第5章 少子化社会対策はどのように進展してきたか
第1節 これまでの少子化社会対策の経緯
1 エンゼルプランの策定
○ 1990(平成2)年の「1.57ショック」以降、政府では、少子化社会に対する取組を開始した。ただし、この頃は、概して出生率の低下は一時的な傾向としてとらえられていた。本格的な取組の第一歩は、1994(平成6)年策定の「今後の子育て支援のための施策の基本的方向について」(エンゼルプラン)であり、保育サービスの量的拡大や多様化等について、計画的に整備を進めることとした。
○ 政府は、1999(平成11)年5月から、少子化対策推進関係閣僚会議を開催し、同年12月、「少子化対策推進基本方針」を決定した。同年12月、この基本方針に基づく重点施策の具体的実施計画として、新エンゼルプランを策定した。最終年度(2004(平成16)年度)の目標値には、これまでの保育サービス関係ばかりでなく、雇用、母子保健、相談、教育等の事業も加わった。
第1‐5‐1図 少子化社会対策に関するこれまでの政府の取組の流れ

2 2000(平成12)年からの少子化社会対策
○ 厚生労働省では、2002(平成14)年9月、少子化対策の一層の充実に関する提案として、「少子化対策プラスワン」を取りまとめた。これを踏まえ、2003(平成15)年3月、少子化対策推進関係閣僚会議において、「次世代育成支援に関する当面の取組方針」が決定された。
○ 2003(平成15)年及び2004(平成16)年には、次世代育成支援対策推進法の制定(地方公共団体や事業主は、次世代育成支援のための行動計画を策定すること等)や、児童手当法の一部改正(児童手当の支給対象年齢を小学校第3学年修了時まで引上げ)、児童虐待防止法の改正が行われた。