待機児童ゼロ作戦の推進等、保育サービスの拡充(3)

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待機児童ゼロ作戦について

  • 平成14年度から「待機児童ゼロ作戦」を進め、待機児童は2年連続で減少中。待機児童数が全国最多の横浜市でも、ほぼ半減(平成16年1,190人→平成17年643人)
  • 「子ども・子育て応援プラン」でも待機児童解消を最重点課題と位置付け、待機児童50人以上の市町村を中心に、平成19年度までの3年間で集中的に受け入れ児童数を拡大。

待機児童ゼロ作戦


保育所入所待機児童数調査

1. 保育所利用児童数等の状況

保育所利用児童数等の状況の遷移画像

保育所利用児童数等の状況(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

2. 保育所待機児童数の状況

  17年4月1日
(A)
17年4月1日
(A)
差引
(A-B)
待機児童数 23,338人 24,245人 △907人

[表3]年齢区分別の待機児童数

  17年利用児童数
(%)
17年待機児童数
(%)
低年齢児 (0~2歳) 632,011人(31.7%) 15,831人(67.8%)
うち0歳児 78,658(3.9%) 2,417(10.4%)
うち1・2歳児 553,353(27.8%) 13,414(57.5%)
3歳以上児 1,361,673(68.3%) 7,507(32.2%)
全年齢児計 1,993,684(100.0%) 23,338(100.0%)

都市部における待機児童の集中と解消努力

待機児童数の多い市町村(17年4月現在)

市区町村名 待機児童数
大阪市(大阪府) 904人
堺市(大阪府) 752人
神戸市(兵庫県) 652人
横浜市(神奈川県) 643人
川崎市(神奈川県) 597人
福岡市(福岡県) 432人
足立区(東京都) 427人
名古屋市(愛知県) 423人
相模原市(神奈川県) 383人
奈良市(奈良県) 352人
待機児100人以上の市町村
61市町村
15,305人
待機児全体の65.6%
待機児50人以上の市町村
94市町村
17,659人
待機児全体の75.7%

受入児童数を大幅に増やした市町村

市区町村名 受入児童数の増加(16→17年)
横浜市(神奈川県) 2,922人
仙台市(宮城県) 1,075人
さいたま市(埼玉県) 546人
札幌市(北海道) 462人
広島市(広島県) 361人
新潟市(新潟県) 360人
和歌山市(和歌山県) 349人
名古屋市(愛知県) 318人
鹿児島市(鹿児島県) 317人
千葉市(千葉県) 309人

待機児童数を100人以上減少させた市町村

市区町村名 受入児童数の増加(16→17年) 減少数
横浜市(神奈川県) 1,190→643 547人
仙台市(宮城県) 462→246 216人
東大阪市(大阪府) 489→280 209人
川崎市(神奈川県) 755→597 158人
町田市(東京都) 383→248 135人
南風原町(沖縄県) 151→16 135人
吹田市(大阪府) 149→16 133人
沖縄市(沖縄県) 299→177 122人
境市(大阪府) 868→752 116人
うるま市(沖縄件) 330→223 107人

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律案の概要

幼稚園や保育所等における就学前の子どもに関するきょういく・保育・子育て支援の総合的な提供を推進するため、都道府県知事による認定制度を設けるとともに、認定施設に係わる特例措置を講ずる。

1 概要

「認定こども園」の認定

○幼稚園、保育所等のうち以下の機能を備えるものは、都道府県から「認定こども園」としての認定を受けることができる。

1. 教育および保育を一体的に提供(保育に欠ける子どもにも、欠けない子どもにも対応)
2. 地域における子育て支援(子育て相談や親子の集いの場の提供)の実施
 (※)職員配置等の具体的な認定基準は、文科・厚労大臣が定める指針を参酌して都道府県が定める。

○認定施設に対し「認定こども園」との表示を義務付けるとともに、認定施設以外の施設による名称の使用を制限。


「認定こども園」に関する特例措置

[財政措置等]

幼稚園と保育所が一体化した認定施設については、設置者が学校法人・社会福祉法人のいずれであっても、経常費及び施設整備費を助成
(※)認定施設となる場合の保育所認可定員の特例(10人でも可)(政令事項)

[利用手続き]

認定施設の利用は直接契約。利用料も基本的に認定施設で決定。

2 施行期日 平成18年10月1日


認定こども園の機能について


家庭的保育事業について

1 事業内容

 保育需要の増に対応するための応急措置として、家庭的保育(保育所との連携又は保育所での一体的な実施により、保育士又は看護師資格を有する保育者の居宅において少人数の3歳未満児を保育すること)事業を実施する市区町村に対し、必要な経費の補助を行う。
 (1)児童の要件
 ・保護者の就労等により、日々保育に欠ける3歳未満児
 (2)家庭的保育を行う者の要件
 ・保育士又は看護師の資格を有する者
 ・保育者の居宅で保育を実施
 ・保育する児童の人数は3人以下。ただし、補助者を設置する場合には5人以下。
 (3)連携保育所
 ・家庭的保育者のあっせん
 ・家庭的保育者に対する相談・指導
 ・定期的に保育所での保育を実施

2 補助額

1保育者あたり 年額 2,454,000円

事業所内保育施設について

1 現状(平成17年3月現在)

  事業所内保育施設全体 うち院内保育施設 うちその他の事業所内施設
施設数 3,371 2,138 1,233
入所児童数 47,752 35,284 12,468

2 事業所内保育施設に対する支援措置

事業所内託児施設助成金(雇用保険事業の両立支援事業)

一定の要件(育児休業等を労働協約や就業規則に定めて実施、一般事業主行動計画を策定、届出等)を満たした事業主・事業主団体に対して、事業所内託児施設の設置費、運営費、保育遊具等購入費を助成

 設置費:設置に要した費用の2分の1、限度額2,300万円

 運営費:運営に係る費用(人件費)の2分の1 運営形態や現員に応じて限度額あり、運営開始日から5年間に限り助成

 保育遊具等購入費:保育遊具等の購入に要した額から10万円を控除した額、限度額40万円、5年
間に1回に限り助成


病院内保育所運営事業(医療従事者の離職防止、再就業促進事業)

民間病院が医療従事者のために保育施設を運営する事業について助成

 運営費:運営に係る費用(人件費)を対象に、規模や運営形態(24時間体制や病児への対応)、施設を設置する病院の負担能力を考慮して定められる基準額を助成(年数の限度なし)


事業所内託児所の事例

事業所内託児所名 託児所の概要
株式会社資生堂
「カンガルーム汐留」
・2003年9月、本社内に開設。運営は、ポピンズコーポレーション。
・共同利用の託児所であり、資生堂社員のみならず、他企業(電通、ニチレイ、日本IBM、朝日新聞)の社員も利用している。
・定員は21名で、2006年2月現在、満員となっており、中でも0歳児が多い。年度途中など,いつでも入所可能。
・インターネットカメラなど安心して預けられる環境が整っている。
・改修費及び運営費について、21世紀職業財団の助成を受けている。
日産自動車株式会社
「マーチランド」
・2005年4月、神奈川県の研究開発センター内に開設。
・定員は、40名であり、2005年度現在、定員の半数近くの利用が進んでいる。
・利用時間は、午前7時半~午後10時までという幅広い時間のニーズに応えている。
・整備費、運営費について、21世紀職業財団の助成を受けている。
新生銀行
「日比谷キッズパーク」
・2003年9月、本社内に開設。
・保育定員数は、25名で、常時利用は約15名であり、一時保育の受入もやっている。
・利用時間は、通勤ラッシュを避けるため、午前8時から午後7時まで(午後9時まで延長可能)となっている。
・整備費、運営費は、全額企業の負担となっている。
文部科学省
「かすみがせき保育室」
・2001年10月から霞ヶ関初の取組として、文部科学省のビル内(現在は丸の内に移)に開設。
・2005年10月時点で、22名が利用している。利用者の内訳としては、文部科学省職員が9名、他は、他省庁、民間企業に勤務している者となっており、霞ヶ関近辺に働く人に幅広く利用されている。
・整備費、運営費は、全額国庫負担。
三菱地所株式会社
「キッズスクウェア丸の内東京ビル」
・2005年11月より、開設。運営はアルファ・コーポレーション(京都市)。開所後、月決め保育が定員に達し、空き待ちが20人以上に上る。
・ビジネス街の丸の内地区で、誰でも利用できる。
・利用時間は、朝7時から夜10時までであるが、給食は昼だけでなく夜も用意される。
・スポット利用の一時預かりは、2時間5,250円にもかかわらず、連日のように予約が入る状況である。
・整備費は、全額企業負担。運営費は、東京都の認証保育所となっていることから、都の補助を受けている。
(株)ベネッセコーポレーション
「たまKid'sクラブ」
・1994年から、東京本部多摩市に開設。
・社員の生後6ヶ月~2歳の子どもが利用でき、定員は、30名。
・地元で保育園が見つかれば、そちらに移行する。
・利用料は、月額4.5万円で、社員を経済的に補助するカフェテリアプランからも利用可能。
・整備費、運営費については、旧労働省当時の助成金(21世紀職業財団の現行の枠組みと同じ)、平成7年からは21世紀職業財団の助成を受けていたが(運営費は5年間)、現在は全額、企業負担。

待機児解消に向けた地方公共団体独自の取組

  東京都認証保育所 横浜保育室 (参考)認可保育所
A型 B型    
設置者 民間事業者等 個人 個人、法人又は任意団体 社会福祉法人・民間事業者・個人等
施設基準 乳児室、保育室、遊戯室、調理室、医務室等 乳児室、保育室、遊戯室、調理室等 乳児室、保育室、遊戯室、調理室、医務室等
屋外遊戯場(園庭)3.3平方メートル以上(付近の公園可)   屋外遊戯場又は付近の公園等 屋外遊戯場(園庭)3.3平方メートル以上
(付近の公園可)
0~1歳 3.3平方メートル(2.5平方メートルまで弾力化)
2歳以上 1.98平方メートル以上
0~1歳 2.5平方メートル以上
2歳以上 1.98平方メートル以上
0~1歳2.475平方メートル以上
2歳以上1.98平方メートル以上
0~1歳1.65平方メートル以上(乳児室)、3.3平方メートル以上(ほふく室)
2歳以上1.98平方メートル以上
職員配置 保育従事者
0歳 3:1 1~2歳 6:1
3歳 20:1 4歳以上 30:1
(有資格者は6割以上)
3歳未満児おおむね4人に保育従事者1人の配置を確保
(保育従事者の2/3は常勤職員であり、保育士又は保健師、看護師、助産師であること。)
有資格保育士
0歳 3:1 1~2歳6:1
3歳 20:1 4歳以上30:1
(常勤保育士は各クラス1名以上(乳児を含む場合は2名以上))
助成対象児童 0~5歳の児童(月160時間保育に欠ける3歳未満児保育に欠ける0~5歳の乳幼児以上の利用が必要な児童)
(3歳未満児が1/2以上)
0~2歳の児童(区市町村が必要と認めた者) 保育に欠ける3歳未満 保育に欠ける0~5歳の乳幼児
開所時間 13時間以上 11時間以上(基本保育時間7時30分~18時30分) 11時間(11時間以上の場合、延長保育で対応)
入所 保護者と施設との直接契約 保護者と施設との直接契約 保護者と市町村の契約
保育料 事業者が自由設定(ただし国の徴収基準額表の額が上限) 事業者が自由設定(ただし月額58,100円が上限) 市町村が定めた保育料を保護者から徴収

3.放課後児童対策


課題

  • 需要が増大する児童クラブをどのように拡充していくのか。
  • 地域子ども教室等の地域の大人たちの参加による子どもの居場所づくりや全児童対策をどのように進めていくべきか。
  • 全児童対策の実施が求められる一方で、時間延長等放課後児童対策のニーズが多様化する中で、求められるサービスの内容や質を確保しつつ、どのような資源を活用して、対応していけばよいか。

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