少子化社会対策推進専門委員会(第3回)議事要旨

1.日時

平成18年1月13日(金)16:00~18:00

2.場所

内閣総理大臣官邸 4階大会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子
資生堂執行役員CSR部長
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
藤本 保
大分こども病院長
前田 正子
横浜市副市長

4.議事概要

 ○猪口内閣府特命担当大臣

 第3回の専門委員会を始めたい。
 まず、18年度の政府予算案に盛り込んだ施策について関係省庁から説明を行い、その後、昨年の専門委員会でご報告いただいた内容について、自由に意見交換する形で進めたい。

 ○増田内閣府少子化担当参事官

 増田内閣府少子化担当参事官資料
増田内閣府少子化担当参事官資料(PDF形式:163KB)PDFを別ウィンドウで開きます増田内閣府少子化担当参事官資料(HTML形式)
 内閣府では、官民挙げての国民的な運動を推進するという観点から、新規に、官民一体子育て支援推進運動事業として、4,800万円を予算案に盛り込んでいる。
 昨年から官房長官主宰で、少子化担当大臣を始めとする関係閣僚と、経団連、日本商工会議所、連合等のトップと子育て支援官民トップ懇談会を開いているが、そこでの議論を踏まえて、18年度に仕事と家庭・子育ての両立促進を図るために官民挙げての国民的な運動を推進しようという趣旨である。
 内容は、経済界、経営者、労働組合の幹部、関係府省、学識者あるいはマスコミ関係者などからなる官民運動連携会議を組織し、取組方針について決めていき、参画するそれぞれの団体において活動していただく。内閣府では、全国版のシンポジウムを1カ所、地方ブロックでのシンポジウムを6カ所予定している。企業経営者あるいは勤労者の仕事と育児の両立支援や、それから働き方の見直しに向けての意識改革を図っていこうという狙いである。
 また、各企業での先進的な事例の収集や分析も行い、シンポジウムの実施のために先進事例の解説などを盛り込んだパンフレットを作成して、全国の経済団体支部などで配布することにより、両立支援策の普及啓発あるいは各企業における取組の参考にしていただきたいと考えている。

 ○総務省大臣官房企画課長

 総務省では、テレワーク推進のための施策の実施として1,700万円計上している。テレワークは、女性、高齢者の就業機会の拡大や育児、介護と就労との両立に役立つが、コミュニケーションが図りづらい、あるいは勤務管理が難しいという問題もあるため、円滑導入あるいは効率運用のためのモデルとなる情報通信システムの活用方法等をまとめていきたい。
○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長資料
文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長資料(PDF形式:181KB)PDFを別ウィンドウで開きます文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長資料(HTML形式)
 子ども・子育て応援プランの1つ目の柱、若者の自立とたくましい子どもの育ちについては、若者の就労支援の充実としてキャリア教育の推進、特に中学校を中心に5日以上の職場体験を行うとともに、地域の協力体制を構築する「キャリア・スタート・ウイーク」を実施しており、引き続き来年度も継続していく。
 奨学金事業は、学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるように、日本学生支援機構の奨学金による支援を推進している。来年度は奨学金事業全体で、今年度よりも5万7,000人増の109万2,000人への対応を予定している。
 体験活動の関係では、地域子ども教室推進事業を来年度は全国1万カ所で実施をしようということで予算を盛り込んでいる。
 子どもの学びの支援では、学力向上アクションプラン、また、学校評価を通じた学校の質の向上等を図っていきたい。
 生命の大切さ、家庭の役割等の理解については、学校教育で子育て理解等に関する教育を推進するとともに、高校生等の保育体験活動等の推進を図っている。
 就学前の児童の教育・保育の充実については、幼稚園関係の諸施策がある。一つ目は、幼稚園の就園奨励費の補助であり、保護者の所得状況に応じて、経済的負担の軽減等を図ることを目的に、保育料等を減免する就園奨励事業を実施する地方公共団体に対する補助を行う。また、通常の教育時間終了後に、希望する園児を対象に預かり保育等を実施する私立幼稚園に対する補助等も行っている。新規の事業として、幼稚園の幼児教育のノウハウを活用して、NPOと連携して家庭や地域社会と一体的になって、より総合的に幼児教育を推進している園の取組の支援がある。
 家庭教育支援、児童虐待防止等については、家庭教育手帳の配布、ITを活用した家庭教育支援手法の開発等を進めてきているが、新規の事業として、子どもの生活リズム向上プロジェクト、早寝早起き朝ごはんという基本的生活習慣を育成するための事業を新たに盛り込んでいる。
 最後に、子どもの健康の支援、食育の推進と子どもの安全の確保である。特に安全の確保に関して、学校や通学路での子どもに危害が加えられる事件等があとを絶たないため、今年度、大幅に事業の充実を図っている。スクールガード、スクールガード・リーダー等による実践的な取組を推進する事業の大幅な拡充を図るとともに、新規に、子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究、下校時間の早い低学年の子どもたちを高学年の子どもたちと一緒に集団下校させるための、子どもの待機スペースを設け、放課後における交流活動を促進する事業を新規に盛り込んでいる。

 ○厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室長

 ○厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室長資料
厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室長資料(PDF形式:329KB)PDFを別ウィンドウで開きます厚生労働省雇用均等・児童家庭局少子化対策企画室長資料(HTML形式)
 厚生労働省では関連の予算も多いので、1つ1つの事業の内容の説明は省略して、18年度予算の組み立てのコンセプトをお話し申し上げたい。
 平成17年4月から地方公共団体、そして企業の行動計画の策定、実行というものが進んでおり、こういった取組を国としてもいかに支援をしていくかということが一つ重要な課題である。
 地方公共団体の方では、多様なサービス整備というものを進めるためのソフト、ハード両面にわたる交付金対応の充実をしていかなければいけない。あるいは多様な保育サービス、放課後児童クラブの充実あるいは小児医療の問題等々についても対策を進めていかなければいけないという考えから、予算の充実を図っている。
 特に保育所をはじめ児童福祉施設の整備については、平成17年度予算が各地方公共団体のご要望に十分にお応えすることはできず、ご迷惑をおかけしたが、18年度については大変厳しい状況の中で、何とか各地方公共団体の方の行動計画の推進に間に合うように最大限の努力を行った。
 事業主に対しては、301人以上の企業の行動計画策定は9月末の段階で84.4%であり、現段階ではもっと進んでいると思われるが、一方で、事業所の規模が小さくなればなるほど取組の度合いが弱くなる傾向があるため、中小企業の取組を広げていくということが課題である。
 特に事業所規模の小さな中小企業では、これから初めて育児休業をとる、あるいは短時間勤務をこれから初めて導入するといったようなことになってくるため、18年度については、100人以下の事業主に対して、やや手厚い助成の仕組みの創設を盛り込んだ。休業明けの復帰に向けた職業能力開発の取組なども充実を図っている。
 また、子育て世帯への経済的な支援に関しては、一つは児童手当の見直しを行った。小学校第3学年までの支給対象年齢を小学校卒業までにすることと、子ども全体に対して大体85%のラインで切っている所得制限を90%に拡大するという2つの内容の充実を図り、次の国会に法案を提出して、実行に移していきたい。
 施策の充実ではないが、三位一体改革の関係で、児童手当の費用の負担の仕組みについても変更が行われる。児童手当の国庫負担金は2,271億円を一般会計から計上しているが、これに地方公共団体の負担と、それから事業主からの拠出金を全部足すと、大体9,000億円ぐらいの規模になる。
 出産・乳幼児医療については、出産育児一時金を現在の30万円から35万円に引き上げ、今年の10月から施行する予定である。また、乳幼児に対する自己負担の軽減を、3歳未満から義務教育就学前まで広げるということを、20年4月の高齢者医療の新たな制度施行のタイミングに合わせて行うことを予定している。
 また、不妊治療に対する支援の拡大も非常に要望の強いところであり、現在、1年上限が10万円で通算2カ年までを、通算5年まで延ばすことを盛り込んでいる。
 以上が直接的にかかる費用の軽減についてだが、子育ての費用を考えたときには、機会費用の問題ということもあわせて考えなければいけない。
 就業継続していただくのが一番の方策だが、一時子育てに専念された方が、その能力を生かせる社会をつくることも重要な課題である。再就職の支援については、マザーズハローワーク(仮称)という、子ども連れで行きやすく、さまざまな支援が一貫して得られる新しい形の再就職支援の仕組み作りに取り組んでいきたい。また、起業についての情報提供や、子育てをしている女性に対する助成のための予算措置も盛り込んでいる。
○経済産業省サービス政策課長
経済産業省サービス政策課長資料
経済産業省サービス政策課長資料(PDF形式:72KB)PDFを別ウィンドウで開きます経済産業省サービス政策課長資料(HTML形式)
 経済産業省では、育児と仕事が両立できる職場環境づくり、いわゆる両立支援と子育てに必要な経済力を確保するための若者の経済的基礎の確保、この2点が重要であろうということで政策を構築している。
 前者の例として、昨年度は企業の自主的な取組を調査し、昨年10月に公表したが、ベストプラクティスの公表を通じた雰囲気の醸成も考えている。
 予算の説明に入るが、まず、中小企業対策として新規予算を二つ要求している。中小企業に特化して先進事例を調査分析して広く紹介をする事業と、商店街の空き店舗等を活用して育児関連施設のハード、ソフト両面を支援する事業である。
 2点目は、保護者や働きながら育児を行う従業員を抱える中小企業のニーズ等を踏まえて、NPOや病院など、さまざまな方々が連携した新たな育児関連サービスのビジネスモデルを創る事業を公募して、選定を行い、新しいモデル事業として支援することを考えている。従来、観光あるいは健康サービスの分野でやっていたものを、こういう事業に拡大するものである。
 若者の就労支援としては、若者の就労を支援し、子育てのための経済力を確保するためのジョブカフェを一層推進し、草の根e―ラーニングの教材づくり等を支援していきたい。
○国土交通省総合政策局政策課政策企画官
国土交通省総合政策局政策課政策企画官資料
国土交通省総合政策局政策課政策企画官資料(PDF形式:142KB)PDFを別ウィンドウで開きます国土交通省総合政策局政策課政策企画官資料(HTML形式)
 国土交通省では、子育てをしやすい環境をつくっていくという部分を担わせていただいている。
 第一に子育てに適した住宅の確保が重要である。住宅施策全般として、子どもを育てておられる方々の居住環境整備に力を注いでいる。都市再生機構による賃貸住宅の供給支援、住宅団地の保育所などとの一体的整備あるいは再開発などにおける整備、あるいは住宅市街地総合整備事業、優良建築物等整備事業など、住宅地づくり、建築物づくりという中で、保育所の整備や良好な住環境というものの整備に取り組んでいる。
 新規の施策として三つある。一つ目は、賃貸住宅に母子家庭などが入りづらいといった問題があるため、入居についてのバリアがない住宅を登録して使いやすくしていく安心賃貸住宅支援事業。二つ目は、お年寄りの方々が実は広い家に住んでおられてもてあましている一方で、子育ての方々が狭いところに住んで大変困っているという状態があるため、お年寄りの方々が持っている住宅資産を子育てしやすい方がうまく使えるような仕組み作り。3つ目は、子育ての世帯に対する家賃対策助成についても重点的に支援していくことである。このようなものを新しく組み込みながら、これまで以上に子育てに適した住宅の確保に力を注いでまいりたいというのが第1点である。
 第2点として、子育てバリアフリーの推進がある。鉄道駅、LRT、バス、船、飛行機、空港あるいは道路など、国土交通行政全般にわたって、お子さま連れの方や妊婦の方なども使いやすいバリアフリーの推進を展開していくための予算を確保している。また、子どもの安全の確保のために、まちづくりあるいは家づくりという観点でも安全・安心のまちづくりを進めていくこととしている。
 また、若者の自立とたくましい子どもの育ちということで、体験を通じた人間性育成のための公園の整備などの予算も盛り込んでいる。
 最後に、関係省庁と協力してテレワークの推進等についても取り組んでおり、全般として、生活や活動という場面を通じた子育てのしやすい環境づくりについて、引き続き努力していくための予算を確保している。

 ○藤本委員

 安心と安全についてだが、子どもの死亡原因の第1位は、1歳から20歳未満はすべて不慮の事故である。ゼロ歳児だけが4位、ゼロ歳の事故による死因の1位は窒息である。1歳から4歳では溺水が最も多い。この溺水は家庭で起こっている。これは風呂の構造に問題がある。子どもは首がふちから前に行けば、重いからどんと落ちる。だから、子どもがのぞけないような風呂の高さにすれば良い。住宅をつくるとき、風呂の規格をつくるときに安全の基準はこうだということを示せば良い。しかし、どれくらいの年齢ではどの高さが危ないかという集計が全然されていない。いろいろな事故の後、サーベイランスができていない。これは日本だけである。
 エビデンスを集めるサーベイランスのシステムをしっかりとつくって、それに基づいた対策をぜひお願いしたい。

 

 ○案田委員

 経済産業省の、地方都市の中小企業対策として空き店舗などを利用して保育所を作るという施策についてだが、地方都市では、大型店でも営業効率が悪くなっているため、その中に併設する手法も考えられるのではないか。
 ただし、保育所の必要度は都市によって違うので、そこも勘案した上で、有効利用を進める方策を考えて欲しい。

 ○前田委員

 国土交通省の公共交通機関のバリアフリー化についてだが、横浜市の市営バスでベビーカーを広げたままバスに乗るということを進めている。警察の方やベビーカーメーカーの方に入っていただいて安全確認をして、ベルトで固定するとか、車いすの方を優先するとか、工夫して導入している。
 これには賛否両論あり、高齢者のスペースにベビーカーとは何ごとかという議論もあったが、子育てしやすい社会のあり方についての議論のきっかけにもなるということで2年前からやっているが、なかなかほかの地域では広がらない。
 事故の可能性やリスクもあるが、大きいお金をかけなくてもちょっとした工夫ででき、お母さんたちが切実に求めることでもあるので、横浜市の事例をぜひご参考にしていただければと思う。
○大日向委員
 まちのトイレの問題だが、文科省の中教審の会議で、トイレに赤ちゃんを置けるベビーチェアがあることはあるが、設置場所がいかにもよくなくて、赤ちゃんがかぎを開けちゃうところについている。お母さんが用を足しても赤ちゃんが自分でドアを開けちゃうので、本当に落ち着かない。その設置場所がどうにかならないかというような意見が出ていた。
 細かいことだが、そういうところも利用者の声を聞いてバリアフリー化を進めていただきたい。

 ○奥山委員

 横浜市のベビーカーをたたまずに乗れるバスの話があったが、お母さんたちもそれは遠慮しながら、朝夕の忙しい時間帯ではなくて昼間の移動のときなんかに声がけして、運転手さんに固定してもらって使っているという現状。
 ユニバーサルデザインについてだが、交通バリアフリー法もハートビル法も高齢者、障害者等ということで、子育ては等に入るということで、はっきり子育てというふうに書いていない。
 そのことが、今言ったトイレのことやバスのことなど、いろいろなことに影響があるのではないかと感じている。ぜひ明確に子育てをしている人たちにも優しいデザインということを出していただきたい。子育てに優しい社会をつくるという意味では非常に目立つことなので、ユニバーサルデザインの大綱づくりにもぜひ盛り込んでいただきたい。
 安全・安心についてだが、子どもたちに自由に公園で遊んでもらいたいが、非常に安全面で不安という声が大きい。公園の整備だけではなくて、プレーパークなど遊びの指導者の育成にもぜひ取り組んでいただきたい。
○大矢委員
 各省庁のいろいろな予算をどのように連携させるか、どのように優先順位をつけるかが重要。働き方の見直しや出産への支援などの項目に対して各省の予算が連携して使われていかないと力が出てこない。例えば就学前の児童の教育・保育の充実が文部科学省から出ているが、それは厚生労働省の保育園とどのように連携していくのかなど、連携という部分をもっと視点に入れて欲しい。

 ○佐藤委員

 重点化するときに、幾つか基本的なことを確認する必要がある。
 一つ目は、経済的支援についてである。いろいろなアンケートをすると経済的支援が大事だと出てくるが、経済的支援の基本は何かというと、若い人にとっては安定した仕事につけるということであり、結婚したカップルにとっては、女性が妊娠・出産しても働き続けられるようにするということである。妊娠・出産で女性の7割が仕事をやめているが、やめてしまうと経済的に大変になる。第1子については経済的支援ではなく、勤め先で働き続けられる両立支援が問題となっている。第2子になると夫のサポート、第3子で初めて経済的支援になる。したがって、経済的支援の重点化であれば、若い人や女性が働き続けられるという施策をしながら、第3子に厚く手当するということが大事なのではないか。 b 2つ目は、両立支援と働き方の見直しについてである。女性が妊娠・出産しても働き続けられるようにする仕組みは必要だが、それだけを両立支援と捉えると、いろいろなマイナスがある。一つは、企業からすると、女性を雇用するということは両立支援の仕組みをつくらなければいけない。保育所をつくるなど、コストがかかる。女性は雇いたくない、男性の方が安いということになりがちである。女性からしても、キャリアを考えると、長い育児休業はやはりマイナスとなる。そういう意味で、男性が子育てにかかわることもセットで進めなければいけない。
 昨年の育児介護休業法の改正で、子の看護休暇が5日とれるようになった。夫がとれば妻の5日とあわせて10日になる。しかし、夫がとらないので妻の5日では足りないという意見もある。しかし、10日にしても、妻が10日とって、夫はとらない。こういうふうになると、女性のキャリアにはマイナスだし、企業にとっても、周りのサポートなどコスト増になってしまう。したがって、両立支援は、男性の子育て参加を進めながらやっていくということが大事である。
 それともう一つ、育児休業について、政府の目標は女性について8割になっているが、育児休業をとらなければいけないとなるとまた問題である。とりたい人、必要な人はとれるようにしなければいけないが、とらなければいけない制度ではないはず。短時間勤務でもいいし、夫がとるのでもいい。女性のキャリア継続ということを考えながら、男女がどう子育てにかかわるかということを考えながら両立支援の仕組みを整備していただきたい。
 三つ目は、未婚化の問題である。今の20代後半、30代の人たちが未婚のままずっといくと、5年後、10年後どうなるか。未婚化の問題は、少子化の要因の3分の1を占めている。何もしないと、じわじわと将来きいてくる部分である。これに対して何もしなくていいのか。
 若い人たちがなぜ結婚できないかというと、職場でなかなか出会えなくなっているからだ。どうすればいいかというと、基本的にはいろいろな人とのネットワークを広げるしかない。だから、長時間残業で仕事以外の付き合いがないのは困る。例えば仕事以外とか仕事を超えてとか、例えば学歴を超えて、いろいろな人たちや会社の外で出会えることを支援することがすごく大事である。例えばボランティア活動に参加することを企業が支援するとか、あるいは社会人大学に行くことでもいい。いろいろなネットワークを広げる、そういう意味で広い出会い、ネットワークづくりの機会を支援するということがすごく大事である。
 例えば、各都道府県が中学校、高校の同窓会、20代後半と30代前半の同窓会を無料で支援すれば、学歴を超えて出会える。地元で自営業をやっている人、それから東京に出ていた人が地元に戻ってきて出会う。地域を超えて、学歴を超えて、仕事を超えてネットワークを広げるということは、男女の出会いの場にもなる。いろいろな出会える機会をつくることが結果として結婚に結びつくし、あるいは転職にも役立ち、Uターンにもプラスになる。
 未婚化についての議論をすべきではないかというのが、最後の提案である。

 ○渥美委員

 社会保障給付の中で高齢者の配分に偏っている状況を、もっと子どもや子育て家庭に振り向けるべきというのは、そのとおりだと思う。しかし、高齢者給付をカットするのは難しいという面もある。そこで、私が財源として着目しているのが、相続資産だ。相続は国民一般の間で老親扶養の対価、見返りと考えられている。老親の世話をしている子どもほど多く相続する。均分相続だと、実態としてはほかの兄弟は相続放棄して、実際多くもらっている。しかし、社会保障制度を充実していく中で、子どもが自分の親を面倒見るかわりに、国が社会保障制度の中で高齢者を扶養するようになってきている。特に今後は、年金のみならず介護医療給付が大きく膨らんでいく中で、急速に老親扶養の社会化が進んでいく。
 一方で、現行の相続税制というのは、これは課税最低限が高いために、相続が発生している世帯のうち大半は非課税、わずか4%しか課税されていないという状況である。このままでは、老親扶養の社会化が進んでいるにもかかわらず相続資産の受益、1世帯当たりの金額としては4,400万にのぼるそういう多額の資産がそのまま個人の受け取りになってしまう。
 高齢者の方は、公的年金等で、保険料を拠出した分よりも多く受け取っている。そういう過剰給付が相続を通じて子ども世代に数千万単位で移転するとすれば、是正の余地がある問題なのではないか。高齢者の経済格差がそのまま子育てに移転してしまうのは、公平性の点で問題があるのみならず社会的な活力を奪いかねない。
 高齢者は、すべて社会保障制度の受益者となっているという観点からすれば、相続資産の一定割合を国が受け取る、社会的に還元するということも考えられるのではないか。
 仮に相続税の税率、広く薄く徴収するような形で消費税並みに一律5%みたいな制度をつくった場合に、将来の増収分を試算すると、2010年で2兆3,000億円と非常に大きな額の増収となる。新たな子育て財源に苦労し、模索している中では、相続資産の一部を還元するというのは、有力な選択肢ではないかと考える。

 ○案田委員

 働き方の見直しについては、時間外手当の割増率の問題がある。先進国では50%の割増率というところが多いが、日本では2割5分である。割増率を引き上げることや、パートタイマーは現在8時間を超えた部分のみが割り増しの対象だが、すべての契約時間を超えたところから割り増しが発生するということも有効な手段ではないか。

 ○奥山委員

 いろいろな支援策が出されているが、本当に子育て家庭の身近にあるのか。例えばマザーズハローワークが全国で何カ所できるかと考えると、なかなか身近にはできないだろう。やはりメニューの中から何を重点的にやるべきかを選んで集中的にやっていかないと非常に総花的な形になって、何が有効だったのかわからないということになってしまうのではないか。
 私も働き方が第一だと思う。それを抜本的に見直しながら、今現在、8割の方が在宅で0~3歳部分は育てているということへの対応の両方をやっていかなくてはいけない。その0~3歳では、地域子育て支援と言われるものが非常に少ない。ファミリーサポートや集い、保育所の地域子育て支援センターがあると言っても、全然足りていないというのが現実だ。
 また、親たちがどこに行けばすべての自治体の情報を得られるのか。これは行政に言っても、はっきり言ってたらい回しである。それは私のところの管轄ではないという話になってしまう。したがって、ケアマネジャー制度のような、今この地域にある支援を家庭に対して伝える役割を担うものが必要だ。支援センターは保育所の附帯事業なので、なかなか地域にうまく広がりにくいため、今、横浜では、保育所とは関係のない、地域の中の子育て拠点をつくろうとしている。そこでいろいろな相談ですとか交流ですとか研修ですとか、すべての窓口を一本化しようとしている。そういったことが積み重なってこないと、地域のいろいろな子育ての情報を家庭にうまく伝えられないと思う。
 3歳以上になるとでは幼稚園の費用の問題がある。保育所と幼稚園の格差が非常に大きいが、この金額の格差というものが今後どうなるのかなというのが親たちの関心事である。
 次に、小学校に入ってからの安全の確保。諸外国では、子どもを1人でおくことが虐待の一部と見なされる。子ども1人にしておかないためには、いろいろな預かりの主体がそろわなくてはいけない。それは家庭の保育であるかもしれないし、どこか学校でお願いすることかもしれないが、少なくとも小学校に入るまでの子どもを1人にしておかない仕組みというのを社会的につくった方がいいのではないか。団塊の世代の方の出番もあるし、学生のベビーシッターも育成してほしい。
 ただし、年配の方々が参入するときには、支援者としての研修が絶対必要だ。やはり猛烈に働いていた人や専業の主婦だった団塊世代の女性の皆さんが、今のしゃかりきに働いている親たちに理解があるか。ファミリーサポートでも、あなたそんな遅くまで働いている方がおかしいわよって言われることがある。そういう世代間ギャップがあるため、今の若い世代を支えるためには、今の子育て事情に配慮した何らかの学びの場が必要だというふうに感じている。

 ○前田委員

 きめ細かい子育て支援が身近なところで必要だ。私が今、実感しているのは、子育ち環境格差が広がっているということだ。子育ち、子どもがどういう環境で育つかという格差がに広がっている。これは経済格差とはちがう。児童手当を大事に節約して使う家庭もあれば、児童手当をもらった日に子どもを放置してあそびに行く親もいるなど、子どもをめぐる環境の格差は広がっている。
 そういう視点から、子どもを守るために何をすべきか。さきほど、早寝、早起き、朝ご飯と言う話が出たが、朝ご飯を食べずに学校に来るような子どもたちがいる。そうすると、親に、早寝、早起き、朝ご飯を食べる食習慣を身につける重要性を理解してもらうなど、子どもの育ちの環境を守るために、いろいろなレベルでかなり小まめなことをしなければいけない。
 経済格差ではなく、子どもを大切に育てるということに関する文化的価値の格差が広がっている。子どもは早寝、早起きして3食食べさせる、学校にはちゃんと教材を持たせて遅刻させずに行かせるということが当たり前でなくなってきている。「勉強させてもしようがない」、「学校で給食を食べさせればいい」など、ネグレクトの状態が見られる。
 次世代の子どもたちを守るためには、子どものケアの格差を埋めるための地域子育て支援が必要だ。
 保育所も重要な役割を果たしてきたが、保育所を利用しない在宅の子どもたちもケアすることが必要。親子に手をさしのべる。「あなたたち親子は孤立していないよ」と、「みんながあなたたちの子どもやあなたの子育てを支えて祝福してあげているよ」という社会的なつながりへの信頼感を親が得ることがいい子育てにつながる。そのような親子の再生を小まめにしていかなければいけないと思っている。

 ○佐藤委員

 子育てケアマネジャーは地域の子育て資源についての情報提供の仕組みだが、同時に企業内で育児休業をどのぐらいとるのか、あるいは短時間勤務を選ぶのかというときの情報提供の仕組みが大事だと思う。今、キャリアカウンセラーを置く動きがあるが、キャリアだけでなくワーク・アンド・ライフに対象を広げることが必要ではないか。例えば育児休業は1年とれるが、あなたはこういう仕事だから半年ぐらいがいいですよとか、あなたの地域にはこういう仕組みがあるというようなことを、企業内でも情報提供をするということが大事だと思う。
 キャリアカウンセラーをライフデザインカウンセラーに広げると結婚も入ってくる。キャリアと結婚なども含めて、若い人が気楽に相談できるところがなくなってしまった。結婚を前面に出してはいけないが、自分のキャリアの中で、結婚とか子育てというものをどう位置づけるかということについて相談できる仕組みがあると、結婚についても相談しやすくなるのではないか。
 女性にとっては、子どもを持つか持たないか、どの時期がいいかということもあると思う。あるいは育児休業をどうするかとか、短時間勤務がいいのか。若い人であれば、結婚したら仕事がどう変わるんだろうかとか、そういうことも相談できるように広げていく。そのためには施策の連携が必要だ。仕事についてはこの人、地域の子育て支援についてははこの人、それぞれあっていいと思うが、利用者にとっては、まとめて情報が得られることが大事である。会社をやめてしまう前に、やめたらどうなるかも含めて会社で情報を得られることが大事だと思う。

 ○案田委員

 大変賛成。ただし、どのようなライフデザインを組むかというカウンセリングを受けた後、企業につないでいく仕組みが大事。企業に直接その人からというのはつなぎにくい面があるのではないか。例えば、労働基準監督署は、それぞれの企業の中の働き方を見るところなので、例えば子どもがいる父親がもう少し短い時間で働かないとその家庭が大変だといった場合に指導をするなど機能をふくらませて、その人を中心にそれぞれの施策の専門のところにつないでいく仕組みをつくるということが大事ではないか。

 ○渥美委員

 経済的支援に関してだが、第1子、第2子5,000円、第3子1万円、今度、小学校3年生から6年生まで延長される。
 これは仮に3人お子さんを持っている方は、成人まで300万円受け取ることになる。フランスは2人子どもを持っておられたら1万6,000円、3人子どもがいたら3万7,000円で、そのほかに3歳まで1人当たり子ども2万3,000円、所得制限は月収64万円以下なのでほとんどがもらえるという手厚い家族給付がなされている。これを仮に3人お子さんがいて成人までで計算すると1,300万円になる。したがって、児童手当を拡充しても4倍以上の給付がなされている。延長というのも一つの方向性だが、1人当たりの水準をもう少し上げるとか、経済支援の水準そのものを上げていく必要があるのではないか。
 仮にフランス並みの水準で児童手当を二十歳までにした場合、基本手当てのみで2兆3,000億円かかる。これは、先ほどの相続資産に5%課税すれば賄える。

 ○大日向委員 

 経済支援が必要な世帯層も必ずいると思うが、今の試算は子どもの総数をどのくらいまで考えているのか。やはり限られているだろう。お金をくれると思って産んでみたら、日本全体で子どもは大体賄いました。もうお金がありません。もうあげません、となるのではないか。そう考えると、一方で、子育てに必要なお金をきちっと自分で稼げる体力をつけさせるということが、大事な経済的支援ではないかと思う。

 ○案田委員

 財源についてだが、子育てに関する商品やサービスとそれ以外で消費税に格差を設けるということは検討できないのか。あるいはどんな問題点があるのかも含めて議論してもいいのではないか。

 ○藤本委員

 財源が仮に潤沢でも、実施主体がそれをどうとらえてどのように計画するかが問題だ。国としては、地域にあったきめ細やかな施策をするために、市町村に運営主体を任せることがいいと判断するかもしれないが、今市町村は財源不足で取り込みにくいし、仮に財源が十分あったとしても、理念が十分伝わっていないのではないか。
 県レベルでやればかなりうまくいくと思うが、もっと大きいレベル、国を一つの単位にしたらもっといいのではないか。日本人はあちこち移動するので、どこに行っても同じサービスを受けられることが必要だし、効率的に予算を活用できるのではないかと思う。
 運用部分では非常に柔軟性を持って、地方自治体、市町村レベルでできるような、あるいは企業の中である程度自由にできるようにしておいて、大元の部分は大きくまとめる。ばらまいたら多分どこもがわずかで、やりたいことができないという形になるので、限られた枠であれば大きくまとめておいて、その運用の仕方を非常に柔軟に配分することがよいのではないか。
 もう一点は、教育が非常に重要だと思っている。文部科学省の取組に、生命の大切さや家庭の役割等に関する学校教育の充実という項目があるが、これをどういう形でやっていくのか。
 私どもが、学校に特別講師として授業をしたいと言っても、なかなか時間がとれないということで、結局できないということが起こっているので、それぞれの施策がどういう形でそれを実現していくのかをはっきり見える形にするべきそのためにも施策の理念を末端まで確実に浸透させるべきと考える。

 ○奥山委員

 集いの広場でも、大学生や高校生に来ていただきボランティアをしていただきながら、相性がいい学生さんを家庭に訪問してもらっている。
 学校の教科の中に入っていくのはなかなか難しいが、ボランティアという形で地域の集いの広場のようなところが受け入れていくことは非常に意味がある。
 いきなり家庭にベビーシッターは難しいが、高校生、大学生に子どもが飛びつくようにかかわるのを見ていると、親の学生さんに対する信頼感が生まれるので、家庭訪問も効果が出る。そういうのを踏まえてからでないと家庭訪問はまず無理。街中で会ったときにあいさつができる関係をつくる出会いの場が、地域の拠点でできるといいと思う。
 また、キャリアとライフデザインについても、まさしくハローワークの再就職支援的な情報を幾つかの支援センターや集いの場では提供している。再就職、マザーズハローワークなども、行政とNPOがうまく連携をとってやるべきだろう。
 ただし、NPO法人が活動を広げる上での課題もある。NPOが地域すべての子どもたちを対象にするという児童福祉法の改正があったが、私たちがやる地域子育て支援の拠点は、法律上、福祉施設という位置づけにならない。地域子育て支援というのは、実は法律上、まだきちんと明文化されていない。そのために、これを運営するには非課税にならないという問題がある。NPO法人に運営を任せると消費税がかかるが、社会福祉法人に委託するとかからないという格差があり、NPOが地域子育て支援に参入していくときに、非常にリスクがあると感じており、検討して欲しい。

 ○佐藤委員

 内閣府の子育て支援の官民挙げての国民的運動の推進は大事だと思うが、これは少子化対策と書かなかったらいいと思う。やはり結婚する、子どもを持つのは個人の自由なので、少子化対策の運動を起こすのではない方がいいと思う。
 地域での子育て支援の充実は必要であるが、企業は両立支援の取組が求められる。企業が取り組むべきことは、子育てをしながら仕事を続ける社員を支援する、両立支援だと思う。
 両立支援ということによって、子どもを持たない人や結婚しない人の介護の問題とかボランティア参加の支援なども含まれる。そうでなければ、何で子どもを持った人だけ支援するのかということになる。企業は両立支援、地域の子育て支援というメッセージをきちんと出した方がいいのではないか。

 ○大日向委員

 それをどういうことか一言であらわすならば、男女共同参画という言葉だと思う。
 地方を回ると、非常に温度差がある。絶望している人たちもたくさんいる。いや、そんなことはないんだ、政府は今こんなことをしているんだといっても情報がない。あっても少子化対策でしょうと、引いてしまっている。
 本当に温度差があって、同じお金を使って、かえって地方も地域の子育て支援を懸命に頑張っている人が絶望するような企画をやっているところもある。食育でも母親こそご飯をつくれみたいなことを言う、お父さんがつくったっていい。セクションごとに言葉を変えるのではなく、老若男女共同参画という言葉を全面に出したサイトをつくって、それぞれの実施はそれぞれの自治体によってメニューがあってもいいが、基本理念はこれなんだということを強力に打ち出すことを、みんな待っている。

 ○佐藤委員

 男女共同参画もわかるが、メッセージがなかなか伝わらないのではないか。地域の子育て支援、企業の両立支援などと言う方がいいのではないか。企業の両立支援というのは、少子化と関係なく企業がやらなければいけない時代になっている。仕事を続けながら子育て、介護をするということを求めている社員が増えており、企業は両立支援をやらければいけない。地域の子育て支援とか企業の両立支援をセットにしたメッセージを出すことが大事だと思う。

 ○渥美委員

 企業の行動計画をオープンにすることについて、第1弾としては大きな前進だと思うが、第2弾としては、匿名化して深い内容を伝えるようなものも必要。
 行動計画だけでは、上澄みしかわからない。例えばある企業では、子ども1人生まれたら100万円受け取れる。これはすごいと皆さん思われる。ほかの企業でも、入園、入学時に50万、60万で高校卒業まで340万という企業があるが、いずれの企業とも実は企業としての追加負担はほとんどない。つまりこれまで家族手当で薄く長く与えてきた代わりに前倒しで一時金として給付するというやり方をしている。家族手当が今大きな流れで縮小、廃止する中では、実はほかの企業でも真似できる制度なのだが、行動計画には、決してそういうことは書かない。
 こういった企業では、中高年の従業員に逆に不公平だと思われて、侃々諤々の議論をなされたというプロセスを見せたくない。それで最終的な結果だけを行動計画に挙げている。名前を挙げるより、匿名にしてそういうプロセスを全部オープンにした方が、他の企業にとって参考になるのではないか。

 ○大矢委員

 理念についてだが、私どもで男女共同参画を進めていくに当たっても、理念が非常に重要だ。やはり少子化だと企業はついてこない。両立支援だと女性だけが対象になる。だから、最終的なベースは男女共同だということをきちんとして出すべきだ。
 また、企業が取組む際には、原資をどうやって組み込んでいくのかという話になるので、どうやって利益を上げていくかというところのベストプラクティスが重要になってくる。だから、第1段階の行動計画はオープンにするが、具体的に名前は出さなくても、こういう事例ですよという形で具体的な詳細な事例を紹介する方がいいのではないか。実際に行動計画をつくるに当たって、どうつくっていったらいいかわからないという企業がたくさんあったため、オープンにしていくというのは非常に重要だと思う。

 ○前田委員

 スクールバスについてだが、私も行政の現場で、今、どういうことをみんなが迷っているかというのをお伝えしたい。今まで親からは学校にガードマンをつけてほしいという声が多かったが、今回は通学路で事件が起こったということで、学校だけを守ってもだめだということになった。だから通学路もスクールバスで守ってほしいという意見が出ている一方で、スクールバスで連れて帰った後、子どもを家に閉じ込めておくことができるかと。子どもたちは、その後、お稽古ごとなどに出かけていく。また、放課後、友達といろいろしながら、学校で嫌なことがあっても通学路でいろいろな人に会ったり、おばちゃんに声をかけられたりということで、また気持ちを再生することができる。
 これまでもPTAも働くお母さん、働かないお母さんでだれがやるかとか、非常にもめていたが、今回の事件が一つのきっかけになって、やはり子どもたちの通学路を守るためには、地域の人に子どもの顔を覚えてもらって声をかけてもらわなければ、いざというときに声をかけてもらえない。そのためには、子どもを持つ親自身が地域でやっぱり顔を売って、親子で一緒に地域デビューしなければいけないのではないかという価値観を持っている親たちや小学校がでてきている。
 これはまだ何が正解かよくわからない。子どもの通学路も、アメリカ、イギリスのように必ずスクールバスをつけるような社会を目指すのか。本当は一昔前にように、いろいろな人と混じり合った近所ができるのがユートピアだと思う。子どもの安全に関しては何を一番大事にするのか、そのかわり、これは捨てることになる、ということを一緒に考えていかなければならず、非常に迷っている。統廃合して通学路が長いところなどは、スクールバスを選択せざるを得ないと思う一方で、子どもに声をかけあう地域づくりも重要である。放課後の全児童対策を大幅に拡大するとか出欠確認をちゃんとして引き渡しをするとか、学年を超えた集団登下校のできる仕組みを今考えているという状態だ。

5.閉会

 事務局より、今後のスケジュールとして、2月、3月に2回ないし3回開催し、個別のテーマについて具体的な議論をする旨の発言があった。