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2‐3.両立支援策の位置づけ

2‐3‐1.両立支援策の取組意欲(アンケート調査 Q3)

【現在】【今後】ともに、両立支援策に対する取組には、取組に意欲的な企業が消極的な企業より多い。
特に、【今後】において取組意欲が高い企業が多い。

2‐3‐1‐1.現在

 全体的に積極的でも消極的でもなく、中間に位置すると回答した企業が47.7%と最も多いが、積極的な企業(5+4)が33.7%、消極的な企業(1+2)が16.5%と上回っており、両立支援策の取組に対して意欲があるといえよう。

図表2‐4 両立支援策の取組意欲(現在)

2‐3‐1‐2.今後

 今後の方向性についてはどうであろうか。
 全体的には、積極的な企業(5+4)が53.0%と半数を超え、今後も両立支援策の取組に対して意欲が高い企業が多いといえよう。

図表2‐5 両立支援策の取組意欲(今後)

2‐3‐2.経営トップの取組(アンケート調査 Q4とヒヤリング事例)

経営トップが両立支援策への取組に積極的な姿勢を示している企業は29.4%で企業規模が大きくなるほど関心が強くなる傾向がある。
女性従業員の平均年齢が20~30代の企業では、経営トップの発言・行動が積極的である傾向がある。
経営者の積極的な取組により、幹部役員から職場の管理職まで考え方が浸透し、育児支援に関する環境づくりに大きな効果をもたらしている企業事例があることがヒヤリング調査によって明らかになった。
経営トップが、両立支援によって従業員が働きやすい・働きがいのある職場環境を創造していくことを積極的に示すことによって、より大きな効果が期待できる。

経営トップは両立支援策に対してどの程度の関心を示しているのであろうか。
 経営トップが両立支援策への取組に積極的な姿勢を示している企業の割合は29.4%(5+4)であり、経営トップの関心があまり高まっていないといえるが、企業規模が大きくなるほど経営トップの関心は強くなる傾向がある。
 また、正社員の女性従業員の年齢別に見ると、仕事と家庭の両立問題に強く関係する世代である20代、30代が多い企業では、経営トップが積極的に発言・行動する傾向が見られる。
 なお、ヒヤリング調査では、(株)コヤマドライビングスクールにおいて、社長自身が女性社員の能力を高く評価しており、女性の継続雇用のための制度導入を推進すべく、各教習所をまわり、直接社員に語りかけるなど、積極的に取り組んでいる事例が得られた。経営者の積極的な取組により、幹部役員から職場の管理職まで考え方が浸透し、育児支援に関する環境づくりに大きな効果をもたらしている、と同社ではとらえている。

図表2‐6 総従業員(正社員)別 両立支援策に対する経営トップの言動
図表2‐7 正社員(女性)の平均年齢別 両立支援策に対する経営トップの言動

2‐3‐3.経営方針での位置づけ(アンケート調査 Q5)

全体的には「従業員への福利厚生として」が64.5%、次いで「企業の社会的責任(CSR)の一環として」(60.5%)、「優秀な人材の確保策として」(48.7%)である。
両立支援策を企業価値を向上させる施策、または人事戦略の一環として、経営方針に位置付けることによって対内外に会社の両立支援に対する強い姿勢を示すことができると考えられる。

全体的には「従業員への福利厚生として」と回答した企業が64.5%と最も多く、次いで「企業の社会的責任(CSR)の一環として」(60.5%)、「優秀な人材の確保策として」(48.7%)の順であるが、人事戦略の一環として取り組む企業が多い傾向が見られる。特に、女性従業員比率の高い企業に「優秀な人材の確保策として」、「従業員への人的資源管理策として」といった回答が多くみられる。

図表2‐8 両立支援策の経営方針の中での位置づけ (N=1,368、複数回答)

2‐3‐4.ヒヤリング調査企業での位置づけ

両立支援策は、(1)人事戦略の一環として取り組むパターンと、(2)生産性向上・業務効率化の一施策として取り組むパターンの二つに大別される傾向がある。
人事戦略の一環として取り組むパターンでは、育成してきた人材および優秀な人材の定着を図ることを目的とするケースが多い。
生産性向上・業務効率化の一環として取り組むパターンでは、効率的な職場運営のための働き方として、短時間勤務制度等の「ワーク・ライフ・バランス」施策を導入し、制度の利用を通して職場運営方法を見直すケースが多い。
両立支援策の取組パターンに関わらず、両立支援策への取組は、男女ともに働きやすい労働環境を創造する効果が期待できることから、各社の状況に応じた両立支援策を導入し、積極的に取り組むことがまずは重要である。

経営方針における両立支援策の位置づけは、(1)人事戦略の一環として取り組むパターンと、(2)生産性向上・業務効率化の一施策として取り組むパターンの二つがある。

2‐3‐4‐1.人事戦略の一環として取り組むパターン

九電ビジネスソリューションズ(株)
 同社の主要業務であるソフトウェア開発は、新しい技術とシステム開発等の経験も従業員のスキルとして重要視している。ソフトウェア開発にあたる女性従業員が出産・育児のために退職してしまうことは、育ててきた技術者を失う経営資源のロスになってしまう。つまり、経営上の必要性から女性従業員が出産・育児休職後も継続して働きやすい職場を作ろうとしており、現在は男性・女性にかかわらず働きやすい制度を導入している。

日本電気(株)
 1981(昭和56)年からソフト技術者、SE要員として総合職の女性社員を大量に採用し、その育成に時間と費用を投資してきたが、その人材が結婚・出産・育児などの年齢に達するにあたり、仕事と育児を両立できる環境を整備し、離職を防ぐことが経営上有効であるとして、両立支援策の構築を積極的に展開してきた。

(株)フージャースコーポレーション
 競合他社との差別化から、同社は特にマンションの商品づくりに力を注いでいる。商品企画や販売においては、主婦の視点や母親の視点が不可欠であることから、約5割が女性社員となっている。これに加え、本来的に年齢、性別を基準としない実力主義の人事管理を行っていることから、有能な女性社員がおり、就業の継続は経営としての望ましい状態であり、そこで自然発生的に出産・育児支援の仕組みが形成された。

未来工業(株)
 同社の定時退社および長期休暇の設定に対する取組は、時間外労働の常態化や有給休暇取得率の低さなどを問題として取り組んだのではなく、社員のモチベーションを高く維持し、良い人材を確保していくための施策の一環として実施したものである。

2‐3‐4‐2.生産性向上・業務効率化の一施策として取り組むパターン

(株)クララオンライン
 同社は、ベンチャー企業であること、多国籍の従業員を雇用していることから、優秀な人材確保を目的にワーク・ライフ・バランスを導入してきたが、子育て期の社員に対するケアだけでなく、社員の総合的なケアとして同戦略を展開している。また、多様な働き方を導入することによって、「時間の長さ」で生産性を図るのではなく、「時間当たり」の生産性を高めるツールとしてワーク・ライフ・バランスを位置づけている。従って、全社員にプラス効果をもたらすように取り組む必要があると考えている。

クリロン化成(株)
 同社では、社員に対して金儲けでなく「時間儲け」に徹して欲しいという理念から「時間を有効に生かすための12ヶ条」を職務実施要領として社員に提示し、一人ひとりが時間あたりの生産性を高めることでゆとりある生活を実現していこうという姿勢をとっている。この理念に基づき、社員は目的に応じた働き方をすべく、勤務形態が自由となっている。

(株)ユニクロ
 同社の育児支援策は、意識改革先行型ではなく、残業や土日出勤という仕事と生活の両立を阻害する要因を除去することを目的に、職場のパフォーマンスが低下しないよう留意しながら、人事部門のイニシアチブに基づいて職場の業務分担の徹底的な見直しを計画的に行った。


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