少子化社会対策推進専門委員会(第6回)議事要旨

1.日時

平成18年3月29日(水)13:30~15:30

2.場所

中央合同庁舎第4号館 4階共用第2特別会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子
資生堂執行役員企業文化部長
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
藤本 保
大分こども病院長
前田 正子
横浜市副市長

4.議事概要


○猪口内閣府特命担当大臣
 本日は、経済的支援についてご議論いただきたい。まず、事務局から資料説明を行う。
○増田内閣府少子化担当参事官
 まず、議論のきっかけとなる課題について整理をしている。資料1(HTML形式)
 1点目は経済的支援のあり方について。子育てコストや子育て世帯の家計から考えて経済的負担が重たいのはどのような点か。従来の施策をどのように評価し、どのような点で改善が必要か。子どものライフサイクルで見た場合に、特にどの年齢層で経済的な充実が必要か。世帯類型や所得水準等で見た場合にどのような世帯に対して特に重点的に行うべきか。出生率が反転している、また高い水準で推移している西欧諸国の政策のうち、どのような点を参考にしたらよいか。
 2点目は具体的な経済的支援の方法について。出産無料化など一時的に負担の集中する誕生前から乳幼児期の経済的負担を軽減するためにはどのような支援策が必要か。児童手当制度について、どのような方向で検討していくべきか。児童手当と税制との関係をどのように考えるか。経済的負担感の内容に照らして現金給付とサービス給付のどちらで、どのような組み合わせで対応することが適当か。子育て費用の中で大きなウェイトを占める教育費の負担軽減のためにどのような支援策が必要か。企業の協賛による子育て支援を拡充していくためには、どのような方法が必要か。
 3点目は財源のあり方について。児童・家庭に対する給付を充実するためには、財源としてどのようなものが考えられるのか。社会保障給付の中で大きな比重を占める高齢者関係給付を見直し、少子化対策に振り向けるための具体的な方策はどのようなものがあるか。こういった点を念頭に置きながらご議論いただきたい。
 次に資料2-1(PDF形式:279KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料2-1(HTML形式)、専門委員会、地方ブロック会合での意見・取組を、誕生から乳幼児期の負担軽減、子どもの自立までを視野に入れた負担軽減、財源のあり方について、それぞれ整理している。
 次に、最近の各種提言について、参議院少子高齢調査会の昨年7月の提言、自民党文部科学部会文教制度調査会、厚生労働部会子育て支援対策小委員会、自民党女性局、公明党「チャイルドファースト」2005緊急提言、民主党の提案、経済同友会「人口減少社会を考える委員会」、日本商工会議所の夏季アピール、連合の「21世紀社会保障ビジョン」の提案を挙げている。
 次に、経済的支援のあり方を考える上でのバックデータとなる子育て世帯の実態とニーズについて資料をそろえている。
 世帯主の年齢階級別に見た所得の現状を見ると、全世帯平均に比べて20代、30代は世帯全体の所得も1人当たりの平均所得も全世帯平均より低い状況になっている。
 世帯類型別に見た所得の状況を見ると、離婚の増加などにより母子世帯の数がふえているが、母子世帯の場合、全世帯平均、高齢者世帯と比べて世帯の所得も1人当たりの所得も低い状況になっている。
 子どものいる世帯といない世帯の可処分所得の比較を見ると、20代、30代の場合、子どものいる世帯の方が可処分所得が少ない。
 最近発表されたこども未来財団の調査研究を見ると、全体の57.6%は家計が苦しいと感じているが、子どものいない家庭では43.2%、いる家庭では60.9%と、子どものいる家庭の方がより負担を感じている。負担を感じる理由として、収入が十分でないあるいは住宅などのローンがある、子どもにお金がかかるなどがあげられている。
 出産にかかる子育コストを見ると、ゼロ歳児の子育てコストで約50万円、妊娠・出産コストで54万円かかっている。
 小学校に上がるまでの子育て費用を見ると、大体年間50万円から60万円かかって、約440万円子育て費用がかかっている。
 子どもの成長と家計の変化を見ると、出産後女性が仕事を離れ、家庭で働く人の数が減るため、子どもが小さいときには家計の有業人員も少なくなるし収入も少なくなっている。
 子どものいる世帯の年齢層別消費支出を見ると資料2-2(PDF形式:363KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料2-2(HTML形式)、子どもが大きくなると教育費の負担が大きくなってくることがわかる。
 子ども1人当たりの社会全体での子育て費用を見ると、1人当たり公的負担と私的負担を含めて200万円ぐらいかかっている。
 子ども1人当たりの教育関連費用を見ると、幼稚園から大学までの教育費として、1,100万円から1,800万円ぐらいかかっている。
 教育関係費の割合を消費支出総額の中で見ると、現在約11.8%、家計の消費支出の中で年々教育関係費の割合が高くなっている。
 世帯形態別の収入分布を見ると、独身男性には低所得者が多くなっている。
 世帯収入層別に子どもの数を見ると、年収400万未満の世帯において子どものいない世帯の占める割合が高い。
 以上のデータから、若い世代は所得水準が低く、その分子育て費用の負担感があり、それが子どもの少ないところにつながっていることがうかがえる。
 理想の子ども数を持たない理由を見ると資料2-3(PDF形式:368KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料2-3(HTML形式)、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が一番多く、特に20代、30代という若い世代において割合が高い。
 小泉内閣メールマガジンのアンケート調査を見ると、「少子化に歯止めをかけるための政策」として「経済的支援の充実」、「安心して生み育てられる生活環境の整備」、「保育所をふやす」、「再就職環境の整備」という多様なニーズが届いている。
 子育て女性の意識調査結果を見ると、経済的支援、保育所の充実、休業・短時間勤務、出産・子育ての両立支援のニーズが高い。経済的支援として望ましい施策として、「保育料または幼稚園費の軽減」が一番多く、次いで、「乳幼児の医療費の無料化」、「児童手当の金額の引き上げ」、「児童手当の支給対象年齢の引き上げ」の順となっている。
 以上が、子育て世帯の実態と意識調査である。
 次に、現状の支援策を紹介している。
 子どもの年齢別に見た経済的支援策を整理した。乳幼児医療費の自己負担分の軽減措置は、現在3歳未満は2割負担であるが、現在国会に出ております医療保険制度改正案の中では平成20年度から6歳に伸ばすことが盛り込まれている。児童手当は現在国会で審議中だが、今回の改正法案が成立すれば、児童手当の給付対象が、小学校3年修了までから小学校6年修了までに拡大する。
 次に、経済的支援策の個別の施策ごとに制度の概要と根拠法、財源、財政規模、対象者数を示している。
 次に、主要国の児童手当、税制による子育て支援の比較をしている。日本は児童手当と税制の両方あるが、アメリカは児童手当がなく税制で対応している。スウェーデンは1948年に扶養控除を廃止して児童手当制度を創設している。ドイツは95年に児童手当と扶養控除の選択制を導入して額も引き上げている。
 次に、フランスの家族給付を日本と比較をしている。子どもが2人いるケースで見ると、フランスの場合は児童手当以外にも乳幼児期の手当や新学期手当などさまざまな手当があり大変水準が高い。
 次は、海外において最近児童手当以外に一時金やベビーボーナスなどを創設している情報である。
 次は資料2-4(PDF形式:434KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料2-4(HTML形式)、乳幼児期の医療費の負担に対して地方自治体が単独事業で医療費助成制度を行っている一覧である。
 次は、平成18年度、自治体のさまざまな経済的負担軽減の取組を新聞報道からピックアップしたものである。不妊治療の支援、出産の支援、誕生祝い、医療費に対する支援、保育料への支援、幼稚園の保育料の支援、児童手当に準ずる支援、1人親家庭の支援、奨学金に順ずる支援など、それぞれの自治体が独自事業として取組を行っている。
 次は、石川県の「プレミアム・パスポート事業」の事例を紹介している。企業に協賛を仰いで、子育て世帯に割引特典が得られるパスポートを発行するというものである。石川県の例が第1号だが、ほかの県においてもそれぞれ県内で協賛企業を募ってこういった事業を展開していこうという動きが見られる。
 次は、企業における経済的支援として、誕生祝い、出産一時金を出すといった例を挙げている。
 次は、高齢者関係給付と児童・家族関係給付費の推移を示している。現在高齢者関係の給付の割合は非常に高いが、伸びも非常に高い。80年代と比較すると2003年までで450%。それに対して児童・家族関係給付費は180%の伸びである。
 社会保障給付費における児童・家族関係給付費を見ると、社会保障給付費の中で高齢者関係が59兆円、70.4%を占めるのに対して、児童・家族関係は3.2兆円、3.8%ということである。
 OECD基準の中で見ても、日本の場合、高齢者関係にかなり偏っており、児童・家族関係の割合が小さい。
 ただし、国民負担率の国際比較を見ると、手厚い給付のためには社会保険料あるいは税金などの相応の負担も必要となっている。
 資料の説明は以上である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 経済的支援は、世論調査、アンケートなどで最も高い頻度で必要であるという意見が出る項目である。データを見ながら考えが導き出されるところもあろうかと思う。しっかりとした政策論議をするときにはデータをベースにしていきたい。
○佐藤委員
 一つは、経済的支援の現状に、育児休業期間中の健康保険料と社会保険料の免除がない。本人の負担分と使用者側の負担分の免除という仕組みがあるが、本人については、育児休業給付が4割出るが、社会保険料免除とあわせて事実上5割近い所得保障がある。健康保険料免除と社会保険料の免除で大体350億円ぐらいあるが、なぜ落ちているのか。
 今、妊娠・出産で育児休業をとる前に7割の方が仕事をやめているが、仕事を続けることができて、育児休業をみんながとるようになると、社会保険料免除の部分の財源も事実上増えていく。育児休業をみんなとるようになると。社会保険料免除の部分が。そこは一応押さえた上でどうするかという議論をした方がいいのではないか。
 もう一つは、教育費負担のデータについてだが、夫のみしか働いていない場合と、夫婦が働いている場合を、全部混ぜてしまっている。夫婦で働けるようになれば相当教育費の経済的負担は少なくなる。その辺をきちっと押さえた上で経済的負担というのを議論しなければいけない。現状の女性がやめざるを得ない、夫しか働いていないという中で経済的に大変だという議論をするのはどうなのかと思う。
○増田内閣府少子化担当参事官
 1点目の資料は欠けているので、後ほど資料を整理したい。
○文部科学省男女共同参画学習課長
 2点目について、現在の教育費の調査の中でそういった分類ができるのか、分析できるのか、調べてみたい。
○佐藤委員
 社会保険料、健康保険等の免除は現状350億ぐらいでかなり大きい。これから政策的に女性が働き続けられるようになるとさらに必要となるため、財源も含めて議論する必要がある。
 もう一つは、育児休業中は健康保険と社会保険が本人と企業側で免除になっているが、産前産後休業中は免除になっていない。これは強制休業なので、働いてないにもかかわらず企業は負担している。本来であれば産前産後休業中の方が本当は先に免除にすべきではないか。企業からすれば女性に妊娠・出産でやめてもらった方が負担が少ないことになる。妊娠・出産後も続けて働いてくださいというと社会保険料の負担が出てくる。3ヶ月間で1人五、六万円の負担増になる。女性が働きやすくなる企業だけが負担がかかるということは問題だと思う。
○厚生労働省少子化対策企画室長
 育児休業をとる人がどんどん増えていったときに財源がどうなるのかということだが、健康保険の場合、そんなに大きな影響はないと思う。年金は、働いていたのと同じようにカウントされて給付に反映する仕組みになっており、子育てにボーナスをつけている。平成16年の年金改正のときに、短時間勤務などで所得が減ったということについても同じ扱いにして、所得が子育てによって失われたことを老齢期まで持ち込まないように、全体でプールしていこうと政策的にカバーしている。
 産前産後の休業と育児休業の違いについては、育児休業の保険料免除は、休業がとりにくいという状況を改善するために行ったものである一方、産前産後の休業は強制の休業なので必要がなかったことが理由である。
 ただし、現時点で全体を見たときのバランスという論点はあるだろう。
○佐藤委員
 そうすると、産前産後中の社会保険料を免除しても平気だということでいいのか。育児休業取得者はどんどん増えていっても全体でバランスできるという議論であれば、産前産後中の免除をやってもすぐ一般財源が出ていくわけではないと問題ないというふうに理解していいか。
○厚生労働省少子化対策企画室長
 産休中とらないとしたときにどういうふうにカバーできるのかは当然シミュレーションが必要になってくる。
 年金制度については、育児休業をとる人が増えることもある程度折り込んだ上で、その休業中のカバーは将来の年金制度に反映されるということを政策的に折り込んで財政計算をしているということ。
○渥美委員
 子育ての経済的負担感が重い理由は、二つある。一つは、女性が仕事をやめざるを得ない、機会費用が大きいということ、もう一つは高等教育の費用が非常に大きいこと。これらの課題に関しては、アジア型の少子化対策が考えられるのではないか。具体的には、祖父母による育児サポート体制へのインセンティブを付与する。日本と同様に低出生率に悩んでいるNIES諸国では同じような社会環境、親族によるサポート体制というのがまだ根強く残っている。日本でも厚生労働省の全国家庭動向調査を見ると、出産後の就業継続を可能にした条件として第1位に挙がっているのが祖父母のサポートで52%となっている。ちなみに、第2位が保育所で20%であり、圧倒的に祖父母によるサポート体制と回答している。
 シンガポールでは、祖父母が近居する引っ越し費用を税制優遇の対象としたり、祖父母が子育てをした場合の費用を控除という形で祖父母によるサポート体制へのインセンティブをつけている。日本でもこういうことが考えられるのではないか。
 また、高等教育の費用についても、シンガポールでは、子どもの将来の教育費の積立金制度を導入して、市場金利より高い運用利回りと国の上乗せ給付がある。日本でも、例えば孫のための教育費積立金制度の導入みたいなことが考えられないか。私ごとだが、母が亡 くなる前に、孫が生まれたときにとてもうれしくて、孫のための教育費の積立を始めて、今父がそれを引き継いでやっている。資産保有面では、高齢者に偏っていると言われるが、それをどういう形でこの子育て支援の方に回していくのか知恵の絞りどころである。以前、話した相続資産課税強化による増収分を少子化対策費用にまわす他の方策も検討すべきであろう。シックスポケットといわれるように個人レベルではもう既に祖父母から孫へと移転は進んでいる。そこにインセンティブを働くようにするには、国の財政的な追加負担はさほど必要としない。親族による子育て支援力を引き出すことも今後検討すべきではないか。
○奥山委員
 具体的な血のつながったおじいちゃんおばあちゃんだけではなく、社会的に、地域の人たちの3世代支援の方がいいと感じている。都心では祖父母がいない世帯も多いし、祖父母を呼び寄せようにも老老介護でなかなか出てこられないというケースもある。身内でサポートしあうだけでなく、社会的な支援、今そこに住んでいる人たち同士の支え合いが大事である。
○大日向委員
 祖父母というのを括弧つきの祖父母という形で考えていくことも必要である。確かに渥美委員が言われた傾向はあると思う。沖縄の出生率が高いのは半径1キロ以内に祖父母がいてサポートしている。しかし、一方で都市型の家族構成で果してそこまで適用できるかという問題もある。
 もう一つ、女性のライフサイクルを考えたときに、今おじいちゃんおばあちゃんになる年齢は50代で現役で働いている方も多い。これから労働者不足になると祖父母の世代の労働力もとても貴重となるので、自分の孫にというのではなく、地域全体の孫という形で職業化していくことが必要である。
 子育てひろばあい・ぽーとでは子育て家族支援者を養成しており、有償で地域の方々の一時保育や病後児保育を担ってくれる方を養成している。そういう形で括弧つき祖父母を地域の育児力向上につなげていくことが大事だと思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 世代間のトランスファーはあるべき。家族、親族への思いを生かしていくことも大切。ただし、家庭の事情はさまざまであり、地域の中で祖父母のいない家庭やいろいろな理由で近くに住んでもらえない家庭もケアしていく必要があるだろう。
○大日向委員
 地域の祖父母の力というのは、子どもを預かるだけではなく、学童期の子どもたちをどう見守るかにもすごく大事である。文科省が地域子ども教室をやっている。地域のおじいちゃんおばあちゃんがどんどん学校に入っていって自分たちが持っている技術や文化を伝えていく。それを見て子どもたちも育っていく。親たちも地域の中で世代がつながっていく様子を見ていくことで地域の育児力が上がっていく。そういう地域の人たちを無償で使うのではなく、それなりの有償活動で保障していくシステムを、一つの経済的支援のあり方として考えていきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 地域版にしたときに努力を誘発できる仕組みにしていくことが重要である。たまたま手が空いたら来てくださいというような感じではなく、長期的な責任あるコミットメントをどう引き出すかが重要だ。
○藤本委員
 独身男性の所得が非常に低いということは、結婚当初の2人の家計も経済的には非常に低いであろう。したがって、子どもを出産する前後に対する経済的な支援を充実させることにより、子どもを早く持とうというインセンティブが働くのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 重要なご指摘である。類似のご指摘は、与党の勉強会などからも出ている。
○藤本委員
 妊娠中の検診費用は9万円相当ぐらいの費用が生じている。市町村によって無料券もあるが、すべての検診をカバーしているわけではない。これらを一々本人にお金を渡すのではなく、現物給付で、使用した費用が自分の加入している保険から支払われるシステムになっていると非常に使いやすいと思う。償還払いというのは医療機関側にとっても負担が大きく、出足をくじく感じがするので、そういった制度の方がいいと思う。
○増田内閣府少子化担当参事官
 分娩費についてはどうか。
○藤本委員
 検診も分娩も、乳幼児の医療費の助成も同じである。各県によって償還払い制度と現物給付があるが、当然現物給付の方がいい。大分も最初は乳幼児の医療費を償還払いにしていたが、そうすると、事務量がふえて私の病院では2名余分に事務員を雇わなければいけない。これが現物給付になるといらなくなる。育児支援にもなり、我々にも支援になる。そういうことも含めて、制度は利用しやすい方がいいという基本的な考えである。
 妊娠中の検診は制度化されていないので、ぜひ新しく設ける。そして、不妊も含めて、一連の流れの中で、この時期は特に手厚くしてほしいというのが希望である。出産のときの一時金も、それぞれの所属する保険からお金がもらえるのは、生まれてから1ヶ月、2ヶ月たった後で、若い2人はこんなにかかるのかというイメージを持つことになる。現物給付になると負担感は軽減するのではないか。
○厚生労働省少子化対策企画室長
 健康保険では療養の給付が現物給付になっている。正常分娩の場合には病気ではないということで出産一時金という形で出している。
 妊娠時の検診は、かつては補助金で地方公共団体に助成をしていたが、ある時期に一般財源化して、今は地方の独自の財源で行うことになっているため、何回まで無料にするか、どういったやり方をしているかというのは市町村によって差がある現状になっている。
 乳幼児医療費の助成は、健康保険制度で現行3歳までは2割負担で現物給付化している。2割については地方公共団体が独自に助成をしており、窓口で払わなくていい場合もあれば、窓口で支払ったものが後で返ってくる場合もある。
○猪口内閣府特命担当大臣
 助産婦さんのところで生む場合はどうなのか。
○増田内閣府少子化担当参事官
 一般の助産所は医療保険の指定診療機関に入っていないため、通常は、母親はそこに直接お金を払って、後から保険者から一時金をもらうという格好である。新しく医療保険の仕組みを入れるということは、大きな制度改革になるため検討が必要になる。
 出産育児一時金は今30万円、10月から35万円になる予定で、大体標準的な分娩費をカバーできるが、中にはもっと安いところもあるようなので、何らかの手法で現物化をしたときに、その差額分をどうするかというのは細かな議論としては残るかと思う。
○藤本委員
 今は二極化しており、出産は費用がもっとかかる方が多いような気がする。一方で、後から支払うからといって、支払わないままになることも多い。子どもの出産にためていた金が違う形に、それは多分経済的困窮があるからだと思うが、使われてしまっている。
 産科医が非常に減ってきているのは、いろいろな意味でリスクが高くなっているからだと思う。産科医にも経済的な安定が保証されればもう少しは食いとめられる可能性も出てくるのではないか。
○奥山委員
 第1子のときに出産費用のことで非常に大変だったという思いは実感としてはない。働かなくなって経済的に大変な2人目、3人目にめりはりをつけて適用して、1人目のときには自己負担していただくということもあるのではないか。
 年齢別の子育て費用を見ると、お子さんが小さいころの0~2歳のあたりが落ち込んでいるが、落ち込む部分というのは女性がやめてしまうという実態を反映している。仕事をやめずに女性が働ける環境を、企業に頑張って進めていただきたいと思う。1人目が生めるかどうかは育児休業が内部規定に書いてあるかどうかで違うと聞いている。
 そして、1年、2年休んでいる期間に地域の中でいろいろな方との関係づくりをしていただいて、2人目、もしくは会社に復帰してからも地域との縁を切らずに、子どもが育っていく環境を地域とともに育んでいく。そういう仕組みをうまく企業側と地域のNPOで連携をとってやっていくということが、2人目の出産にもつながっていくのではないか。
○大矢委員
 どこかに集中するということよりも、児童手当、教育費、地域への支援、意識の4点セットでないと、いくらお金があっても砂の中に入ってしまうような形になってしまう。
 児童手当の拡充は、短期的なムーブメントを起こすための起爆剤として非常に役に立つのではないか。ただし、例えば出生率が反転して上がっていくまでの間に、各国がどのくらい時間がかかったのかを目安にして、時限的な形で行うべきだろう。また、一律ではなくて、2人目、3人目になることによって上がっていくような形になることが望ましいのではないか。
 教育費は高等教育になるに従って重くなってくるので、奨学金制度の拡大、教育費の税の控除なども合わせて考えていただきたい。
 両立支援の方は、安心して子どもを育てられるというのは、やはり地域の方々に協力していただかないととても難しい。地域でやっていただいている、子どもの居場所づくりみたいなところに支援していただきたい。
 両立の促進策としては、育児時間、育児休業補てんに対する人件費増のための税控除、あるいはそういった企業の情報公開をしていただきたい。それによって優秀な社員を採用することもできる。
○猪口内閣府特命担当大臣
 企業の協賛による子育て支援を拡充していくためにどういう方法が効果的なのか。
○大矢委員
 育児休業から育児時間に変わる方が多いので、育児時間の補てん、育児時間の人たちを支えていくための人員を増やしていく費用が出てくる。お子さんのいる社員が多い職場では、派遣の社員を増やしたり、代替要員の教育費や人件費がかかってくるので、税の控除や補助金が出ると非常にありがたいと思う。
 そういった促進策によって、優秀な社員が集まってくるなど企業側のメリットも出てくる。そういった意味でも情報公開が必要である。補助金なり税控除プラス情報公開をすれば促進できるのではないか。
○藤本委員
 最初の子どもを持つときが一番大事なのではないか。最初の子どもを持ったときに仕事をやめなくて済む、そして生んだときも安全で快適に生めて、1人目の子育てのときにやはりすべてに保障がある。そうすると2人目、3人目も生みたくなる。そこに重点を置くような施策が必要ではないか。 
○厚生労働省少子化対策企画室長
 大矢委員が先ほど言われた情報公開の内容についてご説明いただきたい。
○大矢委員
 ファミリーフレンドリー企業のような形でもいいが、女性が勤めやすいとか、継続しやすい企業のランキングだけでも随分違う。それが出ることによって、例えば採用の応募数がすごく変わってくる。例えば育児時間で契約社員を採ろうとするときも優秀な方が応募してくる。持ち出しだけではなく、ベネフィットがあることでモチベーションも上がっていくと思う。
○案田委員
 従業員に対してどのような施策をとって、子育てについて支援をするのかということが非常に大事だと思う。それと同時に、企業が地域社会の中で子育てにどういうふうに関わっていけるか、その部分についての評価というのも必要ではないか。地域社会の中で子育ての役に立ちたいと思っている企業もある。
 例えば通学路の安全を確保する企業にも、一定の評価をするということも必要ではないか。自分の従業員に対してと、地域に対しての両方をきちっと評価する仕組みをつくることが、中小企業の取組を進めるためには大事なのではないか。
○大日向委員
 企業の子育て支援が、地域経済の活性化につながるというインセンティブは、非常に大事だと思う。
 日独国際シンポジウムで、現金給付主体だけだとドイツでは効果が薄かったという話があったが、大矢委員が言われたように、連携の中で経済的な支援を考えていくことが必要だと思う。予算配分をどれだけとって経済的支援をするかということと、それが企業の働き方にどうつながっていって、地域の育児力につながっていくかというような連携の中で、経済的支援を考えていくことが非常に大事だと思う。
 企業にとってどういうメリットがあるのかを考えると、企業が、利潤をあげるためには地域経済の活性化が必要だというように、視点を変えるところから経済的支援を考えていくことが必要だと思う。
○渥美委員
 企業の地域の子育て環境への貢献の例だが、ある企業では年金を通知するときにOB、OGに、地域のファミリーサポートセンターにぜひ登録してくださいという案内を一緒に送っている。同社では、現役の社員の方にヒアリングしたところ、ファミリーサポートセンターにお世話になっているということから、地域の子育て環境をもっとよくするためにOB、OGの協力を仰いでいるそうだ。
 こういう取組をもっと広めるために、両立支援企業の認証と広報機関の設置を提案したい。企業のやっていることを認定して公のお墨付きで広まるようにすべきである。行動計画はあくまでもこれからやっていくという上乗せ部分しか書けない。今までこれほどやってきた、これほど女性が多く基幹社員化しているということは書けない。企業の取組の絶対水準も書いて、それを認めるということが重要ではないか。
 ドイツでは、地域ブロックで官民連携して行動計画を立てて、それを全国展開しているというやり方をしている。地域の特性を生かして、自治体の目配りが効いた範囲での企業への働きかけとして、効果をあげている。その中で、企業における両立支援制度の導入マニュアルをつくっている。そういったものも日本でも今後検討していったらいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 これからはレピュテーションの時代だと言われている。企業がパブリックイメージを大事にしながら、地域をサポートしていくことが、21世紀の企業のインセンティブにつながっていく。その方法として認証があり、かつ、それをブロックごとにやってみる、という考え方は検討に値すると思う。
○佐藤委員
 経済的支援を考えるときに大事なのは、現状の日本の仕組みを前提にして、例えば女性が7割実質的にやめてしまうという前提で考えると、やはり間違った対策になると思う。第1子を生んでもやめないで働き続けられるようになれば、経済的支援のあり方もかなり違ってくる。夫婦で働けるようになったときでも足りない部分が、社会的にやらなければいけないところだろう。もちろん過渡期の問題はあると思うが、ここはきちんと分けて議論しなければいけない。
 社会保険料の免除については、現状の仕組みでは、企業が一生懸命社員が働き続けられるようにすると、その企業が不利になるような仕組みになっているところが明らかに問題であり、是正していくべきである。
 教育費については、奨学金だけでなく、国民金融公庫の教育ローンもある。これは財務省の仕組みで、親が借りるものだが、金利を見ると奨学金の有利子とほぼ同じである。本人がローンを組むということもあるので、教育ローンもセットで大学の教育費負担をどうするかという議論をすべきではないか。
○前田委員
 児童手当で一番有名なのは千代田区である。妊娠期から児童手当、中学校期まで払う。横浜市でもやってほしいといわれるが、1人当たりの税収額も違うし、子どもの数も違う。自治体の財政力によって同じ日本人の子どもたちに差があるというのはおかしいのではないか。
 児童手当は3分の2が地方負担になって、たばこ税をいただいたので横浜は差引ゼロだが、小さい市町村は負担が増して大変だと思う。三位一体改革などいろいろあるが、同じ日本における子どもたちの経済的保障をどう考えるか。国全体の社会保障と考えるのか、それとも国はあくまでも最低ベースで地方が加算することを考えるのか。私は、現金給付は子どもを生むことに対する社会保障制度、社会の子どもたちへの保障として、国がやるべきであり、自治体は現場に近いため、現物給付に特化すべきではないかと思う。
 私は下の子が4歳なので3年前にちょうど育児休業を1年間とって、高齢出産で第2の公園デビューをして、育児休業中のお母さんたちの話もいろいろ聞いた。児童手当5,000円、1万円をすごくありがたいと思っている人もいるが、おじいちゃんおばあちゃんからお金をもらっている人もいっぱいいる。5,000円、1万円を個人がもらってもお友達はつくれないし、公園の遊び場もつくれない。個人では解決できない子育ての問題、安全な遊び場がない、人と知り合う場所がない、育児相談がないということに対して対応していくことに、公的な役割があるのではないか。広く薄く配って、個人で何かやってちょうだいというよりはむしろ、一人一人の5,000円を集めて何千万、何億というお金にして、子どもたちが安心して遊べる公園やつどいの広場や地域子育て支援センターをつくってほしいという意見ももらっている。
 お母さんが正規で働けば15万、16万円にはなるので、2万円、3万円の児童手当をもらって家に入るよりは、少しお金がかかっても保育園を整備して育休明けに働けるようになった方がメリットも大きい。経済的支援も重要だと思うが、現物給付の組み合わせ、国と地方の役割、子どもの生活保障をどう考えるかという視点が必要ではないか。
 また、幼稚園期の学費が高い。働く人はお金が入ってくるので、同じような保育料を払っていても、世帯所得が幼稚園の方が低いという不公平感もある。また、圧倒的に教育費の負担が大きいのは大学、高等学校のときなので、教育費への対応はやはり重要だと思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 国と地方については、自治体で先導して新たな施策を上乗せして積極的にやったところが、不利にならないような制度設計を考えなければいけない。
 国がどこまでやるか、基本的には補助金はなくしていくという大きな流れの中で、少子化対策についての補助金はどう整理していくか、深く考えて系統的な整理をしなければいけない。
 地域の現物給付、子育て支援のサービスが最も重要だということは、専門委員会の一致した結論だと思う。5,000円、1万円のお金で救えるわけではない。それよりも一時預かり所などを、空き店舗でも何でも使ってやってきたところが、地域経済を活性化している姿をたくさん見ている。
 企業の取組を促進するときに、例えば環境政策なども非常にコスト高で企業に負担になるが、あるとき分水嶺を超えるとそれをやることが企業の評判になってくる。やはり政策の旗振りは重要である。どうやって認識形成ができるか。まだ非常に苦しい階段を上がっているところ。子育て支援に秀でた企業が喝采を浴びるところまでもっていくと、自発的な努力をどんどん引き出せると思う。そうなれば、財源を企業に求めてできるだけやっていきたいと思っている。
○奥山委員
 第1子目の支援が大事であるというのは本当に私自身もそう思っている。それで、一つは企業の方にはやめないで済むような施策を十分検討していただきたい。もう一方では、育休をとれる1年半の間に、地域において子どもがいるというすばらしさを親として認識でき、いろいろな人に手を借りて子どもを育てることの良さを体験してほしい。今親になる人たちは、小さい子たちと触れ合うことなく親になっている。仕事をしている方が逆に楽で、子どもを家で育てるのがつらいというお母さんも中にはいる。
 そうではなくて、仕事もバリバリできるし、子どもといる時間も、とてもいい時間として過ごせる環境が必要である。子どもにとってもそれは大事なことだと思う。
 一時預かりは地域の担い手でサポートしあう関係をつくっていただきたい。一時預かりの部分が非常に手薄いと思う。1時間800円だと働いてない場合は厳しいという状況があるとしたら、そこを少し補てんする。一時預かりの担い手を養成する。かゆいところに手が届くような形での一時預かりの仕組みを、地域の中にもっとたくさんつくっていく。それがフルタイムで働けない人たちの雇用の場にもなっていくという、環境をつくっていくと大分変わるのではないか。子育て中の親たちは、やはり手が足りない。父親に頼めればいいが頼めないので、日中はネコの手も借りたいぐらい大変な思いをしている。そこの担い手をふやしていく施策も大事ではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 例えば市が半分助成するというきめ細かいフォーマットが必要だとは思う。何かガイドラインをつくったり、あるいは自治体に競っていただき、いい企画に補助金を出すということもあるかもしれない。
○増田内閣府少子化担当参事官
 専門委員会のご意見にあった、在宅、保育バウチャーの議論が参考になると思う。在宅で子どもといる時間を大事にしたいという理由で、子どもを家で育てる専業主婦の方も大勢いらっしゃる。そういった方に対する経済的支援は児童手当しかない。一方、保育所に預ければかなりの公的な負担がでる。また、つどいの広場やファミリーサポートセンターの利用者負担は自己負担であるため、本来在宅の方に使ってもらおうと思いながら負担が重くて、結果的に働いている方が使っているような形になっている。そういう状況の中で、在宅で育児をしている方の支援策として、使用先を特定した保育バウチャーの議論になってくるのではないか。
○渥美委員
 私も、「保育バウチャー」は保育サービスに関する利用者負担を平準化する効果が期待されるし、一方で子どもを家庭で育てたい人には「在宅育児手当」という組み合わせが妥当だと思う。
 また、今税制優遇の話も議論になっているので児童手当と税制優遇をどう整理したらいいかということで一つ申し上げておきたい。N分のN乗に関してフランスの担当者は、「家族手当は特に低所得で手厚くなっており、高所得者でも子どもを多く持てるようにN分のN乗をやっている」と説明していた。日本でも仮に扶養控除を廃止してN分のN乗に変更すると、子どもの数による優遇よりも高所得者の方が優遇される。簡単な試算で2.4兆円の減収になって、これは所得税収の16.9%に相当する。家族手当で今給付されている3倍の額なので、子育て支援全体の中で実施するにはバランスを欠いているという気がする。
 まずは税制よりも、経済的支援をもっと拡充すべきであり、財政的な面からもそちらにインセンティブをつける方がいいのではないか。諸外国の流れを見ても、税制優遇よりも経済的支援策の方向で施策を講じている国の方が多い。
○案田委員
 扶養控除についても本当に低所得者のところは一定の限界があるので、それを考えると税制よりも児童手当の財源に回しいく方がいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 子育て税制についての考え方はいろいろあるが、その中で控除は整理して手当の方にというご意見か。
○藤本委員
 出産前の負担軽減で妊産婦医療費助成制度、検診も含めて取り組める可能性がどのくらいあるのか。不妊治療の医療費を、保険適用も可能性はあるのかどうか。乳幼児医療費の負担軽減、いろいろなところが就学前までは医療費を無料にしようという動きが出ているが、これはそのまま地方自治体に任せるのか、それともそういう動きがあるなら国も補助をしようという考えがあるのか、聞かせていただきたい。
○厚生労働省少子化対策企画室長
 医療の場合には、社会保険制度で運営をしていることからくる、いろいろな制約は出てくると思う。医療費を無料化するという政策を、社会保険制度の中でとることは、同じ保険料を払って医療を受ける人と受けない人がいてもいいのかという議論になる。それから、適正なコストと医療の関係がある。
 一時老人医療費が無料化されたが、十数年でやめたということもある。基本的に医療費を無料化するということと、社会保険制度で医療を維持していくということの間には、かなり大きな問題があるように思う。
 不妊治療の話や分娩費の現物給付の話があったが、今の医療保険の制度では、療養の給付という形で現物給付をしているので、病気でないものは外していって、不妊治療もどこまで病気かというところで、一部分は保険適用になっていて、体外受精みたいなものは適用にしていないということがある。そういうものをどんどん取り込んでいったときに、どういう線の引き方があるのかは、出産の問題にかかわらず、例えば、健康を維持するためのビタミン剤、あるいは予防のためのいろいろな取組、検診などもある。外縁に広がるものを、どのように整理をするかということもなかなか難しい。
○佐藤委員
 現状の施策についても、対象になる人はどれぐらい理解しているかということがすごく大事だと思う。育児休業についてもやめてからそういう仕組みがあったとわかっても遅い。法律上どこの会社に勤めても育児休業は権利として使えるが、就業規則に残念ながら規定していない企業がまだまだ多い。就業規則に書いてないと使えないと思ってやめてしまう。やめた後に、母子手帳に書いてあるのを見てもどうしようもない。
 必要になる前に、いろいろな情報がある、こういう環境があるから子どもを持てる、子どもを生んだ後もこういうサービスがあることがわかることが大事だと思う。
 どこで情報提供するかは検討する必要がある。例えば婚姻届を出したときに、まとまってわかるといい。働き続けながら子育てをする、あるいは仕事をやめて地域で子育てするときに、どういうサービスがあるのかは事前に伝わるような仕組みになっていない。何か工夫が必要だろう。
○前田委員
 横浜市の職員でも思った以上に知らない。自分が窓口になれば説明できるが、そうでないとあれだけ勉強して入ってきた公務員でも結構知らない。
 母子手帳を配布するときに、地域の子育て支援の雑誌や育児サークルの情報を渡しているので、一歩一歩改善しているが、いろいろな制度があること、使える仕組みがあること、環境改善していることを、皆さんご存じないのが実情である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 一番重要なことは、少子化対策の政策分野を主流化していくということだろう。それによって、多くの方が制度について聞いたことはある状況になれば、いざ自分がそういう立場に立ったときに調べるきっかけにはなるのではないか。
○大日向委員
 不妊カウンセラーをしている立場から、不妊の方々に対する何らかのバックアップ体制が必要ということは十数年前から考えてきているが、少子化対策の中で不妊治療ということが出てくることに対してはいささか疑問がある。
 その点に関しては、現行の保険制度の中で考えることが最も妥当だと思う。不妊治療は即少子化対策にはならない。治療しても子どもが生まれる成功率はよくて3割である。3割の子どもが生まれることと、不妊の方々に対するいろいろなプレッシャーとのバランスを考えることも慎重であってほしいと思っている。
 もう1点。財源の確保は緊急の課題だと思う。どういうところから家族給付、子育て支援関係の財源を確保するか。やはり社会みんなで子ども守っていこうというときに、ここでも介護保険の考え方はある程度参考になると思う。親が生きている、死んでいるにかかわらず、40歳以上の人間はみんなお金を出して介護保険を払っている。育児保険というネーミングが妥当かどうかは議論があると思うが、子どもがいるいないに関係なく、みんなで支え合うことで財源につなげていく議論は、慎重にかつ積極的にやっていく必要があるだろう。
○増田内閣府少子化担当参事官
 日本の場合、介護保険が非常に介護不安の解消、介護拡充に役立っており、評価が高いが、社会保険だけが社会的な仕組みかというのも議論としてはある。フランスの手厚い家族給付は、基金をつくって企業からの拠出金で行っており、社会保険の仕組みではないが、企業が一従業員のための福利厚生ではなく、社会全体でやろうという発想でつくっている。
○大日向委員
 福岡市では子ども未来基金というのをつくっている。企業が地域の子育て支援に寄附をする。そうすると、税制面で優遇されるというシステムである。
○前田委員
 横浜市も小児医療費の無料化の要望が多く、今度は就学前まで拡大しようとしているが、二次救急をやっている先生から、救急がただなので気軽な夜間診療所と化して、小児科が疲弊する状況になっているのでどうかという意見が来ていることはたしかである。一次救急、二次救急、三次救急の組み合わせがわかりにくいためかもしれないが。
 医療については、新臨床医制度が始まり、各科を回ると小児科の大変さがわかって、今年は小児科を志望するお医者さんが半分になった。数年後には充分な医師の供給ができなくなるのではないか。横浜は保健関係や小児精神科医の公募を行っており、全国から来ていただいているが、地方の臨床の現場で疲れたお医者さまが行政医として臨床現場を離れて仕事をしに来てくれているので、臨床現場の産婦人科のお医者さんや小児科のお医者さんが減っているのではないかという気がする。
○藤本委員
 乳幼児の医療費の助成をする場合、救急の加算がある。この加算部分についてはいくばくかの負担をいただくことも必要だろう。大分でも今就学前の医療費助成があり、従来は3歳未満までと入院の就学前までは無料だったが、今度は外来も就学前まで助成しようということで、助成の財源として、3歳まで、今の無料の部分と就学前までの入院の無料の部分から1回に500円ずつとって財源に充てようということになっている。これは小児科医みんなで反対している。今まで助成がなかった外来の、3歳以上6歳までの就学前まで助成するならやれる範囲でやればいい。今まであった制度を後退させる必要はないのではないか。
 今までの制度の中でも、救急の医療のコンビニ化ということは確かにあるが、それは育児不安を反映しているものであり、ある程度認めなくてはいけない。
 しかし、時間外や休日の診療について今回非常に大きな加算が出る。これをそのまま無料で助成するのはおかしいのではないか。時間外や救急を利用する人は全人口から見ると10%しかいない。90%は利用してない。10%の人たちだけに手厚いというのはおかしい。加算でまかなえている部分は、加算に相当する部分のいくばくかの費用を負担してもらう。コスト意識を持ってもらうために負担を導入して欲しい。
 それ以外の一般の診療のときには当然育児不安もある。だから、何度でも気軽にその診療にかかるようにしたらいい。そのためには無料がいいというのが私どもの提案である。
 子どもを育てていく中で、突然思わぬ出費になるのは子どもの病気である。子どもが病気するかわからないから一月に家計の中からいくらか確保しようという家庭は少ない。子どもの思わぬ病気による出費に対する経済的支援は大きな柱になるべきだろう。
 出産は本来祝われるべきで、少子化の中では国家から祝われていい。この出産費に対する経済的支援はぜひ必要である。出産時の一時金は立て替え払いではなく、直接医療機関に払うようにして、お産が始まったら何も考えないで、あなたの好きなところにいって好きなように快適ないいお産をしなさいという、国がすべてちゃんと支えますという安心できる制度であるべきだと思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 一番大事なのは、本当に必要な制度的な調整あるいは設計をきちんとしていくことだと思う。

5.閉会


 事務局より、次回は4月11日(火)14時から開催する旨の発言があった。