「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議 第7回 点検・評価分科会 議事要旨

1.日時

 平成19年10月19日(金)10時00分~12時00分

2.場所

中央合同庁舎4号館4階共用第2特別会議室

3.出席者


(有識者)
佐藤 博樹  東京大学社会科学研究所教授(分科会主査)
渥美 由喜  株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治  日本サービス・流通労働組合連合副会長
大矢 和子  株式会社資生堂監査役
奥山 千鶴子  特定非営利活動法人びーのびーの理事長
藤本 保  大分こども病院長
前田 正子  (財)横浜市国際交流協会理事長

(欠席者)
大日向 雅美  恵泉女学園大学・大学院教授

4.議事概要


○佐藤主査
 前回の議論では、今後の点検・評価分科会の進め方について議論し、利用者の視点に立った点検・評価の意義や重要性を明確にする必要があるという意見をいただいた。
 本日は、前半、渥美委員から研究者としての立場から利用者の視点に立った点検・評価の手法に関してどのような手法が重要であるかを説明していただき、意見交換を行いたい。後半は、これまでの議論を整理したものについて、意見交換を行いたい。

 本日は「利用者の視点・地域にニーズに即した点検・評価のあり方」と題して報告させていただく。
 これまでの議論の中で、利用者の視点が重要ではないか、地域の総意に即した施策が重要ではないかという指摘があった。本日は、少子化対策の評価手法のあり方について、これまでの事例を振り返り、今後、こうあった方が良いと思うところを述べたい。
 次に地域差をどう考えるのか。既に幅広い相違点が浮かび上がってきている中、国の役割をどう考えるべきかを述べたい。そして、官庁データや統計調査をもう少し有効活用できないかということを述べたい。
 最後に、利用者ニーズに即した自治体・企業の取組について、数値目標だけでは限界がある部分をどのようにすれば企業や自治体の取組に活かしていけるのかを述べたい。
 少子化対策の評価手法であるが、これまでの少子化対策や両立支援策を対象に評価した取組事例はある。例えば、新エンゼルプランや両立指標に関する指針などがあり、既に評価指標というものが検討されている。これまでの評価事例の特徴は、評価指標として大きく3指標に大別されるが、インプット指標、アウトプット指標、アウトカム指標のうち、これまでは概ねアウトプット指標で評価されてきた。アウトカムの指標は余り見られない。アウトプットの指標としては、例えば、保育の定員数、設置箇所数が目標に掲げられ、それが充足したというような事業の進捗度合がこれまで点検・評価されてきた。
 ただし、そもそも個別事業の進捗と少子化対策の政策目標において、どの事業で因果関係が強く、どれが弱いかについて全く関連性が明示されていないので、結果的に事業同士の相対的な有効性、例えば費用対効果として一番効果的なのはどれなのか、あるいは今後優先順位を絞り込んでいくとしたらどれなのかを判別するのは困難である。
 PDCAサイクルは、今までもなかったとは思わないが、PとDはきちんとなされ、そこをチェックする部分が難しかったのではないかと思う。今後、PDCAをシームレスにつなげていくため、各政策の利用者満足度と政策目標の達成に至るプロセスがとても大切だと思う。さらに、複雑なものを作ってしまうと国民不在の研究者たちだけの議論と言われてしまうので、シンプルでわかりやすい指標というのが重要である。
 これまでの会議の中で何回か述べたが、少子化の指標として合計特殊出生率は国民の中でも広く知られている数字なので、こういったものを少子化対策の結果と捉える考え方もある。ただし、例えば、利用者満足度が向上したからといって、すぐに合計特殊出生率が向上するとは一概に言えない。一方で、例えば、これまでも施策を利用・経験した結果、子どもを持ちたいと思えるようになったかといった意識調査のアンケート結果から関連性を推測している評価事例もあるが、そういった捉え方は今後も可能ではないかと思う。
 既に資料等で説明していただいたように、結婚や出生行動に影響していると示唆されている諸要素は、大きく婚姻と出産の段階別に主たる要因、影響している要素が明示されている。例えば、結婚や子ども数について国民の希望を実現した場合、合計特殊出生率は1.75程度になる。特別部会で示された、そういった諸要素を整理して、それぞれの施策分野に絞り込んで重点的にプランを再構築するという考え方があるのではないかと思う。「子ども・子育て応援プラン」はとてもよくできているが、総花的な羅列で、優先順位がわかりにくいことから、重点的にプランを再構築するということがあろうかと思う。
 この重点施策分野で結婚、出産段階別にそれぞれ主たる要素として挙げられているものを4つ並べたが、若者の経済的基盤の確立については、国が主たる担い手にならないと難しい面がある。
 就労継続環境の整備については、企業をどうやって地域差に応じて自治体がサポートしていくのかという点で、企業と自治体が重要ではないかと考えている。
 家事・育児の分担については、私レベルの個人が変わっていかなければいけない部分であり、意識啓発するのは、国、自治体、行政の役割だと思う。
 保育環境の整備については、今も自治体になっており、これからもそうだと思う。
 地域差をどう評価するか、国の役割はどう考えるかという部分である。これは男女共同参画会議の「少子化と男女共同参画に関する専門調査会」において、地域の生みやすさ、育てやすさと働きやすさが大きく二極化していることが非常にわかりやすく出ている。大きく都市部では生みにくく働きにくいということだが、細かく見ていくと、隣接県でも際立った違いが見られる。例えば、岩手県は、生みやすく、育てやすく、働きやすいが、宮城県は、その逆であり、隣接県であっても濃淡がある。
 これは長期トレンドで見ているものだが、最近の出生数の動きを見ると、面白いデータがある。本年の上半期の出生増加率の上位県だが、1位の福岡県を筆頭に、茨城、岩手、東京、広島の5県のうち4県は、生みにくく、働きにくい自治体であるが、直近の半年だと出生数は大幅に増加している。つまり、生みやすく、育てやすい環境、働きやすい環境は、既に濃淡は大きくあったが、その濃淡は大幅に入れ替わる兆しもみられる。もともと少なかったから、その分若干生み戻しがあるということは当然あり得る。都道府県、政令指定都市へのヒアリングをずっと行っているが、各自治体の取組を聞くと、かなり施策は幅広く、担当者が情熱を持って知恵を絞ってやっているところも多く見られる一方、そうではない自治体もある。そういう中では、これまでは下のレベルに位置したところでも、このままではまずいという危機感をもって、担当者をはじめ、自治体の努力もあって、国の施策と相まって出生率の回復あるいは都道府県別に見た出生増加という結果になっている。数年後に出生回復というのは、自治体の取組とその後の出生動向を見る限りでは、かなりあると思う。
 少子化対策、社会政策は、成熟するに伴って、トップダウンからボトムアップへ転換する必要があると考えている。今、地方分権という言葉が盛んに言われているが、今後、国の役割を考える上で、少子化対策はトップダウン型からボトムアップ型に転換する時期という考え方もできる。かつて我が国があらゆる社会政策で低水準だった時代は、国が統一の基準を設けて、それをトップダウンで地域に濃淡なく最低水準を満たすという在り方はあってしかるべきだった。しかし、ある程度水準が満たされた現在においては、自治体間で競わせ、その成功モデルを吸い上げて広める自治体主導ボトムアップ型というのが重要である。
 私は、国の役割は3つあると思う。
 1つ目は、まとまった財源を確保できないと重点的に施策を展開していくことが難しいことから、年金、医療、介護と並ぶ4つ目の財政システムというものを作るべきである。育児保険や子育て基金というものが検討されてしかるべきである。
 2つ目は、欧米諸国をヒアリングしているときによく聞く言葉で、国の役割で一番重要なのは、キャンペーンである。これはスウェーデン、フィンランド、イギリス、フランスなどで聞いたが、国全体としての意識改革や国民運動は、国がやらないと進まない。家事・育児に関する意識啓発は、その筆頭だと思う。
 3つ目は、全体としては、社会政策の水準は上がってきたが、それでもまだ一部分、セーフティーネットが必要な部分は、国がやるべきであり、就労環境や保育サービスの質は、国がきちんと基準を設定し、チェックすることが重要である。
 一方で、就労継続環境の整備、保育環境の整備は、利用者ニーズに即したきめ細やかな施策展開が可能な自治体には権限委譲しても良いと思う。
 就労継続環境の整備、働き方の部分で、企業へのアプローチ、行動計画の策定、義務づけ、あるいは中小企業は努力義務について、一元的に情報は労働局が持っているが、その情報が自治体には伝わらない。自治体と国の出先機関である労働局あるいは外郭団体である21世紀職業財団の労働政策は連携してやっていくべきであり、やっていることが重複している状況はよくない。それぞれでなければできない役割があると思うが、非効率にならないような連携が必要である。
 保育環境の整備については、自治体独自の財源が不足している。その部分を今後は考えないと、自治体が良いアイデアを持っても活かされていかない。
 地域における国、県または市の連携が非常に重要である。既に情報交換が始まっている動きもあるが、まだ大半の自治体では、うまくいっていない。結果的に企業は、例えば、都道府県から調査の打診があり、労働局、職業財団、政令指定都市からも似たような調査の打診があり、4つの主体から打診があることで、非常に混乱する場面も見られ、非効率である。
 今後は、行政が連携し、また企業や地域を巻き込んだ連携の並行モデルを作っていかないといけない。この点で、大阪府で、労働局、市と情報交換を行うため、メーリングリストを作り、また、その中でキャンペーン、シンポジウム等の共催を行うといった取組があったが、こういった取組は是非続けて広めていくべきである。
 私の造語であるが、基準行政からダイバーシティ行政と思っている。基準行政は、これまでも大切であり、これからも重要な役割だと思う。それは、セーフティーネットの部分にとどめ、セーフティーネットを上回る部分について、例えば、雇用保険が潤沢だったときは、プラスαをしていたが、現在のように行政が財政的に厳しい中では、プラスαの部分は自治体に任せて良いと思う。自治体が、今後、政策展開をしていく上で、例えば、今のように単年度予算で地域計画に積み上げて保育施設や就労環境整備を行うのでは限界がある。数年単位で計画し、また実施していくということをやれる環境にした方が良い。例えば、先ほど、上半期に出生数が大幅増だった自治体は、喜んではいるが、それはうれしい悲鳴で、これから子どもたちに施策を展開していく中では、お金も気になるのが自治体の正直な気持ちである。
 例えば、フランスでは、出生数から逆算し、子どもの居場所を確保するために、施策展開を官民を挙げて考えており、企業の協力を仰ぐために、80万人生まれている子どものうち5万人分を企業で確保する、事務所内保育施設という考え方である。これを日本でもするならば、居場所の確保が必要な子ども数は、生まれている子ども数及び保育所などから推計できるため、そういった数字を基に一人当たりの費用を地域に配分するような在り方が今後考えられる。それは努力して出生数が大幅に増えたところは、財源確保をし、政策展開できる、非常によいサイクルで政策が回り始めると思う。
 各地域は、既に地域特性に応じた政策をしようとしている。そうした居場所の確保の目標をきちんと明示した上で、各自治体が創意工夫する多様性のある少子化対策、ダイバーシティ行政が今後考えられる将来像の一つではないかと考える。
 また、政策の質の評価は、非常に大切な論点である。
 少子化対策は単年度評価では限界がある。そもそも1年後に結果が現れるということはあり得ないので、単年度ではなく、複数年での評価があって良い。議会の予算チェックで縛られるのは、無駄な面も感じるので、数年に渡り企画・実施した成果を費用対効果も含め公表させることを義務づける。それが効果の高い施策である場合は、すぐに他の自治体が真似する。真似されることで、結果的に良い政策だけは残るということもある。
 おかしな政策でも、ただ安上がりに済むからというのもあるかもしれないが、現在の自治体の動きは、かなり吟味され、費用対効果でみると質の高い施策が広まっている。国はいち早くそれらの良い政策を吸い上げ、統一基準で実施することも考えていかないと、自治体が混乱する要因になる。例えば、石川県のプレミアム・パスポートに始まる子育て家庭の買い物優遇カードは、既に都道府県の半分以上が導入しているが、自治体の考え方によって、石川県は3子以上、隣りの富山県は1子からと、ばらばらな基準である。広域連携についても、例えば、後発の九州や、一部の自治体同士で連携している程度である。半分以上の自治体が導入したがゆえに、かえってばらばらな基準が目立っている面がある。ばらばらな基準のため、全国展開している店舗においては、自治体がアプローチしても、自治体ごとにばらばらな割引は難しく、かえって、利用者の利便性が失われているという面もある。早い段階で、国が「良いアイデアだから、全国統一基準で実施する」と判断していたら、このようにならなかったと思う。良い施策は、早期に自治体は真似し始めるので、それを吸い上げるという国の役割はまだ大きい。
 統計データの有効活用について、既に良いデータがたくさんあるが、例えば育児休業取得率の都道府県別データが非公開というのは残念である。そういうデータを見ないと、育児休業取得率が男性10%、女性80%の目標の中で、今、我が自治体はどういう位置にあるのかと考えることができない。私たちのような民間の研究者に依頼が来て、雇用保険受給者等から推計はできるが、データがあれば、自治体は政策展開に直結できる。都道府県別データというのは非常に有効だと思う。なぜなら、指標相互の関連性を踏まえた、きめ細やかな政策対応が可能だからである。過去20年間就労継続率は一貫して25%程度、一方で育児休業取得率は上がっているが、就労継続率が変らないのは、例えば北陸などでは祖父母のサポートがあり、育児休業しないでも就労継続している女性が既に多かったためである。北陸で出生率が低下している自治体は、祖父母のサポートがうまく機能していたときもあったが、晩婚、晩産化で、祖父母が子育てをする年齢が上がってきているため、負担増のため3子目が著しく減っている。これは、育児休業取得率や就労継続率だけではなく、地域のデータがあるからこそ考えることができる。きめ細かな施策対応を考えるためにも都道府県別データは有効である。ただ、都道府県のデータの優位性を確保するには、サンプル数がある程度なければならないが、回答データを数年分類型にして比較することにより、既にあるデータから大まかな優位性のあるデータが取れる。追加コストはなくても現状統計を有効活用する方策としては、非常に良いアイデアだと思う。
 内閣府のホームページで少子化対策の要望を募集するのは良いアイデアではあるが、施策への満足度は、現在、それほど低くはない。いろいろな統計があるが、多くの利用者の満足度が高い中で、そういった満足している人たち、サイレント・マジョリティーは、ホームページに書き込みをしない。一方で不満がある人は、ノイジーマイノリティーは強く意見を主張する。結果的にそういう人たちの意見が目立ち、それが一般的にも波及していく。これはよくない。利用者ニーズは、サンプリングをきちんとしたアンケート調査、あるいはサンプリングのときに弾かれやすい属性は、それを考慮し、組み合わせて拾い上げることが重要である。
 利用者ニーズを把握する場合、国が作る調査票は非常にレベルが高く、誘導がないよう中立的な回答になるような設計がなされている。そういう統一フォーマットを幅広く作っておけば、自治体は地域特性に応じて設問を選択し、全国の数字とその地域の数値と比較できる。これが個別ばらばらになされていると、結果的に、設問の言葉が違うと、同じことを聞いていても比較できないことになる。
 数値目標の設定、点検・評価というプロセスは基本的には良いことであるが、それには限界がある。例えば、ワーク・ライフ・バランスで数値目標を掲げる意味は大きいが、一方でワーク・ライフ・バランスは極めて属人的なことである。例えば、私が属しているシンクタンク業界も、ワーク・ライフ・アンバランスで有名な業界であるが、言行不一致にならないように、できるだけワーク・ライフ・バランスを心がけている。ワーク・ライフ・バランスを数値で把握する場合、本当は企業別だけでは不十分で、職場別の数値も必要である。例えば、内閣府でも、男女共同参画局は、男性育児休業取得者数が相次いでいるが、その他は余りないと聞いている。数値目標を掲げることは、現状では困難な面もあるが、政治家の姿勢が改まらないといけない面もあり、ワーク・ライフ・バランスが権限委譲されないと、組織が硬直化したピラミッド型であると難しい。地方でヒアリングをやっていると、こんなことが関係あったのかと思うことが実は関係している。重複業務の見直し、暗黙知の共有知化、部下への権限委譲、コミュニケーション能力の向上など、ワーク・ライフ・バランスは制度を入れてもなかなか円滑に回らない。業務の標準化は不可欠だと思うが、それをやるとだらだら残業をしていた人、生産性が低い人がわかってしまう。そうすると、かえって職場はギスギスする。そういうものを補足する潤滑油として「ありがとうカード」という、生産性ではない軸で、その人がいて職場は助かっていることを、従業員評価を別の軸でもやっている。中小企業で多いが、そういう部分の数値化は非常に難しく、今後推進していく上では、行政の役割というのは、大きく2つあると思う。
 財政制約がある中で、行政の強みは、質の高い情報を持っていること、信用があることだと思う。こうした強みを生かし、子育て支援に取り組む各主体、企業、NPO、個人に情報提供すること、あるいはそれぞれの主体同士の連携を進めるためのコーディネート機能、これが行政の果たし得る、期待される役割だと思う。
 情報提供という面で、ワーク・ライフ・バランスは、広める施策と深める施策の2つの軸がある。自治体は今、面白いことをやっている。例えば、広める施策でロールモデル・データベースというのを大阪府がつくっている。先進企業の取組事例のデータベース化は既に厚生労働省などでしているが、加えて、個人のロールモデルも作成している。ワーク・ライフ・バランスはかなり属人的なため、その職場での工夫、例えば育児休業をとるマナーまで周知することが進めやすい要素だと思う。そういう点では、こうしたロールモデルを広げていくと良いのではないかと思う。
 先進事例の今後の課題は、偏りの是正と、情報の密度の向上であると思う。ロールモデルデータベースでは、今は女性で十数人あるが、男性のロールモデルは全くない。大阪府は今後検討するとのことであるが、企業を回っていると、一番欲しいのは男性の良いロールモデルである。そういう事例が出てくると、会社の雰囲気が変わるという声をよく聞くので、こういったことは今後あり得るのではないかと思う。
 三重県では、行政の信頼を背景にしたマッチング、ある種の出会い系サイトをホームページ上に作り、企業と地域の連携に結び付けている。例えば、三重県の小黒ガラスという中小企業が、地域の子どもに出前授業を行い、硝子の省エネ効果や危険性など、その会社の業務の専門知識を生かして子どもたちにアピールしている。これはCSRで行っているが、地域での知名度が広がり、大企業に勤めていた方が転職し、子どもと一緒にお風呂に入ることができてうれしいと言っていたが、人材確保にもつながっている。地域が工夫していろいろな取組をNPO等と連携してやっている。こういうものは、今後も広めるべきであり、そういったことを広める上でも行政に期待される部分は大きい。

○佐藤主査
 評価手法の在り方、どういうフレームワークで実施するかなど、国、自治体、企業の分担、企業の取組、支援の在り方などについて、報告していただいた。質問があれば、お願いしたい。

○藤本委員
 二極化する地域というところで説明があったが、確かに合計特殊出生率は、非常に知られており、指標として良いと思うが、これも弱点があり、過疎地域では、人口密度が非常に少なく、若い女性が少ないため、合計特殊出生率も上がってしまう。
 ある程度大きな単位で比較するときは、非常に効果があるが、地域ごとに比較するのはどうかと思う。確かに地域が二極化していることは事実で、これは疑いのないことだが、指標を用いるときには注意が必要である。

○渥美委員
 確かに人口学でいう晩婚、晩産が進むときには合計特殊出生率が落ち、生み戻しと言われる、高年齢の人たちが生むと上がるということがある。それは単年度での推移であり、トレンドで見た場合、例えば、内閣府の専門調査会が出したのは、20年のトレンドであり、そういった部分は捨象して考えられると思う。単年度の出生率の動き、出生数の動きというのは、かなりぶれる。他の要素、経済要因等が大き過ぎるのは承知しているが、1つの指標としては重要であると思う。他の指標も当然あり得る。

○大矢委員
 報告とは離れるが、いろいろ海外の成功事例があり、その事例も、例えば経済的支援のみがフォーカスされて報告されていると思うが、幾つかの要因が相まって成功していると思われる。
 少子化の成功要因の指標は何に起因しているのか明確になっていないため、日本の場合は、ある地域行政ごとの括りの中で成功事例をモデルにするということもあるが、国全体として見ると、政策の中で何が有効的な指標なのか、海外事例も見ながら取り入れる必要があると思う。

○渥美委員
 欧米諸国がよく引き合いに出されるが、欧米諸国は社会文化的な違いが大きく、参考にしかならない。むしろ、アジアで、ユニークな取組をしている国がたくさんあり、社会文化的な背景が日本と似ている。今後、それが成功すれば、例えば韓国で出生率が大幅回復ということが起きれば参考になると思う。

○佐藤主査
 海外の先進国は全体的に見れば少子化国である。しかし、日本は超少子化国であり、他の先進国の少子化の水準を考えると、8ページの下にあるように、経済的支援だけではなく、経済的支援、継続就労環境、地域の保育サービス、家庭内の家事・育児分担、それぞれ全体をバランスよく改善できているところは落ち込みが小さい。海外の事例から、経済的支援だけではないと考えて良いと思う。

○案田委員
 企業のCSR指標について、海外の場合は、マスコミなどが主導し、綿密な調査を行い、企業がそこに積極的に参加して企業価値を高くアピールするという取組があるが、その現状と効果性についてどのように考えるか。

○渥美委員
 英米で、従業員評価を入れた企業ランキングがある。主要企業が詳細な調査票に従い、データを示し、このような委員会でプレゼンテーションし、委員からいろいろ質問される。この利用状況は、本当にこうなのか、そもそもその前にやめたりしないかなど、そういうことで実情を明らかにするやり方をしており、更にその企業に勤める従業員の、例えばイギリスで流行っている従業員評価を入れたランキング制度であれば、企業が高いお金を払って応募し、そのエントリーには、従業員名簿、メールアドレスを提出し、従業員を無作為抽出し、調査票を送り、ウェブ調査のため、企業を通さずに、従業員が自分の職場を評価するというもので、非常に面白い企業ランキング制度がブームになっている。これがイギリスのワーク・ライフ・バランスの後押しになっている。これまで全国的に名前が知られていなかった中小企業が実は本当に働きやすいということで、毎年順位が入れ替わる。今の企業表彰なり、企業ランキングのトップ層は、大企業で固定メンバーになっており、トップ層はそれぞれの企業が知恵を出し合って、更に施策展開していると思うが、一部は、既にうちは十分やっているということで、思考停止している動きもある。うちは従業員の表彰はされているが、そんなに働きやすくはないという声も聞く。そういう点では、思考停止せずに、次のステップへと絶えず職場改革を図る意味では面白い取組である。

○佐藤主査
 海外は、NPOや評価を専門にする組織が、CSRや働きやすい職場など、いろいろな形で評価してランキングを発表しているが、日本の場合は、少しずつ始まったところである。国がランキングを付けるわけにはいかないので、アメリカのグレート・プレース・ツー・ワーク社が働きやすい会社、日本では東洋経済新報社が出している女子学生の就職四季報も、育児休業をとっている人は何人いるか、女性管理職は何人いるかと各社ごとに出している。そういうものに関係するものが少しずつ広がっている。

○前田委員
 1つ目は、地域における国、県、市の連携で、情報公開、役割が非効率になっていることだが、次世代育成支援計画は企業と自治体が策定した。それで自治体として企業に働きかけるように言われたが、同じように労働省や21世紀職業財団にお願いしても、企業の次世代育成計画を見ることができず、改めて横浜市は各企業に資料の提出をお願いした。かなり前からこの点を指摘しているが、この状況は全く変わっていない。
 2つ目は、ホームページに出される意見は、社会の一部の人の意見であり、社会的発信力がある、社会的地位の高い人ほど意見を出す。そのため、一般的に出てくる強い意見は、経済的に成功している、社会的に地位のある人の不満が反映され、経済的や社会的地位もなく、社会資源に乏しい人の意見は、非常に反映されにくい。横浜市で調査しても同じだが、実際に子育てに悩みを抱えるお母さんは後ろめたい気持ちがあり、自分のニーズがどういうふうに困っている状況かということを答えにくい。例えばアンケートをとると、みんなが一番欲しいのはお金であり、金を配ればいいのではないかという意見もあるが、その影に隠されたものが何か、表に出ていない意見が何かということをしっかりと見る力がないと難しい。
 子育ての階層分裂が広がっており、特に下の層の人たちの育児力のなさ、親の社会的資源のなさが子どもの育成環境の悪化を招いているので、そういう人達への援助や支援をどうするかを反映させる必要がある。このままだと発言力のある表の社会、強者の世界の指標ばかりになる。表に出にくい、汲み取りにくいニーズを反映させる指標作りも必要である。子育て支援のニーズも階層差がある。
 3つ目は、自治体は、もう新しい施策を打つ財源がない。これ以上、数値目標を掲げても、刀も槍もなく、その政策実施を担保するための財源や支援をどうするかということを指標に盛り込まないと実際にできない状態である。

○佐藤主査
 行動計画の公表について、法律上は、企業に公表する義務はないが、自主的に企業が公表しやすいように、財団のホームページに掲載するようになってきた。

○定塚職業家庭両立課長
 次世代法に基づく行動計画の指摘について、佐藤委員から発言があった通り、ホームページに自主的に是非載せてもらうよう働きかけをしている。
 もう一点、中小企業でどれだけの企業に届出があったかという情報、どの企業が届け出ているかという情報は、県市町村が届出企業に働きかけをしたいという場合は、局から情報提供するということを通知している。ただし、渥美委員の方から、通知は出ていても運用が不十分であるという報告をいただいたので、その辺りはもう一度精査したい。

○前田委員
 通達が非常に多いので、紙が来ただけではわからない。

○定塚職業家庭両立課長
 基本的には県に情報提供することも重要だが、更に言えば、一般に公表していただくことがとても重要だと考えている。是非サイトを使って企業の方に公表していくよう促していきたい。

○佐藤主査
 確かに都道府県から育児休業取得率を都道府県別で知りたいというニーズがある。サンプル数の問題なのかもわからないが、ニーズはあるが、データがないという問題はある。

○奥山委員
 中小企業が難しいという話があったが、地方でその話を県の担当にした際に、中小企業の場合は、こういったものを進めると、会社に余裕があると見られてしまい、お金を貸してもらう銀行を意識して出したくないという企業があると聞いた。
 渥美委員も全国を調査し、出しにくいという話が出ていると思うが、そういう時こそ、こういう会社が非常に優秀で、国としても行政としてもサポートしていきたいという啓発的な部分を示す必要があると思う。
 7ページ、8ページについて、私は地域の子育て支援をしている立場から見させていただいた。すべての子育て家庭を視野に入れた子育ての施策が出ており、次世代育成行動計画にも、すべての子育て家庭を意識した施策を打とうということで、入ってきているとは思うが、働いている方を意識したように見える。結婚の時点で、既に仕事を辞めてしまう人が8割いると考えると、結婚するとき、生もうと決心するところをサポートすることについて、全ての子育て家庭を対象にしなければならないということを確認したい。それを見るための指標が余りない。次世代の行動計画の指標を見ても、8ページの一番下のところに、保育環境の整備と書いてあるが、保育環境まで行かない人も多い。保育環境よりも、保育と子ども家庭支援施策という形で変えないと、私たちの子育て広場に通っている方の8割以上の方々が入ってこないことになる。行政の施策について知っているかと言っても使ったことがない、知らない、誰も支えてくれないということで、評価の仕様がない。そこの部分を考えていかなければならない。
 8ページの若者の経済的基盤の確立は、男性に対して、就労継続環境の整備は女性に対して言っていると思う。家事・育児の分担は男性に啓発しようという形で、日本の男女共同参画というか、誰に対して言っているのかが、施策の分野で分断してしまっていることがないのだろうかと感じる。

○佐藤主査
 7ページ、結婚と書いてあるが、特別部会での議論において、結婚に至る前の人たちが、結婚しようと思える、結婚したい人が、結婚して、あるいは結婚する前に、子どもを育てやすい社会と思えることが大事だという議論はしていた。
 もう一つ、下の方も初めの議論では女性だけだったが、男性も併せてという形になっているので、その辺は配慮されていると思うが、非常に重要な点である。家庭を作った人だけではなく、あるいは子どもを持った人だけではなく、まだ家族形成に入る前、あるいは結婚していて、子どもはまだいないという人が、結婚した人が結婚しやすいなと思える、子どもがまだいない、あるいは一人の人が二人目を持ちたい、いない人が一人目を持ちたいと思える社会に考えられているかという指標も大事である。

○渥美委員
 先ほど金融機関を意識してという話があったので、中小企業が例えば行動計画を策定するようになっている数、自治体で急増しているようなところは、2つ工夫している。
 まず、1つ目は、自治体と商工中金が連携してローン優遇している自治体が結構ある。それで、0.1%優遇だったのが、今、0.2%になったところが多い。これはかなり中小企業にとってはメリットが大きいということで、一つの呼び水になっている。あともう一つは、入札優遇制度あるいは入札のときに義務づける、行動計画を策定しないということにすると、建設業が入ってくる。
 これはつくっただけで、運用をどうするのか、しっかりチェックしないといけないというのがあるが、ただ、中小企業の取組を拝見していると、入り口のハードルというのは大きい。まず、そこをクリアしてしまうと、本当に働く女性が来てくれた。でも経営者は中小企業だったら、本当にその人がよく働くか、働かないかでも性別は超越して、あの人は本当にいい人だという見方になる。そうすると、是非これからもということになる。そういう点では、2つのやり方というのは、他の自治体も是非真似したらいいと思っている。

○佐藤主査
 非常に大事な点である。渥美委員に確認したいが、資料1の6ページの「合計特殊出生率の向上」というのは、政策目標を意味しているわけではないということで良いか。つまり、希望を反映した人口試算の場合の合計特殊出生率1.75は政策目標でなく、結果としてという意味か。

○渥美委員
 そのとおりである。しかし、回復基調のトレンドを持続させることを目指すべきだと思う。

○佐藤主査
 続いて、これまでの議論の整理について、事務局から説明していただいく。

○今井参事官
資料2 これまでの議論の整理(PDF形式:35KB)PDFを別ウィンドウで開きます
参考1 利用者の視点からみた点検・評価の課題(~これまでの議論から~)(第6回提出資料)
1/2(PDF形式:139KB)PDFを別ウィンドウで開きます2/2(PDF形式:453KB)PDFを別ウィンドウで開きます
参考2 子ども・子育て応援プランについて(第6回提出資料)(PDF形式:35KB)PDFを別ウィンドウで開きます

 本日、事務局から資料2「これまでの議論の整理」と参考資料の1、2と配付している。このうち、参考資料の1と2は、前回配付したものと同じである。
 先ず資料2の「これまでの議論の整理」は、前回の議論を踏まえ、各委員の発言を反映させたものである。中間報告での指摘も含めて構成してみた。
 表紙は目次のように記述しているが、ある程度最終的なとりまとめを意識した項目立てにしている。大きな○を3つ立てている。1つ目の○が「点検・評価の基本的視座」ということであり、これは中間報告でも点検・評価分科会の役割として指摘されているが、利用者の視点に立った点検・評価手法の構築、それからPDCAサイクルの確立ということである。
 2つ目の○は「利用者の視点から見た点検・評価の現状・課題と今後のあり方」であり、6点挙げている。ここの部分は、特に前回の議論の様々な意見を反映させた部分である。順番に、「結婚や出産・子育てに対する希望の実現度」、利用者像のとらえ方として「利用者の多様性」、地域によって課題が異なる、また、取組の格差もあるということで「地域差」、特に出産、子育てといった各ステージに応じて利用するサービスを乗り換えるときに、施策の連携の有無によって何か不便が生じていないかといった視点で「支援策相互の連携」。次に、「量と質の評価」は、量的な整備にとどまらず、質の評価も利用者の立場に立った場合に必須であるという点である。最後に「支援策の周知と利用のしやすさ」である。
 3つ目の○は、点検・評価分科会のまとめのような部分になるかと思う。プランの再構築ということと、毎年度の点検・評価のために、どのように手法を充実していったらいいかということである。
 2ページについては、こういった項目立てに沿って、整理している。まず「今後のあり方」の方から説明する。まず、最初の、「利用者の視点に立って、施策の有効性を点検・評価する手法を構築する必要性」については、前回、佐藤主査からも特に利用者の視点に立つことの重要性をよく整理するよう発言があった。この「現状と課題」としては、少子化対策の各種施策というのは、希望どおり子どもを生み育てることができるようにする。実際に希望どおり行動できるようにするということなので、施策の内容が、目下直面している困難、不便の解消に役立ったかどうか等は、その効果そのものではないか、といった点で利用者の視点に立つ必要があるということである。
 なお、本日欠席であるが、大日向委員からの指摘で、利用者の視点というときには、子ども自身の発達あるいは親の成長という観点も含めて捉えるべきであるという発言を受け、そのように括弧内に記述している。
 矢印マークでは、これまでの少子化対策の点検・評価というのは、プランに掲げられた施策が計画的に進捗しているかどうかの把握が中心であって、個別に利用者の声を聞く機会はあっても、そういう取組が恒常的かつ持続的なものとしては行われていなかったのではないかということを記述している。
 2つ目、「今後のあり方」で、「点検・評価の結果を行政の施策に反映させるPDCAサイクルの確立の必要性」についてである。「現状と課題」として、やはり点検・評価の結果を実際の施策の改善につなげていくためには、施策の企画・立案・実施に生かす仕組みが構築されている必要が大前提ということ。また、こういった利用者の立場に立った点検・評価の指標等というのは、まず、プランを策定する段階、目標を立てる段階から、その中に埋め込んでおいて、これに基づいて毎年点検・評価を行う。そして、その次の施策につなげていくことが必要であろうということである。矢印マークでは、国や自治体では、毎年度の予算編成、事業の実施、プランの策定という一連の行政の過程の中に点検・評価の結果を反映させる仕組みが現在では確立されていないので、そういう意味でPDCAサイクルの確立の必要があるということである。
 次のタイトルは「利用者の視点から見た点検・評価の課題と今後のあり方」ということで、6つの視点で整理している。先ず、出産後の継続就業の希望と現実との乖離の問題がある。この点は、現行のプランは、育児休業の取得の目標などが中心であり、育児休業前に離職してしまう問題や、全体として働き続けることができているかという点についての目標は設定されていないということ。「今後のあり方」として、継続就業の実現度、率に代表されるように、結婚や出産子育てに対する希望の実現度に着目する必要があるのではないかということである。
 次は、前回、特に前田委員からの意見を踏まえ、一言で利用者といっても、共働き家庭や片働き家庭、独身者、妊婦等々、対象者が非常に様々であるから、同じサービスの利用者であってもハイリスクな方の場合もあれば、貧困、親の病気など、困難な事情を抱えている場合もある。
 そういう点で施策の効果に差異があったり、実施に配慮を要することがあり、利用者の多様性というものに着目する視点が必要であるが、今の点検・評価というのは、そういう視点が乏しいのではないかということである。つまり、対象者が多岐に渡るということに着目する必要性があるということである。
 次は、例えば待機児童の問題のように、大都市圏に顕著に見られる、または、各々の地域で特有の課題があるということと、施策のメニューが住んでいる生活圏によっては必ずしも利用可能な状態になっていない、取組の格差ということがある。やはり国全体でどこまで進捗しているかという把握が今は中心であって、地域差に着目するといったきめ細かい視点が乏しいのではないかということである。右側に記述しているとおり、利用者がそれぞれの生活圏で必要なサービスを受けられているかなど、地域差に着目する必要性がある。
 次のページでは、施策連携についての現状と課題として、先ず、保育所の年度途中の入所が難しいため育児休業を途中で切り上げざるを得ないという問題がある。前回、前田委員より保育所の定員を割って入所させておくというような、あまり現実的といえない話もあった。最近、その点については、保育ママの制度、そういったものもつくられているわけであるが、いずれにしろ、施策の連携という視点である。産前産後の保険料の取扱いについても、育児休業中は社会保険料が免除されているけれども、産前、産後の休業期間中はそのようになっていないという点、これも不整合ではないかという指摘がなされている。施策間の連携、行政の組織体制に起因する不整合のチェックという視点が乏しい、それぞれの施策の進捗状況の把握が中心であるというのが現状かと思う。このようなことから、今後のあり方として、産休、育休から保育への切れ目ない移行などの支援策相互の連携に着目する必要があるということである。
 次は、妊産婦健診の例ということで、最近、地方財政措置等も講じられて、健診の無料の機会の回数が増やされるといったことで、受診機会の増加も評価の要素であって重要ではあるけれども、健診の質が担保されていなければいけない。どのような検診をやって、その後、どのようにつなげていったかといった点も含めて点検・評価するべきという指摘があった。また、大日向委員の方から親の視点だけではなくて、子どもの発達保障といった視点に立つことが重要であるという指摘があった。
 量的な整備が現在の点検・評価というか、プランの中心であって、サービスの質を評価するという手法が十分に確立していないのではないかということ。そこで今後のあり方として、サービスの質にも着目する必要があるのではないかということである。
 次に、制度の利用のしやすさということ。両立支援制度で制度を利用しやすい職場の雰囲気にない、周知が十分になされていない、ニーズに対する認識が企業側と従業員の間でずれているのではないか、といった指摘がある。
 また、子育て支援拠点については、運営主体で差はあると思うが、気軽につどい、相談しやすい場になっていない、そもそも周知が図られていないために利用が進まない、といった意見もあるようである。利用者にとって利用しやすいものになっているかといった視点が乏しいだろうということで、周知や利用のしやすさなどの運用面に着目する必要があるのではないかという意見があった。
 以上、6つの視点に整理をしており、次の5ページは、いわば、まとめのようなものになる訳だが、今後の視点に照らせば、プランの再構築、点検・評価手法の充実に向けて、以下のような方向が考えられるのではないかということで、利用者の視点に立ったプランの再構築ということである。
 先ず、前回の渥美委員からの意見にもあったが、厚生労働省の社会保障審議会の人口構造の変化に関する特別部会の議論の整理で示されている結婚や出生行動に影響を及ぼす要素として、経済的基盤、就業継続の見通しなどがあるが、そういったものに沿って、そこに政策をリンクさせて、プランの再構築を行ってはどうかということである。現行の子ども・子育て応援プランは総花的であって、施策の実施がどのように少子化への歯止めにつながっているかという効果との関係が見えにくいのではないかという問題意識である。
 次に、案田委員やほかの委員からの指摘を受け、継続就業率やワーク・ライフ・バランスに関連する指標などを目標として導入するべき、あるいは利用者によってベビーカーで行動できる範囲、例えば通勤圏など、利用者によって地域の範囲に違いがあるといった点にも着目する必要があるということである。
 これらのことの対応として、右側に記述しているよう、国民の希望の実現という観点から施策体系を整理、また、プランの中に利用者の視点に立った指標を導入していくということが、次のプランの見直しに当たっても必要ではないかということである。
 さらに、プランの見直しや毎年の点検・評価のためにどういう工夫をしていったらいいかということで、特に大矢委員から、前回、安全、安心、楽しさといった意識的な面も点検・評価するべきではないかということ、また、渥美委員からはグループインタビューによりニーズ把握という提案もあった。また、自治体に対して積極的に調査の結果等を情報提供するべきではないかとの話もあった。各委員の意見を並べているが、調査をたくさんすれば良いということでなく、目標を明確にした上で点検・評価する、そうすれば情報の発信や共有が実務的にうまく企業の中でも進むのではないか。あるいは先進的な事例を基に点検・評価の軸を決めていくという方法も考えられる、といったこと。自治体の行動計画をチェックするために委員会を設けている例もあるが、その検討結果はどのように施策の改善に反映されたかということを積極的に公表するべきでないか、といった意見が大日向委員からあった。前田委員からの意見は、産科医の不足など、母子保健関係の緊急の課題についても点検・評価に入れるべきということだった。また、再掲になるが、藤本委員からは妊産婦健診の例、大日向委員からは、親の視点ではなく子どもの発達保障といった視点に立つことが重要という意見もあった。最後は、特に本日は欠席している大日向委員からの意見で、ニーズそのものの評価も重要である。子どもの発達保障や親の成長という観点に立って、ニーズの評価、自助・公助・共助と振り分けを意識して、ニーズの評価そのものも大事であるという指摘があった。
 今後の課題になると思うが、質の評価のあり方など、点検・評価手法というのは、今後とも更なる検討を重ねていく必要があるということである。

○佐藤主査
 資料2に関して、まず、点検・評価分科会として、子育てに関する様々な施策をどのように点検・評価したらよいかの仕組みを考えることが1つだと思う。それが初めの2つの○で、1つは、点検・評価するときに利用者の視点というのは非常に大事だということと、PDCAのサイクルを回すということである。PDCAのサイクルを回し、かつそれを利用者の視点でということだが、当然プランを立てるときも利用者の視点で考えて策定し、行動を起こしてチェックするときも、その視点でということになると思う。PDCAのサイクルを利用者の視点に立ってやるというのが最初で、具体的に利用者の視点とは何かというのが2つ目の○で6つある訳である。
 プランの策定や評価のときも、勿論、実施のときもだと思うが、希望の実現、利用者の多様性を配慮するという考え方が上の2つである。
 新しい視点での評価を動かしていくためには、統計整備やデータの整備なども必要になってくるということで、そういう評価しやすいような評価の仕方、データの取り方などは、3つ目の○の後半というふうに理解している。我々はこれから点検・評価をどう動かしていくかということと、それを考えたときに、これからの新しい政策をどういうふうに立案してほしいかという2つがあるということで、皆様の意見を伺いたいと思う。

○奥山委員
 私も次世代育成支援行動計画の横浜市の委員をしていたので実感として感じるが、1つは利用者といったときに、制度の利用をしているということだと思うが、事業そのものの数が非常に足りないということもあって、利用できている人が全体の何割なのか、そのサービスを利用できている人が、すべての子育て家庭を、お子さんの数でもいいが、そのうちのどのぐらいなのかということを、まず把握することが大事で、絶対に足りないということを認識した方が良い。一般家庭にこの制度を知っていますかといっても、それは知らない、利用したことがない、という話になる。保育園にも入っていない人たちは評価のしようがないということなので、そのサービス自体がどの程度使われているかということを先ずは調べる必要がある。利用者の視点の場合、自治体の次世代育成支援行動計画策の推進協議会の中に、当事者、当事者に近い子育て支援のNPOなどがきちんと委員として入っているかどうかということも大事ではないかと思う。

○大矢委員
 資料をみると、情報提供という話がいろいろなところで出ているが、点検・評価というのは、PDCA全体の仕組みを情報公開するべきだと考えている。結果だけではなくて、どういう指標で、どういう調査項目を持って、それでそれの結果がこうなるという全体の仕組みを知ることによって、持続可能なコストや仕組みにしていく必要があるので、それを公開することによって取り入れている企業や自治体あるいは行政が積極的に仕組みを入れるようになる。それを公開することによって、またそれが利用しなければいけないという形になるので、全体が情報公開の仕組みに則っているということがとても重要だと思う。
 また、資料でもこれからの検討になっているが、企業の中でもこういう事業評価をしていく中で一番難しいのは、どのようにそれを反映させていくかということである。実際に、事業の主体者は、当然それを評価する。また、第三者評価をきちんと担保していく、あるいはその仕組みをどう反映しているのかということも、公開していかないと、当然第三者評価委員会をつくったからといって、そのまま生かされる訳ではないが、そういった第三者の目を入れていくということは、非常に透明性が高くなるので、一番難しいアクションへの反映というところも今後の検討に入れられているが、きちんと仕組みとして取り入れていくことが必要である。

○佐藤主査
 評価の仕組みとしては、基本的には国レベル、自治体がこの枠組みでやっても良い訳だが、我々は国が担う施策を評価する仕組みとしてつくることでよいか、事務局に確認したい。

○柴田内閣府政策統括官
 少子化対策の経緯として、例えば、エンゼルプランや新エンゼルプランについて、一体どうだったのかというところが必ずしも分析できていない。結論からいうと、国が少子化対策を進めていく上で、どのように評価・点検していくかが問題意識の中心である。しかし、そこで議論していただくことは、例えば自治体、場合によっては企業、そういうところでも役に立つ面もあるのではないか。また、企業や自治体でまた別の形で展開しなければいけないこともあるかもしれないが、国の少子化対策というところからやっていくということではないかと思う。

○佐藤主査
 点検・評価分科会で報告書を出すときに、こういうふうにやってほしいということを記述するのかどうか。つまり、恒常的ということなのか、全体の情報を開示すべきなどということまで記述するのかどうか。

○柴田内閣府政策統括官
 我々がこれから点検・評価をする上で、こういうところに気をつけてやりなさいというのは記述していただき、私どもはそれを基に今後考えていく。今まで確かに点検・評価というのは、口で言うべくしてなかなか実際にはやれなかったというのが正直なところだと思う。我々もこれからやるに当たって、すぐに100点満点のことができるかどうかというのは、正直言って難しいし、これからゼロからやっていかなければいけないということだが、とにかくそういう新たなことをやっていくに当たって、こういうところに気をつけなさいというのをこの場で指摘いただく。それに基づいて、我々は今後、点検・評価の具体的な進め方を考えることにしたいと考えている。

○佐藤主査
 少し気になったのは、今でも既存の政策の評価の仕組みというのがある。ここで言ったことがどうなるのかということが気になったので、その辺も少しどこかの段階で伺えればと思う。

○柴田内閣府政策統括官
 これは、今後の課題ということになると思うが、私のところも共生社会政策ということで、例えば障害者施策、高齢者施策、あるいは自殺対策、いろいろな分野があるが、それぞれ政府全体の大綱、計画という方針を立て、それに沿って物事を進める。そういう意味では少子化と同じであるが、そういう視点で、今後、点検・評価をしていくということは、どの分野も似たようなものではないか。ただ、手法はなかなかすぐできることとできないところとあると思うが、今後はここで指摘いただいたものは、他の分野にも導入できるものはしていくという考え方でやっていきたいと思う。

○大矢委員
 今の話で、別に企業や行政まで全部出しなさいと思っているわけではないが、どういう指標でどういうところを重点とするかということによって、当然企業も行政も、そこを重点にかけて、自分たちが指標を持つということだと思う。その点を明確にしていただければ、おのずと調査の情報が集まってくるようになると思うので、そこをやはり開示してもらうことが重要だと思う。

○前田委員
 先程、事務局から、「私から、産科医不足など、母子保健関係の点検・評価を入れるべきではないかという意見があった」という発言があった。産婦人科不足、お産の場がないということが非常に社会的問題になっているのに、点検・評価分科会に入っていないというのは、現状が分かっていないととられかねない。しかし、一方では非常に難しい課題で、明日に解決できるような問題ではないので、入れないという考え方もあると思う。これは医師の職業選択の自由にも関わることであるし、非常に難しい問題なので、指標として入れることが適当なのか、もしくはこれだけ社会的関心を集めているから、点検・評価の委員もそこは危惧していることを示すべきと見るべきか、それは議論していただきたいと思う。
 次に、点検・評価、渥美委員の意見のように自治体によってやる気にとても差がある。財政力の差もあるので、実際にできるかどうかも差があると思うが、自治体間の競争意識もあるので、頑張ろうというような、わかりやすい指標にした方が良いと思う。
 補足として、国の施策の整合性の評価がないのはどうしてか。佐藤委員は、雇用保険と育児休業中の社会保険の整合性がないと言っていたが、例えば、猪口前少子化担当大臣が各自治体の知事と懇談した。今、自治体では子育て支援の一つの大きなメニューとして小児医療費の援助というのをやっている。ご存じのとおり、厚生労働省は、これは医療利用者のモラル・ハザードを招くということで、懲罰的な扱いをしている。福祉減といって、国保の調整交付金を減らされている。小児医療費を無料にすべきかどうかという議論はあると思うが、猪口前大臣のときには、こういう自治体でこんなに子育てにやさしい施策があるということで、小児医療費の援助制度がこんなに実在しているというアピールに使われていた。一方で、多分そのときに、各知事から最も出てきた意見は、「厚生労働省の福祉減をやめてくれ」ということだった。大臣はやりますと発言したのを覚えている。私も南関東ブロックに参加したが、それはどうなっているのかなという感じである。今、健康保険が大変な状況なので、小児医療費の無料化を全国的に推進するのかどうかにも関わると思うが、今度、評価される自治体から見ると、国の施策も縦割りで矛盾している。内閣府の立場では小児医療費の無料化を行う自治体を偉いと褒める。でも一方では国保の調整交付金は減らされる。こういうことに、なぜ触れないのかという疑問もある。

○佐藤主査
 ここにある施策の連携というのは、別に自治体でというだけではなくて、当然、国の省庁間あるいは同じ省の中でもそれぞれの施策の整合性を当然見るという趣旨だと思う。

○柴田内閣府政策統括官
 点検・評価の視野はすべてに及ぶと考えて構わないが、具体的に指標が立てやすいものと立てにくいものとがある。例えば、子どもの育ちに対して、どれだけ寄与しているかという問題は、なかなか今すぐにというところが難しく、もう少し長い目で見て研究していかないといけないところもある。そういう意味で、すぐできそうなものと、なかなか難しいものとがあるが、視野としては全部入っていると考えていただいて構わないと思う。そのために、施策間の連携ということも記述している。また、例えば、メインは国の施策に対しての点検・評価だということだが、例えば自治体から見たら、そんなことを言っているけれども、ここが足りないではないか、あるいは企業から見たら、そんなことを言っているけれども、足りないではないかというところもあると思う。場合によっては、国は一人よがりでやっているのではないかということもあるかもしれない。それは、まさに点検・評価分科会のように、有識者の方々に参加していただいて、いろいろ意見をいただく仕組みをこれからも活かしながら、自分たちだけの一人よがりにならないようにやるというのが基本的な考え方である。

○佐藤主査
 利用者の視点に立つときに、施策の担い手がいる。自治体や企業という側面もある。例えば、いろいろな企業が行う両立支援策に関わる施策は、企業が使いやすいかどうか、自治体が国の政策を使いやすいかという点もどこかにうまく入ればいいかもしれない。施策の連携といったときに、個人に直接行くものと、間に企業や自治体を介してというのは相当多いので、その段階でやりやすいかどうかというのは大事な視点かもしれない。施策を直接個人に間に入って企業にやってくださいといったときに、その企業は使いやすいかとか、そういうようなことも少しどこかに入った方がいいかもしれない。

○案田委員
 利用者の視点といったときに、保育制度、医療制度、社内制度といったところに限定したようなイメージがあるが、もう少し全体像をつかめる部分は、「利用者」という言い方ではなくて、その家族というような視点にするべきと思う。また、働き方と保育というのが、相互の連携に入ってくると思うが、コスト的にみたときに、どちらを変えていくべきなのかというようなことをやるのか、あるいはそれぞれのボトルネックとなっている部分をここでは出すけれども、それについてどういう施策で重点的に行うかということはここで評価するのか。

○佐藤主査
 コストというのは、例えば働き方の見直しというと個々の企業に関わるが、社会全体としてどのぐらいコストがかかるかということか。

○案田委員
 例えば、遅い時間帯に働くということと、それからその時間帯に保育をやるかどうかということをどう考えるのか。

○佐藤主査
 そこはなかなか難しい点で、今までも、例えば、保育のニーズも、先ほどの延長保育とか、深夜も働き方に規定されていて、働き方を前提としたときのニーズなので、働き方について言えば、変えてほしいというのが出てきて、それを変えられるような、働き方についてニーズがある程度充足するような働き方になると、保育ニーズの方が変わってくるという可能性もあるので、そこについては、今の議論では、まず、働き方を見直すということをやらなければいけない。そうすると、ある程度中期的な保育ニーズもいろいろ変わってくるだろうということは基本戦略分科会の方で議論している。

○柴田内閣府政策統括官
 今、佐藤主査と案田委員からの発言は、確かにそういう目でも見ていかなければいけないことがあると思う。点検・評価分科会のミッションかどうかというのは別にしても、そういうものはあると思う。例えば、この場でも勿論すべてこういう施策の点検・評価をやろうという場なので、点検・評価に直ちに結び付くものと、少しそういう頭で検討してみれば良いのではないかという話があれば、それはまた、政府の中で、どこになるかというのは勿論あるかもしれないが、調査研究のような形でやってみるとか、そういうのは当然あるかと思う。

○佐藤主査
 結構難しいのは、基本戦略分科会でも議論されている通り、国民の結婚や出産に対する希望がかなった場合に、例えば、女性が妊娠、出産しても働き続けたい人は働き続けられる、育児休業を取得したい人は育児休業取得できるということになると、おそらく1歳児以上の保育ニーズというのは量的に相当増える。特に保育ニーズの方は質を担保しながら供給できるのか、その辺の両方の関係については議論して、幾つか推計も行われているので、一応、そちらではそういうことを配慮しながら立案するということになっていくだろうと思う。また、多様な働き方も、ある程度均衡処遇などが整ってくると、もう少し早目に、例えばパートなどで復帰すると、保育についてもう少し多様な保育ニーズが出てくるのではないかといった議論をしている。

○奥山委員
 今のバランスの中に、是非、地域の子育て支援のことも入れてほしい。というのは、やはり0歳児から2歳児までの8割の保護者は在宅の子育てなので、地域の子育て支援拠点のようなところに来て、様々な地域の保育所や幼稚園、働き方などの情報をもらっているような方も多い。費用対効果で言うと、費用をおさえて、多くの人が利用できるわけである。育児休業中の方も利用しているので、そういうすべての子育て家庭を意識した施策をお願いしたい。
 資料2の4ページの一番下の○の、「地域における子育て支援拠点が整備されても、いろいろ利用が進まない」とあるが、そもそも整備されていない。今、全国でおそらく4,000か所ぐらいで、その多くが保育所の子育て支援センターという形になるが、これは、今、最終目標が1万か所近くなどと言われているが、中学校区に一つで1万箇所である。今、全国の保育所の数は幾つなのか。

○義本保育課長
 2万2,800か所である。

○奥山委員
 それでも子育て家庭の2割しかカバーされていないことを考えると、支援拠点は、全然、数が足りていないと思う。「整備されても」というよりは、まだされていないという感触である。そして、利用が進まない理由というのは、保育所が開所している時間で、お昼寝の時間にかかるということもあって、10時から11時半の1時間半しかやっていない。つどいの広場は、1日5時間以上ということが義務づけられているが、ここの部分もかなり力を入れて進めていかないと、絶対量的に保育との関係性でいっても足りないのではないかと感じている。

○佐藤主査
 今回示された資料は、まだ構成の段階であり、ある程度最終報告を想定しながらではあるが、大きな枠組みとして、こういう考え方でいいかどうか。少し点検・評価分科会の位置づけのようなことを最初は記述すると思う。我々としても、点検・評価分科会の位置づけがなかなか理解できなかったこともあるが、読み手としてどういうことかと思う人もいるかもしれないので、そういう記述から始まると思う。
 全体のまとめ方の構成については、いろいろ意見をいただいたが、それ程大きく修正すべきとの意見はないということで、この枠組みでまとめていただく方向でよいか。本日の意見などでまた少しずつ修正していくことはあると思う。
 それでは、全体の議論の整理の仕方の枠組みについて了解いただいたと思う。ただ、いくつか重点の置き方、大事な論点も幾つか入れた方が良いという意見もあった。施策の連携といったときに、自治体なり企業が使いやすいかとの視点も記述することなど、そのような点について修正していただきたい。
 それでは、本日の会議は終了とさせていただく。

5.閉会