第2章 2.4

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2 調査結果

2.2 仕事と生活の両立

2.2.4 職場における子育て支援の取組

(1)育児休業の取得状況

職場において、育児休業を希望する人が、安心して育児休業を取得できているかどうかについて、民間企業勤務及び公務員を対象に質問している。その結果、そう思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は、全体の30.8%となっているが、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答は、全体の44.8%となっており、安心して取得できていないと回答している者のほうが多い(図2-10)。

民間企業と公務員について分析し、民間企業については、勤務している企業の従業員数別に分析した結果、男性女性ともに、民間企業よりも公務員のほうが、「そう思う」とする回答率が高い。また、民間企業について、従業員数別に分析したところ、従業員数が少ないほど安心して取得できていないとする回答(「そう思わない」)の比率が高い傾向にあり、特に男性の「民間企業100人以下」において顕著である。

図2-10 職場における育児休業の取得状況

※職場のある者(民間企業勤務と公務員)を対象とした質問

(2)育児休業が取得できていない理由

職場において育児休業が取得できていない理由について、職場で育児休業が取得できていないと回答した者を対象に質問している。その結果、最も回答数が多かったものは、「制度を利用すると業務に支障が生じる(57.2%)」であり、次いで「制度を利用する風土がない(50.0%)」とする回答が顕著である(図2-11)。また、「制度を利用することに抵抗を感じる(36.9%)」、「制度利用に対して「上司」の理解が得られていない(35.4%)」、「制度を利用すると、収入が減る(34.2%)」、「制度を利用すると、昇給・昇格に悪影響を及ぼす懸念がある(31.3%)」といった理由も挙げられており、制度利用が進まない理由として、複数の課題が指摘されている。

図2-11 育児休業が取得できていない理由

※職場で育児休業が取得できていないと回答した者を対象とした質問

(3)職場における育児休業取得後の円滑な職場復帰

職場において、育児休業を取得した後、円滑に職場復帰できているかどうか、民間企業勤務及び公務員を対象に質問している。その結果、そう思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は、全体の34.5%となっており、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答は、全体の29.1%となっている(図2-12)。

民間企業と公務員について分析し、民間企業については、勤務している企業の従業員数別に分析した結果、男性女性ともに、民間企業よりも公務員のほうが、「そう思う」とする回答率が高い。また、民間企業について、従業員数別に分析したところ、従業員数が少ないほど「そう思わない」とする回答の比率が、男女ともに高くなる傾向にある。

図2-12 職場における育児休業後の円滑な職場復帰

※職場のある者(民間企業勤務と公務員)を対象とした質問

(4)子育て中の人の短時間勤務制度やフレックスタイム制度の利用

職場において、実際に子育て中の人が、短時間勤務制度(育児時間制度を含む)やフレックスタイム制度を必要に応じて利用できていると思うかどうか、民間企業勤務及び公務員を対象に質問している。その結果、利用できている(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は21.6%であるが、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答が48.9%となっており、そう思わないとする回答率が高い(図2-13) 。

民間企業と公務員について分析し、民間企業については、勤務している企業の従業員数別に分析した結果、民間企業の従業員数が多くなるにつれて、そう思う(「そう思う」+「ややそう思う」)の回答率が高くなり、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答率が低くなる傾向にある。

公務員については民間企業との顕著な差異は見られておらず、特に女性では、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答が半数近くにのぼっており、育児のための短時間勤務制度等の必要に応じた利用は難しい可能性がある。

図2-13 育児のための短時間勤務制度等の必要に応じた利用

※職場のある者(民間企業勤務と公務員)を対象とした質問

(5)子どもの用事で仕事を休むことについての上司や同僚の理解

民間企業勤務及び公務員を対象に、職場において実際に子育て中の人が、子どもの病気や子どもの用事で仕事を休むことについて上司や同僚の理解が得やすいかどうか、質問している。その結果、理解が得やすいと思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は47.0%であり、そう思わない(「あまりそう思わない」+「そう思わない」)とする回答は26.9%となっている(図2-14) 。

民間企業と公務員について分析し、民間企業については、勤務している企業の従業員数別に分析した結果、民間企業に比較して公務員は、そう思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答率が高い傾向にある。また、民間企業の従業員別の分析では、男性民間企業1,001人以上は理解が得やすいと思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は53.1%であるが、女性の民間企業1,001人以上は理解が得やすいと思う(「そう思う」+「ややそう思う」)とする回答は44.0%にすぎない。他方、女性は民間企業101~300人において、55.9%となっており、この規模の企業では、理解が得やすい可能性がある。

図2-14 子どもの用事で仕事を休むことへの理解

※職場のある者(民間企業勤務と公務員)を対象とした質問