少子化社会対策推進専門委員会(第9回)議事要旨

1.日時

平成18年5月12日(金)17:00~18:30

2.場所

中央合同庁舎第4号館 4階共用第2特別会議室

3.出席者

(少子化社会対策会議委員)

猪口 邦子
内閣府特命担当大臣(少子化・男女共同参画)

(有識者)

渥美 由喜
株式会社富士通総研主任研究員
案田 陽治
日本サービス・流通労働組合連合副会長
大日向 雅美
恵泉女学園大学・大学院教授
大矢 和子
資生堂執行役員企業文化部長
奥山 千鶴子
特定非営利活動法人びーのびーの理事長
佐藤 博樹
東京大学社会科学研究所教授
前田 正子
横浜市副市長

(欠席者)

藤本 保
大分こども病院長

4.議事概要


○猪口内閣府特命担当大臣
 本日は緊急にもかかわらずお集まりいただき大変感謝している。
 いろいろと調整しているうちに、きちんと話し合ってとりまとめた方が誤解もなかろうと思い、お願いしたところである。
 専門委員会の報告なので、先生方の思いなどがしっかりと反映されることが重要だと思う。 月曜日の専門委員会も予定どおりあるが、本日可能であれば最終的なものに近いものにしていきたい。
 いろいろと報道がなされているが、無論何も決まっていないということが現段階である。政府の方針等云々と報道されているが、この段階はそのようなことではない。
 前回の資料などを含めて、外向けには非公開ということで徹底的に取扱注意をお願いしていたにもかかわらず、一部の内容が、しかも非常に偏った形で報道されたということについて大変に残念に思っている。
 先生方の様々なご指摘を踏まえた観点から、できるだけ多くのご指摘を公平に取り入れる努力をした修正案をお配りしている。
 まず事務局から前回の報告原案からの修正点をご説明し、ご議論いただきたい。
○大日向委員
 2種類の資料が配られているが、佐藤・大日向作成の修正版はどちらか。それも同時にごらんいただきたい。
○増田内閣府少子化担当参事官
 両委員からいただいたものと、両委員のご意見も踏まえて修正した案を配布してある。まず現時点での事務局案についてご説明するので、その後に両委員の修正案をご説明いただきたい。
 第3章で年齢別というものをつけてあったが、この部分について新聞等で報道されて、誤解を受けたところがあったため、削除したということが全体の構成で一番大きな修正点である。
 タイトルは「今後の」を「これからの」とした。以下、アンダーラインを引いてあるところが修正をした部分である。
 1ページの一番下では、第3章のことについて落としている。
 2ページ目は現状のところで、「夫婦が持ちたいとする理想の子ども数と実際の子ども数との間には、0.3人前後の差が生じている。」を挿入した。3ページの2の「少子化対策の基本的考え方」では、今後の少子化の流れをどのように変えるかについて、前回の議論の際に、「反転につなげる」を「やわらげる、あるいは理想の子ども数に近づけることが望ましい」というご意見があり、それを踏まえて直している。
 3ページ目の上の段では、「少子化対策として考える施策云々」は、大日向・佐藤委員のご指摘をそのまま書いている。
 大事な点は、この専門委員会はそもそも「子ども・子育て応援プラン」に掲げた残された三つの課題を中心に議論をするということで進められたものである。したがって、従前の大綱や「子ども・子育て応援プラン」を着実に実施していく。それにあわせて残された三つの課題について重点的に議論していただき、それに基づき追加の対策を打つという構造で今まで議論をしていただいた。
 したがって、上のところは130項目について優先順位云々というところであるが、次に、「あわせて、さらに少子化対策を強化・拡充するものとして」、第2章で述べるこういった対策を講じる必要があるということとしている。
 2の「少子化対策の基本的考え方」では、前回のご意見を踏まえて「実際に持つ子ども数が理想の子ども数に近づくことができるような環境整備であり、それが結果的に少子化の流れを変え、出生率の低下傾向の反転につながることが期待される。こうした観点から」と修正した。
 「少子化・人口減は社会的に由々しき影響を及ぼすことが懸念されるが、結婚や子育ては個人の自発的かつ喜びを伴った選択となるべきことは言うまでもない。」は大日向・佐藤委員の修正の文章をそのまま使っている。
 3ページの下では「発達段階に応じて」という文言を入れている。4ページの(1)の最後の段落で、「とくに、働き方の見直し等を通じて」云々は、子どもの視点に立ったというイメージが浮かぶようにしたいというご意見があったため加筆した部分である。
 (4)の「家族政策という観点から少子化対策を推進することが必要」では、家族政策という言葉が、「家族が責任を持って子育てを行う」というふうにとられかねないといったご意見があったため、昨年の少子化社会白書の中でも使っている文言をそのまま書き入れたものである。ヨーロッパでは経済的支援や育児休業などの仕事と家庭の両立支援策は少子化対策というよりは子どもやその家族に対して支援を行うことを目的とした児童・家族政策として位置づけられている。したがって、少子化対策の概念を幅広くとらえて、すべての子どもや子育て家庭に対する支援である家族政策という観点から考えたらどうかということである。「弱体化した家族機能や家族の絆を深める」という家族政策の効果について書いたところは誤解を招くのではないかといったご意見があったため削除している。「地元企業も含めて」は前回のご意見を踏まえ入れたものである。
 第2章第1節、地域や家族の多様な子育て支援は、大日向・佐藤委員の文言で修正をしている。「地域子育て支援センターやつどいの広場など」は、「ファミリーサポートセンターは子育て支援施設ではない」といったご意見があったため、文章を正しくするために直した。「また」以下の段落の部分も同じである。
 「子育て家庭への支援方法の課題」は、以前は「市町村における取組の課題」というタイトルで書いてあったが、市町村というよりは子育て家庭の情報の提供とか支援の仕方の問題であるため、内容に合うタイトルにした。
 「子育てマネージャー」の前の表現は、以前の表現では「子育てマネージャー」のイメージに合わないといったご指摘があったため、「地域において子育て家庭に対して個別にさまざまな援助ができるような知識・技術をしっかりと身につけた者」という修正にしている。
 7ページの「地域の育児力の向上」では、「保育所で行うとともに、利用機会を広げる」と、ご意見を踏まえて修正をした。
 「子育て支援の人材育成」では、「それぞれ人生や職業生活で培ってきた能力を」云々を大日向・佐藤委員の意見で修正した。
 それから、「また、学生による子どもとの触れ合い体験や家族支援ボランティア」というのは、これも前回ご議論が出たがベビーシッターというハードなものを最初に置くよりは、最初の触れ合いからだんだんハードなものにしていくという、順番を変えた修正である。
 「子育て支援のためのネットワークの構築」では、8ページの一番上の段落は、前回の藤本委員のご発言などを踏まえて修正をしている。
 「子育て支援のためのネットワーク」では、市町村のネットワークと地域での子育て支援のネットワークが必要だというご意見を踏まえて修正をしている。
 「「待機児童ゼロ作戦」の推進等、保育サービスの拡充」では、「認定こども園」の制度化について若干言葉の整理をした。
 8ページの「放課後児童対策等」で、放課後児童クラブの設置促進をタイトルで加えているのは、もう少し設置促進を強調したということである。
 9ページは、現在文部科学省と厚生労働省の方で連携をとって放課後対策の検討を進めており、そういった動向を踏まえて若干文言の修正をした。
 「小児科医や産科医の確保」というところでは、もう少し具体的に正確に書くといったところから、病院内の保育施設の整備などの両立支援や職場復帰支援ということで文言を整理した。
 「働き方に関わる施策」のところでは、10ページの「行動計画の策定に関する課題」で、委員のご意見や先般の中小企業白書の指摘を踏まえて、中小企業では柔軟な対応によって両立しやすい職場環境を実現している面も考慮する必要があるということを盛り込んでいる。
 「育児休業取得促進等、勤労者に対する子育て支援」のコンサルティングのところは、前回の佐藤委員のご意見などを踏まえて、言葉の表現を整理した。その下の「育児休業期を越えて」という表現も同じである。
 11ページの「育児休業期間中の所得保障の在り方や産前・産後休暇時における社会保険料負担の在り方の検討も望まれる。」も今までの委員のご意見などを踏まえて追加をした。
 次世代育成支援対策推進法云々の中小企業のところは先ほどの修正と同じ発想からの修正である。
 「ワーク・ライフ・バランスに基づく働き方の実現」では、一番最後に、「仕事や性格に時間的余裕が生じることは、想像力を高め、ひいては企業の競争力向上につながることであろう。」として、委員の5月8日以降のご指摘を踏まえて修正をしている。
 12ページの「地域の視点でとらえても、地域の行政、経済・労働団体等が足並みをそろえて、働き方の見直し等に取り組むことが重要である。」は、前回の議論の中で、地域によって子育て支援の取組で企業間格差が出てしまうところもある。そういった点に対する配慮も必要であるというご意見を踏まえて修正をしている。
 「子育て支援の取組の意義や方法の分析」というところも委員のご意見を踏まえてさらに詳細に書いている。
 13ページの「非正規労働者に対する処遇の改善」というところで、前回のご議論の中で、就職氷河期におけるフリーターの問題といった点があるということで加筆している。また、非正規労働者本人に対する就労支援も重要であるといった指摘があったため、修正をしている。
 第3節の「経済的支援」については、「若い世代に対する支援の必要性」というところで、大日向・佐藤委員のご意見を加えている。「この背景には、妊娠・出産を含め、子育てしながら仕事を継続することが難しいことや、非正規の仕事に従事している者が増加していることなどがある。仕事を継続できる仕組みを整備したり収入の安定化を図るとともに」云々ということを入れている。「なお、賃金における」は、文章の整理上後にもってきている。
 「経済的支援と他のサービスの組み合わせ」というところで、追加をしている「前述した「仕事と家庭の両立支援」と「地域における子育て支援」を強力に推進するとともに、子育てにかかわる経済的な負担の軽減や総合的な取組を行うことが必要である。」というのも、大日向・佐藤委員のペーパーなどをもとに修正をしたところである。
 「機会費用を小さくする対応」ということで、新しく小見出しとパラグラフを追加した。そこで、「大きいと指摘されている。」、「女性が仕事を中断することなく継続していくことが、結果的に大きな経済的支援となる。」ということで、ご意見を踏まえて文章を追加している。
 「妊娠・出産における負担の軽減」では、15ページの一番上の段の「不妊治療に対する助成は」云々というところは、原案は「拡大されるか、今後とも拡大が望まれる」という表現だったが、大日向・佐藤委員のご意見も踏まえて修正している。
 「経済的支援やサービス拡充に関する財源」は、この専門委員会の場では財源についての議論はできなかったが今後積極的な議論が望まれる、あるいは育児保険や子育て基金等、社会で負担を分かち合う仕組みの議論も必要だといったご指摘を踏まえて新しく追加をした。
 「おわりに」のところは、モースの言葉を削除した方がよいのではないかというご意見があったが、全部削除すると3パラグラフ目の「子ども達は」云々にうまくつながっていかないため、少し省略した形で残してある。
 以上がいろいろなご意見を取り入れて修正をしたところである。
 3章以下のところは、第2章で書いてあることを年齢別に書いてわかりやすくしたところに意味があったが、それをやめるとほとんど第2章のリフレインになってしまうことから、新しく第3章を起こすことはしないことにした。
 もう1点、「課題の優先順位」を3章に追加するというご意見については、以前ご説明したように、「子ども・子育て応援プラン」の残された三つの課題はそれぞれ重要であるという点から、あえて盛り込んでいない。
○猪口内閣府特命担当大臣
 いろいろ伺ったご意見を踏まえてこのように修正したところであるが、次に、大日向先生と佐藤先生からの修正案をご説明いただきたい。
○大日向委員
 初めに幾つか申し上げたい。資料の取扱いについて、私どもが出したものは佐藤・大日向案として上に明記していただき、それに対して修正した事務局案という対案の形で出していただいた方がわかりやすかったと思う。
 それから、佐藤先生と私以外にもほかの委員の方が意見を届けておられたが、ペーパーとして出ていないのはなぜか。
 内容に関しては、佐藤先生と私がまとめたものをもとにしてご説明させていただきたい。優先順位をつけるということに対して、先ほど参事官から、この専門委員会は「子ども・子育て応援プラン」で残された検討課題について審議を依頼したのであり、三つの課題すべてが重要だというご説明をいただいた。しかし、これは私の誤解かもしれず確認したいが、この推進会議を召集していただいたときに、こういうご依頼文をいただいている。少子化社会対策大綱及び「子ども・子育て応援プラン」に掲げた課題の検討や、フォローアップ等となっている。したがって、「子ども・子育て応援プラン」にかかわった課題のすべて、130項目についても認識しつつ、かつ、残された課題がご説明いただいた働き方の見直し、地域の子育て支援、そして経済的支援だったと理解している。
 これまでそれぞれの領域に関して分野ごとに議論させていただいたが、まとめに当たって、この3つの課題が相互に連関をもってどういうストーリーをもって重要なのかということを、多くの委員たちは共通してお話をさせていただいたのではないか。
 したがって、冒頭で「優先順位をつけて」という表現が削除されているが、冒頭に書くことがどうかということはともかくとして、やはりこの三つの課題にはストーリー性をもって取り組んでいくということを大事にしたいというふうに佐藤先生と私は考え、このペーパーを出し、何人かの委員の方から賛同をいただいている。
 それから、最後のところだが、佐藤先生と私の意見のところの15ページの第3章に、「これからの少子化対策の重点課題」と書かせていただいた。この文言が適切かどうかということはまだまだ議論の余地があるかと思うが、ここにおいて、今私が申し上げたようなことをきちんと書かせていただくということが私どもの委員の願いであるとご理解いただきたい。この15ページ以下がスポッと落ちているということに関して、また復活をお願いできないかと思う。
 16ページ以降、「重点課題を整理すると以下のとおりになる」というところが、先ほど参事官がリフレインになるというふうにご指摘になられたが、ここをリフレインになるということで落とすのであれば、少なくともその前の重点課題についてどういうふうに私たちは考えているかということをぜひとも残していただければと考えている。
○猪口内閣府特命担当大臣
 佐藤先生、いかがか。
○佐藤委員
 大臣がマスコミ報道については決まったことではないというふうに言っていただいたのは非常にありがたい。政府がそういうことを決められるのはいいが、ここで決めたというふうに言われると、我々としてもそういう議論をしたのかなというふうになり、責任が持てない。
 報告書の案については、大日向委員が言われたように、今回の少子化対策でどういう優先順位をもって取り組むのかということをはっきり書いていただくというのはすごく大事である。基本的に我々の意見で直させていただいた趣旨は、重点の置き方がわかるような形に整理させていただいたつもりである。
 そういう意味では、我々が出した案の15ページ、後ろの施策を再掲することについては落としていいと思っていたが、やはり15ページの第3章と書いてあるところから16ページの初めの3行目まで、もちろんこの内容そのとおりという意味ではないが、どういう趣旨で我々は検討してきたのかということを整理することを、極端な話、ご提案の新しい16ページ「おわりに」の代わりに入れるぐらいのつもりでいいのではないか。つまり、「おわりに」をとってしまって大日向・佐藤案の15ページの第3章の初めのところの部分を「おわりに」という形で、例えば書くといううようなことをご検討いただければというのが私の意見である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 どうぞ、大矢先生。
○大矢委員
 佐藤先生と大日向先生の案ではあるが、私どもずっとこの会議においては優先順位をつけてやっていただきたいというふうにお願いした。両立支援と子育て支援は両立するかもしれないが、経済的な支援というのは優先順位なくしては、同じ並列して書かれるものではないというふうに考えている。この施策をするに当たって、どういう形で進めるのかというのが重要だと思う。繰り返しになるが、この案の3章の15ページと16ページの3行目まではこういった形でぜひ、全くそのままでなくてもいいが、先生方と同意見ということで入れていただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 前田先生。
○前田委員
 私も、大日向・佐藤委員が昨晩遅くまでかかってご修正いただいたものが、私どもの要望がかなり反映される形で修正されているのではないかと思っている。それは、繰り返しになるが、何度もこの席上で何人もの委員から優先順位をつけるべきだというご意見を申し上げたが、その場でそれは誤解であるとかそれはおかしいといったような反論は一切なかった。改めてこれは誤解であるとご説明されたのは昨日の個別説明で初めてであり、大変驚いた。私どもは席上で優先順位をつけていただきたいという意見を何人かが申したときに、明確な反応はなかったので、もちろんそれを取り入れてこの委員会の報告書は作成されるものと思っていった。そのため、この15ページにおける優先順位づけは非常にこの委員会の報告案としては重要である。
 こういうことを言っては大変失礼であるが、これは事務局の報告ではない。専門委員会の委員の報告であるため、専門委員の多数の方のご意見を取り上げていただきたい。
○増田内閣府少子化担当参事官
 昨日、事務局が説明したのは、今回の委員会の議論は、「子ども・子育て応援プラン」130項目全部の検討ではないということである。1回目の委員会資料をもう一度ごらんいただければ、検討議題は「子ども・子育て応援プラン」の課題の検討で、地域や家庭の多様な子育て支援、働き方にかかわる施策、児童手当等の経済的支援、それを中心に行うというふうにご説明したと思う。検討の順番もそんな形で行われたわけである。フォローアップなどはこういった当面の検討課題の議論が終って、その後行うということである。
 したがって、「子ども・子育て応援プラン」全体を今回議論していただくということではなかったということは、当然ご承知だと思うが、改めて補足したい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 案田先生。
○案田委員
 ほかの委員の方が今おっしゃったのと同じようなところだが、私どもの議論の中で、優先順位という言い方かどうかわからないが、構造的に、一つのことだけを進めるとかということではなくて、この問題とこの問題を両方進めていくことによって社会が変わって、そのことが大きな影響を与えるのだと。逆にそのうちの片方がどれだけ進んでももう片方の部分が進まなければ、社会的にそれが制約となってこの課題は進まないんだという意味をどういうふうに表現するかというと、かなり15ページに書いている内容というのは、私たちがこの課題を今後進めていく上で重要な社会的な運動の視点だというように思うので、ここはぜひどこかの部分で入れて表現していただくことが重要ではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 ほかに発言はいかがか。
○渥美委員
 優先順位ということは私もこれまで専門委員会で申し上げてきたと思うが、基準が明確でないと優先順位をつけられないと考えている。費用対効果というのは、今回は盛り込むのは難しいというお話をいただいていたため、優先順位をつけるべきだとは思うが、どういう基準なのかというところが難しいのではないかと思う。つまり、各人の主観によって優先順位というのが左右されるのであれば、議論が錯綜してしまうのではないか。
 例えば私は、企業に対して両立支援に取り組むインセンティブをつけるべきだと提案している。また、ほかの先生方の異論があるのは承知の上だが、保育バウチャーと在宅育児手当を組み合わせた経済的支援も優先順位が高いと思っている。しかし、これらの提案はあくまでも私の主観であり、一委員の主観による優先順位が盛り込まれるのはどうかと思う。他の委員の主観による優先順位が盛り込まれるのも同様である。
 優先順位をつけるべきだとは思うが、統一見解になるのかという点は疑問に思っている。
○猪口内閣府特命担当大臣
 奥山先生。
○奥山委員
 ゴールデンウィーク中にいろいろなマスコミ等でもう決まったかのような報道があったが、私たちが議論していたことが、マスコミを通じて既成事実のような形で出てしまったことについては非常に残念である。やはり慎重に対応していくということが大事だと感じている。
 また、本当にギリギリになって、こういう議論をもうちょっと早くできればよかった。例えば前回の議事録なども速やかに出していただいて、この修正案も早く出してくださればもう少しいろいろな議論ができたという思いがある。ただ、こうして15日の前に皆さんで一堂に会して話ができるという機会があったことについては本当に感謝申し上げたい。
 皆様方からお話があったとおり、何か一つをやればいいということではない。幾つかの目立つものをやればいいということではなく、トータルで考えた上で実施するという姿勢を打ち出していくということが大事であることを、マスコミの取り上げ方ひとつ見ても感じた次第である。
 そういう意味でもこの15ページ、16ページの部分の考え方というのをきちんと打ち出していくということが大事なのではないか。
○猪口内閣府特命担当大臣
 一通りご意見をいただいた。3章の、大日向先生の案の15ページに書いてあるような内容は「はじめに」のところに書くことも可能なのではないか。
○増田内閣府少子化担当参事官
 今回は非常に短時間だったため、「はじめに」あるいは第2章の最後に入れるなど、いろいろ検討したが、本日のご意見も踏まえて修正したいと思った次第である。
○猪口内閣府特命担当大臣
 16ページ以降のところは全部重複になるのか。
○増田内閣府少子化担当参事官
 事務局案では、基本的には第2章で書いているものをリフレインしている。
○佐藤委員
 我々の案でも事務局案を並べ替えただけである。僕も落とした方がいいのではないかという議論はしていたが、せっかくつくられたので残してある。我々も落とした方がいいとは思っていた。
しかし、前半のところのまとめは必要である。後ろはなくてもよい。ない方がすっきりするだろう。ただ、何が新しいかを示したいというふうに事務局に言われていたので、そういう意味では残すかなという判断で入れていたということである。したがって、資料で別にくっつけてもいいぐらいの感じで。
 先ほど渥美委員が言われたように、優先順位という言い方は誤解があるかもしれないが、構造は大事である。構造を理解しておくということが大事だと思うので、それを、今あるまとめよりこれをまとめにするというのでもそんなに違和感はないのではないかなと考えてつくったものである。
○猪口内閣府特命担当大臣
 全般的な意見であるが、日本の社会で今まで欠落していた部分を抜本的に今回強化できるいい機会である。そのためには少子化対策という分野を主流化したい。そのためには、わかりやすい、国民が普段こういう問題を余り考えていなくてもわかるような施策があると、ああ、そうかと、政府も国も自治体も社会もみんな子育てということを重視する時代になったんだという、国民社会が希望的なインパクトを受けるのではないか。希望的なインパクトというのがものごとを主流化していくときに非常に重要ではないかと思う。
 私は先生方の幾つかの施設を拝見している。企業も訪問したりしている。そこでの取組は非常に日本の社会の希少価値である。今まで空白地帯だったところに努力されている。そういうところへの国民の意思と意欲が高まっていくことが重要だと思う。そのためには、少子化対策ということを主流化しなければならない。そのためにはどうしたらいいかという部分もあるとは思う。
 ただし、考え方をきちんと示すということの方が、報告書そのものとしては重要ではないかと考えたため、最後の部分は全部削除という判断をしたのである。考え方は第2章までできちんと盛り込まれていると思う。
 しかし、こういう形で残した方がいいということであれば、またそれを考えなければいけない。優先順位というのは、言葉がどうかとは思うが。
 子育てというのは、自分も経験者として常に思うことは、非常に社会の最も深く、最も生活に密着した現場において、そして多くの方が困っているという状況の中でなされている。最終的には光の当たりにくい、最も人間生活と社会運営の深いところに光が届くようにしなければならないが、そのためには相当強い光でないとそこまで届かない。政策として強い光をこの分野にもってくるためにはどうしなければいけないかなということをずっと私は考えていた。
 しかし、強い光も当たり始めたのではないか。先生方のご努力によって当たり始めたのではないかとも思う。施設を運営されたり、考えを論文で書かれたり、企業として努力されたり、運動として努力されたり、いろいろな努力が強い光をまさに放っているし、そこに光が当たるようになっているので、私としてもそんなに悲観しないで、本来の考え方の整理にとどめるということでいいのではないかとも思っている。
○大日向委員
 今、大臣が言われた、希望的なインパクトを与えることが必要だということは、その通りで、そのつもりで私たちはこれを書いたのである。男女共同参画担当大臣で少子化担当の特命大臣が誕生したことは、私たちにとって本当に大きな希望である。国が10数年少子化対策をいろいろやってきたが、効果が上がっていない。少子化対策はすぐ効果が上がらなくても、何か希望が見えてこなかったところが一番問題だと思う。
 そこは何だったのだろう。それはどの委員もおっしゃっていると思うが、女性が子育てによって失うものが多かったり、あるいは男性が望んでいても仕事に追われて働きすぎで家庭に入れないとか、そのことによって昔は子育てが、子どもが夫婦のかすがいだったのに、今は子どもが夫婦の亀裂を呼ぶようなそういう事態になっている。そこのところは一体何なんだろうかということで、優先順位という言葉には確かに語弊があるかもしれないが、案田委員が言われたような構造的な形でしっかり見せる。あるいは私はそれをストーリーという言葉をずっと使わせていただいたが、ストーリー性をもって構造を明確にすることが国民に対して強力なインパクトを与えることになる。今まで何となくモヤモヤしていたけれども、そこにだれも強力な光を当ててくれないで散発的に、ときには総花的に対策が打たれたことに対して、女性もあるいは子育てや家庭参加をもっとしたいと考えている男性もじくじたる思いを持っていた。
 それに対して佐藤先生と書かせていただいた15ページ、つまり第3章、ここの表現が適切かどうか、こまかい文言はどうかたたいていただきたいと思うが、ここで明確に出すことが猪口大臣が誕生なさった強力なインパクトにつながる、そういうことを私たちは考えている。
 決して地味なことではない。施策としては地味に見えるかもしれないが、こういう構造的に水面下で見えなくなってきたことを日のもとにさらすということは今までなかった。経済的支援が決して必要ないと私たちは考えていない。しかし、それは現金給付ではない。対策には構造があるんだということを明確に打ち出すことが何よりも大臣が願われた希望的なインパクトにほかならいと考えている。
○猪口内閣府特命担当大臣
 第2章の内容が両立支援を中心に書いてきたという感じは持っている。私も男女共同参画を通じて少子化対策であるというふうに言い切ってここまで仕事してきているので、そのことについてはまことにそのとおりであると考えている。
○大日向委員
 お言葉だが、2章は並列で書いているだけである。2章に書いてあること、リフレインかもしれないが、もう一回整理して提出することが、大臣が記者にブリーフなさるときにもとてもわかりやすいアピールポイントになると思う。
○佐藤委員
 優先順位、重点課題というと誤解を招くかもしれないが、案田委員が言われたように、日本の社会全体を変えていくということが大事である。
 経済支援が全然大事ではないとは言うつもりはない。まずは働き方、両立支援、それと地域の子育て支援の強化、それに必要なものは経済支援する必要があると思うが、そういう構造を打ち出すということが大事だと思う。最近のマスコミの報道を見ると、経済的支援ありきという感じだが、それで解決するというのはずっとだめだった。やはり社会の仕組みを変えるということが大事だということを打ち出すこと、それを理解していただくためには構造を書くということがすごく大事だと考えた。これがいいというわけではないが、そういう趣旨でまとめなりを書いていただくとありがたい。このとおり書く、これを使えという意味ではない。こういう趣旨をご理解いただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 まさに構造を変えようと、認識的な構造改革と呼んでいるので、そのとおりでいいのではないか。
○増田内閣府少子化担当参事官
 2点補足したい。1点目は、今回は応援プランの残された三つの課題を中心に議論している。応援プランの中では、若者の就労支援も一つの大きな項目になっているが議論をしていない。それも全部含めて、この二つがとすると議論が足りないところがあるのではないか。
 したがって、今回議論された三つのテーマで構造的云々ということの整理はあると思うが、それを少子化対策全般に広げるのは違うということではないか。
 2点目は、経済的支援というのは応援プラン等見ればわかるが、130項目のうちの1項目しかなく、ほとんど書かれていなかった。したがって、残された検討課題となっていたわけであり、そこはやはり非常に大事なところである。三つの関係の構造面を踏まえて文章をつくるということはあると思うが、優先度といったものになると誤解を与えてしまうのではないか。
○前田委員
 私はここで何回も申し上げたが、実際に子育てを自分もした。そして今自治体の現場で子育て支援の場作りをしている事情を申し上げた。経済的支援が必要ないということは申し上げていない。しかし、限られた条件下で、今何を優先すべきかは明白である。子育て支援の基盤整備と、ワーク・アンド・ライフ・バランスである。子育て環境を改善するためにそういうことを打ち出さなくてはこの専門委員会の意味は何だったのだろうかと私は思う。
 並列で書くと、新しい部分の経済的な支援に目がいくため、どういうことでリークされたかわからないが、新聞社にあのように書かれた。このままでは、そのように受けとめられる可能性が非常にある。しっかりとスタンスを示すべきだと私は思う。それは私がここで専門委員として、責任を果たすために申し上げていることである。
○猪口内閣府特命担当大臣
 新聞等にリークされたことは私も本当に残念で、毎日見るたびに驚いていた。しかし、そのことによって、私たちが影響を受けるべきではないと思う。彼らがどのように書こうと、何も決まっていないと私は申し上げた。
 構造的なところが欠落していたところで、今後特に強化しなければならないと考えるところであれば、それが伝わるようにまとめていくということではないか。
 その場合、後ろの項目的なところがあると、その項目をピックアップされることにもなりかねないため、考え方を書くのみの方がいいのではないか。
○佐藤委員
 3章を残す必要はなく、3章の初めの文章を例えばまとめに入れて、今のまとめをくっつけるという手もある。
○猪口内閣府特命担当大臣
 あるいは総論のところで書くか。その辺は工夫してみる。
○大矢委員
 15ページの、「委員の中で検討を重ねた結果、仕事と育児の両立支援と地域の子育てが非常に重要だと感じた。そのためにこういう話がある」というこの部分は、とても私たちの心に打つ文章だと考える。だから、働き方の見直しを考えなくてはいけない。なおかつ、経済的支援というのは個人に落とす経済的支援もあるが、こういった強化に対しての経済的支援という形になってこないと構造的に変わらないという意味がある。したがって、並列に3点をつなげるということは意思としては違うと感じている。
 加筆されたりするかもしれないが、この文章は子どもを育てながら仕事してきた自分自身、それから回りの人たちのマインドを非常に打つ文章だと考えているので、その部分は反映していただきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 できるだけ先生方の思いが反映されるようにしたい。
○増田内閣府少子化担当参事官
 整理した案を週末にメールでお送りして、ご意見を月曜の午前中ぐらいまでにいただきたい。
○大日向委員
 確認したい。佐藤先生と私のペーパーの第3章の「これからの少子化対策の重点課題」というこの3章を第3章として残すということではないということには合意する。むしろ2章の終わりにとか結びにという形で残していただければと思う。
 16ページ以降の「今後、重点的に実施すべき課題を改めて整理すると、以下のとおり」というところはリフレインになっているため、ここは全部落とすということを了解する。しかし、大方の委員が15ページから16ページの上3行にかけてを何らかの形で残してほしいと申し上げていることを議事録にきちんと残して、おまとめいただくときに、また大臣がご発表いただくときのポイントとしてぜひとも私は残していただきたいということをお願いしたい。
○前田委員
 14ページに書いてある、非常に新聞紙上でもにぎわわせている、「ゼロ歳から3歳未満児に着目して特別な給付を行う」ということについて述べたい。この給付を行うということと、一時保育の利用料負担の支援につながるということには、私の意見を既に送っており、奥山委員の意見も送っており、いろいろな意見が出ているが、もう少し丁寧な書きぶりをしていただきたい。
○奥山委員
 現金給付がそのまま一時保育の利用につながるかどうかはわからないのではないか。以前地域振興券というのがあったと思うが、そのときも子育て支援につながるようにとのことで、私自身も使っていたが、生活費としては意味があるかもしれないが、つながると限定的に書けるかどうかは難しい。
○増田内閣府少子化担当参事官
 基本的には在宅育児の負担軽減である。例示が適当でないということか。
○奥山委員
 例えばファミリーサポートの時給800円は専業主婦家庭にはハードルが高いのではないかということは確かに申し上げた。それは、お金がもらえれば一時預かりを使うようになるということではなく、今の専業主婦に子どもを預けることに対しての後ろめたさがあるという社会的な問題である。お金がもらえる、預けやすくなれば預けるという単純な構造ではない。それは構造的な問題であって、子どもをだれにでも安心して預けられる仕組みや制度がないまま、ただお金があればできるということではない。
 ここで書いてある給付があれば利用促進になるということについては、私は不安に思っている。
○猪口内閣府特命担当大臣
 そもそも一時保育のシステムが全国津々浦々発展していかなければならない。発展している状況であれば、渥美先生のいうバウチャーでもいい。しかし、今はやはり過渡期であるため、横浜市であればバウチャーでも機能するかもしれないが、北海道の奥に生まれた子どもの場合はどうなるか、いろいろなことを考えなければならない。
 ここでは、一時保育のシステムの充実が合わせて推進されなければ本当の効果が出ないということをすべての国民が認識できるように修文したらいいのではないか。全体を根気強く読めばそれがわかるが、そのように読んでもらえないこともありうる。
○渥美委員
 9ページ目の「登下校時の安全対策」という部分を「登下校時等の安全対策」として追記していただけないか。
 3年前の六本木ヒルズの回転事故を契機に、子どもをめぐって実際に起きた事故情報を収集して分析していこうという民間の取組として、「キッズデザイン協議会」が今度スタートすると聞いている。このような取組は有意義なものなので、ぜひ全国的に広げていったらいいのではないかと思っている。このような観点から、安全面で、民間の事故情報を収集・分析し、その研究成果や情報を広く共有しようという取組も重要であるということを報告者につけ加えていただきたい。
○前田委員
 昨日の聞き取りのときに私も同じように、子どもたちは土日も含めて地域での生活時間というのがあり、学校外の時間の地域での安全というのも足していただきたいとお願いした。
○尾澤官房審議官
 十分に反映させていきたい。
○猪口内閣府特命担当大臣
 大方のところで収れんしてきたと感じている。改めて読み返してみると、考え方もしっかり出ており、また具体的な施策につながると思えるような提案も随所に入っており、まさに新しい考え方をこれだけまとまった形できちっと提示できると非常にインパクトがあると感じている。
 また、小児科医や産科医の問題など、最近特に言われているような内容についてもきちんと言及できている。
 全体を読んでいただければ、両立支援が重要であり、男女共同参画としての少子化対策であり、親が働いているいないにかかわらず、すべての子どもが対象となるべき、すべての家庭に配慮した対策が必要である、ということが薫り立つ内容になっていると思う。その辺をブリーフィングするときにもできるだけ強調しながら説明していきたい。
○林政策統括官
 一言統括官としておわび申し上げたい。何度も出ているマスコミの関係である。先生方に前回この取扱いについて非常にお願いをして、先生方が120%それを守っていただいているということは今日お話しして非常によくわかった。
 お願いした我々としても120%気をつけたつもりであったが、やはりこんなことが起こってしまっているという事実がある。それについては事務方の統括をしている私として非常に申しわけなく思っている。また引き続き、おわびしながらお願いということであるが、本当によろしくお願いしたい。私どもも慎重にやっていく。
○猪口内閣府特命担当大臣
 本日は特別に緊急の中お集まりいただき、非常に有意義な意見交換ができたと思う。やはり、双方向できちっと話し合う方がいくら便利なインターネットの時代とはいえ、こういう方式に変わる方法はないのだと思う。これからもよろしくお願いしたい。どうぞ率直に必要な意見をお寄せいただきたい。私としてもこの報告書を大事にしてまいりたい。

5.閉会


 事務局より、次回は5月15日(月)16時から開催し、引き続き17時30分より「少子化社会対策推進会議」を開催する旨の発言があった。