討する必要があると思う。
 他の分科会との関係性についてももう少し考えていきたい。

○佐藤主査
 他の分科会の情報について、少なくとも資料は提供してもらった方がいいかもしれない。

○渥美委員
 先程、麻田課長から就労継続率を把握する指標が必要であるとの意見があったが、マクロの指標は取れるとしても、ミクロの指標は考えられないか。前回、退職時に「妊娠・出産・育児」といった事由をとっている企業は少ないと申し上げたが、代替指標として「正社員としての再雇用比率」をとったらいかがか。最近、いったん妊娠・出産・育児で辞めて、復職して正社員としてキャリアを積んで高い地位についている女性社員がいる会社はいないかとメディアからよく聞かれる。正社員として復職している女性の割合は育児休業取得率のような概念で取れると思う。現状では、その割合は極めて低くて、再雇用制度をつくっているというところも実態は非正規としての再雇用なので、キャリアアップの望みはなく、低所得で使われている状況を改善するために使える指標になると思う。

○佐藤主査
 今の発言は、再雇用制度でいいのか。

○渥美委員
 再雇用制度の中身について、正社員として雇用しているということで比率を取らないといけないと思う。そもそも女性従業員の割合自体もかなり格差があるので、その中で就労継続率と普通に考えるとずっと勤めている人であるが、それだと企業の年数によって若い企業はそういう数字が低くなってしまう。そういう若い企業ほど実は即戦力となる元専業主婦だった人たちを多く確保して、そういう人たちがキャリアアップするような仕組みをつくっているところもある。
 つまり、女性の採用が難しい企業ほどいったん辞めた女性に着目している現状があり、正社員としての再雇用比率という指標を取れば、現実問題として辞めている人達のための就労環境としてはいい企業か、悪い企業か、そういう受け皿になっているかどうかを見られると思っている。

○佐藤主査
 ただ、再雇用ではなくて、男性も含めて初期キャリアの転職というものもある。これを別に問題だと言っているわけではなくて、問題なのは結婚、妊娠のところである。そこで辞める人が多いので、そういう意味ではマクロでの継続就業率は取れるが、企業のところはなかなか難しいと思う。そこは再雇用とは一応別だと思う。
 それでは、後半の地域・家族の再生の部分について事務局から説明願いたい。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 参考1は、点検・評価分科会における議論に対応する参考資料である。
 7ページの(2)「保育環境の整備」では、(1)「保育所待機児童の状況」として、待機児童は都市部に偏在していること、保育所整備により潜在需要が掘り起こされるため、抜本的な待機児童の解消に至っていないということである。
 保育所の整備は着実に進められ、待機児童の数は減少してきているが、昨年4月1日現在の待機児童は1万9,794人となっている。待機児童が多い地域の固定化、低年齢児のゼロから2歳の待機児童数が全体の7割を占めている、保育所の定員は増えても潜在需要が喚起されるため、定員増に対する待機児童数の減少割合はさほど大きくなっていない、都市部で用地確保が困難、将来の保育需要が不明確、市町村の財政的な制約といったことがある。
 8ページの(2)「多様な保育サービスの実施状況」として、取組は進められているところではあるが、内閣府HPで募集している少子化に関する意見においても、延長保育の終了時間が早い、病児保育では開始時間が遅いといった意見が寄せられている。
 9ページの(3)「放課後児童対策」では、全体として保育環境の整備と比べ、実施数やサービス内容が不十分ということである。状況としては、子ども・子育て応援プランで21年度の目標として1万7,500か所の整備としているところ、19年度に「放課後子どもプラン」を創設し、原則としてすべての小学校区、2万か所での整備を目指すこととしている。放課後児童クラブの人数規模別実施状況をみると、70人以上規模のクラブが14%あり、内閣府HPへの意見では、クラブの大規模化を問題とする意見、クラブの預かり時間の延長を求める意見が寄せられている。また、クラブ受入の対象の学年として、実態は、小学校1年生から3年生が全体の9割、4年生以上は約1割となっており、小学校高学年でも安心して過ごせる居場所が必要といった理由で放課後児童クラブでの受け入れを求める意見も寄せられている。
 10ページの(3)「育児不安の解消」では、(1)「在宅育児に対する支援策の課題」として、4歳以上はほとんどが保育所、幼稚園に入所している一方で、ゼロから2歳児の約8割が在宅での子育てであり、地域で孤立していることがある。また、地域からは見えない孤立した家庭の把握の方法や、子育て家庭と地域社会をつないで子育て支援に関する情報提供を行うとともに、個々の家庭状況に応じた適切なサービス提供を行う体制づくりが課題となっている。子ども・子育て応援プランにおいては子育て支援拠点の整備として、つどいの広場事業、地域子育て支援センター事業を合わせて21年度に6,000か所の目標ということであったが、17年度実績では約3,600か所となっている。つどいの広場、地域子育て支援センターについては、更なる拡充を図ることとし、21年度目標値の6,000か所を19年度に前倒しで実施することとしている。19年度から「こんにちは赤ちゃん事業」ということで子育て支援に関する情報提供を行うとともに、支援が必要な方に対して適切なサービス提供につなげることとしている。一方、内閣府HPに寄せられた意見では、子育て支援拠点に関する情報を国民に対してわかりやすく提供すること、また、子育て支援拠点における指導員等の人材育成や質の確保を求める意見が寄せられている。
 11ページの(2)「産科医療システム、小児医療システム」では、産科医の減少、分娩施設の減少、地域偏在があり、安心して妊娠・出産できる環境整備の点で課題がある。周産期医療ネットワークについては子ども・子育て応援プランにおいて19年度までに全都道府県で整備することが目標であるが、17年度までに整備済みであるのは38都道府県という状況。小児救急医療の提供体制では、プランにおいて21年度までにすべての小児救急医療圏をカバーということが目標であるが、18年9月1日時点で整備済みであるのは246地区ということであり、全体の62%となっている。産科・小児科の現在の状況として、産科医の減少、分娩施設の減少、地域偏在といったような状況があり、勤務医の厳しい環境、訴訟リスクの高まりに対する懸念といった課題がある。小児科においては、小児科医は増加している一方、病院勤務医の繁忙感の深刻化、地域偏在といった状況があり、病院勤務医への夜間休日患者の集中、あるいは親の専門医志向、核家族化による育児不安等からくる軽症での受診増といったような課題がある。産科・小児科に共通する状況としては、女性医師が増加しているが、女性医師自身の結婚・出産に際して継続就業を可能とする環境整備が課題である。
 次に、本体の資料1、点検・評価分科会における議論について説明させていただく。
 7ページの(1)「保育所の受け入れ児童数の拡大」について、問題点は参考1で説明したとおりの状況であるが、対応の方向としては、待機児童が多い地域の固定化、地域内での待機児童の偏在、低年齢児の待機児童解消といった問題にどのように対応するかであり、住民のニーズに応じた柔軟な保育サービスの提供、待機児童ゼロ作戦の推進、家庭的保育の活用といったことが考えられる。
 8ページの(2)「多様な保育サービスへの対応」では、子ども・子育て応援プランの目標達成に向けた整備が進められている一方で、財政的な制約などから必ずしも十分ニーズに対応できていない状況がある。このため、子どもにとって適切な保育環境の確保あるいは保育サービス利用者の満足度の適切な把握といったことが必要である。
 9ページの(3)「子どもの放課後対策」では、問題点は参考1で説明したとおりであるが、対応の方向としては、放課後児童クラブの適正規模化の促進、長時間開所するクラブへの支援、高学年の利用促進といったことが考えられる。
 10ページのIII「育児不安の解消」では、専業主婦や休業取得者などすべての家族を支える子育てについてである。「問題点と原因」では、参考1で説明したとおり、孤立化といった問題があり、対応の方向として、子ども・子育て応援プランの21年度目標値6,000か所の19年度への前倒しといった対応を図ること、また、こんにちは赤ちゃん事業を開始するといったことに加え、地域の子育てに役立つ情報の発信、人材の確保という意味では学生、主婦、高齢者のボランティア活用といったことが考えられる。
 11ページの「産科医療システム、小児医療システム」では、「問題点と原因」は参考1で説明したとおりであるが、対応の方向としては、拠点病院づくり、周産期医療ネットワークをはじめとした医療機関相互のネットワークの構築、産科医療補償制度の検討、助産師の活用、小児科の関係でも拠点病院づくり、医療機関相互のネットワーク構築、医師等の小児救急、提案相談の充実、医師の労働環境の改善といったことが考えられる。

○大日向委員
 参考1の8ページ「分科会での主な意見」のうち、「病児保育は、行政で責任が負いきれないため、NPOに担ってもらっている」という事項については、前回のヒアリングの中でそのような発言があったことは記憶している。しかし、病児保育は行政が責任を負い切れないからNPOに担ってもらっているということは、あってはいけない。私が港区のあいぽーとステーションで行っている派遣型一時保育にも病(後)児保育が含まれているが、区との協働で運営し、医師会との連携、緊急の場合の総合病院との連携は行政も一緒になって責任を担って行っている。参考1の10ページの「分科会での主な意見」では、「子育て支援は、地域市民、NPO、行政の協働が不可欠」と記述している。この分科会において、地域市民やNPOや行政との対等な協働を基本方針とするということであれば、主な意見でないものについては、修正する必要がある。この件は、資料1の8ページの「多様な保育サービスへの対応」の方向とも関連する議論である。

○藤本委員
 参考1の11ページの「分科会での主な意見」の中に、「大分県では、研修医に様々な診療科を経験してもらうための給付金制度を創設」とあるが、実際は違う。前回説明したのは研修医でなく、研修が終わって専門医を目指している人達である。前期研修と後期研修という言葉を使っているので、そういう人たちのことを後期研修と言っているが、専門医を目指している人たちは専門家として産科と小児科医に特化して、それらに進む人たちに対して県が給付金を出すということである。
 別な話として、様々な問題点の中で、例えば早く開始しない、遅くまで面倒を見てくれないから困るといった意見があるが、それはおかしい。その範囲内でできるようにすべきである。先程のワークライフバランスや就業形態にも関連するが、医療における取組は、子どもを預かって親を働かせるためではないと思う。もちろん、親の子育ての一部の負担を取り除くという点では非常に大事なことであるが、常に子ども主体に子どもの幸せと質の高い生活のためにどうあるべきかから始まっており、その中で子どもを育てる親の生き方が更にどうあるべきか。親の希望を満たすことが満足といわれるが、自分の就業形態が何時までの状態だからそこまで面倒を見てもらわなければ満足できないということでなく、就業形態が変わる方が望ましいのであって、サービスが拡大する方がいいことだということにならない方がよい。本当に必要なサービスは、それを必要とするそれぞれの企業などが工夫をしなければいけないし、さらに、それに対する援助はあるべきと思う。

○佐藤主査
 今は、過渡期である。何を目指すかというときに、現状の働き方を固定しておいて保育ニーズがあるから満たすというのはおかしいと思うので、その辺は考えていく必要がある。

○前田委員
 参考1の9ページの放課後対策について、放課後児童クラブの大規模化の問題があるが、表面的なことだけでなく、現状について是非考えていただきたい。例えば横浜市の場合、小学校は平均で500人から600人の生徒規模であり、低学年は半分の300人、その2割が使うとすれば60人使うことになる。小学生を持っている母親の5割は働いており、パート以外のフルタイムが2割としても60人はいる。そこに高学年の児童も入れれば、あっという間に70人になる。500人から600人の小学校でどういう状況かというと、放課後児童が過ごすために2教室、3教室を確保するのが難しい状況である。もちろん、2教室あっても70、80人と子どもがあふれている環境は必ずしもよいとはいえないので、小規模化は理想かもしれない。しかし、70人は大規模だから半分にといったとき、空き教室はあと2つあるのかという問題があり、是非、実態を見ていただきたい。今は、小学校では習熟別指導、少人数指導、軽度発達障害児のための教室、日本語を母語としない外国人の子のための教室ということで、小学校教育自体が普通の授業での教室が非常に必要になってきている。このような状況の中、放課後の子どもたちのための占有の空き教室を取るということは非常に難しい状況になっていることを踏まえた記述にしてほしい。
 次に、放課後児童クラブの運営費が基準よりかなり少ないというのは、障害児の扱いもあるからである。障害児を育てながら働きたい親も何人もいる。重い障害の場合は一対一になる。スタッフは特別な訓練を受けることが必要になる。健常児だけを集めて見るという前提では放課後児童クラブは成り立たない。実際に横浜市では養護学校での放課後クラブも盲学校でも始めており、かなりの費用がかかるが、子どもたちの現状というのは機械的には決まらない。
 次に、参考1の10ページの地域子育て支援センターに関し、運営に当たってなぜNPOとの連携や協働かというと、母親自身が主人公になる場が必要だからである。私自身が育児休業中に、ある公設直営型の地域子育て支援センターに行ったとき、プロの保健師や公立保育園を退職した保育士が相談員として配置されていた。その人たちは、相談業務、指導しようとする。もちろん深刻な悩みを抱えていて、相談が必要な人や、指導が必要な人もいるかもしれないが、ほとんどの母親は自分の話を聞いてくれる仲間、寄り添う場が欲しい。最初のステップとしては、母親は主人公になってそこに来て仲間を見つける場所が必要で、先生や指導者はもちろん必要ではあるが、先生や指導者が主人公ではなく地域の母親たちが集まって、母親たちが主人公の場に一人の仲間として行くという場が必要である。NPOとの連携がなぜ必要か。それは、地域の母親たちが主人公になることが必要だからである。地方にはなかなかそれだけの力量のある母親たちの集団がいない。カウンセリングや、いろいろな人の話の聞ける母親がいなくて、保育士や保健師が相談に当たっているところが多い。すると、かえって依存関係ができ、母親たちが地域で自立していく力が育たない。それも深刻な問題になっているので、なぜ連携が必要なのか、なぜ協働が不可欠かという意味合いをきちんと踏まえて記述してほしい。
 次に、産科、小児の医療についてであるが、ひとつ危惧するのは、財源を議論する別の分科会が、本当に今地域で何が起こっているのか、子育て支援の財政状況がどうなっているかということが分かった上で議論して頂いているのかという点である。例えば、本年1月16日に厚生労働省の母子保健課長通知により、妊産婦検診は5回を基本として公費負担するようにという通達が出た。財源は地方交付税で措置しているということであるが、定率減税で税収が増えた一方でそれを上回る勢いで地方交付税は減らされているので、地方自治体は政策的経費がない。言われた通りにするとすれば、例えば横浜市の場合、あと15億円必要である。厚生労働省としては、「安心して妊娠・出産できる環境を整備するために5回の妊産婦検診の無料化を推進している」ということだと思うが、その財源は実際には地方にはないという実情にある。
 猪口前少子化担当大臣のときに、全国ブロックに出向き、様々な地域の子育て支援先進自治体などの例を挙げたときに、医療費の無料化についても例をあげていたと思う。この医療費の無料化は各県知事からも意見が出たと思うが、小児医療費を無料化すると医療費を使い過ぎる、モラルハザードが起こるということで、実際には国保の補助金は減額される。厚生労働省は条件を付し、償還払い、行政の窓口で現金を還付すれば減額はしないと言っているが、横浜市などの場合、レセプト枚数は297万枚であり、窓口で無料化するしかあり得ない。すると、横浜市の場合などは小児医療費助成全体で72億円補助をしているが、子どもたちのために72億円出しているために国保の補助金は厚生労働省から11億円の減額となっている。つまり、厚生労働省は、少子化対策の充実といいながら、国保への補助金は、実際には小児医療費を無料化すると減額している。こういう問題にまず全然触れられていないし、解決されないままに先送りされているが、そういう点について点検・評価すべきではないか。

○案田委員
 行政の中でどこが負担するかという問題で、以前の議論で子育て基金のようなもので一本化することが一つの解決策ではないかとの話があったが、前田委員はその点はどのようにお考えか。

○前田委員
 現状では、介護保険など高齢者に莫大なお金がかかっており、それを減額して子どもに回すべきだともいわれるが、実際に高齢者は急激に増えているので、高齢者への予算を減らすことは非常に難しい。新たな財源をどこかに求めなければならないのが実態だと思う。

○藤本委員
 その件に関し、現在、財団法人化されている小児科医会というものがあるが、そこで提唱されているのが、いわゆる小児保険制度である。子育て家庭だけが子どもを育てる費用を負担するのではなく、国民すべてが保険制度で負担する。そうすると、一人ひとりの負担は少額で、本当の意味で地域社会すべてが子育てをすることになる。無料化することがよいかは別問題として、コスト意識を持ってもらう必要はあるとは思う。一方、経済的負担の軽減もよい点はある。相反する両方のどちら側を選ぶかの議論はさておき、どういうところで負担してもらうかを考えてもらうことも必要である。つまり、医療を利用するとき、救急ではなく、いわゆるコンビニ化として、利用者にとっては夜の方が都合がいい、自分の仕事が終わってから病院に連れて行きたいということで、24時間体制、365日体制の病院をつくっていかなくてはいけない。そうすることが小児医療のあたかも質の向上のように言われるのは問題と思っており、その点も十分考慮が必要である。

○佐藤委員
 この分科会で財源自体を議論するわけではないが、最終的にどのような判断になるかは分からなくても、この点についての財源問題を検討してほしいと伝えることができればと思う。

○渥美委員
 待機児童に関し、厚生労働省からの説明の通り、保育所を増やせば増やすほど、新たな待機児童を発掘している。把握できているのは顕在化している待機児童数であって、潜在的な待機児童数が把握できていないとのことだが、無限大ではなく、生まれている子どもの数が把握できていれば対象もわかるので、引き算で出せるのではないか。私の手元の試算によると、潜在的な待機児童数はおそらく50万人から80万人いると思われる。これは非正規で働くお母さんの一時預かりをどうカウントするかで随分幅が出るが、少なくともそれくらいの数になる。
 この点では、フランスの取組が参考になるのではないか。今、ベビーブームのフランスでは、パリを中心に待機児童が社会問題になっている。年間の出生数が80万人おり、4歳児以降は預かり場所が就学前教育なので、80万人の子ども数に0から2歳の3年間を乗じて240万人の居場所の確保が最重要課題となっている。通常の保育所とは独立して、短時間で働いている人向けの一時預かり保育所がある。そうした一時預かりを利用しつつ、両親のどちらかが子どもを養育しているケース、祖父母など親族や地域の知人に預かってもらっている子どもを差し引いた残りの約80万人の居場所として保育サービスの整備を計画的に実行している。フランスでは、ベビーシッターを家庭で雇う「認定保育ママ」制度が普及し、保育サービスの約7割を担っている。そして、企業内保育所を含む保育所に預けられている子どもも25万人いる。フランス政府は、5年で保育所の定員を5万人増やす計画を立てている。このうち、1万人を企業内保育所で賄う方針だ。このためフランス政府は、企業内保育所の建設費用の8割、運営費用の約4割を助成する制度を2003年度から導入した。
 このような数字は日本で試算しても、そもそも、居場所がない子どもが現実に何万人いる。今後、施策を展開していく中ではそれが徐々に減っていくはずだ。これも点検・評価一つの指標にならないかと思う。単純に人員の把握だけでなく、人員掛ける時間も重要である。つまり、1日のうちどれだけ預けられていて、どれくらい預けるニーズに合っているか。一時預かりなどを増やした場合にどういう数字になるのかという計算になるが、3つのメリットがあると思う。1つは経済界の説得である。経済界はいつも総論では賛成で、各論で財政的負担が感じられると反対ということが今まであった。例えば、時間掛ける人員の必要な保育ニーズがわかっていれば、ワークライフバランスの議論にも援用できる。つまり、勤務時間の短縮というのは人事労務管理では負荷がかかるのでやりたくないという経営者もいるが、そもそもマクロとしてこれだけ保育ニーズがあって、母親の勤務時間短縮などのワークライフバランスによって、例えば8時間預かっている子どもが6時間になる。ワークライフバランスを進めることによって、保育所にかかっている財政的負担が圧縮される。結果的に、経済界の負担が減るという論理で説得ができる。2つ目は、人員掛ける時間という考え方は、NPOのつどいの広場事業などにも同じ土俵のレベルで考えられる。現状では、NPOの方々のボランティア精神、無私の精神におんぶに抱っこする形で預かり場所になっている。しかし、居場所としてはいくらのコストでなされているのかという比較が可能となる。コスト安で効果の大きい居場所を作っているのに、ほとんど助成がない現状は余りにもNPOの人たちに気の毒ではないかという議論もできる。3つ目は、異年齢の子ども同士が触れ合う居場所作りが可能となる。今、民間の保育サービスの中には一つの場所を有効活用するために保育と学童保育と学習塾との一体的運用など、同じ場所を使い回しているところもある。民間は限られた資源を有効活用するために知恵を絞って学童保育や学習塾との一元的な運用をやっている。異年齢の子ども同士が触れ合う居場所作りとしては既に「赤ちゃん学級」という方法で、高校生や中学生たちが赤ちゃんに触れ合っている。しかし、もっと下の年齢の子が年少の子たちをかわいがる、面倒を見るという居場所作りのメリットもあると思う。時間と人員の掛け算で可視化することによって、時間帯ではここに空きがあって、ここはもっとこう活用できるという知恵出しもできる。是非そういう指標を出してほしい。

○奥山委員
 「育児不安の解消」について、専業主婦だけではなく育児休業取得者も含めてすべての家庭を支える子育てと記述しているのは評価できる。すべての子どもを持つ家庭を支えるという視点が非常に重要である。
 私の子どもの場合は、学童の後の二次保育をお願いできる人が2、3人いる。学童に迎えに行ってもらって、今の時間はちょうど自宅で過ごしていると思うが、メールで今日はこういう様子だったと親の知らないいろいろなことを聞き、一緒に子どもを育ててもらっているような感じがしている。家庭保育など、家で子どもを見てくれる人というのは別に資格を持っていなくても何人かいることが重要である。日本では保育所保育ということにどうしてもなってしまうので、それ以外の家庭保育的なところの担い手をどう育てていくかというところが大事である。これからのシニア世代や学生の力を生かせると良い。今の保育所に待機児童が何人という計算をし、それを全部保育所で担うのは難しい。その数を出して、それをどう担うのかということを官民で考えていくことが重要である。
 私達は小さなグループ保育を実験的にやっているが、声をかけると地域には保育資格を持っている人がたくさんいる。でも、子どもが小学生なので保育所でフルタイム勤務はできないと言う。だから、そういう人達を週に2日、9時から3時まででいいから手伝ってほしいということでシフトを組んでやっている。しかし、こういう働き方や保育は、今のところ補助の対象になっていない。地域にはそういう人材がいるので、もっとうまく活用すべきである。
 それから、地域子育て支援について、働き方との連携がもう少し見えてくるとよい。土日もやっている子育て拠点も多いが、働いているお母さんにとっても土曜日は行ける、いろいろな地域の情報をキャッチできるという意味で、育児休業中拠点で育って育休明けに企業に入った方は、また戻ってきて地域での交流も求めているということを感じている。また、内閣府のホームページの中で地域子育て拠点とは何かという意見があった。まだ全体として見ればマイナーな事業だと思う。普及に当たっては信頼できる事業でないといけないので、横浜市が一緒にやっている拠点事業でも、児童福祉施設とは位置付けられていないという中で、これから地域子育て支援をどのように制度として見ていくのかという部分を合わせてやっていかないと、責任を持って広げていくということでは人材育成も含めて課題だと思う。
 次に、一時保育の議論があった。一時保育というのは保育事業なのか、地域子育て支援事業なのか、この辺があいまいになっている。非正規で働く方のための一時保育だけでなく、在宅子育ての人たちにも利用が可能な一時預かりをするとなると、もう少し視野を広げて担い手を増やすことを考えていかないと普及しにくいと思う。

○藤本委員
 いろいろな施策を考える場合、子どもが育つ環境がどうあるべきかということをまず視点に置いてもらいたい。例えば、育休中は保育所に子どもを預けられないが、家庭は子どもが育つ環境として一番よいかという問題がある。生まれたばかりの赤ちゃんに親はつきっきりになって、3歳のお兄ちゃんかお姉ちゃんは寂しい思いをさせられるような環境にいることが本当にいいかどうか。むしろ、そういう子どもは、ある一定時間、保育所に行った方がいい。例えば、夫婦で子育てするのは当たり前であるが、父親にできないことを母親が、母親ができないことを父親がというように、そのどちらも持っているところを足すから良いことがある。具体的な施策や方法論に入る前に、子どもが育つ環境、それから親の子育ての在り方というところに再度着目してもらいたい。

○度山厚生労働省少子化対策企画室長
 各分科会との連携について意見があった。本分科会において2回にわたって厚生労働省から説明させていただいたが、時間上の制約で十分に説明できなかった点もあるので、補足したい。
 第3回の地域・家族の再生分科会において、働き方の多様化に対応した子育て支援サービスのあり方について議論を行ったが、その中で、働き方の見直しが進むことによってサービスはどのようなあり方になってくるのかということが話題になった。1つは保育サービスの量としてどういうことになるのか。3歳以上では、幼稚園か保育所かどちらかの利用がかなり進んでおり、認定子ども園制度もできたので、そこを柔軟に対応していけばある程度キャパシティとしては対応できる。問題は3歳未満について、全年齢を通していうと、我が国は3歳未満児の2割程度をカバーしており、8割は家庭で子育てをしている。一方、女性の80%程度が働いているフランスやスウェーデンでは、この率は4割から5割程度である。
 また、ワークライフバランスの議論は、働きたいという希望をできる限り叶えるという側面もある。これらの国のようにうまくいくかは分からないが、かなり近いところまで上がってくることが考えられる。例えば、女性が8割働くサービスを保障する保育の受け皿が4割くらいということであれば、10年、20年かけることを前提に、今、待機児童が何人いるかではなく、見通しを描いて各地域で保育サービスの整備を進めなければいけない。そのときのサービスの在り方として、今の保育所は基本的にフルタイムに対応した形のサービス体系になっているが、例えば、短時間勤務や隔日の勤務、在宅の勤務など、様々な働き方が出てきたとき、もっとサービスの提供の仕方、例えば、渥美委員の意見のように、時間について弾力的であってもいいのではないか。保育所はどうしてもキャパシティが決まり、開業時間が決まるという性格を帯びるので、そういった施設型保育だけではない保育も考えていかないと、うまく対応できないのではないかという問題提起もしている。本日も議論されたが、子どもが小さい時期は集団というより家庭的な雰囲気の中での方が子どもの成長を考えた上でもいいという議論は、地域・家族の再生分科会の中でも出ていたので、そういったことが1つのテーマになるかと思う。
 次に、多様な保育サービスについて、働き方の見直しを進めれば多様な保育サービスが不要になるという議論はあると思うが、一方で、働き方が多様化して、働く時間や働く曜日も多様化することになれば、いわゆる長時間保育ではなくなるが、時間が早くシフトしたり、遅くシフトしたり、休日にかかったりというニーズは出てくる。いろいろな働き方の選択肢を増やす意味では、こちらもサービスは弾力的である必要があるのではないかと思う。
 一方、ワークライフバランスのライフを子育てに置き換えてみれば、家庭における子育てということで、男性で普通に働いている人の問題でもあり、あるいは短時間勤務のような両方の面を併せ持つような働き方も出てくるし、あるいは一時的にはどちらかに一生の間で時間をシフトするような形の選択をとる人もいるかもしれない。いろいろなライフスタイルの選び方があるが、働く人も働かない人も含めて家庭での子育てをどのように支えるかを基本的な課題として議論している。
 それから、財源については、基本戦略分科会においては、最初は諸外国の効果的な政策の例を諸外国の政策の動きなどから抽出している。そして、そういった政策をとった場合に相場観としてどれくらいの費用がかかるのかということを議論する。最後に、そういった財源をどのように調達していくかといった枠組みを議論する。財源調達のテーマは、秋以降の議論という形で整理しているが、地域・家族の再生分科会も含め、こういうことを本気でやっていくとなると相当な財源が必要であるという意見も出ている。
 それから、仮にフランスの制度を日本に換算すると、厳密な計算ではないが、概ね10.6兆円かかるという試算が第2回の基本戦略分科会で出されている。これは、望ましいという意味で試算されたわけではなく、フランス並みにやったらどれくらいのお金がかかるのかという荒い試算だが、議論の一つの材料として紹介されている。

○佐藤主査
 本分科会では、働き方、地域・家庭における子育てのあり方の両方を議論するので、財源も含め、それぞれ連携した形で情報提供を行うことが必要であると思う。

○渥美委員
 育児不安に関し、マタニティブルーはよく言われるが、パタニティブルーもあると思う。現状は、子育てする父親に対して冷たい社会だと思う。経験上、育児休業中に赤ちゃんと一緒に出かけると、失業していてかわいそうという視線を感じる。また、公園に行って他の子どもの母親と知り合いになって、育児休業中であると言うと、赤ちゃんにとってはお父さんと一緒よりはお母さんと一緒の方が幸せではないかと言われたこともある。子育てマップのようなものを頼りに赤ちゃんを連れて行けるレストラン5ヶ所に出かけたら、男性のトイレには赤ちゃんの設備はなく、おむつ替えの場所も女子トイレの前なので行けなかった。このように、育児支援は母親支援であるという考えがまだまだ根強い。男性の育児参加を促すためには、様々な対応策が必要だと考える。例えば、育休パパへのヒアリングの中では、企業において、育児している父親へのハラスメントはまだまだ多いという話をよく耳にする。「父親になったのだから残業して仕事に本腰を入れるべきところを、残業しないとは何事だという叱責を受けて数時間立たされた」ケース、「何で男性が休みを取らなくてはいけないのか、仕事に対して無責任だとののしられた」ケースなど枚挙にいとまがない。これは大きな問題であることに気づかずに、普通の会話でこうしたハラスメントが頻発している。育児をしたい男性へのハラスメントの啓蒙パンフレットのようなものがあれば、意識改革の一つの手段として有効ではないか。

○奥山委員
 私達が運営している子育て拠点でも、男性が足を運びやすい子育て拠点をつくることを目標に掲げ、例えば、トイレも2か所つくって、パパのシールも張って父親も使えるといったアピールやパパの育児講座などを行っている。フランスの類似の広場では3人の職員のうち1人は男性であることを規定しているところもあり、受け入れ側も女性と子どもだけではなく男性も気軽に来られる場所であることが重要である。私達の子育て拠点にも育休中の父親が2人程いて、妻が育休を取った後、夫が育休を取ったとのことである。自分との関係がうまくいき、滑り台を滑れるのを妻に見せたくて、夫が妻を土曜日に呼んで、「私との関係の中で滑り台が滑れるようになった」と妻にアピールしていたが、そういうことを受け入れ側の施設も意識することが重要である。私達も含め、いくつかの団体が、子育てバリアフリーマップを作成し、女性のトイレだけでなく、男性のトイレにおむつ交換の設備があるかというチェックをしていると、ある施設からマップを発行するまでに設置するから待ってほしいということがあった。もっと行動を起こして社会においてそれが当たり前という気運を醸成することが重要である。

○大矢委員
 企業において、制度は整備されたものの、実際には制度があったことを知らずに結局使われていないということがある。例えば、母親、父親になったらどのようにすればよいかというプログラムのようなものの普及や浸透が重要である。制度の整備と同じくらい、その浸透のための活動は重要であり、点検・評価の一環として、そうした点も盛り込んだらどうか。

○佐藤主査
 本日の議論を踏まえ、構成や内容、重点の置き方などを整理していきたい。

5.閉会