「経済的支援」について

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  1. 検討課題

  2. 各種提言

  3. 子育て世帯の実態とニーズ

  4. 現状の支援策



1. 検討課題


テーマ:「経済的支援」について

項目 課題

1.経済的支援の在り方

  • 子育てコストや子育て世帯の家計から考えて、子育ての経済的負担感が重いのはどのような点か。それを軽減するための施策として、これまで講じられてきた経済的支援策をどのように評価するか。また各種施策についてどのような点で改善が必要か。

  • 子どものライフサイクルでみた場合、特にどの年齢層において経済的支援の充実が必要か。

  • 世帯類型や所得等でみた場合、どのような子育て世帯に対して、特に重点的に支援を行うべきか。

  • 出生率が反転している、あるいは高い水準で推移している西欧諸国の政策のうち、どのような点を参考にしたらよいか。


2.経済的支援の方法

  • 出産無料化など、一時的に負担の集中する誕生前から乳幼児期の経済的負担を軽減するために、どのような支援策が必要か。

  • 児童手当制度については、どのような方向で検討していくべきか。また、児童手当と税制との関係をどのように考えるか。

  • 経済的負担感の内容に照らして、現金給付とサービス給付のどちらで、または、どのような組み合わせで対応することが適当か。

  • 子育て費用の中で大きなウェートを占める教育費の負担を軽減するために、どのような支援策が必要か。

  • 企業の協賛による子育て支援を拡充していくために、どのような方策が必要か。


3.財源のあり方他

  • 児童・家庭に対する給付を充実するためには、その財源としてどのようなものが考えられるか。

  • 社会保障給付の中で、大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、少子化対策に振り向けるためには、具体的にどのような方策があるのか。


2. 各種提言


専門委員会、地方ブロック会合での意見・取組

1. 誕生から乳幼児期の負担軽減

【出産前の負担軽減】

  • 妊産婦医療費助成制度(茨城県他)
  • 不妊治療の医療保険適用を。(愛知県、埼玉県他)

【出産無料化】

  • 出産関連医療費の無料化(専門委員会)

【乳幼児医療費の負担軽減】

  • 乳幼児医療費助成を小学校就学前まで拡大(長崎県、宮崎県)
  • 現物給付方式による乳幼児医療費助成制度の創設を。単独事業で乳幼児医療費助成を行った場合のペナルティ(国保の国庫負担金の減額調整措置)廃止を。(栃木県)
  • 乳幼児医療費助成の拡充については自治体の財政負担が大きいので、基本的には国が行うべきもの。負担割合は、例えば国が2分の1、市町村が2分の1。(愛媛県)

【在宅育児手当と保育バウチャーの組み合わせ】

  • 経済的支援策としては、児童手当のみならず保育バウチャーと在宅育児手当の組み合わせがベター。保育費用の軽減が望ましい経済的支援策の第1にあげられており、保育サービス利用世帯はバウチャーで負担を軽減し、利用しない世帯はバウチャーのー定割合を在宅育児手当として給付する方策がよいのではないか。(専門委員会)

【第三子への重点化】

  • 働きながらの子育てを考えると、1子、2子、3子で出産選択を規定する要因が異なる。1子目のときは、企業の両立支援策が重要、2子目では、夫の子育て支援があるかどうかが重要、3子目では経済的支援が重要。全体として、これら3つの組み合わせが大事。(専門委員会)

【税制の見直し】

  • 子どもの扶養控除額の引き上げ、第2子、第3子の控除額の引き上げを(静岡県、栃木県他)
  • 子どもがいる世帯の税制優遇措置の導入や公的な無利子ローンの導入を検討すべきではないか。(専門委員会)
  • 子育てに関する商品やサービスとそれ以外で消費税に格差を設けることはできないか。(専門委員会)

【育児休業中の所得保障】

  • 育児休業期間中の所得保障(現行4割)の割合の拡充を(茨城県)
  • 子育て家庭への経済的支援(児童手当の支給の拡充や育児休業や育児時間の経済的支援)。(専門委員会)

【企業との連携】

  • 「プレミアム・パスポート事業」(企業の協力による第三子以上の子どもを持つ世帯への経済的支援で、パスポートを提示すると協賛企業から割引等の恩典を受けられる)を実施(石川県)
  • 「しずおか子育て優待カード」(静岡県版「プレミアム・パスポート」、第一子、妊娠中にも対象者を拡大)(静岡県)

2. 子どもの自立までを視野に入れた経済的支援

【教育費負担の軽減】

  • 育児費用の社会化として、高等教育の教育負担まで社会的に平等化すべき(福岡県)
  • 義務教育終了後の教育費を所得控除の対象に(栃木県)
  • 保育所と比較して幼稚園の保育料の負担は重い。地域によっては私立幼稚園に通わざるを得ない場合もあり、更なる支援が必要である。(専門委員会)

【子育て世帯の所得保障】

  • 子育て世帯の所得水準は、近年、ほかの世帯に比べて低迷している。子育て世帯の経済環境の悪化に対する対応策は、ひとつは機会費用の削減、もうひとつは子育てにかかる直接的費用の軽減。(専門委員会)

【雇用の確保】

  • 母子・父子家庭の雇用の確保(出生後、20歳ぐらいまでの経済的支援の観点から)(長野県)
  • 経済的支援の基本は、若い人にとっては安定した仕事につける、結婚したカップルにとっては女性が妊娠・出産しても働き続けられること。第1子は両立支援、第2子は夫のサポート、第3子で初めて経済的支援が問題となるので、経済的支援の重点化は、若い人や女性が働き続けられる施策を行いながら、第3子に厚く手当てすることが大事。(佐藤、専門委員会)

【親の経済的自立支援】

  • 子育てコストの軽減のためには、出産・子育てに関わる直接的な費用の軽減ばかりでなく子育ての機会費用の軽減が重要。(推進会議)
  • 子育てに必要なお金をきちっと自分で稼げる体力をつけさせるということが、大事な経済的支援。(専門委員会)

3. 財源のあり方他

【子育て費用の社会化】

  • 育児の費用負担を公平にするための「育児保険構想試案」(「既存の財源」+「20歳以上の全国民が負担する保険料」を財源に)(佐賀県)
  • 育児保険の導入による財源の確保を。(栃木県他)
  • 乳幼児医療の自己負担の軽減や子育て家庭の健康保険料、年金保険料の減免等、トータルで子育て費用の社会的負担を。(静岡県)

【年金・税制含めた社会保障全体での見直し】

  • 子育ての経済的負担の軽減策は、個別の検討ではなく、年金制度、税制、給付型施策等の体系的な政策論議が必要。地方への転嫁ではなく、国の責任での対応が不可欠。(神奈川県)
  • 経済的負担の軽減策(児童手当の拡充、税額控除の創設、乳幼児医療費助成等)は所得再配分政策でもあり、国の責任で実施を。(富山県)
  • 経済的支援については地方の枠で対応するより、国の基本施策として抜本的な取組を検討することが必要。(宮崎県)
  • 児童扶養控除を廃止するのであれば、その財源を家族給付の充実に重点的に充てるべき。(専門委員会)

【全体水準の拡充】

  • 社会保障給付費のなかの「児童・家族関係」(全体の3.8%)をあと5%増やすぐらい拡充を。(福岡県)
  • 児童手当の給付が延長されても、フランスでは4倍以上の給付がなされている。1人当たりの給付水準をもう少し上げるなど、経済支援の水準そのものを上げていく必要がある。(専門委員会)

最近の各種提言


1. 参議院少子高齢調査会(平成17年7月)

  • 将来にわたり持続可能で安心できる社会保障制度の構築を図るとともに、社会全体として次世代育成を支援していくため、児童・家族関係給付費を拡充していく必要がある
  • 子育てに係る経済的負担提言のため、児童手当の拡充、教育関係費用の負担に配慮した奨学金制度については、一層の拡充を図る必要がある。また、子育て世代の住居関係費の負担を軽減し、良質な住宅を確保できるよう、各種助成措置の拡充を図るべきである。

2. 自民党

(1)文部科学部会・文教制度調査会合同会議 幼児教育小委員会(平成17年8月)

  • 幼児教育の充実強化のため、家庭・地域・施設を通じた幼児教育分野への重点的な公的投資を行う。
  • 特に、幼稚園・保育所など施設については、幼児教育機能強化の観点に立ち、将来的に3~5歳児に対する4時間相当の幼児教育を国家が保証する「幼児教育の無償化」を目指す
    当面は、幼稚園・保育所の間や公立・私立の幼稚園の間の公費負担の格差是正を進めることとし、就園奨励費等を拡充するとともに、第2子以降が優遇を受ける条件(同時就園条件)を緩和する。

(2)厚生労働部会子育て支援対策小委員会(平成17年7月)

  • 欧州諸国並みの児童手当、税制の実現
    • 児童手当制度と税制における子育て支援を合わせた検討を行い、児童手当の給付額、対象年齢の拡充や、税制におけるN分のN乗方式や税額控除等の控除制度の見直しなど子育て支援の強化を図り、欧州諸国で出生率が回復又は安定している国と同程度に子育ての負担を社会全体で分かち合う児童手当、税制を実現する。
  • 奨学金制度の拡充等による教育費負担の軽減
    • 希望者全員が貸与を受けられるよう奨学金制度を充実することにより、自ら学費を負担するなどの学生の自立意識を育てる。あわせて、卒業後の返済の際の税制上の配 慮措置について検討する。
  • 出産・小児医療に係る費用負担の軽減
    • 医療保険からの給付により分娩費及び妊産婦検診等の費用をカバーできるようにする。
    • 就学前児童の医療費の自己負担を軽減する。
    • 不妊治療の助成制度を充実する。

(3)女性局(平成17年6月)

  • ペビーボーナスの創設
    • 子どもの誕生を祝福し、妊娠中の検診費用や出産準備費用、子どもが誕生してからの育児費用の軽減のため、妊娠・出産・幼児期に着目した「ペビーボーナス」を創設する。
  • 子どもの医療費の無料化と不妊治療助成費の広大
    • 子ども、とくに乳幼児期・就学前の医療費の無料化、不妊治療助成費の拡大を図る。
  • 結婚奨励・子育て支援税制の創設
    • 結婚した場合や子どもが生まれた場合に、その年の所得を非課税にするなど、税制面で結婚や出産が有利になるようにする。子どもの数が多いほど世帯の税負担が軽くなるよう、育児費用や保育料・幼稚園費などの子育て控除を創設する。
  • 教育費負担の軽減
    • 「学費は将来の自分が払う」ことができるよう、奨学金事業を一層拡充する。

2. 公明党「チャイルドファースト」2005緊急提言(平成17年3月)

  • 児童手当の拡充
    児童手当の支給対象年齢を小学校6年生まで拡充し、所得制限を緩和する。将来的には中学校3年生までの引き上げを目指す。
  • 乳幼児医療費助成・軽減の拡充
    医療費助成の対象年齢を拡大し、所得制限の撤廃を目指す。
  • 出産育児一時金等の見直し
    出産育児一時金を引き上げ、妊産婦検診の助成を拡大する。また、不妊治療の助成を充実する。
  • 奨学金制度の拡充
    基準を満たす希望者全員に奨学金を貸与するよう制度の充実を図る。
  • ひとり親支援
    シングルマザーの個別の状況に応じた自立・就労支援をハローワーク等と密接な連携を図りながら促進する。シングルファーザーも含め、子育て支援を強化する。
  • 両立支援こ取り組む中小企業への助成
    育児休業や短時間勤務を奨励するため、100人未満の中小企業に対して、―人あたり100万円の助成を行う。

3. 民主党予算案(平成17年2月)

  • 「子ども手当」の創設
    義務教育終了時まで、子ども1人に月額1万6千円を支給(所得制限なし)
    財源は、所得税の扶養控除(老人扶養控除等は対象外)、配偶者控除、配偶者特別控除を廃止(ただし、激変緩和措置として基礎控除の引き上げを検討。)することによる増収見込額:1.9兆円
    高校生・大学生のいる家庭に対しては、無利子奨学金貸与額引き上げにより負担軽減を図る。
  • 「出産助成金」の創設
    現行の出産一時給付金に加え、出生児1人当たり20万円の助成金を給付。

4. 経済団体

(1)経済同友会「人ロ減少社会を考える委員会」(平成17年3月)

  • 出産から乳幼児期にかかるコスト負担を軽減する。
    • 20代の若年出産カップルを対象とした出産費用40万円支給
    • 20代の若年出産カップルを対象とした住宅支援
    • 乳幼児医療の利便性向上
    • 児童手当を2万円程度への拡充を検討

(2)日本商工会議所「夏季政策懇談会政策アピール」(平成17年7月)

  • 少子化対策予算を抜本的に拡充すべき
    我が国の少子化対策への公的支出は対GDP比で0.6%(約3兆円)程度に過ぎず、将来の国を支える出産・子育てへの先行的公共投資という観点から、これを直ちに、少なくとも2倍以上に引き上げるべきである。
  • 「子どもを持つことの経済的負担」の軽減
    1.児童手当の充実
    支給額を第一子月額1万円、第二子月額2万円、第三子以降月額3万円に増額するとともに、支給期間を義務教育終了までに延長
    2.児童税額控除の創設
    義務教育終了までの児童を対象とした「児童税額控除」の創設
    3.医療費の軽減
    児童手当支給期間中の子供の医療費の軽減および出産費用、不妊治療への健康保険の適用等
    4.高等教育への奨学金制度等の充実
    公的な奨学金制度の充実、企業の設立する育英基金への税制面の支援措置

(3)連合「21世紀社会保障ビジョン」(平成17年9月)

1.分娩・検診費用の健康保険適用
2.児童手当の充実
支給対象年齢を義務教育終了まで延長かつ所得制限の撤廃。
支給額を子ども1人につき1万円へ増額。

3. 子育て世帯の実態とニーズ

世帯主年齢階級別にみた所得の現状

  • 子どもが小さい頃の20代、30代の世帯は、所得が低い時期にある。

世帯主年齢階級別1世帯当たり・世帯人員1人当たり平均所得金額


世帯主年齢階級別1世帯当たり・世帯人員1人当たり平均所得金額(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

世帯類型別の所得の現状

  • 母子世帯は、近年大きく増加しており、また、一般世帯に比べて所得が低い。

世帯類型別の所得の現状


世帯類型別の所得の現状:1(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます
世帯類型別の所得の現状:2(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

子育て世帯の可処分所得

  • 20代、30代の子どものいる世帯の可処分所得は、子どものいない世帯より少ない。

第1-5-9図 子どものいる世帯と子どものいない世帯の世帯主年齢層別可処分所得(2003年)


子どものいる世帯と子どものいない世帯の世帯主年齢層別可処分所得(2003年)(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

家計は苦しいと感じる理由

  • 全体の57.6%が家計は苦しいと感じ、子どもの有無別では家計が苦しいと感じている割合は子どものいない家庭で43.2%、子どものいる家庭で60.9%と子どものいる家庭でより負担を感じている。
  • 子どものいる家庭で家計が苦しいと感じる最大の理由は「収入が十分でない、または不安定だから(44.0%)」、子どもの養育費が家計が苦しい1番目の理由であると感じる割合は3番目に高い。

家計の状況(子どもの有無別)


家計の状況(子どもの有無別):1(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます
家計の状況(子どもの有無別):2(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

出産にかかる子育てコスト

  • 一般的に20代から30代前半の世帯収入が低い時期に、妊娠・出産と0歳児の子育てコストとして、およそ104万円の費用がかかるため、かなりの負担感がある。

出産にかかる子育てコスト


乳幼児にかかる子育てコスト

  • 子どもが生まれてから小学校にあがるまでの子育て費用は約440万円。

乳幼児にかかる子育てコスト


乳幼児にかかる子育てコスト(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

子どもの成長と家計の変化(平成11年全国消費実態調査から)

子どもの成長と家計の変化(平成11年全国消費実態調査から)年代別の消費金額の棒グラフ

子どもの成長と家計の変化(平成11年全国消費実態調査から)年代別と消費分類の表


子どもの成長と家計の変化(平成11年全国消費実態調査から)(CSV形式:2KB)ファイルを別ウィンドウで開きます

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