「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議 第5回 点検・評価分科会 議事要旨

1.日時

 平成19年5月17日(木)17:30~19:00

2.場所

中央合同庁舎第4号館 2階 共用220会議室

3.出席者


(有識者)
佐藤 博樹  東京大学社会科学研究所教授(分科会主査)
渥美 由喜  株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治  日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美  恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子  株式会社資生堂常勤顧問
奥山 千鶴子  特定非営利活動法人びーのびーの理事長
前田 正子  (財)横浜市国際交流協会理事長

(欠席者)
藤本 保  大分こども病院長

4.議事概要


○佐藤主査
 本日は、これまでの関連テーマの各種ヒアリングも含めた様々な議論を踏まえ、本分科会の議論の整理をとりまとめたい。なお、藤本委員は所用により欠席である。

 参考1は、議論の整理案の全体像を1枚にまとめたものである。まず、本分科会の議論の前提として、第1回で説明した厚生労働省社会保障審議会の人口構造の変化に関する特別部会の「議論の整理」、子ども・子育て応援プランの進捗状況、内閣府ホームページによる少子化に関する意見募集などを基に、継続就業環境整備、保育環境の整備、育児不安の解消という3つの重点テーマを設定した。そして、重点テーマごとの議論の中で明らかになった問題の所在や今後の方向をまとめているが、今後の方向では、3つのテーマに共通する課題となっている「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」といったことを第1点目に掲げている。第2点目には、3つのテーマごとに具体的な内容を記述している。
 資料1について、1ページの「1.はじめに」では、本分科会の主な役割を記述している。(1)の施策の進捗状況の点検・評価というのは、これまで議論してきたことである。(2)の少子化対策の点検・評価のための手法を検討というのは、6月以降にご議論いただくことである。
 3ページの「3.問題の所在」では、議論を踏まえ、3つのテーマごとに問題の所在を記述している。「(1)継続就業環境整備について」の(1)では、女性の約7割が両立支援制度を利用する前に妊娠・出産を契機に離職し、うち約3割は両立環境が整わないことを理由に辞めている。(2)では、中小企業において特に両立支援制度の利用が立ち遅れており、育休取得者等の業務をカバーできるような仕事の進め方ができていないという事情がある。(3)では、仕事優先の働き方を前提とした企業の人材活用により、男性が子育てに十分な時間をかけられない状況があることや、男性が子育てしやすいような職場の雰囲気がないこと、キャリアや業務知識への影響に対する懸念などがあることなどである。(4)では、両立支援制度を利用すると業務遂行に支障が出るような業務管理・時間管理などの仕事の仕方になっている。
 「(2)保育環境の整備」の(1)は、待機児童ゼロ作戦を着実に推進する一方で、待機児童の抜本的な解消に至っていない。(2)は、就業形態・時間帯の多様化やサービス経済化等に伴い、多様な保育ニーズが高まっているにもかかわらず、十分対応できていない。(3)では、放課後をめぐる問題として、居場所づくりが必要というニーズが近年急速に高まる中、そうしたニーズに十分対応できていない、あるいは開所時間の延長、高学年の利用、適正規模化といった課題がある。(4)では、継続就業環境整備と保育環境の整備の連携として、保育所の年度途中の入所が難しいため育休を途中で切り上げざるを得ない、あるいは保育所の開所時間と勤務時間の実態が合っていないといった問題がある。この問題の背景には、長時間労働を強いられ、または多様な働き方を選択できないため、長時間の保育が必要になっている。
 「(3)育児不安の解消について」の(1)では、3歳未満児の8割は在宅での子育てであり、孤立化傾向にある。男性が十分子育てに時間をかけられないため、更に母親の育児不安を増大させている面がある。身近なところで気軽につどい、相談・交流できる場がほしい、子育て支援の情報がほしい、といった専業主婦(夫)や育休中の方のニーズなど、様々なニーズがあるが、そもそも支援拠点の事業内容が十分知られていないという問題、集い、相談・交流しやすい場になっていない、情報の提供など適切なサービスの提供を行う体制が不十分といった状況がある。(2)では、産科の勤務医にみられる厳しい勤務環境、訴訟リスクの高まり、夜間・休日患者の集中、小児科における親の専門医志向、軽症での受診増といった問題がある。
 「(4)共通する課題」では3つの重点テーマごとの問題の所在から導かれる共通課題をあげている。その多くが仕事優先の働き方を前提とした企業の人材活動に起因したものになっており、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスに対するニーズが高まる中、十分対応できていない。次に、ワーク・ライフ・バランスの取組についての企業側のメリット、労働者側のメリットを記述している。企業にとっては生産性の向上、労働者自身の意欲の向上、必要な人材確保につながるというメリットがある。労働者側では、子どもや家族と過ごす時間が増え、子育ての喜びを実感できる、あるいは子どもの健全な育ちにつながる、男女がともに子育てを行うことで、これまでの保育ニーズにも変化が生じるだけでなく、女性が継続就業しやすくなる、更に、地域活動への参加の機会が増えるといったこと、また、未婚化・晩婚化の進行という少子化の原因に着目すると、未婚の男女にとっては、様々な社会活動への参加が可能となることにより、様々な出会いの機会の増大にも資する。
 「(5)その他」では、個別の問題として、1つ目は、社会保険料が賦課されているにもかかわらず、産前産後の休業期間中、多くの場合給与が支払われておらず、育児休業期間中の取扱いとの比較や継続就業環境整備の観点からも問題がある。2つ目は、統計上の問題として、産前産後の休業者や育休中の対象者を含めた労働力人口は把握されていない、あるいは女性の継続就業率を継続的には把握していないといった問題がある。
 「4.今後の方向」では、「(1)ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて」を最も重要な課題と位置付け、国、自治体、企業、地域社会等が連携して取り組むということが重要であり、その取組が家族、地域社会の在り方を大きく変えることにつながるとしている。具体的な対応方向としては、1つ目は、労使の自主的取組等を通じて、長時間労働の抑制あるいは年次有給休暇取得の促進により、家族がともに触れ合い、絆を深めるような時間を確保できるようにすること、2つ目は、仕事上の責任だけでなく、家族や地域社会の一員としての責任など、様々な責任を果たすことができるような働き方を実現していくということ、3つ目は、どのような働き方をしても、公正に処遇され、個々人の生活上の必要に応じた働き方を選択できる条件整備を進めるということ、4つ目は、多様な働き方に対応できるよう、多様かつ柔軟な子育て支援サービスの提供を図るということである。
 こうしたワーク・ライフ・バランスの実現に向け、3つの重点テーマの個々の対応策を整理すると、「(2)個々の重点テーマについて」に示すとおり、「(1)継続就業環境整備について」では、1つ目は、効率的な業務遂行と長時間労働の是正を図ること、2つ目は、お互いの業務をカバーできるような業務体制の構築を図ること、3つ目は、経営者や管理職への意識改革、従業員への周知あるいは従業員のニーズ把握の取組の促進、あるいは休業者が出てもカバーできるような仕事の仕方の見直しのためのノウハウ提供を行うこと、4つ目は、子どもの看護休暇等の適切な運用、病児・病後児保育の充実を図ること、5つ目は、そもそもそういった社内規定がないなど制度の認知が不足している事業者に対して周知徹底を図ること、6つ目は、キャリアへの影響の対応として利用者の評価ルールの明確化を図ること、7つ目は、業務知識の問題の対応として業務関連情報の提供を図ること、8つ目は、男性の子育てを支援するため経営者、管理職への意識改革、周知などを図るといったことである。
 「(2)保育環境整備について」では、まず、「(1)保育所の受入れ児童数の拡大、多様な保育ニーズへの対応」として、1つ目は、保育所の受入れ児童数の拡大や多様な保育ニーズへの対応のため、単に待機児童の解消を目指すだけでなく、今後の有配偶女性の労働力率の上昇を視野に入れ、特に3歳未満児の保育サービスの計画的な拡充を図ること、2つ目は、都市部で用地取得が難しいといった問題に対応し、家庭的保育等の多様で弾力的な保育サービスの活用を図ること、3つ目は、多様な保育ニーズへの対応として、利用者の満足度を把握し柔軟なサービス提供を図るとともに、質の確保にも留意することといったことである。次に「(2)子どもの放課後対策の充実」では、19年度からの放課後子どもプランの円滑な実施を図る中で、開所時間の問題、高学年の利用、適正規模化といった問題にも対応していくといったことである。
 「(3)育児不安の解消について」では、「(1)家庭における子育て、親子関係への支援」として、家庭における子育てや親子関係への支援として身近に歩いていけるような距離感で拠点を整備すること、専業主婦だけでなく育休中の者、男性への子育ての支援など、すべての家庭を対象とした子育て支援の展開を図ること、地域子育て支援事業を進める上で、気軽に集い、相談・交流しやすい場になるように、父母が主体的に参画し、行政や関係者と協働する活動を推進することである。さらに、一時預かりサービスの拡充を図ること、人材育成や質の確保を図るということである。
 「(2)産科医療システム、小児医療システムの充実」では、拠点病院づくり、ネットワークの構築、産科医、小児科医の確保といったことである。
 最後の「その他」は個別の問題への対応として、産前産後の休業期間中の社会保険料負担については、財源にも留意しつつ、育児休業と同様に免除することを含めて検討すること、また、育児休業中の方を含めた労働力人口の把握や女性の継続就業率の継続的な把握といったことについても検討することである。

○佐藤主査
 それでは、意見があればお願いしたい。

○渥美委員
 点検・評価分科会の役割は最も重要であり、新たな方向性を出すとき、進捗状況のチェックがあってしかるべきである。
 近々発表される昨年の出生率は1.3を超えると予想されているが、例えば、理想の子ども数について2.6をベースに考えると、1.3はまだ非常に低い。フランス政府へのインタビューをしたとき、家族問題全国連合会の方が、国民が2.8人の子どもがほしいと感じているならば、それをサポートするための様々な施策を講じるとコメントしていて、非常に感銘を受けた。出生率に対する評価も重要ではないかと思う。
 出生数や出生率のほか、ワーク・ライフ・バランスなども評価軸を決めて、毎年、点検・評価していくことも重要である。出生率に目標をというと、「産めよ、殖やせよ」ではないかとの反発があるが、社会政策というのは、目標に対する政策効果というところで、Plan―Do―Check―ActionというPDCAサイクルを回していく必要がある。例えば、仮定人口試算の合計特殊出生率1.75が1つのメルクマールになるのであれば、これを掲げることも考えられる。

○大日向委員
 本分科会の前身である少子化社会対策推進会議では、少子化対策には3本柱、すなわち働き方の見直し、地域の子育て力と保育力の向上、そして経済的支援といった3本柱があるが、しかし今、一番緊急で重要なことは、働き方の見直し、地域の子育て力と保育サービスの整備の2つということで議論してきたと思う。
 4ページの「(4)継続就業環境整備と保育環境整備の連携について」の問題点として、働き方の見直しと保育環境の整備を明確に打ち出し、その連携を柱にしている点は評価できる。ただし、長時間労働と保育環境の整備との因果関係を示す表現に工夫が必要である。つまり、連携が重要になる背景には、働き方の見直しを最優先することが子どもにとってよりよい保育環境の整備につながるという議論があった。長時間労働や親の働き方の見直しがなおざりにされているところがある。連携ということであれば、その背景がどのようなことなのかを明確にする表現を工夫するべきである。
 次に、6ページの文中、「男女がともに子育てを行うことでこれまでの保育ニーズにも変化が生じることになるだけでなく」という記述があるが、男女がともに子育てを行うためには、労働時間や働き方の見直しが必要という記述を加えた方が良い。
 次に、7ページの文中、対応方向として、「家族や地域社会の一員としての責任など家庭生活や地域生活における様々な責任を果たすことができるような」という記述がある。この文脈だと、ワーク・ライフ・バランスが結果的に、仕事上の責任だけでなく、家族や地域社会の一員としての責任を課すなど、家族が果たすべき責任が重なるような誤解を招くと思う。歴史をふり返っても、家庭のみで子育てや地域の責任を担ったことはない。家族の状況が二極化している現代の状況をみても、様々な面で大変な困窮を抱えている家族にとっては、責任などと言われても果たしようがない。逆に、これ以上重荷を背負い込まず、そんなにまで生真面目に子育てを考えなくていいのでは、と言ってあげたくなるような家庭もある。こうした現状を考えれば地域全体、社会全体で子育て家庭を支えていくということをアピールするべきだと思う。責任という表現を使うよりも、家庭を支えるために働き方の見直しや地域の育児力の向上が必要というニュアンスが必要だ。

○佐藤主査
 4ページ、6ページの記述に対する指摘については、検討させていただく。基本的には、働き方を変え、過度な長時間労働をなくし、男性も子育てに関わることにより、例えば保育園に迎えに行ける、子どもが病気になったら夫婦どちらかが休めるなど、そのようなことが伝わるよう、表現に工夫が必要と思う。
 7ページの「責任」という記述については、誤解を招くようであれば、検討が必要だと思う。

○前田委員
 4ページの「(3)子どもの放課後をめぐる問題について」の記述について、放課後児童政策は重要で、学校施設を活用することは重要ではあるが、一方で、子どもを閉じ込めてしまうことにもつながる。今、地域の現状として、公園など子どもが自由に遊べる空間がなくなっているので、結局、ここに来ざるを得ないという状況もある。子どもの放課後の居場所づくりプラス多様な選択肢、安全に過ごせる場所を地域にも増やすことが必要であるが、それがないので学校で見てほしいというニーズがある。放課後施策は緊急課題であるが、公園など子どもが安心して過ごせる場所を地域でも増やす努力が必要ということを記述できればと思う。

○渥美委員
 まず、ワーク・ライフ・バランスに向けた働き方の見直しは、女性だけでなく、男性の問題でもあることは、本分科会においてコンセンサスを得ていると思う。
 3ページには、育児休業制度等の利用や男性の子育てに関して問題点を記述している。自分が育児休業を利用したという経験から、意識改革の上でも、1つの指標として育児休業取得率は重要だと思う。子育てはこんなに大変だがすごく楽しいという意識改革のきっかけとして、期間は長くなくても、数週間であっても取ると、その後に大きく変わってきて妻も楽になる。ここには10%の男性育児休業取得率の目標を掲げるということは記述していないが、依然として男性の育休取得率が低いという現状にあって、なかなか掛け声だけで男性の働き方を見直すと言われても変わっていかないと思う。
 私自身が育児休業を取得したのは、研究者として必要不可欠であったが、合理的な選択でもあった。つまり、妻の方が夫よりも収入が多いとすれば、夫が育児休業を取得する方が所得ロスは少ない。私のケースは、妻が取得した後に、私も取得した。一般的な家庭では、男性の方が収入が多いとすると、同じ5から6割の所得ロスになるとしても、男性だけが取得できる期間については所得保障を上乗せしない限りは、10%という目標は絵に描いた餅になってしまう。
 ワーク・ライフ・バランスに向けて取り組むという基本的な方向にはコンセンサスが得られている一方で、抽象的な言葉だけが広まって、中身がまだ煮詰まっていないというところを、点検・評価分科会において、ワーク・ライフ・バランスのための評価軸や数値目標によりチェックすることが重要だと思う。私が企業からの協力により収集しているデータベースでは、女性の就労継続の割合であったり、育児休業取得率であったり、有給休暇取得率、女性の管理職比率、就労形態の選択肢、正規社員に対する制度の適用の可否などを聞いているが、マクロのデータとしてワーク・ライフ・バランスを示すもの、例えば帰宅時間、残業時間などの調査も含め、今後、チェックすることが必要である。そこで、行政サイドがワーク・ライフ・バランスを率先垂範して、そこで得られた各省庁、各局、各課の平均残業時間、支払われている残業時間などのデータを、毎年開示してもらいたい。例えば、国会質問等の待機のため、帰宅時間が遅れてタクシーで帰る、それは全部税金で賄われているということとあわせて可視化すると、国民の目も厳しくなり、国会対応の改善が図られて残業時間も減った、といった成功プロセスを開示することにより、民間企業に業務の無駄をなくせるという成功モデルを示すことができる。民間にとってもワーク・ライフ・バランスに取り組むきっかけになるかと思う。ワーク・ライフ・バランスは、企業の現状として、行政の掛け声だけで強制力もなく、十分なインセンティブになっていないという声もあるので、まずは実践度をみるための指標を設定して、改善までのプロセスをまとめるなど、行政サイドでモデルを示してほしい。

○佐藤主査
 これから議論することになると思うが、渥美委員から指摘のあった男性の育児休業取得率10%というのは、日本全体としての目標ということでよいのか。それをサポートする一つの仕組みは次世代法の認定基準の中に、少なくとも計画期間中、男性一人が育児休業取得ということになっており、ここでは男性の子育てを促進するためにいろいろなことが書いてあるが、そういう施策を見直すことも当然これから課題になってくると思う。
 問題なのは、一応基準ができてしまっているため、途中から基準を変えるとなれば、後出しじゃんけんみたいなものになる。今の仕組みで、例えば、男性の子育て参加、あるいはワーク・ライフ・バランスの促進ができるかどうかは議論をする必要があると思う。

○案田委員
 問題の所在の中で、例えば、保育所のニーズなどについても、今後の保育需要が不明確ということがある。こういったことは、それぞれの地域によって、人口がどう変わるかというのが見えないという問題や、財政的な制約などがある中で、地域の実情や就業形態に合った保育ニーズというのはかなり違ってくる。そこで、それぞれの地域ごとのニーズの変化をどのように捉えて、地域の中で重点的な保育政策あるいは就業政策を見るべきなのかを考えると、ある面で財政の一本化や、それをどう地域別に重点的に投入するかみたいな柔軟性が必要ではないか。あるいは日本全体を見たときに、地域にどういう特性があるかということを踏まえて政策を見ていくかという視点が必要であると思う。
 今回は、こういう考え方で全体的によいと思うが、今後の課題の中に、少しそういう点を入れておくべきではないかと思う。

○佐藤主査
 地域・家族の再生分科会では、そういうことは議論されているのか。

○度山厚生労働省少子化対策企画室長
 3ページから4ページにかけて、なかなか待機児童の減少が解決に至らないというところについては、待機児解消の計画をつくっている自治体を対象にヒアリング調査を行ったときの理由が示されている。
 将来の保育需要が不明確というのは、ある意味本音かもしれない。つまり、対象となる子どもが減っていくのに保育所をどんどん作っていったら、将来余ってしまうのではないかという話である。
 ただ、一方で、これからのことを考えたときに、継続就業の環境整備ができていく中で、特に待機児童の7割が3歳未満だということを考えると、ここの部分が、我が国では2割ぐらいしか保育所にカバーされていないが、スウェーデンやフランス並みになると、この率が4割ぐらいになる。そうすると子どもの数が半分になったとしても、率が上がれば、同じだけの需要が生じるということを、自治体の方にも考えていただきたいと思う。
 それから、この分科会でも出ているし、地域・家族の再生分科会でも話をしているのは、そのときの保育需要というのは、今のような定型的な保育需要とは大分違って、例えば週に3日かもしれないし、1日に4時間かもしれないということであり、そういう意味では、弾力性を持ったようなサービス展開が必要である。
 そういったことを念頭に置いて、政策手段も多様化しなければいけないし、そういったものをどのように考えるかということをデザインしていくことが課題ではないかと思う。

○佐藤主査
 子どもの数が減るにしても、現在、妊娠・出産を契機に辞めている7割の女性のうち、働き続けたいという人がいるため、そういう意味で、働く女性が増えて、子どもを持ちやすくなれば、育児休業をとる人も増えて、その後の保育ニーズは高くなる。
 当然働き方も変わってくるので、今の状況とは違うが、絶対量が増える要因の方が大きいと思う。また地域ごとに違うと思う。

○奥山委員
 今のことに関連して、4ページに多様な保育ニーズへの対応ということで記述があるが、現状としては、働いている人の保育園という考え方と、育休中の対応、それから0~2歳の8割の方が在宅で子育てしているときに利用する一時預かりというように、保育の考え方も非常に広くなってきている。
 例えば、2人目の育休をとったとすると、親は家にいるので、保育園は利用できるかどうか昔は議論になった。子育て中の専業主婦は、ずっと保育園とは関係なく過ごすことになる。
 そういうことを考えると、もっと保育の枠組みを広く考えて、育休中の利用のこと、それから専業主婦層でも、そういったサービスが使えるというような、もう少し保育の枠を広げて考えていくという方向性が打ち出されてくるといい。6ページにあるように、家庭における子育て支援について、居場所をつくって、相談や情報提供だけではなく、一時預かりのサービスを受けたいというニーズに対して、どのように情報提供していくかとか、具体的にサービスにつないでいくかとか、そういった記述も入れていただきたい。今後検討すべき分野ではないかと思う。
 また、先程、前田委員から指摘いただいた、子どもの放課後をめぐる問題について、放課後対策という言葉で見ると、何となく学校の放課後対策と読み取れてしまう。地域で学童保育などを担っているケースも見られるので、学校だけでなく、広くとらえた子どもの放課後の居場所、安心して過ごせる場づくりということで書いていただければと思う。

○佐藤主査
 今の書き方は、学校でという感じになっているので、もちろん学校も一つだが、もう少し広い放課後の居場所みたいなものとして検討させていただく。
 あと、前半は非常に大きな課題であるが、これからの保育とは何か、つまり保育に欠ける子という考え方を全部見直すということである。保育の在り方、保育サービスとは何かということは非常に重要である。

○前田委員
 地方自治体の現状をみると、働いている人の保育所を解決するだけでも大変である。横浜市は、私がいる4年間に、350 億円だった保育予算が現在540 億になっている。児童手当も130 億が210 億円になって、真水で現金を200 億円ぐらい増やしている。それなのに全然待機児童は減らない。
 横浜市は、8割以上の3歳未満児は家にいる。母親が一次保育、二次保育をやるということは、非常にお金のかかる話である。今は好景気なので、保育所を開くにも、保育士が集まらない、特別養護老人ホームをつくるにも介護士が集まらないという状況である。それだけ保育士の採用をものすごい勢いで行わなければいけないことがある一方で、今、専業で家にいる人たちも出てもらうことになるわけであり、これは壮大なことである。

○大日向委員
 9ページに「1)家庭における子育て、親子関係への支援」とあるが、ここの表記は家庭ではなく、すべての家庭を対象とした、地域における子育て、親子関係への支援だと思う。
 1つには保育所の整備ということがあるが、一方、今、前田委員が言われたように、保育所は整備し切れないという声もある。そうすると、1)の一番最後のところに、学生と主婦、高齢者のボランティアの方々の力を活かして、地域で子育て家庭を支えていくことが必要だと思う。
 今、私がNPO法人あい・ぽーとステーションの事業として港区等で実施している子育て・家族支援者は、まさにこれで、子育てが終わった主婦や団塊世代の男女の方々が地域の子育て家庭を支援する人材として育っている。
 その方々が支援する対象というのは、在宅家庭の子育てでもあり、同時に1週間や月に2~3回の不定期の仕事をする家庭の支援でもある。保育士が活躍する保育所の整備と共に、地域の育児力の向上ということも抱き合わせていくことが重要である。
 また、1)の「家庭における子育て」という表記は、前述したように、家庭の責任のみを強調しているように受けとられかねない。むしろ親や家庭が子育てに相応の役割を果たすことができるような支援体制を整える責任が地域や社会の側にあると訴えるような表記が必要。

○度山厚生労働省少子化対策企画室長
 結局、ワーク・ライフ・バランスを考えると、ワークとライフという一人の人間が2つの面を持っていて、子育て家庭で考えると、ワークというのは労働している側面と、それから今度は家にいるときに、家庭生活を営んでいる側面を持っていて、ここで議論している家庭における子育てというのは、そういった家庭人としての家庭で営まれる子育てというものを地域でどのように支えていくかということである。地域・家族の再生分科会でもそういう問題設定をしていて、従来の考え方だと、仕事をしている人は24時間仕事をしていて、子育てをしている人は24時間子育てしていてというように分化して考えられていたものが、実はそうではなくて、専業主婦以外の育児休業中の方や、短時間勤務という形で両方に関わるとか、あるいは今まで24時間仕事をしていた男性の働き方を見直して家庭において子どもに関わるとか、そういう側面が出てくる。そういったことをある意味、丸ごと地域で支えていくということである。
 この分科会でも、渥美委員から、自分が育児休業をとると地域で孤立したという話があったが、家庭という場で子どもに関わることを地域で応援をしていこうという文脈で問題が整理されていると理解した。
 ここだけ家庭における子育てというと、ちょっと誤解があるのかもしれないが、恐らくそういう文脈での議論だと思う。

○佐藤主査
 「家庭における」を取ってはどうか。取ってしまっても、中身が書いてあれば、趣旨は同じである。

○奥山委員
 大日向委員から発言があった通り、保育サービスだけではなくて、親同士の預け合いも含め、地域のボランティアに支えられた、いわゆるファミリー・サポート・システムなどもあるが、保育サービスと地域人材の一時預かりのサービスの間に、まだ整合性がない感じがして、その辺りをどのように拡充していくかという将来ビジョンが見えてくると、非常にいい。
 9ページに、「学生・主婦・高齢者のボランティア等」と書いてあるが、私が運営に携わっている広場で「高齢者」というと、怒られてしまう。退職前後の方とか、シニアの方、もしくは退職者と入れればいいのか、こういう記述の仕方は気を遣う必要がある。
 1つ気になったのが、「父母が主体的に参画し行政や関係者と協働する活動を推進する」とあるが、少し分かりにくい。意図としては、そういった当事者の意見をうまく活用して一緒にやっていくということだと思うが、当事者が主体的に参画するというのは当事者からは難しい。逆に親が主体的に参画できる仕組みをつくるというか、行政、関係者が、そういう環境をつくるということの方が重要であると思う。

○佐藤主査
 働くというと、子育ての関係を変えることであるし、保育というものの考え方も根本的に変えるということが非常に重要である。従来と違ったステージに移るということが伝わるような書き方の方がいいと思うので、そういう趣旨で少し見直すようにしたい。

○渥美委員
 8ページの「(2) 保育環境整備について」であるが、例えば、待機児童の解消と、今後の有配偶女性の労働力率の上昇を視野に入れた計画的な拡充の部分はまさにその通りである。私が政令指定都市を回ってヒアリングをしたが、3つの問題があると思う。
 1つは、もう少し規制緩和ができないかということ。都市部では用地取得が難しいということがある。ヒアリングによれば、ビルやマンションの中に保育所をつくろうと思ったが、25メートル基準というものが壁になって、格好の場所だったが断念したことがあり、もう少し地方自治体に判断を任せてほしいという話があった。
 2つ目は、単年度予算が縛りになっているということである。計画、申請、許可が下りて着工というところまで空白が2年ぐらいあり、その間待ってくれればいいが、最初はその気でも待たされている間に気が変わることもあるため、非常にやりにくい。したがって、単年度予算ではなくて、待機情勢というのは地域別に測定できるので、大々的に予算を確保するまでが国の役割、それで自治体において5年の間に、それぞれ知恵を出し合って、責任を持って解消していく。さらにその解消したものをどうやって解消したのか、知恵を共有し合って成功モデルとして全国に広げていく、そういうやり方ができないかと思う。
 3つ目として、中長期に関することなので、社会経済の変動リスクはなかなか自治体では負いにくいということである。都市部は、経済の好況があまりまだ波及していなくて、オフィススペースが空いているから、どんどんそこにビルが建って、結果的に子育て世代が多く入居して、待機児童が増えてしまっている。ただ、着工して作ったはいいけれども、今後、もう一回経済状況がよくなると、また、ドーナツ化が進んで、子育て世代が郊外に行ってしまうと、中心部は空洞化する。十数年という長期の運営リスクというのは、自治体でそこまで負うのは非常に難しく、地方における中長期の変動は、国の予測しているものより大きいため、そのような財政リスクを国が取れないかと思う。
 もう一つは、事業所内保育施設のことであるが、ある商業ビルで非常に面白いことをやっていた。そこのテナントは、百数十あまりの中小企業であるが、テナントにビル側が声をかけて、中小企業が共同運営で保育スペースを作っている。ただ、これの対象になる助成制度や税制優遇の措置というのは、非常に難しくて、基本的には手弁当である。今の枠組みのままだと、この成功を地方にまでは広めにくいと思う。是非そういうものに対しては助成していただきたい。例えば、中小企業の共同運営といっても、常時10人以上という要件は厳しいので、そういう待機児童あるいは地域で本当は認可に入れればよかったが、代わりに事業者の保育施設が受け入れるという観点であれば、子どもは別にどこにいようと変わらないので、子どもに対する助成ということで、もう少し認可だけに配分ではなく、別の形で整理できないものかと思う。

○佐藤主査
 いろいろ御意見を出していただいたが、1つは、大日向委員が言われたように、就業環境整備と保育環境整備のところで、まずは働き方を変えるというメッセージが必要ということである。今の働き方に合わせて保育サービスを展開するのではなくて、当然働き方を変えていくという趣旨がわかるようにするということである。
 あと、放課後の居場所のことも、学校だけではなくて、もう少し地域の居場所みたいなことがわかるようにするということである。
 3番目は、地域の保育力を高めていくということで、家族での保育との関係がわかるような形で少し見直していただくということを少し検討したい。
 あと、責任のところも誤解を招かない形にしたい。

○大矢委員
 「1.はじめに」のところで、点検・評価分科会の主な役割として(1)と(2)があるが、ここでの意味を確認したい。少子化対策を点検・評価するための手法を検討するとあるが、手法を検討すると、優先すべき重点施策が選出でき、その目標が定まって、少子化対策の将来像みたいなものが描けるのではないかと思う。そこまでをある程度視野に入れるのかどうか。手法だけだと数字だけが見えるが、重点施策について、少なくとも10年後にはこれだけやるといえば、今、迷っている人に対しても、子どもを持てる希望というものが開かれるような感じがすると思う。点検・評価分科会の役割というのをそこまで描いていただけるとすると、非常に役割として見えると思う。実はそこまでではなくて、手法だけなのかどうかというところをもう一度確認したい。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 この分科会の役割は点検・評価の手法ということであるが、そもそも子ども・子育て応援プランというものが、17年度から21年度までということになっており、計画を今後どうしていくかということも見据えて御議論いただくということになる。したがって、6月以降、今、御指摘があった点を含め、議論していただくことになると思う。

○大矢委員
 そうであるとすると、(2)のところを少し具体的な形にしてもらうと、こういうものがアウトプットされ、イメージができると思うので、加筆していただければと思う。

○佐藤主査
 「子どもと家族を応援する日本」重点戦略ができたときに、その点検・評価を私たちがやるとは限らない。私たちはその手法を考え、それを各府省で使ってもらうことになると思う。したがって、こういう考え方でフォローアップ、評価するべきというところまでは、ここで議論するということだと思う。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 この分科会は、戦略検討会議の下で、子ども・子育て応援プラン、あるいは地方公共団体、事業主の次世代育成支援に係る行動計画のフォローアップ、運用改善というミッションがある。そのなかに行動計画の数値目標見直しに向けた検討も含まれるが、数値目標だけでなく、今後、どのようにしていくかということを視野に入れてご議論いただく。
計画自体、新しいものをつくっていくということになると、これはまた別の場でということになるかもしれないが、そういうことを視野に入れてご議論いただくということだろうと思う。

○大矢委員
 新しいプランをつくるということではなくて、その結果、将来どうなるのかという具体像を明示することが育児不安や保育不安の解消につながる第一歩ではないかと思う。点検・評価の手法だけが見えてしまうと、これから先がそういう数字だけという形が見えるので、そこの部分が優先的な重点施策によって将来こうなるという形で描けるとよい。

○佐藤主査
 これは全体の話である。ここでというより、これからどうなるか分からないが、重点戦略ができたときに、先が見えるようなものをつくってほしいということだと思う。

○大矢委員
 優先的に実施すべき重点施策までは評価のところに入ると思うが、それをどのように明示するかは、もっと大きなところになると思う。

○渥美委員
 今のことに関して、叩き台がないわけではなく、子ども・子育てと応援プランでは2009年まで5年間の目標が設定され、具体的な政策によって実現する10年後の目指す社会の姿が明示されている。今後の検討では、それがそのままでいいということではないので、チェックして新たなものを付け加えるなどして、具体的なイメージを国民に示せるようにすればよい。

○奥山委員
 子ども・子育て応援プランが策定され、地方自治体の次世代育成支援に関する行動計画も策定されているが、1年ごとにかなり状況が動いていることを考えると、目標値を見直すとか、この考え方でいいのかということを、各自治体でもう一回見直すことが重要であり、また、こうした動きを自治体にうまく伝えていく必要がある。

○佐藤委員
 行動計画の見直しの検討などを盛り込む必要があるので、ここで書いておいた方がいいかどうかも含め、検討させていただく。
それでは、本日の御意見を踏まえ、まず、修文したものを一度見ていただき、その後は私が事務局と調整し、本分科会の議論の整理とさせていただくこととしたい。
 今後、他の分科会でも同じように議論の整理をまとめ、全体的な中間とりまとめを行って、重点戦略検討会議において他の分科会の主査とともに共同提案させていただく。
今後は、先程既に議論になった(2)の点検・評価のあり方等を検討することになるが、地域の行動計画等も含めて検討していくことになる。事務局から、今後の進め方について説明いただきたい。

○山田内閣府少子・高齢化対策第1担当企画官
 他の分科会においても来週までに議論の整理を行うこととなっている。その後、全体をまとめ、4主査から共同で重点戦略検討会議に報告する予定である。
 次回の分科会については、重点戦略会議が終わった後に日程調整をさせていただきたい。

○佐藤主査
 少し時間が空いて分科会を再開することになるが、引き続きよろしくお願いしたい。

5.閉会