1 研究の趣旨と設計

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1.研究の背景と目的

日本社会は、総人口の減少という未知の局面を迎えようとしている。高齢化の進行にともない必然的に死亡数が増加しているのに対し、出生数は減り続けているからである。1人の女性が生涯に生む子ども数を示す合計特殊出生率は、1980年代後半からほぼ一貫して減り続け、2003年には1.29と過去最低を記録した。わが国の合計特殊出生率は、1974年以来30年間、総人口を維持する水準(人口置換水準)とされる2.08を一貫して下回り続けている。

現在の人口構造からみて、今後数十年間にわたりわが国の総人口や生産年齢人口の割合が減り続けることは避けられないとしても、それを少しでも抑制し、長期的にバランスがとれた人口構造を築いていくためには、迅速かつ実効的な少子化対策が喫緊の課題となっている。近年の少子化の原因として、「未婚化」の進展や、出産年齢が高くなるために出生数が減るという「晩婚化」のみならず、結婚したとしても夫婦が多くの子どもを持たなくなっているという「夫婦出生力の低下」が指摘されている。

こうした少子化の進展の状況を受けて、2003年に「少子化社会対策基本法」が議員立法により制定され、また「次世代育成支援対策推進法」が制定された。2004年には、基本法に基づいて、「少子化社会対策大綱」が定められた。この大綱は、わが国の人口が減少への転換期を迎えるこれからの5年程度において、国の最優先課題として、子どもが健康に育つ社会、子どもを生み、育てることに喜びを感じることができる社会を構築するために、政府全体として実施すべき集中的な取組を明示している。

2005年度からは、「子ども・子育て応援プラン」の着実な実施とともに、少子化社会対策大綱のフォローアップや各種少子化社会対策の推進状況を検証・評価していくことが求められている。

本研究は、少子化社会対策に関する政策の評価と今後の政策立案の一助として、わが国において社会全体として子育てにどれだけの費用がかかっているのかを明らかにすること ‐ すなわち、子育ての総費用を推計することを目的とするものである。


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