少子化社会対策推進専門委員会(第8回)議事要旨

1.日時

平成18年4月26日(水)17:00~19:00

2.場所

内閣府本府 5階特別会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
藤本 保
大分こども病院長
前田 正子
横浜市副市長

(欠席者)

大矢 和子
資生堂執行役員企業文化部長

4.議事概要


○林政策統括官
 猪口大臣は国会に出席しており、15分程度遅れる。また、長勢内閣官房副長官も後ほど出席されることになっている。
 初めに、「少子化担当大臣と地方自治体トップのブロック会合」のご報告を行った後、「少子化社会対策推進専門委員会報告(案)」についてご議論いただきたい。まず、ブロック会合について事務局から説明を行う。
○尾澤官房審議官
 少子化担当大臣と地方自治体トップのブロック会合を昨年12月から本年4月まで全国10のブロックにおいて実施した。猪口大臣を議長として、34の知事、13の副知事、13の政令市の市長または副市長の皆さんにご出席いただいた。資料1(PDF形式:278KB)PDFを別ウィンドウで開きます(HTML形式)
 ブロック会合当日に、行った先において子育て支援関係の施設の視察も行い、運営についての課題や要望、あるいは利用者の方々のお話を聞いてきた。
 地方ブロック会合で発表された主な主体的取組の概要をまとめた。
 地域や家庭の多様な子育て支援に関する取組例としては、子育てに経験のある高齢者が子育て世代の相談に従事する「世話好き世話焼き隊」。県内の老人クラブが実施する下校時の見守り隊。学生や高齢者、地域の商店街の人々が協力して子育ての場を提供する事業。保育士や保健師等の有資格者を「子育てマイスター」という県独自の制度を設けて登録し、さまざまな子育て支援に当たるという取組。在宅の方も含めて、すべてのお母さんが育児体験や悩み相談ができる「マイ保育園登録制度」などの事例があった。
 働き方にかかわる施策に関する取組例としては、子育て支援に取り組む企業に対する県や市独自の表彰、登録、認証制度が非常に多くの県で実施されている。また、子育て支援を進める建設事業者等に対して入札参加資格で優遇を設ける仕組。子育て支援に積極的に取り組む企業に対するインセンティブとしての政策投資銀行と連携した低利融資制度。地域の商店街等と連携した石川県の「プレミアム・パスポート」、「しずおか子育て優待カード」、「しまね子育て応援パスポート」など、企業と地域が一体となって子育て支援に取り組もうという機運を盛り上げているという紹介もあった。
 経済的支援に関する取組例としては、乳幼児医療費の助成を県単独で上乗せ実施している県が非常に多かった。
 その他としては、少子化対策に関して知事直轄の横断的な組織を立ち上げるといった取組がこの4月から多くの自治体で実施されるという紹介もあった。また、自治体では少子化に取り組む際に、晩婚化や未婚化に対して非常に大きな危機感を持っているため、若者の出会いの場、結婚応援団の創設といった事業に踏み切ったという県が非常に多かった。
 国への主な提言・要望の概要だが、地域や家庭の多様な子育て支援については、幼保一元化の推進。放課後児童クラブを拡充するための補助要件の緩和や運営基準の明確化。また、育児保険あるいは育児支援のための基金等を導入すべしというご提言もあった。
 働き方にかかわる施策については、県内の中小企業の子育て支援を進めるための減税等のインセンティブ。両立できる職場環境の整備のための法制度の整備を進めてもらいたいといった要望があった。
 経済的な支援については、乳幼児医療費助成制度の拡充。妊娠・出産費用の助成の拡大や保険の適用。不妊治療への医療保険の適用。児童手当の拡充などの要望があった。
 その他としては、多くの自治体で産婦人科医、小児科医の確保に非常に苦労しているということで、要望が多かった。また、人口流出地域への子育て世代、若い世代の定着を図るための産業の育成振興といったような要望もあった。
○林政策統括官
 次に、専門委員会報告の原案について事務局の方から説明を行う。
○増田内閣府少子化担当参事官
 専門委員会報告(案)は全体で3章構成にしている。第1章で基本的な考え方、第2章で子ども・子育て応援プランに掲げられた三つの課題に沿って現状と今後の方向性、いろいろな施策の案、提言をまとめている。第3章は第2章のいろいろな施策案について、子どもの年齢別に整理をし直している。
 「はじめに」では、前半で人口減少社会の到来、急速な少子化の進行による人口減少と高齢化の進行が経済社会に与える影響を踏まえて、今こそ少子化の流れを変えなければならないとしている。その後、少子化社会対策基本法から少子化社会対策大綱、子ども・子育て応援プランに至る経緯と、応援プランの中での検討課題に対して検討を進めるということで、推進会議、専門委員会が設置された経緯について説明をしている。そして、この報告書の構成について説明した後、この報告をもとに、少子化の流れを変えるために、国民に対してメッセージ性が強い新たな少子化対策を打ち出すことを期待するという形で結んでいる。
 第1章 基本的な考え方の現状では、少子化の進行についての解説、第2次ベビーブーム世代が30代にあるのはここ5年程度ということで、時間との闘い、短期間で実効性のある施策が求められているということを強調している。子育て世代のニーズを踏まえて対応していくこと。子ども・子育て応援プランを着実に推進していくことを前提にした上で、今回、新たな少子化対策を提案するとしている。
 新しい少子化対策の考え方では、少子化対策のねらいとして、日本よりも出生率が高いヨーロッパ諸国においては、さまざまな施策を展開することによって、全体として子どもを生み育てやすい社会とすることが少子化対策として効果的であり、出生率の低下を反転させている国があることから、今回、インパクトがある少子化対策を講ずることによって、少子化の流れを変えることを確実なものにして、出生率を反転させなければならないとしている。
 新しい少子化対策の考え方として、今までの議論などを踏まえて4点整理している。
 1点目は子どもの視点に立った対策ということで、子どもを中心に据えて、妊娠、出産、誕生、成長するまでの間に子育て家庭に対してどのような支援が必要かという視点が大事である。特に第一子を出産したときの経験が重要である。少子化対策の重点を絞るとすれば子どもが10歳ごろまで、特に3歳未満の子どもの85%が在宅で育児が行われているということから、在宅の子育て支援に対して集中的に施策を打つことが重要ではないかという整理にしている。
 2点目は子育て家庭を社会全体で支援する対策が必要ということで、現在の子育て世帯は地域で孤立しがちであり、社会全体で支援するという観点から、行政機関、医療機関、地域社会、企業、さまざまな機関が支援するということが重要である。メニューはそろっているが、量的に不十分、十分使われていないといった課題がある。また、子育てに対して社会全体で支援していくという意識改革が必要である。財政面では、児童・家族関係の給付費が非常に小さいため、厳しい財政事情の中でも優先的に配慮すべきであるとしている。
 3点目は、ワーク・ライフ・バランスの実現や男女共同参画の推進が必要ということで、育児休業の取得促進や年次休暇の取得促進、両立支援などの働き方の見直し、ワーク・ライフ・バランスが大事であるということを整理している。また、少子化対策と男女共同参画といった点で軌を一にするところがあるから、男女共同参画を通じて推進されるとしている。
 4点目は、家族政策という観点から少子化対策を推進することが必要であるということで、少子化対策の概念を幅広くとらえて、すべての子どもや子育て家庭に対する支援をする、それがひいては弱体化した家族基盤を強化して、家族の絆を深めていく家族政策につながるといった観点から、対策を考えることが重要であるということとしている。
 第2章では、三つの大きな課題についてそれぞれ整理をしている。
 第1節は地域や家族の多様な子育て支援ということで、現状では在宅育児に対する支援策のさまざまな問題点を整理している。市町村の取組の課題では、十分に支援体制が整備されていないということで、子育て支援者、子育てマネジャーなどの人材育成が重要である。情報がうまく伝わっていないということで、情報提供の重要性を書いている。放課後対策や子どもの安心・安全に関する課題では、放課後の児童に対する居場所づくり、安全確保といった点が大事であるということを述べている。
 具体的な施策の提案として、地域における子育て支援拠点の拡充と人材の育成ということで、つどいの広場などの地域子育て支援拠点の大幅な量的拡充と人材育成の強化が地域の育児力の向上につながるということを整理している。特に、保育所以外の地域子育て支援サービスに対して、予算の拡充が必要であると指摘している。
 子育て支援の人材育成では、学生のボランティアや主婦、高齢者などの地域で子育てのノウハウを持っている人たち、退職サラリーマンの方々が今後地域の子育て支援の担い手として重要である。そのために研修の充実、特に学生のベビーシッターやボランティアが親になる準備として大変重要ではないかということを述べている。
 子育て支援のためのネットワークの構築では、大分のペリネイタルビジットやブロック会合でのマイ保育園制度を踏まえて。市町村が主体となって関係機関で連携をとって、家庭訪問などを組み入れたネットワークが大事だということで整理をした。
 待機児童ゼロ作戦の推進等、保育サービスの拡充では、都市部における待機児童の総合的な対策、病後児保育や病児保育、延長保育などの特別な保育サービスの拡充、障害児に対する保育サービスの拡充、認定子ども園の発展への誘導策の検討等が必要ということで整理をしている。
 放課後児童対策では、放課後クラブが量的に不十分であるということで、すべての小学校での設置、定員の拡大などが必要である。また、文部科学省と厚生労働省で施策が行われているが、今後、両省間で検討を進める必要があると整理している。
 登下校時の安全対策では、スクールバスの導入や路線バスの活用、地域との連携での安全確保について述べている。また、魔の8時間対策ということで、学校が終わってから一人でいるまでの時間についての対応策について整理をしている。
 小児科医や産科医の確保では、身近なところで小児科医や産科医が不足をしているといったところから、充実策の必要性、それから女性の医師の両立支援策ということを述べている。
 第2節は働き方に関わる施策ということで、現状では、次世代育成支援対策推進法に基づいて、企業の行動計画の作成など機運が高まっている。しかし一方で、働いている女性の7割の方が第一子出産を契機に辞職をしている。両立が難しい。特に男性の長時間労働の課題がある。男性の育児休業取得率が低いといった問題点を整理している。また、行動計画の公表についての要望がブロック会議を中心によく出ている。
 具体的な施策の提案として、育児休業取得促進等、勤労者に対する子育て支援ということで、育児休業取得促進のために仕事のやり方の再構築、代替え要員の活用に当たってのコンサルティングの活用、誘導的な助成金の支援、キャリアや業務知識への影響への対応などの点を整理している。
 企業の行動計画の策定促進と取組への支援では、行動計画の公表の促進、中小企業における策定・実施、従業員に対する子育て支援促進の必要性を踏まえて、具体的な方策として、誘導的な助成、税制面における優遇措置の検討、わかりやすい指標を公表して競い合うなどの提案があった。
 ワーク・ライフ・バランスに基づく働き方の実現では、両立支援の対象を育児ばかりでなく幅を広げることによって、子育て世帯が育児休業取得や短時間勤務を取りやすくなる。また、働き方の見直しが仕事以外の人的ネットワークを広げる機会となり、未婚者の職場以外での出会いの機会の増加などの副次的なメリットもあるとしている。
 国民的運動の推進では、企業経営者や勤労者の意識改革のために、経済団体、労働団体、マスコミ、行政機関が一体となった働き方の見直しに向けての国民的運動を進めていく。企業に対してさまざまな情報提供を行うことで、企業の子育て支援を促していくとしている。
 企業の自主的な取組では、ブロック会合で複数の県で紹介された、協賛企業を募って、子育て家庭に対してカードを発行して、物品購入の割引などを行うなどの取組の全国的な展開の検討が重要であるとしている。
 女性の再就職等の支援策の推進では、再就職支援と少子化対策の関係として、将来再就職の道が開かれていれば、出産、育児を理由に退職したとしても、安心して子育てに取り組むことができるという点で少子化対策としても重要であると整理をしている。
 再就職支援のための取組では、さまざまな場における情報提供の重要性、マザーズハローワークやハローワークの活用策等について整理をしている。
 非正規労働者に対する処遇の改善では、パートタイム労働者が大変増えてきているが、非正規労働者に対する処遇の改善が未婚者の結婚促進や子育て家庭の経済的安定につながるため、パートタイム労働者と正規労働者との処遇の均衡を図る取組の強化が必要であると整理している。
 第3節は経済的支援ということで、現状では、児童手当は4月から対象が拡大され、出産育児一時金についても、現在、国会で審議されている医療制度改正法案の中で引き上げを図る方向となっている。
 経済的支援の中で、若い世代に対する支援の必要性が大分論じられた。世論調査では常にニーズが高い。子育て世帯は相対的に所得が低い。一方で、子育て費用の負担が重いということで、若い世帯、子どもの小さい世帯に対する支援が重要であるということを述べている。
 税制面における子育て支援では、扶養控除の拡大。手当と税制との関係では、税よりも手当の方が効果が及ぶ範囲が広いのではないかという点。子育て支援税制のあり方の検討が必要ではないかということを述べている。
 経済的支援と他のサービスの組み合わせでは、経済的支援だけではなく、他のサービスとの組み合わせが必要である。子育てによる機会費用が大きいので、それを小さくする対応が必要であるとしている。
 施策の方向性として、妊娠・出産における負担の軽減ということで、妊娠中の検診費用の負担軽減については、検診機会の増加によって妊婦や胎児の健康の確保、食育の指導、不安の除去に効果が大きいのではないか。出産育児一時金については、現在引き上げ中だが、給付手続の変更が必要ではないか。不妊治療に対する助成の拡大などを指摘している。
 子育て費用の負担軽減では、児童手当の支給の拡充、保育料・幼稚園費の負担軽減、一時保育などの利用料負担の軽減、奨学金事業の充実などが必要であるが、特に重点化をするならば子どもが小さい時期に特別の給付を行うことが重要ではないかとしている。
 教育費の負担の軽減では、奨学金は基本的に本人の負担として貸与を行い、卒業後の返還が円滑に行われるように税制上の対応を検討するべきではないかとしている。
 第3章は第2章の提案を子どもの年齢別に見て整理をしている。
 まず、子どもの妊娠時から出産時まででは、フリーバース(出産は無料)ということで、出産育児一時金の給付手続の変更、妊娠中の検診費用の負担軽減、不妊治療の助成拡大などを整理している。
 子どもがゼロ歳から小学校入学まででは、フリーチャイルドケアということで、ゼロ歳から3歳までの時期に着目して、児童手当に加えて新たな手当を支給することによって、一時預かりなどの利用者負担の軽減や在宅育児の子育て費用負担の軽減につなげるとしている。
 子育て支援ネットワーク、身近な場所での子育て支援拠点の設置、保育サービスの拡充、働き方の見直し、女性の再就職の支援、小児科医の確保についても整理をしている。
 子どもが小学生のときには、放課後時間の有効活用ということで、放課後ルームの検討、登下校時の安全確保、魔の8時間対策を取り上げている。
 子どもが中学、高校、大学のときには、奨学金の拡充、学生のベビーシッター。
 社会人として働くときでは、行動計画が公表されれば就職に役立つだろうということ、ワーク・ライフ・バランスの推進が生活の質の向上や出会いの機会の増大につながるとまとめている。
 「おわりに」では、少子化の流れを変えるためには、若い世代が結婚をして子どもを生み育て、子育ての喜びを感じながら働き続けることができるようにしていかなければならない。そのためには、この本報告書の提案したものについて、可能な限り具体化するように努めていただきたいと結んでいる。
○猪口内閣府特命担当大臣
 第1章から順にご議論いただきたい。
○大日向委員
 少子化の流れを変えることを確実にしなくてはいけないということは緊急課題だと思うが、出生率を反転させなければいけないという書き方はいかがなものか。この会議のコンセンサスというのは、結果として出生率が上がることを望んでいろいろ必要な対策は打つが、出生率の反転を目指してというわけではないということを皆さん共通して申し上げたと思う。
 欧州諸国も少子化対策としてやっている国ではなく、家族政策としてやっている国が成功したわけであって、欧州諸国で出生率を結果的に反転した国も、決して最初から出生率の反転を目指したものではないということは確認したい。
 では具体的に何が必要かということでは、働き方の見直し、ワーク・ライフ・バランス、地域の育児力の向上、退職世代の男女がともに地域も家庭も見守ろうということは、一言で言うと老若男女共同参画だと思う。老若男女共同参画という言葉が後の方につけ足しみたいな感じになっているが、男女共同参画が家族政策の基本だということを冒頭に書いていただくことが必要だと考える。
○猪口内閣府特命担当大臣
 インパクトがある少子化対策を講ずることによって、結果的に少子化の流れが変わり、出生率の改善が期待されるというような表現がよいのではないか。男女共同参画については、つけ足しという意図ではなく、タイトルにもうたっている。
○案田委員
 企業の対策と地域の対策が別のことにようになっていることが問題だと述べてきた。「地元企業も含めて地域で」という表現にすれば、地域の構成員として企業が入ってくるのではないか。
○佐藤委員
 少子化対策を講ずることによって、国民が希望する子どもを持てるようにする。今希望が実現できない社会であるが、実現できるようにしていくことが大事だという趣旨である。
 新しい少子化対策の考え方は、少子化対策に関する新しい考え方とすべきではないか。少子化対策を考える上での基本的考え方が新しいということを強調した方がいいと思う。少子化対策に関する新しい考え方の四つのポイントというふうに書いた方がはっきりするのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 第2章についてご意見があればお願いしたい。
○案田委員
 国民運動の推進について、実際にこの運動が進んでいく中で、非常に格差が出てくる可能性があるのではないか。一部の企業の中で長時間労働が取り残されていくということをどのような指数で見ていくか。格差が拡大していった場合に公的な規制をかけるということも検討する必要があるのではないか。運動の中で労使で検討していくということを入れた方がよいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 取り残した部分、落ちこぼれていく企業が出ないように進めていきたい。初めからそういうことが起こるという前提で書いてしまうのではなく防いでいく。企業規模の大小があるが、それぞれの立場で適切なフォーマットが開発されればいいと思う。中小企業は中小企業、零細企業もある。東京ブロック会合でも、墨田区の超零細の業態について、初めて本格的な議論が出てきた。東京の中でも格差の問題がある。そういうことを含めて対応していくという考えで運動をやっていきたい。
○渥美委員
 ベビーシッターについては、育成問題のみならず、利用のしやすさの改善策も必要だと思う。こども未来財団でベビーシッター割引券が発行されていて、企業が利用できるが、従業員から見ると使い勝手が悪い。前日までに申請しなければならず、当日の緊急性には即時対応できないといった点について、改善していただきたい。
 また、非正規社員への対応策として事業主への支援策が書かれているが、非正規労働者本人に対する支援策もあると思う。
 昨年、欧米企業30社をヒアリングして回った際に、例えばスウェーデンでも日本のように妊娠・出産、育児を期に中断する女性が一割いた。妊娠・出産、育児を期に正規社員から非正規社員になったときに、なぜ日本と違ってうまく機能しているのかと考えたときに、慣行としてある「紹介状制度」が有効なのではないかと思い至った。
 契約期間が終わってまた別の会社に契約社員として行く場合に、前の会社で実際に仕事を指示していた方が「この人はこういう技能をもっている」という紹介状を書いて、次の会社でのキャリア継続を円滑にしている。日本でもそのようにすれば、非正規労働者のキャリアアップが機能していく可能性がある。そのような非正規労働者の支援もあるのではないか。
○尾澤官房審議官
 紹介状の前に、日本では職業能力を明確にしていくというところができていないため、そちらの方が先だろう。
○佐藤委員
 企業がその人のスキルをほかの企業がわかるような形で書くのは無理だと思う。再就職支援の中で、職安なりマザーズハローワークでカウンセラーが履歴書をどう書くかといった相談をやっている中でカバーしていくということなのではないか。
○厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室長
 前の会社で紹介状を書くのか、あるいは、ハローワークなどで自分のスキルをどうアピールしていくかを応援していくのかは、ケースによってやれる場合とやれない場合があると思う。今後行政的にどういう形で進めていくかはよく議論していかなければいけない。
○大日向委員
 経済的支援は必ず財源とセットで考えなくてはいけないと思うが、財源に関しては、残念ながら十分議論は行われてこなかった。
 税制のところで、扶養控除等の人的控除を見直す場合があれば、その財源は家族給付の充実に向けて重点的に振り向けることが望ましいとあるが、財源に関してもっと積極的に議論が必要だということは、ぜひ書いていただきたい。
 例えば育児保険については、保険という名称が適切ではないという考え方もある。そうしたら子育て基金でもいい、国全体を挙げて子ども関係の財源を確保しようというコンセンサスを高めようというような議論をぜひとも書いていかないと、経済的支援はするけれども、その財源はどうなんだということが常に問われてくると思う。
 経済的支援と他のサービスの組み合わせというところで、機会費用のウエートが極めて大きいという「見方がある」という書き方だが、これはいろいろな試算を見ても、一度もやめずに働き続けた場合とパートで復職した場合で、1億数千万から2億近い生涯賃金の差があるという試算は既に出ているので、「大きい」というところで断定的にピリオドを打っていただいてもいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 最後のところに、今回の提案を具体化するよう努めてほしいと述べている。報告書では、これを実施すべきだ。だから、財源は考えろと政府に提案している。財源を探す責務は政府の方にある。
○大日向委員
 ただ、経済的支援を書くのであれば、必ずその箇所に財源に向けた積極的議論が必要だと入れるべきだろう。
○佐藤委員
 経済的支援のところで機会費用、両立支援策を進めると書いてあるが、やはり女性が妊娠してやめないで勤め続けられるようにすることが結果的に大きな経済的支援だというのがわかるような形で書けないか。
 また、コンサルティングが「代替要員の活用」のところだけにかかっているが、大事なのは仕事の進め方の再構築のコンサルティングであるため、仕事の仕方の見直しの方にかけていただきたい。そのことが結果的に仕事の効率化にも結びつくということを書いていただくといいのではないか。
 育児休業のキャリアへの影響の「育児取得中はともかくとして」はなくていいのではないか。何かマイナスに評価していいようにも受けとれる。1年取って復帰した人は、人によって能力の落ち方が違う。能力の落ち方に応じて評価するのは不利益扱いではないが、みんな一律にマイナスにしたりするのは不利益扱いになるというところの表現の仕方を工夫する必要がある。
 行動計画を公表は、だれが公表するのかよくわからないので、企業が自主的に公表というのがわかるようにした方がいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 自主的と書いてしまうとそれだけかということになる。法改正を視野に入れるかどうかだろう。ブロック会合では法改正を望みたいという声が強い。
○奥山委員
 つどいの広場やファミリー・サポート・センター等の子育て支援施設というところだが、今、場所を確保して常設型でやっているのはつどいの広場と保育所の地域子育て支援センターで、ファミリー・サポート事業は預かり合いのシステムになっているので、その辺の書き方があいまいである。
 また、学生のベビーシッターについてだが、私どもの法人でも学生の家庭訪問ボランティア活動をしているが、まだハードルが高い。ハードルの低い順、乳幼児の触れ合い体験、家庭支援ボランティア、ひいてはベビーシッターまでというような書き方にした方がいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 学生のベビーシッターは日本社会に非常にインパクトがあり、広がる可能性があると思う。アルバイトをするなら、保育ボランティア、家庭支援ボランティアがいいのではないかという思いがある。
○奥山委員
 渥美委員がおっしゃったのは企業で働く女性の方が使えるようなベビーシッターの仕組みだが、地域子育て支援の人材育成というのは、できれば地域で完結したい。地域人材で地域を支えるというような助け合いの仕組みづくりとしての預かり合いである。やはり顔の見える関係の中で、あのご自宅に赤ちゃんが生まれたからうちの息子をやるというような、そういう地域の中での循環をつくるという仕組みだと思う。
 今、こども未来財団がやっているのは、働く方向けの、ベビーシッター派遣の会社の方々が使える給付になっているが、地域人材の方はそういう仕組みでやっていく方が効果的だと思う。
○藤本委員
 子育て支援のネットワークの構築として、家庭訪問というのはとても大事である。前回、オレゴンのヘルシー・スタートという話をしたが、その基本的な目的は親子の愛着をきちっと形成させるということにあるので、いきなり虐待の問題というショッキングな言葉よりは、すべての家庭に健康な家庭生活が、親子関係が築ける形ができるとした方がいいのではないか。虐待の前に健全な親子の愛着が形成されるようにネットワークを構築することによって、虐待などの問題の予防としても効果があるというような形にした方がいいと思う。
○前田委員
 子育て支援のためのネットワークの構築では、専門家のネットワークだけではなく、出歩くお母さんたちにはつどいの広場を紹介し、そこで発見された虐待や不適切な養育の人は専門家が拾うというような多層的なネットワークが必要である。その中で子育て支援に関わる地域の人材育成と専門家の育成がうまくできるのではないかと思う。
○藤本委員
 我々がやっているペリネイタルというのは専門家による問題の発見ということではない。むしろここは入り口として、今行われている産後うつの事業とリンクするとすごくいい効果が生まれる。専門家が関与しているが、専門家のネットワークという意味ではなくて、すべてのネットワークを結ぶ入り口である。お産があるときは産科を必ず利用する。今までは病気になれば小児科に来るということだったが、病気でなくても、子育ての最初から支援するということを示していくという活動である。次に具体的な施策をつくるときにその理念が伝わるようにしてほしい。
 実は大分県は平成15年まで、二次医療圏に全く小児科医がいない地域が一つあった。全国で2地域しかなかった1地域が竹田市である。現在、合併して竹田市になったところが竹田医療圏で、平成15年9月から常勤の医師を派遣する準備をして、最初は複数の人が交互に、4月から1人の医師が常勤化している。竹田市とその周辺の市町村の4つの町村の母子保健データで出生数と特殊合計出生率を見ると、小児科医が常勤化した平成16年から出生数も増えて、特殊合計出生率が上がっている。地域にインフラとして小児科とか産科があり、その地域で完結する生活というのが非常に重要だということが示されていると思う。
○渥美委員
 三つある。一つ目は、財源確保はとても重要な問題であるため、基本的な考え方で追記すべきではないか。子育て家庭を社会全体で支援する対策が必要という項目の最後に少子化対策の財源を確保するための工夫が必要であるということは書くべきではないか。財源に関して、これまで提案した「子育て基金」、「育児保険」を実現するために、いくつかの提案がある。まず、「予算上の少子化対策の特別扱い」である。現在のように厳しい緊縮財政の中で、シーリングがある中だと厳しいので、少子化の部分だけは特別枠をつくって、予算上特別扱いをしていただきたい。次に、「おわりに」に、「子どもはみな家族の宝、地域の宝、社会の宝、国の宝」とあるが、国の予算だけではなく、社会全体として集めるという発想で、「子ども宝くじ」を財源にするということを提案したい。宝くじは夢がある。子どもがもっと産みやすい、育ちやすい世の中にするということも夢がある。1,000円買って1,000万円当たった場合はローリスク・ハイリターンだが、子どもが成長していくことも、社会全体にとってハイリターンな慶事である。そういうメッセージ性を込めた「チャリティー宝くじ」があるのではないか。
 二つ目は、この報告書自体非常によくまとまっていると思うが、見てすぐわかるというものになっていないので、メッセージ性をわかりやすく見せるような工夫、1枚でまとめて一目でわかるような概略版も作成すべきではないか。
 三つ目は、報告書は「子どもの視点に立つ」と書いていることに、まったく同感である。すべての子どもが育ちやすい社会にするという観点からは、今、日本で残念ながら残っている婚外子差別の相続に関する規定も将来的には撤廃すべきだと思う。この点に関しては3年前に、国連の子どもの権利委員会から、日本は是正勧告を受けている。
○案田委員
 連合の考え方の中で、健康保険を妊娠・出産について適用するということがある。出産の安全性を確保するという視点などから含めて、そういうことを検討するということが載られないのか。
○増田内閣府少子化担当参事官
 出産育児一時金は健康保険から出ており、広い意味では適用されている。問題は現物サービスにできるかどうか。健康保険法ではいわゆる疾病に対する治療は現物給付だが、それ以外のものについては手当金で、現金給付になっている。 それを現物給付にできないかというご指摘だと思うが、出産そのものは疾病でない。出産状態は病気の場合には当然現物給付されるが、正常な分娩の場合には疾病ととらえていない。そのため、健康保険の整理上は現物給付になじまない。もし仮に現物給付にしようとすると、診療報酬の関係で非常に医療行為を細かく見ていかないといけない。恐らく産科の関係者などからすれば、現行の方が裁量範囲も広いということで、なかなか賛成が得られないのではないか。 
○猪口内閣府特命担当大臣
 日本は妊婦の死亡率が非常に高いため、安全な出産という観点から、現行制度の枠内でも何ができるか、いろいろな観点から総合的に検討していく必要はあるだろう。
○藤本委員
 産科医院とするとこれは特定されるので、産科施設というような表現がいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 第3章と結びについてのご意見があればお願いしたい。
○大日向委員
 三つある。一つ目はモースの一方で、こんなにも放任で構わない国はないと驚いているという調査結果もあり、いろいろな見方があるので、昔の時代考証はなかなか難しい。いろいろな見方があるので、反論が出るのではないか。
 二つ目は、子どもは地域の宝、社会の宝はそのとおりだが、国の宝となるとニュアンスが違ってとられる方もおられるかもしれない。私は地域の宝、社会の宝であると同時に、未来の社会からの預かりものだというふうに思っているので、社会というところでとめておいた方が無難ではないか。
 三つ目は、若い世代が結婚して子どもを生み育て、子育ての喜びを感じながら働き続けることができるというところで、男女共同参画社会を迎えて、一方で多様なライフスタイルということを国民が志向している時代に、「結婚」という言葉をここに置くことによって、せっかくいろいろなことを盛り込んでいるものに対して反発やアレルギーが出ることが心配である。
 働き方の見直しや両立支援は、やはり男女共同参画だと思う。21世紀の非常に大事な男女共同参画社会を構築、実現する。その具体化に向けてということを一言足していただくとありがたい。
○前田委員
 非正規労働者に対する処遇の改善まで話を広げることがいいのかどうか。入れられる余裕があれば入れた方がいいと思うのは、フリーターのことである。ベビーブーマーが30代で、結婚、出産年齢を迎えているからぎりぎりだとあるが、30代のフリーターが多い。今は景気がよくて新卒の就職状況がいいが、20代後半から30代の、いわゆる世間で言う結婚適齢期、出産適齢期の人たちが卒業したときは非常に運が悪かった。非正規労働者の処遇が改善すればいいが、今は正規にならないと。今、何とか景気のいいときに正規になれるように短期的に集中してやれればと思う。
○佐藤委員
 30代前半ぐらいまで、これから後半に行く前というところが今すごく大事である。フルタイム有期は、30代前半が増えつつある。パートタイム労働者や若年の有期契約で働いている非正規労働者と書けばこの文章でいけるのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 政府でも就職氷河期と言われた人たちがフリーターのままでいるという認識は強く、再チャレンジなどの対策を検討しているが、ここでは均衡処遇に向けた議論の突破口を開くことが重要なので、あまりある世代にスペシフィックな議論にしないほうがいいかもしれない。
○佐藤委員
 子どもの年齢別に見た施策を整理するのはいいが、ここだけ見ると新しい施策がここに出てくるような印象を受ける。ここは今まで述べたものの中で、かつ、子ども・子育て応援プランにないものを再整理しているので、2章の4節でもいいのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 2章は専門委員会の報告として、政策的なところは3章で整理をしている。
○奥山委員
 児童手当に加えて乳幼児手当のようなものを創設するとあるが、これは児童手当のように一律に現金給付というイメージなのか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 給付の仕方は工夫が必要だろう。
○奥山委員
 やはり子育て支援のサービスのメニューというのがまだまだ出そろっていない。一時預かりでも訪問事業でもそうだし、もしくは再就職支援の部分、親の学びの部分もそうだが、そういった支援メニューを選べる仕組みを、ただ現金給付というのではなく、セットで入れられるといいと思う。
○猪口内閣府特命担当大臣
 乳幼児手当だけではなく、地域のさまざまな支援メニューを育てて、プロセスが全部総合されるようにしていくことが必要である。その部分は特に重点化して書いているつもりである。
 経済的支援が必要だという議論は普遍的にあるが、世代的にばらまくか、重点化するかということでは、0、1、2歳あたりで重点化するという方向性を打ち出している。
○増田内閣府少子化担当参事官
 今言われたのは、利用クーポンみたいなイメージか。現金というよりは、利用先を特定した利用券みたいなのを出したらどうかという。これは制度設計にかかわる問題である。
○奥山委員
 地方の方がいろいろな工夫をされている地域が多い。横浜あたりでは、一つのことをやろうと思うとトータルとして金額が大きくなるので難しいというのが実感としてある。地方が工夫をしやすい分野でもあるのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 国の施策では、全国一律にやったときに意味があるという形にしなければならない。報告書の中にはサービスの現物給付も書き込んであるので、それとどう結びつけた感じにするかということだろう。
 各省庁からご意見があればお願いしたい。
○総務省大臣官房企画課長補佐
 この問題は重要な問題だと思っており、各自治体の方でも多様な取組をしておられるので、どういう支援ができるかご相談をしていきたい。
○文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
 文部科学省の関係では、経済的負担の中での教育費の問題が議論されておる。この中でも奨学金の問題など盛り込まれているが、幼児教育の部分、それから高等教育の部分、諸外国と比べても市負担、保護者の負担がかなり高い。その部分、実際のアンケート等でも指摘を受けているところがあるため、文部科学省としてどういうことができるのかといったことで検討をしていきたい。
 地域と家庭の子育て支援という面では、教育委員会、それぞれの教育の部局が大きな役割を果たしており、放課後児童クラブと子どもの居場所づくりの連携といった点は文部科学省と厚生労働省とよく相談をして取り組んでいきたい。
○厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援課長
 大きな柱である地域の子育て支援、働き方の見直し、経済的支援は、いずれも厚生労働省の施策が大所を占めている。この3点について、省内で積極的な議論を進めているので、このレポートについても具体的に議論しながら、来年度以降どういったことができるかということをご提案したい。
○経済産業省商務情報政策局サービス政策課企画官
 なかなか経済産業省としての貢献も難しい分野であるが、強く関心を持っており、可能な限りの貢献はしたい。
 企業の行動計画のところ、あるいは中小企業のところ、税制等、非常に関心が高い分野だというのはよくわかっており、よく研究をしているが、一方で補助金との重複を排除すると効果がどんなものか。なかなか両方、税を上げつつ補助金も上げるというわけにはいかないところもあり、そういったところも引き続き検討していきたい。
○国土交通省総合政策局政策課政策企画官
 国土交通省の施策は、少子化対策に直結しているということではないが、住まい、環境、まちづくりなどで間接的に、環境整備という部分を特に担わせていただいておる。引き続きバリアフリー社会、子育て支援に資する居住環境の整備などに努めてまいる所存である。

5.閉会


 事務局より、次回は5月15日(月)16時から専門委員会を開催し、引き続き17時半から第3回少子化社会対策推進会議を開催する旨の発言があった。