少子化社会対策推進専門委員会(第7回)議事要旨

1.日時

平成18年4月11日(火)14:00~16:00

2.場所

中央合同庁舎第4号館 4階共用第2特別会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子
資生堂執行役員企業文化部長
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
藤本 保
大分こども病院長
前田 正子
横浜市副市長

4.議事概要


○猪口内閣府特命担当大臣
 本日は、後ほど、長勢内閣官房副長官が出席されることになっている。
 前半で、これまで議論できなかった「子どもの安全・安心」と「子育て支援に向けた国民運動の推進」について議論し、後半で、これまでの議論の取りまとめについて意見交換を行いたい。まず、事務局から説明を行う。
○増田内閣府少子化担当参事官
 まず、「子どもの安全・安心」についての資料をご説明したい。最近学校への登下校時にいろいろな犯罪が起きている。世論調査をしても、安心できる生活環境の確保に大変高いニーズが寄せられているため、今回の議論のテーマとして設定した。資料1-1(PDF形式:463KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料1-1(HTML形式)
 議論の課題の1点目は、安全確保の観点からどのような取組を進めていく必要があるのか。2点目は、スクールバスの導入が有効な手段の一つと考えられているが、市町村でスクールバスの導入を進めていくには、どういう取組がよいのか。3点目は、学校や地域で学校安全ボランティア(スクールガード)の養成・研修、スクールガードリーダーの巡回指導、安全・安心な子どもの居場所づくりの推進等をどのように組み合わせたらよいのか。4点目は、保育所等への送迎に際して、民間のタクシー会社を活用したらどうかというアイデアをどう考えていくのか。最後の点は、学校が終わってから両親が帰宅するまでの間のいわゆる「魔の8時間」対策をどのようにしたらよいのか。生活塾の構想、放課後児童クラブ、ファミリ・サポート・センターの活用などを図れないかという点である。
 次からは、関連する資料を紹介している。
 昨年12月20日に犯罪から子どもを守るための対策に関する関係省庁連絡会議で決定した事項の概要では、緊急対策6項目として、全通学路の緊急安全点検、すべての学校における防犯教室の緊急開催、すべての地域における情報共有体制の緊急立ち上げ、学校安全ボランティア(スクールガード)の充実、路線バスを活用した通学時の安全確保、国民に対する協力の呼びかけを整理し、全省庁で取り組んでいくことを決めている。
 スクールバスについて現在どのような予算面での措置があるかを見ると、地方交付税交付金によるスクールバス経費の措置として、公立小中学校でスクールバスを維持運用している自治体に対して交付税措置を行っている。平成17年度は1台当たり580万円程度を交付税算定をしており、措置台数は、平成17年度で小学校、中学校合わせて4,594台となっている。
 また、僻地児童生徒援助費等補助金制度では、山間地、離島などの公立の小学校の教育の振興を図るために、僻地教育振興法に基づいて、スクールバスやスクールボートに対して2分の1の補助が行われている。スクールバス・ボートを所有する市町村の数は954市町村、所有台数はスクールバス、スクールボート合わせて3,342台、このうち僻地児童生徒援助費等補助金を受けた台数は2,100台である。
 また、スクールバスとして、路線バスを活用する手段もある。資料1-2(PDF形式:462KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料1-2(HTML形式)平成18年2月17日に、文部科学省、警察庁などが出した通達で、路線バスをスクールバスとして活用することが児童生徒の通学時の安全確保のための一つの有効な方策であるといった観点から、どのような方法で活用したらよいのかといったことを示している。地域の実情に応じて運行ルートなどのさまざまな点を設定することが必要であるとして、地方公共団体が協議会を設置し、教育長や学校、保護者、バス事業者、警察等の関係者間で合意形成を図りながら導入したらどうかといった、導入の筋道について通達で指示をしている。
 地域ぐるみでの学校安全体制の整備推進事業については、文部科学省で18年度は予算を拡充して取り組んでいこうとしている。具体的には、学校安全ボランティア(スクールガード)の養成・研修、防犯の専門家による巡回指導と評価、学校安全のためのモデル地域の指定による取組の推進について予算措置をしている。
 安全・安心な子どもの居場所づくりの推進については、文部科学省が地域子ども教室推進事業として、平成16年から18年の3カ年、地域のいろいろな方々が参画して、子どもたちと触れ合ったり、そして子どもたちを保護していくといった事業を行なっている。
 子ども待機スペース交流活動推進事業は、子どもをねらった犯罪がふえていることから、小学校低学年の子どもが家に帰るときに高学年の子どもたちと一緒に帰るように、一定時間校内に待機スペースを設置していこうという事業である。18年度の新規事業で、全国1,150市町村、1市町村当たり1カ所で実施をしていこうということで、地域住民とも連携をとって、子どもの登下校の、特に下校時の安全を確保しようというものである。
 警察の事業では、資料1-3(PDF形式:241KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料1-3(HTML形式)県警のOBの方々を活用したスクールサポーターを養成して登録し、学校や地域における非行防止や犯罪防止のために役立てていこうというものもあり、こういった施策も組み合わせて考えていくことになるかと思う。
 保育所などへの送迎に際して民間のタクシー会社を活用することについては、国土交通省が昨年の1月に東京の府中市で実証実験を行った。実証実験を行った結果をみると、利用者からは、金銭的な負担が大きい、予約制なのでなかなか突発的な利用に対応できない。タクシー事業者からは、乗務員の負担が大きくて採算性がとれないなどの課題が上げられており、事業を拡大していくためには、利用者も事業者も納得できる料金設定、タクシー事業者間の連携協力、育児支援サービス提供者との連携等、多くの課題があるという結果となっている。
 生活塾モデル事業は、魔の8時間対策として提案されたものであるが、それ以外にも放課後児童クラブの時間延長、ファミリー・サポート・センターの活用など、さまざまな方法があるかと思う。
 続いて、「子育て支援に向けた国民運動の推進」について説明したい。資料2(PDF形式:247KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料2(HTML形式)
 議論の課題の1点目は、働き方の見直しや、仕事と家庭・育児の両立支援等を進めていくために、官民一体となった国民的運動をどのように推進したらよいのか。2点目は、経済団体や業種別団体、地域等にどのような役割が期待されるか。3点目は、企業内の取組にとどまらず、企業が社会や行政との連携の下に子育て支援を展開するためどのような方策があるのか。4点目は、内閣府の平成18年度新規事業である「官民一体子育て支援推進事業」を展開する際どのような点に配慮したらいいのか、ご意見をいただきたい。
 次に、内閣府の「官民一体子育て支援推進運動事業」を紹介している。経済団体、労働界、行政、学識者、マスコミ関係者等による連携会議で運動方針を決定し、各団体で働き方の見直しや両立支援に取り組んでいただく。一方、内閣府では、全国、地方でシンポジウム等を開催する予定である。
 各団体での取組の参考として、次世代育成支援対策推進法の行動計画の指針となる、雇用環境の整備や働き方の見直しに関する労働条件の整備等の事項を紹介している。
 また、企業の取組の参考となる事例を紹介している。例えば、各県でミレニアムパスポートなど、子育て世帯が協賛企業から物品を買ったり、飲食したときに割引があるといった仕組みがある。また、多様な保育サービスと働き方の見直しの連携、地域の企業間での連携、子育て支援に取り組む企業の評価づくり等が取組の例になるのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 まず、「子どもの安全・安心」についてからご議論いただきたい。
○藤本委員
 スクールバスのアイデアは非常によろしいのではないか。今、バス会社は利用者が減って、経営がおもわしくない。特に過疎化した地域では、路線が廃止されている状況である。子どもの登校、下校時にあわせて運行すれば、地域の産業を守るという意味でも非常にいい。バス会社に助成を行って実行できるといいのではないか。 
○猪口内閣府特命担当大臣
 財政状況を考えれば、既存のストックをどう有効利用するかが大きな課題である。スクールバスが必要であるという意見はブロック会議、国民の声として寄せられているが、まずは既にあるストックをどう活用するかという観点から議論すべきである。
○藤本委員
 バスを降りてから各家庭までの安全対策も必要である。地域で手のすいた方が、当番制で各家庭まで子どもたちを安全に届けていけるように、スクールガード等のシステムをスクールバスと組み合わせれば、より生きるのではないか。
○大矢委員
 スクールガードや子どもの居場所づくり、子どもの待機スペース等、いろいろな取組が行われているが、預ける側としては、安全なガイドラインや預かっていただく方の認定制度等、安全を保障する制度があればいいと思う。
そのためには、安心・安全の活動の柱が必要ではないか。子どもをある年齢に達するまで、例えば小学生の間はひとりにしない。そのために、各地域の行政の窓口を一本化させて、いつ、どこに子どもたちがいるかがわかるようにしていくことが必要なのではないか。
○大日向委員
 学校から家までスクールバスで安全に届けても、その後の子どもの居場所がないと親は安心できないため、放課後安心していられる場所をもっと増やしていただきたい。子どもの居場所づくりは3カ年計画と記されているが、3カ年で終わってしまうのはもったいない。何事も3年ぐらいでようやく芽が出たり、定着しかかるものであるため、何らかの形で継続して、子どもの放課後の居場所を地域ぐるみで考えていくことをぜひともお願いしたい。 
○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
 事業の効果について、子どもたち、子どもの保護者、学校の校長、地域の指導者、地域の方々それぞれにアンケートをとっているところである。それぞれから大変高い評価を受けており、この活動が地域に根づいていくことが非常に大事だと思っている。今後とも活動を続けられるように取り組んでいきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 どういう形ですべての児童の放課後の安全・安心、充実した時間というものを確保していくか。また、その中で多様な地域の力を活用していくか、いろいろと考えていくことが多い。
○案田委員
 スクールバスから自宅までの生活道路に、車が入ってくるという問題がある。子どもたちはほとんど歩道と同じような感覚でいるので、そこに対する安全措置、車が入りにくくする、入ったときにスピードが出ないようにする等の措置も必要なのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 交通安全対策に関する基本計画をこの間策定したばかりである。その中で歩行者重視の交通安全、交通体制を掲げている。学校の周り等の非常に狭い道路に対する方法論についても検討していきたい。
○奥山委員
 スクールバスは地方で学区が広いところには非常に有効だと思うが、首都圏は道が狭くて、車が近づくことが厳しい。また、学区が大体15分圏内でどこから歩いても15分で行ける。この1週間ほど集団登校、集団下校だったが、ポイントに子どもたちが集まって、6年生が引率して校外委員のお母様が連れていくことで、地域の人たちとも顔見知りになれる。都心部では顔の見える関係性が作りにくいため、かえって子どもたちが歩いていくことに意味があるのではないか。
 居場所づくりについては制度が幾つもあって、居場所も多様にあるため、制度間の整合性も今後考えていくべきである。地域にもいろいろな事業がおりてくるが、ボランティア価格で、非常に担い手不足となっている。受け入れ可能な仕組みや人材育成が必要である。
 タクシーについては、高齢者に関してはタクシー以外の民間業者、NPO等の移送サービスができると聞いているが、子育て支援の分野でも、タクシー以外のNPO等の移送サービスができてくれば、例えばファミリー・サポートの際、お迎えに車で行きたいといったときの対応ができるため、検討いただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 びーのびーのでは、近くの男子大学生がベビーシッターをやっているなど、地域の様々な人材が担い手として参加していてすばらしいと感じた。スクールバスについては、地域特性も踏まえて議論すべきだろう。
○前田委員
 横浜は小学生だけで19万人いるので、スクールバスの導入は現実的ではない。都心部などでは居場所づくりの方に力点を置くべきだと思う。一つの学校で放課後に居場所を求める子どもたちが100人を超えている。学校外の施設で親が運営にかかわる学童を、また、学校施設を使って全児童的なものをやっている。さまざまな事業が今出てきており、例えば学校で展開している放課後キッズクラブは、夜7時まで預かっておやつを出す事業である。ボランティアの力も借りているが、中心となるスタッフには月給24万円を払っている。それなりのお金をかけてハードの整備と人材の確保が必要であり、それにボランティアの方を組み合わせることが必要である。
 放課後児童施策には、横浜市は年間40億円ぐらい使っているが、国からの補助は1億5,000万円ぐらいである。地域子ども教室推進事業や子ども待機スペース交流活動推進事業など、細切れでいろいろなメニューが出てくるよりは、子どもの放課後対策という観点で予算をまとめて、地域の裁量で使わせてほしい。例えば居場所づくりの推進は文部省のメニューを土曜日の午後使って、平日は厚生労働省のものを使う等、現場での対応は非常に難しい。子どもの居場所をつくるにはどうしたら一番やりやすいかという観点で予算組みを考えていただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 今回、認定子ども園という形で、就学前の子どもについて各省連携のもとで新しい流れをつくることができた。その上の年齢についても、どのような対応ができるのか、引き続き検討していきたい。
○藤本委員
 子どもの安全については、子どもの事故をサーベランスする、調査するシステムがないことが問題である。厚労省で、家庭用品による事故については非常にたくさんモニタリングしているが、あらゆる事故を対象にすべきである。特に子どもが入院するような事故が大事である。入院施設を持っている病院に、事故によって入院してきたすべての子どもについて報告させるようにする。それを一カ所で集計して、原因と対策を考え、予防的な措置がとれるようなシステムづくりをぜひ行ってほしい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 子どもの安全・安心は、国民の要望が非常に高く、また公正な社会という観点からも非常に重要な点であり、伺ったご意見はしっかりと受けとめる。
 次に、国民運動に向けた議論を行いたい。
○渥美委員 資料4(PDF形式:457KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料4(HTML形式)
 両立支援策が業績にプラスになるというデータを紹介したい。両立支援企業と一般企業を比べると、両立支援企業では過去10年売上高が27%伸びている等、プラスの影響が出ている。なぜ両立支援が事業業績にプラスになるのか。両立支援策と企業業績の見かけの相関を見ても余り意味がない。両立支援策を推進するときには企業は組織また業務体制全体を見直す。それが両立支援策の後押し要因となり、企業業績にもプラスになることを定量的に分析している。
 今後の対応策として、第一に表彰制度の改善を提案したい。各都道府県労働局長賞に関して、両立に関して先進的な取組を行っている企業が多い地域では、遅れている地域よりも受賞企業を増やしたらどうか。また、「取組への最初の一歩」を踏み出した企業を「子育て応援宣言企業」として表彰するなど、表彰のハードルを下げて増やすという自治体の取組を全国に広げるべきだ。
 第二に、一部の企業だけを評価するのではなく、すべての企業がどのくらいの順位になるのかがわかるように、各企業の基礎データに関する調査を実施し、定期的な担当者面接等によりデータを更新、取組の進捗等を把握し、認証する機関があってもいいのではないか。基礎データを公的にきちんと作ることができればCSRの観点から利用されたり、学生が就職時に参考にするといった利用が見込まれる。
 第三に、行動計画の公表は第一段階としては、有意義。両立先進企業の取組が広く知られるようになることが期待される。ただし、良いことしか書かれていないため、一般企業にとっては、「とても真似できない」となりかねない。第二段階としては、匿名性を確保しつつ、企業の追加負担の有無など掘り下げた内容を開示する方が一般企業の参考にはなるであろう。さらに第三段階としては、さまざまな企業の取組を分析し・考察した結果を公開することも重要である。
 第四に、企業が両立支援に取組む際に、ケース別に導入プロセスを明記したマニュアルを作成し、普及させる必要がある。成功モデルはケース・バイ・ケースであり、従業員、規模、業種、地域等により大きく異なる。このため、両立支援の導入プロセスも決して一通りではなく、ケース分類したものでないと、実際の導入にはなかなか結びつかない。
 第五に、イギリスではチャレンジ基金を作って、貿易産業省が選定した雇用制度専門のコンサルタントがコンサルティングを行う費用の一部を支援してきたことが、草の根から企業の取組を促す大きなインセンティブになったと聞いている。我が国でも子育て基金を作って、両立支援に取組たいという企業を支えていく仕組みを作るべきではないか。個別企業の最適ミックスをきめ細やかにコンサルティングする役割が非常に重要である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 国民運動の中で、ケース別のマニュアルを提示し、企業が参考にしながら応用できるようにするのは一つのアイデアである。
○佐藤委員
 国民運動を進める目的は、企業や国民の意識を高め、具体的に活動をしていただくことである。そう考えると、一方で次世代法のこれまでの取組を見たときの問題点を考えておく必要がある。次世代法によって、301人以上の企業は相当数行動計画を作っているが、実際に聞いてみると、うちの会社は関係ないという企業が多い。実際に、高齢者が多い、あるいは女性がほとんどいない企業が多い。もちろん次世代法では、社員の子育て支援だけではなく、地域でのインターンシップ受け入れや工場見学等も入っているが、それだけではうまく認定が取れないため、社員の子育て支援を促進するものだというメッセージとして受けとめている企業が多い。
 今回の国民運動も、さまざまな企業や、社内の未婚の人や高齢者の人の支持を得ることが大事である。企業の中での働き方の見直しがコアになると思うが、子育て支援のためだけとなると、やはりうちは関係ない、私は関係ないということになりがちである。
 働き方の見直しができれば子育てにもプラスになるという入り口はいいが、打ち出し方が問題である。国民運動として、すべての企業に、すべての社員に支持されるようにするためには、子育てのためというよりは、もう少し広目に打ち出すことが必要である。そこの打ち出し方をどうするか。やることは同じ、働き方の見直しである。しかし、子育てのためだけにやるのではなくて、働いている人全員にとって大事なことだということを打ち出していくことが大事である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 大変重要なご指摘である。海外では家庭と仕事の両立と言わず、ワーク・ライフ・バランスと言うのは、いろいろな理由で労働を中断することが長い人生にはあり得るという観点からである。例えばパスポート事業など、従業員の子育てのためではなく、地域の子育てに寄与するという関わり方も、運動になりやすいのではないか。運動の中で好事例を紹介し、自発的な広がりにつながるといい。
○前田委員
 今、自治体の現場にいて危機感を持っているのは、これだけ少子化が話題になりながらも、子どもたちに対する社会の許容範囲が狭まっていることだ。中学校の朝のクラブ活動の声がうるさいのでやめさせてくれ、中高生がクラブ活動でランニングする声もうるさいからやめさせてくれといった事例に事欠かない。保育所をつくるときの反対運動も厳しいものがある。幼稚園でも、保育園でも子どもたちを思いっきり声を上げて外で遊ばす時間帯を決めたり、遠慮しながら子育てをしなければいけない。公園で、子どもたちが砂場に水を入れて遊んだりすると、必ず公園事務所にやめさせろと通報が来る。マンションの前にプールを出して遊ばせて歩道に水が流れると、道路管理者に必ずやめさせろと電話が来る。子どもたちが声を出して遊ぶ、ちょっと物に触ってみると、すぐに行政に文句が来る。そういう意味でお母さんたちが息苦しくなっている。国民運動を広げる上でも、子どもたちを受け入れよう、許容しようという文化を見直すことが必要なのではないか。
○大日向委員
 渥美委員から、両立支援が必ずしも企業の業績アップに因果関係でつながるわけではないというご説明があり、確かにそのとおりだと思う。両立支援をしている企業が業績を上げているのは体力があるからではないか。組織や業務体制を見直すことができる体力を持った企業が一つの方策として両立支援もして、業績も上げているのではないかという反論もあるだろう。企業によっては、組織、業務体制を見直したことが結果的に両立支援につながらないこともある。業種によってきめ細かく考えていくことが必要であり、それが働き方を見直すときの基本的な視点となるだろう。そこをきちんと押さえないで、子どもがいなくて大変だといって国民運動になってくると、かえってアレルギーを起こす人も出てくることも心配される。
○渥美委員
 業績がいい企業は、組織、業務体制の見直しができるのではないかというと、必ずしもそうではない。ヒアリングしたいくつかの企業では、むしろ経営状況が悪いときに危機感を持って取り組んでいる。かつて業績が極度に悪化し、赤字転落するような危機的な状況下で、今まで行ってきたやり方を抜本的に見直す中で、両立支援に取組、その後V字回復につながったという事例は少なくない。
 「組織、業務体制の見直し」の本質は、時間当たりの生産性を高める運動だと思う。ワーク・ライフ・バランスは、社員が疲弊しないで仕事をする時間の生産性をいかに高めていくかということであり、結果として、企業業績にプラスに貢献するという戦略的な観点から取り組む企業が徐々に増えてきている。そういう状況下で最近は、ワーク・ライフ・バランスへの関心が高まっていると理解している。
 その方向で国民運動をやっていけば、従業員と企業がWIN―WIN関係に持ち込めると思う。基本的には、子どもの有無に関わらずすべての従業員にとってより良い就労環境になり、なおかつ企業にとっても業績にプラスになる、結果的に子どもも生まれやすい、育てやすい環境ができることが期待される。従業員よし、企業よし、少子化改善という「三方よし」というのを強調していったらいいのではないか。
○佐藤委員
 両立支援と企業業績の間には変数が多く、海外の研究でも実証されているものはないと言っていい。正直に言えば、みんな同じように両立支援をやれば効かなくなる。だから、両立支援をやると企業業績が上がるということは余り言う必要ない。やらないとマイナスになる可能性はあるということは言える。例えば人材の確保、定着、育成についてはかなり出ている。しかし、業績がプラスになるかどうかは別であり、トップのポリシー等、別の要因が大きいため、余り言わない方がいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 両立支援のように時代が求めていることに敏感な経営者は、競争社会を勝ち抜く判断をされる場合が多いのかもしれない。
 前田委員の発言については、日ごろどういうあいさつを近所にしているかというレベルのことが、例えば学校も近隣の住宅の皆様とコミュニケーションが可能な地域性がかつてはあった。それが衰退したのはなぜか。それを再構築するのは可能か。マンションの前での水遊びも、保護者が地域と関係を築く余裕があるのか。働き方と関連して余裕がないということなのかもしれない。そういう視点からも考える必要があるかもしれない。必ずしも、子どもについて許容度が全くない社会ではないと思うが、地域とのコミュニケーションの取り方は、マンションの鉄のドアを閉めて暮らしている中で変わっているのではないか。
○奥山委員
 子育て支援のNPOを立ち上げたのも、縁あってそこに住んでいるのに、地縁、血縁のない地域の中で子育てをしている親たちが、地域にうまく軟着陸していけるような関係づくりがすすめられるよう応援していきたいという願いからだ。ベビーカーで移動するときのバリアや、新幹線に乗って地方の実家に帰るときも、サラリーマンが寝ている中で子どもが騒ぐものなら白い目で見られる等、子どもを連れて移動するバリアが非常に厳しい。
 電車の中で、たばこを吸うとどれだけ迷惑をかけるかというウィットの富んだマナーポスターがあるが、子どもが騒いだときに周りの人たちがどうサポートするかというものがあればいい。電車で騒がれると大体嫌な顔をされる。しかし、広尾あたりで、外国人のママが乗ると、双子のベビーカーを乗せて、私は子育て中よというばかりにアピールをする。社会の優しさみたいなところを啓発できるようなポスターがあるといい。それに企業協賛を募る。
 カナダではパパプログラムを普及させるために、パパは素敵な職業であるという非常にコミカルなコマーシャル一定期間流した。国民運動に広げるためには、みんながわかりやすい媒体の活用も必要ではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 国民運動について、多くのアドバイスをいただいた。
 次に、これまでの議論の取りまとめについて、事務局から説明したい。
○増田内閣府少子化担当参事官
 取りまとめの参考となるように、これまでの議論について整理をした。資料3(PDF形式:200KB)PDFを別ウィンドウで開きます資料3(HTML形式)
 基本的な考え方であるが、現状認識として、予想以上の少子化の進行と人口減少社会の到来、国民ニーズの高まり、第2次ベビーブーム世代がまだ30代にあるここ5年間が特に重要であり、時間との闘いの局面に入っているということである。
 新しい少子化対策の考え方は、子どもは皆国の宝、社会の宝、地域の宝、家族の宝という視点、子どもの視点に立った対策、子育て家庭を社会全体で支援する対策が必要である。家庭や地域を支える対策、家族や地域のきずなを深める施策が必要である。こういった点を基本的な考え方として挙げている。
 総論的な意見であるが、スピード感を持った取組の重要性、対策のメニューは出そろっているが、今後は優先度を明確にして取り組むべきではないか。例えば小さな子ども、3歳未満の子ども、在宅の子育て支援に対して集中的な施策を打っていく、あるいは最初の子どもを持つことに重点を置いた施策が重要ではないかという指摘があった。
 また、少子化対策というよりは家族政策という視点が重要ではないか。子どもを持つことの阻害要因を一つ一つ除いていくことが重要ではないか。高齢者向けに手厚い予算配分をもっと子どもに振り向けるべきではないか。地方自治体の子育て支援サービスに格差が生じており、それを埋める支援策が必要である。地域、企業、NPO等、民間の力を活用すべきである。こういった点が総論的な意見としてあった。
 働き方にかかわる施策についてであるが、企業の取組の推進に関してこれまでの議論と考え方を整理すると、地域と企業の協力が重要である。子育て支援を宣言する企業を県が登録する、県知事による表彰制度、パスポート事業のように県内企業の協賛を求める事業を行う県が出てきている。子育て支援企業に対する地域や社会からの評価が重要である。情報提供を拡大していく。経済的あるいは人材面での企業へのインセンティブが必要ではないかといった議論があった。
 具体的施策の進め方としては、企業の自主的な取組を促進する。企業と自治体トップの意思疎通を図る。行動計画についての情報提供等、自治体と労働局の協力を図る。子育て支援に取り組む企業に情報提供をしていく。企業の取組に対する経済的インセンティブとして、入札時の評価、金融機関の低利融資等の意見があった。
 育児休業の取得促進等、勤労者に対する子育て支援についてのこれまでの議論としては、なかなか育児休業の取得率が上がっていかない。特に男性が非常に低いことに対して、職場内の風土の問題、人事評価の問題、所得面の問題等の解決が重要である。企業の活動との整合性を図るといった意見があった。
 具体的施策の進め方としては、企業の取組を支援する仕組みとして、税制の優遇措置、企業の取組状況の指標を設定して、公表し、企業間で競い合うことにする等のインセンティブの検討。ワーク・ライフ・バランス運動は、両立支援の対象を育児だけでなく、介護、自己啓発、社会貢献活動等、幅広いものにして、だれでも参加できるようにしていくべきではないか。企業がコスト負担について、事実関係を誤解している場合があるため。正しい情報を提供する必要があるといった意見があった。
 仕事と生活の調和のとれた働き方の実現についてのこれまでの議論としては、職場内でのコミュニケーションが重要ではないか。具体的施策の進め方としては、まず年次休暇、有給休暇の取得ができる職場づくりが重要ではないか。サポートする仕組みについて労使でもっと議論する必要があるといった意見があった。
 女性の再就職等の支援策の推進についてのこれまでの議論としては、出産した女性の約3分の2が仕事を離職している。その後の再就職の情報が不足しているのではないか。マザーズハローワーク等を使いながら情報を提供する。起業を含めた再チャレンジの取組。放課後児童クラブの拡充等の意見があった。
 具体的施策の進め方としては、身近な情報、相談できる機関が身近にあるようにする。再就職環境の整備を進めていくということである。
 地域や家族の多様な子育て支援に関しては、働いている、働いていないにかかわらず、すべての子育て家庭に対する支援が必要ではないかという意見が多かった。特にゼロ歳から2歳児の85%は家庭で子育てが行われているが、公的なサポートが手薄ではないか。
 多様な子育てニーズを支える必要性として、親の養育力不足が目立つ一方、地域社会での子育て力も低下しているのではないかという指摘もあった。
 子育ての不安、ニーズを把握することが重要であり、市町村が子育て家庭に対してサービスの説明や問題の把握が十分にできていないため、子育てカウンセラーやコーディネーターの必要性が指摘された。また、母親たちが漠然とした孤立感、不安感の中で子育てをしている。専業主婦向けの施策もあるが、使い勝手が悪いといった指摘もなされた。現状の制度が理解されていないということで、情報提供の仕組みが重要であるという意見もあった。
 具体的施策の進め方としては、地域の子育て力を向上するためには人材の育成が重要である。子育て支援のマインドをしっかりと身につけた人材をふやしていくことが重要であるという意見があった。
 子育て支援のためのネットワークの構築として、例えば保育園を登録するマイ保育園制度、あるいは大分で行われているペリネイタルビジット等、関係機関が連携をとって支援する仕組みが紹介された。
 訪問事業の重要性について、初めて子どもを持った人を多様な人が家庭訪問する事業が虐待防止にもつながるのではないかといった指摘。多様な保育ニーズを提供する拠点の整備が重要であるという点も挙げられた。
 地域の子育てへの支援の強化についてのこれまでの議論としては、企業の両立支援と子育て支援との連携が重要である。働き方の見直しも進めながら、地域の子育て支援が重要であるといった指摘があった。
 具体的な施策の進め方としては、地域における場所、人材等の既存の資源の活用として、現在行われているさまざまな施策を連携して、地域の育児力向上につなげる必要があるという意見があった。
 地域における多様な人材の活用として、学生の家庭支援ボランティアの育成、集いの広場を活用してボランティア事業を膨らませていくといった指摘があった。
 地域における働き方と保育サービスの調整として、育児休業の取得促進とともに、育休からの復帰を支援するために、保育所を1歳から活用できる等、育児休業と保育サービスとの調整も必要であるという指摘があった。
 待機児童ゼロ作戦の推進等、保育サービスの拡充についての具体的施策の進め方としては、保育ママ、あるいは家庭内の保育に対する支援、病児保育の拡充、充実、保育所の利用予備軍等に対して、どのようにこれから保育サービスを拡充していくのかといった指摘があった。
 放課後児童対策についての具体的施策の進め方としては、放課後児童クラブの待機児童対策として、放課後児童クラブの設置促進、担い手の育成、設置基準の明確化等が指摘された。
 経済的支援についてのこれまでの議論としては、若い世帯は相対的に所得水準が低いため、若年労働者への所得補償という観点からも進めていくべきではないか。出産、子育てに関する直接的な費用の軽減だけでなく、機会費用の軽減、労働をやめて収入が減る部分を減らしていくことも重要ではないかといった意見があった。
 児童手当と税制との関係では、税制より児童手当の経済的支援策の方が適当ではないかという指摘。子どもを出産する前後は親の所得も低く経済的負担が大きいため、この時期に重点的に支援を行うことが子どもを持つインセンティブにつながるのではないか。1人目については仕事を続けることに力点を置いて、2人目から地域の支援や経済的支援が効くようにする。経済的支援だけではなくて、企業や地域の支援を総体的に考えていくべきではないか。現金給付は国が行い、地方自治体は主に現物給付、サービス面を担当するという役割分担が必要ではないか。財源としては、介護保険のように皆で支え合うというようなものも必要ではないか。個々の家庭に少額の給付よりも、その財源を用いてサービス面の拡充が必要ではないかといった意見があった。
 具体的施策の進め方としては、税制面での優遇措置、出産時における負担の軽減、児童手当の1人当たりの給付水準を引き上げる、バウチャーとの組み合わせといった意見もあった。また、育児休業中の社会保険料免除とあわせて、産前産後休業中の企業の負担軽減のための社会保険料免除。祖父母からの支援に対する対策。妊娠中の健診費用の負担軽減。出産時の現物給付的な仕組みが本人も医療機関もメリットが大きい。児童手当だけでなく教育費の負担軽減、地域の支援、意識改革等の組み合わせが必要といった意見があった。教育費の問題では、義務教育期間以外、幼稚園、大学が課題ではないか。教育ローンも経済的支援策に入るのではないかという指摘があった。一時保育、ファミリー・サポート・センターは在宅の家庭では利用料負担が大きく利用できないため補助が必要ではないかという指摘もあった。
 その他の議論として、少子化対策の効果についての実証分析の必要性、未婚の人に対する対策の必要性、子育ての住環境づくり、子どもの事故の原因調査といった意見もあった。
○猪口内閣府特命担当大臣
 不足のところがあればご指摘いただきたい。また、さらなる議論があればお願いしたい。
○藤本委員
 共通認識として、初めての妊娠、初めての出産、初めての子育てというのは、それだけでハイリスクだという認識を持っていただきたい。従って、必ず支援が必要だという観点で、これからの議論を進めてもらいたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 基本認識のところに入れるべきかもしれない。
○藤本委員
 今までの施策は、受け渡し方式である。妊娠中はこういう制度、出産のときはこういう制度、分娩したらこういう制度、幼稚園、保育園、小学校と受け渡していく。しかし、これからは、すべてが並行して絡み合っていけるような制度設定にしていただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 連結点の問題だろう。例えば待機児童が保育所だけでなく、小学校で増えているということも、連結点をどう考えるかという議論が必要だろう。
○渥美委員
 団塊ジュニアがまだ30代にあるここ5年間が特に重要だというのは、本当にそのとおりだ。一方で限られた財政状況でもあるので、今後は費用対効果に基づく政策検証を毎年実施していくべきではないか。その際に、効果を測定する指標として「出生率」の回復だけでは問題があるという指摘もあるだろう。しかし、出生率1.29をさらに下回ることになったらメディアも騒ぐし、国民の不安感も高まる一方だ。よかれあしかれ「出生率」は一つの大きな指標になっているので、出生率を指標に効果を測定することはやむをえないのではないか。ちなみに韓国では、出生率1.6の水準への回復を目標値として掲げ、低出生対策として行っている政策の検証を毎年行うことに決めた。日本でも毎年検証して、効果がない政策はやめて、効果があった政策を広げていくという試行錯誤が必要ではないか。そのようなきめ細やかな検証を毎年やっていかないと、出生率が下げ止まらない状況は改善されないと思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 少子化対策は、数値目標で政策を進めるということになじまないのではないか。
 結婚、出産は民主主義社会の中での個人の自由な選択と条件の結果であるということを前提に考えたい。そうすると、出生率よりも、何人子どもが欲しいと思っているかと実際に持てる子どもの乖離が問題である。1人持ちたいと思って1人持てれば乖離ゼロ。5人持ちたいと思って1人しか持てない場合には乖離4人。その乖離を最小化する方程式をどう解くかということではないか。自分の求める人生を充足できるような社会政策のあり方が重要である。
○佐藤委員
 様々な議論のどこを打ち出すか。5年間で政策的効果があるということから、働いている、働いていないに係わらず、やはり地域の子育て力、子育ての環境を変えていく。企業の中では、働き方の見直しがメーンになると思う。それは、働き続けたい人が仕事をしながら希望する数の子どもを持てるようにする。やめて専業主婦になっても地域で支援を得られて、子どもを持てるということである。もう一つ、ここ5年で重要なのは未婚化の問題である。未婚の人の9割は結婚したいと言っている。これをどうするかだ。
 20代、30代の社員の労働時間は60時間以上が多い。若い人たちが、長時間労働で職場以外でいろいろな人と出会う時間がない。これは問題である。働き方を見直して、勉強でもいいし、社会活動でもいい、スポーツでもいい、職場以外のいろいろな人と出会える時間があるということが、結果として、結婚したいという希望を少しでも満たすことになるのではないか。
 結婚させることが必要だというつもりはない。しかし、なぜ若い人たちが結婚したいと思うが出会えないのかというと、働き方も一つの要因である。職場の、従来であれば結婚しなさいと後押ししてくれた仕組みもなくなってきている。今のままでは、希望は持っていても結婚できない。何となく出会えると思っている。しかし、今の客観的状況を考えると、長時間労働で、職場の上司や、地元の知人のサポートがないから出会えない。そこを何か考えるべきではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 働き方の見直しのところに書くか、何か別の書き方をするか、考えなければいけない。
 地域の活動が活発になれば、仕事以外の自我というものと余暇時間に向き合い、地域で広がりのある人間関係を築けるのではないか。
○大矢委員
 基本的な考え方に、ワーク・ライフ・バランスを入れていただきたい。
 企業が働き方を是正していくのにいいという策は結構ベタ策といわれているものである。例えばノー残業デーや、事業所のかぎを閉めてしまう、電気を消してしまって、仕事ができなくしてしまうのが、効果的であると言われている。そのためには、国民運動で、ワーク・ライフ・バランスが業績を上げるし、豊かな生活になるという意識の改革が必要である。そういう意味で、少子化対策の考え方の柱の一つに、ワーク・ライフ・バランスを取り入れていただきたい。
○大日向委員
 少子化対策のメニューは出揃っていて、あとは優先順位をつけるべきだということを申し上げたが、優先順位を決めるときにどうやって決めていくかである。少子化対策を国民の方々に理解していただくためには、ストーリーが必要である。いろいろなストーリーの立て方があろうかと思う。先ほど大臣が言われた個人の期待と達成度というところで物を見ていくというのもおもしろいと思う。もう一つのストーリーは、何かを打ち出すときに、なぜこれが必要で、そのために何が必要かということを考えていくことである。例えば、専業主婦家庭を含めて在宅子育て支援に対して集中的な施策を行っていくことが必要だという場合に、なぜ、何をやるべきかということの議論がいつもふっと飛んでしまっている。具体的には、後で出てくるが、ストーリーがつながらない形で出てきても、優先順位がはっきり見えないだろう。なぜ専業主婦の方々が今いろいろ産みづらく、育てにくくなっているかというと、一つは子育てがしづらいということである。子育てのしづらさをどう直していくかというと、地域づくりという形につながっていく。
 もう一つは、働き続けることができない、あるいはワーク・アンド・ライフ・バランスが非常に乏しい。そこをどうやって支援していくかというと、企業の取組、あるいは保育のあり方というふうにつながっていく。今は一つの例として申し上げたが、何らかのストーリー性を明確にして、訴えていくべきである。
 企業の取組の中でも、仕事と生活の調和のとれた働き方の実現が大きな見出しで、その下位項目の中に、育児休業の取得等が入ってくると思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 ストーリーを考える上では、すべて子どもの観点から物事を見ていきたい。子どもが確実に歩むのは年限である。ゼロ、1、2で必要なこと、3、4、5、就学前までで必要なこと、そして就学してから6、7、8、あるいは6年生までぐらいに必要なこと、あるいはもっと長期的な教育費がかかるところで必要なことを、子どものストーリー、あるいは子どもを保護していく保護者の観点からのストーリーとして考えてみたい。
○奥山委員
 大学生と話をした中で、保育系の学生は子どもの楽しさ、おもしろさがよくわかるが、自分の友達に聞いてみると、子どもが泣かれたときどうしたらいいかわからない。どのように関わっていいかわからないから、子どもを持つのが嫌だという友達が結構いるそうである。やはり子どもが身近にいない。子どもをあやした経験がない学生が多い。
 今、触れ合い事業で、幼稚園や保育園に出向く事業もあるが、例えば家庭科の授業に赤ちゃんが訪問してはどうか。びーのびーのにも、フリーターのような方がボランティアで来るが、小さい子に関わることで随分変わっていく。子どもの力はすごい。結婚する前に、子どもと関わる体験が必要である。
 また、子ども未来財団の調査で、経済的な負担感は、高所得者層に多いというデータがあった。塾に行くお金が負担となっているというデータもあった。公的な義務教育の充実が必要だろう。子育てしやすい公教育が地方でも充実していることが、大事なことだと思う。
 もっと学校が地域に根づいていくこともとても大事な観点である。福祉と教育がばらばらではなくて、一体化した形で地域に根差していく。そこのところが進められていくべきではないか。
○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
 公教育の水準を高めていくというのは、少子化対策という観点からも、教育施策の面からも大事である。義務教育の構造改革は文部科学省としても打ち出して、学校の質の向上、学力向上等、絶対に進めていかなければいけない。それを通じて公教育が信頼を取り戻して、教育費負担感の軽減につなげていきたいと考えている。
 子育ての理解学習、子どもが乳幼児と触れ合う機会が大事だという指摘については、すべての学校というわけではないが、中学校、高等学校の家庭科や小学校の総合的な学習の時間で、保育所等に出かけていく、あるいは地域の子育て中の親子に来ていただくといった事例も出てきている。文部科学省も事例集を作って、各地域に流すといった取組をしている。
○藤本委員
 小さい子どもと触れ合うことは性教育にも非常に効果があるという報告が、学会でも出ている。大分では、人口120万の中で年間400人が人口中絶しているというデータがある。性教育をどういうふうに子どもたちにするかということが重要である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 大学のボランティアクラブ等も重要となるだろう。授業で教える方法もあるが、もっと深く本質的に、自分が関わって、人を助ける経験が大切である。今の学生は自分が助ける経験がなかなかできないが、地域の子育て力が上がってくると、経験の場を提供できるのではないか。
○藤本委員
 アメリカのオレゴン州では、ペリネイタルビジットの発展系のヘルシー・スタートという制度がある。すべての子どもとその家庭が健康に子どもが産まれた時点で第一歩をスタートできるようにするという発想で、名前も非常にいい。子どもが産まれた家庭を研修を受けた人が訪問して、子どもが泣いたら抱けばいい、抱いたときに顔を見つめて声をかけてあげればいいという簡単なメッセージを伝えてあげるという制度である。
 日本でもこれを取り入れて、子どもが産まれたら56日以内に行政から全戸を訪問する。産まれる前は産科から小児科に訪問するように紹介する。これがすべての人に行われる、特に最初の妊娠、出産、子育てのときには必ず100%行われるようにすることが、一番大事ではないか。何かが起こってから対策を立てるのではなくて、何かが起こる前に対策を行う。オレゴンでは、最初の1ドルが10年、20年後に5ドルの節減になったと言われている。
○猪口内閣府特命担当大臣
 地域や家族の多様な子育て支援の施策として入れていきたい。
○大矢委員
 ここ5年間が非常に重要だとすると、必要な財源を5年間は確保することが重要だ。一年毎の政策の評価は重要だと思うが、それに一喜一憂して、効果がないとすぐやめてしまうのではなく、一定期間は投資し続ける必要があるのではないか。
 いつ評価を行い、いつまで投資し続けていくのかということも入れる必要があるだろう。
○猪口内閣府特命担当大臣
 これは5カ年計画ではなく、すぐ実行すべき、つまり来年度の予算で実行すべきものと、中長期的なものと、そのぐらいの仕分けになるかもしれない。
○藤本委員
 現状の施策を再構築する作業も行うのか。関連する施策がばらばらに行われるのではなく、まとめて効率的に発展させることができないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 子ども子育て応援プランが、政策の実施のベースとなるプラットフォームである。それぞれの項目は非常に重要だが、すべて一律ではなく、めり張りを効かせなければいけないというのは広く出てきている議論である。今までの努力があったにもかかわらず少子化の流れをとめることはできなかった。今までのものを越える調整をしなければならない。今日のご議論は重く受けとめたい。内閣府の仕事は、省庁間の連携を強化して、必要に応じて行政の施策の整合性を確保していくことであり、もし国民の側から見てばらばらで、使いにくい、整合性がとれていないというご指摘があれば、整合性がとれるように努力するのは当然の仕事である。その上で、子どもの観点、そして子どもの保護者の観点から施策を構築していきたい。
○林政策統括官
 大綱、応援プランの柱の中でまとめていきたい。すぐ実行するものと中長期的なものという観点も含めて、各省庁と個別に話し合いをしながらまとめていきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 政府は、国民にアピール力のある抜本的な施策が必要であるという立場である。同時に、財政状況は非常に厳しいという大前提があり、歳出歳入一体改革を進めるという政府の立場の中で、考え抜かなければならない。地方ブロックプロセスでも、構造改革の認識が伝わっており、自治体としてやらなければならないこと、地域としてやってもらわなければならないこと、その上で、国はこの部分をやってもらいたいという、認識の中での仕分けができてきていると感じている。
 無駄の無いよう、しかし総合的、効率的で、困っているところに本当に温かい国の手が差し伸べられるように、それを誘導してくれる地域の力があるように、そして委員の方々の専門性が十分に政策に反映されるようにまとめていきたい。

5.閉会


 事務局より、次回は4月26日(水)10時から開催する旨の発言があった。