はじめに

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わが国では、1970年代中頃の「第2次ベビーブーム」以降、30年間にわたって、出生数の減少と合計特殊出生率の低下という少子化傾向が続いています。1990年代に入って、合計特殊出生率が「ひのえうま」の年(1966(昭和41)年)の数値よりも低いという「1.57ショック」を契機に、少子化対策の必要性が認識され、「エンゼルプラン」や「新エンゼルプラン」の策定、さらには、少子化社会対策基本法の制定や少子化社会対策大綱の策定と、税府全体の取組として少子化対策が講じられてきました。

この間、なぜ少子化が進行するのかという原因の分析も行われてきました。国立社会保障・人口問題研究所の調査等によると、少子化の背景として、子育て世帯の意識の中で子育てや教育の費用負担が重いという点が第一にあげられています。家計レベルでは、子育て費用に関するいろいろなデータがありますが、社会全体ではどの程度の規模の費用負担となっているでしょうか。

また、わが国の社会保障給付費を見ると、児童手当や児童福祉サービスに関する給付額は、社会保障給付費全体の約4%、3.1兆円となっています(2002(平成14)年度)。社会保障給付費は子育てに対する社会的支援ともいうべき性格のものですが、これは、社会全体の子育て費用の中ではどの程度の割合となっているでしょうか。さらに、義務教育費など社会保障以外の子育てに関する公的な給付の規模はどのくらいでしょうか。

本研究では、こうした問題意識のもとに、さまざまなデータを基にして、一定の仮定のもとに社会全体の子育て費用に関する推計を試みています。子育てに要する総費用、分野別の費用、公費負担と私費負担の規模、子どもの年齢別にみた費用などを推計しています。

推計結果によると、2002(平成14)年度の子育て費用の総額は38.5兆円、対国民所得比では7.62%となっています。また、無償労働である家庭内育児労働を一定の仮定のもとに金銭換算すると、8.1兆円となります。分野別にみると、子どもが就学前では児童福祉サービス費や医療費が、就学後では教育費の規模や割合が高くなっています。

このように子育て費用を社会全体でとらえてみることにより、子育て費用の負担に対してどのように対応していくのがよいのか、子育ての社会的支援というときにどの分野に力をいれていくのか、さらには、子育ての公費負担と私費負担のバランスをどのように考えたらよいのかなど、今後の少子化社会対策を考える上で参考になるものと考えています。

最後になりましたが、本研究の委託先であるみずほ情報総研株式会社の担当者の方々、研究実施に当たって組織した研究会に参集された有識者の方々のご協力・ご尽力に厚く御礼を申し上げます。

2005(平成17)年3月

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付

少子・高齢化対策第一担当参事官


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