少子化社会対策推進専門委員会(第2回)議事要旨

1.日時

平成17年12月15日(木)10:00~12:00

2.場所

中央合同庁舎第4号館 共用第2特別会議室

3.出席者


(少子化社会対策会議委員)
猪口 邦子 内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)
渥美 由喜 株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治 日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美 恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子 資生堂執行役員CSR部長
奥山 千鶴子 特定非営利活動法人びーのびーの理事長
藤本 保 大分こども病院長
前田 正子 横浜市副市長

(欠席者)
佐藤 博樹 東京大学社会科学研究所教授

4.議事概要


○林政策統括官
 第2回の少子化社会対策推進専門委員会を始めさせていただく。
 まず大臣から一言ご挨拶させていただき、その後、ご意見をいただくということで進めさせていただきたい。また、白書が、明日閣議決定されるので、後ほど説明をさせていただく。
○猪口内閣府特命担当大臣
 私にとって本当に重要な専門委員会なので、ここでのさまざまなご意見を、こちらでの考え方と政策内容に確実に反映させていく決意である。
 既に一部で報道があったので、ご存じかもしれないが、少子化のためにブロック・プロセスというものを考え、大臣が出向いて、その地域での首長の実施における役割が重要だという認識のもと、知事さんたちに集まっていただき、あるいは政令指定都市であれば市長さんも含めて集まっていただき、そこで政策、対話プロセスを立ち上げていきたいと思っている。年末、どこの皆様も週末の予定がびっしりと入っているところ、全国知事会の会長である福岡県知事がいらっしゃる九州ブロックから、18日に実施することになった。
 すべてのブロックを回る予定でおり、そのように、行動して政策を少しでも推進していく大臣でありたいと私も努力している。具体的な考え方、提案が今、実に重要である。もう抽象的な理念に反対する人はいないが、具体策の面で推進できないボトルネックがどこにあるのか、そういうことを含めて考えていきたい。先生方のご提案を大事に受けとめたいし、現場から上がってくる意見も、この場で議論の素材として出させていただくことも考えている。
 すべてのブロックを回ると同時に、いろいろな優良な取り組み、ベストプラクティスをやっている企業、あるいは活動、団体にも出向いて、そこからまたいろいろなことを吸収してまいりたい。
 特に、この専門委員会で意見をいただく先生方がやっていらっしゃる現場も、可能であれば見学させていただきたいので、よろしくお願いする。
 また、経営者の皆様や経団連などにも出向いて、説明して、優先順位を上げていただく努力をしてまいりたい。今、多角的な努力をしていく最初の段階なので、そういうことも含めて、アドバイスもいただきたい。
○林政策統括官
 7~8分をめどということで、渥美委員からお願いする。
○渥美委員 資料1(PDF形式:185KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 3つの点に絞って政策提言をしたい。
 第1に、経済的支援の拡充についてである。
 前回、事務局から各種アンケート調査のご紹介をいただいたが、いずれも経済的支援ニーズの高さが浮かび上がっている。この点については、子育て世帯をめぐる経済環境からの考察が必要である。
 子育て世帯の所得水準は、近年、ほかの世帯と比べて低迷している。特に若年子育て世帯は、子どもなし世帯と比べて総体的に所得水準が低下しており、さらに、子育て世帯内の所得格差も拡大している。
 こういった子育て世帯の経済環境の悪化に対する対応策は、大きく2つ考えられる。1つは、現在、妊娠・出産を機に仕事をやめる女性が7割いるが、その逸失利益、いわゆる機会費用を削減する方策である。もう一つは、子育てに係る直接的費用を軽減する方策である。この2つの方策が両輪となって進んでいく必要があると考えている。
 直接的費用を軽減する方策として、我が国では既に、児童手当などの家族給付と児童扶養控除などによる税制優遇措置がある。ヨーロッパ諸国の政策の流れを見ると、児童扶養控除のかわりに児童手当を充実させていく方向で政策が展開されている。欧米諸国では、勤労者の賃金体系が一定の年齢から頭打ちになってしまう一方で、子育て費用は加齢により増大していく。その両者のギャップを埋めるために児童手当が発達してきた。
 我が国の児童手当の導入は、諸外国と比べて遅かったが、その理由は、日本では年功序列型賃金体系があり、家族手当が発達していたためである。しかし、近年、年功序列型賃金体系が崩れつつあり、成果主義の流れの中で、個人の成果とは関係がない家族手当は縮小・廃止の傾向にある。家族手当の月額は、この5年間で2割減少し、家族手当の支給事業所の割合も、この5年間で7ポイント下落している。
 こうした中で、仮に経済的支援策の抜本的拡充が図られなければ、少子化圧力は一層高まってしまう懸念がある。子育て家計への経済的支援策の拡充は、若年勤労者の所得保障の観点からも進めていくべきことだと考えている。
 ただし、児童手当の用途に関するアンケート調査を見ると、「生活費に充てる」が1番目に挙がっており、少子化対策としては目的外使用になる面もある。使用目的を明確にする、あるいは費用対効果という観点から、私は、児童手当のみならず、保育バウチャーと在宅育児手当の組み合わせがベターだと考えている。
 なお、経済的支援措置として望ましいもので第1に挙げられているのが、保育費用の軽減である。したがって、保育サービス利用世帯はバウチャーで費用負担を軽減し、保育サービスを利用しない世帯には、バウチャーの一定割合を在宅育児手当として給付する方策がいいと考える。この方策により、現在、認可保育所サービスを利用するか否かで受ける経済的支援に大きな格差があるという問題が是正されることが期待できる。
 現在、税制調査会においては、基本的に扶養控除を廃止し、かわりに児童税額控除の創設を検討中と聞いているが、児童扶養控除は非課税世帯には支援が及ばない、また、高額所得者ほど税控除の規模が大きくなり、所得再配分の観点からは不公平という問題がある。他方で、児童手当あるいは保育バウチャーと在宅育児手当の組み合わせは、原則としてすべての子育て費用の負担軽減という効果がある。したがって、児童扶養控除を廃止するのであれば、その財源を家族給付の充実に重点的に充てるべきだと考えている。
 第2に、両立支援へのインセンティブ付与に関する提言である。
 この1年で日本企業と海外企業、おおよそ200社の両立支援策についてヒアリングした。
 日本では、先進事例には今後、認定マークが付与されることになっている。認定マークは、両立支援の取り組みにインセンティブを与えることは間違いない。しかし、ヒアリングした際に、一部の企業からは批判の声も聞かれた。
 第1の批判は、企業の取り組みの絶対水準を評価するのではなく、今後の取り組みというプラスアルファを評価することは、これまで手厚い取り組みを行ってきた企業にとっては不公平ではないかという点だ。
 企業の中には、次回の行動計画に書くことがなくならないように、紙ベースではペースダウンしておくつもりという企業さえあったことから、今後は企業の取り組みの絶対水準を評価していくことも検討していくべきだと考える。
 第2の批判は、男性の育児休業取得実績という条件に対してである。
 ある企業は、業種の特性上、女性が多く、長期にわたって両立支援への取り組みを行ってきた。非正規社員にも十数年前から正社員同様の育児休業等々を適用してきた。そういう企業で、そもそも若年男性が少なくなっているために、育休取得実績を上げることが難しいという課題を抱えている。逆に、企業によっては、男性の育休取得実績を上げるために、当事者に内々に取得補償することも検討しているという抜け道を示唆しているところもあった。
 こういったことから、今後は幅広い評価軸を設けて、総合的に判断していくことも検討すべきである。
 第3の批判は、育休取得の定義に関してである。
 男性は女性よりも家計の主たる担い手であるケースが多いため、現在、雇用保険から賄われない6割の所得ロス、これは育休を取得しない大きな要因となっている。子どもが生まれた男性従業員に対して、有給休暇を一、二週間取得させようという企業もあるが、男性社員による育児を応援しようという企業を増やすためには、こういったケースも育休に準じた実績としてカウントすることも検討すべきである。これは、自治体によっては新しい育児休業制度と認識しているところもあるようだが、他の自治体では似たような制度でも違う対応がなされていることから、改善する余地がある。
 さらに、企業へのインセンティブ付与に関して抜本的な方策も考えられる。
 例えば、社員の子持ち率や育児休業取得率など、わかりやすい指標を企業が公表して、競い合うことによってインセンティブをつけるということである。例えば、障害者雇用のように諸指標が規定を下回っている企業には罰金を科して、それを子育て基金としてプールする一方で、指標を上回る企業に配分するという方策が考えられる。
 韓国では、企業に税制優遇措置や政府の監督の緩和といった、実益でのインセンティブを導入しようとしていた。日本でも今後、実益でのインセンティブも考えられないか。
 第3に、婚外子差別規定の撤廃と、シングルマザーへの支援に関する提言である。
 現在、一生結婚するつもりがない未婚者の3割、推計で49万人が子どもを希望しており、希望子ども数は1.9人となっている。そうすると、93万人の子どもニーズが非婚希望者にあることになる。しかし、実際の婚外子は年間にわずか2万人にすぎない。
 希望と現実に大きなギャップがあるのは、我が国では、出生登録や相続などで婚外子を差別する規定に象徴される社会的差別を気にして、中絶してしまうケースが相当あるからである。
 2000年時点で、15~49歳の女性が過去に中絶した子ども数は、約900万人と推定される。年間約112万人の出生数に対して中絶件数は32万人という現在の水準は、諸外国の中でも高く、特に10代及び20代前半での中絶は、近年増大している。産みたいときに産めなくなりかねない。
 ほかの先進国と同様に、我が国でも婚外子の差別規定を撤廃し、シングルマザー、シングルファザーの支援の拡充を検討すべきではないか。
 第4に、出生率回復の目標を設定するという提言である。
 日本以上に少子化が進んでいる、出生率1.16という韓国では、2010年の出生率1.6を目標として掲げられていて、さまざまな低出生対策が講じられている。我が国でも、少子化対策の一層の拡充とスピードアップを図る観点から、目標を設定する必要があると考える。
○案田委員 資料2(PDF形式:210KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 今回の提案は、サービス・流通産業に従事していて子育て経験がある、あるいは職場の相談を受けている組合役員の方の意見を集約し、議論し合った中から、就業と育児の両立を果たすための施策をまとめたものである。
 別紙1のライフステージの表の現状のところを見ていただきたい。働く家庭で3人程度の子育ての負担が片親に集中した場合、大体15年程度の期間、短時間勤務とか、休業とか、何らかの企業の対応が継続して必要になってしまう状況にある。
 課題は、実質今、女性が担っている片親の負担を、夫婦でどう分担し合うかということと、あるいは、その夫婦両方に対する負担を軽減するか、にかかってくる。非常に息の長い期間に対する検討が必要であることを、まず認識するべきである。
 資料本編の1枚目にメンバーからの意見をまとめている。
 サービス産業は、消費者へのサービスの提供が長時間化しており、仕事の集中する曜日とか時間帯が限られる、という特性がある。
 それに対応するために、土日を含めた交代制の勤務、あるいは営業時間の中でのシフト勤務、特に人の必要な時間帯にパートタイマーを雇用するといったことが行われている。そうした中で、育児のための休業や短時間勤務に対しては、職場のほかのメンバーの負担増や、企業の対応として代替労働力を確保する負担増などが発生する。
 メンバーからの意見には、周りのメンバーや、企業が代替労働力を雇う場合に発生する課題に遠慮しながら両立を目指している本人たちの意見が出ている。
 あるいは、この両立をあきらめてしまって、仕事か育児かいずれかの選択をせざるを得ない方たちもたくさんいるんだということが、この課題から見てとれると思う。
 2枚目では、今後の取り組みの視点を提案した。企業に対しては、まず1点目として、キャリアの断絶を起こさない制度の実現を取り上げた。
 これは単に雇用の継続があればいいのではなくて、育児をしながら働くことは特別なことではなく、男性も含めて、だれでもキャリア上、発生することとして位置づける必要があるということだ。そのときに大事なのは、公正な処遇を保つことである。それがないと、職場の他のメンバーからの不満が出てきてしまう実態がある。
 2点目は、短時間勤務が取得しやすい環境整備である。
 育児休業も必要だが、休業期間中に、企業の実務的な改革、変化があって、仕事の仕方も変わってくる。企業情報を休業期間中に本人に提供しても、それでは追いつかない面があり、本人の適応が遅れてしまうことがある。そのため、できるだけ短時間勤務で対応したいという要望が多い。
 育児のための短時間勤務制度に限らず、夫が長時間労働となっている現状も含めた世帯単位での対応が必要である。
 夫婦双方には就業の特性がある。子どもの急な発熱があった場合、その時間帯に職場を離れにくい方もいれば、その時間帯は離れても、ほかの時間に勤務すれば大丈夫といったケースもある。しかし、実際にはそれは女性の役割となっている。夫婦双方の就業の特性を踏まえて、あるいは保育所と両方の親の勤務先との位置関係などから、こういう場合どちらが対応するのかといったこと。あるいは共働きの片親の転勤で、もう一方の就業をどうするのか、子どもは一緒に行くのか、あるいは単身赴任にするのかといったことも含めて、企業とその夫婦との確認が大事なのではないか。こういう場合はどうすればいいのか、その負担はどちらの企業がするのかといったことを計画化しておくことで、それぞれの企業内の風土づくりという波及効果も生まれてくる点でも重要である。
 2番目は、国、地方自治体の支援である。
 企業では、負担の拡大と、企業によるばらつきが生じている。そのため、ミニマムの拡充に向けての助成も大事だが、一方で、一定水準の水準を満たした企業に対して、よりインセンティブを強化すべきである。たとえば、就職期にある若者に対して、子育ての支援を行っている企業を判断するための情報提供を行うといったことが大事である。
 その際には、大企業に偏らないように、職場に密着した改善や、男性の理解がどの程度進んでいるかなど、中小企業の持つ有利さも考慮に入れるべきである。
 最後に、行政の個別世帯に対する支援だが、児童手当などの対応に加えて、優遇税制、あるいは、公的な無利子ローンの新設なども検討すべきではないかという意見もあった。
 保育サービスについては、さまざまな就業形態に対応した安価で安心、便利な保育サービスを目指すべきである。この点については、すでにメニューはあるので、早期に実施することが大事である。
 今回の提案は、共働きに課題を絞ったが、これ以外にも、専業主婦の方への対策、あるいは片親の家庭への支援などもあわせて、集中して実施し、社会運動が支えていくことが効果を大きくするだろうと考える。
 一方で、男女の賃金格差やパートタイマーの均等待遇の問題などがある。夫婦の中で実際に子育てのあり方を決定する際には、時間単価の安い方の所得がカットされる方を選ぶことから、女性に負担を集中させてしまう状況を招いている。
 少子化対策を進めていくためには、この根本問題を解決しなければならない。
○大矢委員 資料3 資料3 1/2(PDF形式:379KB)PDFを別ウィンドウで開きます | 資料3 2/2(PDF形式:329KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 資生堂では、女性の能力を生かすことは企業の競争力を上げていくことだという視点に立っており、少子化対策という視点ではないが、今回は、一企業の推進の状況と、それから見えてくる問題点を挙げさせていただく。
 資生堂の概要だが、グループの従業員が国内外で2万5,000名。国内のグループ社員数は、パート、アルバイトを除いて1万2,000名で、女性が9,000名、男性が3,000名という比率である。
 平均勤続年数は女性が17.2年、男性は18.9年で、ほぼ同じぐらいになっている。
 働きやすい職場づくりに向けた特徴的な制度を、1988年のフレックスタイム導入から、ずっと手を打ってきた。これは社員の意識調査をしたときに、女性の意識が非常に低かったことを、現在の名誉会長の福原がおかしいと言ったことがきっかけである。
 育児休業制度は99年から実施しており、子どもが3歳になるまでの休業を認めている。ただし、複数の子どもの育児のために2回以上休業する場合は、原則として通算5年以内、休業中は無給になる。04年度の延べ取得人数は628名である。
 育児時間制度は91年から実施しており、子どもが小学校に入学するまで、1日2時間以内で勤務時間を短縮することができる。短縮時間は無給になる。ただし、子どもが満1歳になるまでの日については、1日1時間は有給ということで、妊娠中の女性社員についてもこの制度を適用しており、この制度を取得している人たちが512名となっている。
 2004年度の育児休業取得状況は、本社、工場、関係会社では100%。販売会社は96%で、申請した人は、ほぼとれている。
 また、仕事の両立支援のために、福利厚生メニューを準備しており、一人一人に一定ポイント、年間350~410ポイントを支給して、サービスを受けるとポイントが消化される形になっている。
 育児・介護関連の補助については、少し厚くなっており、保育園または学童保育の補助は1カ月6,000円で、消化ポイントが15ポイント。年間7万2,000円の補助が受けられる形になる。小学校3年生以下の子どもが利用したベビーシッター並びに託児所、保育所の延長保育、育児保育の利用補助は、1回4,000円で消化ポイント10ポイント。特に育児・介護については、ポイントの値段を高くするなど、補助を厚くしている。
 また、コミュニケーションも大事だということで、母性の健康管理指導を管理職に対して行い、妊娠がわかったときに、どういうスケジュールで職場復帰をしていくのかタイムスケジュールで見ていくしくみも作っている。
 wiwiw(ウィウィ)という育児復帰支援のサービス事業は、インターネットを通じて企業に所属する育児休業者が必要とする育児情報や、職場復帰に向けたビジネススキル向上のための講座等を提供するプログラムである。導入した企業は財団からの補助が受けられ、休業者はスキルアップのためのオンライン講座が受けられる。また、組織の改正、人事異動、いろいろな制度の導入、新製品の情報などをインフォメーションしていく。育児休業者同士のコミュニティで皆さん助け合うこともできる。
 また、「カンガルーム汐留」という保育施設は、資生堂の子育て社員のサポートでもあるが、男女共同参画企業のシンボル施設としての役割を持ち、近隣・賛同企業との連携による次世代育成の支援啓発、仕事と育児の新しい関係性の探索、男性社員の育児への積極参加の促進など、ワーク・ライフ・バランスの支援を行っている。
 21世紀職業財団から補助金を得る条件として、半数は資生堂社員が利用しなければいけない。非常に近隣の企業からの申し込みも多いが、なかなか増やすことができない。経営努力は継続して行なっているがサービスを落さず運営するには、やはり補助金がないと運営できない問題がある。
 一方、男女共同参画をするに当たっての意識改革を2000年からやっており、男性も女性も、みんながともに自分らしさを発揮する職場を目指す活動を行っている。
 管理職にマネジメントにおける性別役割を解消する意識と行動を身につけてもらうために、「女性社員の育成」という項目を評価項目の中に入れている。
 また、女性社員に対して、「女だから」という消極的な認識ではなく、会社を支えている一員であるという自覚を持ってもらうための教育も行っている。
 人事制度も男女にとって中立的な視点で見直し、今まで以上に女性の育成に力を注ぎ、意欲と能力のある人材を公正かつ積極的に登用している。
 このような取り組みの成果として、M字型カーブはなく、普通に仕事と育児の両立ができるようになっている。また、非常に優秀な女子社員の応募が増加している。意識調査でも、「女性も男性も自分らしさを発揮している」と感じている社員が増加しており、女性管理職の数も11.2%と、当時より随分高くなっている。
 次世代育成計画では、あくまでも社員の成長と会社の業績をアップするという視点に立つことが非常に重要である。メリハリをつけて働いて、個人の生活の時間を創出して、その時間に地域や家庭や社会の多様な価値観に触れることによって、価値創造性を高めて、それが仕事の価値創造力を高めていくといった視点に立つことが非常に重要である。
 わが社の次世代育成支援行動計画は、仕事と育児の両立支援が非常に厚いプログラムになっている。
 推進する上で、仕事のあり方を生産性を上げていくという視点に立って見直そうとしている。
 有効策として、男性の育児休業を促進するために、短期育児休業制度を導入した。
 子どもの出産日以降、子どもが3歳になるまでの期間内で、連続2週間取得でき、有給扱いになる。現行の育児休業制度を取得するか、短期休業制度を取得するかは、事前に本人が選択でき、これまでは1名しか男性の育児休業者がいなかったが、この半年で8名となり、一歩家庭に近づいたということでは評価できると思う。
 また、子ども看護休暇制度の導入では、有期契約社員を含む全従業員に、勤続6カ月以上、小学校入学前の子どもがいる人で、子どもの病気またはけがのため看護が必要なときに、有給休暇とは別に年5日間を有給扱いにしている。
 次世代育成のための社会貢献として、「子どもを資生堂に招く日」を創設し、各事業所に子どもたちをお呼びして、お父さんやお母さんがどんな仕事をしているか、背中を見せるということでやっている。お父さんやお母さんがとても格好よく見えたということで、社員から非常に感謝された施策なので、ご案内させていただいた。
 また、男女共同参画の重点課題として、生産性の高い働き方を目指した見直し、仕事と出産、育児の両立支援、リーダーの育成・登用、そして社内風土の醸成という4つを行っている。
 総括として、企業で考えられることは、もうやり尽くしている。それでも何が足りないのかを考えてみた。
 やはりまだまだ管理職に対して、両立支援についての正しい理解とマネジメント力の醸成をしなければならない。早く帰る人ではなく遅くまでいる人が優秀だ、そういう価値観を直していかなければいけない。
 次に、育児休業者の方々がスムーズに復帰するために、育児休業明けまでにできるような職場復帰支援策をしていかなければいけないのではないか。まだまだそこが足りない。
 また、仕事と育児を両立させる雇用システムと効果的な制度運用では、中途採用の拡大、短時間正社員などの多様な就業形態、また、フレックスや在宅勤務、地域限定採用など、柔軟な勤務体系といった多様な働き方に対応するものが必要だろう。
 それから、公平で公正な人事評価制度・処遇。育児休業が一般化してくると、育児が不利にならない制度、男女平等の評価・処遇への希望が出てくる。次のように
 ○家事・育児負担を軽減する商品、サービスの提供。
 ○まだまだ変わらない意識や働き方、育児への理解浸透が必要だと考えている。
 ○更に女性社員の両立支援策への要望から見た両立支援の課題で一番多かったのは、小学校3年生ぐらいまで育児時間を延長してほしいということだ。
 ○子育て期間中の転勤の配慮義務や、キャリアアップの関係を明確にする。
 ○制度を利用しやすい職場環境、上司、取引先などの職場の理解促進といった風土醸成などが挙げられている。
 こういうことをやらなければいけないが、それでも産みたくない、という女性もいる。やはり、企業1社でできることには限界があるということで、行政にお願いしたいことをまとめてみた。
 まず、育児にかかわる意識改革である。これが一番大きいのではないかと考えている。育児は家庭がするものだということから、子どもは社会全体ではぐくむものだという意識改革は、ぜひ必要だ。
 また、子育て家庭への経済的支援。児童手当の支給の拡充や、育児休業や育児時間の経済的支援をお願いしたい。
 両立支援策としては、出産・子育て後に復職する方々を、休職する前の雇用条件で受け入れる等の多様な雇用対策をお願いしたい。
 育児の社会的支援として、希望する者全員が入所できる保育所、学童保育。この学童保育に対しての希望も非常に高い。また、子どもを地域で安心して育てられる仕組み、これがもしかすると喫緊の課題かもしれない。保育事業にかかわる規制緩和、バウチャー制度の導入。
 民間活力を利用した保育サービスの向上では、1社でやっている保育事業でも非常に持ち出しが多いため、規制緩和をお願いしたい。また、所轄官庁の異なる幼稚園と保育所の一層の連携を行い、全体で育てていく仕組みをぜひお願いしたい。
 最後、育児推進企業への支援をぜひお願いしたい。代替要員の費用は投資コストになる。そういったことに対しての税控除、仕事、育児の模範的両立支援を推進している企業への財政的援助をお願いしたい。女性が多い企業では持ち出しが多いため、女性採用を控える動きが出てきており、問題である。
 また、子育てに適した住環境づくりということで、職住接近の都市づくりや公園の整備、保育所の敷地開放などについてもお願いしたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 対策を打ってから取組の成果が実感されるまで、どのぐらいの時間がかかったか。
○大矢委員 
15年ぐらいかかっている。世の中全体で「子どもは大事」「育てていこう」という形になれば、これよりはもっと早いのではないかと思う。
○藤本委員 資料4(PDF形式:192KB)PDFを別ウィンドウで開きます
 医療と保健と福祉、それから教育という観点からお話しさせていただきたい。
 医師として、自分でプライベートの小児病院を開設しており、保育所も経営しており、知的障害児の通所施設もやっている。それはなぜかというと、子どものトータルケアという観点から、どうしても地域には必要だということで始めたことである。いろいろな施策は親を中心、大人を中心にやられているが、私たちは子どもたちのアドボケーターになりたいと考えている。
 今回は、大分方式のペリネイタル・ビジットを紹介させていただきたい。
 今まで行われている施策はいろいろあり、今後目新しいものをつくるのは、とても難しいと思う。しかし、今まであるものをきちっと見直す中で、あるいは改良する中で非常に有効な手段ができることを、このペリネイタル・ビジットでお示しできればと思う。
 少子化対策で一番問題なのは子どもの数であることは間違いないし、数が増えることは重要だが、やはり子どもたちの生活の質を重点に置く必要があるのではないかと思う。その生活の質を支えるのは、子どもの数であることも事実。子どもの数が減れば、子どもの社会が非常に矮小化してくる。子どもたちは年齢、縦横のつながりで社会化されていくから、それが非常に希薄化していく。
 大分方式ペリネイタル・ビジットは、産科と小児科と行政とが、今までは妊娠、出産、育児という連続した1本の線の上をバトンタッチしながら育児支援をしてきたが、胎児期から、産科も小児科も行政も一緒になって、並行しながらずっと続けて育児支援をしようという発想からできているものである。
 この制度は平成4年に出産前小児保健指導事業(プレネイタルビジット)という形で始まった。この事業は余り進展しなかったが、大分では成功した。
 平成13年度に、平成4年からあったプレネイタルビジット事業が余り進展しないため、厚生労働省及び日本医師会を通じて出産前小児保健指導(プレネイタルビジット)モデル事業の公募があり、大分県では3医師会が手を挙げた。そして、3医師会でばらばらにやるのではなく、県全体で取り組もうということで行ったことが結果としてよかったと思う。
 平成14年度は、県医師会と産婦人科医会、小児科医会の3者で基金を拠出して、ここからペリネイタル・ビジットという形にした。
 モデル事業では出産前だけだったが、実は育児の不安や困難があらわれるのは、産まれてから1~2カ月のことが多い。また、出産前の不安というのは漠然としたものであり、本当に支援が必要なのは、生後2カ月までだということがわかった。このペリネイタル・ビジットでは生後2カ月までを対象としたところに意義があると思う。
 対象は、全初産婦と育児不安のある経産婦であるが、全初産婦を対象にしたことにも非常に大きな意義がある。リスクがある、あるいは問題がある方々に対してはいろいろな政策がとられているが、健全に見える方々はあらゆる制度の谷間にあり、誰かが余程気をつけないと制度を利用できない。このペリネイタル・ビジットを始めてわかったことは、本当は何も問題を抱えていない大部分の方々の満足が非常に大きいことであり、そのためにこの事業が続けられてきたわけである。
 この事業は産婦人科医にとってはメリットが見えない事業だったが、ペリネイタル・ビジットによって安心してお産をし、育てるという実感を持った妊婦の分娩を行う産婦人科医たちが、この制度の価値を理解することで広がってきており、現在、大分県内の初産婦の16%に相当する方々が利用している。
 また、ペリネイタル・ビジットを受けた方々の中から、リスクのある方、問題のある方が見つかってきている。経済的な問題を持っている方、あるいは若年出産、あるいは精神的な問題を持っている、それらは医療や福祉につないでいく。その仲介役は、地域の保健師にその役割を担ってもらう。その比率は、大体20%弱である。産科から小児科へ紹介した例の中から見ると15%ぐらいだが、小児科で指導を受けた方々の中の20%弱の方々が、次のシステムに引き継がれていっている。継続してずっと支援を受けることができる。
 これを受けた方々の多くは、非常に満足している。この前あった例は、千葉県から転勤で来て、周りには友達もいないし親戚もいない。しかし、大分にこういう制度があるならわざわざ里帰りして産むこともないので、こちらでそのまま産もうと言ってくれた方もいた。
 大分でうまくいった理由は、全県1単位であるということだ。今までいろいろな母子保健に関することは、実施主体が市町村である。市町村は今、非常に財政力がない。また、窓口になる方々は、子どもの施策に対して余り関心がない。あったとしても、予算をつけていないということで、やる気がない。だから、これは政令市や県の単位で考えないとやっていけないと思う。
 また、産科や小児科、行政も含めて何度も勉強会や協議会を行い、今も専門部会をつくって、一例一例丁寧に見直していることも、継続に必要なことだと思う。
 ただし、現在までペリネイタル・ビジットをやっていた大部分の市町村が、今年になって頓挫している。それはソフト交付金になったなど、いろいろな理由がある。その問題点を改善しなくてはいけない。今まである施策も幾つかを組み合わせて新たな施策として、実施主体もできるだけ大きな、県レベルとか地域全体を示すようなものでやれば効果が上がるのではないかと考えている。
 本日はペリネイタル・ビジットについて話したが、現在、子どもたちの生活環境は非常に危険にさらされているので、子どもの安全はとても重要なキーワーである。また改めて提案する機会をいただきたい。
○林政策統括官
 それでは、前回いただいた提案も含めて、意見交換をお願いしたい。
○渥美委員
 両立支援の取り組みがどのくらいで成果を出すかについて、企業ヒアリングの結果をお話ししたい。
 大きく三つの時間軸があると感じている。まず、2~3年の短期的な効果は2つある。優秀な人材を引きつける。二つ目が、優秀な人材が転職しないように引き止める。これは最近、企業のうわさはネットであっという間に伝わるので、特に就職、転職を考えている人には一番効いてくる。
 次に、5~6年の中期的な効果も2つある。CSRのPR効果、例えば株価が上がる。これは企業のよい情報が一般的に広がるということ。二つ目は、制度を活用した従業員の質の向上。育児というのはハンディを負うことなので、そういうときに温情的な措置を受けることで、子どもが大きくなったら企業に恩返ししたいというロイヤリティが高まるということと、仕事の時間が限られてくるので、メリハリをつけなければいけない。時間当たりの生産性が高まるということから、従業員の質の向上が言われている。
 そして、10年くらいの長期的な効果にも二つある。一つ目は、女性社員の基幹社員化が進み、生活者、消費者の視点から自社の製品を改良したり新製品を開発して、ヒット商品になるというところが幾つかある。二つ目は、企業文化が変容して、育休はロスではなく、周りの人が業務の見直しをするチャンスだという考え方の転換が図られ、あるメーカーでは不良品発生率をコンマ2桁落としたところがあった。
○前田委員
 今、福祉的なケアを受けなければいけない親子が非常に増えている事実を踏まえて幾つか申し上げたい。
 一つは、子育て中の世帯が経済的な援助を受けることは賛成で、児童手当の増額も非常にいいことだと思うが、保育バウチャーに関しては反対である。
 理由の一つは、横浜市は認可保育所を三百何十カ所も持っているが、これだけつくっても全体の子どもの15%しかカバーできない。保育所の運営費は500億円近くかかっている。保育バウチャーを全世帯に配ると、単純に計算しても横浜市の場合でこの6倍、3,000億円配るということになり、現実的にどうかということ。
 二つ目は、児童手当を配る窓口である保健師や福祉士が見て、手当てをもらったその日に明らかにパチンコに使うとか、今晩家族でカラオケに行って、焼き肉食べて終わりだという家族が見うけられると言う。現場でそういう家庭をケアしている人たちからは、現金給付は必ず現物給付とセットにしてくれという意見が寄せられている。
 子どもに3食食べさせる、早寝早起きさせるなど、子どもにとって必要なことを親がするという知識を持たない親が非常に増えている。在宅の親御さんを、週に2回か3回必ず保育所なり幼稚園に来てもらって、子どもたちはこういうふうに遊ぶとか、子どもたちにはこういう食べ物が必要といったような教育とセットにしないと、お金を出しても意味がないのではないか。
 在宅のお母さんたちは非常に息詰まることもあり、週に1回ぐらいは子どもを預けてお母さんが自由になれる場は必要なので、保育バウチャーを、現金ではなくて保育の場、子育てを学べる場、リフレッシュする場の現物給付として、財源を投入することは必要だと思うが、ただ現金を配るのは非常に危ないということを申し上げたい。
 2番目はシングルマザーの出産である。シングルマザーや婚外子に対する差別は撤廃すべきであり、シングルマザーの子育てを支援することは必要だが、10代の出産は非常に危惧される。今、乳児院が満杯になっている2大要因は、お母さんの精神疾患と10代の出産である。今、性教育がバッシングを受けているが、10代の性行動が活発化する中で、避妊もせずに皆さん妊娠する。親になりたくて妊娠したのではなく遊びの過程で不本意な妊娠をして、出産と同時に生まれた赤ちゃんは乳児院に来る。
 この子たちが親と一緒に暮らすことは殆どない。子どもたちはいつか実の親が迎えに来てくれることをずっと夢見て、そして親に一度も抱かれることなく大人になっていく。そういう子どもたちを増やすことは許されないと思う。経済基盤や労働基盤がない子どもたちが遊びの中で妊娠するのではなく、ちゃんと教育を受けて、自立した大人になってから結婚、出産するという教育を徹底すべきである。
 3番目は、労働時間である。
 横浜市では、出張の場合お子さんを24時間預かる「24時間緊急保育」制度も始め、病気の最中の病児保育室も3カ所、病後児保育室も8カ所つくっており、夜間保育室もつくっている。これは困ったときの子育てを支えるために整備している。
 しかし、子どもと親が一緒に過ごす時間は必要である。いざというときに預かることは良いが、それが常態なのはまずい。小学校3年生まで育児時間が欲しいというお話があったが、子どもは高学年や、中学生になれば不登校や深刻な思春期の問題があり、子育てというのはずっと続く。
 救急医療にかかわるお医者さんや看護婦さんも女性が高い比率を占めているので、24時間保育も必要だが、働き方をどうするかについても考えるべきである。ゼロ歳児保育、病後児保育もものすごくお金がかかる。コストをそれだけかけても、いざという時をのりこえて親が仕事を継続できるようにすることは必要だが、一方で、お金にはかえられない親と子が過ごす時間をどう保障するかという視点がないと、やはりちょっとおかしくなるのではないかと思う。
○藤本委員
 育児と就労の両立支援は大事だから、これは一つの大きな柱でいいと思うが、もう一つ、やはり就労していない、いわゆる専業主婦と言われる方々、知識も豊富でいろいろな意欲もあるが、その知識が豊富なゆえに不安に陥っている方が結構多い。「ああしなくちゃ」「こうしなくちゃ」ということで、育児緊張になっている。こういうことをどこかできちっと支えてあげることも一つの柱にすべきであり、子どもの視点からやってほしい。
 確かに延長保育も必要かもしれないが、それが定例化するような形にはなってほしくない。
 私どもがやっている病児保育も、親を働かせるためではない。子どもが病気したときに一番親が困る、どういうふうにしたらいいか、実際にどういうふうにやるかということを見せるためにやっている。だから、親も一緒に数時間過ごしてほしい。今のところ、この病児保育に預ける親御さんたちは預けっ放しということはほとんどない。市から土曜日も開設するように言われているが、土曜日は1人か2人しか利用がない。働くために子どもを預けるという観点は親にはないと思っている。
○大日向委員
 先ほど大臣が、対策を打ってから効果が出るまでにどのくらいかかるかというご質問をしたことは、大変大事なポイントである。
 この専門会議の作業の目標は、そこにあると思う。対策を打って、その効果がどういうふうに出るか。ただし、その効果測定は多様だと思う。渥美委員が言われるようなこと、それから前田委員が言われること。ただ、出生率を上げるということは、最終的な目標に置いて、その前に何段階かの基準をつくっておく。それをこの専門会議の最終的な作業に据えたいと思う。
 具体的には育児ストレスが減ったり、子育てが楽しくなる、あるいは保育の問題が解決することが大切な効果、それらが達成されてから数年置いて出生率が上がることもある。そういう絵をかいていくことがこの専門会議では大事だと思うので、ぜひその効果の測定の評価基準をつくっていきたいと考える。
○猪口内閣府特命担当大臣
 施策で「産めよ増やせよ」というよりも、この社会の中の何らかの不均衡、あるいは見落とされてきたこと、そういうことを改善していく中で、いい結果も出てくるかもしれない、そういう視点の方が結果が本当によくなるのではないかと思う。
 ですから、効果の測定について余り神経質になる必要はないかもしれない。ご指摘のような施策を本当に実行できれば、幸せな社会をつくることができる。やはり保護者がハッピーであることが子どもがハッピーであることにもつながる。だれだって自分の子どもが病気になったときには自分で世話したい。それができない社会は改善していかなければならないから、そこは合意があるのではないか。
 子どもがハッピーであるために、保護者はもちろん周りも、よりいい社会だなと思うような、そういう多様性と許容性。世の中の家族にはいろいろなニーズがあり、その幅は思っているよりも広いという理解の中で、多様なサービスを提供でき、かつその情報がちゃんと行き渡り、困ったときに、自分はどのパッケージで助けられるのかということがもっとわかりやすいと─高齢者だとケアマネジャーのような方がいるが、そういう部分も重要かもしれない。
 行政の立場、企業の立場、識者の立場、組合あるいは労働界で実践されているお立場、本当にここは知識の宝庫と言える。待ったなしの時代。5年ということを本当に重大に考えたいと思う。
○藤本委員
 今ある制度をいかにうまく活用するかについてだが、現在の保育所をどういうふうに利用するか。大部分の保育所が地域子育て支援センターという形になっており、補助金をもらっているが、もっとほかの活動に利用できないか。
 地域交流事業として、保育所を地域の子どもたちと親に開放して、イベントで人を集めて一緒に過ごすことをやっているが、非常に喜ばれている。子育て支援センターという言い方よりも、保育所を地域の子どもたちに開放して、そこに通所している子ども以外も一緒に過ごせることも行えたらいいのではないか。
○奥山委員
 「つどいの広場」事業を運営しており、この事業の普及促進のためのつどいの広場全国連絡協議会の代表世話人もしている。
 今、おっしゃったとおり、保育所の中には地域子育て支援センター事業があるが、保育所全体の多分10分の1ぐらいである。内容は、午前中の実施がほとんどである。午後はお昼寝時間で、保育所を静かにしなくてはいけないこともあり、午前中の利用が多いと聞いている。
 とにかく0・1・2歳の子どもを抱えた家庭が行ける場所が少ないため、地域子育て支援施設が増え、身近な場所にあることがとても大事な支援ではないかと思う。
 もう一つ話したいことだが、「子ども」と言ったときに、親がどんな経済状態だろうと、どんな働き方をしていようと、すべての子どもに対しての支援、そして少子化対策というよりも、家族政策という視点で語っていただきたい、と子どもを育てている親の立場として思っている。
 働き方も、従業員を見るだけでなく、もう一方の親がどういう働き方をしているのかという視点が大事だろうという話しがあったが、家族の子育てにどう対応したらいいのか、医療も含めて、ケアマネジャーのように、その方に適した施策を見つけてあげる、コーディネートしてあげる立場の人が必要ではないかと考えている。
 もう一つ、里帰り出産率というのが現在どのぐらいで、やはり減少しているのかどうか、もしどなたかご存じでしたら教えていただきたい。
 家族支援ではなく、社会的支援に切り換えていかなくてはいけないということで、家族頼みではなく、国全体として社会が支えていく仕組みをつくっていく方向で進めていただきたいと感じた。
○藤本委員
 現在100%近くが施設分娩だと思う。病院か、助産所。自宅で分娩されている方は限られているだろう。したがって、正確な意味での「里帰り分娩」という表現はおかしいが、分娩が終わった後、子どもが生後1カ月ぐらいまでは里帰りしている。ペリネイタル・ビジットでは「少なくとも3カ月ぐらい実家に厄介になった方がいい」と言っているが、1カ月しかだめだと言う。なぜかというと、子どもから見たらおばあちゃん、産んだ人から見れば自分の母親が、まだ50代ぐらいで仕事を持っており、そんなに休めないため「もう早く帰ってちょうだいよ」と言われているという実態がある。
 昔のように、里帰り分娩で手厚く子どもと産んだ母親を支援している姿はなくなっており、社会的支援が必要な状況になっている。それがしっかりできれば、どこででも安心して産めるのではないか。夫婦で転勤した先の社会基盤が整っていれば、そこでお産して子育てを始めてもいい。そこが生活の基盤になっているのだから。
○前田委員
 横浜市が産後支援ヘルパー派遣事業を始めたのは、地方で産婦人科が減っていて里帰り出産ができないことと、おじいちゃん、おばあちゃんが働いていて見られないということ。
 もう一つは、1人目の出産のときは里帰りができても、上の子が幼稚園や小学校に行っている場合は、子どもを休ませて帰れないためであり、2人目のお母さんが産後、思いのほか大変だということがわかっている。
○大日向委員
 夫婦関係や父子関係の確立という観点から、里帰り分娩は必ずしもいいとは思わない。1カ月、2カ月、3カ月実家で過ごして帰ってきて、一番大変な新生児期を夫が見ないことで、夫婦関係に溝ができることもある。地域や家族支援という観点からどうやって実施していくかということで、一番早かったのは、浦安市のエンゼルヘルパーだと思う。浦安市もとても若い世帯がたくさんいて、里帰りできない人たちをどうやって支えていくかということだった。夫婦関係の確立、父親の育児参加という観点からも、ビジターの制度はとても大事だと思う。
○尾澤官房審議官
 企業は自分のところの従業員の子育て支援をするだけではなくて、夫婦をどうするかといったときに、別々の企業だとどう連携をとるのか。あるいはそこにコーディネートが要るのか、あるいはそこに自治体がかむことができるのか。何かいい取り組みの事例があればご紹介いただきたい。
○案田委員
 同じ企業の中で違う事業所に勤めているケースでは、夫婦それぞれがどういう時間帯のシフトで勤務すれば子育てに支障がないようにできるかといった調整は、できているところもある。
 ただし、違う企業でやるとなると、すべての事業所がそういう関係を持つのは難しいので、意欲のある企業に手を挙げていただいて、連携を図っていくことはあり得るのではないか。
○渥美委員
 ある企業グループでは、その企業グループの中で夫が転勤してしまって辞めざるを得ない女性がいたら、その女性社員の受け入れ先として、別の企業がその転勤先に事業所を持っていたら、そこに一時的に移籍する、そしてまた戻ってこられたら復職するといったことも検討していると聞いている。まだアイデアベースで実現していないが、おもしろいと思う。
 2つ目は、男性社員を早く帰らせることができれば、これは奥さんにとって幸せな制度で、例えば「お風呂早帰り制度」を導入する。お子さんが小さいときには男性社員を早く帰らせて子どもをお風呂に入れるようにするという制度で、既に導入の検討を始めているところがあると聞いている。
○前田委員
 保育園のお母さんたちにアンケートをとっているが、周りにいろいろ助けがあるお母さんほど子育てを楽しんでいるし、次の子の出産意欲が高い。在宅のお母さんたちもたまにはリフレッシュする、そして親子で楽しむ場が必要である。
 しかし、保育園の一時保育は、パートの人でほとんど埋まってしまって、専業主婦の方のリフレッシュは難しい。今の保育制度の中でリフレッシュ施設を本格的にやろうとするとものすごくお金もかかるし、仕組みも複雑になるので、「集いのひろば」、気軽な一時保育の場にはお金を投資して、拡大していく必要がある。
 また、育児をするノウハウを持たない若い親御さんには、親子学校みたいなものを作ってはどうか。育児不安の解消も兼ねて、小さいときから定期的に来て、離乳食のことなどを習っていけるようなフォロー体制にお金を入れる。子育ては地域で支える、みんなで支える、子どもを育てることが社会で祝福される、そして誇りも持てるし楽しみも持てるということが、既に生まれた子たちのいい育ちにもつながるし、親も次の子どもを産んで豊かな家庭を築いていきたいということにもなる。そういう細やかな制度をつくることが必要であり、そこにはかなりの人手とお金をこれからかけていくことが必要だと思う。
○藤本委員
 育児の不安と育児の困難さと、それから育児が楽しいということは別問題のようだ。育児は不安で育児は困難だけれども、育児は楽しいと答える人が多い。同じ人が同じように答えている。したがって、不安をどういうふうに取り除くかが大事である。取り除いてあげれば「楽しい」だけが残る。80%の人が、困難があっても育児は楽しいと言っている。育児に対していろいろな不安を抱くし、心配だけれども楽しいと言っている。そこを重視する施策が大事ではないか。
 育児不安に対する対策と、育児の困難さの対策というのは明らかに違うべきではないか。困難は取り除いてやらなければいけない。もちろん不安もそうである。不安は何から出ているかというと、むしろ過剰な知識が多い。知識が不足して知らないことによる不安というのは、余り出ていない。知識がないと、いきなり困難。その困難さもわからずに、結果として子どもの虐待になっているということもある。子どもを育てるにはどうしたらいいのか手取り足取りで学べるチャンスがない。
 だから、高校生のときに保育所に実習に行くといったことは非常にいいと思う。若いときから小さい子どもと接することができるような教育システムをつくる必要がある。
 これから子どもを産もうとしている女性には、「子どもはこう育てるといい」などといろいろ話しても、意味がない。それより、育て始めたら手伝いをしながらわかるようにすればいい。そして、子どもを持つ前に子どもというのはどんなものだということを、耳や目からではなくて、実際に体を動かして知るチャンスをつくる教育システムがあるといい。
○林政策統括官
 全先生のご意見を伺ったので、次回はまとめを行い、特定のテーマに絞って考えていきたい。今日は、白書の説明の時間をいただきたい。
○増田参事官
 お手元にある「平成16年度少子化の状況及び少子化への対処施策の概況」についてご説明する。
 昨年、少子化社会対策基本法に基づいて1回目を出したので、2回目の少子化社会白書となる。「少子化対策の現状と課題」という副題だが、昨年12月に子ども・子育て応援プランができて、今年4月から実施する、あるいは次世代育成支援対策推進法の行動計画も今年4月から実施するということであり、特に政策面に焦点を当てて記述している。
 三つポイントがあり、一つは、国だけではなくて企業や地方自治法の取り組みが重要だということを強調している。したがって、全都道府県知事からのメッセージ、あるいは日本経団連や連合など、経済団体からのメッセージをいただき、掲載している。2点目は、海外の少子化対策について大分詳しく説明している。3点目は、今後の政策を考える上で、国民のニーズを踏まえる必要があるため、子育て女性のアンケート調査や、小泉内閣のメールマガジンの結果を紹介している。また、子育て費用がどのぐらいかかっているか、家庭内での費用、それから社会的な費用についても試算している。社会的な費用については、今回初めての推計であり、この白書と一緒に公表するものである。
 第1部が、今言ったポイントについて書いている部分であり、後半の第2部は、基本的に昨年度、それから今年前半までの政府の政策について説明している。
 第1章、少子化の状況では、昨年の出生数、合計特殊出生率が最低であったことについて紹介している。人口減少社会が予想以上の速さで、もう目前に迫っている。
 地域別の少子化の状況では、都道府県別での合計特殊出生率の差や、あるいは市区町村別に見た合計特殊出生率の差などについて紹介している。
 コラム欄では、中世以降の日本の人口をみると、現在がピークであり、このままいくと2100年には人口が半減し、日本の歴史上これほどの人口減少を経験したことはないということを説明している。
 第2章は、少子化対策に関するこれまでの取り組みであり、エンゼルプランから子ども・子育て応援プランの策定過程、それから子ども・子育て応援プランの概要について説明している。
 次は企業における取り組みということで、行動計画の概要、それから、現在、官房長官の主催で子育て支援官民トップ懇談会を開いており、今後とも官民一体となった国民的運動を進めていくということ、経団連ほか7団体のメッセージ、あるいは企業の取り組みで先進的な事例について紹介している。
 第3章は地方自治体における取り組みということで、特に地方自治体がこれから少子化対策において大変重要であるということを強調している。また、全47都道府県知事のメッセージを紹介している。
 そして、地方自治体における独自事業の展開では、内閣府のアンケート調査により、都道府県や市町村がどのような独自事業を行っているか紹介している。乳幼児医療費助成については全都道府県が単独事業で行っていることや、今年4月1日現在での都道府県での乳幼児医療費助成事業の実施状況なども紹介している。
 次は、海外の少子化対策ということで、海外の出生率の動向と、特にヨーロッパ諸国の取り組みについて紹介している。例えばスウェーデンの育児休業の状況や仕事と家庭の両立支援策の概要、働き方の見直しを進めるイギリスのワーク・ライフ・バランス運動、保育サービスの状況、それから経済的支援のあり方などについて紹介している。
 また、アジアの出生率の動向についても紹介している。
 第5章では、少子化に対する国民のニーズとして、子育て女性の意識調査や小泉内閣メールマガジンのアンケート結果を紹介している。
 次に、家庭と社会全体の子育て費用というところで、家庭の場合には年間50万円から60万円、子どもが小学校に上がるまでに440万円かかる。子どもが小さいときには親の年齢も比較的低いし、また、若い世代の所得格差が増えているので、経済的負担が高まっているという分析を行っている。
 社会全体の子育て費用は、今回内閣府で独自に推計したものである。社会保障だけではなく教育費や生活費も含めて幾らかかっているかということで、社会全体では38.5兆円。その内訳では教育費が半分を超えている。
 公費と私費でどれぐらいかというと、教育費は非常にウエートが高いので、38.5兆円のうち20兆円は公費の負担となっている。家庭内育児活動費用は家庭内での育児労働時間を金銭換算したものだが、全体で8.1兆円かかっていて、そのうち9割は女性の育児活動であるといった分析をしている。
 年齢別に見ると、学校に上がるまでは家庭内の育児活動費用が大多数を占めており、学校に上がってからは教育費が中心となっている。
 最後に少子化対策に関する5つの視点ということで、個別施策の見直し・改善、多様性と総合性に配慮した支援、あるいは国民的な子育て支援運動の推進、地方自治体の取り組みの推進、それから子育てに対する社会的支援の充実といった視点を整理している。
 今後の取り組みとして、この少子化社会対策推進会議、専門委員会でフォローアップと応援プランの課題を研究し、来年6月を目途に意見を取りまとめて、今後の推進を図っていくということを述べている。

5.閉会


 事務局より、次回は1月13日に少子化社会対策推進会議に引き続き開催する旨の発言があった。