前のページへ次のページへ目次のページへ


第2章 調査結果の概要

2‐1.調査結果のまとめ

 本調査研究では、企業における両立支援策にはどのような効果があり、そのために従業員の利用を促進し、より効果をあげるためにはどのような取組が必要であるかを探った。企業の人事責任者を対象としたアンケート調査を行うとともに、中堅・中小企業を中心にヒヤリング調査を行った。その結果をまとめると次のとおり。

 企業における両立支援策の効果は、(1)長期的(5年以上)に現れること、(2)女性従業員の定着と人材活用が最も大きい効果であることが明らかになった。
 効果をあげるためには、両立支援策を導入するだけではなく、従業員が利用しやすくする必要があるが、それには、(1)両立支援策を経営方針として明確にすることと、経営トップが積極的に発言し、行動すること、(2)女性・正社員だけではなく、非正社員や男性など、これまでどちらかというと、利用が少ない、使用しにくい、利用できない従業員の利用促進・適用を図ること、などが課題である。
 両立支援策の利用を促進するには、労働時間の長さや(休業者の)周囲への負荷が問題のほか、社会通念上、男性が育児参加しにくいといった項目があげられている。企業ごと、職場ごとの雰囲気の醸成や環境づくりなどの努力はもとより、国民的な意識啓発運動が必要であることが示唆される。

1.企業における両立支援策の効果は長期的に、人材活用の視点から

◆ 両立支援策の最も大きな効果は、女性従業員の定着と人材活用
 経営への効果として、短期・長期ともに効果が高いのは、女性の人材活用に関する項目であり、「女性従業員の定着率が向上した」と「意欲や能力のある女性の人材活用が進んだ」の二つである。このほかに、職場や企業の雰囲気や信頼などモチベーションを高める効果とともに、仕事の効率化・業務改善など生産性向上に結びつく効果があげられる。

◆ 両立支援策の経営への効果はより長期的な取組で
 経営への効果は、短期的(5年未満)よりも長期的(5年以上)な効果が評価されている。両立支援策はより長期的な視点からの取組が必要である。

◆ 女性・正社員だけでなく、男性・非正社員の利用促進が効果的
 両立支援策を女性正社員のみならず、男性社員や非正社員も利用している企業のほうが効果が見られる傾向がある。
 両立支援策の導入状況や利用状況をみると、男性や非正社員の利用は女性・正社員に比べ低くなっており、これまで相対的に女性・正社員が中心だった両立支援策を、男性や非正社員にも適用・利用促進を図ることが、経営にとっての効果を高める上で課題である。特に非正社員への両立支援策の適用は正社員に比べて遅れており、まずは法定どおりの制度を早急に導入・実施することが両立支援の第一歩といえよう。

2.両立支援策の取組は経営方針やトップの言動から

◆ 企業の両立支援策への取組意欲は「今後」に期待できる
 両立支援策への取組意欲に積極的な企業は、「現在」では33.7%にとどまるが、「今後」では53.0%と過半数を超え、消極的なところはわずか3.7%である。各企業とも今後は、両立支援策を積極的に導入し、従業員に積極的に周知し利用促進を図っていくとの意向を示していることは注目される。

◆ 経営トップが積極的になること
 経営トップが両立支援策への取組に積極的に発言し、行動している企業は3割弱にとどまるが、企業規模が大きくなるほどより積極的になる。しかし、中小規模の企業へのヒヤリング結果によれば、社長自身が女性の能力を高く評価して、両立支援策を導入・運用し、女性の人材活用、雇用継続に積極的であるところがあった。こうした事例をみても、相対的に規模の小さい企業ほど、経営トップの言動は社内への直接的な影響が大きいことを考慮すれば、今後が期待される。

3.両立支援策の利用促進は職場の環境づくりから

◆ 労働時間の長さや周囲への負荷が問題
 両立支援策の利用促進上の問題は、「代替要員の確保が難しい」、「社会通念上、男性が育児参加しにくい」、「労働時間が長い部門・事業所がある」、「職場で周りの人の業務量が増える」といった項目があげられた。労働時間の長さや周囲への負荷の問題は、業務遂行体制の見直しや効率的な業務運営など、誰もが働きやすい職場にすることが望まれ、社会通念上の問題は企業の努力のみならず、国民的な意識啓発運動が必要であることが示唆される。

◆ 職場での雰囲気の醸成や利用促進のPRが必要
 両立支援策の利用を促進するために必要なことは、「職場ごとに支援策を利用しやすい雰囲気を醸成する」、「育児支援策を従業員に積極的にPRし、理解を深める」、「管理職が積極的に従業員に利用を呼びかける」などが指摘される。
 そのためには、管理職がイニシアティブを取って職場環境づくりを推進していくことが重要であり、企業は全社的な取組によってそのための支援を講じていくことが期待される。


前のページへ次のページへ目次のページへ