少子化社会対策推進会議(第1回)議事要旨

1.日時

平成17年10月28日(金)17:00~18:00

2.場所

内閣総理大臣官邸 4階大会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

細田 博之
内閣官房長官
南野 知恵子
内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策)
松本 純
総務大臣政務官(総務大臣代理)
下村 博文
文部科学大臣政務官(文部科学大臣代理)
尾辻 秀久
厚生労働大臣
山本 明彦
経済産業大臣政務官(経済産業大臣代理)
北側 一雄
国土交通大臣

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子
株式会社資生堂執行役員CSR部長
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
前田 正子
横浜市副市長

(欠席者)

藤本 保
大分こども病院長

4.議事概要

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1 あいさつ

 ○細田内閣官房長官

 これまでの人口予測では、我が国の総人口は来年をピークに2007年から減少に転じると言われてきたが、今年の上半期に初めて3万人の人口減少を記録するなど、予想を上回るスピードで人口減少社会を迎えつつある。我が国は今や世界で最も少子化の進んだ国の一つとなっており、少子化への対処は待ったなしの課題となっている。
 今般、少子化社会対策会議のもとに、関係閣僚と有識者からなる少子化社会対策推進会議を開催し、少子化社会対策大綱及び子ども・子育て応援プランの課題の検討やフォローアップ等を行い、新規施策の検討も含めた少子化社会対策の戦略的推進を図ることとした。推進会議として適宜意見を提言するほか、来年6月ごろには議論の取りまとめを行うことを目指して検討を進めていく。
 現在の少子化が続くと、2050年には人口が2,700万人以上も減少する一方、人口が多い第2次ベビーブーマーの女性が出産年齢にあるのも2010年ごろまでであり、少子化の流れを変えるためには、これから5年間が大変重要な時期。ぜひ皆様方と知恵を出し合い、少子化対策を的確に推進したいのでよろしくお願いしたい。

2 推進会議についての説明

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 ○南野内閣府特命担当大臣

 1990年の1.57ショック以降、さまざまな施策が実施されているが、出生数及び合計特殊出生率の低下傾向には歯止めがかかっていない。
 少子化の流れを変えるための総合的な方針として、平成16年6月に少子化社会対策大綱を策定し、その具体的実施計画として、12月に子ども・子育て応援プランを策定し、現在、実施を進めている。また、今年4月から次世代育成支援対策推進法に基づき、地方自治体や企業においても、行動計画の策定・推進が進められている。この間、国民の間でも少子化対策に対する要望が急速に高まってきている。
 国民生活に関する世論調査で、政府に力を入れてほしい政策として、少子化対策をあげた割合は、平成13年には11.6%だが、平成17年には30.7%まで上昇している。特に子育て世帯の多い30代女性では39.3%に達している。
 7月に小泉内閣メールマガジンで行った少子化についての政策アンケートの回答総数は約2万3,000人で、自由記述の意見も約1万6,500件と非常に多く、関心の高さがうかがわれる。少子化に歯止めをかけるための政策としては、経済的支援の充実が約7割と最も回答割合が高く、また、安心して生み育てられる生活環境の整備、保育所の増加、再就職環境の整備など多様なニーズが浮き彫りになった。
 さまざまな取組にもかかわらず、少子化の歯止めがかからないどころか、予想以上に少子化が進行しており、少子化対策への国民からの要望も高まっている状況を踏まえて、少子化社会対策推進会議を開催することとした。
 少子化社会対策会議のもとに、内閣官房長官が主宰し、関係閣僚と有識者で構成する推進会議を開催し、推進会議のもとに、少子化対策担当大臣と有識者で構成する専門委員会を開催する。推進会議で基本方針を議論し、専門委員会でその方針を踏まえた具体的な議論を行っていきたい。
 具体的な課題は、子ども・子育て応援プランの課題の検討、大綱及び応援プランのフォローアップ、新規施策の検討も含め、少子化社会対策の戦略的な推進方法を探ること。
 男女共同参画会議の少子化と男女共同参画に関する専門調査会報告書では、OECD諸国は1970年時点では、女性の労働力率の高い国ほど出生率が低い傾向が見られる。しかし、2000年では女性の労働力率が高い国ほど出生率が高くなっている。背景には、出生率の高い国では、男性を含めた働き方の見直しや保育所整備や子育て費用軽減等の子育て支援策など、社会環境が整っていると分析されている。我が国でも出生率の高いOECD諸国の取組が参考になると考えられる。
 今後、月に1回程度専門委員会を開催し、適宜、推進会議を開催し、来年6月頃を目途に政府の取組に関する議論のまとめを行う予定。当会議を通じて、少子化の流れを変える戦略を構築し、国を挙げて取り組んでまいりたいので御協力をお願いしたい。

3 構成員自己紹介

 ○渥美委員

 人口問題、社会保障、労働雇用の研究をしている。現在30代でいわゆる晩婚・晩産型の若い世代の代弁者であろうと考えている。13年前から自宅近所の公園で子どもたちを集めて紙芝居を見せたり、一緒に遊ぶ子ども会のボランティアを行ってきた。週に3回、1回2時間くらいのプログラムで、子どもたちは20人から30人ぐらい集まる。1,000人くらいの子どもたちと触れ合ってきたが、始めたころに小学生だった十数人が、今スタッフとして一緒にやってくれている。これは、私にとって大きな喜びで、地域における子どもサポートも重要だと実感している。
 大きく三つの観点から発言したい。
 第1に、現在、高齢者向けに手厚い社会保障給付の配分を、もっと子ども向けに振り分けていくべき。日本と欧米諸国で、高齢者向けの配分に偏っている国ほど出生率が低いという、きれいな逆相関の関係がある。
 第2に、少子化対策として何が最も適当であるのか、客観的に判断できる実証分析を深めていくべき。今後、新たな育児手当制度の創設や乳幼児医療費の助成、バウチャーによる保育所利用の一般化など多様な施策が考えられるが、それぞれの費用対効果の実証分析を通じて優先順位を明確にしないと、議論は百出するばかりで、収れんしないのではないかと危惧している。
 第3は、仕事と家庭生活の両立に関する企業の取組。昨年、北欧を中心に欧米の両立先進企業30社の経営者、人事労務管理担当者にヒアリングした。日本企業も200社近くヒアリングしている。その上で、まだ一般的には日本企業の取組は遅れているため、企業経営者を啓蒙していく必要を強く感じている。企業経営者を説得する上で最も効果的なのは、企業業績についても、中・長期的にはプラスになるという研究成果を示していくことだと考える。

 ○案田委員

 チェーンストアに入社し、30年にわたって本社員とパートタイマー双方のマネジメントにかかわりながら労働運動をしてきて、サービス産業の中でのパートタイマーの仕事、収入と家計、共働きの現状、企業内での本社員とパートタイマーの意識の違い、場合によってはトラブルなども経験してきた。
 家庭、夫婦内のギャップと同様の関係が、それぞれの企業の本社員とパートタイマーの間で発生している。今やパートタイマーは1,100万人に達し、サービス経済化が進展していく中で、少子化の原因、防止策についても大きなヒントがそこにあるのではないか。
 少子化の現場は家庭・家族にあるが、共働きで片方がパートタイマー労働の家庭をイメージすると、以前は子どもの教育費の積み増し程度の収入を得るためにパートタイム労働をしようと考えていた方が多かったが、最近は、夫婦ともに子育て費用や時間に余裕がなくなっていることを感じる。
 家庭・家族での子どもを生み育てようという決断を後押しするためには、夫の働く企業妻の働く企業双方と地域社会のかかわりが結びついた施策が必要になってくると考える。
 特に、地域社会のかかわり方は、それぞれの時々の家族・家庭によって違う。一律ではない家庭・地域にどういう対策を立てるのか具体的な成功事例が必要になってくる。
 内閣府が取り組むことは、今後の各省庁の政策、例えば、今まちづくり3法が議論されているが、そういった政策の実行の過程で、どのように少子化対策を取り入れて各地域がまちづくりを行うか、そういう問題に対して横串の意味があると考える。私自身も勉強をしながら、経験を踏まえた意見を述べさせていただきたい。

 ○大日向委員

 ここ一、二年の施策を見ると、打つべき対策はほとんど尽くされている。あとは優先順位をつけて、短期、長期目標を明確にして、果敢に打ち出すべきときを迎えている。子育て支援は、すべての子ども・家庭を対象にというスローガンが打ち出されており、これは子育て支援に対する社会的コンセンサスを得るためには大変すばらしく、また必要なメッセージである。しかし、施策は別だろうとも思っている。
 少子化は、病気に例えると熱を出しているようなもので、熱を下げるだけの対症療法は無駄、あるいはマルチビタミン剤もあまり効果はない。今、本当に必要なのは、熱を出している本当の原因を探って、集中的に治療することではないか。
 最も力を注ぐべきものは何か、二つ申し上げたい。
 一つは、女性の就労継続支援。二つ目は地域の子育て力の回復、この二つを子育てコストの軽減につなげていくことが必要。子育てコストというと、出産、子育てにかかわる直接的な費用がまず言われる。世論調査の結果を考えると、経済的支援も必要だとは思うが、財源も限られている。また、対症療法に終わる危険性もなくはない。むしろもう一つの子育てコストである、出産・子育てによって失われる費用をいかに小さくしていくかを考えることが、女性の就労継続支援につながっていく。
 私は女子大の教員で、女性たちの意識調査を繰り返しているが、彼女たちは、結婚・出産に決して否定的ではない。ただ、消極的にならざるを得ない状況がある。それは、子どもを産むと仕事を続けられないから、つまり子育て機会費用が大きいということ。男性の育児参加を見ても、妻の収入の多さに比例しているデータがある。男性の育休取得率を上げることも大事だが、たった1人の男性の育休取得者を出すことよりも、子育て期の夫婦が無理なく子育てと仕事のバランスをとれる支援が必要である。
 具体的には、企業の両立支援、保育機能の充実。この保育に関しては、随分検討いただいているが、まだまだ十分ではない。特に、待機児対策を理由に保育の質を下げることはあってはならない。
 既に子育てのために仕事や社会参加の機会を失ってしまった女性、主に専業主婦に対する支援、これは社会参加支援に尽きると思う。各地で子育て広場ができているが、その広場の中に閉じ込めてはならない。私は、港区で「あいぽーと」という小さな子育て広場をやらせていただいており、講座を行っている。この講座は、子育てが一段落した女性たちを、子育て家族支援者として認定して、地域で有償で活動できることを保証するもの。いったん専業主婦となった方には何らかの形の社会参加支援が必要。
 今後は、団塊世代の退職も増えてくるが、そういう方々の地域貢献も含めて、一言で言うと、老若男女共同参画、これを果敢に打ち出すことで、少子化対策を考えていきたい。

 ○大矢委員

 現在、資生堂のCSR部長として男女共同参画、女性の経営参画等を推進している。企業でCSRを推進している立場から、また個人的には、自分自身は晩婚晩産型の走りだと思っており、働く母親の立場からも少子化対策に貢献できればと考えている。
 子どもを持つかどうかは最終的には個人の選択であって、出生率の上昇は、個人の選択の結果という問題認識の上で議論したい。その前提に立った上で、子どもを持つという選択の阻害要因を一つ一つつぶさに取り除かなければ、少子化には歯止めをかけられない。その対策も経済支援のみではなく、多元的に、また同時に進める必要がある。
 ワーク・ライフ・バランスの支援、男女共同参画の推進、社会全体で子育てを支援する仕組み、将来に希望が持てる社会への改革などを、具体的に国の政策レベルでやるべきこと、また地域行政で進めること、産業界が担うべきこと、ひいては国民の意識改革も含めた提言にまで深めていければと期待している。出生率を飛躍的に改善し高めて、社会に変化を与えるまでにはかなりの時間を要すると考える。そういう意味では、少子化を予見した制度設計も並行して検討するべき。
 弊社は従業員の7割が女性で、お客様の9割が女性。従業員の女性たちも、店頭販売員、総合職、技術者、管理職と多岐にわたることから、男女共同参画と少子化の問題は非常に大きな課題となっている。そういった状況の中で、女性の生の声や事例を紹介して検討していくことがお役に立てるのではないかと考えている。

○奥山委員

 少子化対策という言葉に関しては、人口を増やそうということではなく、出生率が下がって底が見えない状況の中で、せめてOECDの先進国並みに回復することであって、子どもを持ちたいという人たちが生める社会の実現、そこを目指しているという共通理解が必要。
 私自身は、1985年に就職、10年働いて、会社では第1号の育児休業取得者。1年休み、その後1年働いて退職し、子どもを3人育てながら、子育て支援のNPOを仲間と立ち上げた。地域での子育てに入ったときに、地域の中で非常に旧態依然とした保守的な環境の中で子どもを育てることがどんなに大変か実感した。国が一生懸命施策を打っても、やはり住んでいる市町村にその施策がなければ、実際には利用できないことが課題になっていると思う。
 バブル崩壊後、失われた10年といわれるが、家庭はそれ以上に多くのものを失ったのではないか。アトピーやアレルギーが多い、赤ちゃんのあやし方がわからない、重湯はどこで売っているかと質問される。乳幼児期、親子で家にこもって他者と話をしない、深夜にスーパーやファミレスに赤ちゃんを抱えて出歩いている。外でどうやって遊んだらいいかわからない子どもがいる。親自身が人と会うことを拒絶したり、逆に過度に交流の輪に入らなくてはという強迫観念を持つというようなことを地域の中で感じている。
 18歳以下の子どもがいる世帯は全体の4分の1。子育て家庭が少数派になって、非常に社会から厳しい目を向けられている。私たちの世代は、家庭がしっかりしろと社会から言われるけれども、私たち自身が兄弟や従兄弟が少ない環境の中で、子どもたちと触れ合うことをせずに母親になっているので、それは、専業主婦にとってもプレッシャーであり、働いていく女性にとっても同様であろう。
 親自身の育児力が落ちたのかと問われれば、そうかもしれないが、一生懸命子育てしている人が多い。昔の母親が24時間子どもとつき合い、絵本の読み聞かせをしていたわけではない。親が子どもに面と向かっていた以上に祖父母が見ていたり、地域の子育て力があったが、今地域の力の方がなくなった事の方が大きいと感じている。超少子化といわれる国が、南欧、シンガポールや香港など、家族中心で支え合っていた国ほど多いことを考えると、家族支援に頼って社会的な支援を開発してこなかったツケが今回ってきているのではないか。
 少子化と男女共同参画に関する専門調査会の報告書でも、労働力が高い国ほど出生率が高い傾向があるが日本はそうではない。やはり男性の育児参加、帰宅時間、育休とか、転職の容易さ、保育環境、家族手当、いろいろなものが整ってないと実現できないということが結果として出ている。
 ドイツでは手厚い経済支援をしても出生率が上がらないのは、保育園が整備されてないからだといわれるが、日本も、すべてがまだ未成熟の中で、現金給付を先にしてしまうことに意味があるのか、事例を考えながら分析しなくてはいけないのではないか。
 この5年が大事であるなら、中・高・大学校に入ってからも大事だが、子ども1人で行動できない小学3年生ぐらいまでをターゲットに、集中的に施策を打っていくこと。それから、0、1、2歳児は8割が在宅ということは、保育園もつくらなくてはいけないし、在宅での子育て支援も大事だと、両方のことを示しているわけで、その部分に集中的に施策を打っていくことが大事だと思っている。

 ○佐藤委員

 専門は人事管理で、最近は、女性、男性も含めて子育てしながら仕事を続ける仕組みを、企業としてどうつくっていくかについて研究している。
 基本的には、子どもを持つことを希望する人が持ちやすい仕組みをつくっていくことが大事だが、それを前提とした上で、これからは、一つは総合的な取組、もう一つは、対象層ごとに現行の施策で十分であるかを見直す必要がある。
 総合的な施策が必要であることは、女性が働きながら子育てもできる社会は、地域での保育サービスがそろっているだけではない。男性も子育てにかかわっている、子育て費用の軽減措置があるとか、全体として子育てを支援する環境があるところでは、女性が働きながら子どもを持てることだ。
 もう一つ大事なのは、日本は、他の先進国に比べて1970年は女性が働いている比率が高かったが、2000年では労働力率が低くなっている。これは意外に知られていないが、ほかの先進国よりも少ししか働く人が増えてないにもかかわらず出生率が落ちている。つまり、それだけ日本は女性が働きながら子育てしにくい社会であり、これを変えていくためには総合的な取組が必要。
 対象層ごとの施策が現行で十分かどうかは、これまでの議論の中でも全然言及されなかったが、いわゆる未婚者が増えていることに関するものである。結婚を希望しているがなかなか結婚できない。日本の場合、やはり結婚しないと子どもを持てない。政策的にやることがあるかどうか議論する必要がある。それは結婚すべきということではなくて、結婚の希望のある人がパートナーに出会えて、さらに子どもを持ちたければ持てることを考えなければいけない。
 2番目は、専業主婦の方たちの子育て負担感は非常に高い。この方たちには、子育ての相談相手が地域にいない、夫の支援も逆に少なかったりするから、専業主婦で子育てをしている人たちのサポートが十分かどうかということ。
 3番目は、働いている女性が子どもを持ちたいときに、子どもを持つかどうかを決めるのは、やはり勤務先の両立支援の仕組みが大事。この会社で子どもを持っても、働き続けることが難しいから、働こうと選択するとやはり子どもを持たない。
 今の会社で子育てしながら働きやすいから1人目を産むけれども、2人目を持とうと思うかどうかは、やはり家族のサポート、夫のサポートがすごく大事になる。さらに3人目というときには、経済的な問題が出てくる。
 そういう意味で、企業がやるべきことも、家族内での夫がやるべきことも、国がやるべきこともそれぞれある。こういうものがうまくかみ合っていくことが大事。
 我々が子どもを持とうと思ったときに、この社会が将来に希望を持てるものであるかどうかがすごく大事ではないか。個々の施策も大事だが、この社会で将来が明るい、希望が持てることはすごく大事で、結婚し子どもを持って、将来、子どもにこういう国に生まれて育っていくことが望ましいことだと言えるかどうかはすごく大事だと思っている。

 ○前田委員

 主に5点ほどふれたいが、一つは、児童虐待や不適切な養育が非常に増えて、横浜市でも、昨年1年間で把握している不適切な養育をしている世帯は1,700世帯、16年度1年間で、児童相談所に寄せられた虐待発見、虐待相談が837件で非常に増加している。
 親の養育力不足が目立つ一方で、地域で子どもを育てるが力がない。少子化が進んで、保育園が大事といわれるが、横浜市は待機児童対策でこの3年間に100カ所保育園をつくったが、子どもの声がうるさいという反対運動も大変強い。最近では、小学校や公園で遊ぶ声がうるさいとの苦情もあり、子どもたちが自由でのびのび遊ぶ環境を大人が奪っている。子どもは大事、子どもを生んでもらわなければと言いながら、地域社会で子どもを育てようという意欲は減退して、子どもにとって厳しい状況になっている。
 二つ目は、横浜市は、認可保育園300、横浜型保育所130、いわゆる無認可保育園が160で600カ所の保育所を抱えている。さらに24時間緊急保育、夜間保育、病後時保育のみならず小児科の先生をお願いして病時保育をつくっている。泊まりの出張のときに預かってもらえる保育園、子どもが水疱瘡になると、その後1、2週間行けないので、その子どもを預かる保育園などもつくっている。一方で、私も子育て中の母親として強く思うのは、働き方を変えない限り、子どもと親が過ごす時間がどんどん失われている一面もある。
 私も仕事をしているので、夜9時、10時まで保育園があればいいと思うし、横浜市でもここ数年、大卒の採用は7割が女性であるが、果たして、課長、部長になって夜10時、11時まで働く女性が、子どもを育てることができるかということは非常に問題で、重い職責と子育てをどう両立していくかを切実な問題として持つ女性が増えている。
 3番目は、子どもたちへのケアが非常に手薄だということ。非常に深刻な課題が、児童養護で育っている子どもたちの状況。保育園が、少子化の中で社会的ステータスを上げ、高齢者福祉は介護保険の導入によって抜本的に改革されている中で、この児童養護は対策が非常に遅れている。虐待を受けた子どもたちは心に傷を持っており、18、19歳で自立することは非常に難しい。虐待の傷を克服して社会的に自立して、本当に巣立っていけるまでには27、8歳までかかる。数少なく生まれている子どもたちのうちでも、一番厳しい状況の子どもたちの処遇改善が必要。
 ニートやフリーター対策も大変手間暇がかかる。実際に就業までには2年、3年のケアが必要。放置しておくと、引きこもりから本格的な精神疾患となり、家庭内暴力が始まることがあるので対策も早期から必要。
 もう一つは、思春期の性病罹患や薬物中毒。女性の出生率が落ちている一つの原因で、随分性交が活発になっているので、若い女の子が性病になり、自覚症状がないままに結婚して初めて自分が性病を罹患して、不妊の体になっていると気がつくことがある。思春期の子どもたちへの、薬物の教育や体を大事にする、健康な母体を維持する教育も必要ではないか。
 第4には、これまでの大きな政策に乗ってこなかった、子どもたちの個別のケアが必要なので、自治体の現場から申し上げると、いろいろな補助制度をつくっていただいているが、それぞれの地域で持っている資源、必要なものが違うので、ことこまかな指示のある今の補助の仕組みは非常に使いにくい。大枠でいただいてそれぞれの地域の実情に応じて事細かな施行ができるようにしていただけると大変ありがたい。
 また、自治体間の平等をはかるということで、一自治体一事業という認定になっているものもあるが、人口の多い政令指定都市などでは、一自治体一事業の補助要件では厳しい。
 第5に、横浜市では子ども関係の施策に540億円かけており、そのうち85%が保育所の運営費で、専業主婦への子育て支援やニート対策や事細かな政策に関しては15%に過ぎない。逆に、横浜市は専業主婦率が非常に高い自治体で、保育園利用者は15%で、その保育園利用者に子育て環境の資源の85%が使われていることになる。もしも保育バウチャーなどで全世帯にお金を配ることになると、膨大な額が要るので政策の優先順位が必要。
 子育て世帯の経済的支援は、横浜市での調査で見ても、世帯年収500万円以下の所得の低い層で育児費が負担になっていることは確かだ。しかしこれは、1万、2万円のお金を配って解消できることではない。むしろ子育て期に一度家庭に入っても、その後、ちゃんとした職につくことができるルートが必要。
 小児医療費の補助制度を横浜も進めているが、医療費が無償になり、夜間救急に、夜間診療がわりに来るお子さんが増え、本当に命を救うべき子どもたちの診療が後回しになることを、小児科の先生も非常に危惧されている。小児医療費助成が必要だと思うが、一方で、親に対する医療や救急医療の考え方や子どもの病気のケアみたいな基礎知識の提供も必要かと思っている。
○尾辻厚生労働大臣
 厚生労働省では、昨年12月に、子ども・子育て応援プランを策定し、このプランに基づいて、現在、若者の就労促進、働き方の見直し、地域の子どもの子育て支援等の施策に取り組んでいる。
 また、平成15年に制定された次世代育成支援対策推進法に基づき、全国の地方公共団体と企業に行動計画の策定を義務づけ、取組をお願いしてきたが、施行後、約半年を経た段階で、従業員301人以上の企業の84%が行動計画を策定され、実行に移されていることは感謝申し上げたい。引き続き、すべての企業に取り組んでいただけるよう頑張ってまいりたい。
 厚生労働省としても、こうした動きをしっかり支援していくことが重要であると考えており、来年度の概算要求も、待機児童ゼロ作戦のさらなる推進、両立支援の取組が比較的遅れている中小企業における育児休業のとりやすい環境整備に対する手厚い支援、担当者制によるきめ細かな女性の再就職支援などを盛り込んでいる。
 今日、お集まりの皆様方には、日ごろから少子化対策に御協力をいただいており、改めて感謝申し上げるとともに、本日のお話をしっかりと心にとめて、効果的な施策の展開や検討に生かしていきたいと考えている。

 ○北側国土交通大臣

 国土交通省は、まちづくりや住環境の整備を担当している観点から、子どもたちを安心して生み育てられる地域環境をどうつくっていくのかという視点で進めているところ。
 社会資本整備のありようについて、大きな転換期に来ており、来年の通常国会での、まちづくり3法、住宅基本法、住環境、まちづくりに関する基本的な法律の改正の論議をしているところ。
 子育て支援という観点でのまちづくり、住環境整備についても取組たい。やはり良質なファミリー向けの賃貸住宅をどう供給していくか、職住近接の環境をどうつくれるか、公営住宅と保育所を一体的に整備しやすい環境をどうつくるか、そういうことをしっかり推進させたいと思っている。
 今、住宅施策、住環境政策、まちづくり政策について、地方公共団体の提案事業に交付金を使えるようになっており、このまちづくり交付金や地域住宅交付金は、非常に大きくなっているのでぜひ活用していただきたい。
 また、バリアフリーの問題も高齢者だけの問題ではなく、子育てバリアフリーという観点で推進をさせていきたい。今まで交通バリアフリーという法律と、ハートビル法という公共建築物のバリアフリーのための法律は2本あるが、来年の通常国会では、これをもう少し大きくユニバーサルデザインに基づくまちづくりという観点から法律を一体化して、まちづくり、面的な観点からバリアフリー化を進めて、その中で、子どもたちに障害のないまちづくりをしっかり進めたいと思っている。また、まちづくりという観点からは、防犯、安全・安心のまちづくり、住環境整備をすることも非常に大事。
 国土交通省として、子どもの観点からしっかりと施策が進められるように頑張ってまいりたい。

 ○総務大臣代理(松本大臣政務官)

 少子化社会対策の問題は、人の生き方や価値観にかかわる非常に難しい側面はあるが、一方で、我が国の将来に大きな影響を与える重要かつ喫緊の課題であると受けとめており、家庭、教育、仕事など、社会のあり方についての問題ととらえるべきと考える。
 現場自治体ではさまざまな努力をいただいているが、地方公共団体が行う子育て支援策、例えば子育てサークル、次世代育成支援のための住民懇談会、シンポジウムなどの開催、あるいは子育て支援センターの整備などに対して地方財政措置をしっかり行っていくこと、またテレワーク、SOHOの推進など、総務省においてもこれらの少子化対策を打っている。
 国としては、この少子化の問題に対する大きな方向性を示すとともに、制度面など必要な支援を行ってまいりたい。

 ○文部科学大臣代理(下村大臣政務官)

 文部科学省は、義務教育改革でスクールミーティングを行い、その中で、驚いたことに都市部の、特に小学校中学年ぐらいまでの子どもたちの家庭は、一人親家庭が4割から5割。離婚率が38%、事実婚とか合わせると半分ぐらいの子どもが一人親家庭で、それぞれ孤立している中で、文部科学省は、家庭、地域、学校、それぞれの教育力の充実を図り、その教育力の結集をどうしていくかという環境づくりに力を入れていきたい。
 具体的に、地域の大人たちの参画による子どもの居場所づくり、それから子育てヒント集としての家庭教育手帳の配付等、すべての教育の出発点である家庭教育の支援を行う。それから、預かり保育の実施等、幼稚園における子育て支援の充実、また子どもの生きる力を育む体験活動の推進、教育に伴う経済的負担の軽減等に特に力を入れながら少子化対策に取り組んでいきたいと思う。

 ○経済産業大臣代理(山本大臣政務官)

 経済産業省では、経済産業の活性化という観点から、少子化対策を取り組んでいかなければいけないと考える。子育てと仕事の両立できる職場環境づくりについての企業の先進的な取組事例を取りまとめている。女性の就労継続の支援については、休業中に会社の状況に関するレポートを定期的に送付したり、現金給付として、第1子と第2子には50万円、第3子以降には200万円を支給の例等がある。いろいろな例があるので、ぜひ御覧いただきたい。
 来年度の予算要求は、少子化社会対策大綱の枠組みを着実に推進していくことから、育児関連サービスの育成と中小企業の支援を中心にメリハリのある予算を盛り込んでいる。
 また、保育所の子どもたちが病気になったときは、大体保育所からお母さんの方へ電話して、来てください、病院に行ってくださいということが多いが、育児関連サービスといった会社に支援して、いろいろな子どものデータをつくっておき、どういった形で病院と保育所の連絡をとったらいいか、そういったことについて支援をしていこうと取り組んでいる。これからも経済界、労働界と連絡を密にして取り組んでまいりたい。

 ○細田内閣官房長官

 慶応大学の島田晴雄先生が、総理のところに来られ、生活塾という、リタイヤした男性、あるいは子育てが一段落した主婦の方に子どもを預けて、晩御飯ぐらいまでは食べさせてあげるとか、多少空いた時間の教育、いわゆるどこかへ出かけたり、テレビゲームだけやっているようなことではない教育をしてもらったらどうかという構想について話しをしておられた。すでに一部の地域ではそういったことをやっているようだ。
 また、子育て支援官民トップ懇談会というものを開催しており、経団連会長、連合会長、社会経済生産性本部会長、日本商工会議所会頭、全国中小企業団体中央会会長、全国商工会連合会会長、あるいは経済同友会代表幹事にお願いして、出産のときに女性が7割もやめてしまう日本の企業構造、中小企業構造も含めてそこに問題がある。何とか経営の側から改善できないかとお願いしている。
 中小企業には、そこまでやるのならお金が欲しいとの声もあるが、現行の制度に関する誤解もあり、例えば、育児休業中も年金保険料負担がかかるので、新しい人を雇った方がいいと誤解している経営者が多いこともわかった。もっと大事なのは、若い男性を早く家へ帰したらどうか。家庭団らんの時間、家庭を大切にするため、そういうことはできないのかどうか、いろいろ経営者に対して改革を迫るということを、この懇談会ではやっている。
 その中で、生産性本部は、生産性運動を長らくやってきた団体で、労働界も、経営界も入っているし、新しく少子化対策の社会運動を起こしてくれないかと言ったら、やりましょうということである。生産性という考え方は戦後大きな運動になったが、やはり社会運動をやってほしいとこちらから言っております。そういったことを念頭に、そのような取組を活用することもお考えいただきたい。

4 閉会

細田官房長官から、会議の議事は後日公表する旨の発言。