3.公費負担・私費負担別にみた子育て費用(18歳未満)

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(1)子育て費用総額の公費負担・私費負担の内訳

子育て費用総額(家庭内育児労働費用を除く場合、18歳未満)について公費負担・私費負担の内訳をみると、公費負担は1997年度が19.3兆円(48.4%)、2002年度が20.0兆円(51.8%)と、子育て費用全体の約5割を占めている。

先にみたように、公費負担と私費負担をあわせた総額費用は少子化の影響により1997年度から2002年度にかけて減少しているものの、公費の負担額は増加している。

図表 8 子育て費用総額の公費負担・私費負担の内訳(家庭内育児労働費用を除く場合、18歳未満)

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(2)公費負担について

子育て費用における公費負担の内訳を施策領域別にみると、学校教育費が圧倒的に多く、1997年度が13.0兆円、2002年度が12.9兆円となっている(いずれも短大、大学、専修学校、各種学校の公費負担分を除く)。

いわゆる「社会保障給付」の範囲に含まれる福祉・医療関係の公費負担は、1997年度が4.4兆円、2002年度が5.6兆円である。

また、扶養控除による減税や育児休業期間中の社会保険料負担の免除は、直接的に公費を支出しているわけではないが、本来徴収すべき税や保険料を政府が負担していることになり、隠れた公費負担(「租税支出等」とする。)とみなすことができる。この金額は、1997年度が1.9兆円、2002年度が1.5兆円である。

図表 9 公費負担の内訳(18歳未満)

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(注記、以下「II.研究結果の総括」に挙げるいずれの結果も同じ)

  • 各項目に含まれる費目は下記の通り。

学校教育費:学校教育にかかる公費負担分(但し、短大、大学、各種学校、専修学校の公費負担は除く)

福祉・医療関係費:児童手当、児童扶養手当等、出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付、児童福祉サービス費(国把握分、地方単独分)、医療費(公費負担・保険給付)

租税支出等:子どもの扶養控除による減税額、育児休業期間中の社会保険料負担の免除(被保険者負担分)

図表 10 公費負担の内訳詳細(18歳未満)

区分 費用項目 費用推計結果(百万円)
18歳未満のみ
1997年度 2002年度
学校教育費 学校教育費 13,012,751 67.5% 12,878,627 64.5%
福祉・医療関係費 児童手当 149,702 0.8% 431,456 2.2%
児童扶養手当等 372,317 1.9% 455,202 2.3%
出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付 504,286 2.6% 569,623 2.9%
児童福祉サービス費(国把握分) 1,280,900 6.6% 1,676,500 8.4%
児童福祉サービス費(地方単独分) 302,200 1.6% 408,800 2.0%
医療費(公費負担・保険給付) 1,802,185 9.3% 2,051,605 10.3%
租税支出等 子どもの扶養控除 1,827,041 9.5% 1,445,649 7.2%
社会保険料負担の免除 24,771 0.1% 34,813 0.2%
総額   19,276,153 100.0% 19,952,274 100.0%

公費負担のうち、福祉・医療関係費についてその内訳をみると、2002年度では医療費と児童福祉サービス費が最も多くを占めてともに2.1兆円となっている。

図表 11 福祉・医療関係費(公費負担)の内訳(18歳未満)

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(注記、以下「II.研究結果の総括」に挙げるいずれの結果も同じ)

  • 福祉・医療関係費(公費負担)の各項目に含まれる費目は下記の通り。

手当等給付費:児童手当、児童扶養手当等、出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付

児童福祉サービス費:児童福祉サービス費(国把握分、地方単独分)

医療費:医療費(公費負担・保険給付)

福祉・医療関係費(公費負担)の各項目について1997年度と2002年度の変化をみると、手当等給付費は児童手当の支給対象児童年齢の引き上げにより、1997年度から2002年度にかけて1.5倍に増加している。児童福祉サービス費も同様に0.5兆円の増加がみられる。

図表 12 福祉・医療関係費(公費負担)の項目別変化(18歳未満)

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(3)私費負担について

家計における子育て費用の負担状況をみると、18歳未満の子育てにかかる家計支出(いわゆる「みかけの家計支出」、現金給付や支払い免除による充当分を差し引く前の金額)は、1997年度が23.4兆円、2002年度が21.5兆円である。

この「みかけの家計支出」のうち、一部は現金給付及び支払い免除により充当されている。いわゆる「みかけの家計支出」から現金給付や支払い免除による充当分を差し引いた「実質の私費負担」は、1997年度が20.5兆円、2002年度が18.5兆円である。

「みかけの家計支出」に対する「実質の私費負担」の割合である実質負担割合は、手当等の増額により1997年度の87.7%から2002年度の86.3%に低下している。

図表 13 家計における子育て費用の負担状況(家庭内育児労働費用を除く場合、18歳未満)

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「みかけの家計支出」の内訳をみると、「その他生活費(保健医療、教育を除く)」が最も多く、全体の6割程度を占めている。それに続いて多い支出は「教育費(学校教育費、学校外学習費)」である。

図表 14 みかけの家計支出の内訳(18歳未満)

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図表 15 みかけの家計支出の内訳詳細(18歳未満)

費用項目 費用推計結果(百万円)
18歳未満のみ
1997年度 2002年度
保育料 340,415 1.5% 444,581 2.1%
教育費(学校教育費、学校外学習費) 8,295,921 35.5% 7,402,320 34.5%
妊娠・出産費 612,593 2.6% 581,250 2.7%
医療費 285,277 1.2% 369,635 1.7%
その他生活費(保健医療、教育を除く) 13,858,266 59.2% 12,674,524 59.0%
総額 23,392,473 100.0% 21,472,311 100.0%

(4)家庭内育児労働費用について

家庭内育児労働を金銭換算して家庭内育児労働費用(18歳未満)を推計した結果、1997年度は6.8兆円~10.3兆円、2002年度は8.1兆円~13.0兆円の範囲で費用がかかっていると推計された。1997年度から2002年度にかけて少子化によって子ども数が減少しているにも関わらず、家庭内育児労働費用は増加している。

図表 16 家庭内育児労働費用(総額、18歳未満)

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(注記)

  • 家庭内育児労働費用については、「1人あたりの育児労働時間×時間あたりの平均賃金×365日」で算出した。その際、労働の金銭評価価値の設定にあたって、「時間あたりの平均賃金」を次の3パターンを設定している。

(a)外で働いていたと仮定した場合(機会費用法)

(b)育児の専門家(保育士)に依頼すると仮定した場合(代替費用法スペシャリストアプローチ)

(c)家事使用人に依頼すると仮定した場合(代替費用法ジェネラリストアプローチ)

※(a)機会費用法には男女別の全産業の平均賃金、(b)代替費用法スペシャリストアプローチには保育士の平均賃金、(c)代替費用法ジェネラリストアプローチにはパート労働者の平均賃金を使用。)

  • なお、総額費用の計算にあたっては、(c)代替費用法ジェネラリストアプローチを用いる。

家庭内育児労働費用を加えた形で子育て費用の総額をとらえ、そこに占める公費負担の割合をみると、1997年度が41.4%、2002年度が42.8%となる。1997年度から2002年度にかけていわゆる金銭的な家計支出(みかけの私費負担)は減少しているものの、家庭内育児労働費用が約1.3兆円増加している。このため子育て費用総額に占める公費負担割合はさほど変化していない。

図表 17 子育て費用総額の公費負担・私費負担・家庭内育児労働費用の内訳

子育て費用総額の公費負担・私費負担・家庭内育児労働費用の内訳(CSV形式:1KB)ファイルを別ウィンドウで開きます


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