少子化社会対策推進専門委員会(第1回)議事要旨

1.日時

平成17年11月25日(金)10:00~12:00

2.場所

中央合同庁舎第4号館 共用第4特別会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
藤本 保
大分こども病院長
前田 正子
横浜市副市長

(欠席者)

大矢 和子
株式会社資生堂執行役員CSR部長

4.議事概要


○林政策統括官
 大臣は10時からの閣議とその後の記者会見で遅れるため、到着後にあいさつさせていただく。
 私どもの方から、最近の少子化に関する世論調査、それから経済団体、労働団体から少子化対策の提言等をいただいているので、事務局の方からご紹介をした後、奥山委員、大日向委員、佐藤委員、前田委員からご意見を発表していただきたい。
○増田参事官
 最近の世論調査、各種提言がまとめられているので、今後の議論の参考として、その概要をご説明したい。
 参考1(PDF形式:208KB)PDFを別ウィンドウで開きますは、小泉内閣メールメガジンが今年7月に少子化対策をテーマにアンケート調査を実施した結果である。表紙に「第3回」とあるが、昨年前半に第1回として「重点的に取り組むべき政策について」、昨年11月に第2回として「郵政民営化について」アンケートをとっており、この「少子化対策について」を第3回として実施した。
 今年7月中旬から下旬にかけて、メールマガジンを使って読者の方々から意見を募集し、回答総数が2万3,000人。これは大変多い数で、2回目の郵政民営化は約1万5,000人だったので、少子化対策への関心は大変高い。
 性別では、女性が約6割、男性が4割。子どもの数については、いない方が約4割、1人から2人も約4割、3人以上が約1割である。
 年齢別に見ると、30代の方が回答者の45.7%で、インターネットを使っていることから、やはり若い人が多いが、60代、70代の方からも意見が寄せられている。
 このメルマガでは大きく2問質問しており、第1問は、結婚しない人が増えている理由について尋ねたが、全体としては、「結婚に対する価値観の変化」が67.6%と最も高い。次いで「独身生活が快適」あるいは「経済的な不安」となっているが、男女別に見ると興味深い結果が出ており、男性では「経済的な不安」が女性よりも上回っている。一方、女性では「仕事と家庭の両立に不安」が「経済的な不安」を上回り、また、男性と比べても大変高くなっている。
 年齢別に見ると、「結婚に対する価値観の変化」は全体的に高いが、年齢が上がった人の方が割合が高い。一方、「経済的な不安」とか「仕事と家庭の両立に不安」は20代から30代の比較的若い世代に多く、「仕事が忙しい」も若い世代が高くなっている。
 2問目は、少子化に歯どめをかけるための政策に対するニーズを尋ねたもので、「経済的支援の充実」が70.1%と最も高く、次いで「安心して生み育てられる生活環境の整備」「保育所を増やす」「再就職環境の整備」の順番となっている。
 男女別に見ると、「不妊治療を含む妊娠・出産に対する支援」が、女性の方が圧倒的に高い割合となっており、また、概していろいろなニーズで男性より女性が高い結果となっている。「子育ての大切さを伝える教育や啓発」という回答で、男性の割合が高くなっている。
 年代で大きく割合が異なる項目としては、「不妊治療を含む妊娠・出産に対する支援」と「子育ての大切さを伝える教育や啓発」で、不妊治療の方は若い世代が圧倒的に多い。「子育ての大切さを伝える教育や啓発」は年齢の高い層の割合が高くなっている。また、「保育所を増やす」とか「再就職環境の整備」といった両立支援策では、比較的若い世代のニーズが高いことがうかがえる。
 少子化対策のアイデアについて自由に記述する欄を設けたが、ここでも約1万6,500件の意見が寄せられ、30代の女性の意見が全体の3分の1を占めている。非常に多岐にわたるご意見をいただいたが、メールマガジンでは、事務局で選択して236件掲載している。
 「保育サービスの充実」については、例えば駅前に保育施設を整備したり、住宅街につくったらどうか、あるいは高齢者による保育を行ってはどうかなど。それから「経済的支援の充実」「働き方の見直し」「男女共同参画の推進」「子どもの育つ生活環境づくり」「母子保健、不妊治療への助成」「若者の自立支援」「子育ての大切さの教育・啓発」について、大変多岐にわたる具体的なアイデアが寄せられている。
 参考2(PDF形式:116KB)PDFを別ウィンドウで開きますは、内閣府で行ったアンケート調査で、少子化社会対策に関する子育て女性の意識調査を今年2月から3月にかけて行った。
 この調査は、子どものいる20代から40代の子育て女性の意識を聞いている。
 年齢構成を見ると、30代、40代が多く、ご本人の職業では、働いている方と、いわゆる無職─専業主婦の方が半々で、配偶者については、95%の方が働いている。
 特にポイントだけ説明したい。最初に、今まで認可保育所や幼稚園などの利用経験の有無を聞いたところ、85%の人が「利用したことがある」と答えている。
 3ページは、認可保育所以外の施設・事業の利用経験で、保育所以外でどんなものを使っているか聞いたところ、無認可保育所を始めとして、約2割の方が「利用したことがある」と答えている。
 4ページは、保育所のサービス充実策について尋ねたもので、「保育所の数や定員を増やす」「延長保育の充実」「一時保育の充実」といった多様なニーズがうかがえる。
 5ページからは、妊娠・出産、子育て期における働き方について聞いている。
 6ページでは、男性の育児休業取得率向上のための施策を尋ねたところ、「事業主への費用負担分補助などの支援制度の充実」「行政機関や事業所による啓発活動の強化」、「事業主に対する行政機関からの指導の強化」「育児休業給付制度における支給額の引き上げ」と、それぞれ多様なアイデアが寄せられている。
 7ページからは、児童手当について聞いたもの。
 8ページは、児童手当の用途について尋ねており、「特に用途を決めず月々の家計に足して使う」が30%、「子どものミルクやおもちゃ、衣服などの子育て費用」が28%、「子どものための貯蓄」「保育料や幼稚園費」といったこととなって、おおむね子育て費用に使われている。
 これに対して、少子化対策として有効かどうかを尋ねたのが9ページだが、「とても役立つと思う」と「役立つと思う」で約75%、4人に3人の方は「役立つ」と答えている。
 10ページは、児童手当の今後のあり方について尋ねたものだが、「支給対象となる年齢の引き上げ」が61%、「毎月の手当額の引き上げ」が59%で、この2つの要望が特に高くなっている。
 11ページからは、扶養控除の税制について尋ねたもので、約75%、4人に3人の方は扶養控除税制が役立つと答えている。
 12ページでは今後のあり方として、「子ども1人あたりの扶養控除の金額を引き上げる」あるいは「第1子より第2子、第3子の扶養控除の金額を大きくする」といったニーズの大きさがうかがえる。
 13ページからは、今後の少子化対策について尋ねたもの。
 14ページは、重要な少子化対策として尋ねたところ、約7割の方が「経済的支援措置」を挙げている。先ほどの小泉内閣メールマガジンと合わせてみても、経済的支援に対するニーズが高いことがうかがえる。
 2番目以降は、保育所の充実、あるいは「出産・育児のための休業・短時間勤務」「出産・子育て退職後就職を希望する者に対する再就職支援」「仕事と子育ての両立の推進に取り組む事業所への支援」という順番となっていて、2番目以降は、仕事と育児の両立支援策である。これは選択肢が1人三つまでとなっていたので、2番目以下がばらけているが、あわせると、両立支援策についてのニーズも非常に高いことがうかがえる。
 15ページで年齢別を挙げているがも、基本的には、「経済的支援措置」はすべての年齢層で高い。「子どもを預かる事業の拡充」については、年齢の低い層ほど高い。「出産・育児のための休業・短時間勤務」は、働いてからということもあり、年齢の高い層に多くなっている。
 16ページは、経済的支援措置の中で何が特に重要か、3つまで尋ねたもので、最も多いものは「保育料または幼稚園費の軽減」67%で、以下「乳幼児の医療費の無料化」約46%、「児童手当の金額の引き上げ」45%、「児童手当の支給対象年齢の引き上げ」約43%、「保育料や教育費を家計の必要経費とすることによる所得税の減税」32%となっている。
 17ページは、年齢別に見ており、「保育料または幼稚園費の軽減」は、どの年齢層でも最も多い。「乳幼児の医療費の無料化」は年齢の比較的低い層で高い。「児童手当の支給対象年齢の引き上げ」は30代後半、「所得税の減税」は40代後半、「0歳児に対する手当ての支給」は20歳代で、やはり子育て世帯への支援に対するニーズも年齢層によって分かれていることがわかる。
 参考3‐1(PDF形式:120KB)PDFを別ウィンドウで開きますは、今年出された各界からの提言の一覧を載せている。
 まず、国会では、参議院の少子高齢調査会が今年7月に出された中間報告、自民党の政務調査会厚労部会の子育て支援対策小委員会の本年7月の中間まとめ、自民党の女性局が今年6月に提案した子どもHAPPYプロジェクト、公明党が今年3月に公表した「チャイルドファースト」2005緊急提言、それから、経済団体として、経済同友会人口減少社会を考える委員会の今年3月の提言、日本商工会議所の今年7月の提言である。
 最初に、参議院少子高齢調査会の提言から紹介する。
 2ページに概要を載せているが、参考3‐2(PDF形式:148KB)PDFを別ウィンドウで開きますは原本のコピーである。
 参議院の少子高齢調査会、昨年から特別委員会として設置して議論を重ねており、今年7月に中間報告をまとめたところである。
 最初に、我が国の少子化の傾向が進展していて歯どめがかかっていないという状況、それから少子化の要因に対する原因を挙げて、その後、この調査会として今後の対応のあり方について意見を取りまとめたということを記載している。
 大きく五つ、最初は、子どもにやさしい社会の構築で、子育てしやすい生活環境の整備が求められる。そういった意味で、安全な遊び場とか歩行空間の整備、子どもを犯罪の被害から守る取組の推進を図る、そして、だれもが利用しやすいまちづくりに配慮する必要があると述べている。
 2番目は、子育てと仕事の両立支援の推進で、男女の固定的役割分担を前提とした働き方や家族のあり方を見直して、多様な働き方が可能となるような企業の積極的な取組が求められるということで、具体的には、長時間勤務の解消や短時間勤務制度の導入、在宅勤務の活用、再就職支援、そして次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画の推進、この中で、企業においても男性を含めた育児休業の取得促進や意識啓発、そういったところが大事であるということが載っている。また、保育の多様化のところでは、ベビーシッターの利用による在宅保育の支援の拡充に努める必要があると提案している。
 3番目は、子育てに対する経済的負担の軽減で、最初に、持続可能で安心できる社会保障制度の構築を図るとともに、社会全体として次世代育成を支援していくために、児童・家族関係給付費を拡充していく必要があると述べている。具体的な対策としましては、児童手当の拡充、奨学金制度の充実、住居関係費の負担の軽減、良質な住宅の確保を挙げている。
 4番目の項目として、女性の健康と生命の大切さという点から、妊産婦の健康の維持と、満足できる出産のための環境づくりの取組の一層の充実、あるいは出産、不妊治療に係る経済的負担の軽減、それから相談の充実、また、若い世代に対していろいろな相談体制の準備とか、性に関する正しい知識の適切な普及・啓発の必要性を述べている。
 5番目として、若者の自立の促進と教育でニート、フリーターの増大などを踏まえて、雇用のミスマッチの解消や雇用確保のための施策の一層の拡充、それから若者に対する雇用確保のための施策の充実、職業体験などの学習機会の充実、そういった点を挙げている。
 参考3‐1(PDF形式:120KB)PDFを別ウィンドウで開きますの3ページ、それから参考3‐3(PDF形式:21KB)PDFを別ウィンドウで開きますの、自民党の厚労部会子育て支援対策小委員会の中間まとめについてご説明したい。
 この子育て支援対策小委員会は、厚生労働部会の下の委員会であり、昨年から今年にかけて13回、7月まで週に1回あるいは2週に1回ほど、かなり精力的に議論して、それを取りまとめたのがこの中間まとめである。
 大きく3つの視点を挙げており、一つが、人生を豊かにする子育てという尊い営みと子どもを育む家族や地域のつながりを大切にすること、2番目が、子どもと過ごす時間を十分に確保しながら暮らし働いていく展望をもてること、3番目が、若い時期でも経済面で子どもを生み育てていく見通しがたてられるようにすること、こういったことを挙げて、具体的な施策を提案している。
 今後、実現すべき子育て支援対策としては、大きく4つの項目を挙げている。
 第1点として、子育ての経済的負担を社会全体で分かち合うということで、この経済的負担に関することを1番目に持ってきている。
 欧州諸国並みの児童手当、税制の実現ということで、ヨーロッパで出生率が回復または安定している国と同程度に、子育ての負担を社会全体で分かち合う児童手当、税制を実現するということ。
 2点目として、奨学金制度の拡充等による教育費負担の軽減。
 3点目として、出産・小児医療に係る費用負担の軽減で、医療保険からの給付による分娩費や妊産婦検診等の費用のカバーとか、就学前児童の医療費の自己負担の軽減や、不妊治療の助成制度の充実を挙げている。
 大きな2点目は、子育てを支える地域の支援の充実で、誰でも、いつでも利用できる保育サービスの実現として、待機児童ゼロ作戦の推進や、あるいは保育ママなど弾力的な保育サービスの活用、それから、専業主婦も含めてすべての人が利用できるような、保育所における一時預かりの拡大、それから放課後児童クラブの拡充、そういったものを挙げている。
 小児科・産科医療の確保として、現在、不足が伝えられている小児科・産科の拡充のために、診療報酬の見直しなどの施策、あるいは小児救急電話相談の充実などを提案している。
 地域のつながりを強め、子育てを支え合う体制の確立として、地域で子育てを支援できるような保健福祉のネットワークの構築とか、相談し合える拠点の整備といったものを提案している。
 大きな3番目は、子どもが健やかに育まれる環境整備で、乳幼児とのふれ合い体験や食育、キャリア教育の充実として、学齢児が乳幼児と触れ合うことのできるような機会を拡大していくことを提案している。
 安全・安心のまちづくりとして、子どもを犯罪から守るネットワークの構築、ユニバーサルデザインのまちづくりの推進といったことを提案している。
 児童虐待の防止、思春期の人工妊娠中絶や性感染症の増加への対応といった提案をしている。
 大きな4番目は、家庭を築き、家族と一緒に過ごす時間を確保できる働き方の実現で、家族のつながりと家庭生活を大切にする働き方の実現として、仕事と生活の調和を図る国民運動の展開や、あるいは先駆的な取組をしている企業の表彰などの推進を提案している。
 育児休業の取得と育児期の短時間勤務の普及として、育児休業取得促進のために、中小企業に対する負担軽減の支援や、職場復帰支援などに取り組む企業に対する支援措置の拡充などを提案している。
 子育て後の再就職支援、そしてフリーターやニートからの脱却のための若者に対する就労支援を提案している。
 最後に、平成18年度予算に対して子育て支援対策の一層の充実を厚労部会子育て支援対策小委員会として提案した内容となっている。
 次に、参考3‐4(PDF形式:157KB)PDFを別ウィンドウで開きますは自民党女性局の提案で、今年6月に公表された「子どもHAPPYプロジェクト」。この提案のユニークなところは、全国約7,700人、10代後半から30代までの男女から直接アンケートをとって意見を聞いたということで、正確な世論調査とは違うが、非常に数が多いところから、それなりの結果が出ているのではないかと思う。
 このアンケート調査をした結果、やはり少子化への危機感が高いとか、子どもを持つことや子育て経験に対して肯定的な意見が多いとか、自分の手で子どもを育てたいという要望が強い、そういった点がうかがえる。
 それを踏まえて、幾つかの提案をしている。まず一つは、子どもの誕生・成長に着目した支援の充実で、妊娠中の検診費用や出産準備費用、それから誕生してからの育児費用の軽減のためにベビーボーナスをつくったらどうかという提案、子どもの医療費の無料化と不妊治療助成費の拡大、結婚して子どもが産まれた場合、その年の所得税を非課税にする等の結婚奨励・子育て支援税制の創設とか、そういったものを挙げている。
 二つ目に、地域における子育て支援の充実として、母子保健・福祉を統合した子育ての輪・ネットワークづくりをする。医療機関や助産師・看護師、保健師や自治体の福祉事務所などが連携して、一体となって支援したらどうかという提案。それから、地域の子育て支援や親子の交流の場の充実を挙げている。
 三つ目に、安心できる子育て生活環境の整備として、安全・安心のまちづくりを挙げている。
 この自民党女性局のアンケート調査の中でも、最近犯罪が増えているので、子どもを犯罪から守るようなまちづくりに対するニーズが大変強くなっていることがうかがえる。
 四つ目に、働き方の見直しとして、就業の継続と育児休業の取得促進や、ワークライフバランスの推進を挙げている。
 五つ目に、いのちの大切さについての教育の充実ということで、いのちの大切さの体験、学習機会の充実や、教育負担の軽減を挙げている。
 参考3‐5(PDF形式:80KB)PDFを別ウィンドウで開きますは公明党の提案で、今年1月から少子社会総合対策本部を設置して、1年間かけて少子社会対策のトータルプランを提案したいということで活動を続けていると聞いているが、その中で、今年3月に緊急提言したものが「チャイルドファースト」2005緊急提言である。
 前文にあるように、子どもを産み育てることは個人の選択の問題だけれども、さまざまな阻害要因がある場合にそれを排除するのは国の責任であると同時に、社会全体で責任を分担する仕組みが必要である。そして、これまで親に対する対策が中心だったけれども、視点を移して、子どもを中心にした対策を考えたらどうかという提案になっている。
 具体的なものとしては、まず、国に子育て支援の担当大臣を置くべきであるという提案。2番目としては、子育て中心の社会にしていくということ。
 主に経済的支援が中心だが、児童手当の拡充として、児童手当の対象年齢を小学校6年まで拡充して、所得制限も緩和する。現在、サラリーマンの場合780万円まで所得制限があるが、これを具体的には1,000万円ぐらいに引き上げたらどうかということ。それから、将来的には中学校3年生までの引き上げを目指すということである。
 乳幼児医療費助成や軽減の拡充、小児救急医療体制の充実や子どもの病気の緊急時の夜間・休日の対応の充実、出産育児一時金等の見直し、奨学金制度の拡充といったものを挙げている。保育サービスの関係で言えば、保育サービス間─幼稚園と保育園の連携強化とか、子育て支援のネットワークをつくるとか、地方自治体の窓口の一本化、そういったことを提案している。
 それから、もっと子どもに充てる時間を増やすべきということで、両立支援に取り組む中小企業への助成、育児休業支援の助成事業の拡充とか、育児休業取得者があらわれた100人未満の中小企業に対する1人当たり100万円の助成とか、そういった具体的な提案となっている。また、事業所内託児施設の拡充といったことを挙げている。
 最後に、子育て優先の街づくりということで、住宅施策の拡大やバリアフリーの街づくりの推進。妊婦バッジの普及は、母子手帳発給時に妊婦バッジを配布して、妊婦さんの生活環境の改善を図ったらどうかという提案である。
 最後に、経済団体からの提案で、参考3‐6(PDF形式:226KB)PDFを別ウィンドウで開きますは、経済同友会の人口減少社会を考える委員会の提案である。
 これは「個人の生活視点から少子化問題を考える~世代別価値観を踏まえた少子化対策提言~」というタイトルからわかるように、この提案のポイントは、子育て世帯の親の年齢を1940年生まれ、1960年生まれ、1980年代生まれと分けて、そういった世代のニーズを踏まえた上で考えていこうとしているところがユニークなところである。
 世代別のアンケートで、1940年代生まれ、60年代生まれ、80年代生まれ、こういった世代に対してアンケートをとって、そこから政策を考えていこうという中身で、例えば、世代別の家族価値観を見ると、1940年代生まれよりも60年代、80年代生まれの方が「家事・育児は夫婦対等に」とか「男性の育児休暇」などに対して非常に肯定的だとか、そういった内容が出ている。逆に、その下の世代別満足度を見ると、若い世代ほど満足度が低くなっている。
 3ページに、未婚の理由は何か等、60年代生まれに聞いたことを載せているが、結婚相手を探すアクションは、実は何もしていない人が8割もいる。
 子どもを持つことの障害については、若い世代の意見を載せているが、子どもの教育費用が高いとか、出産・育児費用の負担が重いとか、そういった経済的なところが大変高くなっている。それから、子どもを産むのは痛くて辛い、そういう身体的なところで、若者の本音が出ているという分析となっている。
 出産・育児環境が改善されると思われる施策については、60年代生まれの回答を挙げている。出産に関する費用に健康保険を適用したらどうかとか、不妊治療に関する健康保険の適用とか、そういったことを挙げている。
 こういったことを踏まえて、4ページで具体的な提言を八つ挙げている。
 ライフサイクルに応じて提言していこうということで、中学・高校~大学では、提言(1)結婚、出産、育児などに関する「ファミリー教育」を、すべての中学・高校教育の場面で実施し、家族をつくることの意味、価値を啓蒙する。
 提言(2)は教育費用の負担軽減で、ここでは、基本的には大学の授業料は本人負担を原則にして、それを奨学金制度で対応したらどうかという提案。
 出会い~結婚の場では、提言(3)として、結婚紹介情報サービスの展開、国際結婚の制度整備と支援などの提案。
 出産~乳幼児期では、提言(4)として、子どもを持ちたくても持てない人へのサポートの強化として、不妊検査や治療の利便性の向上などを挙げている。
 提言(5)では、安心した出産のために、無痛分娩の普及をしたらどうかという提案。
 提言(6)では、20代の若年層の出産カップルに経済的支援をしたらどうか。これは出産育児一時金とは別に、出産費用40万円を20代の若年出産カップルに出したらどうかということや、乳幼児医療の利便性向上。児童手当については、2万円程度の拡充を挙げている。
 育児休業~職場復帰の段階については、提言(7)で、育児休業の取得促進として「パパ・クォータ制」の導入とか、ベビーシッターの資格制度の整備などを挙げている。
 提言(8)では、ワーキング・マザーが仕事と育児を両立できるような環境の整備として、病児保育や延長保育などの民間サービスの参入による保育環境の整備とか、育児休暇の弾力化、そういったものを挙げている。比較的若い世代をターゲットにした提案となっている。
 最後に、参考3‐7(PDF形式:26KB)PDFを別ウィンドウで開きます、日本商工会議所の政策アピールについて説明する。
 日本商工会議所も、人口減少について委員会をつくって議論していたが、それを踏まえて今年7月にアピールしたもので、全体的に言うと、必ずしも少子化対策だけではない。
 少子化対策の抜本的拡充ということで、人口減少に歯どめをかけることは喫緊の課題である。一刻の猶予も許されない。したがって、早急に方針を決めて少子化対策予算の大幅な拡充を実行に移すべし、出産・子育てへの先行投資は現世代の最大の責任であると述べている。
 そして、中の文章で挙げているが、阻害要因の除去だけではなくて、子どもを産み、育てることに対してインセンティブを付与するようにするとか、今後5年間を重点期間と位置づけて、そのためにあらゆる資源を優先配分して実効性の高い対策を講ずるべきである。そして、現在の少子化対策の公的支出はGDP比で0.6%程度にすぎないので、それを少なくとも2倍以上に引き上げるべきであるし、企業も社会的責任があるということを挙げている。
 具体的な提案は、最後に別紙として挙げており、「子供を持つことの経済的負担」の軽減では、児童手当の充実として、第1子を月額1万円、第2子を月額2万円、第3子以降月額3万円に増額し、義務教育終了までに延長ということを挙げている。
 また、児童税額控除の創設、医療費の軽減、高等教育への奨学金制度等の充実を挙げている。
 大きな2番目、「子育てと仕事の両立」への支援では、育児休業支援のための助成金の大幅拡充として、特に中小企業に対する助成金制度の拡充をうたっている。
 企業内保育所に対する助成の拡充および税制上の優遇措置、大都市圏に重点を置いた保育所の整備・充実、それから、育児休業給付の拡充を挙げている。
 以上が今年出された世論調査、各界からの提言の概要である。
○林政策統括官
 それでは、大日向委員の発表をお願いして、大臣が参ったらごあいさつさせていただければと思う。
○大日向委員 資料1(PDF形式:135KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 ただいま増田参事官から各方面での子育て支援策について大変詳しく伺ったが、必要なものはほとんど精査され、提案していただいているのではないかと拝聴した。今後は優先順位をつけて取り組むことが大切。
 私は、女性の就労継続支援と地域の子育て力回復、この2点を重視した施策の展開について、特に現在、NPO法人「あい・ぽーと ステーション」で取り組んでいる地域の人材養成と絡めてご説明させていただきたいと思う。
 少子化対策として、今、最も注力すべきは子育てコストの軽減であり、そのために私は女性の就労継続支援、地域の子育て力回復が重要と考えている。この子育てコストには2点あり、出産・子育てにかかわる直接的な費用、それから出産・子育てによって失われる機会費用、このいずれも大切だと思うが、特に、人材養成は、機会費用の削減に何とかつなげていければと試みたものである。
 「あい・ぽーと」は、港区青山の幼稚園の跡地を使って、区から補助金をいただいてNPO法人が実施している広場。その広場事業の詳細については、ホームページ等の資料もごく一部だがつけてきたので、時間のあるときにごらんいただきたい。
 この「あい・ぽーと」は、広場事業ではあるが、今、申し上げた女性の社会参加支援というところにとりわけ力を入れて、理由を問わず子どもを預かる一時保育や各種講座等を行っている。
 その一つとして、特にこの1月から力を注いでいるのが、今日、重点的に説明させていただこうと思っている地域の子育て・家族支援者養成講座である。
 この講座はレジュメの2枚目にあるように7つの目的を掲げて、3級、2級、1級と3段階を考えている。3級を今年1月から3月、そして現在、9月30日から先週までで第2期が終った。3級は、集団の場で一時保育活動を行う方で、2級になると、いわゆる保育ママさん、あるいはファミリーサポートセンター的な機能を担える方、そして今、求められている緊急サポート事業のようなこともできる、かなり専門性の高い方の養成を考えている。さらにあと1年後に、1級として、地域の小さな施設等でグループで行う一時保育活動のリーダーを養成したいと考えている。
 この子育て、家族支援者養成講座の目的は、レジュメの2「七つの目的」に書いてある。
 今、地域の支援者の支援力の向上が何よりも大切だと思っている。地域で子育てを支える必要性がいろいろ言われていて、また、そういう活動に善意と熱意をもって当たろうとしてくださる方々は増えている。でも、その方々にも今の若いお母さんへの対応に戸惑いが見られ、一方で、若いお母様たちからも「古くさいことを言われて」とか「価値観が合わない」というようなお悩みをいろいろ伺っている。
 こうした世代間のギャップを埋めて、真に地域の支援力を高めるために、支援者となる方々に乳幼児保育教育の知識、技術をもう一度学び直していただく。そして、「今どきの親は」と説教めいたことを言わないためにも今どきの親の生活背景をしっかり理解していただく。そして、時には助言も欲しいと思うが、そのためにもカウンセリングマインドを学んでいただく。そして、これが一番大事だと思うが、全部1人で抱え込まないで、できる支援、できない支援を見極めて、できないところは必要に応じて地域の他の専門機関に託すネットワーク力、こういうことを身につけていただくために、3カ月にわたって毎週金曜日、10時から4時まで、そして実習も含めるという、かなり専門性の高い講座である。
 資料の下の方に具体的なカリキュラムをつけてあるので、ごらんいただければと思うが、この講座を実施するときに、こんな専門性の高いものが地域の支援になぜ必要なのか、あるいは、どうせ主婦が行うのに、こんな専門性の高いものを実施しても人は集まらないだろうという懸念の声も寄せられたが、いざ実施してみると、本当にこういうものを待っていたという方々が殺到して、第1期は50名が受講した。実習があるのでそこが限界だったが、ウェイティングリストが数十名。そして第2期も同じように、50余名の方々が熱心に受講された。これだけ女性たちは、専門的なものを学んで地域の支援に生かしたいと考えておられる。
 とりわけ、私どものこの講座のもう一つの目的は、支援者たちを無償で使わないということ。必ず有償活動にして、と言っても決して高額ではないが、女性の経済力の向上につなげていきたいと考えている。
 地域の子育て力向上や子育て支援に関しては、こうした人材を養成することが、1つの箱物をつくる以上に大事だと思う。地域の子育て支援のマインドをしっかりと身につけた方々をポストの数ほど増やしていくこと、それが本当の地域の育児力向上であり、同時に、いろいろな人生経験、子育て経験を踏まえた女性たちが、その身につけたものをもう一回スキルアップして有償活動につなげていくことが大事かと思っている。
 これは今、行政の全面的なバックアップをいただいて実施している。港区内の全公立保育園が実習生を受け入れて下さり、また、認定者は区が一時保育者として登録してくださり、既に活動を始めてくださっている。
 既に37名の1期の認定者が誕生し、2期は来週、42名が誕生する。認定者の声を1、2人紹介する。お1人の方は55歳の方で、5人お子さんを育てた方。下のお子さんが中学に上がって余裕ができて、もう一度何かしたいと思っても年齢や就労経験が乏しいことを理由に会社は全部門前払い。「日本社会はずるい」と言っていた。「子育てが大切だと女性に言い、私はそう言われて懸命に頑張った。そしていろいろな力を身につけたと思うけれども、数年間のブランクがあいたとなると、社会はお払い箱みたいに切り捨てようとする」と。その女性がこの専門的な講座を「私のためにあると思う」と言って受けてくださり、3カ月間本当によく学んでくださり、今、地域で精力的に活動していらっしゃる。
 もうお一方は30代前半の方で、小さいお子さんが2人おられる。小さい子どものいる今、なぜ講座を受けたのか、それは「子育てはいつになったら一段落するかわからない。飛び込みたいと思ったときに飛び込んだ」とおっしゃった。でも、講座の期間中、お子さんが熱を出したり幼稚園の行事と重なることがあったが、そのときに、結婚十数年で初めて夫が仕事を休んでくださったとか。「今日はあい・ぽーとの講座に行っておいで。僕が仕事を休む」と。信じられなかったとおっしゃていた。
 もう一つ、幼稚園のお母様たちが「私たちはこの講座を受けられなかったけど、あなたが代表で受けてきて。私たち幼稚園の行事はあなたに代わってやっておくから」と言ってくださったとか。支援者になるつもりが、奇しくも夫の支援、家族の支援、そして地域の支援を経験したと言っておられる。
 小さな小さな試みだが、レジュメの冒頭に書いてある女性の子育てコストの機会費用をいかに削減するかということを地域で試みている実践としてご紹介させていただいた。
○林政策統括官
 それでは、ここで報道が入り、大臣からあいさつをさせていただく。
○猪口内閣府特命担当大臣 
 この第1回の専門委員会、まさに少子化社会対策に向けての非常に重要な討議の場であり、推進会議の方にこの内容をしっかりとつなげて、来年度の大きな対応ができるよう努力していきたいと思っている。
 政府では、子ども・子育て応援プランに基づき、幾つかの非常に重要な軸を既に打ち出しており、一つは、家庭と仕事が両立できるようにという両立支援。もう一つは、両立支援にもつながる、働き方の見直しを通じて家庭と仕事双方を追求できるような、男女共同参画の観点も含めた改革である。さらに、地域のきめ細かい子育て支援、これもまた展開していかなければならない。
 この分野は非常に横断的な課題を多く抱えており、関係各省の強い協力関係を得ながら、スピード感を持って実施していかなければならないと感じている。
 スピード感が重要なのは、先生方、既によくご存じのとおり、第2次ベビーブームの世代の女性たちが出産年齢期にあるのも、もうあとしばらくのことで、これからの5年間は本当に重要であろうと思っている。
 少子化の流れは実にさまざまな背景があって、社会の変容もあって、そして個々の現場でさまざまな悩みを抱えながら出てきている大きな一つの社会現象であるので、万能薬のようなものはない。多角的に背景などもよく検討しながら、専門委員会の場で、それぞれ専門の先生方にお集まりいただいているので、その背景要因もよく検討していただきながら、しかし、基本的には家庭と仕事が両立できる、誠意ある日本社会を築いていかなければならず、そのために、男女ともに、そして世代間のさまざまなことも乗り越えて、現に困っている若い子育て世代、そこを日本の政策の中で重点化していかなければならないと考えている。
 さまざまな社会環境の変化があるので、それについて対応できること、できないことあるかもしれない。どの時代の中でも所与の要件というのはあるかもしれない。その中で、「社会がこうなったから悪いんだ」といった議論ではなく、例えば競争も激化している、行財政改革の中で制約も大きい、さまざまな変化がある中において、しかし、よい流れをつくり出すためにどういう知恵があるか、そこを一つの勝負どころに考えていきたいと思っている。メリハリのきいた施策の展開と、本当に困っている方々に対して、直接に何か変化をもたらすことのできる政策とはどういうものかということを考える。
 例えば、最近、私がちょっと心を痛めている一つの事例で、私たちはみんなM字カーブがあることを認識している。確かに、一たん就職をして、そして第1子の出産とともに、実は70%の日本女性が職場を去る現実がある。それで一段落ついたら職場に戻る。広い意味での労働力の動きを見ればそういう形になっているかもしれないが、しかし、一般的に正規雇用は揺らいでいるけれども、そもそも正規雇用の中で雇用された女性には実はM字カーブはなくて、二度と正規雇用には戻れず、労働力の中に戻っても身分も所得も非常に不安定で、男女の所得格差も実に大きく、また、一般労働者とその他のパート労働者を含む賃金格差も非常に大きい、そういう問題も一方ではある。そういうことを予見しながら、家庭に入るか悩んでいる女性たちも多いかもしれない。
 背後にはさまざまなことがあって、恐らく男女共同参画とあわせて考えないと、この問題は解決しないだろう。「女性たちよ、家庭に戻って子どもを産みなさい」と産めよ増やせよの復古調になること、これは絶対に避けなければならず、そのようなことには恐らく解決策はないであろう。
 むしろ諸外国、OECDの先進国の部分で見ると、最近においては各国で両立支援が進んでいるので、女性の労働力率の高い国の方が合計特殊出生率が高くなっているという流れがある。つまり、その2つの変数の間には正の相関が見られるという流れがあるので、そのような観点から、男女共同参画と両立支援、そして少子化対策を考えていきたいと思っている。
 これは日本の社会において、恐らく最重要課題と言い切れる問題。どうぞよろしくご議論を深めていただきたい。私も、少子化・男女共同参画担当大臣としてこの大臣職を拝命している担当閣僚として、精一杯この議論に参加しながら、親会議の方に強く内容の濃い報告ができるよう、そして平成19年度の予算にしっかりと反映できるプロセスが今日ここで立ち上がっていくことを願っている。
○奥山委員 資料2(PDF形式:189KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 私自身は、雇用均等法が施行される前の85年に就職して、10年間仕事をした。結婚まではよかったが、やはり第1子を持って、会社では第1号の育児休暇取得者となったけれども、続けることができなくて、1年後、長男が2歳のころに退職し、それ以降、地域の中で子育てをするといった経緯を持っている。
 専業主婦になってから地域の活動をずっと展開してきて、現在、子どもが3人いるが、その当時は子どもを預けることもなかなかできず、一時預かりという制度も、非常に高くて専業主婦には手が届かないといった形であった。本当に大臣がおっしゃったとおり、私も4年制大学を出て会社で10年働いたが、子どもを持って、ブランクがあって、それで再就職、子どもを身近に感じながら仕事もしたいという希望は、なかなか叶えられない現実があるなと感じている。
 それでも、子育てだけでない自分を見出したい、そういう気持ちもあって、これから地域で子育てをする人たちの何らかの支援ができないか、そういう思いでNPO法人を立ち上げた。
 レジュメに「びーのびーの」の活動が書いてあるが、私たちは、当事者、子育てまっただ中の者たちが手をとり合ってどうにか解決していきたい、そういう思いで親たちが立ち上げた団体である。実際問題、多くの夫が東京に働きに行っていることで、やはり帰りは10時、11時になるようなので、日中おじいちゃん、おばあちゃんの支援のない核家族の私たちが、とりあえずは仲間同士で何とか乗り越えていこう、ただし、当事者だけではなく地域のいろいろな資源、学生さんから70代、80代のボランティアの方までを巻き込んで、昔あった地域コミュニティをこの子育て広場を中心に展開していきたい、そういう活動になっている。
 いろいろなデータがあり、育児不安は専業主婦の方に高い、社会的にいろいろないらいら感が蔓延している、児童虐待相談処理件数がウナギ登りとか、それから、子どものことは家族がしっかりしろと言われながら、やはり夫がなかなか帰ってこられない。夜11時以降に帰る夫が南関東で5人に1人という。
 昨日、カナダの保健省からいらしたティムさんという父親プログラムを展開している方のお話を聞いたが、そんなに夫が働いていて、家族の中での父親の役割はどうなっているのか、そんなことで子どもたちが健全に育つのかということで、「僕は日本で働きたくない」とおっしゃっていた。
 それぐらい、やはり家族の中において子どもをだれが育てるのか、子どもを育てたいという社会なのかということで、子育てをしながら非常に不安を持つ世代でもある。
 2番の保育所の利用状況は、資料1として横長の「平成17年 就学前児童の昼間の居場所」というものをつけている。
 3歳児で幼稚園、保育園、家庭がちょうど3分の1ずつになっている。どんどん保育所に入る率が高まっている。ただ、0歳、1・2歳を見ると、なんと8割がまだまだ在宅で、親の手元で育てられている。
 先ほども、手元で子どもを育てたいという希望があるという調査結果があったが、こういった0・1・2歳の部分においては、手元で育てたい方がいたら、それが実現できることも大事ではないか。やはり子どもが中心の施策にしていきたいという思いもあって、私たちの活動は、こういった0・1・2歳、まだ幼稚園や保育園に行く前の親子をどう支えるか、そういう形になっている。
 後ほど前田副市長もお話しくださると思うが、例えば、横浜市の子育て支援の85%が保育所関連予算であるが保育所に入っている子は15%ということを考えると、もっとこの0・1・2歳の部分の地域子育て支援に財源を投入していただきたい。親がかかわれるのは、この時期だけである。保育所や幼稚園に入ってしまうと、なかなか親と施設がつながりにくいので、その0・1・2歳の親を支援するには非常にいい時期であると思う。
 つどいの広場事業が厚生労働省で平成14年度から始まっており、私たちもその一つであり、「あい・ぽーと」さんもそうである。まだまだ足りませんけれども、ネットワークづくりや研修やセミナー、そういったいろいろなことを展開している。
 ただ、つどいの広場の予算も限られておりて、ほとんどボランティアでの活動、有償ボランティアで正規雇用などはできない。そのような状況の中で、大日向先生がご指摘されたように、そこにかかわる支援者の専門性をどう確保していくのかが非常に課題になっている。
 諸外国では、もう一度大学に入って資格を取り直したような方が親子の支援者として地域に戻ってきている現状がある。
 次に、これからの少子化を見通した子ども・家庭支援の政策提言に移らせていただきたい。
 第1回の推進会議でも申し上げたが、ここ5年が勝負であるとすれば、高校・大学生も大事だが、当面10歳以下の子どもを持つ家庭、さらには出産・子育て、3歳以下の未就学児童、このあたりに重点的に施策を展開してはどうかということを申し上げたい。
 次に、子育て支援メニューは、たくさんありそうに見えるが、実は自治体によってかなりのばらつきがあるので、自分の自治体に、身近に支援メニューがないということも結構ある。国の方にありそうだけれども、うちの自治体ではそれはどこに対応するのかということも、親の方ではなかなか探し切れないことがある。
 そのようなことがあり、私が3つ目に提案させていただいたのは、例えば高齢者のケアプランのように、「うちの自治体にはこういうメニューがあって、あなたの場合はこういった支援が受けられる」とコーディネートする機能、こういった仕組みをつくってはどうかということ。
 それから、こういった支援メニューをつくると、社会的には「親を甘やかすな」というような話が絶対出てくると思うが、そうではない。この支援メニューは、0・1・2歳のなかなか親子で身動きがとれない時に重点的に打っていただいて、この間に親自身も学ぶ機会を提供していただく。そして、子どもが幼稚園や保育園に入った人たちが今度は支援者として地域に帰っていくような、親自身がエンパワーされ学べる場、さらには支援の担い手となって戻ってくるような、そういった循環をつくっていくことで、これは甘やかしではなく親が力をつけるための支援なのだということを訴えていきたいと思っている。
 また、18歳未満の子どもがいる家庭は4分の1で、4分の3が子どものいない家庭だから、「子どもが大事」と言っても、なかなか身近にいないので、他世代の方々が小さい子どもにかかわれる仕組みをつくっていくことが大事かと思う。
 具体的なメニューの、一つとしては、初めて子どもを持った人を全力で支える仕組みで、重点的にやりたいことは、家庭への訪問事業。
 これは専門家だけではなくて、ヘルパーやボランティアなどが多様に入っていくことで、個人情報などなかなか難しいが、例えば、イギリスのホームスタート事業などは、最初は専門家が入って、これは専門家だけでなくても可能であるという判断があれば、NPOやボランティアに橋渡しをしていくようなことができている。横浜市の産後支援ヘルパー派遣事業などは、一般的には生後2カ月以内の利用で、うっかりして使いそびれてしまうけれども、多胎児などのリスクが高い家庭については1年間使える事業になっている。
 これは、資料2として資料を添付している。
 次の、メンター家庭制度は、今、核家族でおじいちゃん、おばあちゃんの支え手のない都市部の家庭は非常に多い。そういった意味で、里親までは荷が重いが、ちょっとした相談相手にならなってもいいよという年配の家庭の方々に若い家庭の支援者として、1対1、もしくは地域の幾つかの若い世帯を支えてもらうといった制度で、資料3として、横浜市緑区のほっとホームステイ・サポート事業の資料を添付している。
 次に、0・1・2歳児を中心に、子どもを社会的に保護すべき年齢─まだまだ小学校3年生ぐらいまでは心配なわけだが、こういった人たちを視野に入れた集中的施策ということで、特に一時預かり事業を拡充していけたらと思う。この制度もたくさんありそうだが、例えばファミリーサポート事業は専業主婦層にはなかなか使えない。ほとんど保育園の送迎に使われているのが実態。利用料は1時間800円だが、専業主婦層のリフレッシュにはほとんど使えない。そういうことを考えると、いろいろな施策を考えていかなくてはいけないと思っている。
 資料には地域子育て支援の充実と書いてある。
 例えば、ゼロ歳児を預かると多分10人で年間2,000万円かかかってしまうが、つどいの広場事業は、実は1カ所で年間500万円もらえればいい方である。地域子育て支援センターをつくろうと思うと、年間予算は多分、多いところで五、六千万円で済むと思う。そういうことを考えると、実は保育所に比べて費用対効果は大きいのではないかと思っている。まだまだ地域子育て支援センターの福祉施設としての位置づけが曖昧で、例えば60人定員の保育所よりも予算はかからない。そういう実態があるので、もっと地域子育て支援に対しての予算措置をしていただきたいと思っている。
 先ほどお話ししたケアマネジャー、コーディネーター育成については、今、横浜市にもメニューがあるが、知らなければ見逃してしまうこともあるから、母子手帳をもらいに行くときでもいいし、例えばつどいの広場、地域子育てセンターにこういったマネジャー制度があって、相談に乗ってくれる人がいれば、もっと制度がうまく使えることになるのではないかと思う。
 多様な一時預かり事業を拡充してほしいと申し上げたが、そのメニューを幾つか提示した。
 一つは、学生さんの家庭支援ボランティア育成。「びーのびーの」では、これに取り組んで今年で3年目になる。学生に頼むのは大丈夫かというご意見もあるかもしれないが、諸外国では、もう12歳、13歳からベビーシッターを経験させる。それは地域の中での子どものたての関係づくりであったり、役割感の醸成だったり、それから多様な子育て家庭を知ることになっている。
 私たちも、学生さんにはまだまだ預かりまでは難しいということで、養育者のいる家庭に育児支援という形で行くような事業になっている。ここで私もびっくりしたのは、男子学生が「子どものキンキン声に慣れるのに時間がかかった」とか、やはり子どもがいる家庭をイメージできないといったこと。
 先ほど事務局からの説明の中で、結婚することに対して積極的に行動していない方が8割であったが、私も仕事をしているときには、何もきっかけがなければ、結婚しないでこのままバリバリ働く人生でいいかなと思った時期があった。そういうことを考えると、学生の時期から多様な家庭を知る、小さい子と触れ合うことが本当に大事だなと、この事業を通じても私は思っている。幼稚園、保育園の養成課程の大学の学生さんには、20時間ぐらいこういうことを義務づけてもいいのではないかと思うぐらい、やはりこの事業は大事だなと実感している。
 いろいろな預かりのメニューづくりということだが、これはもうたくさん育成していただきたい。それで、その補助をしてほしいと思っている。
 1時間800円では使えないが、例えばそれが半額であれば、もっと使えるのではないか。実際に、半額補助している自治体がある。資料5になるが、福井県のすみずみ子育てサービス事業は、多分もっとたくさんの自治体でやっていると思うが、ちょうど半額補助している。
 これも、やり過ぎるとまた甘やかすのではないかという議論になってしまうかもわからないが、例えばバウチャー制度にして制限をつけるとか、1カ月の利用制限をつけるといったことで、こういった事業を展開することで、いろいろな世代が参入できる、また民間企業も参入できるといったことにもつながるのではないかと思う。
 最後に、親支援、親のエンパワーメントがとても大事だということで、いろいろな支援センター、つどいの場、そこでグループワーク、仲間づくり、さらにはその人たちが担い手になるような、大日向先生がやっていらっしゃるような試み、こういったものを展開していく。
 ここまでは私の夢であるが、こういうことをやるためには予算の確保が非常に大事であろうということで、そういった子ども・子育て応援関連の予算をどう確保するかという議論を早急にしていただきたいと思っている。
○佐藤委員 資料3(PDF形式:229KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 私は、これからの少子化対策の課題について、どういう点をポイントに考えて進めるかお話ししたいと思う。
 もう既に大臣がお話しになりましたように、一つは、時間がないということで、スピード感がすごく大事だと思う。既にメニューはかなり出ている。もちろん充実していかなければいけないものはあると思うが、一応メニューはあると思うので、時間がない中で、それぞれを対象にどういう施策を充実していくか検討していくことが大事かなと思う。
 その上で、少子化対策を考えるときには、やはり子育て支援だけでなく両立支援がすごく大事である。
 もう一つは、対象層別に今、さまざまなメニューが考えられているが、受け手から見たときに、それぞれ何が足りないのか考える必要があるだろうと思う。そうしたときに、少子化対策というと結婚している人たちだけを考えるが、未婚の人も考えていく必要がある。これは後でお話しします。
 もう一つは、男性の働き方の見直しということで、この三つが大事かなと思います。
 次に、2ページ。
 子育て支援だけではなくて両立支援ということだが、両者重なる部分、例えば地域での子育て支援ということでは重なるわけであるが、やはりこれからは、子育てしながら働く、働きながら子育てできるという両立支援が大事であると思う。つまり、少子化への対応と同時に、マクロでは、労働力・人口の減少に国として取り組んでいく必要があると思う。さまざまな施策が円滑に進んで出生率が上昇に転じたとしても、労働力になるまで高卒だと18年、大卒では22年かかるわけです。そういう意味では、20年ぐらいは労働力人口が減少していくというのが労働市場の状況である。
 その下にデータを載せているが、このままいくと、例えば2015年には410万人労働力人口が減る。そういう意味では、女性の労働力率向上を、少子化対策を進めながら同時にやっていくということが求められる。
 では、どういう取組が大事なのかというと、二つあり、一つは、今、仕事を持っている女性が働き続けられるようにする。実態としては、出産の前にやめる人が多い。6、7割やめてしまうので、妊娠・出産でやめないで、そのままその会社で勤められるようにということをやらなければいけない。
 もう一つ、ご本人の選択で仕事をやめて子育てに専念する、それはそれでいいわけであるが、その後また働きたいという女性もたくさんいるわけだから、再就業支援をする。これは、働こうと思ったときに、やはり余り長く子育てにかかると不利になる。それはやはりバランスだと思う。ただ、そういう情報が十分にない。それまでどういう仕事をしていたのか、自分はどういう仕事に就きたいのか、それなら早目に復帰した方がいいとか。そういう意味で、再就業支援については情報提供とかキャリア形成支援とか能力開発、あと戻る先も、パートに入るとか、もといた会社に再就業するとか、いろいろな選択肢があると思う。ただ、パートで終わってしまうのではなくて、その先のキャリアをつくっていくような再就業支援を考えていくことが大事なのではないかと思う。
 3ページ。先ほど、女性の労働力率を上げていくことがすごく大事だと話した。日本の女性の労働力は高いというイメージがあるが、決してそんなに高くない。70年で見ると、例えばアメリカ等に比べて日本の労働力率は高かったけれども、これは自営業や農業セクターで働いている女性がいたからである。それが、いわゆる雇用社会化ということで日本の働き方の仕組みが大きく変わっていく過程で、自営業セクター、農業セクターが減っていくわけで、その中で、70年から80年にかけては労働力が低下している。これはつまり専業主婦化している。つまり、夫が働き妻は仕事をしない。
 では今度、女性が雇用者として働こうということになってくるわけであるけれども、女性が雇用者として働いて、では子育てできるかというと、非常にしにくい。雇用社会化する中で、なかなか女性が子どもを持ちながら働くことはできない状況になる。その結果、女性の労働力率はほかの先進国に抜かれてしまい、日本の方が低くなっている。そういう意味では非常に難しい状況にある。日本は働きながら子育てしにくい状況にある中で、働きながら子育てできる仕組みを短期間にどうつくっていくのかが緊急の課題になっている。
 そういう意味では、4ページの両立支援の課題。
 経済的支援も言われているけれども、働きながらの子育てを考えると、1子、2子、3子で出産選択を規定する要因が違う。働いているうちは、1子持とうとするときに一番効くのは、子どもを持っても勤務先で仕事を続けられるかどうか。やはり働こうと思っているわけだから、両立支援策が1子持つかどうかという判断に効くわけである。
 そうやって、1子持てた。つまり、会社としては両立支援策を十分重視していたわけであるが、では次に、女性が2人目を持つかどうかというと、これはまた別の要因が出てくる。何かというと、夫。夫の子育て支援があるかどうかがすごく効いてくる。つまり、企業が両立支援を充実するだけでは、1人がやっとである。仕事を持ちながら2人目といったときに、自分だけが仕事も子育てもするのかというと、とても2人はできない。2人目というときは、やはり夫が出てくる。
 そして、3子目で初めて経済的費用の問題がでてくる。女性が働きながらといったときに、経済的支援をすれば子どもを持ってくれるかというと、なかなかそうはいかない。やはりこの三つの組み合わせがすごく大事だろうと思う。
 第1子については企業の両立支援策が大事なわけであるが、では、どういう制度が必要かといったときに、私は、制度はできていると思う。制度はあるけれども、うまく使えないところが問題である。これは運用ノウハウを企業なり現場の管理職に提供していくことがすごく大事だと思う。
 それからもう一つ、男性の子育て参加促進ということ。つまり、男性が仕事だけでなく子育てにもかかわれる仕組みをつくっていくことがすごく大事だろうと思う。
 あと、4ページの下の、未婚化。日本の場合、やはり結婚しないとなかなか子どもは持ちにくいという状況があるので、少子化を考えるときに、やはり晩婚化だけではなく未婚化の進展という要素、これも考えなければいけない。もちろん、子どもを持つことと同じように結婚するかしないかも本人の選択であるけれども、5ページにあるように、多くの独身者は結婚したいと思っている。だけれども、なかなか結婚できない。
 子どもを持ちたいけれども、なかなか子どもを持てない。それにはどういう阻害要因があるのか。それについて企業や国や地域がいろいろな施策を考えてきたけれども、結婚についても多分同じことが言えると思う。やはり構造的になかなか結婚しにくい要因があるとすれば、いろいろ手立てを打っていく必要があるだろう。
 企業の中での構造が変わってきたし、地域でのあり方、つまり、従来出会えていたような仕組みがだんだんなくなってきている。例えば、上司が部下にパートナーを紹介することはプライバシーにかかわるからやめるとか、企業の中でも、例えば職場以外のいろいろな付き合いがあった。スポーツ活動とか組合活動とか、でも、今は職場だけのつきあいになった。他方、労働時間も長くなっている。積極的に外に出ないと、つまり出会わないと結婚に至らないわけであり、では、外に勉強に行けるのか、スポーツに行けるのかというと、そういう時間も非常に少ない。積極的にそういうことをやっていく必要があると思う。
 そういう意味で、6ページの、未婚化の背景要因には、職場なり地域社会の構造変化に依存する部分があると思うので、未婚化対策は企業にはなかなか難しいと思うけれども、例えば企業としても、社員の持っている人的ネットワークが非常に狭くなっていることが問題だろうと思う。企業の外に出て勉強するとか、いろいろな付き合い、ネットワークを持っていることは企業にとっても大事だと思う。企業として、例えば仕事だけではなくて、いろいろなネットワークに入れるような支援をすることは、結果として、そこでいろいろな人と出会えて、結婚できる。
 例えば、ある時期、社会人大学に行って勉強する。そういうところで出会う。そういうふうに、いろいろな形で人と人とのつながりが広がるような機会をつくってあげたりすることが、結婚だけではなく、いろいろな生活をする上でも大事かなと思う。
 最後は、やはり専業主婦の子育て負担感が一番高い。最後にデータがあるが、専業主婦は、夫の支援がある意味では一番低い。つまり、妻は専業主婦なんだから、妻に任せればいいと考えている夫が多い。そういう意味では、家族の中でも子育てに対する夫の支援が少ないし、地域でも、では保育園のネットワークなども、なかなか得られない。
 そういう意味で、専業主婦に対するさまざまなサポートをどうしていくか。これは企業でも、専業主婦を持つ男性社員に対しても、夫が子育てにかかわれるようなことをやっていく。つまり、男性の働き方の見直しというと、妻が働いている人を想定しがちであるが、妻が専業主婦であっても男性の働き方の見直しが大事だというメッセージを出していく必要があるのではないかと思う。
○前田委員 資料4(PDF形式:467KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 既に大日向先生からお話があったように、いろいろな政策メニューはもう出ており、私がそれをもう一度説明しても屋上屋を重ねることになるので、まず、今の子どもたちの実態を見ていただこうと思う。
 資料4の最後、A4の縦の紙を見ていただきたい。
 これが今の横浜市の子どもの現状で、横浜市は人口357万人、子どもたちの各該当年齢は、大体3万3,000人で、子育て世帯全体では18歳未満人口が60万人近くになる。去年から今年にかけて小学校低学年以下の子どもがいる世帯にアンケート調査したところ、育児・子育て不安のある世帯が約6割であった。これは特に妊娠中、出産時にあるのだが、その後も悩みがある人が6割である。
 こういう人たちに対するケアによって、子育てを楽しむ─もちろん、この人たちは子どもが好きで、楽しくて、欲しくて産んだけれども一方で子育てに不安になる人が6割となる。この方たちの中で特に深刻な人には出産直後からの支援が必要だということで、病院とも連携して、出産のときにマタニティブルーや精神疾患の症状を示しているお母さんの連絡は、保健福祉センターがいただくことになっている。
 さらに、この中で、自分が虐待しているのではないかと思う世帯が2割ある。これはもちろん本当の虐待ではなく、つい手を上げてしまうとか、言葉の暴力で、「あんたなんか産まなければよかった」というのが典型的である。高学歴で、総合職で出産を契機にやめたお母さんはエネルギーがあり余っているので、不必要な早期教育とか、子どもを産んだことで家庭に入ったことに対する不満を子どもにぶつけてしまうこともある。一方で、10代で結婚したお母さんには経済的不安があるので、経済的不安定感からどうしても子どもにぶつかる人もいるし、たたく人もいる。
 ただ、この中で本当に虐待している世帯、児童相談所が本格的にかかわっているケースは1,588件で、子どもの約0.3%に当たる。この虐待件数は増えており、去年1年間だけで新たに「これは児童相談所がかかわらなければならない」と発見したケースが837件で、約0.15%、1,000人に1人から1,000人に2人の子どもたちが新たな虐待ケースとして見つかっている。
 このほかに、実はある区で事件があり、この区の0・1・2・3歳の子どもを持っているお母さん約9,000人を全員調査したら、統合失調症だったり鬱であったり、本格的精神疾患で通院しており、何らかの育児の問題を抱えているお母さんが0.6%いた。この比率をこのままあてはめれば日本には各年齢で子どもが百万人強いるので、多分6,000人ぐらいの子どもたちは、精神疾患のお母さんたちに育てられていると考えられる。
 この子たちの場合、親の状況が悪化して食事もつくれないような状態だと、措置入所で保育園に来るけれども、大抵のお母さんは、定期的にケアをしたり、いろいろな見守りをすれば育てられる。分離すると家族の再統合は非常に難しいので、精神疾患のお母さんに対するケアが必要だと思う。
 さらに被虐待児の中で、どうしても家庭に置いておけないという形で一時保護している子どもが0.1%。この一時保護所というのは、あくまで一時保護所で、ここから家庭に戻る場合もありますし、もう家族では育てられないということで、横浜市が措置し施設で育てる場合もあるが、現在923名である。子ども全体の0.16%だが、実はこの施設が足らないので、財政難の折だが、来年度、養護施設を新たにつくりたいと考えている。私どもの感覚では、大体0.2%の子どもたち、1,000人に2人の子どもたちは親が育てることが困難なため、社会的養育が必要だと思っている。
 次に、A3縦長の、カラー刷りの資料を見ていただきたい。
 横浜市ではどういうふうに子育て支援しているかということで、乳幼児期の子育て支援のメニューを全部並べて、お金も入れてみた。
 今現在、把握している妊娠中のお母様は3万3,000人、0歳児は3万3,000人ということで、年齢別にあるけれども、保育園には現在2万9,000人の子どもが入っており、ここに運営費として435億円使っている。横浜市では、この3年間で保育園を100カ所増やしており、施設整備費だけで毎年六、七十億円使っているので、保育所関係には500億円かけている。それに比べまして、例えば、幼稚園就園奨励費は6万人の子どもに対して57億円で、かなり差があることは確かである。
 今の子育て支援は施設保育中心で来ており、在宅の支援の予算が少ないことは確かだが、1つ保育園をつくればケアできる働くお母さんと違って、在宅のお母さんは、先ほど申し上げたように精神疾患を抱え、特別なケアが必要なお母様もあれば、楽しく子育てしながら子どもと一緒に遊べる場があればいいというお母さんもいるので、こういうふうに、相談・交流事業、一時的な保育、子育て支援にかかわる地域施設ということで、さまざまなメニューを組み立ててやっている。
 1つ課題になっているのは、認可保育園で一時保育をしているけれども、この一時保育は、皆さんご案内のとおり、週に2日、3日のパートや不定期勤務の方がほとんど予約でとられて、専業主婦のお母さんのリフレッシュには使い難い状況になっている。ファミリーサポートシステムなども、横浜市では1時間800円だが、既に奥山委員が話されたように、専業主婦の方にとっては高いということで、ほとんどが働くお母さんの二重保育に使われている。
 しかし、ケアをする人からは「800円は安い」と文句が出る。これは都市特有の問題なのだが、「子育て支援をしてもいいよ」という人に比べて圧倒的に利用者が多い。しかも、これはもともとは地域住民の支え合いのシステムでできている。しかし、800円払うことでどんな問題が起こっているかといいうと、預かる人は「800円という安い対価で地域貢献として預かってあげる、これは社会貢献活動だ」と考えている。しかし、預ける人は「800円も払っているんだから、これはもう完全なサービスだ」と思っている。そのために、預ける人、預かる人のトラブルが絶えない。
 預かる方の人たちは、預ける親のマナーの改善とか、これは相互支え合いの「お互い様」の制度で、自分が預けたら、自分の子どもが大きくなったらいつかは預かるなど社会に還元するようなことをしてほしいと考えている。しかし、いろいろメニューを拡大する中で、特に都市部の親たちには、いろいろなサービスをお金で買う、私は消費者だという考え方が非常に強くなっている。子育て支援には、「お互い様」「分かち合う」子育てにふさわしい地域をお互いに力を出し合ってつくることが必要である。奥山さんを代表としてその意欲を持って地域に目配りできるお母様が出ている一方で、必要なサービスだけ金を払って、それもなるべく安く自分たちのニーズを満たしてくれるサービスがあればいいという気風が育っていることが問題である。
 そのほかに、横浜市では24時間緊急保育、それから、一時保護所で預かるほどではないけれども、出産や突然のお母様の事故等で泊まるところがない子どもを泊まらせて見てくれるような、社会貢献的な家族の登録とか、病後児保育とか、いろいろしているが、正直なところ、保育を充実して親のありとあらゆる働き方─親が望んでいるわけではなくて職場のニーズだと思うけれども─にこたえていくのは限界があると思う。
 それは、子育ての楽しさには、一緒に時間を過ごす量の部分もある。そして親子でゆったりというのもあるので、10時、11時まで働いて、絵本の読み聞かせをしてお風呂に入る余裕はない。横浜市で、今考えているのは、24時間緊急保育や病後児保育や、いざというとき、困ったときに頼れるものはしてあげるよ、だけれども、「本当はお父さんとお母さんの子どもと一緒の時間を大切にしてね」ということを伝えるのも必要かなと思っている。
 こういう状態で、事業アイデアのメモをつくってきた。
 今、施設入所の子どもたちにどういうことが起こっているかというと、虐待の子どもたち、18歳ぐらいまでしか見ないので、すごく短い期間での世代間連鎖が始まっている。養護施設から出た18、9の子どもたちが経済的に自立するのは非常に難しいので、不安定就労の中で頼るものが欲しくて早婚になる。そして経済的不安定の中で子どもを産むので、育てられない。養護施設を卒園した子どもたちが20代前半で子どもを産んで、育てられずに、その子どもたちが養護施設に戻ってくるということがみられる。この社会的養護が必要な子どもたちが社会的に自立できる、20代、30代までの本格的なケアが必要だと思っている。
 それから、これは手前みそで申しわけないが、横浜市は、見ていただいてわかるように、ありとあらゆるメニューをつくっている。それから、奥山さんのような地域子育て支援のエリートのお母さんたちもおられるので、各区にいるお母さんたちにNPOをつくっていただいて、子育て支援で何とかスーパーのパートの時給ぐらいは稼げるようにしたい。子育て支援にかかわったお母さんたちが、40代になって子どもの教育費が要るようになると、パートや就労に出てしまうということが非常に問題で、そのお母さんたちの能力を子育て支援の現場に生かすような仕組みをつくろうということで、お母さんたちに、まずNPOをつくっていろいろやってくれとお願いしている。
 本当に足りないのは、はっきり言ってお金である。自治体にもいろいろあるが、かなり知恵も人材も育ってきており、お金があれば自治体の事情に合わせていろいろなメニューができると思う。高齢者関係にお金が偏っているからそれを切って子どもにと言われるが、高齢者関係のいろいろな給付を切っても、給付を受ける方の数がふえているので、子ども関係に回すことは非常に難しい。
 例えば介護保険予算、横浜市の規模で毎年100億円増えている。税収はここ数年で1,000億円減っている。生活保護費は毎年80億円増えて、保育園運営関連費も年間50億円増えている。言ってみれば、いろいろなメニューが出てきて実際にやれる力もついてきた、あとはお金だということが私の意見である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 すばらしい意見を伺った。具体的にどういうことが必要なのか、私もいろいろ考えてきたけれども、先生方から非常に系統的なポイントを挙げていただけたと思う。本当に実施していかなければならないことばかりだと思う。どうやって予算化できるか、ここは私の勝負なので、よく考えなければならないと思う。
 また、待ったなしということもあるので、今日伺ったご意見をどういうふうに政策内容に反映させていくことができるのか、今日からすぐに考えてまいりたいが、この専門委員会は具体的な話ができるのがいい。これを上手に整理して、具体案のリストがまずは緊急に必要だと思う。大きな考え方、方向性もまた大事。
 先生方のお話をお伺いして「そのとおり」という感じで、「そこは無理」だとか「ここは今の状態ではできない」とか、そんなふうに消極的に考えるべきではないと感じているので、ぜひ事務方としても最大限、せっかくこのように意見を述べていただくすばらしい場があるので、お一人お一人の意見を大事に受けとめて、ほとんど政策化できるように考えていくべきではないかと感じている。
 次回はもう少しきちっと時間がとれるよう努力する。今日は早く来られなかったことをお詫び申し上げたい。

5.閉会


 事務局より、基本的に毎月1回開催を予定していること、次回は12月15日に開催する旨の発言があった。